« 2005年12月 | トップページ | 2006年2月 »

2006年1月

2006.01.31

「グリーンスパン米FRB議長、31日退任=在任18年半」実に実に、ご苦労様でした。

◆記事:グリーンスパン米FRB議長、31日退任=在任18年半、「史上最強」の評価

 

 【ワシントン30日時事】グリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は31日の連邦公開市場委員会(FOMC)を最後に退任する。

 在任期間は1987年8月以来約18年半に達し、歴代FRB議長の中でもマーティン議長(51~70年、19年弱)に次ぎ2位。7

 9歳と高齢ながら、退任後はワシントンでコンサルタント会社を設立する予定。

 グリーンスパン氏は就任から間もない87年10月に起きたニューヨーク株式市場のブラックマンデー(株価の大暴落)への対応や、

 2001年9月の同時テロ事件後の緊急利下げなどで国際金融市場で絶大な信頼を獲得。

 「史上最強のセントラルバンカー」「歴代最高のFRB議長」と呼ばれ、

 ブッシュ大統領も「伝説的な人物」と最大限の賛辞を惜しまなかった。 (時事通信) - 1月30日15時0分更新


◆コメント:グリースパン議長就任時のTime,Newsweek,U.S. News & World Reportの表紙を良く覚えている。

 

 グリーンスパンFRB議長がついに退任する。

 同じ時期に、ずっと金融市場を見てきた私としては、感無量である。

 私は、グリーンスパン氏がポール・ボルカーの後任として、故・ロナルド・レーガン大統領に指名されたときのことを大変良く覚えている。



 それまでは、あまり有名な人ではなかったので、世界中のマスコミが注目した。 勿論、アメリカのマスコミが最も多くの情報を伝えた。

 アメリカの最も良く知られた時事問題を取り上げる雑誌は、

 Time、Newsweek、そして、日本での知名度はやや他の2誌に劣るが、U.S. News & World Reportと云って良いだろう。

 この中でU.S. News & World Report誌が一番平易な英語、

 Newsweekはやや持って回った英語、

 Time は気取った英語、と、大雑把に言えば、そういうことになっている。



 私は、グリーンスパン氏が18年前にFRB(連邦準備制度理事会)議長に就任したとき、

 3誌の表紙に何と書いてあったか、鮮明に記憶している。
 U.S. News & World Reportは、“Chairman Greenspan"(グリーンスパン議長)。 そのままですね。

 Newsweekは、“Mr.Reagan's New Money Man"(レーガン政権の新・金融政策担当者)。 工夫したけど長いね。

 Timeは、“The New Mr. Dollar”(新しい「ミスター・ドル」)如何にもTimeだ。 

 しかし、これは余談である。どれが良いというつもりはない。 

 英語に興味がある人にはちょっと面白いと思ったのさ。


◆ジュリアード音楽院出身の金融政策担当者。

 

 グリーンスパン議長は2004年5月、高校生向けの講演で、

 「私が人生で最初に心を惹かれたものは音楽だった。クラリネットとサクソフォーンを毎日5時間以上練習した」


 と述べている。

 事実、彼はアメリカで最も難しい芸術大学、ジュリアード音楽院でクラリネットを学んでいる。



 日本ではクラリネットとサクソフォーンは分業だが、通常、オーケストラの編成にサクソフォーンは含まれていない。

 1840年代にベルギーの楽器制作者、アドルフ・サックスという人物がこの楽器を開発したのが楽器名の由来だ。

 1840年といえば、19世紀中頃。

 クラシックの歴史ではかなり「新しい」楽器である。 

 ラベル、ビゼー、プロコフィエフ、などが使っているが、他の楽器に比べると出番は少ないから、

 日本のオーケストラでは、サクソフォーンが必要な曲を演るときにはエキストラを呼ぶ。



 これに対して、欧米のオーケストラでは、クラリネット奏者が持ち替えで吹くことが多い

(以前、シカゴ交響楽団が来日して「展覧会の絵」を演奏した。この曲には、アルト・サックスのかなりカッコいいソロがある。

 誰が持ち替えるかと思って見ていたら、なんとコントラファゴット奏者が吹いていたので、びっくりした)。

 グリーンスパン氏が「クラリネットとサクソフォーンを練習した」というのはそういう事情による。


◆アメリカの中枢部で唯一かつ最も知的な「マエストロ」(名指揮者)。

 

 グリーンスパン議長は18年半の長きに亘って、この要職を務めたわけだが、全く見事と言うほかはない。

 アメリカをコントロールする中枢部で、これほど知的で冷静な人物はいないだろう。

 金融政策のあまりにも見事な采配を讃えて、アメリカでは、敬意を込めた「マエストロ」(名指揮者)という「愛称(というか殆ど敬称だ)」を付けられている。

 日本語にも訳されている、グリーンスパン―アメリカ経済ブームとFRB議長という本がある。

 こんなに長い題名にしてはつまらない。原書はズバリ、Maestroなのだ。

 これを書いたのは、ウォーターゲート事件を暴き、近年では、ブッシュがイラク戦争を開始するまでのいきさつを描いたブッシュの戦争という本を執筆した、かの有名なボブ・ウッドワードである。



 まあ、ちょっと専門的だから、「マエストロ」は読まなくても良いです。
 但し、書いておきたいのは、日本がバブルになって、バブルが崩壊して今度は10年以上もデフレ不況に陥ったのに、

 アメリカは90年代、経済的繁栄を謳歌したのは、このグリーンスパン議長によるところがかなり大きいという事実である。


◆芸術的な金融政策の采配。

 

 具体的にはFF(Federal Fund)金利、公定歩合の操作で、インフレになりそうなときは引き締め、不況に陥りそうなときは金融緩和するのだが、

 そのさじ加減、つまりタイミングと金利の調整幅が、実に実に巧みで、まさに「芸術的」だったのである。

 「マエストロ」とはその意味で誠に言い得て妙である。



 何しろアメリカが金融政策を間違えたら、世界中が混乱するのだ。

 金利を上げすぎて、株が暴落すれば、世界中の株が暴落して、世界同時恐慌になるのだ。 FRB議長の責任は、ある意味、大統領よりも重い。



 グリーンスパン議長は根っからのエコノミストで、経済指標の資料を自宅に持ち帰り、毎日勉強していたという。

 インフレになりそうなら引き締め、デフレになりそうなら緩和、と書いたが、

 そのタイミングが一瞬遅れてもダメだし、金利の変更幅を0.05%間違えてもいけないのだ。


◆緊急事態への対処の巧みさ。

 

 グリーンスパン氏が就任した2か月後、1987年10月19日月曜日、ニューヨーク株式市場が大暴落した。

 「ブラックマンデー」という。前週末終値比500ドル以上、下落率22.6%で、過去最大だった。

 この時グリーンスパン氏はあわてず騒がず、次の声明を発表した。

 

「連邦準備制度理事会は、アメリカ合衆国の中央銀行としての使命に沿って、本日経済・金融システムを支えるため、流動性の供給源としての役割を果たす意向であることを確認する」

 これで、パニックに陥っていた市場が落ち着きを取り戻した。日本も助けたけどね。生保が東京市場で買い支えたりして。

 この後にも、メキシコの通貨危機とかアジア通貨危機とか、下手をすれば、世界中の経済が大混乱に陥りそうな修羅場を何度も経験した。

 そのプレッシャーはものすごい筈だ。18年間、FRB議長を務め上げたのは立派である。

 数ヶ月前にもうじき、辞めるというので、福井日銀総裁が日本に招待し、来日した。

 以前から穏やかな人だが、これほどの功績を残しながらも実に温厚な、控えめな紳士である。



 グリーンスパン議長。ご苦労様でした。 ゆっくり好きな音楽でも聴いてください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.01.30

株の売買なんて下世話なものに熱中しているぐらいなら、優れた芸術に接しなさい

◆ライブドアショックで損をしていた人が云っていたよ。

 

 カネのことしか思い浮かばない、頭が固くなった大人に云っても無駄だが、若い人には云っておきたいですね。

 ライブドアに東京地検特捜部の強制捜査が入った翌日、株をやっている人の多くは大損した。

 その日、毎日新聞夕刊に、「街の投資家」にインタビューした記事が掲載されていたが、その中の一人。

 もうおじいさんだが、こんなことを言っていた。

 

「何十年も株をやってきたが結局トータルで見ると、収支はトントンだった。随分無駄な時間を使ってしまったと思う。

 この間、優れた文学や、美術や、音楽に接していた方が余程精神的に豊かになっていただろうと思うと、悔やまれる」


◆カネが要らないとは云わないが、目的ではないだろ。

 

 株式に熱中していると、この前みずほ証券の誤注文で20億円儲け、ライブドアで3億円損した、「無職」の20代男のように、

 一日中パソコン(6台を同時に使うのだそうだ)とにらめっこをしている。

 確かにカネは儲かるが、それで、どうするかというと、使う暇がない。

 株式売買が自己目的化してしまうのである。これほどつまらないことはない。


◆ベルリンフィルを見ていて、日本人はやはりすごいと思った。
 

 昨日の日記で、ベルリンフィル首席ヴィオラ奏者清水直子氏のことを「情熱大陸」で取り上げると書いた。

 私も見たが、やはり大したものですね。

 弦楽器の首席奏者というのは、自分は弾けて当たり前。

 それ以外に自分のセクション、つまり清水さんなら、ビオラのボーイング(弓使い)を決定する。

 それに当たって、他の弦楽器の首席と相談する、という準備をリハーサル前にやっておかなければならない。

 それも、1週間も2週間もかけるわけじゃない。

 ベルリン・フィルはどんなに難しい曲でも、リハーサルは三日しかない。

 そのペースで次から次へと準備せねばならぬ。

 それから、オーケストラのような巨大な合奏体になると、「合わせる」こと自体が技術である。「合奏技術」と云う。

 普通は指揮者の棒を見ていればよいが、指揮だけではどうしても情報が足りないときがある。

 そういうときには、聴衆には分からないけれども、コンサートマスターが、

 ある種の合図を全体に対して、又は各セクションの首席奏者に向けて発信する(それは、ときには、目を合わせるだけ、ということもある)。

 清水さんは、だから、楽譜だけ見ているように見えるが、実際は、指揮者とコンマス(安永さん)に絶えず注意を払い、

 自分のセクションにも、「合図」を発しているのである。これが出来なければ、首席奏者の意味がない。

 西洋音楽は2000年の歴史があり、日本人は西洋音楽に接してから、140年ぐらいしか経っていない。

 にも関わらず、既に、世界一のオーケストラのコンサートマスターと首席ビオラ奏者を務めている。

 類い希なる芸術的才能、即ち情緒と感受性、教養を持っている。

 こうしたことが、西洋人から感心されるのである。


◆日本人に驚嘆した西洋人達

 

 先日紹介した国家の品格という本には、そういう話が載っている。

 室町末期に日本に来たザビエル(相当遡るが)は、

 「日本人は貧しいことを恥ずかしがらない。武士は町人より貧しいのに(教養があるから)尊敬されている」

 と、驚いた。

 日本が開国した直後、イギリスは日本を植民地にしようと思えば出来た。



 しかし、イギリス人たちは江戸に来て、町人があちこちで本を立ち読みしている姿を目の当たり(まのあたり)にして、

 「とてもこの国は植民地には出来ない」と諦めてしまった。



 大正末期から昭和初期にかけて駐日フランス大使を務めたポール・クローデルは、第二次大戦の帰趨(きすう)がはっきりした昭和18年に、パリで云った。

 

「日本人は貧しい。しかし高貴だ。世界でただ一つ、どうしても生き残って欲しい民族をあげるとしたら、それは、日本人だ。」



 どれも、これも、日本人の品格・教養に瞠目した結果、出てきた発言であり、

マネーゲームに血道を上げる日本人は、「西洋人もどき」であり、だれも尊敬しない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.01.29

「スパイウエア作成者逮捕」、「東大 、RNA論文『捏造同然』」、「輸入再開、首相が最終判断」 (追加)今夜「情熱大陸」(TBS系列)でベルリンフィル首席ヴィオラ、清水直子さん。

◆記事1:スパイウエア作成者逮捕 元IT社員 口座から預金詐取

 スパイウエアと呼ばれる不正ソフトを使った預金詐欺事件で、警視庁ハイテク犯罪対策総合センターは二十六日、

 不正アクセス禁止法違反と電子計算機使用詐欺の疑いで指名手配していた住所不定、元IT関連企業社員、竹川敦容疑者(31)を逮捕した。

 調べに対し「(スパイウエアは)自分が開発した」と供述している。スパイウエアの作成者が逮捕されたのは国内で初めて。

 調べによると、竹川容疑者は無職の平山喜一被告(34)=不正アクセス禁止法違反罪などで起訴=と共謀し、

 ジャパンネット銀行に口座を開設する川崎市の貴金属販売会社にスパイウエアを添付した電子メールを送信。

 同社に割り当てられたネットバンキング用のIDとパスワードを不正入手した上、

 昨年七月一日、同社の口座から二人が管理する第三者名義の口座に二十一万六千円を送金した疑い。

 竹川容疑者らは通販業者十社の口座から約千百万円を詐取したとみられ、

 同センターは余罪があるとみて追及している。(産経新聞) - 1月26日15時51分


◆記事2:RNA論文「捏造同然」 多比良教授と助手を処分へ

 

 東京大大学院工学系研究科の多比良和誠教授(53)=生命化学工学=の論文疑惑で、

 東大調査委員会(委員長・松本洋一郎同科教授)は27日「現段階で論文の実験結果の再現には至っていない」とする報告書を発表した。

 記者会見に同席した浜田純一副学長は「捏造(ねつぞう)同然とみえる」と述べ、

 多比良教授と主執筆者の川崎広明助手(37)の処分を懲戒免職も含めて検討していることを明らかにした。

 大学側は、小宮山宏総長の指示で責任の所在などを調べる委員会を設置。

 教授の研究室を事実上閉鎖し、学生をほかの研究室へ振り分け始めた。

 一方、多比良教授は同日「報告書には誤解がある。納得できない。

 自分から辞めるつもりはない」と述べた。(共同通信) - 1月27日13時47分更新


◆記事3:輸入再開、首相が最終判断へ=再発防止策など協議-米産牛肉問題

 

 米国産牛肉の一部にBSE(牛海綿状脳症)の危険部位が混入していたため、輸入が再禁止になった問題で、

 政府は輸入再開について「関係省庁で協議した上で、首相の指示を受けて判断する」(農水省)とし、

 小泉純一郎首相が最終的に決断する方針だ。政府は、再発防止策などに関する米側からの正式な報告を待って、

 再開に向けた手続きを開始したい考えで、輸入再開は早ければ春ごろになりそうだ。 (時事通信) - 1月28日15時0分更新


◆コメント1:スパイウェア(コンピューターウイルス)を作る奴が、一番悪いのだ。 

 

 当たり前ではないか、というなかれ。 

 私は、以前、コンピューターウィルスに慣れてはいけない。という記事を書いたことがある。



 世の人には、人を困らせる為に、世間が騒いだり混乱したりするのを見るのが楽しくて、

 わざわざ、コンピューターウイルスを作ってバラ撒いている陰湿な野郎がいるわけだ。

 ところが、世間はコンピューターウイルスを自然界のウィルスと混同しているかのように見える。

 ウィルスに感染するのは、ウィルスを作った奴がいるからだ。

 こいつがまず、一番悪いに決まっているではないか?

 
 しかし、昨今の世の中は、考え方がおかしい。

 コンピューターウイルスが存在するのが「当たり前」で、それに対策をしていなかった被害者が悪いのだ、という認識になっている。

 この考え方は正しくない。



 ウィルスを作る奴らがこの世にいなくなったら、感染することもなくなる。

 今までは、ウィルスの発生源を逆探知することが難しくて、逮捕できなかったのだろうが、

 今回「犯人」を捕まえたのはお手柄だ。

 世の中にこれだけ迷惑をかけている連中が、のさばっていて、良い訳が無い。


◆コメント2:韓国のES細胞をあざ笑っていた人は何かコメントすべきじゃないの?

 

 韓国でES細胞の研究を巡るねつ造が大騒ぎとなり、何かというと、韓国乃至、韓国人をバカにしたがる人は、「大喜び」していた。

 ところが、何と、東大でも全く同じことをやっていた。これは、恥ずかしい。

 私は、「ES細胞:黄教授疑惑「論文、全部ねつ造」ソウル大調査委」 耐震強度虚偽表示がまかり通っていた国も、相当恥ずかしいと思いますが。という記事を書いた。

 あまり、他国のことを言えた義理ではないのではないか、という趣旨である。

 東大のねつ造の所為で、一層、偉そうなことを言えなくなった。


◆コメント3:小泉に判断させたら、輸入再開というのに決まっているだろう。

 

 今更いうまでもなく、小泉首相はブッシュの忠犬ハチ公である。

 昨年11月、日米首脳会談の後に、米国産牛肉の輸入再開が決まったのである。

 今回、小泉に最終判断を任せたら、「早く再開しろ」と云うに決まっている。アホか。



 また、法的にも、首相に最終判断を任せるのは間違っている。

 日本国憲法 第65条 行政権は内閣に属する。

 「内閣に属する」のであり、内閣総理大臣に属するのではない。

 内閣は連帯して責任を負う。

 これに対し、アメリカでは、行政権は大統領に属する。

 小泉は自分を大統領と勘違いしているフシがある。

 厚労相、外相、農水相は、早期再開は止めるように首相を説得すべきなのだが、怖くて誰も云えないらしい。

 日本は、今や独裁国家なのだ。


◆【追加】今夜TBS系列「情熱大陸」でベルリンフィル・首席ヴィオラ奏者清水直子さんのドキュメンタリーをやるそうです。


 

 先ほどテレビの番組表を見ていて気が付いた。

 過去、この日記では何度も、ベルリン・フィルのコンサートマスターの一人が安永徹さんと言う日本人であること。

 それがどれほど、すごいことなのかを書いた。

 それは、欧州の管弦楽団で活躍する日本人音楽家は、どんな政治家・外交官よりも、日本に貢献している(シュミット元ドイツ首相)

 ものは試しで、ベルリン・フィルを聴いてみませんか?NHKBS2で大晦日まで深夜に放送。などをお読み頂けると有難い。

 安永さんは既に22年もコンサートマスターを務めていて、これほどすごいことはない。

 その上、ベルリンフィルには、その後2人も、日本人奏者が見事オーディションに通って、入団している。

 一人は、第一バイオリンの町田琴和(まちだことわ)さん、

 もう一人は、何と首席ヴィオラ奏者の清水直子さんである。

 清水さんが首席ヴィオラ奏者として入団したのは2001年。5年目である。

 ベルリン・フィルなどというものは、入団できるだけでも、ものすごいことであるが、首席奏者はどの楽器でも、

 他の奏者とは異なる、レベルの高いオーディションを受ける。

 その上、2年間の試用期間を経て、初めて正式なメンバーになることができる。

 並大抵のことではない。

 その、清水直子さんのことを、東京での放送時間しか分からないが、TBS系列の「情熱大陸」が取り上げた。

 ベルリンフィルジルベスター・コンサートの様子なども交えて、と番組のサイトに書いてある。

 まだ放送されていないから、どの程度の出来の番組か分からないが、

 是非、ご覧になってみては如何であろうか。

| | コメント (1) | トラックバック (2)

