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2005.05.07

マスコミがJRを追い詰めすぎだ。運転士が緊張しすぎて却って危険だ

◆記事見出一覧:全国のJRで、オーバーランが続出(日付は記事日付)


  • 4月30日JR西、またオーバーラン 6日連続、見習い運転士が。(共同通信)

  • 5月3日 常磐線 170メートルオーバーラン 運転士「考えごとしていた」(産経新聞)

  • 5月4日 指導運転士もオーバーラン JR西、同じ電車が2度 (共同通信)

  • 5月4日 <オーバーラン>JR山陽、東海道線で1時間半に3件相次ぐ (毎日新聞)

  • 5月5日 150メートルオーバーラン JR中央線 猿橋駅で (共同通信)

  • 5月5日 大和郡山駅でもオーバーラン=車両数勘違い-JR西日本 (時事通信)

  • 5月5日 JR奈良線でオーバーラン 10メートル行き過ぎ 黄檗駅で (共同通信)

  • 5月6日 北陸線で45メートルオーバーラン=見習い運転士、タイミング遅れる-JR西 (時事通信)


◆コメント:JR職員を過度に緊張させることにより、新たな危険が生じている。

 

 マスコミは相変わらず、JR西日本の職員が、事故当日にボーリングをしていたとか、宴会を開いていたとか、詰まらぬことを追いかけている。

 情けない。全ての新聞社がゴシップ誌になってしまったのか。今頃、何を言ったところで、仕方がない。



 事故以来、マスコミの取材の仕方はあまりにも傲慢かつ殆ど恫喝的である。

 記事1でここ一週間のオーバーランの見出しだけを拾ったが、普段からこれほどオーバーランが起きているとは考えにくい。

 尼崎の事故以来、JR西日本のみならず、日本中の電車(地下鉄を含む)の運転士が普段より緊張しているはずである。 

 「万が一にでも事故を起こしたら、自分も叩かれるし、会社にあれほど迷惑をかけるのか」、という殆ど「恐怖心」に近い心理、或いは恐怖心そのものが、日本中の電車の運転士に過度のプレッシャーを与えているのだろう。

 仕事に緊張感は確かに必要だが、緊張しすぎると、普段出来ることも出来なくなってしまうのが人間であることぐらい、誰でも分かるだろう。

 その意味からも、マスコミは冷静な報道をするべきだ。

 そもそも、あの横暴な口の利き方。あの興奮した様子。

 冷静さを失った人間に、客観的な記事が書けるのだろうか。


◆事故原因は特定されていない。

 事故の原因は未だ分からない。



 1985年8月12日に日航123便が墜落した直後から、日本航空社員への風当たりは強く、亡くなった機長の奥さんのところにまで、「良くおめおめと生きていられるな」などの嫌がらせが殺到した。

 しかし、事故の最終報告書によれば、事故機は、以前、着陸時に尾部を地面にぶつける、いわゆる「尻餅」事故を起こした経緯があった。

 日本航空は、その修理を飛行機の製造元であるボーイング社に依頼した。

 ボーイング社は、圧力隔壁を修理する際に、マニュアルの指示では3枚の板に両側からリベット(釘のようなもの)を反対側に貫通するまで打ち込まねばならなかったのだが、実際には、貫通せず、途中までしか打ち込まなかった。

 このため、その後、長い時間をかけて隔壁にヒビが入り、ついに事故当日、圧力隔壁が破壊され、その壊れた隔壁の一部が油圧系統のパイプを全て切断し、飛行機をコントロール不能にしてしまった。という事情が判明した。

 圧力隔壁の状態まで機長に把握せよというのは無理である。日航123便の墜落の責任は機長には、無かった。

 このように、ずいぶんと時間が経ってから意外な事故原因が浮かび上がることが、実際にあるのだから、まだ、完全に運転士の運転ミスと断定して良いのかどうか、わからない。

 実際、こういう記事もある。

 20050506jiji

 

◆列車脱線・ストッパーに異常な傷跡

 

 事故の衝撃で折れ曲がった旋回運動を抑えるためのヨーダンパー。

 車体の極端な上下運動を防止するストッパーに異常な傷跡があったことが6日、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の調べで分かった(同委員会提供)(時事通信社)21時27分更新




 専門家では無いので、このことに関しては詳細は分からないが、「車両自体の欠陥、金属疲労の類が原因ではない」とは、完全に言い切れない、ということではないだろうか。


◆フェアな報道を希望する。

 今回の一回の事故が全てであるかのような錯覚を受けるが、統計によれば、鉄道事故による死者数は過去数十年にわたって漸減もしくは、ほぼ低位で安定していることは、国交省の「鉄道運転事故による死傷者の推移」というこのグラフを見れば、一目瞭然である。

