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2005年10月

2005.10.30

今放送中のN響アワー、「幻想交響曲」のすすめ。(改訂版)

◆N響アワー、始まってしまったが、皆さんDVDレコーダーとかお持ちでしょうから、4,5楽章だけでも録画して聴いてください。

 

 今夜、幻想交響曲というのをやります。

 大きなお世話なのだが、幻想交響曲のCDを買って聴いてくださいというのは、なかなか書きにくいが、NHK教育テレビなら、録画しておいて、DVD±RWとか、HDDレコーダなら、気に入らなければ消してしまえば良い。

 私はNHKはこういう番組を放送するだけでも十分存在価値があると思っている。

 イギリスに住んでいたときに分かったが、西洋音楽の本場、西洋には、このような、オーケストラコンサートを録画録音して、それに専門の作曲家が易しい解説を加える、などという親切なものは存在しないのだ。

 それは、皆知っているからでなく、ヨーロッパの一般大衆もクラシック音楽については、日本の普通のひとと同様或いはそれ以下の関心しか、持っていないからである。


◆ベルリオーズという人の作品です。
 

私は、中学生の頃「幻想交響曲」を聴いたとき、てっきり、現代音楽だと思った。

 それほど革新的な作曲技法が用いられている。

 しかし、後に調べてひっくり返るほど驚いた。

 「幻想交響曲」が初演されたのは、かの有名なベートーベンの「第九交響曲」が初演された(1824年)、わずか6年後なのである。



 まず、オーケストラ編成がその当時としては信じられないぐらい、大規模である。

 ティンパニが二対(二個じゃないですよ。ティンパニ奏者は大多数の交響曲では一人だが、この曲では二人いるのだ!)、チューバが二本、その他木管も四本ずつの四管編成。ハープも二台。


◆ベルリオーズは正式な音楽教育を受けていない。

 

 普通作曲家は絶対音感があって、何十段もあるオーケストラ・スコア(総譜)を頭の中で鳴らして書く。

 ピアノで音を出してみなければどんなメロディーか分からない、どんなハーモニーか分からない、という程度の耳の人は、作曲家にはなれない。
 それでも、大抵の作曲家はものすごくピアノが上手い。ベートーベンの交響曲のスコアを目の前に置くと、メロディーと和声進行を瞬時に見抜いて、ピアノで弾くことが出来る。

 ベートーベン自身、幼い頃から親父に散々しごかれた。(ベートーベンの親父はしまいにはアル中で、廃人になったが、ベートーベンの才能をいち早く見抜き磨きをかけたという点で、やはり、天才だったのだ)。

 ベルリオーズは何の楽器も弾けなかった。両親は彼を医者にしたくて、医大に進ませた。一応通ったが、医学に興味は湧かなかった。

 とにかく、ベルリオーズは子どもの頃、正規の音楽教育を一切受けていなかった。 絶対音感だけで、頭の中で完璧に、大編成のオーケストラを演奏することが出来た。

 これが天才でなくて、何だろうか。


◆ストーカーだったベルリオーズ。

 

 ベルリオーズはフランス人だが、アイルランド出身のシェークスピア女優、ハリエット・スミスソンに猛烈な片思いをして、熱狂的な手紙を無数に送って、スミスソン嬢を死ぬほどおびえさせた。

このころ、ベルリオーズは全く無名だったのだ。それでも念願が叶って、後に二人は結婚するが、10年で離婚した。



 「幻想交響曲」は、その自分の体験と、英国の文学者、トーマス・デ・クウィンシーが書いた「阿片常用者の告白」という本からヒントを得た、「標題音楽」と呼ばれるものである。
 ある芸術家が失恋の末にアヘンを飲んで自殺を図るが致死量に至らず、幻想を見る、という「ストーリー」を音楽で表した作品だ。

 しかし、考えてみたら、こんなことは、「幻想交響曲」のCDを買えば、ライナーノーツに必ず書いてあるからこれ以上書かない 

 全曲聴かなくていいから、第二楽章(非常に美しいメロディーのワルツ)、第四楽章、「断頭台への行進」(幻想の中で芸術家は彼女を殺して死刑宣告を受け、ギロチンへ送られる)と第五楽章(終楽章)だけでも、ちらりと聴いてみてください。

 「断頭台への行進」は名前は縁起でもないが、非常に闊達な音楽だ。

 第五楽章の冒頭のテーマは二本のテューバで演奏されるが、元はグレゴリオ聖歌から取られている。

 最後はオーケストラの各楽器のパートがめまぐるしく動くがそれが見事に重なり、壮大な音の建築物となる。

 こんなものをピアノを弾けないのに書いたベルリオーズは、文句なしの天才である。人間業とは思えない。


◆おすすめCD

 

 幻想といえば、これ、というぐらい有名な演奏はシャルル・ミュンシュ指揮、パリ管弦楽団である。しかし、あまりにも定番なので、もう一つ。

  パリ・バスティーユ管弦楽団、指揮は、韓国のチョン・ミョン・フンである。

 チョン・ミョン・フンは姉がバイオリニストのチョン・キョン・ファで、この人は間違いなく、世界的名手である。

 弟のチョン・ミョン・フンも指揮者ではあるが、ピアニストとしても成功したと思われる。何せ、チャイコフスキーコンクールで2位に入った、というすごい経歴があるのだ。

 その後、パリオペラ座の音楽監督を務め、ウィーン・フィルの定期演奏会に呼ばれる(それだけで超一流の証拠)し、アムステルダム・コンセルトヘボウ、アメリカのフィラデルフィア・オーケストラ、英国のフィルハーモニア管弦楽団の客演に呼ばれており、優秀な音楽家であることを裏付けている。

 紹介した「幻想交響曲」CDのオーケストラは失礼ながら超一流ではないのに、そのオーケストラから驚くほど美しい響きを引き出している。


◆「幻想」は一度生で聴いてみてください。

 

普段馴染みのないひとはクラシックの演奏会を非常に、窮屈に感じるようだ。
 それは、一つの原因は回りと同じタイミングで拍手しなければ、と、思いこんでいるからである。

 そんな「決まり事」はどこにもない。つまらなければ、拍手をしなくても一向に構わない。
 「ブラボー」なんて叫ぶ人も多いが、大抵は単なる目立ちたがり屋である。人間、本当に感激したら、しばらく声などでないものである。

 そんなことはどうでも良いし、幻想交響曲が作曲された背景とか、自分で書いておいて何だが、ベルリオーズの生涯について勉強する必要などさらさらない。ただ聴けばよい。

 幻想交響曲のようなフルオーケストラの迫力は、再生機器を通しては絶対に分からない。これこそ、身体で聴く音楽である。

 第4楽章、第5楽章(終楽章)のフォルティッシモを聴く快感は、電気的に増幅された「大きな音」を聴くのとは、全く異質のものである。

 咆哮する金管セクション、炸裂するパーカッション(打楽器)、地の底から響いてくるようなティンパニ・・・。

 ある時、私がN響の「幻想」を聴きに行ったときに、どこかの高校生達が、課外授業(音楽鑑賞)で大勢来ていた。

 最初はつまらなそうな顔をしていたが、第4楽章のマーチが終わったところで、あまりの迫力にすっかり興奮してざわめきだし、第5楽章の演奏開始がしばらく遅れたのを覚えている。

 私は、その時、少しも嫌な気がしなかった。高校生諸君の素直な感受性が嬉しかった。

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「年内の牛肉輸入再開に期待 町村外相」←町村さん、精神鑑定を受けた方が・・・・。

◆記事1:年内の牛肉輸入再開に期待 町村外相

 【ワシントン28日共同】訪米中の町村信孝外相は28日、ワシントン市内のホテルで、記者団に対し、米国産牛肉の輸入再開問題について「年内には再開できるのではないかという見通しは持っている」と述べ、解決に期待感を示した。

 外相は「率直に言って時間がかかりすぎている」と指摘。日本の対応の遅れを認めた上で、31日に予定される食品安全委員会の審議で「出口が見えてくるのではないか」と語った。

(共同通信) - 10月29日1時21分更新


◆記事2:ここ数ヶ月のBSE関連記事より。

 ◆米農務次官、牛肉問題で衆院調査団を「どう喝」 (2005年6月21日)(日経)

 【ワシントン=吉田透】米国のBSE(牛海綿状脳症)対策を調べるため訪米中の衆院調査団は21日、ペン米農務次官ら農務省幹部と会談した。ペン次官は米国産牛肉の輸入再開を強く迫るとともに、この問題がこじれると日米関係全般に悪影響が出ると警告した。調査団長の山岡賢次議員は会談後の記者会見で「まるでどう喝するような口ぶりだった」と強い不快感を示した。

◆米農務省、2頭目のBSE感染牛を確認・国内産の公算 (2005年6月24日)

 【ワシントン=吉田透】ジョハンズ米農務長官は24日、米国で2例目となるBSE(牛海綿状脳症)の感染牛を確認したと発表した。2003年12月に確認された1頭目はカナダからの輸入牛だったが、今回の牛は国内で生まれ、飼育された公算が大きいという。同長官は「米国牛肉は安全だ」と国内外に呼び掛けたが、日本の米牛肉輸入再開問題に影響を及ぼしそうだ。

 確認検査を委託していた英政府研究所から同日、感染していたという報告があった。牛の出生地や飼育地については確定するまで公表しないとしている。ただ、ジョハンズ長官はこの牛が非常に年老いており、1997年のBSE飼料規制導入前に感染した可能性が高いと指摘。日本の米牛肉輸入再開の審議には影響は出ないと強調した。

◆ヤコブ病で5人相次ぎ死亡 米、BSEと関係なし(共同通信) - 8月13日13時22分更新

 【ロサンゼルス12日共同】米アイダホ州でクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の症例が今年2月以降に計6件発生、5人が死亡していることが12日分かった。ロイター通信が伝えた。
 牛海綿状脳症(BSE)とは別の種別で、州当局は狂牛病と関係はないとみている。しかし、100万人に1例の発症率といわれるCJDが人口200万人に満たない同州で相次いだことを受け、米疾病対策センター(CDC)と州政府は原因調査を始めた。 米国では年間に300前後の症例が見つかっており、1988-92年にはニュージャージー州の競馬場の労働者ら13人がCJDで死亡した。

◆米BSE対策で手続き違反1000件以上・農務省発表 (2005年8月16日 日経)

 【ワシントン=吉田透】米農務省は15日、BSE(牛海綿状脳症)のまん延防止策の一環として実施している脳や脊髄(せきずい)など特定危険部位(SRM)の除去について、今年5月までの1年半の期間に手続き違反が全米で1036件も見つかったと発表した。

 SRMの除去は日本が米国産牛肉の輸入再開の条件として徹底を求めている柱の一つ。これだけの規模での手続き違反が見つかったことで、日本の食品安全委員会による輸入再開の是非の検討にも影響するとみられる。米国では2003年12月に初のBSE感染牛が見つかったのを受け、月齢30カ月超の牛についてSRMの除去を畜産業者や食肉処理業者に義務づけた。

 米農務省は手続き違反が見つかったのは、食肉処理場で処理された牛の1%未満にすぎず、食品安全上の問題もないとしている。

 しかし農務省が定めた規則が食肉処理場で徹底されていない状況は、全米の食肉検査官でつくる労働組合なども以前から告発していた。

 農務省はこうした問題の存在をこれまで認めないでいたが、今回実態が初めて明るみに出た格好だ。 (13:36)

◆米側に詳細情報求める BSE対策違反で日本側 (共同通信) - 8月16日19時2分更新

 農水省と厚生労働省は16日、米政府が牛海綿状脳症(BSE)対策として食肉処理業者に義務付けた特定危険部位の除去の規制で1000件を超える違反が明らかになったことに絡んで、米側に詳細な情報提供を求める方針を固めた。

 脳や脊髄(せきずい)などの特定危険部位の除去は米国産牛肉の輸入再開条件の大きな柱。日本国内には米国内の特定危険部位の除去の確実性などについて不安視する声も根強く、大詰めを迎えている食品安全委員会プリオン専門調査会での輸入再開論議にも影響が出そうだ。

◆感染経路解明できず 米で2例目のBSE牛(共同通信) - 8月31日8時20分更新

 【ワシントン30日共同】米農務省は30日、米国で2例目の牛海綿状脳症(BSE)感染が6月に確認された牛について、肉骨粉を含んだ飼料を禁じた1997年以前に感染した可能性が「最もありそうだ」とする調査結果を発表した。ただ具体的な感染経路は解明できず、食肉管理システムの不備をあらためて裏付けた。

 同省によると、この牛がいた農場では90年以降、9つの工場で製造された21種類の餌が使用されたが、97年以降は禁止飼料が含まれていなかったことが確認できたという。

 同じ群れで飼育された67頭はいずれも「シロ」だったが、かつて同じ農場にいた200頭は既に食肉処理されたり、居場所が把握できないケースが多く、感染の有無を確認できなかった。

 2例目の感染牛はテキサス州産で、昨年11月の処分時点で約12歳だった。

◆「米のBSE汚染度高い」 プリオン調査会が評価案 (共同通信) - 9月12日17時36分更新

 米国とカナダ産牛肉の輸入再開に向け、安全性評価を進めている食品安全委員会プリオン専門調査会(座長・吉川泰弘東大教授)が12日開かれ、吉川座長が米国の牛海綿状脳症(BSE)汚染度は飼料規制の不備などから日本より高いなどとする評価案の「たたき台」を提示した。

 調査会では今後、米国の牛にどれくらいBSE汚染が広がっているかの推計を基に、日本への輸入対象となる生後20カ月以下で脳や脊髄(せきずい)などの危険部位を取り除いた牛肉の安全性について日本との比較を進める。


◆記事3:国内の反応。<米国産牛肉輸入>再開反対で集会 都内で消費者連盟など
 

 米国産牛肉の輸入が年内にも再開される問題で、日本消費者連盟など11団体は27日午前、輸入解禁に反対する集会を東京都内で開いた。国の食品安全委員会と厚生労働省、農林水産省に対し、全頭検査を含むBSE(牛海綿状脳症)対策の継続や、米国産牛肉の安易なリスク評価をしないことを求める要請書を採択した。(毎日新聞) - 10月27日15時22分更新


◆コメント:小泉首相と全閣僚、厚生労働省全職員は毎日、1日3回、米国産牛肉を食べ続けてくださいね?安全なんでしょ?

 

 「日本は滅びる。」と晩年の司馬遼太郎さんは、毎日、うわごとのように呟いていたとみどり夫人が話していたのを何度もテレビで見た。

 非常に鮮明に記憶している。

 国民の健康・生命を軽んずる政府を国民がよろこんで支持する(衆院選で与党が圧勝したということは、そういうことですよね?)ような国は、確かに、滅びてもおかしくない。



 記事2で羅列した記事にざっと目を通せば、米国の「米国産牛肉は安全だ」という主張に何の合理的根拠が無いことは明らか。

 特に、異常タンパク質プリオンが蓄積しやすい、特定危険部位の除去すら、アメリカ人はきちんと実行していなかったこと。米国農務省はそれを認識していながら放置していたことが明らかになった。

 今後、米国が、急に厳格に特定危険部位除去を実行するとは思えない。何せ、監督官庁が知っていながら黙認していた国なのだ。アメリカ合衆国は。

 そういう肉を輸入するのだそうだ。

 日本のブリオン委員会も、誠に情けない。9月12日のステートメントでは、「米のBSE汚染度高い」と明言している。

 僅か一ヶ月で、急に「輸入再開しても大丈夫」という結論に変化した合理的根拠を示せ。出来るわけがない。全ては小泉の鶴の一声で決まったのだろう。


◆率先垂範。

 

 アメリカ産牛肉の輸入を再開したら、小泉首相、内閣の全閣僚、厚生労働省の全ての職員は、毎日役所の昼飯でアメリカ産牛肉で作った、牛丼、ビーフカレー、ビーフシチューなどを食べて貰いましょう。

 1日も欠かさず、毎日、アメリカ牛肉を食べてください。 

 昼食だけじゃ甘いな。これからずっと朝昼晩と、アメリカ産牛肉を食べて自らその「安全性」を示していただきたい。


◆1980年~1996年の間に1日でも英国に滞在した者は、献血できないという通達があるのですが?

 

 厚生労働省のサイトに1980年から1996年の間に英国に1日以上滞在された方からの献血見合わせ措置に関するQ&Aというページがある。 今年の5月31日、厚生労働省は、そういう通達を出したのだ。

 1980年~1996年の間に、一度でも英国産の牛肉を食べた人間は、クロイツフェルト・ヤコブ病に既に感染して潜伏期にあるかも知れない。と日本国は考えているのである。

 ただの一度でもBSEに感染した肉を食ったら、危険だといっていながら、気が遠くなるぐらいずさんな食肉管理をしているアメリカの牛肉を、政治的駆け引きから簡単に輸入再開し、国民に食わせようとしているのだ。

 小泉政権は。国民の健康・生命がどうなろうが知ったことではないのである。

 小泉君、せめてあんたもアメリカの牛肉を食えよな。

 大丈夫だよ。大抵、潜伏期が長いから、たとえ、クロイツフェルト・ヤコブ病に感染しても、発病前に寿命が来て、死ぬよ。

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2005.10.29

「ATM盗撮:UFJは『勉強が足らない』」 村田公安委員長←検挙率は?

◆記事1:ATM盗撮:UFJは「勉強が足らない」 村田公安委員長 (毎日新聞)

 UFJ銀行のATM(現金自動受払機)に隠しカメラが設置された事件について、村田吉隆国家公安委員長は25日の閣議後の会見で「隠しカメラが設置できるような余分な箱をATMにつけて、犯罪を招くようなことをするとは、勉強が足らない」と、UFJの犯罪対策への姿勢を批判した。

 村田委員長は「各銀行、協会を含め、諸外国や新手の犯罪など情報を集め、しっかり研究すべきだ」と指摘。箱の設置について「まったく信じられない」と述べた。

 UFJ銀行では9月上旬以降、首都圏の十数カ所のATMコーナーで、隠しカメラが設置もしくは設置された形跡があったことが判明。いずれもATM上部につけられたカードローンの広告チラシを入れるための箱の内部に隠しカメラが仕込まれていた。 2005年10月25日 13時47分 (最終更新時間 10月25日 15時57分)


◆記事2:サイバー犯罪の検挙数は5割増、相談件数は5万件超 - 警察庁 (Scan)

 警察庁によれば、今年上半期におけるサイバー犯罪の検挙数は、昨年と比べると50%以上増加して1,612件になった。

特に不正アクセス禁止法違反での検挙が前年同期比で3倍に増加するなど、検挙数は増加の一途をたどっている。

各都道府県警察などに寄せられたサイバー犯罪に関する相談件数も同約1.5倍に増え、5万件を超えた。

検挙数では、不正アクセス禁止法違反が最も増加率が高く、200%増の198件と、上半期の時点で昨年1年間の検挙数142件を超えた。

不正アクセスでは、5月に京都で元学生が、6月に警視庁にフィッシング(取得)したうえ不正アクセスをした会社員が捕まっているほか、同じく6月には旅行会社などへの不正アクセスで、計52万件の個人情報を取得したとして大学生が逮捕されている。

インターネット上の詐欺や児童売春、著作権法違反といったネットワーク利用犯罪は、相変わらずサイバー犯罪のうちの多数を占めており、

上半期は全サイバー犯罪の86.3%を占める1,391件、前年同期から400件以上増加した。

ネットオークション詐欺・悪質商法などの詐欺行為が同約172%増の672件と最も多く、児童ポルノに関連した犯罪では倍以上の検挙数(68件)、青少年保護育成条例違反は同40%以上増加の114件となった。

著作権法違反、児童売春はそれぞれ検挙数が減った。

警察などに届けられた相談件数は、上半期だけで5万479件と増加の一途をたどっている。

前年同期比では53%・1万7千件以上の増加で、このままのペースで行けば昨年1年間の7万件強を超える勢いだ。

最も多いのが詐欺・悪質商法について。身に覚えのない有料サイトの利用料金の請求やワンクリック詐欺などが代表だ。昨年同期の2倍近い、3万件弱の相談が寄せられた。ネットオークション関連では同18%増の8,722件だった。

不正アクセスとウイルスに関する相談も2倍近い伸びを示し、昨年1年間の相談件数とほぼ同数となる2千件強の相談が、上半期だけで寄せられた。

名誉棄損や誹謗中傷などについては5割増、違法・有害情報に関しては2割強の伸びだったが、迷惑メールに関しては83件増と微増だった。(2005/8/19)


◆コメント:一番悪いのは、「犯人」に決まっている。

 

 村田国家公安委員長の言い分は、論理が飛躍している上に、警察のだらしなさを誤魔化している。

 論理が飛躍しているというのは、人のカネを盗んだ奴がまず一番悪いという認識を明らかにしないで、いきなり銀行の責任を名指しで批判していることである。

 確かに、銀行は預金者から信用を供与されている、つまり、預金者からカネを「借りている」のであり、それを普通「預金」といい、これが不正に引き出されることの無いように十分注意を払う義務があることなど、銀行だって分かっているだろう。だから、ATMに生体認証なんて言う話もでるわけだ。

 生体認証なんて、一昔前なら、アメリカの核ミサイル発射施設とか、伝染病研究所などの超高度機密施設における本人確認に使われていた技術で、それがなんと日本の町中で、銀行のATMに使われる日が来ようとは、誰も想像すらしなかった。

 どうしてこうなったかと言えば、悪い奴が増え、しかも「頭の良い、悪い奴」が増えて犯罪技術が高度化しているからである。

 誰が一番悪いのかといえば、自分は働かないで、他人様が一生懸命に働いて貯めて銀行に預けた金を盗んで食って、遊んで暮らそうという奴らに決まっていて、悪い奴を捕まえるのは警察の仕事である。


◆警察の統計は狡い。「検挙件数が増えた」といい、「検挙率」は明らかにしない。

 

 記事2は、コンピューター関連ニュースを扱うサイトからの引用だが、警察庁のサイトを見ても、今年上半期のサイバー犯罪検挙「件数」が前年同期比の1.5倍である、と「手柄」を強調している。

 ところが、記事2の中頃にあるように、サイバー犯罪の相談件数は今年上半期で5万件もあり、一方、検挙数は1,612件である。

 勿論、警察に持ち込まれた「相談事例」5万件の全てが本当に犯罪に該当するのか、或いは検挙出来る性質のものかは不明であるから、単純にこの記事から検挙率を計算することは出来ないが、不審に思えるのは、警察自身が「検挙率」を発表しないことである。

 発表しているのは、繰り返すが、「検挙件数」だけである。

 警察が本当に「サイバー犯罪」と認識する行為が何件あったのか、を示さないと検挙率が分からない。検挙数が1612件と言われてもそれだけでは評価出来ない。

 検挙率を発表しないと、都合の悪いことは発表しない、という役人の性質(というか、人間の一般的性質)に鑑み、実際はおどろくほど、検挙できていないのではないか、という疑いを抱かざるを得ない。

 犯人が一番悪い。金融機関も常に犯罪動向に注意するべきだ。

 しかし、犯人を捕まえるのが仕事である警察が、大量の犯人を捕まえることが出来ていないのだとしたら、責任をどう取るつもりなのか、村田国家公安委員長の説明を聞きたい。

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2005.10.28

「日本音コン:ホルン本選会、大野雄太さんが1位」←プロが毎コン受けるのは立派ですよ。

◆記事:日本音コン:ホルン本選会、大野雄太さんが1位(毎日新聞 2005年10月19日 東京朝刊)

 

 第74回日本音楽コンクール(毎日新聞社、NHK共催、特別協賛・三井物産)の本選会シリーズ4日目の18日は、東京オペラシティでホルン部門の本選が行われた。

 128人の応募から2度の予選を通過した6人がR・シュトラウスのホルン協奏曲第2番を競演。

 守山光三ら11氏による審査の結果、豊かでクリアな音を聞かせた大野雄太さん(26)=新日本フィル団員=が第1位に選ばれた。【梅津時比古】

 他の入賞・入選者は次の通り。(入選は演奏順、敬称略)

 ▽第2位 福川伸陽(24)=日本フィル団員

 ▽第3位 松坂隼(22)=東京芸大2年

 ▽入選 木山明子(28)=京都市立芸大卒、岸上穣(20)=東京芸大2年、岩佐朋彦(26)=ハンガリー国立リスト音楽院修了

 ▽岩谷賞(聴衆賞) 大野雄太


◆コメント:プロが1位、2位というのは当然なようで大変立派。

 

 ショパンコンクールに音楽ファンの興味が集中してしまったが、日本で最高に権威のあるコンクール、通称毎コンホルン部門の本選が、10月18日に行われ、今年はなんと1位と2位が現役のプロのオーケストラプレーヤーだった。

 これは、当然のようで、大変勇気がいるし、条件的にも厳しかった筈で、大健闘である。

 勇気がいる、というのは、学生ならば、最近はもの凄く上手くなっているが、何せ「学生」だから、まだ音楽的・技術的に未熟な面が発見されても、「修行中の身」であるという、エクスキューズが可能である。

 これに対して、プロは既にカネを取って演奏を聴かせる人なのだから、上手くて当たり前。 「プロ」がコンクールに出て、学生よりも下位になったら、面目丸つぶれなのだ。 

 そのリスクを覚悟で大野さんと2位の福川さんは毎コン出場を決意し、見事プロたる所以を証明したのだから、立派だ。

 さらに付け加えるならば、学生ならば、「毎コンを受ける」となったら、そのための練習を最優先させることを学校も了承してくれるので、一日中でもコンクールの課題曲をさらっていればよいが、プロはそうはいかない。

「毎コンを受けるので、半年、仕事を休ませてください」とは言えない。

 管楽器は弦と異なり、一人で1パートを吹く上に、ホルンは必ず出るから休みはなかなか取れない。

 オーケストラのコンサートにおけるホルンパートも、何度も経験済みの「新世界」などばかりやっているわけではない。

 仕事の曲の練習もしながら、コンクール課題曲をさらわなければならぬ。これは大変である。 だから、プロの二人の一位、二位には、千金の重みがある。


◆リヒャルト・シュトラウスのホルン協奏曲。

 

 ホルン協奏曲といって、まず、クラシック好きが思い浮かべるのはモーツァルトの4つの協奏曲である。

 文句なしの名曲だが、今は技術水準が高いので、むしろオーケストラのオーディションの課題曲になる。

 プロは勿論、プロを目指す者なら、吹けて当たり前なのだ。本当はモーツァルトが音楽的には最も洗練されているのだが、コンクールでは、「どれぐらい高度な技術を身につけているか」をも審査しなければならない。

 そのためには純粋に演奏上のテクニックという点では、モーツァルトよりずっと難しいリヒャルト・シュトラウスのホルン協奏曲が必ずといっていいほど、課題曲になる。

 リヒャルトシュトラウスといえば、交響詩。「英雄の生涯」「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」「ツァラトゥストラはかく語りき」など。オペラも書いてますがね。「アルプス交響曲」ってのもあるな(私は余り好きではないが)。

 しかし、何と言ってもまず交響詩なのだ。そういう人が何故、ホルン協奏曲を書いたのかといえば、オヤジさんが、ホルン吹きだったからである。子どもの頃から最も身近な楽器だったのだ。

 「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」という曲では、曲が始まってすぐに、超有名なホルンソロがある。