2006.01.28

「このドミニカン派の坊さんは聖者だというけど、僕は少し怪しいと思う」(「モーツァルトの手紙」より)

◆「モーツァルトの手紙」(岩波文庫)より

 

 (姉あて)1770年8月ボローニャにて。(引用者注。このときモーツァルトは14歳)

 現在ぼくはまだ生きていて、ピンピンしています。驢馬にのってみました。イタリアではこれが習慣なので、ひとつやってみなくちゃ、と思ったからです。

 あるドミニカン派の坊さんとお近づきになりました。 この人は聖者だという話だけれど、ぼくは少し怪しいと思う。

 何故って、この坊さんは朝食にはチョコレート(注:日本風にいうと、ココア)をコップにいっぱい平らげたかと思うと、

 すぐそのあと、スペインの強いお酒をなみなみとついで、キュっとやるのですよ・・・。

 お酒を相当やったあと、最後にコップいっぱい酒をぐいのみした上で、でっかいメロンを二切れ、

 それから桃と梨とコーヒー五杯。鳥を皿に山盛りと、たっぷり二皿のレモン汁を入れたミルクもお腹に入れちゃうんですよ。

 これも「おつとめ」と思って我慢して食べているのかも知れないけど・・・ぼくにはそうは思えない。

 この坊さん、おやつもまた色々と召し上がるんです。さよなら、じゃ、また。

 ぼくのかわりにママの手にキスをしておいて。


◆所感:250年前の今日、ザルツブルグに人類史に永遠に名を残す天才が生まれた。

 

 1756年1月27日である。

 モーツァルトは音楽家の息子だが、父親のみならず、当時の全ての音楽家が唖然とするほどの、桁違いの天才だった。

 父親のレオポルド・モーツァルトは早くにその才能に気が付いて、息子がまだ6歳の頃から、ヨーロッパ中を旅して、その才能を喧伝した。

 それは有名な話で、私は学生の頃から知っていたが、何となく「幼い子供をあちこちで売り込んで一稼ぎしようとした、あまり感心しない父親」

 という極めて現代的というか浅薄な解釈しかできなかった。



 ところが、ずっと後年、イギリス駐在中、幸いにもザルツブルグに行くことができた。

 読者諸氏でも行かれた方は多いと思う(因みに、わたしが行ったときには、黒柳徹子を見かけた。ザルツブルグ音楽祭を見に来たらしい。すごいオーラだった)。

 話が逸れたが、実際にザルツブルグへ行ってみて、とても美しいが、実に狭い街(というか、村というか・・)だったので少々驚いた。

 そして、モーツァルトの父親の気持ちが分かった。

 あれだけのものすごい才能を持っていて、ザルツブルグの田舎でじっとしていては、どうにもならない。

 早くに色々なものを見せて見聞を広めないと、才能が花開く機会を失ってしまう。

 それに、当時、音楽家は独立した自由業ではなく、宮廷に雇って貰わなければ食えなかった。

 王族・貴族の雇われ職人だったのだ。食事もコックなどと一緒にしていたのである。

 だから、父は息子の為にできるだけ、やんごとなき方々に拝謁し、「演奏を聴いていただき」、

 できれば雇っていただけることができれば、それが息子の為になる、と考えたのであろう

 (しかし、結果的には、モーツァルトは初めて、このような権威への服従を拒んだ音楽家になった。それが、貧乏の原因にもなったのだが)。


◆あちこち旅先からこのような手紙を姉や母に書いて送ったのである。

 

 モーツァルトが旅先から書いた、夥しい数の手紙は幸い残っていて、

 この人類最高の天才が、どういう物の見方をする人間だったのかを知る、非常に貴重な資料となっている。

 有難いことに、日本語に翻訳されており、岩波文庫で読むことができる。



 上で紹介したのは、初めてのイタリア旅行の際に書いた多くの手紙のごく一部だが、面白いでしょう?

 14歳というから、今の日本なら中学2年生の少年が、朝っぱらからモリモリと食いまくる、「生臭坊主」をじっと観察している様子があたかも目に浮かぶようである。

 「この坊さんは聖者という話だが、ぼくは少し怪しいと思う」という。

 つまり、若干14歳にして、大人達の「既成の評価」よりも、自分の目で見た事実から下した判断を重んじた。

 他の手紙を読んでみても、モーツァルトが大人達の虚栄心や世俗的な欲望を冷静に観察し、指摘する記述が随所にある。

 モーツァルトの音楽だけを聴いているだけで十分楽しいが、へえ、こういう人間だったのか、という意外感が味わえる、大変興味深い史料である。


◆お薦め:ディヴェルティメント第17番 K.334 ウィーン室内合奏団

 

 モーツァルト:ディヴェルティメント、演奏:ウィーン室内合奏団

 スレたクラシックファンはバカにするだろう。あまりにも有名だからだ。 第3楽章は「モーツァルトのメヌエット」とかいって、単独で演奏されることが多い。

 有名な曲だとわざとよけるというのは、まだ、修行が足らんよ。

 例えば、ベートーベンの「運命」を、「あー、ポピュラー音楽ね」なんていう奴。ダメ。大した感受性じゃ有りません。

 同様に、このディヴェルティメントが分かんないようじゃダメだね。 まあ、他人のことは、いいや。



 わたしゃ、この曲が好きでね。 理屈じゃないんす。好きなんす。(「好き」に理屈は要らんですよ)。

 ディベルティメントは日本語では「喜遊曲」とか「嬉遊曲」というが、この訳、上手いとおもうよ。

 全曲素晴らしいのだけど、3楽章の「モーツァルトのメヌエット」だけ取り上げても、ただごとではない。

 「典雅」(正しく上品なこと。整っていてみやびやかなこと。広辞苑)と言う言葉を音楽にするとこれになると思うのだ。

 上品、みやびやか。うきうきするような音楽。


◆ところが、弾く方は大変なんだそうだ。

 

 ちょうど二ヶ月ほどまえに、 「バイオリニストは肩が凝る」(鶴我裕子 NHK交響楽団第1バイオリン奏者 著)を紹介した(因みにこのリンク先、Amazonのカスタマーレビュー「N響マニア」は私です)。

 この本でN響のバイオリン奏者鶴我裕子さんが、まさにこのディヴェルティメントについて触れているところがある。

 第一バイオリンばかりがやたらと活躍する曲なのだが、特に、最後の楽章の難しさはプロでもハンパじゃないのだそうだ。



 モーツァルトの曲はK.334と言う具合に頭にKが付く。

 これは、モーツァルトの全作品に番号を付ける、という大変な仕事をした19世紀、オーストリアの植物学者,鉱物学者,音楽研究家、

 ルートヴィヒ・フォン・ケッヘル氏に因んで付けられた記号で、「ケッヘル番号」という。



 それで、ディヴェルティメント第17番は「K.334」なのだが、第一バイオリンの人たちはあまりに難しので、この334を「さんざんよ」と呼ぶのだそうな。

 このCD,モーツァルト:ディヴェルティメント、演奏:ウィーン室内合奏団で第一バイオリンを弾いているのは、

ウィーンフィル関連の質問に僭越ながらお答えしますにも書いたが、ウィーン・フィルの伝説的名コンサートマスターだったのに、

 1992年登山中滑落死した、ゲアハルト・ヘッツェル氏だ。

 これ、名盤ですよ。こんな名演はないですよ。


◆クラシックのポッドキャスティングをしている方にリンクしていただきました。

 

 JIROの独断的日記ココログ版の方にTBを下さった、眉墨(まゆずみ)トーシローさんは、

 数少ない「クラシック音楽を紹介するポッドキャスティング」である、ポッド ムジーカを運営しておられる。

 先日ココログ版にTBを頂戴したので、先方のサイトにコメントを書かせていただいたら、次回の放送第4回目で取り上げて下さるという。

 眉墨さんはアマチュアオーケストラでフルートを演奏なさるそうだ。モーツァルトに造詣が深く、語り口がとても柔らかい。是非お聴き頂きたい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.01.27

「額に汗して働く人が憤慨するような不正を困難を排して摘発していきたい」大鶴東京地検特捜部長←我が意を得たり!

◆名言:大鶴基成東京地検特捜部長、昨年4月就任記者会見での発言より。

 「額に汗して働く人、リストラされ働けない人、違反すればもうかると分かっていても法律を遵守している企業の人たちが、憤慨するような事案を万難を排しても摘発したい」


◆記事:堀江社長逮捕、1年前から極秘捜査 元社員ら情報提供

 

 ライブドアの脱法的な経営手法について、東京地検特捜部は昨年二月、「時間外取引」によるニッポン放送株の大量取得を機に内偵捜査を始め、一年近くにわたり、隠密裏に捜査を続けてきた。

 昨年夏に同社社長の堀江貴文容疑者(33)が総選挙に出馬し、選挙への影響を避けるため捜査は一時中断したが、グループ元社員ら内部関係者からの情報提供によって、捜査は核心へとたどりついた。

 二十三日午後三時四十五分ごろ、東京都内のホテルの一室。特捜部の検事が堀江容疑者と向かい合って座り、任意で事情聴取を始めた。

 この聴取も十六日の捜索も、証券市場の混乱を避けるため、市場が閉まる午後三時以降に始められた。

 堀江容疑者は、一通り検事の質問に答えた後、午後六時過ぎ、霞が関の東京地検へ同行を求められた。

 三人の役員らとともに地検で逮捕の手続きが取られたのは、午後七時四十分ごろだった。

 関係者によると、特捜部と証券取引等監視委員会が初めに着目したのは、法の抜け道を突いた時間外取引の違法性について。

 だが、金融庁が「脱法行為だが適法」との見解を示すなど、取引自体を違法とすることはできず、

 この時点で犯罪をあぶり出すことはできなかった。



 これで捜査をやめたわけではなかった。

 ライブドアの脱法行為や不透明な経営実態について、関係者から情報提供が相次ぎ、少数の検事ら担当者で解明を進めた。

 「すぐに本格的な捜査に乗り出すべき事実はなかったが、情報を一つひとつ検討した」(捜査関係者)という。

 昨年八月、郵政解散による総選挙に堀江容疑者が広島6区から立候補し、捜査はいったん止まる。

 小泉政権に反旗を翻した亀井静香衆院議員に対する「刺客」として堀江容疑者は注目を浴びていた。

 もし捜査の動きが表面化すれば、有権者の判断に影響を与えるのは必至だったからだ。

 特捜部が再始動したのは秋。堀江容疑者が落選し、懸念は消えていた。



 株式分割と株式交換による企業買収を繰り返し、グループを拡大するライブドア流経営手法の不自然さに注目。

 堀江容疑者の経営に反感を抱くグループ内部の関係者や、グループを離れた元社員らから、秘密裏に事情聴取を重ね、容疑事実を固めていった。

 重要な指示も幹部がメールで伝達するライブドアでは、メール履歴が大事な証拠になる。

 コンピューターのボタン一つで重要な証拠があっという間に削除される恐れがあるため、

 堀江容疑者らグループの中心人物からは事情聴取を避けるなど、捜査の保秘には最大限の注意が払われた。

 年が明け捜査は詰めの段階に入ったが、検察当局内でも秘密保持を徹底。

 上層部からゴーサインを得たのは、今月十六日の捜索直前だった。

 「メールを押さえろ」。捜索当日、ライブドアに入った係官はこう叫んだ。

 同時にサーバーがある東京・新宿の雑居ビルも押さえた。一部、証拠隠滅が行われていたが、

 メールの徹底分析などで逮捕は揺るぎなかった。【産経新聞 2006/01/24 東京朝刊から】


◆コメント:我が意を得たり。

 

 毎日、いろいろなメディアをチェックするが、残念ながら東京地検特捜部長の就任記者会見は見落としていた。

 昨年4月、東京地検特捜部長に就任した大鶴基成氏は硬骨漢だ。「マスコミは悪だ」など、過激な発言の断片が見付かるが、

 これは、云われたマスコミが意図的に強調しているだろうから、文脈を見なければ、発言の意図が分からない。



 そんなことよりも、冒頭で「名言」として引用した言葉は、それ自体で十分、小気味いい。

 記事によれば、東京地検特捜部は、昨年の2月から極秘でライブドアの捜査を始め、

 大鶴部長は4月に着任したのだから当然それを知っていて発言したわけである。

 私は、昨年末、この日記で「プロジェクト X」は、やはり、良い。という稿を上げた。

 リンク先をお読みいただけると幸いだが、その中で、

 

◆虚構の世界に夢中になってはならぬ。

 このように考えると、何もモノ・サービスを作り出さないで収益だけ上げている連中は、

 世の中の大多数の人が真面目に汗水働いているからこそ存在できる、狡い存在であることが分かる。時代の寵児でも何でもない。

 と書いた。

 だから、私が大鶴東京地検特捜部長の言葉を読んで「我が意を得たり!」というのは、読者諸氏にも分かっていただけると思う。

 無論、検察と言う組織に全然問題が無いとは云いませんよ。

 国家の罠と言う本もある。

 しかし、兎にも角にも、東京地検特捜部と云えども、現職の総理大臣に近い人物を捕まえて調べるというのは勇気が要るはずで、

 まず、その勇気と覚悟を讃えたい。

 その根底に大鶴特捜部長の言葉に象徴される、「正直者がバカを見る世の中であってはならない」という司法の強い意志があるのは、実に頼もしい。

 と、素直に考えたい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.01.26

「政府、輸入済みの米産牛肉、国内業者に自主調査要請へ」自主点検なんて暢気なことを云うな。

◆記事1:輸入済みの米産牛肉、国内業者に自主調査要請へ (日経 23日 13:53)

 

 日本向けに輸出した米国産牛肉に除去を義務付けている背骨が混入していた問題で、

 政府は輸入済みの米国産牛肉にBSE(牛海綿状脳症)の危険部位が混入していないか自主的な調査をするよう国内業者に要請する。

 安倍晋三官房長官が23日の記者会見で表明した。安倍氏は同日、来日中のゼーリック米国務副長官と会談し、

 原因究明や再発防止策の徹底を要請した。

 危険部位混入の調査は安倍氏が同日午前、首相官邸で中川昭一農相と協議して決定。

 厚生労働、農水などに詳細を詰めるよう指示した。調査を要請するのは米国産牛肉を輸入した商社や食肉処理業者など。

 結果を政府に報告するよう求める。

 昨年12月12日の輸入解禁後、1月20日までに輸入した牛肉は約1500トン。

 大半が品質を確かめるための輸入で、市場にはあまり出回っていないとみられる。

 ただ検疫所での調査は抜き取り方式のため、危険部位の混入を見逃している可能性もある。


◆記事2:小泉首相:証券取引の規制強化急ぐ意向 ライブドア事件で (毎日新聞1月24日)

 

 小泉純一郎首相は24日の衆院代表質問答弁で自らの構造改革路線について

 「決して弱者を切り捨てるものではない。個人も企業も努力が報われ、安心して再挑戦できる明るい社会の実現を目指している」と強調した。

 公明党の神崎武法代表が「改革の進展に伴い、ゆがみが社会の足元で広がっている」とただしたことに答えた。

 神崎氏は代表質問で、ライブドアによる証券取引法違反事件を受け、

 今通常国会で証券取引の不正行為を防止する法整備を検討するよう求めた。

 これに対し、首相は「今国会で金融サービスに関する法規制の枠組みを整備することとしており、

 その中で不正行為の防止にしっかり取り組んでいく」と述べ、再発防止に向け、規制強化を急ぐ考えを示した。


◆コメント:ニュースはライブドア一色だが、危険な食べ物が出回っていることの方が問題だ。

 一昨日、マスコミのsense of proportionの欠如を指弾したばかりだが、政治家もマスコミも、

 「ライブドア」一色になってしまうのは、まずい。



 ライブドアの偽計・風説の流布、有価証券報告書への虚偽表示は、勿論、大問題だ。

 22万人のライブドア株主の多くに大損害を与えたのであるから。

 しかし、政治家、役人、マスコミ全てがこの会社のこと「だけ」に関心を払うようではいけないのである。。



 記事1によれば、昨年12月に米国産牛肉の輸入を再開してから、今までに1,500トンも輸入している。

 それは市場に出回っている。

 その牛肉の中に特定危険部位を除去していない肉が含まれていないという確証はどこにもない。



 特定危険部位そのものを食べるのでなければ、さほど危険ではないとはいうが、

 「輸入再開は時期尚早だ」という、日本国内の反対意見もあったのにも関わらず、

 日本政府が再開を決定し、その結果として、BSEに感染した牛肉が食卓に上がっているかも知れないのだ。

 全く緊張感がない。

 安倍官房長官は、

「輸入済みの米国産牛肉にBSE(牛海綿状脳症)の危険部位が混入していないか自主的な調査をするよう国内業者に要請する。」

 のだそうだ。要請だから、命令ではない。点検しなくても良いのだ。



 厚生労働省の役人で、点検できる専門家がどれぐらいいるのか知らないが、

 国の責任でこういう事態に陥ったのだから、自主点検ではなく、国がどこへでも急行して点検するべきだ。

 物理的に限度があろうが、限度一杯にやるべきだ。

 「民でできることは民で」は通用しない、「官」に責任があるのだから、「官」が点検するべきなのだ。

 いや、点検では甘い。市場に出てしまった米国産牛肉は可能な限り、回収するべきだ。

 何故か?


◆1980~96年に英仏に1日以上滞在した人は献血できないのですよ。

 

 昨年、英国滞在者から先行で献血禁止…変異型ヤコブ病対策 ←米国産牛肉輸入再開など、もってのほかですね。という記事を書いた。

 厚生労働省は昨年3月31日に、1980年から1996年にイギリスに一日でも滞在した人は、献血してはいけないという「お触れ」を出した。

 この決定の趣旨は、

 


  • 英国はBSEが最も大量に発見された国である。

  • 特に、80年~96年の牛は異常タンパク質プリオンに汚染された「肉骨粉」を食べていた可能性が極めて高い。

  • 従って、同時期に英国に一日でも滞在した人はBSE感染牛の肉を食べているかも知れない。

  • 一度でもBSE感染牛の肉を食べた人は既に、クロイツフェルト・ヤコブ病に罹患している可能性がある。


 という、論理に基づいているものと考えられる。
 「一度でもBSE感染牛の肉を食べた人は、クロイツフェルト・ヤコブ病に罹っているのかもしれない」

 というほど、危険視するのならば、12月16日以降に輸入した米国産牛肉は全て回収するべきではなかろうか。

 このように、どう考えても、「業者に自主点検を要請」というのは、本気で問題に対処する態度と思われないのである。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.01.24

自民党は「カネさえあれば人の心まで買える」という思想の持ち主を政治家にふさわしいと考えていたのですね?

◆そういうことでしょう?
 

