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2005.12.31

日本は、外国に誘拐された一般人さえ取り返せないのに、プロの外交官を構うわけがない。

◆記事:中国当局が脅迫か…上海総領事館員の首吊り自殺

 

 上海日本総領事館の領事(46)=当時=が中国当局が用意した色仕掛けにハメられ、 昨年5月に自殺していたことが分かった。

 27日発売の週刊文春によると、亡くなった領事は外務省と領事館の暗号通信を担当。

 領事の自殺は暗号解読をねらった中国当局の執拗な恫喝が原因だったとみられ、中国政府の外交官に対する非道な工作活動に波紋が広がるのは必至だ。



 週刊文春によると、領事は昨年5月6日午前4時ごろ、上海総領事館の宿直室で首をつって自殺した。

 領事は旧国鉄出身で、分割民営化後に外務省に入省した。米・アラスカのアンカレジやロシアに勤務した後、平成14年3月に上海総領事館に単身赴任した。

 赴任後、領事は同僚に連れられ、外国企業が多く集まる虹橋地区にあるカラオケクラブに足を踏み入れる。

 そして、1人のホステスに魅せられ、足しげく出入りするようになった。

 クラブは事実上、個室で、ホステスが“接待”してくれる。そのうち、ホステスは中国当局に摘発され、

 取り調べで上客だった日本人の名を供述するよう強要された。

 供述の中に領事の名前があることに目を付けた当局は、15年6月、このホステスを利用して情報機関に所属する工作員の男に領事を接触させた。

 当初、工作員は機密レベルの低い情報提供を要求。領事は昨年4月に外務省へ転属願を提出し、ロシアの総領事館に転勤が決まったが、

 工作員の男は、ホステスとの関係を「領事館だけでなく、本国にバラす」「(女性との)関係はわが国の犯罪に該当する」と何度も脅迫した。

 同年5月に入り、工作員の脅迫はエスカレートし、転勤先のロシアの情報も提供するよう迫られた。

 きまじめだった領事は工作員と深い付き合いとなってしまったことに責任を感じ、総領事や妻、同僚に計5通の遺書を残して自殺。

 総領事あての遺書には「自分はどうしても国を売ることはできない」などと記されていたという。

 領事は外務省と総領事館の衛星通信や情報伝達を担当する「電信官」で、

 総領事しか知らない国家機密も把握。特に衛星通信に使われる極めて複雑な暗号の解読方法を熟知していた。

 中国当局はこの暗号に強い関心を示し、領事が転勤と決まるや何とかして暗号の解読を引き出そうと、強い圧力をかけたものとみられる。

 冷戦さながらの色仕掛けによる諜報(ちょうほう)戦。

 外務省は、国を守ろうと“殉職”した職員について事実関係を一切、公表していない。[ 2005年12月27日13時0分 ] (夕刊フジ)


◆コメント:外交官は「公認スパイ」なんだから、狙われるのですよ。

 

上海の領事の自殺事件をすっぱ抜いたのは週刊文春で、その内容は引用した夕刊フジが要約したとおりである。

 安倍官房長官があっさり自殺の事実を認めているが、背景に関しては一切説明しないところを見ると、恐らく文春が書いている通りなのだろう。

 自殺した領事には気の毒だが、見事に中国にはめられた、という他はない。



 外交官と云えば聞こえはよいが、どこの国の外交官も外国に駐在する最も大きな職務は「情報収集」である。

 いくら情報量がマスコミを通して増えたとしても、直接その国に住んで見なければ実情は分からない。

 情報と云っても、風俗習慣。文化的相違ということではない。

 それぞれの母国にとって役に立つ、又は(潜在的)脅威となるような動きが他国で起きていないか、

 いち早く情報を入手出来るようにするために、その国の中枢部となるべく人脈、つまり情報源を確保するのが外交官の重大な任務であり、

 逆にわが国がその国に対して如何なる外交的思惑を持っているのか、決して一般国民には知らされないような情報を知っているのが、外交官である。

 「外交官とは公認スパイだ」と書いたのは、そういう意味である。

 だから、相手国の政府は、そこに駐在しているわが国をはじめとする他国の外交官から、出来るだけそれぞれの国の外交政策に関する情報を引き出そうとして、

 しばしば今回のような汚い手を使うのは「常識」である。

 夕刊フジは「冷戦さながら」などと見当違いなことを書いているが、冷戦も何も外交とは、そういうものなのだ。

 大まかなこの世界の「雰囲気」を知りたければ、フレデリック・フォーサイスの小説の数々、

 わが国なら麻生幾のZEROという小説を読むと良く分かるだろう(フォーサイスはロイターだったか通信社勤務が長かったから、

 外交のウラを良く知っている。また、麻生幾の小説では日本の公安警察と か警察庁の外事課の人間が中心で、

 外交官ではないのだが、中国政府の謀略に対峙するストーリーで、かなり綿密に取材しているため、

 外交の裏幕をここまで赤裸々に描いた本は読んだことがない、と玄人が感心しているぐらいの本である)。

 だから、自殺した外交官には気の毒なのだが、女でひっかけられて脅迫され、わが国の機密情報の提供を迫られる、

 などというのは、はっきり言ってドジなのである。

 プロならば、中国側が女を使って接待してきた時点で、ピンと来なくてはいけないのである。

 日本政府は自国の外交官も守れないのかと書いている人がいるが、守りようがない。

 勝手に「色仕掛け」にあって、簡単に騙されてしまったのだから。


◆騙されたプロより、誘拐された素人(拉致被害者)を何とかしろよ。

 

 繰り返すが、今回の件は、気の毒だが、自らの意思で、危険を伴う外交官という職業を選んだ人物が、

 プロであるにもかかわらず、海外駐在中に現地政府のスパイにさせられかけたということである。

 つまり、本人にも責任がある。

 しかし、北朝鮮に拉致されている日本人は、全く何の責任もなく、北朝鮮が日本の主権を侵害して(密入国とは他国の主権を侵害することである)、

 市井の一般人を誘拐し、しかもその国の最高責任者が「ああ、誘拐したよ」と平然と云っているのだ。

 国連憲章なぞが出来る前、第2次大戦以前なら、宣戦布告しても構わないようなとんでもない状況なのである。

 横田めぐみさんの父上は、長年の心労が祟ったのであろう。先日倒れて入院してしまった。 

 それにもかかわらず、わが国の首相は「拉致問題の解決無くして国交正常化無し」といいながら、口先ばかりではないか。

 毎週映画をみたり、オペラを見たり、毎日行われる記者会見を聴いても「北朝鮮」の言葉が発せられることは殆ど皆無で、やる気が無いのは明らかである。



 自国民が他国に誘拐されたままになっているのが明らかだというのに、こともあろうに現職の内閣総理大臣が、

 重大な国政選挙である衆議院選挙を、「郵政民営化の是非『だけ』が問われる選挙だ」といってのけたのは開いた口が塞がらなかったし、

 それを支持した有権者の責任も重い。

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