 かなりの高音域から、超低音域(ホルンは音域が広い)へ、ジャンプしてゆく難しいソロである。だから、ホルン吹きは、何かというと口慣らし、音出しのときにこのソロを吹く。世界中共通の現象である。

 ホルン協奏曲第1番はR・シュトラウスが19歳の時。そして、今回課題曲になった第2番はなんと60年後、最晩年78歳で書いている。

 私はそれを思うと、じんと胸にせまるものがある。 人生の最晩年にもう一度ホルン協奏曲を書いた。

 リヒャルトシュトラウスにとって、ホルンは親父さんの思い出を伴う、大事な楽器だったのだろう。

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2005.10.27

靖国問題で政府答弁書決定 「戦犯」は存在せず 公式参拝であっても合憲←「戦犯」云々をわざわざ「閣議決定」する必然性が認められない

◆記事:靖国問題で政府答弁書決定 「戦犯」は存在せず 公式参拝であっても合憲

 

 政府は二十五日の閣議で、さきの大戦後、連合国によって「戦犯」とされた軍人・軍属らが死刑や禁固刑などを受けたことについて、国内法上は戦犯は存在しないとの見解を明確にした答弁書を決定した。

 首相の靖国神社参拝に関しては「公式参拝」であっても、宗教上の目的ではないことが外観上も明らかな場合には、憲法に抵触しないとの見解を改めて示した。

 いずれも民主党の野田佳彦国対委員長の質問主意書に答えた。

 答弁書は「(極東国際軍事裁判所やその他の連合国戦争犯罪法廷が科した)刑は、わが国の国内法に基づいて言い渡された刑ではない」と指摘。

 A、B、C各級の「戦犯」は、国内では戦争犯罪人とはいえないことを明確にした。

 この問題で自民党の森岡正宏厚生労働政務官(当時)は今年五月、「(戦犯とされた人々は)罪を償っており、日本国内ではもう罪人ではない」と発言したが、細田博之官房長官は「政府見解と大いに異なっているので論評する必要もない」と述べていた。

 また、答弁書は首相の靖国参拝に関し、「戦没者の追悼を目的とする参拝であることを公にするとともに、神道儀式によることなく、宗教上の目的によるものでないことが外観上も明らかである場合は、憲法二〇条三項の禁じる国の宗教的活動に当たることはない」との見解を改めて表明した。

 靖国参拝について藤波孝生官房長官(当時)は昭和六十年、「首相、閣僚が国務大臣としての資格で戦没者の追悼を目的として、靖国神社の本殿、社頭で一礼する方式で参拝することは、憲法の規定に違反する疑いはない」との政府統一見解を発表している。

 首相の靖国参拝をめぐっては、大阪高裁が拘束力を持たない「傍論」で靖国参拝を「公的行為」と認定。憲法の禁止する宗教的活動に当たるとしたが、政府見解はこれを真っ向から否定した。(産経新聞) - 10月26日2時47分更新


◆コメント:「戦争犯罪人」は戦勝国から見た概念であるから、国内法上「戦犯」が無いのは当たり前。

 

 戦犯とは東京裁判で、「人道に対する罪」「平和に対する罪」を侵したとされた人々のことである。元々連合国側が勝手に貼ったレッテルですから、国内法上「戦犯の概念」が存在しないのは当然です。


◆靖国参拝が違憲とされるのはまず、国の宗教的活動を禁じた、20条3項に反するからです。

 

 冒頭の記事は、戦犯の話と、同時にまた、靖国参拝が宗教色がなければ合憲だという二点に関した話が載っています。第二点目について。

 昨日の日記で引用したとおり、政府は、昨日の閣議で

「首相の靖国神社参拝に関し、追悼目的であることを公にし「2礼2拍手1礼」など神道の儀式を踏まなければ、公式参拝であっても憲法に抵触しないとする答弁書を閣議決定

したとのこと。

 冒頭記事の二点目は、昨日と同じ事を繰り返しているだけなので、私のコメントも変りません。

 内閣が内閣自身の行為の合憲性を「閣議決定する」権限は無いのです。宗教性の有無も含め、その判断は司法に委ねられるべきです。

◆「戦犯」が国内法上存在しない、ということをわざわざ喧伝する必然性が認められない。

 日本国憲法をはじめ、日本の国内法には、「戦争犯罪」という文言(もんごん)は一カ所もありません。

それはそうなのだが、そのことを閣議決定すれば、世界に報道されます。 そのことに、何らかのメリットがあるとは思えません。


◆「サンフランシスコ講和条約に今更ケチを付ける気か?」と受け取られかねない。

 

 サンフランシスコ講和条約は、原語で "Treaty of Peace with Japan"(日本国との平和条約)といいます。

 1952年4月28日に発効(法的効力を持つ)しました。それまで、この条約に調印した国々と日本は、国際法上はまだ戦争状態にあったのです。

 この条約はその状態はもう終わりにしましょう、という条約です。 サンフランシスコ講和条約の最初の条文は、こうなっている。

 

「日本国と各連合国との間戦争状態は、第二十三条の定めるところによりこの条約が日本国と当該連合国との間に効力を生ずる日に終了する。」

 つまり、「日本がこれに調印すれば、他の条約締結国と、日本との「戦争状態」は終わりにしようと、いうことですね。
 その代わり、戦争中、日本の武力攻撃により、迷惑している国もあるから、日本もこの条約で定める条件、謂わば「交換条件」を受け入れろ、ということです。

日本でしばしば物議をかもすのは、11条です。

第11条 日本国は、極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾し、且つ、日本国で拘禁されている日本国民にこれらの法廷が課した刑を執行するものとする。これらの拘禁されている者を赦免し、減刑し、及び仮出獄させる権限は、各事件について刑を課した一又は二以上の政府の決定及び日本国の勧告に基くの外、行使することができない。極東国際軍事裁判所が刑を宣告した者については、この権限は、裁判所に代表者を出した政府の過半数の決定及び日本国の勧告に基くの外、行使することができない。

 ここで、「戦争犯罪」という文言が使われています。

11条は日本に対して、日本は戦争犯罪を犯したことを認めなさい。と。東京裁判の判決を受け入れると云いなさいと要求している。

 これが先ほど述べた、日本の国際社会への復帰のための「交換条件」の一つなわけです。


◆兎にも角にも、それに対して、日本は「わかりました」と応じたのです。

  

 応じるとは、「サンフランシスコ講和条約に調印すること」(正しくはその後批准すること)です。そして、日本はやむを得ないということで、調印しました。

  国内法に戦犯に関する規程が無いのは、間違いではありません。

  また、東京裁判の国際法的有効性に対する疑問は、靖国神社は何故問題になるのか「入門編」で書いたとおり、私は十二分に承知しています。

  しかし、兎にも角にも、国際法的には「戦争犯罪人」の存在を日本は認めているのです。それがサンフランシスコ講和条約を締結した、ということなのです。


◆「国内法上」とはいうものの、誤解を招きやすい閣議決定をわざわざしなくてよい。

 

 「国内法上」と但し書き(法律用語の「但書」の意味で使っているのではない)を付けているとはいえ、「戦争犯罪人はいない」という公式のコメントを日本国が発するということは、

 下手をすると、サンフランシスコ講和条約の東京裁判に関する第11条に抗議しようとしていると受け取られかねない。

 非常にミスリーディング(誤解を招くような)なステートメントです。

  戦後、国際社会における立場が弱いときには、おとなしく条約を受け入れておいて、それから、53年が経ち、世界第2位の経済大国で世界第3位の軍事大国になって、いきなりこのような閣議決定を発表しなければならない、必然性が認められません。

 あたかも、日本国が「あの、サンフランシスコ講和条約の11条はおかしいのではないか?」と文句を付けようとしているかのごとき「印象」を他の条約締結国に与える可能性は十分にあり、それは、日本に取って何のメリットもない。

  こういう「余計な」閣議決定はするべきでも、発表するべきでもありません。

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2005.10.26

「小泉首相の公式参拝、憲法違反でない-政府答弁書」←自分で「違憲だ」というわけがない。

◆記事:小泉首相の公式参拝、憲法違反でない=中曽根内閣の見解踏襲-政府答弁書

 

 政府は25日午前の閣議で、首相の靖国神社参拝に関し、追悼目的であることを公にし「2礼2拍手1礼」など神道の儀式を踏まなければ、公式参拝であっても憲法に抵触しないとする答弁書を閣議決定した。

 今回の答弁書は、中曽根康弘首相(当時)が1985年8月に公式参拝に踏み切った際の政府見解を踏襲しており、同内容の答弁書を01年5月にも閣議決定している。(時事通信) - 10月25日13時0分更新


◆コメント:内閣総理大臣の行動を内閣が合憲だというのは当たり前で、何の意味もない。

 

  あーあ、馬鹿馬鹿しい。 内閣総理大臣の行為が合憲か違憲かと内閣に訊いたら、「合憲」と言うに決まっているだろう。

 「違憲だと思いながら参拝している」と答えるわけがない。


◆閣議決定とは何か。

 

 閣議決定とは、本来、「内閣の権限事項を閣議(総理大臣と大臣が毎週火曜と金曜の朝におこなうミーティング)で決定すること」なのです。

 内閣の権限事項とは何か。

 日本国憲法で決まっているのです。

 憲法のはじめのほうからいくと、

 天皇の国事行為に助言と承認を与えること。(憲法第7条)

 一般行政事務を行うこと。

 その他の大事な仕事は憲法第73条に書いてあります。

 第七十三条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。

 


  1. 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。

  2.  外交関係を処理すること。

  3.  条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。

  4.  法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。

  5.  予算を作成して国会に提出すること。

  6.  この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。

  7.  大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。




  これを読めば分かるとおり内閣は、内閣、または、内閣総理大臣の行為の合憲性を自分で決める権限を付与されていません。

 ある法律とか、命令・規則・処分が、憲法に違反していないかどうかを判断することは、内閣の権限事項ではありません。

 それは、司法の仕事です。
 内閣の権限事項でないことを、閣議決定しては、いけません。三権分立、この場合司法の独立を侵します。


◆司法の判断を尊重しなければ、三権分立の意味が無いでしょ?

 

 裁判所は「憲法の番人」だ、などと、中学か高校で習ったでしょう?政治家の先生方?

 

日本国憲法 第八十一条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

 終審裁判所、つまり、最終的に合憲か違憲かの判断をするのは最高裁判所です。

 勿論、下級審(地方裁判所、高等裁判所)も、ある行為や法律・命令などが合憲か違憲か述べて良いのです。

 但し、裁判所の頂点は最高裁ですから、当然、合憲・違憲を「最終的に」判断するのは最高裁ですよ、と言っているわけです。

 そういう統治構造になっているのですから、行政府が行政府自身の行為を「合憲だ」と言っても、内閣の権限を逸脱しています。

 何度も書きますが、内閣が自分たちの行為が違憲だというわけが無いじゃなですか?


◆今までの参拝は違憲だったと言っているようなものです。

 

 記事をもう一度、読んでみると、9月30日の大阪高裁の判決(判決主文とは云っていませんよ。)の中の次の部分に反応したのがほぼ明らかです。

 靖国に参拝しても行為の宗教性が無ければ合憲だ、といっているのですから。

 大阪高裁の判決より。

 「本件各参拝は、宗教団体である靖国神社の備える礼拝施設である靖国神社の本殿において、祭神に対し、拝礼することにより、畏敬(いけい)崇拝の気持ちを表したものであって、客観的に見て極めて宗教的意義の深い行為というべきである。」

  これに対して、今日の「閣議決定」(くどいようですが、本来「閣議決定」出来ることではないのですが、質問があったから答弁書を作る上で「閣議決定」せざるを得なかったのでしょうが)で具体的に、

 「追悼目的であることを公にし「2礼2拍手1礼」など神道の儀式を踏まなければ、公式参拝であっても憲法に抵触しない」

 言い回しに注意しましょう。 「神道の儀式を踏まなければ」、といっている。

 うっかりそう云ってしまったのでしょうが、裏返せば、「今までの、『神道の儀式を踏んだ』参拝は宗教的行為だった」と認めているに等しい。

 屁理屈ではなくて、小泉内閣の本音がポロリと出ているとおもいます。

 いずれにせよ、憲法に違反しているかいないかを決定するのは司法の仕事で、司法が「違憲だ」といっているわけです。

 行政府がそれを無視して、「自分たちが合憲というのだから、合憲だ」と押し切ってしまっては、三権分立の意味がないのです。

 司法の見解は真摯に受け止めるべきではないでしょうか。

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2005.10.25

<プリオン調査会>米産牛肉 年内にも輸入再開の見通し←冗談じゃないよ。

◆記事:<プリオン調査会>米産牛肉 年内にも輸入再開の見通し

 

 BSE(牛海綿状脳症)の発生で輸入が禁止されている米国産とカナダ産牛肉の安全性を審議している食品安全委員会のプリオン専門調査会(吉川泰弘座長)は24日、

生後20カ月以下の若齢牛に限定し、脳やせき髄などの特定危険部位を除去するなどの条件が順守されれば、日本産牛肉と比べ「リスクの差は非常に小さい」とする答申の原案を提示した。

 最終的な結論は次回以降に出されるが、農林水産省と厚生労働省は、これまでの審議の内容から輸入再開の根拠にできる答申が出る可能性が高いとみており、年内にも輸入が再開される見通しになった。

 24日の会合では、特定危険部位の除去について「米国・カナダの食肉処理場での実態は不明」として、輸入再開に慎重な意見も出た。

 しかし、終了後、吉川座長は「(委員の間で)大きな評価のズレは感じていない」と述べた。

 政府は、食品安全委の答申で、米国・カナダ産牛肉の安全性について、国産牛肉との「同等性」に直接言及していなくても、「差が非常に小さい」とする結論なら輸入再開は可能だと判断するとみられる。同調査会が答申案をまとめ、食品安全委が4週間程度の意見募集を経て正式に答申を出せば、直ちに輸入再開手続きに入る見込みだ。

 米国とカナダは、日本向けの牛肉の輸出条件として、

(1)脳など特定危険部位の除去

(2)生後20カ月以下であることの証明――が義務づけられると表明している。

 これを受けて、対日輸入が再開された場合、日本政府は米国とカナダに専門家を派遣し、条件が守られているかどうかを現場で査察する方針だ。

 プリオン専門調査会の原案でも、米国・カナダが対日輸出条件を順守することが重要だと強調。

 そのうえで、輸入再開されても、順守が不十分なら再び輸入を停止すべきだと指摘している。(毎日新聞) - 10月24日23時24分更新


◆コメント:気は確かですか?

 

 ほとほと、嫌になる。ダメな物はだめだ。

 プリオン調査会のメンバーは一体、今まで何のために学問をしてきたのだ?

 この国は、アメリカから輸入していた「血液製剤」という人間の血液から作った薬が、一部、エイズウィルスや肝炎のウィルスに汚染されているかも知れないこと。

 それを使用した患者が、エイズや肝炎に感染する可能性が極めて高いことを認識していたにもかかわらず、国内での使用を許可した、という前科がある。

 国民の生命よりも、当時の厚生省の役人の天下り先としてのミドリ十字という薬屋を確保しておくことを優先した、ということである。


◆コメント2:全く同じ事を繰り返そうとしている。

 

 異常タンパク質プリオンが原因で発生する病気をブリオン病といいます。

 それが、牛で発生すれば、BSE(bovine spongiform encephalopathy:牛海綿状脳症{うしかいめんじょうのうしょう}といい、人間で発生すればクロイツフェルト・ヤコブ病というのです。

 クロイツフェルト・ヤコブ病の治療法は無いそうです。つまり、(潜伏期間がかなり長いとは言え)、一旦発病したら死ぬのを待つしかない。

 BSEが発見されたのは1986年ですが、その後かなり長い間、BSEに感染した牛の肉を食べても、人間には感染しない、つまり、クロイツフェルト・ヤコブ病の原因にはならない、と考えられてきたのです。

 しかし、1996年、牛のBSEが人間にも感染するのではないかと考えられるようになったのです。

 そのいきさつは今年の2月4日に書いたので、ご参照下さい。


◆コメント3:その他にも何度も書いたのですが、絶対危険です。

 

 私が過去に米国産牛肉輸入再開反対の旨をかいた文章の見出し一覧がありますので、是非ご高覧下さい。

 それらを読んでいただくと分かるけれども、 アメリカの主張は無茶なのです。

 アメリカは「生後20歳未満の牛がBSEに感染していた例は、過去にないのだから、20ヶ月以下の牛肉に限定すれば、日本は輸入を拒否する理由がないだろう」という理由でごり押ししてきます。


 

 ◆コメント4:ダメな理由1:20ヶ月以下の牛肉が安全であると証明されたわけではない。

 たまたま、今まで世界で生後20ヶ月未満の牛がBSEに感染していたことは無いから、というのが、「20ヶ月未満牛肉安全論」の唯一の根拠です。

 全然科学的じゃないことは、素人だってわかる。

 今年3月28日に書きましたが、日本では2003年11月4日に生後21ヶ月でのBSE感染例が確認されている

 21ヶ月は感染する可能性があるが、19ヶ月、18ヶ月の牛がBSEに感染する可能性は無い。という科学的根拠は無い。

 20ヶ月未満が安全というのは、統計からの楽観的推論に過ぎないのです。


◆コメント5:ダメな理由2:アメリカの牛は正確な月齢が分からない。
 

 日本人は几帳面だから、酪農家は牛一頭ずつ、いつ生まれたか記録していますが、驚くべき事に、アメリカでは記録していない。

 だから、生後20ヶ月未満かどうかは肉質から推定しているだけなのです。


◆結論:米国産牛肉(カナダも同様)はBSEに感染している物が混入している可能性が高く、輸入再開の必然性が認められない。

 

 今まで書いたことからも明らかであるが、アメリカ産の牛肉がBSEに感染している可能性が低いと断定するに十分な根拠は存在しない。

 また、一口に「牛肉」といっても、日本はアメリカから牛肉の加工製品も輸入している。 加工製品に20ヶ月以上の牛の肉を使われたら、判別することが出来ない。

 BSEに感染している牛肉を食べれば、クロイツフェルト・ヤコブ病を発症する可能性が有る。

 クロイツフェルト・ヤコブ病には、今のところ治療法が無い。

 よって、米国産牛肉の輸入を再開して、日本国民にこれを食べろというのは、日米両政府ともに、日本国民にたいする殺人の未必の故意がある、ということになる。

 こんなことが許されて良いわけがない。

 以上の理由により、米国産牛肉輸入再開は国家による犯罪と言っても過言ではなく、到底認められない。

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2005.10.24

ショパン・コンクールに関係した、あれこれ雑記

◆コンクールってのは、勝ち負けじゃないです。

 

 コンクールというか、音楽とは本来、そのような対立構造を生じるものではないです。

 今回、3位が韓国人で、4位が日本人なので、多分、両方の国の普段、音楽とは縁のない人々が、

 やれ韓国が勝った、日本人が負けたとか下らんことを云うのでしょうが、そうじゃないのですね。

 コンクールというのは、「瞬間最大風速」みたいなものです。瞬発力というか。マラソンじゃなくて、100m決勝みたいなものですかね。

 その日、その時、その場での演奏のうち、誰のが一番良かったか、ということです。

 ですから、明日、もう一度本選をやったら、全然別の結果になる可能性は、大いにある。

 実際歴史的にも、本選で1位になった人より、2位以下の人がその後、大きく伸びたという例は沢山あります。

 その、最も有名な例を御紹介します。


◆ショパンコンクールでは、ファイナルに残れなかった、ポゴレリチという天才ピアニストがいます。

 

 イーヴォ・ポゴレリチという天才ピアニストがいます。

 1958年、クロアチア生まれ。クロアチアは旧ユーゴスラビアの一部だった国です。

 この人は、1980年にショパンコンクールに出たのですが、これほど大騒ぎになったショパンコンクールは空前絶後。

 ポゴレリチは上手いのです。紛れもなく天才だという評価が後に固まるのですが、あまりに個性的なのです。

 21日の日記で書きましたが、コンクールでは、あまりにも強い個性の人ははじかれてしまう(落選する)ことが多いのです。

 個性といっても、勿論デタラメの個性じゃ話にならないけど、本当の天才的な個性になると、分かる人と分からない人がいるのです。

 それで、ポゴレリチがセミファイナル(第2次予選)を弾き終えて、審査員が揉めに揉めたのです。

 審査員の中に、自分も1965年にショパンコンクールに出て優勝した、マルタ・アルゲリッチという南米・アルゼンチン生まれの、誰もが天才と認める女性ピアニストがいました。

 他の審査員は、ポゴレリチをファイナル(本選)に残すことに反対だったのです。

 「上手いけれども、あまりにも癖が有りすぎる」と。そうしたらアルゲリッチが怒っちゃったのです。ハンパじゃないです。激怒した。

 「あの子をファイナルに残さないなら、私、審査員辞めるわ。あの子は天才よ!」ともの凄い剣幕で、本当に審査員を辞めて途中で帰っちゃった。

 ポゴレリチもファイナルに出られませんでした。

 アルゲリッチの事を、「何という協調性の無さ」、と考えるのは凡人でして(笑)、音楽家に限らず、芸術家というのはもの凄く自己主張が強い人、平たく云えば、一般人から見たら「変人」が多いです。

 それぐらいじゃないと、ダメなんです。

 だからサラリーマン的発想をこういう人たちに適用するのは最初から無理。



 かつて、私は、「天賦の才は、天賦の才を持った人でなければ、なかなか分からない」と書いたことがありますが、この1980年のショパンコンクール大騒動はそれを端的に示しております。

 アルゲリッチが正解でした。

 やがてポゴレリチは希有な才能の持ち主として世界的評価を受けます。

 因みに、このときに優勝したのはダン・タイソンというベトナム人ピアニストでした。

 彼は彼で有名になります。ダンタイソンのことも触れるとキリがなくなるからひとことだけ。

 ベトナム人ですから、当時戦争中ですよね。まともなピアノや練習する場所がなかなか無く、何と、紙に書いた鍵盤で練習したそうです。

 それでも上手いのだから、やはり天才としか云えないですね。ショパンコンクールにはこのような才能が結集するからすごいのです。


◆エー、毎度おなじみ、お薦めCDを・・・・。

 

 ショパンコンクールで上位に入った超一流ピアニストについては、これまでにもお薦めを書いた人がいます。

 マウリツィオ・ポリーニ、今年からN響の音楽監督、つまり今は指揮者もやっているウラディーミル・アシュケナージですね。これは、もう、文句なしに大家です。

 今日は、話題に出したアルゲリッチとポゴレリチを。

 話がそれますが、アルゲリッチは日本好きです。特に大分は別府が気に入ってしまって、毎年日本に来て、別府アルゲリッチ音楽祭というのをやってます。

 リンク先をご覧になると分かりますが、今年は既に終わりましたがもう7回目になるのですね。

 私は、別府とアルゲリッチというのが、最初、どうしても結びつきませんでした(別府には行ったこと有ります。良い場所であることは十分承知してます)。

 つまり、あの「世界的ピアニスト、アルゲリッチ」がホントに毎年日本に来てくれるの?」ということです。

 頭の中が「????」という感覚で訳が分からなくなりましたが、実際、こうして続いているのは有難いことです。

 数年前、この別府音楽祭で、アルゲリッチが有名なチャイコフスキーのピアノ協奏曲を弾いたのをテレビで聴きました。

 伴奏は東京芸術大学という、日本で唯一にして最高のレベルを誇る国立の芸術(音大と美大がある)大学の学生オーケストラです。

 芸大に入ると云うこと自体、殆ど不可能に近いぐらい難しい。ここの学生は当然技術的には既にできあがっていますから、芸大オケを一般の我々が聴くと、プロと変らないと言っていい。

 それでですね。コンサートの後ステージの袖のところでNHKがインタビューしたら、アルゲリッチ先生、機嫌良かったですねー。

 芸術家は誠に気まぐれであります。

 芸大オーケストラを、「最初の音を聴いたときにあまりにも立派なので、びっくりした。世界の一流オーストラのようでした」と激賞していました。嬉しかったです。

 この人がこんなに手放しで褒めることは、殆ど無いのです。

 前置きが長くなりましたが、アルゲリッチはもの凄いテクニックの持ち主でして、所謂クラシック通は「プロコフィエフのピアノ協奏曲第2番」や「ラフマニノフの3番」を薦めたがりますが、これらは、少々取っつきにくいです。

 私がお薦めしたいのは、アルゲリッチが、あらゆる音楽の基礎というか、ピアニストになるなら、ショパンとかシューマンとか、リストとか弾く前に最初に勉強しなければならない作曲家、ヨハン・セバスチャン・バッハ(普通、「J.S.バッハ」と書きます)の作品を録れた、バッハ:トッカータ ハ短調です。

 最初から聞いても良いですが、他にパルティータ2番というのとイギリス組曲というのが入ってます。

 パルティータの第1曲目を聴いてみてください。最初はフォルテの和音で始まりますが、ちょっと辛抱して聴いてください。

 あまり、ボリュームを大きくしないで。すると、次に何とももの悲しく、神秘的に美しいメロディーが流れます。すーっと意識が透明になる感じがします。

 それから、ポゴレリチ。この人は好き嫌いが大きく分かれるとよく言われるのですが、少なくとも、ショパン:24の前奏曲は、誰が聴いてもあまり文句をつけられないと思うのです。

 これは、一曲ずつが短い。通して聴いても、どこから聴いてもいいです。

 強いて云えば、トラックナンバー、16番ですかね。すごいテクニック。びっくりしますよ。

 私は、初めて彼の演奏を聴いた時に、「こんなに上手い人が世の中にはいるのだな」と唖然としました。



 長くなりました。最後までお付き合いいただき、有難うございました。

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2005.10.23

「ショパン・コンクール4位 関本さん(大阪出身)山本さん(長野出身)」←想像を絶するほど、立派なことです。

◆記事:ショパン・コンクール4位 関本さん(大阪出身)山本さん(長野出身)

 【ワルシャワ=原口啓太】五年に一度、ワルシャワで開催される第十五回ショパン国際ピアノコンクールの本選結果が二十一日深夜(現地時間)に発表され、

大阪府出身でパリのエコール・ノルマル音楽院を卒業した関本昌平さん(20)、長野県出身でワルシャワのショパン・アカデミーに在学中の山本貴志さん(22)が第四位に入賞した。

 優勝したのは地元ポーランドのラファウ・ブレハッチさん(20)。

一九七五年のクリスティアン・ツィメルマン以来、三十年ぶりの地元の制覇となり、同時にそれぞれの曲目の最高の演奏者に与えられるポロネーズ賞、マズルカ賞、協奏曲賞も受賞した。
 関本さんは大阪府豊能町立東ときわ台小在学中にピアノを始め、ショパン国際ピアノコンクールアジア中学部門金賞。

 山本さんは信州大付属長野中時代まで長野市で過ごし、日本音楽コンクールピアノ部門三位。(産経新聞) - 10月22日15時5分更新


◆コメント:ファイナル(本選)に残るだけでももの凄い事なのですよ。

 