 昨年の衆議院選挙で、郵政民営化に反対した亀井静香に対する「刺客」として自民党が選んだのが堀江貴文であった。

 そのことで、武部が「責任」を問われているが、小泉首相もさすがに汚いね。

 自民党執行部は、「別に指示を出していないのに、武部や竹中が勝手に堀江の応援演説に行った」、

 という。

 武部は見事に「尻尾切り」に利用されそうである。



 殆ど「感動的」という形容詞を付けたくなる。

 惚れ惚れするほど「汚い」政界の実情を端的に表している。



 そもそも「刺客作戦」を命じたのは他ならぬ小泉純一郎内閣総理大臣ではないか。

 堀江と小泉ががっしりと握手したポスターが今でも残っている。


◆「カネさえあれば人の心まで買える」と言い放つ堀江を擁立したのだから、自民党もそういう思想なのだろう。

 

 そのように考えざるを得ない。

 自民党の良識を疑う(元々、自民党に良識があるとかんがえていたわけではないが)。



 実は、民主党も堀江に立候補の打診に出向いたことがある。

 当時の岡田代表が自ら堀江に会った。

 しかし、「国民はバカだから・・・」を連発する堀江と、最後までどうしても思想が合致しない。

 結局「この男はダメだ」、と判断して、立候補の依頼はしなかったそうだ。



 何でも民主党が良いとは言わぬ。

 私はむしろ、現代表の前原が、「集団的自衛権を認めるべきだ」と公言したので、激怒している。

 しかし、こと、堀江に関しては自民党よりも民主党の方が「人を見る目」が有ったと言っていい。


◆金融担当相だった竹中が、証取法違反会社の社長の「応援演説」をしていたマンガ的構図。

 

 衆議院選挙で竹中平蔵・郵政民営化担当相・前金融相が行った堀江貴文への応援演説は傑作である。

「われらがホリエモンです。小泉さんとホリエモンさんと私(竹中)と三人で小さな政府を目指します。構造改革を実現します」

 だってさ。

 小泉や金融担当相が、ホリエモンを褒めちぎった、ということは、ライブドア株に政府保証を付けたようなものだ。

 それで安心してライブドア株主になった人もいるはずだ。

 竹中平蔵は、小泉内閣の経済の専門家ということでのし上がってきた。

 自分が応援演説をすることがライブドア株の株価に如何なる影響を与えるか知らないわけがないのだ。



 今や、ライブドア株が上場廃止、紙屑同然になるのは、殆ど間違い無いとおもうのだが、

 竹中君は知らん顔をしている。「風説の流布」の責任を取るべきではないだろうか?

 株価云々だけではない。 

 竹中平蔵は金融担当相だったのだ。

 丁度ホリエモンがインチキをしていた頃に金融市場の監督官庁の責任者をしていながら、

 不正を見抜けず、従って摘発できなかった。

 その上なんと、粉飾決算をし、違法な株を上場していた人間を、

 よりによって政治家にして、総理大臣と自分と3人で、経済政策を練ろうとしていた。

 堀江は落選したから良いではないか、というのは、結果論である。



 繰り返すが、自民党は「カネさえあれば人の心まで買える」と公言する人間を推薦した、実質的には殆ど公認に等しい。

 竹中平蔵は金融担当相だったのに、金融市場で違法行為をしていた人間を見抜けず応援していた。

 厳密には、司法当局による捜査が始まったばかりだが、

 この政党、首相、前・金融財政担当相、いずれに対しても倫理的責任を追及すべきである。

| | コメント (0) | トラックバック (2)

報道機関が sense of proportion を忘れてはいけないのである。

◆BSEはどうなった?東証のシステムは?今国会の主な法案は?
 

 "sense of proportion"を英和辞典で引くと、「平衡感覚」となっているが、これだけでは少し分かりにくい。
 約2年前に"Sense of proportion"(平衡感覚)ということ。という一文を書いたので、
 ご参照いただけると有難い(但し、この稿は、環境問題への小泉政権の関心の薄さを批判することが主題である)。
 要するに、物事の軽重(けいちょう)、重要さの度合いに応じて、
 注ぎ込む時間や、労力のバランスを考え、実行する能力、ということになるだろう。
 今日は、少なくともテレビは、夕方からずっとライブドアの堀江社長が逮捕され、
 東京拘置所に送られたというニュースを既に5時間か6時間、ずっと放送している。
 だが、先週、東京地検特捜部が強制捜査に入った段階で、当然、ライブドア
 最高責任者の逮捕は予想されることであった。

 日本の国家公務員でも優秀な人は大勢いるだろうが、
 所謂「マルサ」(国税局査察部。巨額の脱税を発見して、証拠を集め白状させ、税金をもぎ取っくる人々。
 故・伊丹十三監督の「マルサの女」という映画に詳しい)と、「東京地検特捜部」は、
 「泣く子も黙る」という形容詞がぴったり当てはまる、極めて優秀な集団である。

 特捜部が踏み込んだということは、殆ど内偵によって、「立件できる(裁判に持ち込める=起訴できる)」
 という確信を得ていることを意味する。

 何しろ(随分昔の話となるが)、海千山千の元総理大臣、田中角栄まで、
 地検特捜部に睨まれ、東京拘置所にぶち込まれたのである。
 つまり、今日、堀江社長が逮捕されることは私も予想できなかったが、先週の時点で「時間の問題」だったのだから
、全てのテレビ局が、この話題「だけ」を報道していては困るのである。
 国民は、「時の寵児が拘置所に入った」ことに興味をもつだろうが、
 マスコミはバランス感覚、"sense of proportion"を失ってはいけない。

 ところが、現実には、逆にマスコミが、国民のバランス感覚を崩すような報道をしている。

◆衆議院選挙のときもそうだった。
 

 昨年8月8日に、衆議院が解散され、小泉首相が「郵政民営化選挙だ」と叫び、
 反対票を投じた候補者に、堀江貴文を含むド素人を対抗馬として立候補させた。

 問題の本質はそうではなく、
「郵便局が民営化されたら、どのようなメリットとデメリットがあるのか。」
「他の政策についての公約に問題はないのか?」
 など、放っておいたら国民が知らないであろうことを敢えて取り上げ、
 分かりやすく説明するのが、ジャーナリズムの使命であった。

 それを「刺客」などと、大衆が喜びそうなふざけた言葉を敢えて用いて、そればかりをクローズアップした。
 だから、私は8月17日、何が「刺客」だ。選挙戦の本質は政策論争だろう。
 その数日後、21日にも、選挙はゲーム(遊び)ではない。勝敗予想を立てる前に、政策を検証しろ。
 と書いたのである。

 しかし、残念ながら国民の多くは、
 「郵便局(郵政公社)は独立採算で、郵便局員の給料ははがきや切手の売上げから支払われており、税金は一円も用いられていない」
 ことも知らずに、小泉のテレビCM、「郵便局員、公務員を減らさなくて良いのですか!特権を許していいのですか?」
 などというペテン師まがいの台詞にまんまと騙されて、投票し、自民党を圧勝させた。

 その後、与党は障害者への公的負担の減額、サラリーマンへの定率減税の廃止、
 終末医療費の削減(もう助からない患者はさっさと退院しろということ)、
 安全なのかどうか国民へなんの説明もないまま、巨額の費用がかかる自衛隊イラク派遣の継続、等を決定した。

◆ホリエモンのニュースを伝える割には今の彼の法的立場の解説がない。
 

 テレビ各局は、「堀江社長が東京拘置所に勾留された」と報じるくせに、
 「拘置所とは何か」、は説明しない。

 簡単に説明する。
 まず、普通の場合。つまり、警察官が捜査する場合。
 犯罪を行った疑いが有る人間を取り調べの対象とすることを「検挙」といい、
 その中で、身柄を拘束する場合を「逮捕」という。 証拠隠滅や、逃亡の恐れがあるときに、「逮捕」が実行される。
 逮捕までが警察官の仕事で、詳しい取り調べは検察官の仕事である。
 警察官が被疑者を逮捕したときには、48時間以内に、被疑者の身柄、証拠物、取り調べ書類などを検察官に送らなければならない。
 (刑事訴訟法第203条)。 これを「検察官送致」(=送検)という。
 まれに、逮捕の必要が無いときには、身柄は拘束せず、書類だけを検察官に送る。 これを「書類送検」という。

 このように、普通はまず司法警察職員(警察官)が逮捕して、検察官(検察官の役所が検察庁)へ送るが、特別な場合もある。
 

刑事訴訟法第191条 第1項 検察官は、必要と認めるときは、自ら犯罪を捜査することができる。
 だから、東京地方検察庁特捜部の検察官が直接、堀江社長を逮捕することができるのである。
 いきなり検察庁が出てくるのは、余程重大な事件と見なされている証拠である。
 取り調べ中の被疑者は、逃げないように、捕まえておかなければならない。
 このような、「被疑者を拘禁する刑事手続」を 「勾留」という。
 刑の一種である「拘留」(懲役・禁錮と同じ、自由刑の一種だが、1日以上30日未満のうんと軽い奴である)とは異なる。
 「勾留」の要件は、
「被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由(犯罪の嫌疑)があり,かつ,住居不定,罪証隠滅又は逃亡のおそれ(勾留の理由)があること」
 と定められている。(刑事訴訟法 第60条)。
 「拘置所」は、判決が確定するまでの刑事被告人を入れておく(未決勾留)ため、また、死刑確定囚の拘置を主な目的とするが、
 取調中の被疑者の勾留のためにも用いられるのだ。東京の場合は「東京拘置所」である。
 「東京拘置所」は、かつては、「A級戦犯が処刑された」巣鴨プリズンの施設、つまり、豊島区巣鴨にあったが、
 今は葛飾区、小菅にある。
 堀江社長は、法律の規定に基づく正当な手続きにより、東京拘置所(東京都葛飾区小菅1-35-1)に勾留された被疑者である。
 被疑者ということは、まだ起訴されるかどうか(裁判にかけられるかどうか)分からない。
 起訴されたら、被告人と呼ばれる。しかし、有罪判決が確定するまでは無罪の推定をしなければならない。
 非常に興味があるひとは、東京拘置所面会・差入れガイド(改訂版)というページがあるから、ご覧なると良かろう。
 このサイトでは東京拘置所内での「生活の心得」まで載っている。

 田中角栄も、鈴木宗男も、堤義明もみな、3畳(文字通り、タタミ)の独居房に入れられた。
 便器と洗面所があるだけだ。外の景色は勿論見えない。用を足している最中に看守が見回りに来たら、丸見えである。
 このような環境は故意に作られている。
 屈辱的な環境に独りきりで閉じこめられ、何もすることがない。
 自ずと、惨めな気分になり、抵抗するエネルギーが剥奪されるのである。
 勿論、堀江君も今夜は3畳の寒い独居房で寝る。

◆記事:テレビが伝えないから他のニュースを簡単に。

◆「東証システム異常なし。」
 日経平均株価は336円安。東証は終末にシステムの処理能力を引き上げたが、
 今日の約定件数は291万8000件で、一日の処理限界件数(システム増強後)・450万件の65%だった。

◆記事:「誠に申し訳ない」 米国務副長官、安倍長官らに謝罪
 安倍晋三官房長官、麻生太郎外相は二十三日午前、来日中のゼーリック米国務副長官と都内で相次いで会談した。
 日本側が、輸入された米国産牛肉に牛海綿状脳症(BSE)の特定危険部位の脊柱(せきちゅう)が混入していた問題について
 改めて強い遺憾の意を表明し、再発防止と原因究明の徹底を求めたのに対して、
 副長官は「誠に申し訳ない」と謝罪するとともに再発防止策を日米間で協議していく考えを強調した。
 (産経新聞) - 1月23日15時55分更新

◆記事:「日本郵政」が発足式
 郵政民営化の準備企画会社、「日本郵政株式会社」の発足式が二十三日、 東京・虎ノ門の本社で行われた。
 日本郵政は来年十月の郵政民営化に向け、日本郵政公社の資産承継に関する計画の立案などを進める。
 発足式には、竹中平蔵総務・郵政民営化担当相ら政界関係者が来賓として出席し、
 テープカットで新会社の船出を祝った。
 これに先立ち行われた入社式では、郵政公社から日本郵政に移る社員らを中心とした四十五人に、
 西川善文社長(前三井住友銀行頭取)から辞令が交付された。
 式後の会見で西川社長は、注目が集まっている郵便貯金銀行など四つの子会社のトップ人事について、
 「大変重要な人事。できるだけ早く決めたいが、現在は白紙」と述べた。(産経新聞) - 1月23日15時55分更新

◆記事:スーパーのレジ袋有料化へ 07年度導入目指す
 容器包装リサイクル制度の見直しを検討していた環境、経済産業両省は23日、
 中央環境、産業構造両審議会の合同部会にスーパーなどで無料配布しているレジ袋や、
 プラスチック製や紙製の手提げ袋の有料化を盛り込んだ最終報告を提示し、了承された。
 有料化は通常国会へ3月中旬に提出予定の容器包装リサイクル法改正案には明記しないが、
 環境省が同改正案に基づいて作成する容器包装の減量指針で、
 事業者が有料化を通じてレジ袋や手提げ袋の使用量を減らす目標設定を求め、2007年度からの導入を目指す。
 レジ袋などの販売価格は事業者が独自に決めるが、
 生協や一部の業者が既に1枚、5-10円で有料化を実施しており、
 同程度となる見通しだ。(共同通信) - 1月23日20時38分更新

◆記事:<耐震偽造>新たに東京・大田区のマンションで強度不足
 耐震データ偽造事件で、国交省は23日、姉歯秀次・元1級建築士による構造計算書偽造が判明した
 東京都大田区の賃貸マンション「フリーダム石川台」の耐震強度が法定基準の33%だったと発表した。
 「木村建設」と「イーホームズ」も関与していた。同省は50%未満の物件が建て替え対象との見解を示している。
 (毎日新聞) - 1月23日18時21分更新

◆記事:ホリエモン逮捕、政界に激震=「政権への打撃は不可避」自民幹部
 衆院本会議で代表質問が始まった23日、耐震強度偽装事件、米国産牛肉輸入停止問題で逆風を受ける小泉政権に追い打ちを掛けるように、
 証券取引法違反事件で堀江貴文ライブドア社長が逮捕され、政界には大きな激震が走った。
 昨年の衆院選で自民党は同社長を応援。小泉純一郎首相も後押しする姿勢を鮮明にしていただけに、
 与党内では「政権への打撃は避けられない」(自民党幹部)との声も上がった。 (時事通信) - 1月24日0時0分更新

◆コメント:おわりに。
 

というわけで、あまりにも当然なのだが、世の中、ライブドアだけ見ていればよい訳ではないのである。

| | コメント (1) | トラックバック (2)

2006.01.22

「明日、食品関連株が暴落、東証システムは大丈夫か」などよりも、本質的な問題がある。

◆コメント:東証もつくづくツイていませんな。

 

 東証は、先週、システムダウンを恐れ、自ら全銘柄の取引を停止したところ、非難囂々で、

 私は「何でも東証の責任にするのは正しくない。」と書いた。

 しかし、与党の追及がうるさく、従って与謝野金融相も何らかの対応を東証に求めざるを得なくなり、

 東証は突貫工事で、この土日で、一日に処理可能な取引約定件数を先週まで400万件だったのを、500万件に引き上げた。

 本日、テストした限りにおいてはシステムは正常に稼働するとのことだが、

 何せ、ライブドアだけでも大変な件数になる(やたらと株式分割したから、口数が多いのだ)のに、

 この週末、BSE問題が発覚した。

 当然、明日は朝一番から食品関連株が暴落するだろう。暴落は知ったことではないが、

 東証の処理能力が、早くも不足することが十分に予想される。


◆コメント:どこまで増やして良いか分からない。こういう設備投資は民間企業に任せて良いのか?
 

 小泉純一郎内閣総理大臣のバカの一つ覚え、「官から民へ」の言葉どおり、

 東証は民営化された、株式会社だから、無尽蔵に設備投資するわけにはいかない。

 これは、「何でも東証の責任にするのは正しくない。」の繰り返しになるので、ここでは、省く。


◆コメント:もっと本質的な問題は、ライブドアのような「違法な株」は他にはないのか?ということだ。

 

 実は、これは、国会会議録で、民主党の岩國哲人衆議院議員の質問を読んだ、受け売りである。

 国会会議録検索システムで、

 平成17年2月7日、衆議院、予算委員会、発言者=岩國哲人と入力すれば、簡単に検索できる。


◆資料:2005年2月7日衆議院予算委員会会議録より抜粋

 以下、昨年2月7日衆議院予算委員会会議録の抜粋。

【引用開始】

○岩國委員 総務大臣、厚生大臣、お忙しいでしょうから、どうぞお引き取りいただいて結構でございます。

 次に、西武鉄道の株式の問題について質問させていただきます。

 西武鉄道の株式取引について、違反状態で長年取引が継続されておったということは大変残念なことであります。

 こうした点について、金融庁としては、いつから違反状態が発生し、

 その結果として不測な損害をこうむった投資家は、投資金額はどれぐらいなのか、

 徹底的にこれは調査すべきじゃありませんか。

 きょうも、この瞬間も、違反状態にある株式が東京証券取引所で取引されているんじゃありませんか。

 そういう疑惑の中で、取引所の中で取引されているものには違反状態にあるものはないんだという潔白宣言がいつできるのか。

 どうぞお答えください。



○伊藤国務大臣 委員が御指摘をされた事例も含めまして、昨年の秋以来、不適切な事例が続いております。

 私どもといたしましては、証券市場の信頼性を確保するためには、

 適切なディスクロージャーが極めて重要であると考えておりまして、こうした観点から、

 国民のディスクロージャー制度に対する信頼を確保していくために、その対応策を昨年の十一月、

 そして十二月に公表をさせていただいたところでございます。

 その中の対応策の一つ一つを強力に進めていくことが重要だというふうに考えておりまして、

 今、その違反状況を是正していくことが重要だというお話がございました。この対応策の中でも、

 開示企業すべてに対して、有価証券報告書の正確性、これを自主的に点検をしていただきたい

 その要請をさせていただいて、すべての開示企業から報告をいただいたところでございます。

 その報告の内容を私どもとして精査をして、

 そして適切なディスクロージャーをさらに進めていくための対応策というものを

 さらに進めていきたいと考えているところでございます。

○岩國委員 私がお伺いしているのは、潔白宣言がいつまでにできるというめどは全くないのかどうかということ

 もう一度お答えください。

○伊藤国務大臣 今、答弁をさせていただきましたように、昨年の十一月、そして十二月に公表させていただいたこの対応策、

 その一つ一つを強力に推進していくことが重要だというふうに考えております。

 先ほど来お話をさせていただいているように、まず開示企業の自主的な点検

 これを要請させていただいたところでございますし、

 また、各取引所においても、その上場のあり方について、

 これを見直していただくことを要請させていただいて、

 その要請を踏まえて見直しについて実施をされているところでございます。

 そうしたさまざまな施策というものを展開しながら、委員から見ても、そして投資家から見ても、

 日本の証券市場の信頼性というものは間違いないものである、

 そういうふうに信頼性というものを確保できるために、

 私どもとしても一生懸命努力を続けてまいりたいと考えております。

○岩國委員 私の質問に二度も答えていただけなかったということは、

 要するに、潔白宣言はきょう現在も出せないし、

 しばらくの間、疑惑の、違反株式の取引はきょうもあしたも続けられるということですね。


【引用終わり】


◆コメント:これ以後も金融庁からは何の発表もない。 

 

 上の伊藤金融相(当時)の答弁を読むとあきれるが、西武鉄道の粉飾決算があったので、

 全ての上場企業に、自分の会社の決算書を「自主点検していただいている」と答えている。



 決算が赤字なのを黒字だと偽る「粉飾決算」をしている会社が、

 金融庁の「自主点検の要請」に応じて、馬鹿正直に「すいません。嘘をついていました。」と答える訳がない。

 因みにこの答弁の2か月後、カネボウの粉飾決算と、

 粉飾決算に中央青山監査法人という、日本有数の会計監査の会社がグルになっていたことが明らかになった。

 東証一部ですら、この有様なのだから、

 東証マザーズなどというベンチャー企業用の株式市場に上場している新興企業は、

 もっと懐疑的に点検するのが監督官庁の義務なのに、それに関しては、政治家も役人もマスコミも誰も言及せず、放置していた。

 このことの方が、大きな問題である。



 岩國議員の質問の最後は、

 

「私の質問に二度も答えていただけなかったということは、

 要するに、潔白宣言はきょう現在も出せないし、しばらくの間、疑惑の、

 違反株式の取引はきょうもあしたも続けられるということですね。」

 と、結ばれているが、まさにその通りかも知れないのである。

 つまり一瞬にして紙屑になるかも知れない株式が、合法の株として証券取引所に上場し、

 売買されている可能性が大いにあるという状況こそが、とんでもない問題である。



 これは、当然、監督官庁である金融庁の責任。

 金融庁は内閣府の外局。

 つまり言うまでもなく行政府である内閣の責任であり、

 内閣を代表する内閣総理大臣の責任であることは、議論の余地のない事実である。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

「米国産牛肉:再禁輸 背骨除去『検査官、認識せず』 米農務長官、不備認める」おい、アメ公。不備じゃなくて「故意」だろ?