 昭和50年の3分の1に減っている。

 勿論、この資料は、JRのみならず、日本中の鉄道事故に関する統計であるから、厳密にはJR各社の事故件数推移は分からない。しかし、JR各社の旅客の合計が日本最大であることは容易に推察可能であり、JRの事故が増えていれば、これほど、事故件数は減らなかったはずである。

 しかし、何が何でもJRを「悪者」に仕立て上げたいマスコミ各社はこのような統計には全く触れない。 これは、不公平である。

  本来、こういうことを書くことこそが、マスコミの仕事であり、素人は理屈も分からず興奮している、というものである。

 今や、様々なblog等を拝見すると、一般人の方がよほど落ち着いて、論理的に思考しているのに、マスコミは完全に頭に血が上って、JR西日本社長を怒鳴りつけている。

 いくら何でも口の利き方があるだろう。

 物事を伝えるプロと素人が逆転しては困るのである。

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マスコミ批評」カテゴリの記事

コメント

三平太さん、はじめまして。「JIROの独断的日記」のJIROです。
TBと大変ご丁寧な、コメントをありがとうございました。

三平太さんのお書きになったものを読ませていただき、はっとしました。
人々は、どうして、ボーリングへ行ったJR西日本の職員を責めるのか?

心理学でいうところの「投影」でしょうか?
自分もそうしてしまうかも知れない、しかし、自分ではそれを認めたくない、という気持ちが抑圧されていて、JRの職員に投影され、これを攻撃することによって、自分が抑圧している「やましさ」を誤魔化そうとしているのかもしれませんね。

こちらこそ、大変、勉強になります。
今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: JIRO | 2005.05.10 18:52

JIROさん、はじめまして。非常におもしろく、もっともな見解満載で感心いたしました。本来報道の現場で交わされるべき議論がここでなされているように感じます。JOROさんの常識的なのに非常にユニークな観点、読んでいて自分への励みにもなります。ありがとうございます。

投稿: 三平太 | 2005.05.10 14:26

はじめまして、気が向いたらBlogるの安藤です。トラックバックいただきありがとうございます。
ただ責めるだけでは何の解決にもならないということにマスコミは気づいていないのかわかってて目をつぶっているのかどうなのでしょうね。
いっぽうでダイヤに乱れが出ると苦情を言う乗客や「○○万人の足に影響」と報じるマスコミ(ここでも)も事故の遠因になっているように思えます。

投稿: 安藤 幸 | 2005.05.08 21:31

フロレスタン様、たびたび恐縮です。

そうですね。私の知人もNHKですが、彼から聴いたところによれば、

「プロジェクトX」の製作スタッフは30代だそうです。

ああいうものは、民放では無理だと思うんですね。

確かにNHKの番組とて、玉石混淆ですが、

こういうときこそ、真価を発揮して欲しいものです。

投稿: JIRO | 2005.05.07 19:04

TB有り難うございます。
ご厚意に甘えて、またまたTBさせて頂いちゃいました。
しかし、マスコミの報道の過熱っぷりは、何処まで行くやら…です。

投稿: A/T | 2005.05.07 18:51

確かに、NHKは特集番組などで良質な番組を制作しますね。反対にしょうもないものもありますが、それは致し方ないでしょうね、人間のやることですから。

私の学校時代の同級生などにもNHK職員がいます。卒業以来連絡はしていませんが、彼らにいい番組をつくってもらいたいものです。

投稿: フロレスタン | 2005.05.07 15:55

フロレスタン様
コメント及び、TBありがとうございました。

なるほど。「調査報道」という概念、失念しておりました。ありがとうございます。

少し話がそれますが、この事故に関してはやがて、「NHK特集」あたりがやるのではないかと思います。

不祥事などがありましたが、そういう面では、やはりNHKに人材がいるので、大事にした方が良いと思います。

なお、ご親切に社名相違をご指摘いただき、大変感謝いたします。重ねて御礼申し上げます。

投稿: JIRO | 2005.05.07 13:09

続けざまですみません。
85年に事故を起こした日航機の修理はロッキード社でなくボーイング社ですね。

投稿: フロレスタン | 2005.05.07 12:55

TBいただきまして、ありがとうございます。こちらからもTBしました。

マスコミが運転士に過度の緊張を強いている、というのは私も全く同感で、そういう趣旨のことは自分のブログでも述べています。

ライブドア問題の時に、メディアの公共性として調査報道というのが挙げられましたが、今回の各社の報道ぶりを見ていると、とても調査報道からはほど遠い。重箱の隅をつつくようなアラ探しばかりです。

実際には、調査報道をきちんとできるような能力を持った記者があまりいない、ということかもしれません。ブログの方がよほどきちんとした論評をたくさん見かけます。

投稿: フロレスタン | 2005.05.07 12:53

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