 今日のアクセス解析をみると、関本昌平さんと山本貴志さんを検索して来られた方が非常に多い。 多少はクラシックに関心を持って下さっているのでしょう。

 ショパンコンクールを受けたピアニストは、300人以上いるわけです。

 それではあまりに多いので、普通のコンクールは第一次予選から始まるけれども、ショパンコンクールはその前の段階の予備予選がある。

 ここで220名落とされて80人になる。

 第1次予選で50人落とされて、第2次予選へ進むことができるのが30名。

 第2次予選でさらに18名落とされて、漸く本選(スポーツになぞらえれば、決勝)に出られる。

 本選に残るのは従って、12名しかいない。その3分の1は日本人だった訳です。

 しかし、本選に残るまでには、次の課題曲を弾けるようにしなければならないのです。


◆課題曲

●予備予選

フレデリック・ショパンの作品

・エチュード2曲。下記のグループから各1曲。

a) in C major op.10 no.1

 in C sharp minor op.10 no.4

 in G flat major op.10 no.5

 in F major op.10 no.8

 in C minor op.10 no.12

 in A minor op.25 no.11

b) in A minor op.10 no.2

 in C major op.10 no.7

 in A flat major op.10 no.10

 in E flat major op.10 no.11

 in A minor op.25 no.4

 in E minor op.25 no.5

 in G sharp minor op.25 no.6

 in B minor op.25 no.10

・各自がコンクールで選曲した下記の3曲から、各自2日前に抽選した1曲。

 バラードまたは舟歌 op.60または幻想曲 op.49

 ポロネーズ

 ソナタから第1楽章

●第1次予選(80名以下)

・エチュード2曲。下記のグループから各1曲。少なくとも1曲は予備予選と異なる曲を選曲すること。

a) in C major op.10 no.1

 in C sharp minor op.10 no.4

 in G flat major op.10 no.5

 in F major op.10 no.8

 in C minor op.10 no.12

 in A minor op.25 no.11

b) in A minor op.10 no.2

 in C major op.10 no.7

 in A flat major op.10 no.10

 in E flat major op.10 no.11

 in A minor op.25 no.4

 in E minor op.25 no.5

 in G sharp minor op.25 no.6

 in B minor op.25 no.10

・次のノクターンから1曲

 in B major op.9 no.3

 in D flat major op.27 no.2

 in G major op.37 no.2

 in C minor op.48 no.1

 in F sharp minor op.48 no.2

 in E flat major op.55 no.2

 in B major op.62 no.1

 in E major op.62 no.2

・バラード、舟歌 嬰ヘ長調 op.60、幻想曲 ヘ短調 op.49から1曲

・次のワルツから1曲

 in E flat major op.18

 in A flat major op.34 no.1

 in F major op.34 no.3

 in A flat major op.42

 in A flat major op.64 no.3

・次の中から1曲以上。

 コンサート・アレグロ イ長調 op.46

 子守歌 変ニ長調 op.57

 ボレロ ハ長調 op.19

 エチュード(予備予選及び1次で選んだ曲を除く)

 即興曲 変イ長調 op.29

 即興曲 嬰ヘ長調 op.36

 即興曲 変ト長調 op.51

 ノクターン 嬰ハ短調 op.27-1

 プレリュード op.28より下記のグループから1セットまたは連続する2セット

   a: no.7-12  b: no.13-18  c: no.19-24

 プレリュード 嬰ハ短調 op.45

 ロンド ハ短調 op.1

 ロンド・ア・ラ・マズール ヘ長調 op.5

 序奏とロンド 変ホ長調 op.16

 スケルツォNo.1 ロ短調 op.20

 スケルツォNo.2 変ロ短調 op.31

 スケルツォNo.3 嬰ハ短調 op.39

 スケルツォNo.4 ホ長調 op.54

 タランテラ 変ホ長調 op.43

 ワルツ イ短調 op.34-2

 ワルツ 変ニ長調 op.64-1

 ワルツ 嬰ハ短調 op.64-2

 変奏曲 変ロ長調 op.12

以上を40-45分にまとめること。



●第2次予選(30名以下)

・次のマズルカから1セット

   op.17, 24, 30, 33, 41, 50, 56, 59

・次のポロネーズから1曲

 アンダンテスピアナートと華麗な大ポロネーズ op.22

 ポロネーズ 嬰ヘ短調 op.44

 ポロネーズ 変イ長調 op.53

 ポロネーズ 変イ長調 op.61

・次のソナタから1曲

 ソナタ 変ロ短調 op.35(第1楽章リピートは任意)

 ソナタ ロ短調 op.58(第1楽章リピート不可)

●本選(12名以下)

・下記の協奏曲より1曲

 協奏曲 ホ短調 op.11

 協奏曲 ヘ短調 op.21


◆これを全部弾くわけではないですよ。

 

しかし、予備予選だけでも、エチュード(エチュードとは、本来、「練習曲」の意味の普通名詞だが、

 ショパンコンクールで「エチュード」といったら、ショパンが書いた24曲のエチュードに決まっている)のaグループとbグループから1曲ずつ。そして、3曲目に、

・各自がコンクールで選曲した下記の3曲から、各自2日前に抽選した1曲。

 バラードまたは舟歌 op.60または幻想曲 op.49

 ポロネーズ

 ソナタから第1楽章

ということだから、3曲目は何を弾かされるか、2日前の抽選まで分からない。ということは、全部弾けるようにしておかなければならない。

予備予選を受けるだけでも5曲を準備しなければならないわけです。

そして、予備予選で帰りますというわけにはいかないのです。つまり、受けるからには本選まで残るつもりで準備するわけですね。

1次予選に残ったら、エチュード2曲、ノクターン1曲、バラードなどから1曲、そしてその他の分野の中から最低1曲を選び全部で45分程度のリサイタルにまとめなければいけません。

これは、また最低5曲ですね。その時の選曲のセンスも問われると思います。

とにかく予備と一次予選までで、10曲です。


二次予選では、マズルカ、ポロネーズ、ソナタから各1曲。

本選に残るまでには、13曲準備しなければなりません。13曲といってもね。ポップスじゃないから。

特に2次予選のソナタなんて、30分ぐらいかかるのです。ここまで、弾いて認められた人が本選に出るわけです。

私が、本選まで残るだけで大変なことというのが何となくお分かり頂けたでしょうか?

もっとも曲の数がショパンコンクールだけ、異常に多いというわけではありません。毎コンですら、本選まで残るためにはこれぐらい準備しなければいけないのです。

勿論、練習はもの凄いでしょう。課題曲は、私の知る限り、昨年12月には分かっていたので、全ての出場者は約10ヶ月間、毎日12時間~15時間ぐらい練習していたはずです。勿論休みなど無いです。

大変なのは、これらの曲をただ、間違わないで弾けばよいのではなく、全てに関して音楽性が審査されるということです。

上手いのは当たり前。間違えたり、つっかえないで弾けるというのは最低条件を満たしているだけです。

音楽的に審査員の心の琴線に触れる「何か」がなければ、上位への進出は無理です。こればかりは練習でもどうにもならない。「才能」です。


◆本選は1000人の聴衆の前で、オーケストラ伴奏による協奏曲。

いよいよ、本選になったら、オーケストラと共演。つまり協奏曲を弾かなければならない。

ショパンのピアノ協奏曲は2曲ありますから、そのどちらか。コンチェルトはソロと違って、ずっと弾きっぱなしではないけれど、ソロじゃない難しさがあるわけです。

ピアノに限らず、協奏曲にはソロ・パートがしばらく休みで、オーケストラだけが演奏して、またソロが加わるというような箇所が、必ずあります。

皆出場者は場数を踏んだプロではなく、勉強中の学生さんが殆どですから、オケと合わせたことがない。

下手をすると、ソロを弾き始めるところが分からなくなってしまうこともある。最悪の場合、演奏が止まってしまうのです。

音楽の演奏芸術で、「止まる」以上の大事故はあり得ません。

これは、どうやって練習するかというと、CDに合わせて弾いて練習するのではなくて、友達か誰かピアノの専門家に、オーケストラパートをもう一台のピアノで弾いて貰って、練習するのです。

それでも、やはり本選で、本物のオーケストラと合わせる。しかも1000人の聴衆の前で演奏するとなると、まるで緊張感が違います。



こうして考えてくると、これだけの試練を経て、最終審査にのこりしかも4位に入賞すると云うことは、並大抵ではありませんね。

先日書きましたが、1985年のショパンコンクールで入賞した小山実稚恵さんも4位でした。

彼女は今回入賞したお二人と違って、海外留学経験がなくて、4位になったのです。

日本で日本人の先生にだけ習ってチャイコフスキーコンクールとショパンコンクール両方に入賞したのですから、やはり並の人物ではありませんね。



勿論、関本さん、長野さんの健闘ももの凄く立派です。

入賞しなくてもショパンコンクールのファイナリストになったというだけで、大変な努力と才能が必要なのです。

国籍など無関係に全員の栄誉を讃えたいと思います。

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2005.10.22

「議員年金の来春廃止、与党内で異論続出」←弱者イジメ法案を審議しておきながら、勝手なことを云うな。

◆記事:議員年金の来春廃止、与党内で異論続出(日経)

 

 国会議員互助年金(議員年金)の廃止問題を巡り自民、公明両党内で20日、

 段階的廃止の当初案を急きょ撤回し来年4月に廃止する方針を打ち出した執行部への異論が相次いだ。

 旧橋本派衆院総会では小坂憲次国会対策副委員長が「ポピュリズムの改革競争を危惧する」と指摘。

「首相官邸から一声あったようだが、これまでの議論はどうなるのか」など同調する声が相次いだ。

高村派総会でも高村正彦会長が「老後に備えてサイドビジネスに励む議員の姿が目に浮かぶ」と批判した。 (07:02)


◆コメント:障害者の負担を増やしておきながら、自分たちの年金がなくなるのは嫌なのだそうだ。

 

 与党の諸君、出ましたね。本性が。

 皆さん、小泉君の「聖域無き構造改革」に賛成だったのではないのか?

 「改革には痛みを伴う」と云っているのは、小泉君で、その小泉純一郎君をつい最近首班指名したのは、みなさんでしょう?

 選挙後の臨時国会で、矢継ぎ早に弱者イジメの法案を審議し、可決したものもありますよね?先生方。

 給与が減って、預金や貯金を取り崩して生活しているサラリーマンの「定率減税廃止」、「高齢者の医療費本人負担増」、「終末医療費削減」、

 月収10万円の障害者からも、もっとカネを取る「障害者自立支援法」、とやりたい放題じゃないですか。

 7年連続で自殺者数が3万人を越えている先進国など、他にないのですよ。

 散々弱者を痛めつけておきながら、自分たちの国会議員年金がなくなるのは、嫌だ、とおっしゃる。

 自分の事しか考えていませんね。

 いい加減にしろよ。馬鹿野郎。


◆衆院選とその後の行動で、政治家の汚さと信頼性のなさがはっきりしてしまった。

 

 郵政民営化法案に反対し、選挙期間中も反対だと云い続けて、刺客に何とか勝って当選したというのに、復党したくて賛成に転じた議員。

 彼らのことは最早、誰も信用しない。政治家として存在価値が無い。

 無所属で当選して、なお反対票を投じたのは平沼赳夫議員ただ一人。

 平沼議員は昨日発売の週刊文春で、

「自民党執行部から随分と賛成」に投じるように云われたが、ここで選挙時の公約を破ったら、政治家としては、『死』に等しい。これで、除名になるなら、『男子の本懐』だ」

 と書いていた。

 平沼氏の事務所には、よくぞ筋を通してくれた、と激励、賞賛のメールが殺到しているらしい。そうだろうと思いますね。

 公約を守っただけの話で当たり前のことをしただけではないか、と書いているブログもあったが、私は平沼氏の行動は、賞賛に値すると思う。



 今回の衆議院解散、選挙が行われたこと自体、小泉首相の解散権の濫用で、それは一番いけないことなのだが、この選挙が行われた結果、如何に、政治が汚い世界であるかが、見事に明らかになった。

 また、国会議員の言葉など、如何に信用できないか、ということを国民の前にさらけ出してしまったことは、皮肉なことだが、結果的には良いことだったのかも知れぬ。

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2005.10.21

「ショパンコンクール、本選に日本人4人残る。」←世界中から集まった300人以上から本選に進んだのは12人。うち4人が日本人

◆記事1:ショパン・コンクール 日本人最多の77人参加 (共同通信) - 9月10日7時24分更新

 

 【ワルシャワ9日共同】若手ピアニストが音楽家フレデリック・ショパンのピアノ曲の腕を競う、5年に1度の「第15回ショパン国際ピアノ・コンクール」が23日に始まる。

 9日時点で世界から300人以上が参加、日本人は最多の77人で、10月18-21日の本選を目指す。

 コンクール事務局によると、参加対象者を広げるため今回から書類とビデオによる選考をやめ、応募者全員がワルシャワで実際に演奏する「予備審査」を導入。

 9月30日に予備審査の結果が発表され最大80人が予選へ。2回の選考の後、最大12人が本選に進む。

 日本に次いで地元ポーランドからは50人以上が参加、米国、台湾、中国と続く。アジアからの参加と入賞が年々増えている。


◆記事2:日本人9人が2次予選に ショパン・コンクール (共同通信) - 10月12日11時27分更新

 

 【ワルシャワ12日共同】第15回ショパン国際ピアノ・コンクールの第1次予選結果が12日未明発表され、日本人9人を含む計32人が2次予選に進むことが決まった。

 このほか地元ポーランドから7人、韓国4人、中国2人などが進出。

 2次予選は13日から16日までで、最大12人が本選に進み、入賞者発表は21日。


◆記事3:日本人4人が本選へ ショパン・コンクール(共同通信) - 10月17日9時13分更新

 

 【ワルシャワ16日共同】世界の若手ピアニストが5年に一度、腕を競う「第15回ショパン国際ピアノ・コンクール」の2次予選が16日まで行われ、日本人4人を含む12人の本選進出が決まった。

 日本からは根津理恵子さん(24)=千葉県、大崎結真さん(24)=茨城県、関本昌平さん(20)=大阪府、山本貴志さん(22)=長野県。

 日本は国別で最多。このほか地元ポーランドから2人、韓国3人、ロシア1人、米国1人、中国1人が進出した。

 本選は18-21日で、ショパンのピアノ協奏曲の演奏で審査、21日夜(日本時間22日午前)に結果が発表される。

 300人以上が参加した同コンクールは9月に予備審査が始まり、1次予選を通過した32人が2次予選に進んでいた。   (了)


◆記事4:21日(現地時間)に審査結果を発表=日本人4人に期待-ショパン・コンクール (時事通信) - 10月20日15時1分更新

 

 【ワルシャワ20日時事】ポーランドの首都ワルシャワで開催中の第15回ショパン国際ピアノコンクールは21日夜(日本時間22日午前)、本選進出者12人の演奏がすべて終了し、審査結果が発表される。

 日本人は最多の4人が本選に進んでおり、結果が期待されている。

 本選に進んでいるのは、ポーランド留学中の根津理恵子さん(24)=千葉県=と山本貴志さん(22)=長野県=、他の国際コンクールで入賞経験がある大崎結真さん(24)=茨城県=と関本昌平さん(20)=大阪府=。

 このほか韓国人3人、地元ポーランド2人、米国、ロシア、香港それぞれ1人。

 同日午後9時(同22日午前4時)前に全員の演奏が終わり、審査員が協議を行う。同日夜か22日未明までに結果が発表される見通し。


◆解説・コメント:ショパンコンクール本選に日本人が4人残るということだけでも、ただごとではない。

 

 世界3大ピアノコンクールというのがあります。

 チャイコフスキーコンクール、ショパン・コンクール、そしてベルギーのエリザベート王妃国際コンクールです。

 今年は、5年に一度のショパンコンクールが開催されています。上の記事をご覧頂ければお分かりのとおり、もう始まってから、一ヶ月以上経って、今日が本選です。

 ショパンコンクールについては、2005年09月26日(月) ショパンのワルツとか、どうですか? に書いたので、良ければお読み下さい。

 本来、音楽の演奏の評価は極めて主観的なものですから、ここでの順位がピアニストの一生を決定するわけではないのです。

 ただ、「順位」というのは、一般の人にも分かりやすいので、コンクールの上位に入ることは、やはりピアニストのキャリアとして有利です。

 そして、プロの音楽家たるもの、極めて緊張を強いられる中で、どれだけ本来の能力・才能を発揮できるか、ということ自体が、一つの「実力」ですから、こういう修羅場を経験するのは悪いことではない。

 但し、非常に才能があっても、あまりに個性的な人はコンクールには向かないのです。ある程度「審査員受け」するようなスタイルで弾かないと残れない。

 その意味ではコンクールの成績が絶対ではない。そのようなことを考慮に入れても、ショパンコンクールの本選に残った12人のうち、4人が日本人であるということは、驚異的です。

 何故なら、西洋音楽は2000年の歴史があるわけです。 西洋人には、西洋音楽の遺伝子があると思うのです。

 しかし、日本人が西洋音楽を知り、本格的に勉強し始めたのは、僅か140年前です。

 西洋とは全く違う文化を持つ東洋の島国に生まれた人間が、たったの140年で西洋人と同じレベルにまで達してしまった。

 これはやはり、驚異的です。日本人は、非常に芸術的な民族だと思います。

 そういうことですから、本当は、これは、大ニュースなのですが、日本国民のうち、クラシックが好きなひと、興味がある人は1パーセントもいないでしょうから、全然報道されない。寂しいですね。

 ともあれ、明日の早朝4時頃には結果が出る。

 このごろ、良いことが無いからね。

 小柴名誉教授と田中耕一さんがノーベル賞をとったのは3年前です。あれから、そういう日本人が世界に誇れるような話って、無いでしょ?

 繰り返しますが、コンクールとは、その日の演奏のうち、誰が一番優れていたかで、順位が決まるのですから、ピアニストの全てが正しく評価される可能性は寧ろ少ない。

 だけど、人情としては、「史上初、日本人が1位!」というようなニュースを見たり読んだりしてみたいものです。


◆お奨めCD:3大コンクールのうち、2つで入賞した、すごい日本人ピアニストがいます。

 

 小山実稚恵さんという方です。1982年にチャイコフスキーコンクール第3位、1985年、ショパンコンクール第4位です。

 チャイコフスキーとショパンの両コンクールで入賞した日本人はこの方だけ。
 CDも沢山録れてますが、とりあえず、ピアノの代表的名曲がずらりと並んだ、ベストアルバムが良いです。
 上手い。上手くて芸術的。さすが。
 2曲目にリストの「ラ・カンパネラ」がありますね。是非聴いていただきたいですね。最近やたらと無責任にマスコミが持ち上げる、フジ子・ヘミングは「魂のピアニスト」だそうですが、違います。

 あの人はやたら「ラ・カンパネラ」を弾くけれど、あれは、全然ダメなんですよ。テンポが異常に遅い。

 楽譜の指示通りのテンポで演奏できるが、自分の音楽的解釈で遅く弾いている、というのなら、まだ、許せる。

 ヘミング女史は違うんです。遅くしか弾けないから、あのテンポで弾いているのです。

 何故分かるか?

 こちとら、年期が入っているんだよ。伊達や酔狂で30年クラシック聴いている訳じゃない。それぐらい聴けば分かる。

 小山さんの演奏を聴いてください。音楽は精神的なものですが、表現するには、高い技術が必要なのだ、ということが、良く分かる。


◆お奨めの本:「赤川次郎のばっくすてえじトーク―クラシック、14人の音楽家」

 

 私は、赤川次郎さんの小説を読んだことはないが、音楽家との対談集を読んだことがあります。

 赤川さんは、本当に音楽が好きなんですね。自分は全く楽器も弾けず、楽譜も読めないけど、非常に繊細な感受性の持ち主です。

 赤川次郎のばっくすてえじトーク―クラシック、14人の音楽家という、随分前に出た対談集なのですが、相手は一流のプロの音楽家ばかり。

 ベルリンフィルコンサートマスターの安永徹さんとか、ケルン放送交響楽団で長年首席オーボエだった宮本文昭さんとか、すごい人ばかりです。


 クラシック音楽の話は、そりゃ、でますが、皆さん気さくで面白い。赤川氏の質問も全然音楽教育を受けた人ではないけど、良いところを突いて来るんです。

 この中に小山実稚恵さんも登場します。

 この方、失礼ながら、天然ボケですね。かなり。ピアノを弾いているときと全然違うのでそのギャップがユニークです。

 ショパンコンクールを受けるピアニストのなかには、緊張のあまり食欲が無くなったりするようです。

 私がテレビで目撃した最もすごいのは、本選で、ステージ上のピアノにたどり着いたら気絶してしまった人がいるんです。本当です。

 それなのに、小山実稚恵さんは暇つぶしに覚えたての「詰め将棋」をやっていたそうです。

 なるほど、それぐらいの度胸が無いと、ソリストなんかなれないのだなあ、と、私は感動してしまいました。とにかく面白いですよ。

 私は、衆議院選挙以来、毎日憂鬱ですが、せっかくの芸術の秋ですから、そういう話も書こうと思いまして、今日は好き放題に書きました。

 兎角に人の世はすみにくい。住みにくい世を多少とも住みやすくするのが芸術の役割だ、という意味のことを、夏目漱石が「草枕」で書いてますね。

 そのとおりですね。今日お奨めしたCDと本は、買って損をした気分にはならないとおもいます。

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2005.10.19

「小泉首相:参拝は『思想、良心の自由』 党首討論で」←郵政民営化に反対した自民党員の思想・良心の自由は剥奪していいの?

◆記事1:小泉首相:参拝は「思想、良心の自由」 党首討論で [毎日新聞 2005年10月19日 20時13分]

 小泉純一郎首相と民主党の前原誠司代表による初の党首討論が19日午後、行われた。

首相は自らの靖国神社参拝について「思想及び良心の自由は憲法(19条)で保障されている。首相である小泉純一郎が一国民として参拝する。それがどうしていけないのか。私は理解できない」と述べ、憲法に抵触しないと強調。「靖国参拝をやめればいいという議論にはくみしない。日中関係は靖国だけで規定されない」などと述べ、中韓両国の批判に反論した。


◆記事2(参拝当日の記事):小泉首相:靖国神社に昇殿せず参拝 秋季例大祭初日 [毎日新聞 10月17日夕刊]

 

 小泉純一郎首相は17日午前、東京・九段北の靖国神社に参拝した。首相参拝は04年1月1日以来で、通算5回目。

 首相参拝は中国、韓国など近隣諸国が強く批判しているため対応が注目されたが、「年1回参拝」の公約を優先した。

 ただ本殿には上がらず、一般参拝客と同様に拝殿の前で手を合わせるなど過去の参拝と異なる形式を取り、私的参拝を強調した。

 同神社では17日から20日まで秋季例大祭が行われる。公邸を出た首相は午前10時過ぎ、公用車で同神社に到着。

 一般参拝客と同じ拝殿に進み、一礼して階段を上った後、スーツのポケットから取り出したさい銭を投げ入れ、約30秒間、深々と頭を下げた。

 最後に再び一礼した首相は、記者団の問いかけには答えず、そのまま同神社を後にした。

 これまで参拝していた本殿には向かわず、「内閣総理大臣 小泉純一郎」の記帳や献花料の提供もなかった。(後略)


◆コメント1:これ、「私的参拝」ですか?

 

 私は、内閣総理大臣はその在職中は、1年365日、24時間、行政府を代表する存在、即ち国家機関のひとつであり、存在自体は無論自然人だが、完全に私的な存在、つまり一般市民になることはないと思います。

 だからこそ、365日、24時間、首相の居所は内閣官房か、とにかく誰かが把握しているし、床屋へ行くときも、ラーメン屋へ行くときにも、護衛がつくし、公用車の使用が許されるのです。

 本日の党首討論における首相の答弁で、小泉首相は17日の靖国参拝は「私的参拝」だった、と主張しています。

 私は、上で述べた理由により、内閣総理大臣の私的参拝は存在しないと思うのですが、百歩譲って、首相が完全な「私人」になることができる、と仮定しても、17日の参拝の状況を調べると、一般市民とは見なせない。

 首相が「私的参拝」だという根拠は、今年は「内閣総理大臣、小泉純一郎」との記帳を行わなかったし、献花料の提供も無かったということなのですけどね。 



 私的参拝なら、自宅(首相公邸、まあ、社宅みたいなもんです。)から、電車に乗るか、タクシーかハイヤーを自費で用いて靖国神社に行くはずです。

 しかし、参拝当日の報道(記事2)には、公用車を用いて行ったと書いてありますね。

 私人として参拝したなら、公用車を用いるべきではないですね。それに、17日、皆さんテレビを見たでしょう?

 見ていない方のために、一枚の写真を持ってきましたから、見て下さい。 

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 このものものしさ。

 小泉さんの周りにいるのは、勿論護衛です。公務員です。税金から給料を受け取っている公務員です。

 小泉首相の主張どおり、このとき、彼が私人なら、自分で警備会社のガードマンを雇わなければ筋が通らない。

 首相警護官たちは、「国家機関としての内閣総理大臣」の安全を守るための人たちです。一般市民の護衛を仕事にすることはないのです。

 嘘だと思ったら、皆さん内閣官房に電話して、頼んでご覧なさい。

「今度危ないところに行くのだけど、カネを払うから、あの強そうな首相のボディガードを貸してくれ」、と電話するのです。相手は、何も答えずに、10秒ぐらいで電話を切ることでしょう。

 首相の公用車を使うことが出来て、公務員の特別なボディガードが回りを見張っている。

 この時点で、小泉首相が何と言おうが、彼は公的存在であることを自ら証明しています。 言葉だけ私人と行っても、通用しません。


◆コメント2:「思想・良心の自由」を尊重するなら、何故、自民党「造反組の処分」という発想が出来るのでしょう。

 

 小泉首相は、自分の行っている言葉の意味を理解しているのでしょうか?

 自分だって国民の一人であり、思想信条の自由がある。だから、靖国神社へ参拝するのは自由だと仰る。

 それならば、自民党の中で、小泉首相の郵政民営化に反対票を投じた人間を公認から外したり、「刺客」を送って当選できないように工作したり、

 28日には党内処分を決めるとかいって、要するに反対した人間は二度と自民党に戻れないように除名処分にすると言われている。

 その行為は、「反対派」の「思想・良心の自由」を侵していることだ、と何故気がつかないのでしょうか。

 同じ政党に所属する国会議員であっても、一人一人、別の人間だから、完全に同じ思想の人はいないのです。

 にも、関わらず、「自分と意見が違う人間は許さない」という思考は、自分と他人との区別が良くできていないということで、小児的です。未発達です。


◆コメント3:憲法を引き合いに出すならば、「思想・良心の自由」というより、「信教の自由」だと思います。

 

 今日は、小泉首相にしては珍しく、憲法の条文を持ち出してきましたね。

 しかし、「思想・良心の自由」が最も適切な条文でしょうか?

 「靖国問題」が憲法との関係で問題になる場合、国の宗教活動を禁じた20条3項が根拠になることは、首相もご存じの筈。

 自分が、私人として参拝したと本気で信じているならば、20条1項「信教の自由は何人に対してもこれを保証する」を持ち出すのが普通の論理。

 これに敢えて触れなかったのは、靖国参拝が「宗教的行為」であることを、小泉首相が自覚していることを、示しています。

 それを明らかにすると、後々、小泉首相にとって不利な結果をもたらす可能性が高いので、意識的、或いはもしかすると、無意識に避けたのだと思われます。

 という理由で、私は首相の答弁には全く納得できません。

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靖国神社は何故問題になるのか 「入門編」

◆神社とはどういうところですか?