◆記事1:米国産牛肉 再禁輸 背骨除去「検査官、認識せず」 米農務長官、不備認める

 

 【ワシントン木村旬】日本向け米国産牛肉に牛海綿状脳症(BSE)の病原体が蓄積しやすい

 特定危険部位の脊柱(せきちゅう)(背骨)が混入していた問題で、

 20日に会見したジョハンズ米農務長官は、担当の検査官らが

 「日本向け牛肉から脊柱を除去する必要があることを認識していなかった」と述べ、

 検査に重大な不備があったことを認めた。

 長官は「対策を講じれば、米国産牛の安全に自信がある。日本の措置は一時的輸入停止と理解している」と

 早期再開に期待感を示した。

 しかし、米国産牛肉に対する日本の消費者の不信感は一段と高まりそうで、輸入停止が長引く可能性もある。

 問題の牛は生後4カ月半未満。

 米国では30カ月未満なら脊柱を除去する義務はないが、日米両国の合意で日本向けは除去しなければならない。

 同長官は「書類を見れば、脊柱が混入していると分かるのに、

 (だれも)除去が必要という事実を認識していなかった」ことを明らかにした。

 牛肉を輸出したニューヨーク市の食肉加工業者「アトランティック・ビール・アンド・ラム」社も同日、

 「輸出条件を誤解した」との声明を出し、日本向けの基準を十分理解していなかったことを認めた。

 同長官は、問題が起きた原因などを徹底的に調査した上で、「調査結果を速やかに日本に報告したい」と述べ、

 原因解明や再発防止対策を急ぐ考えを明らかにした。

 長官は、対策として、全牛肉処理施設の再点検や抜き打ち検査の実施、検査官の増員・再教育などを挙げた。

 問題の牛肉を輸出した業者は輸出許可リストから外し、検査官ら担当者を処分する考えも示した。



 脊柱は、米国の規制では月齢30カ月未満の牛の場合、除去不要だ。

 厚生労働省は昨年暮れに米国の食肉処理場を査察し、米国内向けの牛肉に脊柱の一部が残っている実態を確認した。

 同省は「日本向けには脊柱除去が必要なことなどを各食肉処理施設のマニュアルとして徹底させてほしい」

 と米政府に申し入れた。同省によると米側は昨年中に対応を終えたという。

 しかし、「アトランティック・ビール・アンド・ラム」社は、対応後のはずの今月6日に、

 日本向け牛肉輸出施設として認証されていた。(毎日新聞 2006年1月21日 東京夕刊)


◆記事2:米国産牛肉:脊柱の付いた写真公開 農水省

 

 農林水産省は21日、成田空港で20日見つかった脊(せき)柱(背骨)が付いた米国産牛肉の写真を公開した。

20060121BSEMainichi


 肉の塊の表面に浮かび上がるように付着した太い骨がはっきり見える。

 脊柱の特徴である竹の節のような模様も確認でき、「まさに一目瞭然」(同省消費・安全局)。

 米政府の検査官は、特定危険部位である脊柱が付いた肉を日本に輸出できないことを知らなかった。

 (毎日新聞 2006年1月21日 19時04分)


◆記事3:米国産牛肉:再禁輸 米国務副長官が訪日し23日協議

 

 【ワシントン木村旬】マコーマック米国務省報道官は20日の会見で、

 日本の米国産牛肉の輸入停止について、22日に訪日するゼーリック国務副長官が

 日本側と今後の対応などを協議することを明らかにした。

 副長官は23日に麻生太郎外相と会談する予定。(毎日新聞 2006年1月21日 東京夕刊)


◆コメント:要するにアメリカ人は日本人なんか知ったことじゃないのですよ

 

 BSE事件に触れる前に、今年に入ってから起きた、在日米軍の不祥事に触れておきます。



 「アメリカは同盟国で、いざというとき日本を守ってもらうのだから、大事にしなければいけない」、

 と考えている人が多いが、本気で有事の際にアメリカが日本を守ると信じているのだろうか?

 アメリカの日本に対するこのナメ切った態度を見て、まだ、同じように考えるのだろうか?

 12月28日には、八王子で横田基地の米兵が日本人小学生をひき逃げしたが、

「公務中」だから日米地位協定に基づき、捜査権は米国にあると主張して、在日米軍は、被疑者を引き渡さなかった。



 1月3日には横須賀で日本人女性が米空母キティホークの乗組員に殺された。

 先に捜査したのは在日米軍だった。

 殺されたのは、佐藤好重(よしえ)さん(当時56歳)であるが、

 死因は全身を激しく殴打され、内臓破裂による失血死だという。



 この時には、在日海軍司令官が謝罪し、1月12日の行われた佐藤さんの通夜には、約100人の米軍関係者が焼香に現れた。

 だが、このような事件はアメリカの大新聞は取り上げていない。

 さらに、

 このお通夜のわずか6日後、

 

「米海軍横須賀基地所属の二等兵曹、ジェームス・アーロン・ベーカー二世容疑者(21)が、 

 横須賀市坂本町の市立不入斗中学校(岩沢佳武校長)の敷地内に侵入、歩いていたところを、

 設置していたアラーム通報で駆けつけた同署員に現行犯逮捕された。ベーカー容疑者は泥酔状態だったという。」(毎日新聞)

 という事件が起きた。

 まあ、酔っぱらっていただけと言えばそれまでだけどね。

 同僚が人殺しをした同じ横須賀での出来事なのだ。 不謹慎である。

 米軍横須賀基地は、これもさすがに「ヤバい」と思ったのだろう。

 1月19日、当分の間深夜の飲酒を禁止する、と言う命令を出した。


◆BSEに関して、ワシントンポストや、NYタイムズは片隅で触れているだけなのです。

 

 日本では全国紙が一面で騒いでいるこのニュースもアメリカは、

「どうでも良いこと」と見なしているのが良く分かる。

 ワシントンポストなんか、自分の社ではなく、AP(Associated Press)の記事を買って、転載して済ませている。

 ニューヨーク・タイムズにも、ロサンゼルス・タイムズにも、

 この件に関して「一応」記事は載せてあるが、「海外」面のベタ記事だ。


◆「検査官、認識せず」って、徹底しなかった農務長官の責任じゃないの?

 

 記事1の毎日新聞を読むと、あきれる。

 というか、典型的な「外人」の態度。まず、「言い訳」。

 それは分かっているが納得できるわけがない。

 米国の農務長官は、検査官が、「日本向け牛肉から脊柱を除去する必要があることを認識していなかった」

 と言っているそうだが、そりゃ、教えなきゃ知らないでしょ。

 要するに米国農務省内の情報徹底が為されていなかったのだから、

 農務長官の責任だが、そんな大事なことを徹底していなかったといういい加減な姿勢、

 「検査官が、知らなかった」で済まそうとする態度は

 初めから、「どうでも良い」と考えていたことを端的に表している。


◆写真を見てご覧なさいよ。一目瞭然。なにも検査なんかしていなかったのだ。アメリカは。

 

 日本の農水省が公開した写真を見て、驚いた。

 脊椎が混入しているとかいないとかは、もっと微妙な判定なのだろうと想像していた。

 ところが、 何だい、こりゃ?微妙でも何でもない。 一目で明らかじゃないか。

 アメリカからは国務副長官が跳んでくるそうだが、「副長官」というところがバカにしている。

 日本は、米国産牛肉を永久に輸入禁止にするべきである。
 ご存じの通り、日本には世界一美味い牛肉がある。

 それにも関わらず、米国から牛肉を輸入するのは、不味くてもいいから安い牛丼を食おうとするからである。

 そういう、さもしい根性があるから、アメ公ごときにナメられるのだ。



 牛丼など食わなくても、死にはしない。私が子供の頃は牛丼という食べ物は無かった。

 どうしても食いたければ、たまに和牛で美味いのを作って食えばいいのだ。

 アメリカ人にこれだけコケにされても、「安くて、不味い牛丼」を食いたいですか?

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.01.20

「危険部位混入の疑い 米国産牛肉、成田で発覚」だから、よせと言っただろう!

◆記事1:危険部位混入の疑い 米国産牛肉、成田で発覚

 

 中川昭一農相は20日の記者会見で、成田空港に到着した米国産牛肉に、

 牛海綿状脳症(BSE)の病原体がたまりやすい特定危険部位の脊柱(せきちゅう)が混入している疑いがあると発表した。

 農相は「重大な問題と考えている」と懸念を表明。

 混入の事実が確認されれば、12月に再開したばかりの米国産牛肉の輸入を、

 該当する食肉処理施設について再び停止する意向を示した。

 米国産牛肉の対日輸出は、BSE問題の発生に伴い2003年12月に停止。

 05年12月に、脳や脊髄(せきずい)などの特定危険部位の除去や、

 生後20カ月以下の牛に限ることを条件に、再開され
たばかりだった。

 (共同通信) - 1月20日18時32分更新


◆記事2:年内輸入再開の方針伝達 首相、米国産牛肉で(共同通信) - 11月16日21時3分更新

 

 小泉純一郎首相は16日に京都迎賓館で行われた日米首脳会談で、

 懸案の米国産牛肉の輸入再開問題について、「内閣府食品安全委員会の正式な答申を受けて、

 政府がしかるべき措置を取る」と言明、年内輸入再開の方針を伝えた。

 ブッシュ米大統領は、中国について「今後大きなプレーヤーとなる」と分析し

 「日米関係が良ければ中国も対日関係、対米関係を強化しようと思うのではないか」指摘。

 小泉首相は日中関係の現状について「いくつか問題があるが、自分が首相に就任してからも、

 いろいろな分野で強化されている」との認識を示した。

 大統領は、牛肉輸入再開問題について「議会などの関心が非常に強い」と指摘

 首相は「できるだけ早期に日米間で双方向の牛肉貿易を再開したいと希望している」と応じ、

 食品安全委プリオン専門調査会の答申案で年内の輸入再開に道筋が付いたことを説明した。


◆記事3:米国産牛肉 輸入再開を正式決定(産経新聞) - 12月12日16時6分更新

 

 BSE(牛海綿状脳症)の発生で輸入が停止していた米国産とカナダ産牛肉について、

 政府は十二日、正式に輸入再開を決めた。農林水産省は同日、BSE対策本部を開き、

 再開を決めるなど同省と厚生労働省が必要な手続きを終了。

 一昨年十二月から輸入がストップしていた北米産牛肉は年内にも二年ぶりに日本市場に復活する。

 輸入再開の条件は

 (1)BSEに感染しにくい生後二十カ月以下

 (2)BSE病原体が集まりやすい脊髄(せきずい)などの特定危険部位(SRM)の除去

 などの牛に限られる。

 農水省は米国などにこうした輸入再開条件を提示。

 米国などから輸入条件を受け入れるとの回答があったことから厚生労働省とともに輸入再開を決めた。

 米国やカナダが日本向けの輸出条件を順守していることを確認するため、

 農水、厚生労働の両省は十三日から食品安全や動物衛生の専門家を米国やカナダに派遣し、

 日本向けの食肉処理施設の状況を査察する。

 米国などは日本向けに輸出できる食肉処理施設の認定などに着手。

 その後、輸出用の食肉処理が始まり、年内にも輸入牛肉が日本に入る見通し。

 農水省BSE対策本部長の宮腰光寛副大臣は「査察や原産地表示の徹底、

 消費者らへの情報提供など食の安全・安心の観点から全力を挙げる」などと話した。


◆記事4:米国産牛肉輸入 再開第1便到着(産経新聞) - 12月16日15時39分更新

 

 農林水産省と厚生労働省は十六日、米国産牛肉が同日朝に成田空港に到着したと発表した。

 米国産牛肉の輸入は一昨年十二月にBSE(牛海綿状脳症、狂牛病)問題で禁輸されて以来、二年ぶりとなる。

 両省によると、到着したのは牛肉四・三トンとタンや横隔膜などの内臓〇・三トンの計四・六トン。

 丸大食品(大阪府高槻市)が輸入した。



 輸入解禁となったのは、BSEに感染しにくい生後二十カ月以下で、

 BSE病原体が集まりやすい脊髄(せきずい)などの特定危険部位(SRM)を除去した肉に限定されている

 両省では、米政府が発行した輸出証明書の内容を確認し、脳や脊髄などのSRMが混入されていないか、

 日米で合意した施設で処理された牛肉であるかなどの輸入条件が順守されているかどうかについて同日午後、

 同空港内にある両省の検疫所で検査を実施。条件が満たされていると確認次第、輸入を認める。

 輸入元の丸大食品は「品質確認と社内教育のためのサンプルとして輸入した」という。


◆記事5:マルナカ、米産牛肉販売再開 スーパー業界初(四国新聞 12月23日)

 

 地場大手スーパーのマルナカ(香川県高松市)は、輸入が解禁された米国産牛肉の販売を二十六日から再開する。

 二十八日までの三日間限定の販売。

 解禁後、焼き肉チェーンのゼンショク(大阪府)が十九日に米国産牛肉を使用したメニューの提供を再開しているが、

 スーパー業界での販売再開は初のケースとみられる。



 販売予定の商品は、肩ローススライス(百グラム当たり約二百三十円)とサーロインステーキ(同約四百円)用の肉で、

 四国四県の百十三店舗で取り扱う。輸入禁止前に比べて、二―三割程度高いという。

 今回の輸入量は、約百五十頭分に当たる約六トンで、二十一日に関西空港経由で緊急輸入した。

 販売に当たっては「米国食肉輸出連合会」(USMEF)が販促物を提供するなどして協力する。

 マルナカは「米国での監査、日本での査察で安全は証明されていると判断している」と説明。

 消費者の反応などを見極めた上で、一月中にも再度輸入する方針だ。


◆記事6:輸入条件の緩和は時期尚早 米国産牛肉で農相

 

 【ワシントン13日共同】訪米中の中川昭一農相は13日、

 米国産牛肉の輸入条件を緩和するよう米側が求めていることについて

 「現時点で議論を始めることは日本の消費者、米国の生産者にプラスとならない」と述べ、

 時期尚早との認識を示した。ジョハンズ米農務長官との会談後、共同会見で語った。

  同席したジョハンズ長官は「国際基準に従うよう日本を促していく」と強調。

 昨年12月に貿易が再開された「生後20カ月以下」の牛肉に加え、

 「30カ月以下」まで輸入対象を広げるよう働き掛けていく考えを重ねて示した。

 (共同通信) - 1月14日7時21分更新


◆コメント1:今日、通常国会が召集されたのです。

 

 今日、第164通常国会が召集された。

 日本国憲法第7条第1項第2号に定められているとおり、

 国会を召集することは「天皇の国事行為」であるから、きょうも、陛下からお言葉があった。

 NHKニュースに書いてある。

 

◆第164通常国会 開会

 20日召集された第164通常国会の開会式が、天皇陛下をお迎えして、参議院本会議場で行われました。

 天皇陛下は「国会が、国権の最高機関として、国民の信託にこたえ、その使命を十分に果たすことをせつに希望します」

 とお言葉を述べられました。

 開会式では最初に河野衆議院議長が、衆・参両院を代表して

 「本年は、日本国憲法公布60周年、そして国際連合加盟50周年の記念すべき年にあたります。

 われわれは内政外交にわたり、適切な施策を強力に推進し、国民生活の安定向上をはかるとともに、

 諸外国との協力をいっそう進め、世界の平和と繁栄に寄与していかなければならない」と述べました。

 このあと、天皇陛下が、「国会が、永年にわたり、国民生活の安定と向上、世界の平和と繁栄のため、

 たゆみない努力を続けていることを、うれしく思います。

 国会が、 国権の最高機関として、国民の信託にこたえ、その使命を十分に果たすことを切に希望します」

 とお言葉を述べられました。(01/20 15:03)

 天皇陛下が国会議員達に、「国民の信任にこたえろ」、とおっしゃった、まさに今日、

 先月輸入再開したばかりの米国産牛肉に「特定危険部位」が含まれていたことが明らかになった。

 全然、信託にこたえていないように感ずるのは私だけでは無い、と思われる。


◆コメント2:輸入再開を決めたのは、小泉首相ですね。

 

 記事2から記事4までは、どういう経緯・日程で、日本が米国産牛肉の輸入再開を決定したか、

 いつから輸入再開となったか、などに関する記事をまとめたものである。

 記事2で明らかなとおり、日本が米国産牛肉の輸入を決定したのは、

 11月中旬に行われた小泉・ブッシュ会談の後、まもなくである。

 小泉首相がブッシュ大統領の要請に応じて、米国産牛肉の安全性に関して何の確証もないのに、

 輸入再開を「指示」したのは明らかである。


◆コメント3:輸入再開正式決定の4日後には第1便が日本に到着していた。

 

記事3と、記事4を読んで頂くとわかるが、12月12日に、輸入再開が「正式決定」され、

 そのわずか4日後には「第一便」が日本に到着している。

 輸入しただけではなく、記事5によれば香川県のスーパーでは実際に店頭に並べている。


◆コメント4:特定危険部位が混ざっているって、いい加減張り倒すぞ、この野郎。

 