 

 普通、故人にお参りするとき、私たちは、神社へ行きますか?

 違いますね。お墓へ行きますね。お墓は普通、お寺にあります。お寺というのは仏教の施設ですね。

 小泉首相とか政治家たちは、太平洋戦争で国のために戦死した英霊に敬意を払うために行く、と、しばしば発言しますね。

 神社とは、「神様」を祭祀している場所なのです。つまり。

 靖国神社は戦没者を神様と見なしているわけですね。人間を神様にしてしまっているのですね

 神様とみなすということは、軽蔑していては出来ませんね。尊敬しているということです。

 それで、国内、国外から色々意見が出る訳です。


◆A級戦犯というのは、戦勝国から見た概念です。

 

 新聞の社説などはよく「A級戦犯が合祀されている」といいますね。

 戦後、東京裁判(極東国際軍事裁判)で有罪になった東条英機を含む25人をA級戦犯というのですが、この概念はあくまで相対的なものです。

 日本が負けたから、戦争犯罪人というのですが、倫理的にはどの国も罪を犯しています。それは、間違いないです。

 そもそも、裁判とは紛争とは関係の無い、中立的な第三者が、当事者双方の言い分を聞いて、刑事裁判(東京裁判も敢えて言えば刑事裁判、つまり犯罪の認定とそれに対する刑罰を確定するための裁判のこと)ならば、無罪か有罪か、有罪ならば被告人にどのような刑罰を課すか、を決める制度です。

 東京裁判は戦勝国であるアメリカが敗戦国である日本の軍人を裁いているので、裁判の本質を完全に逸脱している。

 本当は裁判とは言えないです。

 東京裁判で有罪とされた人たちは「平和に対する罪」、「人道に対する罪」を犯したかどで死刑にされるのですが、それは、アメリカの「勝てば官軍」というだけです。

 連合国(米英)も「平和を乱し」、特にアメリカは、ご承知の通り、広島と長崎に原爆を投下して、24万人もの非戦闘員を殺戮したのです。

「人道に対する罪」がない訳が無いじゃないですか。

 原爆投下を許可したトルーマン大統領は超弩級大戦犯だと思います。その意味で極めてアンフェアです。

 ところが、1951年に締結されたサンフランシスコ講和条約というのがあるのです。

 これで、一応戦争のことはおしまいにしましょう、というような条約です。非常に大雑把に言えば。

 そして、日本は、その11条で極東国際軍事裁判の判決を受け入れることに合意したのです。

 だから、形式というか、合意した以上、戦争犯罪人と連合国が認定した人をそのように呼ばざるを得ないのでしょう。公式な声明として、あるいは新聞報道としては。 


◆外国の意見を無視したとしても、やはり、日本を戦争に巻き込んだ責任はあるでしょう。

 

 我々、日本人が何が腹が立つかというと、あたかも「日本だけ」が戦争犯罪という違法行為をしたような言われ方をするからで、それは確かに不公平です。

 「平和に対する罪」、「人道に対する罪」という言葉を文字通りにとれば、

 アメリカもイギリスも中国も、戦争に加わった全ての国は他国の人間を殺しているのだから、同じように罪がある。

 それは、言っても良いと思うのです。条約がどうあれ、倫理的、道義的な罪は戦争に加わった全ての国に存在する筈です。人を殺しているのだから。

 ただしですね。

 日本国内だけで見た場合でも、東条英機ら陸軍軍人を中心とした、三国同盟締結を推進した人々がいるわけです。

 そして、陸軍に反対するのが面倒になって、三国同盟にOKを出した、嶋田繁太郎海軍大臣などにも、戦争を始めてしまった責任というのがあるとおもいます。

 昭和天皇にも有るとおもいます。

 何故なら、これらごく一部の人たちの決断のせいで、300万人の日本人が死んだのですから。

 戦争に日本を巻き込んだきっかけを作った人を、神社で「神様」にしてしまうのか?という議論。

 そして、それを国政の最高責任者が畏敬の念を持って拝みに行くのはどんなものでしょうねえ?という議論があるのです。

 中途半端で申し訳ないが、くたびれてきたので、今日はここまでで終わります。

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2005.10.18

「中国外相が異例の抗議 日中関係、一段と悪化」←煽るな

◆記事1:中国外相が異例の抗議 日中関係、一段と悪化

 

 【北京17日共同】中国の李肇星外相は17日、中国外務省に阿南惟茂・駐中国大使を呼び、小泉純一郎首相の靖国神社参拝について「戦争被害国民の感情を傷つけ、中日関係に損害を与えた」と強い憤りと抗議を表明した。

 また、北京の外交筋によると、23日から北京で予定されていた日中外相会談が中国側の反発で取りやめとなった。

 日本側は町村信孝外相の訪中で政治的に冷え込んだ両国関係の修復を図る狙いだったが、靖国参拝を受けて一段と関係が悪化するのは必至だ。

北京の日本大使館によると、小泉首相の靖国参拝で中国外相が大使に対して抗議を申し入れたのは初めて。 (共同通信) - 10月17日22時42分更新

 
◆記事2:大統領の年内訪日見送り示唆=小泉首相靖国参拝で韓国

 

 【ソウル17日時事】韓国の青瓦台(大統領官邸)報道官は17日の記者会見で、小泉純一郎首相の靖国神社参拝を受けて「盧武鉉大統領の日本訪問について『検討している』と言えない状況になった」と述べ、参拝に抗議して大統領の年内訪日を見送る可能性を示唆した。

 両首脳は先に、盧大統領が年内に訪日して小泉首相と会談することで合意していたが、同大統領が「(日韓の)歴史問題の核心」と見なす案件で、厳しく対応する姿勢を示した。(時事通信) - 10月17日17時0分更新


◆コメント:日本がいきり立つ必要は無いのです。

 

 日本の円滑な外交運営を阻害しているのは、マスコミではないかという気がしますね。

 まず、記事1。

「中国外相が異例の抗議」
 異例でも何でも無いじゃないか。毎度の事。それを日本の世論を故意に扇情するような報道の仕方は感心しない。

 一般の日本人も、別の角度から考えてみるべきだ。ということは別のルートの情報を確認してみることが必要なのだ。

 韓国の態度に関しても同様である。


◆コメント:中国政府・韓国政府共、小泉首相に、非常に「感謝」していると思います。

 どういうことか。

最近、中国や韓国の国内情勢がどうなっているか、少し遡ってみると分かります。

まず、中国。



中国では、大規模な農民の暴動、殆ど日本史で習った「百姓一揆」のような暴動が勃発して、中国共産党も押さえ込むのに苦労したばかりなのです。

理由の一つは、貧富の差の極端化。

大都市は、もはや社会主義国とは言えないほど、豊かな生活(日本の累計3兆円の援助のおかげだけどね)を送っているのに、奥地はいまだに原始時代からあまり変っていないような貧しさ。

(よく、「世界ウルルン滞在記」でそういうところへ行くでしょう?)

様々なメディアが伝えるところによると、天災・人災、伝染病、で中国の国内情勢は非常に不安定です。


  • 「今年の洪水の被害は1360億元、死者は1247人 - 人民日報 (11日17時45分)」

  • 「コレラ感染が急増=中国(時事通信) (11日19時1分)」

  • 「中国、洪水で1万3000人に避難命令(ロイター) (4日22時22分)」

  • 「福州山間部で洪水 武装警察の学校流される - 人民日報 (4日18時0分」

  • 「【中国】河南省の炭鉱でガス爆発事故、34人死亡、新彊でも(サーチナ・中国情報局) (4日17時11分)」

  • 「インフルエンザで緊急対策 中国衛生省(共同通信) (9月28日21時0分)」

  • 「【中国】安監総局長「産業事故で13万人死亡」安全呼びかけ(サーチナ・中国情報局) (9月22日8時32分)」(注:1年間で13万人ですよ。)

  • 「【中国】雲南:爆発事故で死傷者54人、ニトラミン爆発か(サーチナ・中国情報局) (9月14日17時11分」

  • 「【中国】8月の伝染病死亡、「肺結核」「狂犬病」などで878人(サーチナ・中国情報局) (9月12日18時54分)」



というわけで、政府は、民衆の暴動を警戒していたのです。そして、本当に暴動が起きてしまいました。

◆記事:賃金未払いで労働者が暴徒化、警官襲撃で催涙弾も 2005/09/30(金) (中国情報局)

 広東省・広州(こうしゅう)市で29日、靴工場で働く労働者ら約100人が賃金未払いに激怒、経営者に抗議の意を表すために市内の交差点に立ちふさがり、交通を遮断。出動した警察官などと衝突し、パトカー3台を含む車 両6台が破壊され、警察官1人がけがをした。30日付で信息時報が伝えた。

 衝突があったのは29日午前7時過ぎ。交差点を封鎖している労働者約100人に対して、駆けつけた警官らが法律にのっとって解決するよう説得した。しかし、興奮状態の労働者が投石を始めたのをきっかけに暴徒化。中には 警察官から警棒を奪い取って襲いかかるものもいた。

 現場に応援の警察官が到着し、200人ほどで鎮圧にあたった結果、2時間あまりして混乱は収まった。その間、警察側が2度、催涙弾を発射したとの目撃談もある。

 この衝突で、警察官1人と労働者4人、さらに巻き添えになった通行人1人がけがをした。

 労働者5人がパトカーを破壊したなどとして警察に拘束されたほか、抗議活動の中心人物に対する取調べも行われている。

 今回の衝突の背景には、労働者の賃金が広州市の定める最低基準より低かったうえ、1カ月分が未払いだったことがあるという。ちなみに、参加した労働者のうち8割が女性だった。

◆記事:河南:「90%の子供が鉛中毒」激怒の農民が暴動 2005/09/16(金) (中国情報局)

 河南(かなん)省・修武県馬坊村で、鉛工場が排出していると思われる粉塵、汚水、汚染された気体が原因で、259人の児童のうち、約90%で鉛中毒の症状が見られ、転校や休学をする児童が相次いでいるという。

 怒った農民が暴徒化したが、多くが拘留され、事態は混迷している。15日付で新華社などが伝えた。

 2003年4月に村民大会の開催など正規の手続きを経ないまま、土地が収用され、鉛の電解工場が建設された。

 その後、操業の開始直後から、周辺住民には吐き気、下痢、いらつきなどの健康被害が続出。

 14歳以下の子供たち259人に身体検査を受けさせたところ、226人の血液から1リットルあたり、100マイクログラム以上の鉛が検出された。

 中国の医療関係団体が定めた基準によると、100マイクログラム以上の含有は、「軽度の鉛中毒」に相当する。

 農民は激怒し、操業停止と補償金の支払いを求めて、関係機関に直訴。

 しかし、工場側が、300ミリグラム以上の鉛が検出された子供8人を入院させた以外は、対策をとらなかったため、05年1月には農民が工場に押しかけ、従業員や車両の通行を阻止。

 2月には壁や門を破壊したり、タイヤを燃やしたりする事態となった。このため警察や消防など2000人が出動、数十人が拘留された。

◆コメント:韓国も盧武鉉政権は散々国内問題で叩かれている。

 

 揉め事が起きたときは、両方の言い分を聞く必要がある。

 特に日本のメディアは特に「近隣諸国の反日感情」をやや強調しすぎる傾向がある(その方が、視聴率が取れるからである)ので、中国や韓国のメディアの論調を確認するべきです。

 中国はは共産党独裁だから、比較の対象としては、適切と思えないので、 韓国の3大新聞、中央日報朝鮮日報、それから、東亜日報それぞれ、最近約一ヶ月の社説見出しをそれぞれリンクをクリックして読んでみて下さい。勿論日本語版です。

 そうすると、どの新聞も(今日はさすがに日本に触れているが)、毎日のように「日本人はけしからん」という論説を載せているわけではないことが、分かるでしょう?

 むしろ、自国の盧武鉉政権批判がかなり辛辣なわけです。

 朝鮮日報の9月29日付社説では、公務員数削減に関して、「日本を見習え」というようなことまで書いている。

 勿論、日本批判の時もあるけどね。全体としては平衡感覚が取れている、ということが分かります。


◆コメント:小泉首相が今日、靖国参拝してくれたのは、中・韓両国政府にとって「天の助け」

 

 だったと言っても、過言ではない。

 古今東西、一国の政府が国内運営で上手くいっていないときに、民衆の批判から逃れるために用いる一番手っ取り早い手段は、外国に目をそらせることですね。

 中国・韓国両方とも、かなり現政権(といっても中国は共産党しか、選択肢がないのだけれど)にたいする不満が鬱積している。

 だから、今日の小泉首相の靖国参拝は、殆ど両国政府にとっては、「天の助け」だったのではないかと思われる。

 「見ろ!日本の首相がまた靖国へ行ったぞ!断固抗議するぞ」

 で当分お茶を濁せる訳です。大衆はどこの国も感情で動くからね。


◆結論:日本のマスコミはセンセーショナリズムに走るな。国民はそれに乗るな。

 

余談ですが、東亜日報日本語版のサイトに行くと驚きますよ。

 全ての記事を音声で(日本語ですよ)で聴くことができるようにしてくれてある。

 私は、目は悪くないから、文字を読めば十分だが、パソコン画面の文字は疲れるからね。人によっては大変助かるはず。随分親切だと思いますね。

 論説委員の文章は、原文は分からないけれど、3大新聞いずれも、教育も教養もある人が書いていることは一目瞭然です。

 勿論、日本に対して批判的なこともたびたびあるが、日本の掲示板の書き込みのように、ただ感情の赴くままに、「鬼畜日本人、死ね」というようなことは、絶対に書いていない。

 新聞の論説だから、当たり前だが、論理を重んじているのです。 日本のマスコミの不必要に扇情的な報道姿勢の方が問題だと思いますね。

 どうも、実際の騒ぎより大げさに伝えられているように思います。

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2005.10.17

「共謀罪:新設法案が14日審議入り 日弁連など廃案求める」 ←共謀罪は違憲だと思います。

◆記事1:共謀罪:新設法案が14日審議入り 日弁連など廃案求める [毎日新聞 2005年10月14日 0時23分]

 

 犯罪を実行しなくても仲間と事前に謀議しただけで罪に問われる「共謀罪」の新設を盛り込んだ組織犯罪処罰法などの改正案が、14日の衆院法務委員会で審議入りする。

 日本弁護士連合会は13日夜、東京都内で反対集会を開き、中村順英副会長は「思想の処罰に限りなく近く、余りにも拙速に審議されることに危機感を覚える」と述べた。

 集会に参加した野党の国会議員らも廃案を訴えた。

 改正案は過去に2回廃案になり、政府は3度目の提出となった今国会での成立を目指している。政府が00年に署名した国際組織犯罪防止条約は参加国に共謀罪などの整備を求めており、南野知恵子法相は「共謀罪の創設は治安回復に重要で、国際的にも緊急の対応が求められている」と説明してきた。


◆記事2:用語解説:共謀罪(犯罪の相談をしただけで、そのこと自体が犯罪となる)

◇共謀罪 [毎日新聞 2005年10月15日 東京朝刊]

 

 4年以上の懲役・禁固に当たる刑を定める罪について「団体の活動として犯罪実行のための組織により」行われる場合の共謀を処罰する。

 対象犯罪が「死刑、無期懲役、10年を超える懲役・禁固に当たる刑」の場合は5年以下、それ以外は2年以下の懲役・禁固を科す。

 実行前に自首した場合は刑を減免する。


◆コメント:犯罪の相談をしただけで、捕まってしまうのです。国家権力の濫用につながると思います。

 

 記事2:を読んだだけではピンと来ないと思います。

 これは、村上ファンドどころの騒ぎではない。大問題です。

 何せ、共謀罪の共謀とは、「犯罪実行の相談」をすることです。実行を伴うどころか、実際に犯罪の準備に取りかからなくても捕まります。

 「冗談ですよ」と言っても、警察には通用しない。「冗談ですよ」で無罪放免になるなら、共謀罪を制定する意味が無くなる。

 そもそも、こんなのを成立させてはダメです。これが成立するぐらいなら、日本はもはや、民主国と言えません。北朝鮮や、中国とあまり変らなくなる。

 共謀罪 Q&Aというサイトに詳しく分かりやすい説明が載っているから、ご参照下さい。


◆コメント:共謀罪の立証に不可欠な盗聴は、憲法で禁止されています。

 

 共謀罪が成立したら、国家権力による、一般国民への不当な弾圧が強化されるのは、目に見えています。

 犯罪を相談した、という事実が即ち犯罪になるためには、まだ犯罪を実行もしていないし、準備をしている必要も無いのですから、狭義の物的証拠を挙証するのは不可能です。

 それでは、実際に「犯罪の相談の合意が」有ったことを証明するために、警察はどうするか?

 出来る限り多くの会話(電話、メール、不特定多数が集まる場所での会話)を盗聴・傍受することが不可欠になると思われます。

 しかしながら、日本国憲法第21条第2項は次の通り。

「検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。」

 つまり、共謀罪の摘発は常に違憲行為を伴うこととなります。

 だから、この法律は初めから作ってはいけないのです。付随的なことですが、この法案は国会に2度提出されて、2度廃案になっている。

 立法府が2回も否決した法案は、廃案にするべきなのです。


◆コメント:こういうことをして、小さな政府と言えるのでしょうか?

 

 小泉首相の「ワンポイント・政策教室」(私が今勝手に考えた言葉です)では、「小さい政府を目指す」という言葉が頻出しますが、国民を年中無休で監視するような政府は、

 果たして「小さな政府」といえるのでしょうか?

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2005.10.16

「医療給付金49兆円に抑制 医療制度改革で厚労省試案 」 まだまだひどい話が続きます。

◆記事1:医療給付金49兆円に抑制 医療制度改革で厚労省試案 [ 15日 12:02 共同通信 ]

 

 来年の医療制度改革に向けた厚生労働省の試案に、現行制度のままでは2025年度に04年度の2倍以上の56兆円に膨張すると見込まれる医療給付費を、生活習慣病予防や長期入院の是正策などにより49兆円(国民所得の9%)に抑制するとの案が盛り込まれることが15日、分かった。 この案を基本に、上乗せの抑制策として、


  1. 65歳以上の窓口負担を原則2割にする(25年度の削減効果1・3兆円)

  2. 1000円以下の低額医療費を公的医療保険の給付対象外とする「保険免責制度」を導入(同4兆円)

  3. 診療報酬を25年度までに10%削減(同4・9兆円)


-を選択肢として提示する。来週中にも公表。政府、与党内の議論のたたき台とする。


◆記事2:◆記事2:経団連、医療給付費抑制で目標設定・2010年は30兆円以内[日経 10月14日]

 

 日本経団連は14日、医療制度改革への提言をまとめた。

 2010年度の公的医療給付費を30兆円以内に抑制する総額目標の設定を初めて提唱した。制度改革論議に一石を投じそうだ。

 医療給付費の抑制目標をめぐっては、経団連の奥田碩会長も参加する経済財政諮問会議の民間議員が経済成長率に高齢化率を加味して計算する伸び率の範囲内に抑えるべきだと提案している。

 経団連は「伸び率の目標は毎年の医療費実績や景気変動によって目標の数値が変わってしまう」とし、総額を掲げた対案を提示した。

 経団連は30兆円の根拠について「2025年度時点で、潜在的な国民負担率を50%程度にするには必要な水準」と説明しており、厚生労働省が試算した2010年度の医療給付費より4兆円抑制する必要がある。

 政府が導入を検討している高齢者医療制度に関しては、被保険者の対象年齢を65歳以上にするべきだとした。政府は75歳を軸に検討しているが、経団連は企業などの負担軽減に配慮したものとみられる。


◆記事3:終末医療費抑制:医療、介護の連携に報酬増額 厚労省 [毎日新聞 10月13日]

 

 厚生労働省は12日、診療報酬と介護報酬が初の同時改定となる06年度改定で、医療・介護関係者が「在宅医療チーム」を組んで入院患者が早期退院できる診療計画をつくり、計画に基づくケアにあたった場合、報酬を上乗せする方針を固めた。

 終末期を迎えた患者の尊厳を重視するとともに、自宅で死を迎える人を増やすことで高額な「終末期医療費」にメスを入れる狙い。自宅死亡が2倍になれば、25年度の終末期医療給付費を5000億円削減できると見込んでいる。(中略)

 死亡前1カ月の「終末期医療費」は総額約9000億円(1人当たり平均112万円)で、医療費全体を膨らませる大きな要因になっている。

 高齢化の進展によって年間の死亡者数は毎年2万人超ずつ増える見通しで、厚労省は終末期医療費を抑えるため、自宅で死亡する人の割合の2割から4割へのアップを目指すことにした。


◆コメント1:医療費の患者負担を上げ続ける小泉君。

 

 この云い方は、好きではないが、今回は私は云う資格が有ると思う。

 「だから、いったでしょ?」

 何のことかといえば、衆院選の前、9月7日の日記で、【衆院選】自民党が勝利すると、こういうことが起きる。と題する稿を上げた。

 その中で、小泉は必ず、サラリーマン増税の他に、「医療費の本人負担を増やす」と書いた。

 そのとおりになってるでしょう(但し老人医療費とは書かなかったから、完全に予想通りではないが)、といいたいのだ。

 小泉首相という人は、以前から患者の窓口負担を引き上げたがるのだ。

 1997年、本人負担割合を1割から2割に引き上げたのは、当時の厚生大臣だった小泉純一郎氏である。

 その5年後、小泉君は総理大臣になって1年を経たところで、本人負担を2割から3割に引き上げた。

 この時、当時の丹羽厚労相は、診療報酬(所謂、医者が提出するレセプト、保険の点数計算というやつ、に応じて、国から医者に支払われるおカネ)を大幅に引き下げたばかりだったので、

 「診療報酬を引き下げたから、健康保険財政には余裕があるから、患者本人の負担を増やす必要はない。これでは、改革ではなく、意味のない国民の負担増だ」と反対した。

 ところが、他人に反対されると、理屈が通っていればいるほど拗ねて、逆のことをしたがる、小泉純一郎という、この幼稚な宰相は、トップダウンで押し切って、本人負担率を3割にした。



 そして、今回は、老人をターゲットにした。

 世代間で負担率に格差があるのは、おかしい、というのが大義名分のようだが、果たしてそうか?

 一般論としては、人間は年を取れば取るほど、身体にガタが来て、医者の世話にならなければならず、若い頃ほど無茶をして働いて稼ぐ訳にはいかないのだから収入が減る。

 くどいようだが、一般論である。高齢者には、もともと金持ちもいるだろうし、若い頃からカネを貯めるか増やすことに熱心で、そこそこ資産を保有している人もいるだろうが、人にはそれぞれ事情がある。

 若い頃から一生懸命働いたが、その所為で身体を壊し、中には寝たきりとなり、年金や、個人で加入していた保険だけが頼りという年配の方の方が多い筈である。

 そう考えると、高齢者の医療費の自己負担を現役バリバリと同じにするのは、酷だ、と考えるべきである。

 それが為政者の正しい発想だ。


◆コメント2;経団連は政治に口を出しすぎだ。

 

 記事2を読むと腹が立つ。

 またしても、経団連の奥田会長が、政治に口を出している。出し過ぎだ。

 しかも、何時までに、いくら、医療費の国庫負担を減らすべきだなどと、細かい数字まで上げている。

 それは、政治家と役人の仕事で、クルマ屋のオヤジの出る幕ではない。

 2025年には、本人負担率を半分にしろという。

 要するに団塊の世代の大量定年を2007年に控えて、どの企業も、退職金や厚生年金の会社負担を出来るだけいろいろ分かりにくい制度にして、安く抑えようとしているのだ。

 そういことをしていいのか?

 散々社員を働かせておいて、企業収益は向上しているのに、給料は上げない。

 病気になって社員が困っている時にも、なるべく会社はカネを出さない。

 そして、30年以上も真面目に働いたサラリーマンに「ご苦労様」という感謝を込めて支払う退職金をどんどん減らそうという。

 会社員は、「どうせ、おれたちは使い捨ての兵隊だ」と思うようになる。モラルが下がる。生産性が下がる。不祥事も増えるに決まっている。

 それぐらいの人の心が分からなくて、良くも経営者面をして威張っていられるものだ。


◆コメント3:どうせ助からない患者はさっさと退院させて、医療費の国庫負担を減らすのだそうだ

 

 記事3もすごい。

 終末医療即ちターミナルケアとは、末期癌などの最早回復する見込みがない、はっきり言えば、死を待つだけの患者に対する医療のこと。

 正確に言うとターミナルケアというと看護用語になるのかもしれぬ。専門家の方、教えてください。

 確かに、自宅で死を迎えることを望む人はいるだろう。

 が、一方では、病院で最後まで専門家に診てもらいたい患者だって多いはずだ。

 末期癌でたびたび激痛に襲われる人に対しては、モルヒネ系、つまり麻薬系の強力な薬物を用いて鎮痛を試みなければならない。

 そういう人が自宅に帰って、家族、即ち素人にモルヒネを扱わせるつもりか? 素人は、医療行為をしてはいけないはずだ。

 まして、麻薬系鎮痛剤、(というか麻酔薬の部類なの?)の使い方を間違えたら(他の薬物も同様だが)、そのまま死んでしまう。

 注射を打った家族は、いずれは死ぬと分かってはいても、自分が肉親を殺したとの良心の呵責に責められるだろう。

 自宅に帰したら、「在宅医療チーム」を編成して、ケアに当たるそうだ。

 へー。ただでさえ外来と病棟だけで忙しい病院の医療従事者に、そんな余裕が有るのですかね。

 そのためには、医師の数を大幅に増員せねばならず、結局、人件費がかさむ。

 「在宅医療チーム」云々(うんぬん)は国民を一応納得させる(つまり、騙す)ために、響きの良い「アイディア」の域を脱していない。

 要するに、自宅で死ぬか病院で死ぬか、どうせ助からないのなら、それぐらい患者本人の選択を尊重するべきである。

 それを、国が、十把一絡げに、助からない人はさっさと病院から出て云って下さいね。というのだ。 しかもその理由はカネだけなのだ。

 「貴方、もう長くないです。自宅に戻ったら、もの凄い痛みに耐える事になるかも知れないけど、頑張ってください。

 貴方が病院にいるとカネがかかって、どうしようもないのです。」

 人間の一生の終わりという厳粛な時のあり方をそろばん勘定だけで、考えて良いのか?

 それは、人間の死、即ち、その人の一生に対する冒涜ではないだろうか。

 小泉はとにかく弱者に冷酷だ。殆ど異常と云っても差し支えない。

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2005.10.14

「障害者自立支援法案成立。」←月収(障害者年金+就労収入)が10万にも満たない人から、今より金を取るという。

◆記事:自立支援法案が参院通過 障害者に利用負担求める (共同通信) - 10月14日11時39分更新

 

 障害者への福祉サービスを一元化し、利用料の原則1割負担を求める障害者自立支援法案が14日、参院本会議で自民、公明両党の賛成多数で可決された。衆院に送付、今国会で成立する見通し。

 同法案は、これまで身体、知的、精神の障害種別ごとに分かれていたサービス体系を一元化する内容。

 利用料が収入に応じた負担から原則1割負担に変わる一方、市町村の在宅サービスに対する国の財政負担を義務化し財政の安定を図る。

 現在公費補助がある精神障害者通院費用、人工透析患者など「更生医療」や障害児など「育成医療」対象者の医療費も原則1割に引き上げられる。

 施行は来年4月。 同法案は障害者団体などからの負担増への反発が強く、先の国会では審議が難航。

 衆院は通過したが、参院で審議中に衆院が解散されて廃案となり、今国会に再提出された。


◆コメント:まず、余計にカネを払わされても困らない人から取るべきなのに、正反対をやっている。

 

 障害者の自立を支援する、というのが大義名分だが、なんたる偽善的な名称の法案だ。

 1993年に障害者支援制度が出来てから、国の負担が増えて、困っている。これを減らそうと言うことなのだ。

 障害者は、知的、身体・精神の3種類に区別され、今まではそれぞれ別のサービス体系だったのを一元化する。というのはどういうことか。

 今までは、障害者の収入に応じて、公費補助額が決まっていたのだが、これからは、それは考慮しないのだそうだ。

 新法案施行後は、どの障害者であろうが使ったサービス(福祉制度)によって、決まった金額を払ってもらいますよ。ということなのである。
 常識で考えればすぐに分かるが、障害が重いほど、働いて収入を得ることは難しい上に、利用する福祉サービスは増えるだろう。

 ということは、弱者を更に追い込むということで、どうしてこういう法案を真っ先に可決するのか、理解に苦しむ。さすが、冷血漢小泉らしいやり口だ。



 重い身体・知的障害の人の収入(年金・手当、または、作業所での軽作業など、労働に対する報酬)は驚くほど、少ない。

 大阪障害センターが、30都道府県の四千数百人の障害者を対象にして昨年(2004年)行った調査によると、受け取っている年金(障害者年金)・手当の額は51,000円 が約60%で最も多く、3万円未満が30%強。

 何とか働けるという障害者の就労収入(要するに給料)は、77%が月額1万円にもならない。

 9月29日にサラリーマン所得は減っているのに定率減税廃止と言う話を書いた。

 そこを読んでいただくと分かるが、一番儲かっている企業に対する減税措置はそのままにして、給料が下がり、預金を取り崩している勤め人に対して増税をする。

 これだけでもかなりひどい。まず、余計にとっても困らないところの税率を引き上げるべきだろう。


◆負担増になっても相対的に「痛み」がすくないところから、まず、手をつけるべきではないの?

 

 云い方を変えて、一般論として述べる。

 税金と社会福祉とは別の体系だとは言っても、要するに構造改革というのは、国庫負担を減らしたいのだから、収入を増やすか、支出を減らすか、その両方をやるかの三通りしかない。

 それは、仕方がないとしても、まず負担が増える対象(人、法人)を考えて、あまり困らないところから、手をつけるべきである。

 それを、一番困る人からまず手をつけた。ここに致命的な欠陥がある。


◆この前、初めて当選した議員に182万円も給料をやる必要が本当にあるのか?

 

 冒頭に書いたとおり、「障害者自立支援法案」は偽善的な名称だ。実際には障害者により重い負担を強いて苦しめるのだ。

 それならば、言いたい。

 全体に与える影響は微々たるかも知れないが、国会議員がまず、収入を減らすべきだ。これを率先垂範という。

 小泉チルドレンは先日、まだ何も仕事をしていないのに早くも182万円の給料を受け取っている。

 これからも、たとえ、審議中に居眠りをしていても、年に2回、300万円超のボーナスを受け取る(どうせ、4年後には失業するだろうがね、片山さつき大先生あたりは生き残るのかな?)。

 無論、政治家には秘書給与とか、調査資料を集めるためには、ある程度金がかかるだろう。それは、想像に難くない。

 しかし、先天的後天的に障害を持ってただでさえ苦しんでいる障害者に(障害者が全員苦しんでいるとは、言わないが)、もっと苦しめ、というのだから、国会議員の先生方自ら、敢えて苦しんで「構造改革」するべきでは無かろうか?



 歳費(給料)だけではない。

 国会議員年金の廃止を検討とか何とか言っているが、なかなか、決めようとしない。 巨大与党なんでしょ? 審議しないでも一発で採決すればいいでしょう?

 そうすれば、あっという間に決まるでしょうに。 実際、本日郵政民営化法案は、解散前に審議していたとはいえ、あっという間に参議院でも可決した。

 それに比べれば、議員年金の廃止法案など、遙かに簡単だ。小泉首相が本気になれば、鶴の一声で決まるのに、未練がましくウジウジ長引かせている。

 そして、月収が10万円もない障害者から余計に金を取るという。どうやって生活するのか?

 障害者は厄介者だから、真綿で首を絞めるようにして死なせてしまおうということか?そう言われても仕方がないぐらい、冷酷な法律だ。

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楽天が経営統合申し入れ、TBSは「慎重に対応」 何が問題なのか。

◆記事1:楽天が経営統合申し入れ、TBSは「慎重に対応

 

 電子商取引最大手の楽天は13日、在京民放キー局TBSの発行済み株式の15・46%を取得して筆頭株主になり、TBSに対して、共同持ち株会社の設立による経営統合を申し入れたと発表した。

 同日夕、記者会見した楽天の三木谷浩史社長は、「経営統合により、日本初の世界に通用するメディアグループを目指す」と語った。

 これに対しTBSの井上弘社長は同日夜、記者会見し、「唐突な印象を受ける。慎重に対応を検討していくが、協議を始めたわけではない」と述べ、経営統合には消極的な姿勢を示した。

 TBS株については、村上世彰氏が率いる村上ファンドも7%程度を取得していると見られる。

 楽天が提案した経営統合は、両社が共同で持ち株会社を設立、楽天グループとTBSグループがそれぞれぶら下がる内容だ。

 持ち株会社への出資比率や、トップ人事は今後、協議するとしている。

 TBSのブランドや経営陣、人事制度などは統合後も引き継ぐほか、統合後も放送の中立性、公共性を保つため、第三者による諮問委員会を設立する。

 三木谷社長は、「TBSは技術力、コンテンツ(番組)制作の能力が高く、報道も強い」と述べ、経営統合で、インターネットとテレビの連動による広告料収入の拡大、TBS番組のブロードバンド(高速大容量通信)配信など、双方にメリットが生まれると強調した。

 プロ野球球団の東北楽天ゴールデンイーグルスを所有する楽天と、横浜ベイスターズの株式の過半数を持つTBSとの経営統合が、野球協約に抵触する恐れがあるとの指摘には、「コミッショナーとも相談して検討していきたい」と述べた。

 また、楽天の国重惇史副社長は、村上ファンドとの間では「TBS株については話はしていない」とした。

 楽天が13日、関東財務局に提出した大量保有報告書によると、楽天は8月10日~10月12日の間に2つの子会社を通じて2938万株のTBS株を所得した。取得金額は約880億円。

 13日午後には、三木谷社長がTBSの井上社長と面談、経営統合の提案書を提出して説明した。

 一方、TBSの井上社長は会見で、楽天とは以前から業務提携の話はしてきたとしたうえで「株を持つなら事前に明確な意思表示がほしかった。少々、心外な気持ちだ」と不快感を示した。そのうえで、経営統合の提案は「我々の思っていた提携のレベルと違う」と述べた。(読売新聞) - 10月13日23時16分更新


◆記事2:楽天KCで個人情報流出 紛失5千件、カード番号も

 

 信販会社の楽天KC(福岡市)は12日、クレジットカード番号を含んだ顧客の個人情報5518件分を記載した書類を紛失し、うち1186件分の外部流出を確認したと発表した。

 クレジットカード番号を使った不正取引は確認されていないが、不正取引があった場合、全額を補償する方針。

 同社によると、今月6日、東京都内の住民から「貴社の顧客リストと思われる資料が家の前に置いてある」との情報が寄せられた。

 11日に社員が確認したところ、同社の顧客情報1186件分の書類と分かり、警視庁丸の内署に届けた。

 楽天KCが調べたところ、同社の前身の旧「国内信販」時代に作られ、東京支店に保管されていた5518件分の個人情報を記した書類がなくなっており、見つかったのはこの書類の一部と判明した。 (共同通信) - 10月13日0時19分更新


◆コメント:どうして楽天はTBSの株を買ったのでしょうか。

 

 株式を上場している以上、誰が買ってもいい訳です。いいのですが・・・・。

 民間放送局は広告料で成り立っているから、たとえば、大広告主が社会的に大きな事件を起こしたり、問題的な行動をしても、報道できない。 報道機関としての民放は、そう言う意味では、本質的・構造的な欠陥があるのですが、それでもやはり、非常に影響力のあるメディアです。

 急に、他の会社に乗っ取られて、その会社の儲けのために都合の良い番組ばかりを放送することになったら、やはり好ましくありません。

 楽天のサイトで、企業情報・楽天の歴史というページを見ると、よくもこれだけ、と言うぐらいあちらこちらの会社を買収して、要するに、自社よりもずっと昔から商売をしてきた他の会社の株を買い占めて、子会社化して来たわけです。

 どうして、そう言うことをするかというと、これだけ色々な商売を楽天だけで、ゼロから始めるのは、絶対無理です。

 しかし、子会社化してしまえば、その会社の利益を連結決算では、楽天グループの利益になるわけです。

 グループとして大きくなればそれだけ社会的影響力が大きくなります。ブランド力が強くなり、お客さんがより一層集まり、即ち、今よりも、もっと儲かる。


◆敵対的買収とは何でしょう。

 

 「敵対的」と言っても、楽天が「TBSは敵だ」と考えているという意味ではありません。

 買収される側(TBS)が、取締役会でそれを了承する決議をしていないのに、買収を仕掛けることを言います。

 楽天がTBSの発行済み株式総数の過半数を買ったら、もう、TBSは楽天に完全に経営権を握られます。

 そこまで行かなくても、発行済み株式総数の3分の1を超える株を取得したら、株主総会での特別決議というのが為されても、拒否権を行使できる。

 全然関係ないけど、国連の常任理事国みたいですね。



 これは、いけないのか?と言われれば、上の段落で書いたとおり、別に犯罪ではないですから、いいのです。

 但しですよ。

 株式を買われる側は、今まで何十年もかけて築いてきた商売、会社の経営権を、突如、赤の他人に奪われたらやはり、愉快ではない。

 TBSの社長が「「株を持つなら事前に明確な意思表示がほしかった。少々、心外な気持ちだ」と記者会見で、発言しているのを見れば分かります。

 ただ、フジテレビの例が今年前半に有った訳ですし、TBSは赤坂の一等地にある。あの施設の資産価値だけでも大変なものです。

 当然、TBS株を買い占めて、どこかに売り付けたい。と言う投資家は沢山いたはずです。 

 TBSに昔からの安定的な大株主がドーンといてくれたら、手出し出来なかったけれども、あいにくTBSにはそういう大株主がいないのです。

 M&Aの専門家は危ないな、と思っていたのです。TBSも用心が足りなかったですね。


◆本当に「世界に通用するメディア」を目指しているのかは分からない。

 

楽天の三木谷社長は、テレビとインターネットが統合すれば、新しいメディアが出来るといっています。ホリエモンもそんなことを言っていました。

 しかし、それが本当かどうか分からないです。

 テレビは影響力は非常に大きいので、TBSの放送を利用して、楽天ショッピングをもっと利用させようとか、そう言うことを考えているだけかも知れない。

 或いは、TBSの株をどんどん買い占めると株価は上がります。最近TBSの株価は急騰していて、今日だけで500円以上も値上りしています。後で詳しく書きますが、上がったところで売るつもりかも知れない。


◆村上ファンドとどうして同じタイミングなのでしょうね。

 

 楽天の他に、村上ファンドが一緒に買っているのです。

 村上ファンドというのは投資家ですから、別に放送事業に関心があるわけはない。

 楽天の社長は村上ファンドとはTBSについて話していない、といっていますが、本当かどうか、少し、疑わしい。

 投資家というのは、株が安い時に買って、上がったところで売って差益で儲けて食っているわけです。

 そういう会社は、別に悪いことをしているわけではないのですが、楽天のTBS株購入のタイミングがあまりにも村上ファンドと符合している。

 もしかすると、楽天の真の目的は、株価が上がったところで、TBSに「買収されたくなかったら、この株を買い戻してください」と迫ることかもしれない、という憶測ができます。

 あくまで憶測です。真意は不明です。

 しかし、もし、そうなったらTBSの株価は急落するでしょう。他の株主が大損害を被る恐れがあります。


◆グリーンメーラー

 

 このように、本当に会社の長期的経営権を得ることが真の目的ではなくて、短期的な投機のために有る企業の株を買い占める人(会社)をグリーンメーラーというのです。

 相場は、株でも債券でも、外国為替でも、上がったり下がったりするものですから、本当は、株に手を出すからには、損をする覚悟が必要です。自己責任です。

 しかし、個人投資家も守らなくてはいけません。

 特に最近は、金利が低いから昔のように銀行で定期預金なんか作っても、殆ど儲からない。収入も減っている。 

 少しでも家計の足しに、というので株に手を出す素人の個人投資家が増えていますから、この人達のことも証券市場を管理する役所は考慮しなければならない。

 だから、最近、大量に株を取得する者がいたら、すぐに分かるように、インターネットから報告書を見ることができるシステムとかを作ったのです(EDINETといいます)。

 普通の投資家が大損して、株を買わなくなったら、株式市場は大暴落して、企業は保有している株の含み益がぶっ飛んで、戻りかけているかも知れない景気が冷めてしまう。

 金融庁と、その中の一部署、証券取引等監視委員会はよく見ていてもらいたいですね。


◆コメント2:TBS株買い占めとは関係ないけど、楽天の社長会見で気になったこと。楽天KC個人情報流出。

 

 記事2に載せましたが、昨日(12日)、楽天グループのクレジットカード会社、楽天KC(旧国内信販)から最大5,518件の個人情報が流出したことが、明らかになりました。

 今日の三木谷社長の会見はそれに、全く言及していなかったのではないかと思うのです。私の聞き逃しでしょうか。

 昨年のYahoo!BBの400万人に比べれば数は少ないけれど、そういう問題ではない。 顧客情報流出というのは、とんでもない不祥事なのです。

 三木谷社長が記者会見で何も触れなかったとすれば、ちょっと経営者としては、認識が甘いと思います。

 株よりそちらの方が深刻な問題なのです。

 この問題を記者会見で問い質さなかったマスコミにも、何をやっているのだ、と言いたくなります。

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2005.10.12

郵政法案、参院で審議入り…14日採決へ←金融機関が無くなってしまう過疎地が増えるのです。

◆郵政法案、参院で審議入り…14日採決へ

 

 政府提出の郵政民営化関連法案は12日午前、参院本会議で趣旨説明と質疑が行われ、審議入りした。

 質疑では、民主党の尾立源幸氏が「参院での審議を通じて法案を修正するつもりはあるか」などと政府側の対応をただした。

 これに対し、竹中郵政民営化相は「(前国会提出の郵政民営化関連法案と)骨格を変えることなく再提出している。(衆院選で)多くの国民の信任を得ており、修正する必要はない」と述べた。

 本会議に引き続き、参院郵政民営化特別委員会でも同法案の提案理由説明が行われた。13日には、同特別委で小泉首相らが出席しての質疑が行われる。

 また、与野党は12日午前の同特別委理事懇談会で、同法案の採決を14日に行うことで合意した。

 与党は同日中に参院本会議に緊急上程し、可決・成立させる方針だ。(読売新聞) - 10月12日13時38分更新


◆コメント:郵政民営化の問題点「官から民へ」とか言うからわかりにくいのだ。

 

 ちょうど一ヶ月前に、「郵政民営化賛成」と言って自民党に投票した人も、具体的に「何がどうなるか」良く分かっていないと思います。

 正直に言えば、私も全ては分かりません。わざと分かりにくく複雑にしてますからね。与党案は。

 郵政民営化反対論が理解されにくいのは、議論する人がエコノミストとか、この問題をずっと勉強してきた議員などが、「350兆円の資金の流れが云々」という、民営化された郵政事業の財務運営という、かなり専門的な話から入るからではないかと思います。

 勿論それはそれで、大変重要なことなのですが、一般有権者に対しては、まず、郵便や郵便貯金はどうなるのかという分かりやすい話の方が取っつきやすい。


◆郵便局は、4つの会社に分かれて、どうしてもやらなければいけないのは、郵便を受け付けるのと印紙の売りさばきだけ。

 

 今、郵便局は、郵便事業(郵便を受け付ける窓口の仕事、郵便を集配する仕事)、郵便貯金、簡易保険という3つの仕事を日本郵政公社という一つの国営会社がやっています。

  ところで、郵政民営化は構造改革の第一歩、と小泉首相は云っています。

 普通改革とは「合理化」であり、「バラバラのものを統合する」のです。複数の会社を一つにまとめるのです。民間の常識では。

 しかし、郵政民営化では、日本郵政公社の下で黒字で運営されている一つの会社をわざわざ4つの会社に分割するのです。

 それは、

 


  •  窓口ネットワーク会社

  •  郵便事業会社

  •  郵便貯金銀行

  •  郵便保険会社


 です。

 何故、今は3事業なのが4つになるのかというと、郵便事業を窓口ネットワーク会社と郵便事業会社にわけるのです。

 今現在、我々が「郵便局」と呼んでいるところはほとんどが、「窓口ネットワーク会社」になる。

 つまり、郵便や小包を受け付けたりするのと印紙を売るのだけが、仕事です。

 郵便を集配するのは郵便事業会社ですが、民間企業になりますから、不採算なところは、集配回数を出来るだけ少なくする。

 或いは、窓口ネットワーク会社は子会社に委託することになる。

 さらにですよ。

 窓口ネットワーク会社は郵便の取り扱いはやらなければいけないのですが(郵便局株式会社法案要綱の第2条を読んでみて下さい)、郵便貯金と簡易保険は、経営判断に任されます

 民間企業だから、不採算なところは絶対に、廃止になります。

 ということは、地方の過疎地帯で銀行もなく、唯一貯金を預けることが出来た機関、金融機関だった「郵便貯金を扱う郵便局」がなくなってしまうのです。

 言い換えれば、金融機関が無い、という不便な場所が日本のあちらこちらに出来てしまうことになるのは、ほぼ自明です。

 完全民営化は10年後です。その頃、今郵政民営化賛成と言っている人の殆どは、内閣にいないでしょう。無責任な話です。


◆郵便局はなくさないといっているのは、窓口のこと。

 

 小泉や竹中は「過疎地の郵便局もなくさない」といっていますが、それは、今、述べたとおり「窓口ネットワーク会社」です。

 そこで郵便貯金や簡易保険を扱うかどうかはそれぞれの会社の判断ですから、用は郵便を受け付けるところだけが残るのです。郵便配達の頻度は減るでしょう。


◆そういうことを説明しないで、「公務員の既得権を許していいのか!」と問題を誤魔化したのが小泉です。

 

 日本郵政公社の職員の給料は税金は全く投じられておらず、はがきや切手を売った収益でまかなった独立採算の黒字会社だったのに(9月11日に書きました)、わざわざ、これを解体して、4つにする。

 その結果、お金を預けることや、何の生命保険にも入れない人が増える、ということをわざと説明しなかった。

 完全民営化されるころには、何度も書きますが、小泉も竹中も悠々自適で、「知ったことではない」というでしょう。

 完全に民営化されるまでには、まだ、10年あります。

 法律を廃止する法案というのも出せるわけですから、今度の選挙までには、有権者はもう少し情報を集めておいた方が良いと思われます。

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杉原千畝氏の話はそのまま素直に感動すればよいのである。

◆日本人だけが、ケチをつけたがる、杉原千畝氏の物語。

 

 日本テレビでドラマを放送していた。

 Googleで日本語のサイトを「杉原千畝」で検索すると、約53,700ページヒットする。 

 検索結果を見ると、数件目に、「ねつ造」とか、「政治利用」などの文字が目に入る。

 世の中には、このような美談を聴いたり、読んだりすると、なんとか、ケチをつけたくなるひねくれた人がいるようだが、非常に卑しいと思う。

 こういう話は、あら探しをしないでいいのだ。 例え、杉原の行為を外務省が黙認したとしても、杉原が後で受勲していようがいまいが。



 英語で検索すると、35,400件である。

 英語の検索結果を見ると、細かい事はさておき、とにかく、杉原はユダヤ人を救ったのだ。その事実は変らない。と賞賛しているのが大勢を占める。

 私は4年以上前に、たまたま、アメリカのソルトレイクシティ(ユタ州)の"The Salt Late Tribune"という新聞が、過去何度も杉原千畝の話を掲載して、讃えているのを見つけた。

 但し、11年も前(1994年)の記事なので、5ドルぐらい払って買わなければならなかったが、それぐらいどうでもいいから、何としても読みたかった。

 これは、日本では諸説紛々としているのを承知の上で、それでも手放しで、杉原氏を賞賛していて、胸が熱くなる。

 無論、ユダヤ系のアメリカ人が書いた記事だろうが、それはつまり、「杉原の命のビザによって救われたユダヤ人とその子孫が、杉原氏の死後、なお、感謝している」ことを雄弁に物語る。

 当時の米国政府が日米関係に考慮してこの記事を書かせたとは思えない。

 何故なら、ユタ州のソルトレイク・トリビューンですよ。完全な田舎新聞(失礼だが)である。

 広報的意図があるなら、NYタイムズとかワシントンポスト(これらも勿論杉原を取り上げたことがあるのだが)を使うだろう。

 したがって、この記事は、完全なる善意(感謝)によって書かれたと考えるべきである。


◆記事:「杉原千畝、自らの職を賭して、ユダヤ人の命を救った、物静かな英雄」(1994年3月24日付 Saltlake Tribune紙 翻訳)

  

  1940年の初夏のある日、リトアニアに駐在していた日本人外交官、杉原千畝は、早朝5時15分、窓の外のざわめく音で目が覚めた。

  そっとカーテンの隙間から外をのぞいて、彼はひっくり返るほど驚いた。そこには何百人という外国人がひしめいていた。

  杉原は、何か暴動が起きたのかと勘違いして、妻子にクローゼットの中に隠れていろ、と少々狼狽気味に言った。

  彼は、あたらめて、領事館の外の人々を見た。彼らに、自分(日本)に対する敵意は無かった。彼らはただ、絶望していた。

  彼らの目は真っ赤に充血して、幾晩も寝ておらず、疲れ切っているようだった。髭が伸びきった老人、まだ幼い少年。赤ん坊を抱いた母親・・・・。

  彼らは、杉原の姿を見つけると、祈るように、黙って手を組んで哀願する意思を示した。

  この人々は、迫り来るナチスから逃げようと必死の、ユダヤ系ポーランド人達だった。 



  ユダヤ人達にとって、杉原だけが生きながらえる最後の頼みの綱だった。

  ポーランドからヨーロッパの他の地域への出口は既にナチスによってふさがれていた。

  唯一の逃げ道は、リトアニア経由でソビエトの奥地を通り抜けてウラジオストクに行き、そこから日本へ渡るルートだった。

  彼らの願いは杉原に、普通の人間は一生経験しないほどの辛いジレンマをもたらした。

  人としての良心と国家の命令との板挟み。

  生と死。

  ユダヤ人にビザを発行することは、「ユダヤ人に構うな」という祖国の命令に背くことになる。

  当時40歳の外交官だった杉原は、東京の本局に3度至急電報を打って、ビザ発行を許可してくれるよう申請した。3度とも拒否された。

  彼は、ずっと後、死の前の年に、在日米軍の新聞、"Stars and Stripes"紙のインタビューに答えて、こう言っている。

  

 「私は、何とかしなければと、思いました。ユダヤ人達はもしナチスの手にとらえられたら、どれほど恐ろしい運命が待ち受けているか、と私に向かって必死に訴えました。

  私は彼らを信じました。そして、彼らを助ける以外の選択は無い、と考えました」

 「私は倫理的な見地から考えなければいけないと思いました。私が彼らを突き放せば彼らは殺される。しかし、私は命令に背いてもクビになって、帰国するだけです。選ぶ道は明らかでした」



 杉原は、1940年7月31日から28日間、日本政府が杉原にリトアニアからベルリンへの転勤命令を出すまで、手書きのビザを書いて、書いて、書きまくった。

 朝から晩まで、一人一人と面接して次々にビザを発行した。あまりの重労働に彼はみるみる痩せ、衰弱した。

 杉原の妻、幸子(ゆきこ)までもがストレスで参ってしまい、生まれたばかりの子供の面倒を十分に見てやれないような状態になったほどだった。

 しかし、それでも、杉原はベルリンへ転勤するため、領事館を引き払いホテルに移ってからも、そして、ドイツへ向かう列車に乗ってからも、最後の最後まで、ビザを書き殴り、窓越しにそれを待つ人たちに渡した。

 彼が書いたビザは合計約1600枚だったと推定される。しかし、一家族には一枚のビザで足りるので、これにより、6000人のユダヤ人の命を救ったのだ。 

 ベルリン行きの列車がついに動き出したとき、杉原はユダヤ人に向かって深々と頭を下げて謝った。 

 
「残念ですが、これ以上書けません。申し訳ない。皆さんの無事を祈ります」

 幸子夫人は今でもその時、残されたユダヤ人のショックの表情を忘れられないという。それでも、列車が動き出した時、誰かが叫んだ。

 「ニッポン、バンザイ!」

 「杉原さん、私たちは絶対に貴方のことを忘れない!」

 ユダヤ人難民は皆遠ざかる列車に向かって叫んだ。

 「また、会いましょう、必ずね!」 

 殆どのユダヤ人は、2度と杉原に会うことは出来無かった。しかし、彼を忘れる者はいなかった。

 マサチューセッツ、Farmingtonで既に隠居しているメリヤス商、サミュエル・ミンスキーさんは、杉原のビザのおかげで、母と兄弟と一緒に日本を経由してアメリカに移住出来、アメリカで父にも再会出来た。

 「皆、シンドラーの事ばかり話題にする。しかし、彼はユダヤ人を彼の工場で、ただ同然の労働力として働かせたのです。

 勿論、シンドラーを否定はしません。しかし、我々はもうひとり、信じがたい善行をただ、自らの良心に基づいて実行した偉大な人物を忘れてはなりません。」

 「杉原は、彼の行いにより、カネを儲けるどころか失ったものの方が遙かに大きいのです。彼の善意がなかったら、私は、絶対に今ここでこうして生きていられなかったでしょう」

 杉原は控えめな人で、自分の英雄的行為について、自分の兄弟にすら、何十年も話さなかった。だから、彼は日本では何の評価も受けていなかった。

  杉原は、この世を去る前年、こういった。 

 
「彼ら(ユダヤ人難民)は紛れもなく、人間なのです。その彼らが助けを求めてきたのです。私は、あれを実行するだけの決心が出来たことを嬉しく思います。日本人にとって、これは当たり前の事をしたに過ぎないのです。」 

◆コメント

 コメントは、要らないでしょう。

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2005.10.11

憲法世論調査:9条改正「反対」は62% (毎日新聞) 与党は、国民投票は包括で投票させようとするでしょうから、要注意。

◆記事:憲法世論調査:9条改正「反対」は62% (毎日新聞)

 

 毎日新聞は憲法問題について、全国世論調査(面接)を実施した。憲法改正に「賛成」と回答した人は58%で、「反対」の34%を上回った。

 戦争放棄や戦力の不保持を定めた9条については「変えるべきでない」が62%で、「変えるべきだ」の30%の2倍に達した。

 衆参両院の憲法調査会や自民、民主、公明各党による論議で国民に改憲への支持が広がる一方で、自民党が重視する9条改正についてはなお慎重な国民意識を示した。

 調査は9月2日から4日まで全国の4550人を対象に実施し、2418人から回答を得た。

 調査方法が異なるため単純に比較はできないが、昨年4月と今年4月の電話調査では、憲法を「改正すべきだ」が6割程度、「改正すべきでない」が3割で、ほぼ同じ傾向となっている。

 男女別では、男性は改憲派62%、護憲派33%であるのに対し、女性は改憲派54%、護憲派36%だった。

 世代別では30、40代で改憲派が各65%と最も多く、20~60代の各年代で5割を超えた。

 70代以上では賛成44%、反対40%と拮抗(きっこう)している。



 同時に、9条改正について聞いたところ「変えるべきでない」との答えが男性で57%、女性は67%に達した。

「変えるべきだ」は、男性が38%、女性は23%にとどまった。

 世代別では、20代の70%が9条改正に反対したのをはじめ、30、50、70代以上の各世代で6割を超えた。改正賛成派は40代の36%が最高。

 9条改正賛成派にどの部分を変えるべきかを聞いたところ、戦力不保持と交戦権否認を規定した2項だけを「変えるべきだ」と答えた人が50%と最多。戦争放棄を定めた1項と2項の「両方とも」が35%と続き、1項だけを「変えるべきだ」は13%にとどまった。

 憲法96条の規定で、改憲には

(1)衆参各院の総議員の3分の2以上の賛成による発議

(2)国民投票で過半数の賛成--が必要。

 今回の衆院選で自民、公明両党は衆院の3分の2を超える327議席を獲得している。(毎日新聞 2005年10月5日 3時00分)


◆分かりやすく書くと、こうなる。

 憲法全体を考えると(9条に限らずということ)、

憲法改正に 

賛成:58% 

反対:34%。

「第9条だけ」に関しては、

「変えるべきではない」:62%

「変えるべきだ」:30%

変えるべきだと回答した人のうち、

「第2項だけを変えるべきだ」:50%。

「1項、2項両方」:35%

「1項だけ」:13%

【為参考】

憲法第9条

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

第2項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権はこれを認めない。


◆所感:憲法改正と言ったら9条に決まっている。

 

 一般常識では憲法改正=9条をどうするか、に決まっている。

厳密に言うと、憲法学者などは、環境権とかプライバシー権など新しい人権に関する条文を加えるべきだ、というひとがいるが、

毎日新聞のアンケートの回答者が本当に無作為に抽出された一般人だとすると、そこまで勉強している人はあまりいないのではないか。

そうすると、憲法を変えるべきだというひとが約60%いるのだが、9条に関しては、62%が変えるべきではないと回答している。

 それでは、「とりあえず改憲に賛成」の58%の人は、他のどの条項を変えようとしているのであろうか?今の憲法で、何か都合の悪いところってありますか?