 この野郎とは、アメリカ政府及び食肉業者のことである。

 因みに「特定危険部位」というのは、牛海綿状脳症(BSE)の病原体、

 異常タンパク質プリオンの99%が蓄積すると言われている、脊髄、脳、小腸の一部などのことである。

 日本では食肉牛全てから、これらの部位を除去し、焼却している。

 米国はさんざん、日本圧力をかけて、「俺の所の肉は安全だから、早く買え。」と脅した。

 日本政府、というよりも小泉首相は、屈するべきではなかった。

 しかし、なによりも、腹立たしいのは、アメリカが「特定危険部位」は除く、という約束を簡単に破ったことである。

 予想していたとは言え、あまりにも日本国民をバカにしている。

 アメリカ産牛肉の再禁輸は当然である。


◆コメント5:全部本当のことを明らかにせよ。

 

 12月16日の第一便の後、米国産牛肉は何回、何トン輸入されたのか、良く分からない。

 小売りしているスーパー、米国産牛肉を使っている外食産業はどこなのか、明らかにするべきだ。



 だから、止めろと言ったのですよ。

 アメリカは昨年6月に2例目のBSEが発見されたと発表したが、

 リンク先の私の過去の記事をご参照いただくと分かるが、

 世界最大の牛肉生産国が、日本よりもずっと杜撰な食品管理をしていたのだから、2例目な訳がない。



 特定危険部位についても除去していないのに、除去したと申告するなど、米国の畜産業者のいい加減さを見れば、

 素人の私ですら、どう考えても米国産牛肉の輸入を再開することは、

 国民の生命を危険にさらすこと(異常タンパク質プリオンによって引き起こされる「プリオン病」のうち、

 牛のをBSE、人間のをクロイツフェルト・ヤコブ病というが、クロイツフェルト・ヤコブ病に治療法はない)だと分かった。

 以前も書いたけれども、今の状態は、日本政府が日本国民に対して、殺人の未必の故意を抱いているに等しい。



 小泉はどうせ、丸投げだろうから、麻生外務相と中川農務相に突っ張って貰うしかない。

 日本政府は、米国政府に対して、強硬に抗議すべきである。

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2006.01.19

「存在価値が疑われる」 東証取引停止で金融相←何でも東証の責任にするのは正しくない。

◆記事:「存在価値が疑われる」 東証取引停止で金融相

 

 与謝野馨金融担当相は19日午前の閣議後記者会見で、東京証券取引所の取引停止について

「取引ができない取引所は、その存在価値すら疑われる。しっかりとした対応をしてもらいたい」と東証に注文した。

 金融相は「異常な中での取引停止」と理解を示したものの「一日も早く正常な姿に戻す意気込みで対処をしてほしい」と述べた。

 また一部の証券会社がライブドアグループ株式の担保評価をゼロに引き下げたことについて

「一気にゼロになるというのは、投資家にとって困惑の極み。混乱に拍車をかけたと一部が疑うのは当然だ」との見方を示した。

(共同通信) - 1月19日12時52分更新


◆コメント1:何があっても東京証券取引所の責任にするのはおかしい。

 

 東京証券取引所の社長ほど、誰も「なりたくない」ポジションは、日本中見回してもあまりないと思います。

 昨年秋、東京証券取引所は急増する株式取引量に対応するために、システムを刷新したのです。

 ところが、そのときのプログラムにミスがあって、11月1日、システム障害があり、株の売買が停止してしまいました。

 日本中の非難の集中砲火を浴びました。

 さらに、昨年暮れ、みずほ証券がジェイコム株を誤発注したとき、

 みずほ証券のディーラーが注文を間違えたのが、第一の原因なのに、

 誤注文を取り消そうとしたが取り消せなかったのは、東京証券取引所のシステムに不備があったからだといって、

 間違えた張本人であるみずほ証券よりも、東京証券取引所の社長のほうに非難が集中しました。

 社長は辞任しました。



 そして昨日です。

 昨日は、ライブドアの粉飾決算が原因で売り注文が殺到して、そのまま動かしたら、

 またシステム障害が起るかも知れないというので、

 約定(取引が成立すること)件数が400万件を超えた午後2時40分で、

 システムには何ら異常が起きていなかったけれども、一切の売買を止めたのです。

 しかも、これは、あらかじめ宣言していたのです。

 昨日の後場が始まってすぐに、「約定件数400万件を超えたら、緊急措置として止めるよ」

 とプレスリリースがあり、そのとおりにした。

 もしも、昨日のものすごい量の取引を放置しておいたら、またシステム障害を起こすかも知れない。

 そして、その日のうちにシステムを短時間でバージョンアップできるわけがない。

 システム障害が起きたら、市場参加者がいくら、キーを叩いても、反応しないとか何とか、

 大騒動になったことはほぼ間違いがないので、社長の決断は正しかったと思います。

 これを責めるのはあまりにも酷ではないかと思います。

 ライブドアのような話題の会社にいきなり前日、東京地検特捜部が捜査に入ったわけです。

 事前に捜査に入ることを東京地検が東京証券取引所に教えてくれるわけはありません。

 これほどの大事件の翌日、ライブドア株がものすごい取引量になることは明らかですが、

 予め知ることはできなかったのですから、それに備えろ、というのは、無理だと思います。


◆コメント2:東京証券取引所は民間企業なのだから、むやみやたらと設備投資するわけに行かないのだ。

 

 今日は、臨時閣議が開かれました(通常、閣議は火曜日と金曜日の朝にしか開かれません)。

 閣議後の記者会見で与謝野金融相は「取引を停止するようでは、(証券取引所として)存在意義が無い、と、

 与謝野さんにしては随分きついことをいいました。

 大体見当は付きます。多分、理屈も分からない小泉が、

 「東証をちゃんとみておけ!」と与謝野氏を叱ったのでしょう。

 しかし、繰り返しますが、無理な注文だと思います。



 東証は「株式会社」なのです。「民間企業」なのです。

 収益をあげなければならない。

 赤字になっても良いから、カネに糸目をつけず、設備投資してもよいというのなら、

 スーパーコンピューターを何台も入れて、一日「一億件」の取引が殺到しても大丈夫、

 というシステムを構築できるでしょう。



 しかし、それは不可能です。

 今は、個人投資家(NEETとか主婦とか)が、自宅のパソコンから株式売買注文を出せるようになって、

 その数が加速度的に増えています。

 けれども、これがどの程度まで増えるか全く予測は不可能です。



 昨日のライブドアで大損をしたことにより、今後、個人投資家が減るかも知れない。

 そうしたら、今のシステムでも十分対応可能なのです。

 「今のペースで市場参加者が増え続ける」という、何ら根拠がない前提に基づき、

 巨額の設備投資をしたあとで、市場規模がどんどん縮小してしまったら、

 設備投資のもとが取れず、東京証券取引所は倒産してしまうかも知れません。



 だから、民間企業である東京証券取引所に「どのような取引量にも対応できるようにしろ」ということ自体、

 民間企業の本質に鑑み、無理だというのです。


◆コメント3:M&Aも個人株主の台頭もアメリカ年次要望書のとおり商法改正を行ったのが発端です。

 

 商法は明治44(1911)年に制定された後、何度か細かい改正をしていますが、

 平成13(2001)年の商法大改正は50年ぶりの大改正と呼ばれました。

 そんな「大改正」を行う必然性は無かったのです。

 何故行ったのかといえば、アメリカが毎年日本政府に突きつける、年次要望書に屈したからです。

 何故、アメリカが、日本の商法に口を出すかというと、アメリカの資本が日本企業を乗っ取りたいからです。


◆コメント4:株式持ち合い制度の消滅。

 

 商法改正前、従来の日本の企業慣行である「株式持ち合い」

(事業会社(普通の会社)同士、又は、銀行と事業会社がお互いの株を持ち合うこと)が存在していた頃は、

 変な奴に会社を乗っ取られる心配はありませんでした。アメリカ資本とて付け入る隙が無かったわけです。



ところが、商法改正の一環として、企業金融審議会という首相の諮問機関が、

アメリカのご機嫌にかなうように、「銀行の株式保有規制」を打ち出しました。

これで、いつ日本の会社がアメリカ人に乗っ取られてもおかしくない状況となりました。



そうしたら、アメリカも出てきたけど、こともあろうに、同じ日本人の中から、

堀江とか村上とか言う連中がアメリカ人と同じことを始めたわけです。

M&A自体は、アメリカでは普通のことだといいますが、日本人の感覚には馴染まないと思います。



昨年書きましたが、日本人は「場」を共有する集団を重んずる世界です。

これは、もはや日本人論の古典的名著、中根千枝先生のタテ社会の人間関係に書かれている学説ですが、非常に説得力があると思います。



余談となりますが、日本人論は、この他に「甘え」の構造 (土居 健郎 (著))と、日本人とユダヤ人(イザヤ ベンダサン著) が必読書です。


◆コメント5:単位株制度の廃止→個人株主の台頭

 さらに、この時、「単位株制度」が廃止になりました。

それまでは、株の売買単位が1単位で、1単位あたりの純資産額が5万円以上で無ければならなかったのです。

だから、個人は手が出せなかったのです。



改正後は「単元株制度」になり、売買単位は「1単元」になり、

会社が「1単元」を何株にするか自由に決められるようになりました。

このため、少額の資金で株式の売買が可能になり、さらにインターネットの発達とネット専業証券会社が伴いました。



これらの要因が重なり、ド素人の「個人投資家」が株式市場に姿を見せるようになりました。

個人投資家の株式売買取引件数は加速度的に増えた訳です。

誰もこれほど増えると思っていなかった。

だからしょっちゅう、システム障害を起こしているのです。

この取引件数の増え方を予想しておくべきだったというのは、完全に後付けの批判です。



昔だって、個人で株をやる人はいました。

しかし、先に述べたとおり、ある程度はお金がある人じゃなければできなかった。

それから、売買取引そのものが、ネットでやるほど簡単じゃなかった。

連絡手段はせいぜい電話です。

勿論、株価をリアルタイムで表示するモニターなど、無かった。

株をやる人は、皆、短波放送のラジオをもっていて、

一日に何回か、アナウンサーが読み上げる銘柄と価格を聴くしかなかったのです。

今のような大量な件数の取引に発展しようがありません。

今にして思うと、個人の株取引なんて、それぐらいが丁度良かったのだろうと思います。

「個人のデイトレーディング」(あれは絶対に異常です)なんて、やりたくてもできなかったのですから。


◆コメント6:大雑把に言えばそういうことです。

 

 専門的には、商法改正によって、時価会計・減損会計の導入という、企業の会計処理上の変更があり、

 それと株式持ち合い解消には関係があるのですが、実を言うと私も専門家ではないので、細かい話なので省きます。



 要するにですね。

 会計制度は、国によって少しずつ違って当たり前なのに、

 アメリカは、「国際会計基準」というルールを作って、

 世界中の国の会社にアメリカ式の会計を押しつけようとしている、ということです。

 堀江や村上ファンドや、ヒルズ族の人品も疑いますが、根底には、「ここにもアメリカがいる」という、話でした。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006.01.18

「東証、株式の全取引停止 設立以来の異例措置」堀江のバカの所為だぞ。

◆記事1:ライブドア粉飾決算、傘下会社の資産を売上高に計上 (日経) (1月18日(水)16:00)

 

 ライブドアの関連会社による企業買収を巡る証券取引法違反事件に関連し、

ライブドア本体が2004年9月期の決算で、本来は資産に計上すべき複数の傘下会社の資産を、

 売上高として粉飾して計上する経理操作を行っていたことが18日、分かった。

 期間のもうけを示す経常損益を黒字に見せかける目的だったとみられ、

 東京地検特捜部は同法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いでライブドア本体の捜査を始めた。



 不正な経理操作はインターネットのポータル(玄関)サイトなど本業の売り上げ不振を隠し、

 業績そのものが好調なように装う目的だったとみられる。宮内亮治取締役(38)が経理操作を主導したとみられ、

 特捜部は、虚偽記載の認識などについて、堀江貴文社長(33)や宮内取締役から事情を聴く方針だ。


◆記事2:東証、株式の全取引停止 設立以来の異例措置(共同通信) - 1月18日17時0分更新

 

 東京証券取引所は18日、ライブドアの粉飾決算疑惑などを受け、午前から個人投資家を中心に株式売買の注文が殺到したことから、

 売買を成立させるシステムの処理能力の限界に近づいたとして、午後2時40分に通常の取引時間を20分残し、

 株式など全銘柄の取引を停止する緊急措置を発動した。システムの能力が原因の取引の全面停止は、東証設立以来初めて。

 東証によると、取引が成立する約定の件数では、システムの能力の上限は1日450万件。18日は朝から取引注文が膨らみ、

 午前の取引で232万件に達した。このため午後になって投資家や関係者に対し、400万件を超えた場合、

 取引を停止する可能性があると伝え、小口の注文は集約するよう異例の呼び掛けもした。



 午後1時半からは西室泰三社長が記者会見して事情を説明したが、

 午後の相場は全面安の展開となり日経平均株価(225種)の下落は一時700円を超え、

 約定件数は約400万件となった。


◆コメント:「稼ぐが勝ち ゼロから100億、ボクのやり方」は「粉飾決算」だったのですね。

 

 「稼ぐが勝ち ゼロから100億、ボクのやり方」とは、私は読んだことがないが、彼が書いたとされる本の題名である。

 「稼ぐが勝ち」。ああ、なんという下品な言いぐさだろう。



 全く、たかが33歳のガキの会社の所為で、東京株式市場は大混乱である。

 マザーズでIT関連株が暴落するので、東証一部まで連れ安となり、売りが殺到した。

 最近は素人がネット株で取引するからやたらと注文件数が増えたので、つい先頃、

 東証は大量注文に対応できるように、システムを増強したのだが、今日は午前中だけで230万件の注文があった。

 「これ以上増えるとさばききれない」、と判断したため、後場寄り付き直後に、

 東証は、「注文件数が400万件を突破したら」取引を停止するかも知れない。

 できるだけ注文はまとめて、件数を少なくしてくれ」というコメントを発表した。

 そうしたら、余計にパニック売りが増えてしまった。

 ついに、14時40分、東証は、ライブドア及びその関連会社のみならず、

 東京証券取引所で取引されている全銘柄の取引を停止すると宣告した。

 従って、売りたくても売れなかった人がまだまだ大勢、いるはずだ。

 ライブドアの株主だけではなく、全然関係ない他の企業の株の売買まで不可能になってしまったのである。

 堀江君は日本中の投資家に迷惑をかけているのだ。


◆何故、注文が殺到したかといえば、ライブドア本体の粉飾も明らかになったからである。

 

 昨日書いたとおり、粉飾決算は上場廃止基準に抵触する。

 但し、昨日書いたのは、ライブドアの子会社の粉飾決算についてである。

 今日は、記事1に書かれているとおり、当然予想されていたこととは言え、ライブドア本社の粉飾が明らかになりつつある。



 東京地検特捜部は10万通に及ぶメールの記録を押収し、削除されたものも専門家の手を借りて復元を試みているという。

 東京地検特捜部に目をつけられたら、まずお仕舞いである。 

 東証の社長はライブドアの上場廃止を早くも口にしているが、まず殆ど間違いなく、その通りになるだろう。



 上場廃止になるということは、持っている株券を株式市場で売ることができなくなる、ということである。

 ライブドアの株券は紙屑となる。紙屑になる前に売りたい人間が殺到したわけである。


◆Financial Timesは「堀江のような人間が必要だ」と社説で述べているが、それは違う。

 

 18日付のFT紙社説は、次のような書き出しで始まる。

 http://news.ft.com/cms/s/4c1f33da-87c8-11da-8762-0000779e2340.html

 

「『旧体制』からの復讐」

 日本の伝統的企業社会の長老達にとって、若くて不作法な起業家・堀江貴文氏は、

 彼が、規模だけは大きいが間抜けな放送局、フジテレビを乗っ取ろうとしたときから、目障りな存在だった。

 堀江氏のインターネット関連企業、ライブドアは証券取引法違反のかどで司法当局の捜査を受けているが、

 これは、「長老」たちの復讐だと言えよう。


 その後、FT紙は堀江氏のような「体制を打破しようとする人間」が、変化を疎んじる日本には必要なのだという、

 実に月並みな論旨を展開しているのだが、私に言わせれば噴飯ものである。


◆堀江貴文にとっての「良い世の中」は「自分がカネを儲けるのに都合の良い世の中」だろう。

 

 FTにも随分バカな論説(委員)がいたものだ。びっくりした。

 堀江には世の中を変えるなどという思想は無い。

 昨年、小泉に請われて亀井静香の刺客として立候補したが、その頃、テレビのインタビューに答え、

 「実は成人してから(選挙権を持ってから)今まで投票したことは一度もない、」と、「得意気に」話していたのを思い出す。

 世の中などどうでも良いと考えている証左である。



 立候補に応じたり、なんやかんや彼の行動を見ていると、単に「テレビに映りたい」だけではないかと思われる。

 自己顕示欲は異常に強い。まあ、それはいい。

 彼が世の中を変えたいと思っているとすれば、その基準はただ一つ。

 「自分が金儲けをするのに都合がよい世の中」

 だけ、であろう。


◆百歩譲って、堀江がFinancial Times紙の言う通りの理想を持っていたとしても粉飾決算は違法行為である。

 

 仮に堀江が世の中を変えたいと考えていたとしても

(そんなことは、たとえ、1+1が3だったということが発見されても、あり得ない、と私は思う)、

 それが、赤字の会社の決算を黒字だと嘘をついて、株式を上場したことの違法性を阻却するものではない。

 その行為は、株主(というか、最近の株主は形ばかりで、株の一時的所有者というべきだろうが)を騙していたのである。

 嘘の決算書を公表してでも自社株を公開し、或いは、子会社、関連会社の株を公開して、

 値をつり上げ、自分だけ儲かれば良い、と考えていた男、それが、堀江である。

 日本社会はそういう人間を必要としない。


 ◆個人投資家は自己責任とはいえ、あまりにも気の毒。

 Yahoo!掲示板の株式>サービス業でライブドアの4753を入力すると、

 本当にまずい状況に追い込まれた個人投資家が悲鳴を上げている。

 しかし、これが残酷だが相場の世界である。

 特に、信用取引と言って、自分の持っているお金の限度内で取引するのではなく、証券会社から資金や株を「借りて」売買を行うとき、

 委託証拠金(委託保証金)という担保を入れる。

 仮に信用取引で株を買った後、株価が暴落すると、買ったときの株価と、実勢相場の差(含み損)が委託証拠金を上回ると、

 追い証といって、追加の保証金を入れなければならないのである。

 今回ライブドア株を持っていた個人投資家で、この追い証を入れたくても手もと資金がない。

 街金から借りるしかない、などという書き込みが山ほどある。

 だから、なるべくやらない方がいいのだ。

 私は11月に、素人が外国為替に手を出してはいけませんという稿を上げたが、

 あの時に、株も止めておきなさい、と言うべきだった。ただ、為替も株も原理は全く同じことなのだ。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

「ライブドア粉飾指示、1億円付け替えで子会社黒字に」←違法な株が上場していたということだ。

◆記事:ライブドア粉飾指示、1億円付け替えで子会社黒字に

 

 インターネット関連企業「ライブドア」の関連会社「バリュークリックジャパン」(現ライブドアマーケティング)が

2004年1~9月の決算で、ライブドアの別の子会社の預金1億円を自社の売り上げに付け替え、

 実際は赤字だったのに黒字に粉飾していたことが、関係者の話で分かった。

 このウソの決算発表は、16日に始まった証券取引法違反(風説の流布)の捜索容疑となっている。

 粉飾工作は、ライブドア本社がメールで指示していた。

 東京地検特捜部と証券取引等監視委員会もメールのデータなどを入手しており、誰が関与したかなど具体的な指示の経緯を調べている。



 関係者によると、旧バリュー社(04年3月に子会社、現在は関連会社)の粉飾決算に利用されたのは、

 ライブドアが完全子会社化すると04年9月3日に発表した結婚仲介サイト運営会社「キューズ・ネット」。

 同社の全株式を保有する「JMAMサルベージ1号投資事業組合」とライブドアの間で、

 同年10月12日に株式の交換が行われ、ライブドアの傘下に入った。

 バリュー社は同年9月、株式交換が実行されていないために正式にはライブドアの子会社になっていなかったキューズ社の預金約1億円を、

 バリュー社の売り上げとして付け替え、売上高や経常利益などを水増しして計上。

 実際は赤字だったバリュー社の決算を黒字に粉飾した。

 その上で、バリュー社は同年11月12日、1~9月の売上高を7億5900万円、

 経常利益を7200万円などとするウソの発表をしていた。

 一連の粉飾工作について、関係者は「バリュー社の株価を上げるためだった」と指摘している。(読売新聞) - 1月17日18時53分更新


◆コメント:「バレなければインチキで儲けてもいい」のですか?