 とはいえ、9条に関しては、3分の2の国民が反対だといっている。

 憲法改正には国民の過半数の賛成が必要だ。しかし、安心するのは早い。


◆注意すべきところはなにか。

 

 自民党は憲法改正草案を作っているが、前文に「国を愛する心」とかなんとか入っていて気にくわない。

 愛国心を最高法規たる憲法で規定するべきではない。

 無論、自分の国が好きなら好きで自由だが、それを上から強制するのは、特定の思想・信条の強制である。

 まあ、それは、まだいい。

 憲法改正にあたり国民投票が必要だから、与党は、国民投票の手続きを定める国民投票法案も決めようとしている。

 気をつけなければいけないのは、上の世論調査は、最近大体いつもこういう結果だ。憲法改正には賛成だが、9条は変えてはいけない。 与党はこのことを認識している。

 だから、個別の条文で国民投票したら、9条はまず確実に変えることはできないことも承知している。

 ところが全体ひとまとめの国民投票にしたら、58%は賛成だから、過半数を軽く超えてしまう。

 とにかく小泉政権は狡いから、よくよく注意しなければいけない。

 かならず、包括案に対する投票、つまり、項目一つ一つではなくパッケージで提案してきて「これに対して賛成ですか?」と訊いてくる。

 訊いてくるというか、そういう投票方式にしようとするだろう。そこでうっかり賛成といったら、おしまいだ。

 「9条改正には賛成するつもりで無かったのに」、といっても後の祭り。


◆憲法改正も黒幕はアメリカだからね。そのこと忘れないでくださいね。

 

 9月30日にアメリカが日本に毎年突きつける年次要望書について書いた。

 素朴に考えて、何故、今、それほどあわてて憲法改正しなければいけないのか?と思いませんか?

 郵政民営化もアメリカの要求だったことが、9月30日の日記からリンクしたアメリカの年次要望書を読めば分かる。

 憲法改正も米国の圧力だ。

 しかし、何でもいいなりになるのは、止めるべきだ。

 イラク復興に50億ドル拠出し、イラクに自衛隊を派遣したというのに、アメリカは6カ国協議にも熱心ではなく、日本の常任理事国入りに中国と結託して反対した事実を思い出してください。

 知らなかった人は、今、ここで、覚えてください。

 先週はラムズフェルドが普天間基地に関する相談にくる(来日する)はずだったが、急にキャンセルした。

 こういう一連の動きをみれば、如何に日本政府がナメられているか分かろうというものだ。小泉さん、そろそろお払い箱なのかも知れぬ。

 郵便局民営化が決まれば、数年後民営化したところで、米国の投資家が買収する目処が立った。多分、ブッシュにとって、小泉首相は用済み。ご苦労さんでした、ということだろう。 

 小泉首相が権威を維持できたのは米国のサポートのおかげ。 見捨てられたら、党内に味方はいない。

 そう言うことを考えると、憲法改正するべきではない、と私は思います。

 郵政民営化は手遅れですが、国民が選択したのだから諦めるしか、無い。

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2005.10.10

オーケストラを聴いてみたら、意外に良かったという嬉しいメールを頂きました。

◆音楽のことを書いて、感想を頂けたときってのは嬉しいですねえ。

 

 私が毎日ここに記す駄文にお付き合い頂ける方が大勢いて下さるのは、誠に有難い事です。

 感想・・お褒めの言葉を頂戴すると、大変な励みになります。また、少しへこんだときに激励して下さったり、気にかけて下さったりする方が大勢おられて、人の情けが身に沁みます。

 それから、私はときどき、素人の分をわきまえず、クラシック音楽について書きます。

 僭越なのですが、お奨めCDを紹介することが多いのですが、これに興味を持って買って聴いてくださって、なかなか良かったというご感想のメールを頂くことがあるのですが、これは本当に嬉しいです。


◆今日は、オーケストラのコンサートにいらっしゃった方がわざわざメールを下さったのです。

 

 勿論、HNを含めて、どなたかということは申し上げられませんが、半年ほど前から、拙文に目を通してくださっていて、

 オーケストラというものに興味を持ったので、コンサートに行ってきたら、なかなか良かった。また行ってみようかと思う、というご趣旨でした。

 これは嬉しかったなあ。

 実は今、世界で最も優れたオーケストラの一つである、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が来日してます。

 全国を回っているのですが(といっても、勿論それなりのコンサートホールがある大都市になります)、その方は西日本のある街での土曜日のコンサートにいらっしゃったのです。

 プログラム(そのコンサートで演奏される曲目。又はそれを記したパンフレットのこと。今は勿論、ネットでも分かります)を見て驚きました。


◆オール・シューベルト・プログラム

 

 オール・シューベルト・プログラム、つまりシューベルトの曲ばかりのコンサートだったのです。これは珍しい。

 シューベルトってのは、歌を沢山書いた人ですからね。歌曲の王なんていわれて、

 3大歌曲集(冬の旅、美しき水車小屋の娘、白鳥の歌)のどれか一つを声楽家がリサイタルで歌う、というのは、普通です。

 「冬の旅」も「美しき水車小屋の娘」も24曲とか25曲ありますから、これを取り上げるなら、その晩のコンサートは他の曲を歌う余裕は余りないです。



 しかし、オーケストラコンサートでオールシューベルトは、私は他にやった人の記憶がないなあ。

 勿論調べれば、過去にも例はあるでしょうが、かなり珍しい。

 ロザムンデ序曲という、比較的短い曲で始まり、その後、交響曲(シューベルトは9曲書いています)の最後の3曲を演奏している。

 こういうプログラムは、かなり勇気がいる。

 普通は、3曲ぐらい全部別の作曲家が書いた作品を演奏する。そうしないと、変化に乏しくなり、お客さんが飽きてしまうのです。

 それでも、モーツァルトとか、ベートーベンなどの「超大家」は駄作が少ないし、(異論もあるでしょうが)クラシックを聴く人ならば、聞き慣れた曲ばかりで安心感がある。

 だから、オール・モーツァルト・プログラム、オール・ベートーベンプログラムというのはそれほど極端に珍しくはないんです。

 しかしながら、オール・シューベルトは珍しい。

 第一、演奏する方がかなりしんどい。シンフォニー3曲、つまり、7番、8番(未完成交響曲)、そして最後の交響曲第9番(「ザ・グレート」、という名前を付けていることが多い)を下手なオケがやったら、

 聞き手が飽きてくると思うのです。これは、演奏者の集中力と体力が保たないからです。


◆同じ作曲家だけ並べても、特色を弾き分けて、お客さんを飽きさせない、という自信があるのですよ。

 

 つまりですね。同じ作曲家の作品ばかりやっても、それぞれ曲想の違いをはっきり出して、お客さんを飽きさせない、という自信。

 そして、その自信の元になる音楽性、技術、体力があるから、こういうプログラムを組むことが出来る訳です。

 さすがは天下のウィーン・フィル。最後の交響曲第9番の最終楽章は、テンポが早くて、弦楽器は大変なのです。

 それまで何曲も演奏しているので、疲れていることは間違いですから、これは、体力です。音楽家、演奏家は体力が無いと絶対になれません。


◆生のコンサートは再生された音楽とどこが違うかというと、コンサートホールでは身体で聴くのです。

 

 オーケストラコンサートに行って、ステージ上、客席からみて、指揮者の左側で、一番客席に近いところに並んでいるヴァイオリン奏者の集団が第一ヴァイオリンです。

 この人達が、どういう姿勢で演奏しているか、見てみて下さい(他の楽器でもおなじなのですが、第一ヴァイオリンが一番よく見えるということです)。

 椅子に座ってますが、ふんぞり返って弾いている人はいないはずです。みんな少し足を開いて、やや前傾姿勢で、足の裏はぴったりとステージの床に接触させています。

 これはですね。ヴァイオリンを弾くと、顎で軽く挟んでますから、ヴァイオリンが音を出すと、その音、振動が奏者の顎から胴体、脚、足を通してステージの床に伝わるのです。

 その振動は、客席の床に伝わり、客席のお客さんの足の裏を通して、お客さんの身体に伝わっているのです。

 コンサートでオーケストラ全体がフォルテで、ズシン!と音を鳴らすと、こちらの腹に「ズシン!」と伝わるのが良く分かります。

 勿論ヴァイオリンだけではなく、全ての楽器の奏者はそのようにして、自分の身体を通して少しでもコンサートホール全体をならし、ひいては、お客さんにそのエネルギーが伝わるように心がけているわけです。

 器械で再生された音楽の場合、オープン・スピーカーの、ある程度大きなもので聴くと、コンサートよりは遙かに小規模ですが、やや似たようなことが起ります。

 しかし、ヘッドフォンで聴いていると、耳から伝わった振動が頭蓋骨に共鳴していることはあるでしょうが、身体全体では聴いていません。そこが違うのです。

 勿論、毎日コンサートに行くことなど出来ないし、好きなときに自分の好きな音楽を聴くことができるのですから、音楽の録音・再生技術というものは大変有難いのですが、

 一度、100人のオーケストラが出す音を全身で聴いてみると面白いと思いますよ。

 今日、メールを下さった方も、勿論意識なさらなかったでしょうが、そういう独特の経験をなさっているわけで、是非またコンサートホールにいらっしゃって下さい。


◆おすすめCD:バーンスタイン、コンセルトヘボウによるシューベルト8番、5番

 

 今日のお奨めはウィーンフィルにも負けないぐらい、世界有数の名オーケストラ、アムステルダム・コンセルト・ヘボウを、「ウェストサイドストーリー」の作曲者ですが、指揮者としても非常に芸術的な才能を発揮した天才、バーンスタインが振ったものです。

 未完成はいいけど、5番なんて知らないよ、と言う方多いでしょうけれども、全然未完成とは異なる、明るい、軽やかな思わず鼻歌で歌ってしまいそうな、第1楽章の第1主題は一度聴いたら忘れないです。可愛い音楽です。

シューベルト交響曲第8番ロ短調D.759「未完成」&交響曲第5番変ロ長調 です。

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2005.10.09

大阪高裁の判決に関して、「傍論で違憲」というのがわかりにくいみたいですね。

◆まえがき:なかなか、本件判決文原文を読めないのです。

 

 この事件は、まだ判決文全体を読むことが出来ないのです。

 憲法が関係すると、判決文の発表が遅れるのでしょうか。

同じ日に知的財産権を専門に扱う知財高裁が、ジャストシステムの一太郎に逆転勝訴判決を出したのですが、これは既に、知財高裁のサイトで判決文を読むことが出来るのです。

 だから、仕方がないので、新聞に掲載された【要旨】を元に書きます。

 本当は、一次資料に当たらないといけないですよね。

 要旨というのは、要約する人の主観が混入するわけです。

 人によって、「何が大事な部分か」とか「ここは、捨象して(はぶいて)良いか」という判断が少しずつ異なるわけでしょう?

 本当は大切な一言が、主観で、或いは、意図的に書かれていない可能性がある。

 裁判の判決文に限らず、人の発言とか、著述に対して所見を述べる際は全部を読まないといけないですね。


◆解説1:9月30日大阪高裁の損害賠償請求事件判決の説明。復習。付随的違憲審査制

 

 まず確認したいのは、これは、「損害賠償請求」の裁判だということです。民事裁判です。

 訴えの目的(難しく言うと「訴訟物」といいます)は「損害賠償請求」です。

 原告は、「違憲」という言葉の方が欲しかったのでしょうが、10月2日に書いたとおり、現行法では、総理大臣の靖国参拝が違憲かどうかを直接的に判断してもらう「憲法訴訟」という制度がないので、このように、民事訴訟などに付随する形で、違憲判断を示す、「付随的違憲審査制」がとられている。

 だから、判決主文に合憲とか違憲とか書きようがないのです。


◆解説2:この判決がでるまでの裁判所の考え方。

 


  1. あるひとが、小泉首相の違法行為(今回は違反した法律が憲法なので違憲行為といいますが、違憲行為は違法行為の一種です)によって損害を受けたので、損害賠償しろ、といいました。

  2. 裁判所は、従って、(1)小泉首相の行為は違法(違憲)かどうかを判断し、(2)それによって損害を与えているか、を判断しなければなりません。両方が認められないと、損害賠償請求を認めることはできません。

  3. 今回は原告は、小泉首相の憲法に違反した行為で損害を受けたといっているのですから、裁判官が、小泉首相の行為が違憲かどうか判断するのは当たり前です。そして、小泉首相の行為(靖国参拝)が違法(違憲)だ、と判断しました。

  4. 次に、この行為が原告が主張するような損害を与えているかどうかを考え、損害は生じていない、と判断しました。

  5. 結果的に、小泉首相の行為は憲法に違反しているけれど、原告に損害は与えていないから、損害賠償請求は認められない。といったのです。


 このように見てみると、論理的に裁判を薦めていく上で、裁判官が小泉首相の行為が憲法に違反しているかどうか考えるのは自然であり、むしろ考えなければ不自然です。

 ところが、損害賠償は認められない。という結論だけを見れば、結果的には3の部分は絶対必要なものではなかったのです。このような思考過程が「傍論」と呼ばれます

 私のブログ、JIROの独断的日記ココログ版に、大阪高裁判決に判決文の傍論制限の必要性を感じるという、トラックバックが寄せられましたので説明したのですが、今までの説明で分かると思いますが、それは、無理です。

 繰り返しますが、傍論かどうかは、結論までの考察過程を全て書き表し、初めてどこが傍論か分かるのですから。


◆解説3:司法が政治に口を出している、というのは、見当違いだと思います。

 

 新聞も世間も、最初に書いたように、人の思考・思想を理解するときは全体を把握するべきで、一部だけを取り出して強調するべきではありません。

 今回は、判決文の中の

本件各参拝の違憲性について 本件各参拝は、宗教団体である靖国神社の備える礼拝施設である靖国神社の本殿において、祭神に対し、拝礼することにより、畏敬(いけい)崇拝の気持ちを表したものであって、客観的に見て極めて宗教的意義の深い行為というべきである。また、本件各参拝は、内閣総理大臣の職務を行うについてなされた公的性格を有するものであり、小泉首相は、3度にわたって参拝したうえ、1年に1度参拝を行う意志を表明するなどし、これを国内外の強い批判にもかかわらず実行し、継続しているように、参拝実施の意図は強固であった。以上は一般人においても容易に知りうるところであった。

 というパラグラフ。それも、特に「国内外の強い批判にもかかわらず実行し、」というところだけを強調して、裁判所が政治的な判決をしている、というような扇情的な報道や意見が見られますが、これは、まるで、おかしい。

裁判所が首相の靖国参拝を憲法に違反すると判断したのは、


  • 職務行為性:小泉首相の靖国参拝は職務行為の一部として為されている。その理由は、公用車を利用し、内閣総理大臣秘書官を伴い、靖国神社では、「内閣総理大臣 小泉純一郎」と記帳していること。靖国参拝を公約に掲げており、その実行と認められること、など。

  • 参拝行為自体の違憲性:ただ靖国神社に行くだけでなく、祭神に対して拝礼することにより、畏敬崇拝の気持ちを表しており、客観的に見て宗教的な行為である。

  • 反復性、能動性:小泉首相は3度に亘って靖国神社に参拝した。更に、1年に1度は参拝する意思を表明している。また、首相は、誰かに強制されて靖国神社を参拝しているのではなく、自らの自由意思に基づき実行していることは、国内、国外の反対があるのにもかかわらず、参拝を繰り返していることから、容易に察知できる。


という根拠にもとづいているわけです。

そして、問題となっている「内外の反対」は、3の「能動性」を示す根拠として使われているのです。反対があるのに強行している、といっているのです。

どこの国のどういう意見に配慮するべきだというようなことは全く書かれていない。これを、「裁判所が国際情勢を勘案して政治的な判決をした」というのは「曲解」です。

もしも、裁判所が、「周辺アジア諸国の反日感情を顧みるとき、内閣総理大臣たるもの、安易に靖国神社に参拝するべきではない」(そんなことを書くわけがないけれど)と書いたら、それは政治的だといわれてもしかたがない。

 くどいようですが、政治情勢や、行政府の政治的判断に関する論評に相当する記述はないのです。 だから、本判決において、裁判所が政治に介入しているというのは全然見当違いです。


◆結論

 

 判決文における傍論は、判決にいたる考察過程で自然に生じるもので、判決の結論まで至って、初めてどの部分が傍論か決まるのであるから、傍論を禁止するのは論理的に不可能。

 「国内外の反対」は小泉首相が靖国神社を参拝する意思の強さを示すために使われた表現である。首相の靖国参拝に反対する意見が、日本国内と、国外にあるのは客観的事実なので「国内外」と記したものと思われ、首相の外交政策を批判するなど、政治的な見解・論評・批判は書かれていない。よって本判決が政治的だとは認められない。 以上。

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2005.10.08

「首相、『郵政民営化実現は政界の奇跡』」(小泉首相)、「イラク侵攻は神の命令」(ブッシュ大統領)2人とも危ねえな。

◆記事1:首相、郵政民営化実現は政界の奇跡――衆院郵政民営化特別委

 

 小泉純一郎首相は7日午前の衆院郵政民営化特別委員会で、「郵政民営化を実現することは政界の奇跡だといって過言ではない」と述べた。自民党の松岡利勝氏への答弁。首相は先の衆院解散と選挙について「前から法案が成立しなければ解散するとは公言していなかった。だたし、それとなく、聞く人が聞けば重大な決意をしているという表現をしていた。普通の人は『解散するんだな』と真意を分かったはずだ」と振り返った。

 そのうえで「一度死んだ法案を国民が生き返らせようとしてくれいている。この(国民の)声を受けて、今まで反対していた議員も賛成に回ってくれると信じている」と、郵政民営化関連法案の成立への自信を示した。(日経) (10:36)


◆記事2:Bush: God told me to invade Iraq--英国Indepentent紙(本日付)より冒頭部分抜粋翻訳

 【為参考】記事URL:http://news.independent.co.uk/world/americas/article317805.ece

 ブッシュ米大統領は、「オサマ・ビンラディンの拠点を攻撃するためにアフガニスタンへ侵攻したのは、神がそうしろとおっしゃったからだ。」と述べていたことが明らかになった。

「それは、イスラエルの安全とパレスチナ人の国家を建設する、という『神聖な』神の御心に沿ったものだからだ(と、神はお告げになった)」と述べたことがBBCの番組で明らかになった。

 BBCによれば、ブッシュが「神のご指示」云々を持ち出したのは、2003年6月、パレスチナ人の指導者達との最初の会合の席だったとのことである。

 なお、BBCはこの件を取りあげたドキュメンタリー番組を今月中に放送する予定である。



 昨日、この事実が明らかにされる前、ブッシュ大統領は、ワシントンにおけるかなり、感情をむき出しにした演説で、イスラム武装過激派を非難した。

 大統領は、イスラム武装勢力のイデオロギーを共産主義者のそれに例えてみせ、「彼ら(イスラム武装勢力)は全ての国をイスラム化して、スペインからインドネシアにまで及ぶ巨大なイスラム帝国を建設しようと目論んでいる」と決めつけた。

 BBCの番組、"Elusive Peace:Israel and the Arabs”(手に入れられない平和、イスラエルとアラブ諸国)は、月曜日から何回かに亘って放送されるが、この中で、パレスチナ代表団の元外務相、ネビル・シャース氏は、ブッシュ大統領が彼と、元パレスチナ首相、現大統領のマハムード・アバス氏に向かって、「私は神の命令に従って行動している。神は私にこうおっしゃった。『ジョージ、行け。そしてアフガニスタンのテロリストと戦うのだ』と。だから、私はその通りにした。次に神は、『ジョージ、イラクへ行け、そして暴君を倒せ』と。だから、私はそのとおりにしたのだ」と述べたことをはっきりと証言している。


◆コメント:日米の指導者とも何だか怪しい雰囲気を醸し出してきましたね。

 

 小泉首相とブッシュ大統領に関する記事で共通しているのは、両者とも自分が特別な存在で、特別の権力を行使することを許されているのだ、と考えているのが、行間から読み取れることである。

 小泉首相の場合は、「国民が法案を生き返らせてくれた」と表面上はのべているが、これは、「営業用」発言だ。

 私は、選挙戦の途中、小泉首相がガリレオの「それでも地球は回る」を持ち出して来たあたりから、ちょっと自己陶酔が激しすぎる危なさを感じた。

 たかが、郵便局にこだわる自分を、地動説にこだわったガリレオになぞらえるというのは、非常に強い自己愛の現れであり、同時に自分は歴史に名を残す人間なのだと考え始めていることを示唆している。

 中曽根元総理が、「最近の小泉首相は『権力という麻薬』にとりつかれたような状態、謂わば中毒状態だ」と言っているそうだが、その通りだと思われる。

 権力という麻薬の味を一度覚えると、なかなか手放すことができない。

 ところが、引け際を誤ったが故の失敗例は、過去にいくつもある。

 政界なら田中角栄、財界なら先日亡くなった、ダイエーの中内氏や、旧住友銀行の磯田頭取などのように、一時は神様のように崇められながら、失意の晩年を迎えることになりがちである。

 冷たい云い方をすれば、小泉首相の晩年がどうなろうが知ったことではないが、今現在は、実質的に日本の最高権力者だから、暴走されてはたまらない。

 もともと小泉首相の発言に合理性が認められることは稀である。しかし、政局には強く、それが今回の衆議院選挙で劇的な結果として出てしまった訳である。

 論理的思考をせず、人の意見を聞こうとしない人が自分の権力に酔っているというのは非常に危険な状態である。


◆ブッシュの方が一見危ないように、見えるが、こちらの方が分かりやすい。

 

 ブッシュの支持層のうち、数が多く、非常に大きな影響力を有しているのは、キリスト教原理主義と呼ばれる人々である。

 ブッシュ自身その信者だ。結論からいうと、この一派は頭が悪い。アメリカで、こんなことを書いたら命が危ないが日本だから平気で書かせていただく。

 キリスト教原理主義は、聖書の教えをそのまま丸ごと信じ、21世紀の今になっても、万物は神の創造物である、といって、ダーウィンの進化論を否定するというから、馬鹿さ加減が筋金入りだ。

 妊娠中絶はキリストの教えに背くからといって、堕胎手術をする産婦人科医を銃撃して殺してしまうのである。

 ちょっと、待ちなさい、といいたい。全てのキリスト教徒の皆さん、マタイ伝(マタイによる福音書)には、なんて書いてありましたっけ?

 「されど、我、汝らに告ぐ。汝らの仇を愛し、汝らを責むるもののために祈れ、と。」

 という言葉がありますよね?まさか知らないとは、言いませんよね?

 キリストの教えに忠実に従うというのなら、もうこの一文だけで、絶対に人殺しや、ましてや他国に戦争を仕掛けて、他国民を殺すことなど出来るわけがない、と私は考えるのだが、違うのでしょうか?

 キリスト教は、私は全然信仰する気持ちにならないが、西洋文明を知る際には、どうにもこうにも知らないと話にならないので、学生の頃、あくびをかみ殺しながら、「聖書」は何とか読んだ。

 新約聖書は部分的には、かなり良いことを言い当てているから、それは良いのだが、問題は「キリスト教徒」、つまり、信者にある。

 キリスト教徒は何かというと、「神の命令に従った」とか「悪魔が私に悪事をはたらかせた」などと都合のいいときだけ、都合の良いように、信仰を言い訳に使うところが気に入らぬ(そう言う信者ばかりではないことは、 当然、私も承知している)。

 これは、今に始まったことでは無くて、千数百年前の十字軍のころからの「西洋文化の伝統」である。この辺りの胡散臭さが嫌だ。

 ブッシュがパレスチナの代表に述べた言葉を、全く信仰心がない、なにも知識の無い人が、そのまま聞いたら、アメリカ合衆国大統領は、ついに頭がおかしくなってしまったのか、と思うのも無理はない。

 だが、そうではない。自分の立場がヤバくなりそうなとき、急に「神が私に・・・」というのは、西洋人がしばしば使う手なのである(ブッシュの支持率は急降下の最中だ)。


◆「神」などいないのに、自分が特別な力を持っている、と考える方が危険かも知れぬ。

 

 小泉首相にかんしては、郵政民営化が通ったぐらいで「奇跡」などという発言をすることから、「ガリレオ」のときと同じような自己陶酔性を観察することができる。

 西洋文化と対照的に、日本人には信仰心がないから、「神」ほど強力な(想定上の)権限付与者が不在である。

 それにも関わらず、自らが、何か特別な存在で、特別な権力を有しているという「自己愛」にとりつかれている(というのは、証明不可能で、あくまで私の自分の観察に基づく主観的事実でしかないが)内閣総理大臣の方が危ない。

 だから、国民が監視しなければいけないのである。監視と言っても、ストーカーになれというわけではない。難しいことではない。

 小泉首相の発言を毎日ネットで見つけて、テキストエディタ(メモ帳)に貼り付けておくだけで、かなり興味を覚える人が多いと思います。


テクノラティプロフィール
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2005.10.07

「防衛庁長官、第8次部隊に編成命令=イラク派遣延長へ」 撤退するのに3ヶ月かかるのですよ?