 

 昨夜(16日夕方6時頃)から、今朝まで、東京地検特捜部は徹夜で資料押収など捜索を行ったが、

 この目的は、上の記事とは直接関係ない。

 東京地検は2004年、ライブドアの関連会社、ライブドアマーケティングが、出版業者のマネーライフ社を買収するときに、

 故意に株価を高騰させて、自分(ライブドア)が儲けるために、本来公表するべき事実を隠していたのではないか、

 そうだとすれば証券取引法違反だ、といいう理由で捜査している。



 上で引用した記事はそれとは直接には無関係である。

 ライブドアマーケティングは、東証マザーズという、東京証券取引所が1999年にベンチャー企業のために作った株式市場

 (こういうのをまとめて新興株式市場などといいます)に上場している。



 株式市場で一番「由緒正しい」というか、昔からの大企業が上場しているのが東京証券取引所第一部(通称、東証一部)である。

 「東証一部上場企業とはすなわち一流企業」である、ということが長い間常識だった

 (残念ながら、一昨年から昨年にかけて、西武鉄道とカネボウの粉飾決算というとんでもない事態が発覚した。

 この他の会社が粉飾していない、という保証はない。悪夢を見ているようである)。


◆どの市場でも上場するときは、内閣総理大臣に届けるのだ。

 

 東証一部でなくても、どの株式市場でも上場するということは、

 それぞれの証券取引所が決めた「上場基準」を満たしていなければならない。

 そのうえ、たとえ東証マザーズでも、証券取引所は、ある会社の株を上場するときには、

 内閣総理大臣に届け出なければならない、と法律(証券取引法)で決められているのだ。

 

(証券取引法)

 第百十条  証券取引所は、有価証券をその売買のため上場しようとするときは、その上場しようとする取引所有価証券市場ごとに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

 上場した株、誰でも売ったり買ったりできるのだから、潰れそうな、損ばかりしている会社の株は上場できない。

 当然である。


◆上場廃止基準

 

 また、一度は上場しても、その後業績が悪化するなどの理由で潰れそうな会社の株は、

 そのままにしておいたら、株主が損害を被る恐れがあるので、

 各証券取引所は「上場廃止基準」を定めている。

 因みに東証マザーズの「上場廃止基準」はこの通りである。
20060117joujouhaishi

 「その他」に、「有価証券報告書等への虚偽記載」という項目がある。

 有価証券報告書というのは、決算書(貸借対照表、損益計算書など)の証券取引法上の呼称である。

 決算が赤字なのに黒字にするというのは、カネボウ、西武鉄道がやってしまったわけだが、粉飾決算そのもの。

 有価証券報告書への虚偽表示で、これ以上悪質なものはなく、これがばれたら、もう、その会社は永久に社会的信頼を失うのである。

 引用した読売新聞の記事の内容が真実ならば、当然、ライブドアマーケティングは上場廃止だろう。


◆そういう会社経営者を経団連に入れようとしていた人、時代の旗手と呼んでいた総理大臣がいた。

 

 私は、堀江という人物はハナから怪しいと思った。結果論ではない。 ほぼ一年前から書いている。

 それは、堀江さん、カネで全てが片づくってものじゃないよ

 堀江氏は新しいメディアの使命などということは、全く考えていないことが「江川紹子ジャーナル」で確認された

 <ニッポン放送株>ライブドアの過半数は微妙 「タテ社会の人間関係」って読んだことないのかな。

 などをご覧頂くと、お分かりになるであろう。

 そもそも、これほどまでに一目で胡散臭く、異常に自己顕示欲だけが発達し、

 自分さえ儲かれば世の中などどうなろうが知ったことではない、と豪語している若造を、よりによって経団連に入れたトヨタの会長さんとか、

 「新しい時代の旗手」などと言って「刺客」に起用した日本国の内閣総理大臣は、何十年も生きて、

 一体、何を見てきたのだ、と言いたい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.01.16

「架空の顧客で売買映像 日テレニュースでやらせ」←何度でもやるところを見ると、「業界の常識」なのでしょうね。

◆記事1:「架空の顧客で売買映像 日テレニュースでやらせ」- (1月16日13時11分更新)

 

 日本テレビは16日、昨年夏放送の「ニュースプラス1」などで、個人情報の名簿を売買する映像に、

 架空の顧客を登場させるやらせがあったことを明らかにした。

 日本テレビはやらせ映像を企画・取材した外部の制作会社との取引を中止。

 16日放送の同番組などで謝罪するとともに、社内の処分も検討している。

 問題があったのは、昨年7月6日と9月19日に同番組などで放送された名簿を売買するシーン。

 個人情報の売り買いを映像化するため、制作会社スタッフは3カ月間張り込み取材を続けた。

 しかし個人情報を購入する顧客が現れなかったため、スタッフの知人を顧客に仕立てて収録した。

 名簿を売る「名簿屋」は実在しているという。 業界関係者からの告発で、問題が発覚した。

 日本テレビ総合広報部は「視聴者の信頼を裏切る結果となり、深くおわびします。

 社内のチェック体制を強化して、再発防止に努める」としている。(共同通信)


◆記事2:【テレ朝】一難去って…「スーパーモーニング」やらせ やらせ問題、徳永アナ降板からわずか半月(ZAKZAK 2003/07/18)

 

 「スーパーモーニング」(月-金曜午前8時)のフリーリポーター(46)が道交法違反(違反ほう助)の疑いで書類送検されたやらせ問題。

 前キャスターの徳永有美アナ(27)の不倫騒動が落ち着いた矢先のトラブルで、テレ朝関係者の困惑は深い。

 最近のテレビ局はやらせ問題が連発。

 14日にも日本テレビ「ズームイン!!SUPER」のコーナーで福岡放送のやらせが発覚し、

 先月にはフジテレビ「スーパーニュース」での「最終電車」やらせ問題もあり、まさに連鎖状態だ。

 やらせ問題が出ているのは、昨年11月4日放送の特集「古都騒然!京都を騒がすギンギン族の実態」。

 撮影のため暴走行為を依頼したとして書類送検されたリポーターは京都府警交通指導課の調べや、

 社内の面接調査に「暴走を依頼した事実はない」と否認。


◆記事3:【フジ】「スーパーニュース」事実と異なる映像で安藤優子が謝罪(2002/11/26)

 

 密着100日大都会午前0時 最終電車の人々』の中で、仕事に向かうニューハーフの人たちを取り上げたが、

 このシーンは実際には午後8~9時ごろに撮影されたものだった


◆記事4:【TBS】“やらせ特番”「ギャラクシー」受賞してた 主催者「恥ずかしい」(ZAKZAK 2004/05/06)
 

 先ごろ“やらせ”が発覚したTBS系報道特番「告白~私がサリンを撒きました~オウム10年目の真実」が、

 優れたテレビ番組などに贈られる「ギャラクシー賞」の月間賞(3月)を受賞していたことが6日までにわかった。

 選出はやらせ発覚前で、主催者は異例のケースに「恥ずかしい」と困惑している。



 「告白-」は地下鉄サリン事件の実行犯、林郁夫被告をめぐる再現ドラマで、3月5日に放送。

 18.7%の好視聴率を記録したが、先月下旬、番組で「刑務所で林受刑者を知る元受刑者」として証言していた男性が、

 実際は面識もなかったことが発覚し、同局社長も「不適切な表現があった」と認めた。


◆記事5:【テレ東】「事実の歪曲」テレ東が情報番組の放送打ち切り発表(2005年02月02日)

 

 テレビ東京は1日、花粉症対策を紹介した情報番組「教えて! ウルトラ実験隊」で虚偽事実が新たに見つかったとして、

 番組の放送打ち切りと常務ら関係者4人の処分を発表した。

 同日午後8時からの番組内で「ねつ造と言われてもおかしくない事実の歪曲(わいきょく)だった」と訂正とおわびの放送をした。

 処分は1日付で、犬飼佳春編成局担当常務と島川哲雄制作局長を減俸10%(1カ月)、チーフプロデューサーら2人がけん責処分。

 問題の番組は日本テレワークが制作した1月25日放送分。

 花粉症対策の「舌下減感作療法」を紹介した際

 (1)未実施の実証実験を実施したかのように偽った

 (2)治療を受けていない女性が治療を受けていたと 偽った-

 ことなどが新たに判明。

 同局によると、日本テレワークのディレクターが臨床実験中の同療法を紹介するVTRを作成した際、

 同局のプロデューサーらから質が悪いと指摘され、実証実験をしたかのように映像を作り変えたという。


◆コメント:嘘の報道が「常識」なら、報道など止めてしまえ。
 

 記事1から5までは、時系列になっていないが、いずれも過去に実際にあった出来事である。

  全てのキー局の報道番組(テレ東の場合は「情報」番組らしいが)も、

  「事実をねつ造」したことがある、という歴史的事実が一目瞭然である。

  これが、大問題にならないのが不思議である。


  うがった見方をするならば、日本テレビの「やらせ」を他のテレビ局が大きな問題にしないのは、

 「自分もやったことがあるから」だろう。

 「したことがある」で済んでいるならまだいい。

 日本テレビは以前にもヤラセがあったし、 問題の種類は若干異なるが、視聴率を操作しようとしたことが問題になった。

  しかし、あのときも、他のテレビ局は、NHKの職員が放火事件を起こしたときほどは騒がなかった。

 こういう他局の淡泊な反応を見ると、今日、日テレに関して発覚したのは、内部告発によるものだが、

 実は、他のテレビ局も、いまだに懲りずに「ヤラセ」を実行しているのではないか、と疑いたくなる。


◆コメント:報道機関としての問題の重大さは、「職員の不祥事」より、「やらせ」の方が深刻なのだ。当たり前ではないか。
 

 NHK職員の使い込みとか、放火が問題でないわけはない。しかしながら、あれは、個人の責任である。

 報道機関としての本質的な問題ではない。

 不祥事を起こす職員は、報道機関に限らず、一般の事業法人でも必ず出る。

 放火犯がいる間、NHKが嘘のニュースを流していたという事実は認められない。

 何の因果関係もないから、当たり前である。



 但し、NHKのドキュメンタリーでやらせがあったことがある。これこそ、問題である。

 同様に、他のテレビ局もお笑い番組ならともかく、曲がりなりにも「報道」というからには、真実を伝える義務・使命がある。

 報道機関が真実を伝えないのならば、もはや報道機関ではない。

 しかし、世間はこの問題を重要視しない。



 だから、各局が同じ虚偽報道を繰り返すのである。

 「視聴者など、馬鹿なものだ。どうせ、すぐ忘れるさ。」という本音が窺える。

 NHKと異なり、民放は無料で見ているから、文句を言えないと言うものではない。

 虚偽を真実といつわるぐらいなら、報道など一切止めて、ドラマと歌番組とお笑いだけ、放送するが良い。



 視聴者が、民放に制裁を加える方法はただ一つ。

 「見ない」ことである。「嘘の報道」をしたニュース番組は見ない、ということだ。

 即ち、極端に視聴率を下げることである。

 視聴率こそ、民放にとって「神の言葉」にも等しい「ご託宣」である。

 嘘の報道したら、視聴率が限りなくゼロに近づくという恐怖をテレビ局に与えない限り、同じことが続くだろう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.01.15

国家の品格」の著者、藤原正彦氏に関する補足的知識

◆「国家の品格」という本が売れている。
 

国家の品格という本が売れている。

 本の要約は主観が入るから、なるべく避けるべきだが、何も書かないと分からないので最小限のことだけ書くと、

 

「論理」一辺倒の西洋的合理主義はもはや限界に来ている。

 日本人は、新渡戸稲造が著した「武士道」にある「惻隠の情」「もののあはれ」という「情緒」を重んずるべきだ、

 ということになるのではないかと思うが、これはあくまでも、私の主観である。

 あまりにも当たり前ながら、本は、ひとりひとり、自分の頭で理解、

 あるいは反論を繰り返しながら読まなければ、評価を下せないものである。


◆「武士道」などという言葉が誤解を生ずると残念なので、敢えて知的財産権を侵害し、冒頭部を引用する。

 

 藤原さんは数学者で、作家、故・新田次郎氏の次男である。

 エッセイが多い。非常にユーモア、エスプリに富んでいて面白い。日本人でこういう文章が書ける人は少ない。

 ところが、かなり本好きの人でない限り、この「国家の品格」という本で 初めて「藤原正彦」という名前を知ったのではないだろうか。



 しかも、「武士道」とか、「惻隠の情」などという言葉を見ると、すぐに右翼ではないか、と先入観で判断するバカがいる。

 私は自らの日記を「JIROの独断的日記」と名付けたが、「国家の品格」はある意味で私などよりも遙かに「独断的」である。

 しかし、藤原正彦氏はそんなことは百も承知で書いている。

 自分の意見が時に極論であることを十分自覚しているインテリである。

 それは、「国家の品格」の冒頭を読めば分かる。

 本当はいけないのだが、引用させていただく。

◆【引用】「国家の品格」冒頭部

【引用開始】

◆私の確信

 これから私は、「国家の品格」ということについて述べたいと思います。

 我が国がこれを取り戻すことは、いかに時間はかかろうと、現在の日本や世界にとって最重要課題と思います。

 私は、自分が正しいと確信していることについてのみ語るつもりですが、

 不幸にして私が確信していることは、日本や世界の人々が確信していることとしばしば異なっております。

 もちろん私ひとりだけが正しくて、他の全ての人々が間違っている。かように思っております。

 もっとも、いちばん身近で見ている女房に言わせると、

 私の話の半分は誤りと勘違い、残りの半分は誇張と大風呂敷とのことです。

 私はまったくそうは思いませんが、そういう意見のあることはあらかじめお伝えしておきます。

【引用終わり】

 これを読んでユーモアを感じますか?

 感じ取れる人は大丈夫だが、分からない人は、はっきり言って頭が悪い。


◆父上は故・新田次郎氏

 

 新田次郎氏のファンは殆ど男性なのではないか。山岳小説が多い。

 旧日本陸軍の遭難事故という史実を描いた、八甲田山死の彷徨は有名だ。



 ところで、先日終了したNHKの「プロジェクトX」の第一回は「富士山レーダー」をテーマにしたものだった。

 新田次郎氏は作家になる前は気象庁に勤務していた。

 そしてまさに富士山レーダープロジェクトの気象庁側の責任者だった人である。

 そのときの経験を題材にした、富士山頂 (文春文庫 新田次郎)がある。


◆新田次郎氏の奥さん、藤原正彦氏の母上も有名な本を書いている。

 

 新田次郎氏の未亡人、藤原正彦氏の母上の藤原てい氏が書いた、流れる星は生きている(中公文庫BIBLIO20世紀)という本は、単行本が出たのが、1976年である。

 これは、終戦当時満州にいた藤原ていさんが、夫と別れ別れになり、

 子供3人(藤原正彦氏は次男)をつれて命からがら、満州から北朝鮮を通って日本に引き揚げてくる時の、

 命がけの実話であり、大変評判になった本である。

 失礼ながら、この年代の日本人女性としては、極めて例外的と言って良いほど、冷静・明快で、構成がしっかりした文章で、大変驚く。

 なお、この本の文中、大きな川を渡るとき、泣いて嫌がった子供が、藤原正彦氏である。


◆藤原正彦氏ご自身は数学者である。

 

 随分沢山エッセイを書いておられるので、物書きと勘違いしているひとがいるが、それは失礼である。

 経歴を良く読みなさい。文庫本のカバーにも書いてある。

 東大数学科を出た後、30代の頃、独身でアメリカ・コロラド大学で3年間教鞭を取った俊才である。

 その頃のさまざまなエピソードを綴ったのが、若き数学者のアメリカ(新潮文庫)である。

 本人は出版などするつもりは無く、ただアメリカにいた頃に経験したこと、

 考えたことを文章にしていただけなのだが、それが父上の目にとまった。



 なかなか、面白いかもしれないというので、自分(新田次郎氏)の担当をしていた新潮社の編集者に読んで貰ったら、

「これは面白い」ということで、本当に出版され、処女作(エッセイ集だが)、しかも専門の物書きではないのに、

 日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した。

 これが、作家・藤原正彦氏の原点である。


◆私が読んだ中でのお薦め。

 

 藤原正彦氏はその後、夥しい数の本を書いていて、私も全部読んだわけではないのだが、

 かなりの確率で誰が読んでも面白いだろうと思うのは、次の通り。

 なお、藤原氏の本の題名には、「数学者の」という言葉が付いている場合が多いけれども、

 これは藤原氏の著書の「トレード・マーク」のごときもので、難しい数学の話ばかりが書いてあるのではない。

 ・数学者の言葉では (新潮文庫)

ここでは、藤原正彦氏の結婚前後の話がいくつか載っているが、下手をすると腹を抱えるほど笑ってしまう。従って、電車の中では読まないことをお薦めする。

・ 数学者の休憩時間 (新潮文庫)

 前半のクライマックスは、奥さんの出産に立ち会った時のこと。

 後半は、急逝した父上が小説取材のために赴いたポルトガルで、

 藤原正彦氏が、全く同じ経路(新田氏が詳細をノートに記録していたのだ)を旅する、追悼文・紀行文である。



 新田次郎氏は1980年2月15日に急逝したが、そのとき、毎日新聞に「孤愁-サウダーデ」という小説を連載していた。

 主人公は、ヴェンセスラウ・デ・モラエス(1854年5月30日 - 1929年7月1日)というポルトガルの外交官。実在の人物。

 神戸のポルトガル領事として着任するが、在任中にゲイシャ「おヨネ」と知り合い、

 おヨネの故郷・徳島に移り、一緒に暮らすようになる。

 1912年、おヨネに先立たれ、その後、かなり辛い日々だったらしいが、

 祖国を思いつつ1929年、徳島で死没。



 新田次郎氏はモラエスの生涯に大変惚れ込み、日本における取材はできるだけ済ませた後、

 モラエスの故郷、ポルトガルをかなり長期間取材旅行したのだ。



 「サウダーデ」はポルトガル語特有の情的概念で多国語には翻訳不可能らしい。



 数年前、ポップスの「ポルノグラフィティ」(グループの名前です)がこの「サウダーデ」を曲名にした歌をあっけらかんと歌っていたが、

 「サウダーデ」という概念に最初に着目したのは新田次郎氏なのである。



・ 遥かなるケンブリッジ―一数学者のイギリス

 これは、海外駐在中、又は、海外永住を決めた日本人なら、誰が読んでも興味深く、

 少なからず、共感を覚えるであろう言葉が随所にある。

 例えば、

 