◆記事1:防衛庁長官、第8次部隊に編成命令=イラク派遣延長へ

 

 大野功統防衛庁長官は3日、イラク復興支援特別措置法に基づき、陸上自衛隊の西部方面総監に対し、イラク南部サマワに派遣する第8次イラク復興支援群の編成命令を出した。第8次支援群は今月下旬から順次出国し、11月中旬に第7次支援群と交代する。派遣期間は約3カ月を想定している。イラク派遣は12月14日で期限が切れるため、編成命令は事実上、派遣延長を前提とした措置となる。 (時事通信) - 10月3日19時1分更新


◆記事2:陸自車列、爆弾で破損 けが人なし 遠隔操作装置発見 (6月23日)

 陸上自衛隊が活動するイラク南部サマワで23日午前9時(日本時間同日午後2時)ごろ、陸自車両4台が幹線道路を走行中に、道路沿いに仕掛けられたと見られる爆弾1発が爆発し、人員輸送用の高機動車1台のフロントガラスにひびが入るなどした。乗っていた隊員らにけがはなかった。陸自は昨年10月、宿営地の荷物保管用コンテナにロケット弾を撃ち込まれているが、宿営地外で活動中に被害を受けたのは初めて。地元警察は現場近くで、爆弾を遠隔操作で爆破させる装置を発見、自衛隊を狙った事件との見方を強めている。

 陸自は安全確保のため、23、24の両日は宿営地外での活動を中止することを決めた。政府は、首相官邸の危機管理センターに官邸連絡室を設置して情報収集を急いでいる。

 防衛庁などによると、爆発現場は、陸自宿営地から北東に5キロほどの郊外にある幹線道路。陸自の4台はこの日、サマワ近郊で担当した道路補修工事の完成式の準備のため、隊員と外務省職員の計約20人を分乗させて、会場の工事現場に向かう途中だった。

 被害を受けたのは、先頭から3両目の車両。二重のフロントガラスの外側ガラスにひびが入ったほか、車両前部に傷がつき、右側のドアの一部がへこんだ。

 サマワでは昨年4月以降、陸自宿営地を狙ったとみられる砲撃が計9回発生しているが、今年1月を最後に起きていない。しかし、先月以降、陸自車両に石が投げつけられたり、日本を中傷する落書きが路上で見つかったりしていた。(2005年6月24日 読売新聞)


◆記事3:日本友好協会を解散 サマワ、会長への脅迫で(7月23日)

 

 【サマワ23日共同】陸上自衛隊が駐留するイラク南部サマワの日本友好協会のアンマル・ヒデル会長は23日、共同通信に対して「日本人との付き合いをやめなければ、おまえを殺す」などとの脅迫を受けたため、協会を解散することを決めたと語った。

 友好協会は、陸自がサマワに派遣される直前の昨年1月に結成。陸自の復興活動を支援する立場から、宿営地内で隊員との文化交流イベントを派遣部隊と共同で開催したり、昨年末には陸自の派遣延長を求める署名活動をしたりしてきた。(共同通信) - 7月23日21時30分更新


◆記事4:市内の日の丸撤去を要求 サマワのデモ隊 (7月26日)

 

 【サマワ26日共同】陸上自衛隊が駐留するイラク南部サマワで26日、停電などの改善を求める市民のデモが再び行われ、参加した約400人がサマワ市内から日本の国旗を撤去するよう求めるスローガンを叫んだ。
 サマワでは炎暑の中、電力や安心して飲める水の不足が改善されず、住民の不満が噴出している。同様のデモはこの5日間で3回目。

 一連のデモにはイスラム教シーア派の反米指導者サドル師の支持者ら、日本に敵意を持つ勢力が参加している。22日にはデモ隊の一部が日本友好協会のアンマル元会長経営の宝飾店に押しかけ「日本人との付き合いをやめなければ店を爆破し、おまえを殺す」などと脅迫。店は24日に爆破された。

 デモ隊は「われわれの緊急の要求は電気、水道」などと書かれた横断幕のほか、「ノー、ノー、日本」との文字や日の丸にバツ印が書かれた紙を掲げて、陸自など「占領軍」の追放や地元知事の辞職を要求した。(共同通信) - 7月26日22時17分更新


◆記事5:「陸自報じるな」と脅迫状 サマワ地元メディアに (8月8日)

 

 【サマワ8日共同】陸上自衛隊が駐留するイラク南部サマワで、地元有力紙アッサマワとムサンナ・テレビに対し、陸自の活動を報道しないよう警告し、従わねば「社員を殺害する」などとする脅迫状が送りつけられていたことが8日分かった。両メディア関係者が明らかにした。

 脅迫後、両メディアは陸自絡みの報道を一時停止。脅迫の狙いは、復興支援活動に対する市民の支持を遮断し、陸自を孤立化させることにあるとみられる。治安が不安定化する中で、陸自の活動は新たな問題に直面した。
 サマワでは7日、暴徒化したデモ隊と警官隊が衝突、1人が死亡し約60人が負傷するなど不穏な情勢が続いている。

 脅迫状は7月下旬に届き(1)陸自との協力停止(2)陸自の活動を称賛しない(3)陸自と英軍の活動を報じない(4)イスラム戦士の抵抗運動を「テロ」と表現しない--ことを要求。応じなければ「社員を殺害するか拉致し、または事務所を爆破する」と脅している。(共同通信) - 8月8日22時5分更新


◆記事6:「日本の首相を非難せよ」 サマワ、金曜礼拝で(8月12日)

 

 【サマワ12日共同】陸上自衛隊が駐留するイラク南部サマワで12日、イスラム教シーア派反米指導者サドル師派の金曜礼拝があり、説教に立ったアブドルカリム・ガジ師は「米国のブッシュ(大統領)と日本の首相を大声でののしろう」と参加者に呼び掛けた。

 日本非難の具体的理由は示さなかったが、同派が求める地元ムサンナ州のハッサン知事解任をめぐり政治的混乱が続く中で、サドル師派が「占領軍」とみなす陸自への

敵意をあおる狙いがあるとみられる。

 またガジ師は、同日サマワ市内で新たな反知事デモが予定されていたが、サドル師の指示で中止されたと説明した。(共同通信) - 8月12日22時6分更新


◆記事7:毎日新聞:【特集】「不肖・宮嶋」カメラマンが見たサマワより、抜粋。「イラク全土が戦闘地域。」

 Q:サマワは非戦闘地域ですか? 

宮嶋:「戦闘地域ですよ。イラク全土が戦闘地域。日本の首相だけですよ、非戦闘地域だなんて言っているのは。昼間に銃撃戦がある。オランダ兵も殺される(04年5月)。正規軍が戦死しているということなんです。私は自衛隊の派遣は国益にかなうという自説がありましたが、今は自信がありません。大量破壊兵器がいまだに発見できない。多分、本当にないでしょう。つまりあの戦争に大義はなかったわけです。それでも部隊を派遣することで米国に恩を売れると思った。でも6カ国協議を見ても、国連の常任理事国入り問題にしても日本のことを真剣に考えるそぶりがない。米国には裏切られた気分です。ただしこれまでの自衛隊の任務や苦労を無にしたくない。全員が無事で帰ってきてほしい。あんなひどいところでけがをしたり、死んだりしてほしくない」


◆コメント:サマワ宿営地を片付けて、撤収するのに3ヶ月を要するのです。

 

 ここ数ヶ月、自衛隊イラク派遣に関して書いていなかったので、まとめて記事を引用することになってしまった。

 テレビも新聞もサマワの様子を伝えないのは何故かというと、サマワに常駐している日本のメディアの人間はいないのである。

 バグダッドには若干いるけれども、大抵の記事は市ヶ谷の防衛庁で、防衛庁の広報担当が言ったことをそのまま記事にしているだけの「大本営発表」なのである。

 それでも、これだけ「ヤバい」ニュースが伝わるのだから、現実にはもっと危険になっていると考えるべきだ。

 自衛官の安全を考えるならば、ここで楽観論を採用するのは無責任で、常に最悪の状況を想定して政策を決めるべきである。

 私は、陸上自衛隊が宿営地を構えているサマワについて、しかも、自衛隊が関係する記事をいくつか選んで引用したが、Yahoo!ニュース - 自衛隊イラク派遣とか、Yahoo!ニュース - イラク を読んでご覧なさい。

 もう、無茶苦茶。毎日のように自爆テロやテロで、何十人という単位で人が死んでいる。サマワが比較的安全と言われているが、今まで、自衛官に犠牲者が出ていないのは、結果的に運が良かっただけだ。

 殆ど奇跡である。

 記事にあるとおり、自衛隊のトラックが通るところで爆発があったり、宿営地にロケット弾が撃ち込まれたのは、私が知るだけでも10回を超える。実際にはもっと多いのだろう。

 最後に載せた、宮嶋カメラマンの証言は貴重だ。

 何せ、自分自身4回もイラク、サマワに行って、しばらく自衛隊と一緒に寝起きしていた人なのだから。

 彼の言葉から分かるとおり、宮嶋カメラマンは元来自衛隊のイラク派遣に賛成していた人なのだ。

 それだけに、「イラク全土が戦闘地域。日本の首相だけですよ、非戦闘地域だなんて云っているのは」という発言には重みがある。

 防衛庁長官は第8次派遣部隊に派遣命令を出したが、国会が昨年の臨時国会で定めた駐留期限は12月14日。一つの部隊は3ヶ月駐留する。

 ところが、サマワの陸上自衛隊宿営地は東京ドーム12個分もの広さがある。色々な設備、物資、装備もあるし、宿営地そのものを片付けるのに、3ヶ月かかる。

 そして、サマワから飛行機で帰国することは出来ないので、トラックの長いコンボイ(車列)を組んで、ソロリソロリと狙撃されないように、周りを見回しながら、クウェートまで戻らなければならない。

 最後まで、危険なのだ。ちなみに物資の輸送は自衛官だけで、行っているのではない。日本の民間運送会社も雇われていることは極秘事項らしいが、私でも知っているぐらいだから、知っている人は多いだろう。
 丸腰(武器を持っていないこと)の民間人を戦地へ行かせているのですよ。日本国は。


◆コメント:イラク復興支援特別措置法によれば、ただちに撤退しなければおかしい。

 

 自衛隊がイラクで活動する根拠法は「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」、通称、「イラク復興支援特別措置法」である。

 イラク復興支援特別措置法第2条第3項は、次の通り。

 

対応措置については、我が国領域及び現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。以下同じ。)が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる次に掲げる地域において実施するものとする。

 これが、所謂、「非戦闘地域」の定義である。

 昨年11月2日、衆議院国家基本政策委員会で、民主党の当時の代表岡田氏と小泉首相の質疑応答を衆議院会議録で読むと、唖然とする。

○岡田克也君 総理はサマワは非戦闘地域であると、こういうふうに言われました。非戦闘地域であるという、断言されたその根拠は何なんでしょうか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 根拠といえば、戦闘が行われていないということ、だからこそ非戦闘地域である。(発言する者あり)

○岡田克也君 じゃ、総理、お尋ねしますが、お尋ねしますが、その議論の前提としてイラク特措法における非戦闘地域の定義を言ってください。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) イラク特措法に関して言えと、法律上、いうことになればですね、自衛隊が活動している地域は非戦闘地域なんです。(発言する者あり)

○岡田克也君 私が申し上げたのは、イラク特措法における非戦闘地域の定義を言ってくれと言ったんです。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは定義は、それは文書を持ってくればすぐ言えますよ。党首討論ですから、考え方を言っているんです。私は、特措法というのは、自衛隊が活動する地域は非戦闘地域である、これがイラク特措法の趣旨なんです。(発言する者あり)

○会長(北澤俊美君) 御静粛にお願いします。御静粛にお願いします。

○岡田克也君 総理、この問題は私、いつか官邸で一度総理に申し上げたことあるんですよ。非戦闘地域の定義は、現に戦闘行為が行われておらず、ここまではいいですね、かつそこで実施される活動の期間を通じて、つまり一年間です、戦闘行為が行われることがないと認められる地域なんです。ですから、私が総理に聞いたのは、これから一年間サマワにおいて戦闘行為が行われないと、そういうふうに言う根拠は何ですかと聞いているわけです。どうですか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは、将来のことを一〇〇%見通すことはできません。非戦闘地域でなくなった場合には、これは自衛隊は特措法に基づいて撤退しなきゃならない。しかし、特措法についての定義上何かと問われたから、自衛隊の活動している地域は非戦闘地域である。これは法律の趣旨なんです。将来、組織的、計画的、継続的に戦闘が行われるかどうか、これは将来、はっきり一〇〇%、いつどうなるかというのをこの際断言することはできません。しかし、はっきり申し上げますが、自衛隊が活動している地域は非戦闘地域、これがイラク特措法の趣旨なんです。

 いいですか?

 イラク復興支援特別措置法では、自衛隊が活動する場所は、非戦闘地域は「現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域」で無ければならないと、明確に規定している。

 ところが、そんな規定は忘れてしまった小泉首相は「自衛隊が活動するところが『非戦闘地域』だ」という、とんでもない答弁をしている。

 そして、サマワはこれから先1年間、安全だと言い切れるのか?と岡田代表に訊かれ、「将来のことなど、分かるわけがない」とさらに輪をかけたひどい答弁を平然としている。

 要するに、小泉首相によれば、イラク復興支援特別措置法の定義する「非戦闘地域」など最初から存在していなかったということだ。

 常識で考えればそのとおりなのだ。小泉首相及び与党がけしからんのは、その無茶な法律を無理矢理成立させて、それに基づいて、自衛隊を彼の地へ派遣していることである。

 今まで、けが人、死者は出ていないじゃないか、というのは、結果論に過ぎず、最初から自衛隊イラク派遣は、無謀な政策だったのだ。


◆コメント:私は結果論で書いているのではない。

 

 私は、イラク復興支援特別措置法にも反対だったし、自衛隊イラク派遣にも一貫して反対している。

 それは、イラク復興特別措置法は間違っている。自衛隊をイラクへ派遣することに反対する理由。自衛隊はイラクへ派遣できない。<自衛隊派遣>「非戦闘地域」該当の判断せず 基本計画←こいつらは、悪魔だ。などをお読みいただければ明らかである。

 無論、これは、ほんの一部で、インデックスページの検索欄に「自衛隊」と入力してみてください。

 私は、自衛隊のイラク派遣に賛成とか、この政策が正しいと書いたことは、ただの一度も無い。

 今も勿論反対である。一刻も早く撤退するべきである。

 なお、ときどき、頓珍漢な抗議が来るので、言うまでもないことなのだが、念のため書き添える。

 私は、命令に従ってイラクへ赴いた自衛官を批判しているのではない。

 イラクへ自衛隊を派遣することを決めた、小泉首相及び、国会を批判しているのである。

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2005.10.06

参議院予算委員会インターネット中継のさわり。首相は詭弁の天才

◆記事:参議院インターネット審議中継:10月4日池口衆議院議員(民主)の質問と、麻生総務相、小泉首相の答弁、抜粋・要旨

 池口修次(民主):総理は所信表明の中で国家公務員の人数の問題にこだわって、結構な時間を使いました。この国家公務員の人数の問題には、意味があるのですか?

小泉首相:郵便局では、常勤・短時間合わせて38万人がこの仕事をしている。本当にこんな人数が郵便局の仕事に必要なのか。

警察官全国で25万人、自衛官24万人、外務省、全世界の大使館・領事館併せても6000人足らずですよ。

公務員を減らすのなら、郵便局を民営化することが、一番公務員を減らすことが出来るじゃないですか?

池口:人数を減らしたらどういう効果があるんですか?
小泉首相:これは、面白い質問をなさる。公務員を減らすって、これはみんな賛成だったんじゃないんですか?民主党も。郵便局を民営化すれば一番公務員が減るのです。
池口:いや、ですから、総理の公務員削減の議論は、「構造改革にあたり、財政がきびしいので、人件費を減らすために公務員を減らすのだ」、という論理だが、公務員の給料は全部税金から出ているのですか?

総務大臣に伺いたい。

日本郵政公社の人達の給料はどこから出ているのですか?

麻生総務大臣:郵政3事業の収益から出ています。

池口:選挙期間中、総理は意図的にこの点を誤魔化していた。郵便局員の給料は彼ら自身が稼いでいる。それを言わなかった。正しい情報を有権者に与えないで良いのですか?

小泉首相:私は極めて分かりやすい説明をしていましたよ。公務員の人数を減らすのには郵便局を民営化するのが、最も効果的だと。

そんな、郵便局員の給料の出所なんて細かいことをいっていたら、国民は聞いてくれませんよ。


◆コメント:こういうの、詐欺っていうんじゃないの?

 選挙当日の日記にも書いたが、昨日の参議院予算委員会で、この問題を池口議員が問いつめている。

 

 選挙期間中、小泉首相は、「郵便局員の人数は38万人で、全国の警察官より多い。公務員の数を劇的に減らすためには、郵政民営化が一番だ。」

 と繰り返していたが、多くの国民は、日本郵政公社は黒字で、職員の給料は、切手やはがきの売り上げで得た収益から出ているということを知らない。

 小泉首相は国民が知らないことを認識していたのに、敢えてこの点には触れなかった。

 何も言わなければ、有権者は、公務員だから給料は税金から出ているのだろうと思ってしまう。
 小泉首相はこのような大事な点を説明せずに、ただ公務員を減らすために郵政民営化を実現しなければならない、と選挙期間中、何度も繰り返した。



 参議院も、衆議院と同様に、審議の様子を参議院インターネット審議中継で見ることが出来る。

 上の質疑答弁は10月4日の予算委員会である。

 下手なバラエティーやお笑い番組など比べものにならないほど面白い。

 首相のあまりにも無茶苦茶な答弁には誰しも感動するだろう。

 実際には、麻生総務相が「日本郵政公社の郵政3事業から出た収益から(郵便局員の給料は)出ています」という発言をするまでに、何とか誤魔化そうと、のらりくらりやっている。

 その後の小泉首相の発言、開き直り方がすごい。

 国民を故意に錯覚させておきながら、「細かいことを説明したら、有権者が演説を聴いてくれない」という。細かいことだったのだろうか?

 答えは、言うまでもない。

 とにかく、一度お聴きなることをおすすめする。

 小泉首相は、紛れもなく詭弁の天才だ。

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2005.10.05

「テロ特措法:1年延長を閣議決定 政府」「小澤征爾氏の「音楽塾」、北京で初の公演」 武器より、「楽器」

◆記事1:テロ特措法:1年延長を閣議決定 政府

 

 政府は4日の閣議で、11月1日に期限切れとなるテロ対策特別措置法を1年間延長する同法改正案を決定した。今特別国会での成立を目指す。

 同法は海上自衛隊の補給艦が、インド洋でテロリストの移動や武器輸送を阻止する活動にあたる米国やパキスタンの艦船に補給活動を行う根拠となる法律。

 01年9月の米同時多発テロを受け、同年11月に2年間の時限立法として施行。03年に2年間延長されたが、今回の再延長では1年間の延長となった。

 大野功統防衛庁長官は4日の記者会見で「国際的に評価されており、ニーズもある」と活動を継続する必要性を強調。

 そのうえで延長幅を1年間とした理由を「きちっと国会で議論していただこうと区切りをつけた」と説明した。

 防衛庁によると3日現在、外国艦船に対する燃料補給は計550回で約41万キロリットル(約162億円)で、補給先は米、英、仏、パキスタンなど11カ国。

 昨年12月からは艦艇搭載ヘリコプターへの給油も実施しており、24回で370キロリットル(約1700万円)を給油した。

 また、大野長官は、自衛隊が時限立法によらず国際平和協力活動を行うための恒久法の制定について、

 「(海自の補給活動も)本来ならばそういう形(恒久法)が望ましいが現行の体制でベストな選択は時限立法しかない。

 これから考えなくてはいけない重要なポイントだ」と述べ、今後の検討課題との認識も示した。毎日新聞 2005年10月4日 10時29分 (最終更新時間 10月4日 11時06分)


◆記事2:小澤征爾氏の「音楽塾」、北京で初の公演

 世界的に有名な指揮者、小澤征爾氏の率いる「音楽塾」が2日、北京保利劇院でオペラ「セビリアの理髪師」を上演した。

 北京の観客にとっては、国慶節(建国記念日)への音楽の贈り物だ。上演後、感激した観客からとどろくような長い拍手が送られた。「音楽塾」はこの後、10月上旬に天津、上海でも歌劇の上演や音楽会を開催する予定。(編集UM) 「人民網日本語版」2005年10月3日


◆コメント1:自衛隊を海外に派遣することが、国際平和に役立っているのだろうか

 

 政府は9月15日に、11月1日が期限であるテロ対策特別措置法の再延長を決めた。再延長ということは、つまり延長するのが2回目ということだ。

 テロ対策特別措置法は、2001年9月11日の同時テロの後、犯人はアフガニスタンに潜伏しているビンラディンが率いるタリバンだろう(憶測だった)ということになった。

 アメリカは大量の兵士をアフガニスタンに送り、テロリスト掃討作戦を実施することになった。

 小泉首相は「アメリカの要望に添って」、もし、先日亡くなった後藤田官房長官がもしも現役だったら、どんなことをしても止めさせたであろう、海上自衛隊のインド洋派遣を決めた。

 これは、アメリカ軍の後方支援であり、広義の武力支援とさえいえる。違憲である。

 それから、2年後、つまり今から2年前の2003年10月3日に衆議院本会議で、延長が可決された(その時のいきさつは、2003年10月05日(日)に書いたのでご参照下さい)。

 2003年10月05日(日)の日記でも書いたが、当初はアメリカの軍艦に給油するだけだったが、

 「アメリカの要請に応じて」、イージス艦という最新鋭の駆逐艦まで派遣したのである。映画となった「亡国のイージス」のイージスとはこのイージス艦のことだ。

 私は軍事・兵器に特別な興味はないから、通り一遍のことしか書けないが、イージス艦は極めて高度な情報収集能力を有し、また、攻撃も可能である。

 攻撃をしたら、武力行使であり完全な違憲行為であるからやらないだろうが、やろうと思えば自分に向かって飛んでくるミサイル10基を同時に撃墜することも出来る。

 イージス艦を英語で何といいますか?"Aegis destroyer "です。「破壊者」なんですよ。

 直接に武力を用いてはいけないことは、当然だが、イージス艦が収集した情報を米軍のアフガンテロ掃討作戦のために提供することも、武力行使の一端を担っているわけで、違憲である、と私は考えている。

 イージス艦のことを除外して考えたとしても、記事1に書かれているとおり、この4年間で、海上自衛隊は、11カ国の艦船(軍艦ですよ)に合計541回の給油を行った。


 重油の総量は47万キロリットルで金額にすれば約160億円にも及ぶ燃料を、無償で行ってきた。

 要するに、4年間世界の軍艦のための無料ガソリンスタンドとして海上自衛隊は派遣されているといっていい。

 それでも、アメリカもどの国もア、アフガニスタンの旧タリバン勢力を一掃することが出来ずていない。何時までにできるかという、アメリカの説明もない。



 このような目処の立たない、アメリカの武力攻撃を支援するためにテロ対策特別措置法の延長を繰り返すことが、小泉首相のいう、「国際貢献」なのだろうか。

 何故、再度延長しなければいけないのか、小泉純一郎内閣総理大臣から、論理的に納得のゆく説明をしていただきたい。


◆コメント2:武器より楽器。

 

 小澤征爾氏が10月に中国公演することは、7月にプレスリリースがあったので、知っていた

 彼は以前、手兵ボストン交響楽団と中国公演をしたり、もう、ずいぶん何回も中国人に本物の西洋音楽を聴かせている。

 私は以前、「芸術は憎悪をも溶かす。」という同じく指揮者の岩城宏之さんのエピソードを書いた。

 互いに憎悪をむき出しにしていても、永遠に問題は解決しない。それは、アラブ・イスラエル紛争を見ても明らかだ。

 記事2を見よ。人民日報が手放しで絶賛している。

 「上演後、感激した観客からとどろくような長い拍手が送られた。」

 いくら、他人や他国を理屈や暴力で押さえつけようとしても、無駄だ。

 平和をもたらすものは暴力でも口論でもなく、芸術であると、私は思う。

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2005.10.04

カネボウ粉飾:起訴の公認会計士ら、売却先分散などを指導 会計士も辛いよなあ。

◆記事:カネボウ粉飾:起訴の公認会計士ら、売却先分散などを指導

 

 カネボウの粉飾決算事件で、証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)で起訴された中央青山監査法人の公認会計士らが、03年3月期の決算で、旧経営陣から架空売り上げについて相談された際、架空の売却先を分散させるなどの指導をしたことが分かった。粉飾決算の後で返品を受ける際にも、その時期をずらすことで不正が発覚しないよう指南しており、会計士の指導による粉飾の詳細な手口が判明した。(毎日新聞 2005年10月3日 23時30分)


◆コメント:勿論、いけないことなのですが、構造上こういうことが起きるのは目に見えている。

 

 うーん。と考え込んでしまう。はっきり言って、他にもこういうことは起きていると思う。

 「証券取引法」という法律では、証券取引所に上場している会社(この上場にも厳しい基準があるのです。東京証券取引所でYahoo!で検索して、上場基準、というところを読んでみて下さい)は、公認会計士の会計監査を受けて監査証明書を添付した有価証券報告書を、毎年決算が済んだら、内閣総理大臣に提出しなければいけない、と、定めている。

 赤字が続くと、今度は東京証券取引所が定める上場廃止基準という基準に抵触する。

 今まで、上場していた会社が上場廃止になったら、引導を渡されたようなもので、その会社の株は紙くず同然となり、株主は損害を被るわけですね。

 だから、何とか今は決算書に嘘を書いて誤魔化して、来年までに本当に黒字にして、とにかく上場廃止基準に触れないように、立て直したい。

 会計監査を行う監査法人は、当然、全てを知っている。 本当のことを発表したら、上場廃止になるのが確実だ、ということも分かっている。


◆ところが、監査を行う監査法人(公認会計士を一杯雇っている会社)にとって、監査対象は「お客さん」なのです。

 

 監査法人は、カネボウのような事業法人の帳簿に不正が無いか確かめ、監査証明書を発行し、手数料をもらって、食っている。

 監査法人は、一般企業が決算で嘘の報告をしていないか、チェックするのが仕事なのですが、問題は、監査法人は、それによって、その被監査対象の企業から受け取る監査手数料が収益源だということです。