「外国に住む、とは、日本を常にそして過剰に意識することである。」(文字通りではないかも知れない)。


 他の人に訊くと必ずしもそうでもないらしいが、私には、ハタと膝を叩きたくなるほどの名文句だ。

 ケンブリッジに研究員として僅かに一年だが、滞在したときのエピソード。

 天下の大秀才・天才に囲まれた葛藤。

 私生活では藤原氏の次男が現地校でひどいイジメに遭い、それを克服するまでの話。

 最後は気持ちよく読み終えることができるが、とにかくこれは面白い。


◆要するに「国家の品格」だけで判断するな、と言いたいのです。

 

人間は単純ではない。

 ある人のある著書の、ある部分だけを誇大に強調し、その論理的破綻指摘して、「だから、こいつはダメなのだ」、

 というようなものの云い方をする人が非常に多いが、人の評価はそれほど簡単に下せるものではない。

 少なくとも、本人の主だった著書を併せて読むべきなのだ。

 藤原正彦氏に関しては、ご自身の体験も豊富だが、

 その上、個性が強烈なご両親の影響も考慮にいれないと、何故、「武士道」が出てくるのか分からないだろう。

| | コメント (3) | トラックバック (3)

2006.01.14

「バッハ 無伴奏チェロ組曲第1番-第3番(リコーダー編) フランス・ブリュッヘン」バッハあれこれ。

◆バッハの無伴奏チェロ組曲ってのがあるんです。

 

 「バッハあれこれ」って書いちゃったけど、きりがないので、今日はできるだけ、チェロ組曲に話を絞ります。
 バッハは音楽の父と云われています。

 普通、バッハと云ったらヨハン・セバスチャン・バッハ(J.S.Bach)のことを言いますが、良く年表を見ると17世紀の人です。

 日本なら江戸時代です。その前に音楽がなかった訳ではありません。

 今でも記録(今とは様式が違うけれども楽譜の一種)が残っていて、演奏できる最古の音楽は「グレゴリオ聖歌」です。

 これは、バッハよりも1,000年も前に書かれています。但しあまり面白くありません。

 現在につながる、ドレミファソラシド(長調)とラシドレミファソラ(短調)で書いた音楽で、殆ど全てが傑作なのが、バッハです。

 この時代の音楽はうるさいことを言うとクラシック(古典派)ではなくて、「バロック」と言います。まあ、それはいいです。

 バッハは、ピアノ(クラヴィアという、ピアノの前身)には「平均率クラヴィーア曲集」、

 バイオリンには、独奏(伴奏無し)のための「ソナタとパルティータ」、

 そして、チェロには、6曲の「無伴奏チェロ組曲」を書きました。

 この3つの楽器のいずれかのプロになろうとする人は、誠にご苦労様で、これらのバッハ作品を絶対に避けて通れません。



 羨ましいというか、お気の毒様というか。

 聴いている分には良いんですけどね。弾く側は大変ですよ。

 ピアニストに話を聞くと、「バッハは嫌だ」って云うんですよ。

 ショパンとかシューマンとか、超絶技巧のリストのほうが、テクニックは要るんだけど、そういう問題じゃないんだ、と。

 バッハの方が余程難しい、誤魔化しようがない。演奏者の音楽的素養がはだかになってしまう、という怖さがあるのだそうです。


◆ブリュッヘンというのは、リコーダーの伝説的名手なんです。

 

 ブリュッヘンという人は、今は、古楽器といって、現代の楽器ではなくて、バッハなどの時代の楽器、オリジナル楽器、

 又はそのコピー(再現したもの)を使ったオーケストラを創設して、指揮者になっています。

 ですが、元来は天才的リコーダー奏者でした。

 バッハの音楽の面白いところは、どんな楽器で演奏してもやはりバッハだ、ということです。

 つまり、音楽の「核」みたいなものです。どんな楽器で演奏してもそれなりに良いということは、

「音色」という要素が、バッハの場合は音楽の価値にあまり関係ない、ということですね。
 ブリュッヘンについては、あとで、CD紹介します。


◆まずはチェロの名盤を。

 

 この原稿を書くにあたって、迷ったのです。

 やはり、まずチェロにより原曲を聴いてもらったほうが良いかな?と思ったのですが・・。

 チェロを聞いてから、リコーダーを聴くと面白いことは面白いのですが、

 一度に同じ曲で二つ買って聴いてみてください、とは書きにくいので・・・。

 しかし、別に一度に買わなくても良いわけだから、チェロの方から行きます。

 チェロの神様は、とっくの昔に亡くなったカザルスって人なんですけど、

 神様すぎるので、皆さんも名前を聞いたことがあるとおもうのですが、

 ヨーヨーマっていう、これはもう紛れもなく天才ですね。この人の演奏が良いでしょう。

 初めにこういう上手い演奏を聴かないとダメです。

 ヨー・ヨー・マ(友友 馬って書くのですな)は、1955年10月7日、パリ生まれの中国人。

 両親とも中国人。

 4歳でチェロを習い始めて(バイオリンが有名ですけど、子供用のサイズの楽器がチェロにもあるのです)、

 6歳にとき、初めてリサイタルを開いたっていうから、もう、無茶苦茶ですな。

 雲の上どころじゃないですね。成層圏を突き抜けてます。

 弦楽器はですね。初めて2年目なんて、凡人だったら、まだ基礎技術の習得中、という段階です。

 アメリカに移住して、ジュリアード音楽院というアメリカで一番難しい芸術大学を出て

 (入学直後に、先生に「もう、教えることは何も無い」と言われたとか。)、

 更にハーバードで哲学か何かを勉強して、卒業したのが、16歳です。嫌になってしまいますなあ。

 他にも、チェロのソリストではロシアのミーシャ・マイスキーが滅茶苦茶上手い。

 あとは日本大好きのロストロポービチとか、昔のシュタルケルとか、いるんですよ。名人は。

 いるのですが、実は、チェロのソリストは、それほど「需要」がないんです。

 何故かというと、チェロ協奏曲が、殆どないからです。

 ドボルザーク、シューマン、サン・サーンス、ハイドン、ショスタコービッチ。まだありますけど。

 その中で、90%はドボルザークなんですよ。演奏回数は。統計を調べた訳じゃないのですが。感覚的にそうなんです。

 余談ですが、協奏曲ではないけれど、なんと、あの「ピアノの詩人」、ショパンが「チェロ・ソナタ」ってのを書いております。

 個人的な感想では、「ショパン先生、やっぱりピアノだけにしといたほうが良かったですね。」ということです。



 という次第ですので、チェロのソリストでは食えないのです。

 逆に言うと、それでも食えているヨーヨーマなどが如何に上手いかってことです。

 かれは、「バッハ:無伴奏チェロ組曲」を2回録音しています。2回目は1998年だそうですが、

 私はまだ聴いていないので、できばえがわかりません。

 一回目(1982年録音)で十分名演だと思います。

 バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲): 演奏:ヨーヨー・マです。

 無伴奏チェロ組曲は1番から6番までありまして、それぞれが、6曲から成り立っています。

 従って、全部を聴いたら長いです。CD2枚組なんだから。

 本当は、こう言うときに、iTunes Music Storeが良いのです。

 1番のプレリュードと3番のブーレをまず、聴いてみてください、といえるのです。

 実は、アメリカのiTunes Music Storeでは、このCDをそのようにダウンロードできるのです。

 ところが、日本のiTunesは一体どういう魂胆なのか、多分クラシックに詳しい人がいないのでしょうね。

 ヨーヨーマはあるのですが、どれも、ジャズのプレイヤーと共演したものなど、「お遊び」。

 これから紹介するってのはひどいですよ。



 ヨーヨーマなら、まず、「無伴奏チェロ組曲」か「ドボルザーク:チェロ協奏曲」から、というのが、普通の発想なのです。

 しかし、残念ながら、日本の音楽配信サービスでは、ヨーヨーマはそういう扱いなので、CDを紹介するしかないのです。


◆無伴奏チェロ組曲をリコーダー(縦笛)で吹いたのがブリュッヘンです。

 

 すっかり前置きが長くなってしまった。予想通りでした・・・。



 大分前になりますが、何度か、リコーダーをバカにしてはいかん、という趣旨の文章を書きました。

 リコーダー(縦笛)というのは、皆が考えているような、幼稚な楽器ではない。とか。

 題名が既に怒ってますね。怖いですね。



 その稿では、ミカラペトリというデンマーク生まれの美人リコーダー奏者のCDを紹介しています。

 これは、嬉しいことに、「聴いてみたらとても良かった」というメールを頂きました。

 それで、そのペトリさんのお師匠さんが、このブリュッヘンというおっさんです。

 この人が何と、「無伴奏チェロ組曲」を移調しないでそのまま吹いてCDにしたのです。

 これです。J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番-第3番(リコーダー編):フランス・ブリュッヘン

 EMIというメジャーなレーベルから出しているのですが、何せ地味な分野、というか、

 日本人には「ああ、なんだ。縦笛かあ」という偏見があるんで、長いこと絶版だったのです。

 それが復刻されました。Amazonには無いみたいです。

 タワーレコードでは、2週間ぐらい前までクラシックCD売上げベストテンの真ん中あたりまで行きました。

 リコーダーでベストテン入りってのは、珍しい。それぐらい、欲しい人が多かったのですね。

 これは、1枚です。1番から3番まで。売れ行きを見て後半3曲を売るかどうか決めるつもりなのでしょう。



 先に書いたペトリさんは、殆どソプラノ・リコーダーで吹いているのですが、

 ブリュッヘンは、中学で習う(私の頃はそうでした)、アルト・リコーダーで演奏しています。

 ソプラノはややもすると、ピコピコうるさいのですが、アルトはしっとり来ます。



 ブリュッヘン先生、簡単そうに吹いてますが、難しいですよ。

 リコーダーの普通の音域は2オクターブと1音しかないので、良く吹いたな、と思います。

 それから、何の楽器でもそうですが、音の「跳躍」というのは、大変難しいのですが、これを見事にこなしています。



 跳躍というのはですね。低い音から高い音、又は高い音から低い音、特にオクターブ以上、休み(休符)を置かずに突然変ることです。

 隣り合わせの音、つまり、ドレミファ、と音を出すのは、どの楽器でも普通のことです。

 しかし、跳ぶのは、嫌ですね。

 ピアノですら、同じですよ。

 テレビ(N響アワーとか)で有名なチャイコフスキーの協奏曲か何か、良くやりますから、見ていてご覧なさい。

 かなり上手い人でも時々間違えますが、大抵今書いた、跳躍のところで間違えてます。



 私の楽器、トランペットでは、過去に何度も書きましたが、不世出の名手、モーリスアンドレという人がいます。

 天才です。そして、トランペット協奏曲といったら、ハイドンなんです。

 この曲の第1楽章には2オクターブ近い跳躍があります。

 30年ぐらい前に、モーリス・アンドレが来日して、大阪でハイドンを吹いたのをNHKで見ました。



 なんと、この天才ですら、跳躍で失敗したですよ。逆に感動してしまいました。

 それぐらい、「跳躍」は難しい、ということです。

 それは、些末なことですが(どうも、マニアックになってしまう・・)、リコーダーの表現力、ということですね。

 これを知っていただくためには、絶好の一枚ではないかと思われます。

 長い文章を最後までお読みいただき、有難うございました。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006.01.13

何故か、「イギリスの首相官邸の住所」で千客万来。ありがとうございます。

◆こういうアクセスの集中は珍しいですね。何かあったのですか?

 

 私のENPITUのサイトにはカウンターが付いているが、「キリ番」とかには、殆ど興味がありません。

 そもそも、私は、全く同じ文章をENPITUとココログ

 それから、ここ一ヶ月ほどサボっているがエキサイトに掲載している。



 日記を書き始めた2002年4月にはBlogという言葉は聞いたこともなく、もっぱら各種のWeb日記が中心だった。

 それが、ここ2年ほどだろうか。爆発的な勢いでBlogが普及して、むしろこちらが主流になった。

 私は、「JIROの独断的日記」と題してはいるものの、私生活に関しては殆ど書かず、

 「天下国家(というと偉そうだが、「時事ネタ」という日本語が嫌いなのである。)」を論じていることが多い。

 ただ、好き勝手を述べるというよりも、人々が気が付いていない、

 今の政治の危うさについて訴えたいから、書いている(つもりである)。

 それならば、読者数が多いBlogにも文章を掲載した方が、より一層多くの方に読んでいただけるだろう、という目論見。

 それから、ごく単純に、流行っている「Blog」とやらを使ってみたいという好奇心が一致しただけである。

 ココログやエキサイトBlogから過去の文章にリンクを貼るときには、

 原点であるENPITUに貼るので、アクセス数が増えるのは当たり前で、

 だから、カウンターの回転は私の場合殆ど意味がないのである。


◆どんな方が読んで下さっているのか、想像するのは楽しい。

 

 ENPITUには、有料のカウンターを設置している。

 アクセス数の推移もさることながら、どのような方々が読んで下さっているか、

 ドメインサーチを併用すれば簡単に分かるので、これを見るのが大変楽しみである。

 中央官庁、日本各地の大学、マスコミ、日本を代表する大企業の方、海外在住の方までが、

 私の駄文にお付き合い下さっていて、勿論、検索で始めてこられる方も毎日おられるが、

 何百回目、と言う方もいて下さり、皮肉でも何でもなく誠に光栄である。

 有難うございます。

 ご覧の通り、この日記は、政治・経済をテーマにすることが多いが、音楽について書くことも多い。

 驚くべきことに、Googleで、「ボレロ トロンボーン」を検索すると、

 ヒット数 11,200件中、今のところ、私が一番上位に来る。

 こういう時は、正直云って、ちょっと得意な気分になる。


◆今日はとても変ったアクセスの集中があって、興味深かったのです。

 

 もう、とっくに日付が変ったから、昨日(1月12日 (木))の話になったが、千客万来であった。

 有名サイトには比べるべくもないが、私のサイトとしては非常に多い、延べ532件のアクセスがあったのだが、

 そのうちの115件・何と約21%は、国内のある女子大からで、検索式が全く全員同一なのだ。

 それは、"イギリスの首相官邸の住所”で、皆さんGoogleを使っている。

 ””のフレーズ検索だと、2件しかヒットしなくて、私がその一つなのである。



 勿論、全然問題じゃないですよ。大歓迎。

 ただ、とても興味があるのです。

 全く同じ検索式で、サーチエンジンも同じであるということは、

 多分講義(というか授業というか)で、先生が検索の仕方を指定なさったのだろうけれども、

 何しろ、私が大学生だった頃、パソコンなどと云うものは、この世になきに等しかった。

 個人には、全然普及していなかったし、大学にもなかったのである。

 当然、パソコンを用いた講義なんて、想像すらできなかった。

 だから、これはどういう学問を専攻しておられる学生さん達(教養課程かも知れないけど)で、

 どのような試みだったのか、見当が付かないのだ。



 大勢の学生さんが駄文を読んで下さった(とはかぎらないが、そうであることを祈る)のは、とても嬉しいのだが、

 繰り返すが、これは一体、どういう「実験」だったのだろう、と考えたら、知りたくてたまらなくなってきたのであります。

 その大学の学生さんでなくても結構ですから、これはどういう講義で何を試みたのか、

 見当が付く方がいらっしゃったら、メールで教えてくださいませんか?

 当然のことながら、秘密は厳守します。

 教えてくださった方の文章(メール)を、このサイトに載せたり、HNやドメインを書いたり一切しませんのでご安心下さい。

 とにかく、興味津々なのです。

 最後に一言。

 言い訳がましいが、木曜日ともなるとかなり疲れておりましてね。

 誤字、誤変換、同語反復、ミスタイプなどあるかも知れませんが、何卒ご容赦ください。

 明日は、もう少しまともなテーマで書きますから。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.01.12

世のため、人のため」という言葉を聞かなくなりましたね。

◆『洪庵のたいまつ』(司馬遼太郎)

 

 http://www.ne.jp/asahi/ca2/kirsch/tsushin19.htm

 から転載させていただきました。



 世のために尽くした人の一生ほど、美しいものはない。

 ここでは、特に美しい生涯を送った人について語りたい。

 緒方洪庵のことである。

 この人は、江戸末期に生まれた。

 医者であった。

 かれは、名を求めず、利を求めなかった。

 あふれるほどの実力がありながら、しかも他人のために生き続けた。

 そういう生涯は、はるかな山河のように、実に美しく思えるのである。

(以下、『洪庵のたいまつ』をお読み下さい。下の方に載っています。)


◆コメント:緒方洪庵ほどでなくても「人のために」できることはありますよね。
 

 私は司馬遼太郎さんの小説やエッセイが好きだが、

 この、小学生のために特別に書き下ろした「洪庵のたいまつ」を読んだときには、暫く本から目が離せなかった。

 「世のために尽くした人の一生ほど、美しいものはない。」

 全くそのとおりだが、こうした「真理」(と、云っていいとおもうのである)をズバリと書いた司馬さんも素晴らしい。

 この一文だけでも珠玉のように美しい。



 しかしながら、最近は人のために尽くす人間がバカ扱いされる世の中のようである。

 急に下世話な話になるが、今日、次のようなニュースを読んでがっくり来た。

◆楽天がキャンペーン中止 ポイント不正取得続出で

 インターネット上で仮想商店街を運営する楽天が、新規入会者を対象に商品購入の割り引きなどに使えるポイント提供のキャンペーンを実施したところ、

 1人が複数の会員登録をするなど不正な方法でポイントを獲得するケースが相次ぎ、

 キャンペーンを中止したことが11日分かった。

 楽天は自社や全日本空輸など提携先のサイトで、

 新規会員に対し1ポイントが1円相当の楽天ポイントを300-500ポイント程度付与するキャンペーンを

 12月上旬から今年1月末までの予定で実施。

 複数の提携先のポイントを組み合わせると1人当たり2000ポイント程度の獲得が可能となる仕組みだった。

 (共同通信) - 1月11日13時3分更新


 先日、「プロジェクト X」は、やはり、良い。

 で書いた内容とも関係するが、こういうことが起きるのは、要するに、今の日本では、

 「自分さえ、上手いことやってカネを手にして遊んで暮らせれば、

 他人なんかどうなったって知るものか」という考え方、

 しかも、不正をしても構わない、騙される方が悪いのだ、

 と云ってはばからない一般市民が増えているということである。

 不正をしても構わないという思想は明らかに間違っている。

 それなら、自分が泥棒に入られても文句は言えない。


◆「世のため人のため」にできる、一つの例。

 

 私が子供の頃は、まだ、「世のため人のため」という思想は立派な考え方だとされていた。

 「不正をしても自分さえ得をすれば良い」、という人からみれば、きっと「正気の沙汰とは思われない」だろう。



 具体的に世のため人のためといっても、緒方洪庵ほど立派なことは誰でもできるものではない。

 昨日、Yahoo!を見ていて偶然気が付いたが、Yahoo!ボランティアというコーナーがある。

 仕事を持っている人がさらにボランティア活動をするということは、相当な覚悟と体力、精神力を必要とする。

 散々偉そうなことを書いてきたが、私はとてもその気力がない。


◆ネット募金なら簡単にできる。

 

 幸い、インターネット募金というコーナーがあった。

 真っ先に見つけたのは、あしながさん奨学金だった。



 ずっと以前から活動しているあしなが育英会である。

 交通事故や自殺遺児が進学を助ける募金である。

 単発でも可能だし、毎月、たとえ500円でも口座引き落としで募金できる。

 勿論、自分の名前は育英会事務局が管理しているが、奨学金を受け取る交通事故遺児や、自殺遺児には分からない。

 ここが良いところである。

 但し年に一回、育英会の助けにより進学できた子供から手紙が届く。

 これほど嬉しい手紙はあまり世の中に無いと思う。


◆今まではネット募金できなかったのだ。

 

あしなが育英会は紛れもなく「人のために」なっている。

 ところが、今までは手続きが面倒だった。

 まず、ファックスかネットで、郵便振替又は銀行口座からの自動引き落としの用紙を郵送してくれるよう、

 育英会事務局に依頼する。送られてきた書類に記入して、また育英会に返送する。という形だった。

 カードが使えなかったのだ。

 このため、実際に募金が始まるまでに時間がかかった。

 この度(といってもいつ始まったのか、私は分からないのだが)、インターネット募金から、

 クレジットカードで、単発の募金ができるようになった。



 Yahoo!IDを持っていることと、Yahoo!ウォレットでカードの登録をしなければならぬが、

 既に持っている人が多いだろうし、持っていなくても登録は無料である上に、簡単に手続きをすることができる。

 その上で、ログインして、育英会の「壁紙」を購入する、という形で募金をするのだ。

 壁紙自体は、失礼ながら特に感心するできばえではないが、

 寄付が目的だから、何でも良いのだ。金額は一口300円~3,000円。


◆現在の募金総額、いくらだと思います?