 特にカネボウとかの大企業をお客として確保することは、大きな監査法人にとっては、絶対必要です。数千万円の手数料になるわけですから。

 カネボウに「赤字のこと隠して、嘘の決算書つくるけど、見なかったことにしてくれ」といわれると、社会正義上はそんなことは勿論許されないのだけど、

 監査法人も大きいお客さんを失いたくないので、つい、会社の粉飾決算を黙認してしまう。勿論いけないんですけどね。監査法人も商売だということね。

 監査法人の担当者はすごく嫌だと思うのですね。公認会計士としての使命感と、自分の現実の生活を守らねばならない、という意識の板挟みになって苦しむ。


◆りそな銀行が国有化されたときは、自殺した公認会計士が居たくらい、板挟みになるんです。

 

 話が、しばらく、逸れます。

 りそな銀行が国有化されたとき、国内業務だけを営む銀行は、自己資本比率という財務上の数字が4%以上無ければいけない(BIS規制、といいます。BISというのは、国際決済銀行という世界の銀行の総元締めみたいな組織で、そのバーゼル銀行監督委員会が、4%という基準を決め、日本もこれに従うことになっているのです)のに、足りなかったわけです。

 監査法人のりそな担当者は非常に苦しんだ。

 銀行が国有化されたら、経営陣は引責辞任しなければいけないし、従業員もうんとリストラされる。

 客観的に、問答無用で割り切れるものなら良いんです。しかし、実際には、裁量の余地があるんです。それが会計士に苦悩をもたらします。

 4%を満たしているかどうかも、絶対的判断じゃないからです。

 銀行は、不良債権を処理するために貸倒引当金をが積むと、税金を払いますが、既に支払った税金のうち、払いすぎた部分が将来戻ってくる場合があるのです。

 これを「繰り延べ税金資産」というのですが、日本では、繰り延べ税金資産自己資本に含めることが認められている。

 ただ、どれぐらい戻るか、が何とも言えないわけです。



 この部分をどの程度見積もるか。多めに見積もれば、りそなは自己資本比率4%を満たしていた。

 しかし、金融庁の監督の目が非常に厳しい。嘘をつくと、自分たち監査法人も罰せられる。

 というわけで、りそな銀行が契約している新日本監査法人という監査法人は「やっぱり。だめ。自己資本、足りない」という結論を出しました。

 監査法人としては正しいことをしているけれど、実際に銀行の担当者と日々接する公認会計士にとっては地獄です。

 銀行は、繰り延べ税金資産の参入をこれだけみとめろ、という。 勤め先の監査法人の上司は、厳密にやれ、という。

 もう、どうしたらよいか分からなくなり、会計士が1人自殺したのです。それぐらい、プレッシャーの極致みたいな仕事なのですね。


◆監査法人は、大口顧客をできるだけ、獲得しておく必要がありますね。 

 

 カネボウの監査法人、中央青山というのは、日本有数の大監査法人です。

 カネボウ以外にも当然大きなクライアント(顧客=監査させてもらう会社)がいるわけで、カネボウの逆鱗に触れて、「もう、おたくに監査は頼みません」と言われても、すぐに経営に支障を来すとは思えないのです。

 これは、大事なことです。


◆何が問題なのか?長年同じ監査法人が同じ会社の監査をするからです。

 カネボウを失っても、食うにはこまらないはずなのに、どうして粉飾決算に加担したのかといえば、お互いに長年の知り合いで、監査法人といえども情が企業の担当者に移るからだと思います。

 すると、つい、何とかしてやりたい、と考えてしまう。これが、落とし穴でした。

 だから、監査法人がインチキ決算の片棒を担がないようにするには、ある監査法人が同じ会社を長期間監査することを法律で禁じればいい。

 今日、そう言う話が確か、日経にのっていました。


◆突然、思いつきましたが、選挙も毎回選挙区を変えましょう。

 

 企業と監査法人の癒着について書いていて、思いつきました。

 国会議員は国民全体への奉仕者なのに、失礼ながら、地方ほど、「地元に利益をもたらして下さる○○先生」という基準で投票する。

 今回の落下傘はその点では違っていたけど。まあ、公明党のおかげで当選した人も多いでしょう。

 これを応用して、衆議院小選挙区は毎回くじ引きで選挙区が決まる、というやり方はどうか。

 例えば、スズキムネオ氏は今度は沖縄から立候補する。 小泉純一郎氏は横須賀だと絶対当選するから、東京18区あたりの候補者となる。

 こうすれば、皆、「国会議員は地元に貢献する人」という意識が薄れるでしょう。

 その候補者の国政に対する思想を純粋に国益に照らして、妥当かどうか判断して投票する。これこそ、利権構造をぶっ壊す、「名案」にならないかね。

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2005.10.03

今日は私事で恐縮。

◆倅の文化祭に行ってくたびれましてね。寝てしまって更新が遅れました。

 

 私事は原則書かないけれども、本日はちょっと特別で。ご勘弁を。

 倅(せがれ)は東京郊外の無名の私立中高一貫教育男子校に通っている。

 ここを受験することを決めるとき、勿論、教師や、学生の「質」をよく観察したが、もう一つ、学校の授業として「オーケストラ」があることに惹かれた。

 クラブで吹奏楽、管弦楽がある学校は無数にあるが、必修科目でオーケストラがある普通校(音大付属ではない、ということ)は珍しい。

 即ち、なんと、全員、それまで楽譜も読めなかった生徒まで、管・弦(これが信じられない。普通は4歳ぐらいから始めないと、ものにならぬ)・打楽器を割り当てられ、

 少々変則的な編成だが、一応「管弦楽団」になっている。



 今まで何度も書いたように、オーケストラという音楽演奏形態は、私がこの世でもっとも愛するものである。

 その中で、自分の血を分けた倅が曲がりなりにも楽器を演奏する。ちょっと嬉しい。


◆知らない間に私と同じ金管を選んでいた。

 

 親バカで恐縮だが、こいつには、小学生のときにピアノを習わせていた。

 無論、プロになるほどの才覚はないが、かなりの音感と、筋の良いタッチ(ピアノのタッチは、かなりの程度、生まれつき決まっている。ふにゃふにゃしたタッチの人は治らない)をしていた。

 他には取り柄のない子供だが、正直、嬉しかった。

 だが、オーケストラの楽器に興味を持ってくれたらもっといいな、と思い、この学校が大変気に入った。全く親の嗜好以外の何者でもない。



 中学生ともなると、特に男の子は、学校であったことを一々、親に話さない。

 どの楽器を選んだか、自分から言わないので、ある時確かめたら、「ユーフォニウム」という、比較的大きな、中音域を担当する金管楽器を吹いているという。

 オーケストラでは、本来、この楽器は使われない。専ら、吹奏楽の楽器である。そこが「少々変則的な編成」たる所以である。

 しかし、それでも、昔、「大人になったら、オーケストラのトランペット奏者になるんだ」、という夢を抱いていた私は、息子が、同じ金管を選んだのが、嬉しかった。

 今日の演奏は難しい曲はないし、大して上手くもないが、楽器を触ったこともなく、楽譜も読めなかった子供たちを、よくぞ1年半で、ここまで仕込んでくださったと、担当の先生に感謝した。

 オーケストラはバランスであり、特定個人の音が突き抜けるようではいけない。しかし、弱すぎてもいけない。

 合奏の中での倅のラッパの音を聴くのは至難の業だったが、全身を耳にして聴いた。

 驚いたことに何とかサマになる音を出している。

 愚息は身体が小さい。 それでも吹けているのはブレ(ス呼吸法)が正しいからであり、ここまで指導してくださった先生に、感謝の言葉もない。

 くりかえすが、完全なる親バカ以外の何者でもないことは承知している。でも、今日は、少し、涙が出てしまったよ。

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2005.10.02

靖国参拝違憲判決を批判するのは簡単だが、裁判官は命がけなのです。

◆福岡地裁の亀川裁判長(昨年、違憲判決を出した)は、遺書を認めていたそうです。

 

 昨日の日記 に書きましたが、

 首相の靖国参拝は、違憲であるという判断を下した最初の高等裁判所は1991年の仙台高裁ですが、

 小泉首相になってから、はっきり違憲だ、と断定した裁判長は2人だけです。

 最初は、昨年、4月に判決を下した福岡地裁の亀川清長裁判長、

 そして、2人目が昨日の大阪高裁の大谷正治裁判長です。

 その他にも小泉首相の靖国参拝に絡み合憲性の判断をしても良い事例は何件かありますが、

他の裁判官は、判断を避けるか、私的なものだと首相が言っているから、問題無いといっています。



 そういう、論理もあるだろうけど、ちょっと逃げているな、という印象をぬぐえない。

 それに比べると、この2人の裁判官は非常に勇気があると思います。

 昨日、大阪高裁の裁判長に嫌がらせなどがあったら、デモクラシーの終焉だとかきましたが、

昨年4月に違憲判決を下した福岡地裁の亀川裁判長には、弾劾運動が起きたんですね。

 なんと6000人以上もの人が署名している。



 引き続き調べていたら、福岡地裁の亀川裁判長は、判決に先だって遺書を認めていたという事が判明しました。

 驚くと同時に、やはり、と思いました。

 何が「やはり」かというと、亀川裁判長の判決文は勿論感情など一切混ざっていないけれど、

文面から伝わる迫力が、尋常ではなかったのです。


◆資料1:亀川裁判長の判決文

 

 2004年4月7日付判決文の最後の部分は次の通り。

 

「当裁判所は参拝の違憲性を判断しながらも、不法行為は成立しないと請求は棄却した。

あえて参拝の違憲性について判断したことに関しても異論もあり得るとも考えられる。しかし、 現行法では憲法第20条3項に反する行為があっても、

その違憲性のみを訴訟で確認し、または行政訴訟で是正する方法もない。

原告らも違憲性の確認を求めるための手段として、損害賠償請求訴訟の形を借りるほかなかった」


 「本件参拝は、靖国神社参拝の合憲性について十分な議論も経ないままなされ、その後も参拝が繰り返されてきたものである。

こうした事情に鑑みるとき、裁判所が違憲性について判断を回避すれば、今後も同様の行為が繰り返される可能性が高いと言うべきであり、

当裁判所は、本件参拝の違憲性を判断することを自らの責務と考え、前記の通り判示する」


◆資料2:亀岡裁判長を弾劾しようという文章(ネットで見つけました。誰かは知りません)

 

英霊にこたえる会の亀川判事罷免要求を支持

「英霊にこたえる会」(会長・堀江正夫元衆議院議員)、会員数120万人が小泉総理の靖国神社参拝は憲法違反だとして、

原告が損害賠償を請求した訴訟で、福岡地裁の亀川清長裁判長が主文で原告の損害賠償請求を棄却しておきながら、

法的拘束力がない判決理由の中で傍論として「小泉総理の靖国参拝は違憲」と述べて被告国側の控訴権を奪った件で、亀川清長裁判長ら

三人の裁判官の罷免を求め、国会の裁判官訴追委員会に多くの国民が訴追請求状を提出する運動を始めたことが報道されている。



この判決が問題なのは、亀川裁判長が「小泉総理の靖国参拝は違憲」と判決主文で述べ、原告の損害賠償請求を認めて、

被告国側を敗訴させて控訴権を奪うことをしなければ、被告国側は上級審で「小泉総理の靖国参拝は違憲ではなく、

原告の損害賠償請求は理由がない」として争うことが出来たのであるが、原告の損害賠償請求を棄却して被告国側を勝訴させてしまったことである。


◆コメント:現行法では憲法訴訟という手続きがないのです。

 

 昨日の日記で、過去の裁判の例を何件か書きました。

 いずれも、「損害賠償請求」訴訟、つまり民事訴訟ですね。

 首相の靖国参拝が違憲か合憲か、司法の判断を聴きたいなら、直接そういう訴えが出来れば、本当はいいの ですけれども、先ほど抜粋引用した亀川さんの判決文にもあるとおり、現行法では、それが出来ない。憲法訴訟
というのがないのです。

 憲法裁判所が有った方がいいかもしれないですね。



 それはともかく、どうしてこういう形になってしまったかは、まだ私も勉強不足なのですが、

  直接憲法を争点にして争う憲法訴訟は、いずれにせよ、出来ないのです。

 そこで、形式上、民事訴訟や、刑事訴訟、行政訴訟、という本来の争点は別にある裁判を起

 こすのです(本当は、原告は、そちらには関心がない。例えば、福岡でも原告側の住民は損害賠償は重要視していない)。

 そして、その裁判で判決を出す過程において、ある法律とか、ある公的人物の行為が合憲か

 否かを判断する方式をとっているのです。これを「付随的違憲審査制」といいます。


◆コメント:法的拘束力は判決主文が及ぼす範囲内だけなのです。

 

 福岡の例なら民事裁判ですね。民事裁判で法的な拘束力(既判力といいます)が及ぶのは、

 「判決主文」が示している部分だけなのです。



 判決文を全部引用したら長すぎるので、H16. 4. 7 福岡地方裁判所 成13(ワ)3932 損害賠償請求事件 にリンクを貼って起きましょう。

 ここで、「判決主文」てのは、


  1. 原告らの請求をいずれも棄却する。

  2. 訴訟費用は原告らの負担とする。



 これだけですよ。その後に判決理由が長々と述べられている。

 (ちなみに資料2は明らかに誤りですね。主文では、「小泉総理の靖国参拝は違憲」などと、

全く書いてありません)。

 そして、この判決主文は尤もなんですよ。

 なぜなら、九州や山口県の住民の訴えは、

 
「内閣総理大臣である被告小泉純一郎がその職務として靖国神社に参拝したことは政教分離規定等に違反する違憲行為であって,これにより原告らの有する信教の自由,

 宗教的人格権及び平和的生存権が侵害され,精神的損害を被った」

 から、賠償金を支払えといっているんですから。


 原告だってこんな主張が通ると思っていないですよ。

 裁判長だって、こんなの、原告勝訴になんかできないですよ。

 これを原告勝訴にしたら、憲法とは無関係に、やたらなんでも「精神的苦痛を受けた損害賠

 償請求」訴訟が起きて、福岡の例があるから、といって、原告の言い分を認めなくてはいけ

 なくなる。

 資料2の人は、亀川裁判長がわざと原告敗訴にして、国が上告できないようにした、と因縁

をつけてますが、それは、的はずれ。 この原告の訴えを認めたら法的安定性が崩れます。



 だから、判決主文は原告の訴えを却下です。

 判決文はこの後に、判決に至る法的な理由を説明した「判決理由」が書かれています。

 その中で判決主文とは直接関係のない部分を「傍論」といいます。


 判決理由や傍論には、法的拘束力、民事訴訟でいう既判力はない、というのは、民事訴訟法で決まっている。



 しかしですね。だからといって判決理由や傍論を無視して良いわけではない。

 何故か。

 判決主文はこの事件にしか通用しませんが、判決理由や傍論には、一般的な法的論理が使われているわけで、それだけ、普遍性がある、と考えられるからです。


◆コメント:「傍論だから法的拘束力が無い」っていったって、法制度の問題ですよ。

 

 このように、日本の現行法制度では憲法訴訟を起こすことができないから、何でも良いから、 民事訴訟なり、刑事訴訟の「ネタ」を見つけて、とにかく裁判を起こし、その中で合憲性の判断を裁判所が行うやり方なのです。



 だから、合憲か違憲かが判決主文に来ないで、判決理由や傍論に書かれるのは当たり前。

 もう一度書きますが、「付随的違憲審査制」といいます。

 どうしてそうなったかは、現時点では、私も分かりません。これから勉強します。

 単純に考えると憲法裁判所が有った方がいいのかも知れませんが、そうすると、何でもかんでも安易に憲法訴訟を起こす人が出てきそうな気がしますね。

 たとえば、バカな親が、学校で教師が子供に「この本を読んできなさい」といったら、

 「特定の思想を押しつけている。思想・良心の自由を侵害している」なんて先生を訴えるとか、そういう、下らないのが、増えそうな気がするのですね。そう言うわけで、

 「憲法裁判所を作ればいいじゃないか」

 という一言で解決する問題ではない。


◆以上のような事も知らないで、「ねじれの判決」などという人がいる。

 

 前述したように、靖国参拝に関して、敢えて、司法が判断を避けてはいけない、という信念で判決を下した福岡地裁の亀川裁判長は立派だと思います。死を覚悟したのですから。



話が逸れますが、選挙期間中、「殺されてもいいから」郵政民営化を、と叫んでいた人がいましたけど、本気でそんなことを思っていたのでしょうか。

 郵政民営化で殺されるわけがない事が分かっていたから言えたのではないでしょうか?

それにくらべて、  亀川裁判長は本当に、命がけでした。

 昨日の大阪の大谷裁判長も同様です。

 亀川裁判長は殺されなくて済みましたが、前述のとおり、同裁判長を弾劾しようという署名が6000件以上も集まった。

 多分、その人達は、私が今日説明したようなことを知らないとおもいます。

「ねじれの判決」などと社説に書いている新聞がありますね。

 ちょっと、恥ずかしい・・・。


◆復習です。

 

日本では憲法訴訟を起こせない。そう言う制度がない。

 だから民事訴訟などを無理矢理でも起こして、その判決理由の中で首相の靖国参拝の合憲性を判断してもらう しか、方法がない。



 民事訴訟の請求内容は、原告も実はどうでもよいわけだから、無茶苦茶な要求になることが多く、裁判官はこれは、原告敗訴にせざるを得ない。それを述べるのは主文である。

 合憲性について述べるとしたら判決文中、「判決理由」か「傍論」に書くしかない。

 これは、法制度上、そうならざるを得ない。



 ところが「判決理由には法的拘束力はない」ことが、少なくとも民事訴訟法では、規定されている。



 以上のごとき事情を勘案するならば、「傍論に書かれているから法的拘束力はない。

 これからも首相は判決理由など無視して、参拝すべし」というのは、軽率な議論である。

 ということになります。



 全国紙の社説をひととおり眺めましたが、産経が全然わかっていない。読売もどうも分かって

 いない。論説委員さん、勉強してください。

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2005.10.01

 「内閣総理大臣の靖国参拝が違憲である」という高裁判決は初めてではない。

◆新聞報道は正確にしてくれ。「高裁レベルの違憲判決は初めて」というのは、「小泉首相に関しては」でしょう。

 

 全国紙の記事を見ると、「高裁レベルでの違憲判決は初めて」と紛らわしいことを書いているけれども、

それは、「小泉首相の靖国参拝に関しては」と正確に書くべきです。

 首相の靖国参拝が違憲だという高裁判決は14年も前に既に出ている。


◆1991年、岩手靖国違憲訴訟

 

 何故、岩手が関係するかというと、1979年12月に、岩手県議会が国に対して「靖国神社公式参拝を実現されたい」という意見書を採択して、

 首相官邸に、陳情書という形で届けました。



 これに対して、一般市民から、「憲法の政教分離の原則に反する」として、陳情に要した印刷代、用紙代、旅費を返還せよ、という裁判を起こしました。

 費用自体は紙代、印刷料、電車賃ですから、当時の金額では10万円にもならなかったのですが、

 勿論そのおカネが住民の主目的ではなく、靖国神社参拝は合憲か違憲か、という判断を司法に求めたのです。

 一審の盛岡地方裁判所の判決は、

 「公人と私人は分けることが出来ない。内閣総理大臣も私人として信教の自由を有するのだから、私人としては靖国参拝を許され、

 他方、公人としてはこれを否定されるということはあり得ない」

 と、住民の訴えを全面的に退けました。


◆ところが、二審で違憲になりました。

 

 地裁の判決として、住民は控訴しました。

 1991年1月10日、仙台高裁の判決要旨は、

 

 「首相らの公式参拝は、靖国神社に祭神に対する畏敬(いけい)崇拝の意を表す宗教的行為であり、

 国が靖国神社に優越的地位を与えている(他の宗教団体に比して靖国神社を特別視している)との印象を社会一般に与え、

 政教分離の原則に照らし相当とされる限度を越えている。

 また玉ぐし料についても、波及効果などを考えると県の非宗教性、中立性を損なう恐れがある。」



 として、内閣総理大臣の靖国神社参拝が違憲である、という高等裁判所の判決は、既に今から14年前に出ています。

 これは、一般論ですね。どの総理大臣が、という書き方ではない。

 しかし、総理大臣の参拝は違憲だと言っていることに変わりは無い。


◆地裁も含めれば、小泉首相に関しては違憲判決は2度目です。1度目、昨年の福岡地裁の判決を見てみましょう。

 

 一度目は、昨年、2004年4月7日の下された、福岡地方裁判所の判決です。

 地方裁判所、下級審ではあるけれども、1991年の仙台高裁に次いで、内閣総理大臣の靖国参拝は違憲である、とはっきり述べています。

 しかも、これは、2001年8月13日に小泉首相が行った、靖国参拝が違憲である、と、名指しで判決を下しているのです。

 

「小泉純一郎首相は本件参拝に際し、公用車を使用し、秘書官を随行させ「内閣総理大臣小泉純一郎」と記帳し「献花内閣総理大臣小泉純一郎」との名札を付した献花をし、参拝後に内閣総理大臣である小泉純一郎が参拝した旨、述べており、本件参拝は行為の外形において内閣総理大臣の職務の執行と認め得るものというべきであるから、国家賠償法一条一項の「職務を行うについて」に当たる。 本件参拝は神道の教義を広め、春秋の例大祭や合祀(ごうし)祭等の儀式行事を行い、拝殿、本殿等の礼拝施設を備える宗教法人である靖国神社において、内閣総理大臣によりなされたものであり、その行為の行われた場所、その行為に対する一般人の宗教的評価、行為者の意図、目的、行為の一般人に与える効果、影響等諸般の事情を考慮し、社会通念に従って客観的に判断すると、憲法二○条三項によって禁止されている宗教的活動に当たり、同条項に反する。 本件参拝は、原告らに対して信教を理由として不利益な取り扱いをしたり、心理的強制を含む宗教上の強制や制止をするものではないから、原告らの信教の自由を侵害したものとはいえない。また、原告らの主張する宗教的人格権や平和的生存権等は、憲法上の人権と認めることはできない。 原告らの主張する人格的利益は、憲法上の人権とはいえないものとしても、一般論として不法行為による被侵害利益たり得ないと解することはできない。しかしながら、本件参拝により原告らが不安感、憤り、危ぐ感等を抱いたとしても、その行為の性質上、これにより賠償の対象となり得るような法的利益の侵害があったものということはできず、本件参拝について不法行為の成立を認めることはできない。」

 これは、民事訴訟なのですね。損害賠償請求なのです。

 つまり、原告は、九州や山口県の市民211人なのですが、訴えた理由が、

 

「小泉首相が01年8月に首相就任後初めて靖国神社に参拝、「総理大臣である小泉純一郎が心を込めて参拝した」などとの説明をしたのは、「参拝は政教分離を定めた憲法に違反しており、参拝によって信教の自由を侵害された」などと主張して、九州・山口の市民ら211人が首相と国に1人当たり10万円の損害賠償を求めた」



 ということです。

 だから、裁判の形式上の一番の争点は、小泉首相が、市民に損害賠償しなければいけないか?ということで、

 それに対して、福岡地裁は「住民の信教の自由が侵害されたとは言えない」と退けている。これは、筋が通っている。

 しかし、原告側と世間の一番の関心は、損害賠償ではなくて、「首相の靖国参拝が違憲だ」と司法がはっきり述べたということですね。


◆今日の大阪高裁の判決も同じパターンです。

 

 今日の裁判は、

 

「小泉純一郎首相の靖国神社参拝は憲法が定めた政教分離に違反し、精神的苦痛を受けたと主張し、旧日本軍の軍人・軍属として戦死した台湾先住民族の遺族ら188人が首相と国、靖国神社に1人1万円の損害賠償を求めた」



 という、やはり、損害賠償請求です。民事訴訟です。この点に関しては、やはり、却下されていますが、それは、妥当でしょうね。

 そして、注目の、「違憲性」に関する主旨は、

 

  1.  参拝は、首相就任前の公約の実行としてなされた

  2.  首相は参拝を私的なものと明言せず、公的立場での参拝を否定していない

  3.  首相の発言などから参拝の動機、目的は政治的なものである



 として、小泉首相の靖国参拝は、「総理大臣の職務としてなされたものと認めるのが相当」だと判断しました。

 私は、これは、論理的だと思う。

 確かに首相は2001年4月、総理大臣になったときの「公約」で、
 「どんな反対があっても、8月15日に靖国神社に参拝する」
 とはっきり言いました。「公約」と言ったぐらいだから、その行為を公的なものと認識せざるを得ない。

 即ち国家機関としての内閣総理大臣が靖国神社という宗教団体において、宗教的行為を行うのは、純粋に法的に考えれば違憲です。


◆司法権の独立

 

 勘違いして欲しくないのは、裁判官は何を考えて判決を下すか、という点です。

 日本国憲法第76条第3項には、次のように書かれています。

 すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。

 裁判官は、従って、中国や韓国に気を配るべきだ、というような政治的判断を加えて、こういう判決にしたのではないのです。

 今回の判決文を全部読んでいないので(まだ入手できない)、断言は出来ませんが、繰り返しますが、

 司法は「アジア近隣諸国の反日感情に考慮して、首相は靖国参拝を控えるべきだ」といっているのではない、ということです。
 それをやったら、「政治的」判断です。裁判官は、政治情勢を勘案して判決を変えてはいけないのです。

 憲法に反していないかという点を、純粋に法的に論理的に判断している。

 その上で違憲だ。といっているのだから、重要です。


◆最高裁判決を聴きたいものです。

 

 憲法第81条は次の通り。

 「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」

 違憲か合憲かを最終的に判断するのは、最高裁なのです。

 岩手の時(仙台高裁)も、去年の福岡(福岡地裁)も、今回(大阪高裁)もそうですが、

 裁判の形式上の争点は「国(又は、小泉首相)は損害賠償すべきか」ということで、

 その点では、国が勝っている。原告は敗訴しているのです。

 しかし、原告の本音は「違憲」という言葉を裁判所から引き出すことにあったので、負けたけど、控訴、上告しない。

 一方、今日、小泉首相は勝訴したのだから、判決文の中で「違憲」と言われても、勝った方が上告することは論理的に不可能です。

 だから、住民側(原告)が上告しなければ、判決はこのまま確定します。

 確定するということは、大阪高裁が述べた、「小泉首相の靖国参拝は違憲」という司法の判断は残るのです。

 毎回、こういうパターンなので、なかなか最高裁の判断を仰げない。


◆賛否両論あるのが、(日本の)いいところだと、ワシントンポストも書いていたでしょう。

 

 教科書問題で、中国の反日デモがひどかったときに、私は4月18日にワシントンポストの社説を訳しましたが、

 その中で、ワシントン・ポストの論説委員は、「中国は日本を批判するが、言論の自由がないではないか。

 日本では、首相が靖国神社に参拝するのは反対だ、とデモ行進することも、

 逆に靖国に参拝しないとはけしからん、ということも、どちらも許される「自由」がある。」

 と書いてくれた。そのとおりですね。

 司法権は独立していて、憲法と法律のみに基づいて判決を下す、絶対中立です。

 こういう判決を出した裁判官は、弾劾すべきだ、などと嫌がらせをするような輩が出てきたら、本当にデモクラシーの終焉だと思います。



 私個人は、どうして政治家になると急にみんな右へならえで靖国参拝するのか、が、昔から不思議なのですね。

 何故、あの権謀術数の渦巻く汚い世界の人々が急に「英霊に祈りを」とか言い出すのか。

 まあね。行ってもいいけど、「参拝しないと国賊だ」みたいになるのは、まっぴらご免ですね。  

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