 

 Yahoo!は毎日何百万という人々が利用しているが、2006年01月12日(木)01時22分現在、

 Yahoo!ボランティアを通じての募金総額は、わずか、130,900円である。

 上に書いたとおり、募金額は最低300円からなので、仮定上の話だが、

 Yahoo!を利用する人が全員毎日1円寄付しただけで、数百万の資金が集まる。累積したらすごい金額となる。



 遺児達が必要としているのは、大した金額じゃないのだ。

 あしなが育英会によれば、

 

全額を病気や災害や自死(自殺)の高校や大学生の遺児の奨学金として、大切に使わせていただきます。

 貸与月額は公立高校25,000円、私立高校30,000円、大学生40,000円または50,000円です。

 月々2万5千円が払えなくて高校へ行けない。40,000円が払えなくて大学へ行けないなんて、可哀想じゃないか。

 本人には何の責任もないのだから。


◆「募金しない理由」を考える暇があったら、募金した方がいいのではないでしょうか?

 

 昨日書いた「少子化」と同じで、募金とかボランティアも「しない理由」はいくらでも考えられる。

 偽善だとか、カネを払っていいことをした気になっているとか、結局自己満足が目的だろうとか。

 それでも、いいじゃないですか。

 おカネを寄付すれば(たとえ300円でも)、確実に「人のため」になるのだ。

 やらない言い訳を考える間に、500円の壁紙でも一枚買ってご覧なさい。

 余程、人格に問題がある人でない限り、それで嫌な気持ちになる、ということは、ありません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.01.11

「政府・与党が少子化対策で連絡会議、6月にも具体策」←政治家が解決できる問題ではない。

◆記事:政府・与党が少子化対策で連絡会議、6月にも具体策

 

 安倍官房長官は10日の記者会見で、総合的な少子化対策をまとめるため、

 関係閣僚と与党幹部による連絡会議を近く新設することを明らかにした。

 政府・与党は6月にも、包括的な対策を策定する考えだ。
 具体的には、

 〈1〉乳幼児医療費の助成、児童手当の一層の拡充などの若年夫婦への経済的支援

 〈2〉従業員の育児休業取得促進

 〈3〉地域による子育て支援――

 などを検討する。対策の財源の大枠も示す見通しだ。

 連絡会議は、公明党などが設置を求めていた。

 政府側は、安倍長官、猪口少子化相、川崎厚生労働相ら、

 与党側は、自民、公明両党の幹事長と政調会長らが参加する見通しだ。

 安倍長官は「人口減少という新たな事態が到来した。政治主導で、

 国民に対してメッセージ性の強い対策を作らなければならない」と語った。



 政府・与党は既に、2006年度予算案に、児童手当(第1、2子は月5000円、第3子からは月1万円)について、

〈1〉4月から支給対象を小学3年以下から同6年以下に拡充

〈2〉所得制限を「家族4人のサラリーマン世帯で年収780万円未満」から「同860万円未満」に緩和――

 などを盛り込んでいる。(読売新聞) - 1月11日0時39分更新


◆コメント:制度をどうしてみても、無駄だろう

 

 最近の巷の噂を総合すると、20代から30代の子供を持つ親は、

 まずは子供が結婚できると言うだけで、運が良いのだそうだ。

 皆、結婚などしたくない。

 ましてや子供なぞ欲しくない。

 「子供のため(教育など)にどうしてカネを使わなくてはいけないのだ。そんなことをするなら、自分の趣味に使いたい。」

 と言うことだそうだ。

 思想・信条の自由は憲法で保障されている(因みに、これは皮肉の意味で書いている)ので、

 そういう若い人たちに、無理に結婚して子供を作ることを強制出来ない。

 そもそも、安倍官房長官は子供がいないでしょう?

 猪口少子化担当相は、自分は億ションに住んで、ベビーシッターを雇うこともできるし、

 どうにでもなる。こういう人々が少子化対策などといっても、説得力が無い。


◆「できない理由」ばかり思いつく、若い人たち。

 

 制度をどう工夫してみたって、今の20代30代は、ああでもない、こうでもないと、

 「結婚できない」「子供を作れない」言い訳ばかりするのだから、無駄だ。

 仕方がない。日本民族は滅びるのだろう。というのは短絡だが、ヤバいことには、違いない。



 尤も、本当に滅びそうだとなると世の中の意識が変るかも知れない、という淡い期待はあるが、それも何の根拠もない。



 大体、「何故、子供にカネを使わなければならないのだ」というが、

 自分は自分の親が何十年も必死に働いて、欲しいモノがあってもある程度我慢して、

 貴方のためにカネを費やしてくれたから、貴方は高等教育を受けて、仕事に就けたのではないのか?

 といいたいのだが、多分、それを云うと、「好きで生まれてきたわけではない」という答えが返って来るのだろう。


◆全くの素人の浅知恵だが、日本人って、脳に変異が起きているんじゃないの?

 

 子供が成長したら、家庭を持って今度は自分が子供を育てる、

 という当たり前のことを、屁理屈を付けて拒否しているのである。

 どうしてこうなったのでしょうね?日本の将来に不安があるから?

 それを云ったら戦後などもっと不安だったと思うのですけどね。

 それでも、子供できていましたよね。


◆犯罪の増え方も異常だ。

 

 少子化とは話が全然別の問題だが、子供の人殺しが増え、親殺しも珍しくなくなってしまった。

 逆に子供を虐待して殺す親も多い。

 昔は一柳展也がバットで親を殴り殺したのが、天下の一大事で、一年間ぐらい大騒ぎだったのだ。

 それが、今では恐ろしいことに、親殺しぐらい日常茶飯事になってしまって誰も驚かなくなってしまった。

 しかし、こういうことに慣れてはいけないのではないだろうか。

 買春をする教師や警官や裁判官までいますよね。

 ただしこれは、売春する女がいなければ成立しないわけだ。

 ところがその「女」がカタギの家に育った小学生や中学生の女の子だというのだから、開いた口が塞がらない。

 どうも不気味だ。日本人の脳に何らかの原因で変異が生じているのではないか?


◆科学者の先生方、何とか原因を調べられません?

 

 最近は脳科学の進歩が甚だしい。

 脳が活動しているまさにその最中の様子を観察できるfMRIなんていうのもあるのだから、

 簡単に人殺しをする人間は、刑罰を課す前に、専門家によく研究してもらえないだろうか?

 無駄?犯行時の脳の活動の様子は犯行時で無いと分からないから?

 では、どうすればよいのか。

 前頭前野が未発達だと感情をコントロールできない人間ができる、と云われても、

 じゃあこれからどうやって発達させればよいのか教えて頂きたい。
 川島隆太先生の提唱する音読や易しい計算を毎日やると効果があるのだろうか?

 十年ぐらい経ってみなければ効果が分からないような気がするが

 (私は科学の素人だから、「気がする」としか云えない)。他に方法は無いのですか?


◆キレやすいのは、セロトニン不足じゃないの?

 

 今更書くのも何だが、本稿は素人が勝手に書いているので、一般の読者の方は、その点、ご承知おき下さい。

 さて、凶悪犯罪が増えているのは、キレ易い人間が増えているわけでしょう?

 これも脳科学で何とかなりませんか?

 要するに脳内神経伝達物質、セロトニンが不足しているのでしょう。

 セロトニンの前駆体はアミノ酸の一つ、トリプトファンですね。

 トリプトファンって特別なものじゃなくて、米に多く含まれているのですよね?

 つまり、食生活が影響しているのではないか、と素人でも想像が付くけど、違うの?

 ビタミンB群も不足すると、情緒不安定になりやすい。

 タバコを吸うとビタミンCが破壊されるそうだが、

 コーヒー、酒、甘いもの(清涼飲料水なんかすごい量の砂糖を使っているからね)を取りすぎると、B群は破壊されるのですよね?

 そのあたりは関係無いのですか?

 アメリカだと、アール・ミンデルの「ビタミン・バイブル」なんて一般向けの栄養学啓蒙書が普及している

 (もっとも、これには理由がある。欧米人の食生活では、日本ほど色々な食品を摂らないので、栄養が偏りがちになる。

 あっちでサプリメントが発達したのはそのせいだ)けれども、どうして日本では、臨床栄養学ってあまり前面に出てこないのですか?

 医療関係学問のヒエラルキーですか。

 医者>歯医者>薬剤師>>>>>栄養管理士ですか?


◆とにかく、科学者が関わらないと、ダメ。

 

 政治家や役人の知恵なんて、補助金か託児所を増やすぐらいしかないのだから、

 少子化にしろ、犯罪の凶悪化対策にしても、科学者の出番ではないか。

 安倍と猪口じゃ、絶対、無理だ。

| | コメント (2) | トラックバック (2)

2006.01.09

「秋田に災害派遣の陸自、高齢者宅で雪下ろし」災害派遣は防衛庁長官権限で可能である(自衛隊法第83条)

◆記事1:秋田に災害派遣の陸自、高齢者宅で雪下ろし(読売新聞) - 1月9日21時3分更新

 

 秋田県からの災害派遣要請を受けて

 陸上自衛隊第21普通科連隊(秋田市)は9日、193人態勢で、秋田市北部の独り暮らしの高齢者宅で雪下ろしの作業を始めた。

 県内で、大雪による陸自の出動は1974年2月以来32年ぶり。派遣期間の11日まで、約100軒で作業にあたる。

 この日は市職員約180人も臨時招集され、高齢などにより雪下ろしが困難な市民宅などを回って同様に除雪を行った。


◆記事2:大雪による死亡70人に 昨年12月以降、除雪などで(共同通信) - 1月9日17時44分更新

 日本海側を中心とした大雪の影響で9日、

 新潟、福井の両県で除雪作業中とみられるお年寄り2人の死亡が確認された。

 昨年12月以降の大雪による死者は、共同通信の集計で16道県計70人に上った。


◆記事3:大雪、全国で死者57人 昨年末から、けが人も続出700人超(産経新聞) - 1月7日2時40分更新

 ・長野県が陸自派遣要請

 降り続く雪は六日、北海道や山形県などを除いて弱まったが、新潟県や長野県など全国十四の観測所で最深積雪記録を更新した。

 この冬の雪による死者は計五十七人に達した。

 新潟県は十日町市や津南町など五市町に災害救助法の適用を決め、

 小泉純一郎首相も要請があれば自衛隊の派遣を指示するなどの対策を講じた。

 長野県は飯山市について、陸上自衛隊に災害派遣を要請した。

 小泉首相は雪害対策について「現地から要請があれば自衛隊の派遣も含めて直ちに取り組む」よう自民党に指示した。

 一方、昨年末から今年にかけて、雪による死者やけが人も続出しており、

 消防庁などによると、除雪作業中に屋根から転落したり、小型除雪機の下敷きとなり死亡するなど、

 死者数は計五十七人、歩行中にスリップして転ぶなどしてけがをした人は計七百六十人に上った。

 国土交通省によると、六日午前十時現在で雪崩が二十六件、地滑りも二件発生した。


◆資料:自衛隊法第83条(災害派遣)

 

第八十三条 (災害派遣)都道府県知事その他政令で定める者は、天災地変その他の災害に際して、人命又は財産の保護のため必要があると認める場合には、部隊等の派遣を長官又はその指定する者に要請することができる。

 2  長官又はその指定する者は、前項の要請があり、事態やむを得ないと認める場合には、部隊等を救援のため派遣することができる。ただし、天災地変その他の災害に際し、その事態に照らし特に緊急を要し、前項の要請を待ついとまがないと認められるときは、同項の要請を待たないで、部隊等を派遣することができる。


◆コメント:災害派遣出動に内閣総理大臣の許可は必要無い。

 

 正直に書くと、東京ではただの1センチも雪が積もっていないので、

 東北や信越地方の雪害の悲惨を伝えるニュースを見ても体感的に想像しにくい。現実感が希薄なのだ。

 そのためだと思うが、政府の対応が遅い。 これは想像力の欠如というべきである。

 一昨年の10月下旬、大地震に見舞われ、まだ完全な復興からはほど遠い新潟中越地方などは、元々日本有数の豪雪地帯である。

 それが、更にもの凄い雪で困っている。住民の苦労は容易に想像できる。

 「豪雪地帯」には毎年何メートルという積雪がある。

 しかし、過去の記憶や資料を顧みても、これほど「雪で家が押しつぶされて、

 人が圧死した」とか、「雪下ろし作業中に転落死」(あるいは、雪に生き埋めになって窒息死)

 というニュースが立て続いて報じられたことはなく、

 昨年末から今年になってからの降雪量がいかにもの凄いか、が分かる。


◆防衛出動は内閣総理大臣権限だが、災害出動は防衛庁長官権限だから、さっさと派遣せよ。

 

 自衛隊には「防衛出動」と云って、外国が攻め込んできたら、

 これに応戦する任務がある(個別的自衛権の行使とはこういうことだ)。

 但し、これは武器を使うことになるから、自衛隊の最高司令官である内閣総理大臣の出動命令が必要なのである。



 しかし、自衛隊の任務の一つに災害時の救援活動があることは自衛隊法第83条で明文化されている。

 上の資料という項をお読みいただきたい。

 まず、地方自治体の長、つまり都道府県知事は、自分の都道府県の職員、消防、警察の力だけでは、

 とうてい対応しきれないと言うときに、災害出動を自衛隊に要請することができるのだが、

 これは、内閣総理大臣ではなくて、防衛庁長官に対して行う。これに応ずるか否かは防衛庁長官が自らの判断で決定する権限がある。

 また、83条第2項では、防衛庁長官が緊急を要すると判断した場合には、

 都道府県知事からの「要請を待たないで、部隊等を派遣することができる。」と規定されている。



 ポイントは、都道府県知事からの要請の有無にかかわらず、

 災害派遣出動を命じる権限は防衛庁長官にあり、内閣総理大臣の認可を要件(必要な条件)としていない、

 ということである。

 私が述べたいのは、今回のもの凄い豪雪で、お年寄りが屋根に上って雪下ろしをすることなど元々無理なのは、

 現地を視察しなくてもテレビを見れば、バカでも分かることであり、

 ましてや、雪で死人が毎日出ているというのだから、防衛庁長官は前倒しで災害派遣を決めるべきだ、ということだ。


◆トンチンカンな首相とマスコミ

 

 記事3を読むと、書いている記者も内閣総理大臣もトンチンカンだ。
 小泉純一郎は雪害対策について

 

「現地から要請があれば自衛隊の派遣も含めて直ちに取り組む」よう自民党に指示した。



 とあるが、これは防衛庁長官権限なのだから、自民党に指示しても仕方がない。

 それに、「知事の要請があったら」というのが、如何にも小泉君らしい気の利かなさだ。

どうせ指示を下すならば、防衛庁長官を呼んで、

 
「情報収集につとめ、都道府県知事から要請が無くとも、早目早目に君の判断で、自衛隊を被災地に派遣せよ。

 結果的にそれほど緊急性を要しなかったとしても、君の責任は問わない。私が責任を取る」



 と云うべきなのだ。それが、国政の最高責任者というものだ。

 分かってないね・・・。

 イラクのサマワでは、緊急性のある仕事があるとは思えないが、日本から、また新たな部隊が出国した。 

 それなのに、自国内で雪で人が死んでいるのに出動しない自衛隊では、存在意義がない。

 自衛隊ってのはどこの国の国民のために存在するのですか。

 我々は何のために税金を納めているのですか。

 日本人のためでは無く、イラク(ひいてはアメリカ)の為なのですか。 

 小泉純一郎内閣総理大臣のお答えを聞きたいところだが、今日トルコへ行ってしまった。

 いつも、肝腎なときにいない人だ。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2006.01.08

「古畑任三郎」のタイトルロールで「オーケストレーション」って覚えていますか?

◆「古畑~」におけるオープニングテーマ(曲)の効果は、あまり理解されていない。

 

 この日記では極めて稀であるがテレビドラマに関することを取り上げる。音楽が絡んでいるからである。

 「古畑ファイナル3部作」が終わったというので、もの凄い数のBlogがこのドラマに関して熱く語っている。

 皆さんお芝居の話が中心になるのは当然としても、三谷幸喜という人がかなり音楽に敏感で、

 これを重視していることにはお気づきでないようである。



 古畑任三郎が始まるときのテロップ、即ちタイトルロールと、終わるときのエンドロールにはいずれも、

 「音楽:本間勇輔、オーケストレーション:丸山和範」という文字が現れる。

 私の知る限り、テレビドラマのタイトルロールに「オーケストレーション」という言葉が載ったのは、このドラマだけである。

 このドラマが人気があるのは、勿論シナリオが良いからだが、テーマ曲の魅力はかなり大きな要素である。

 この音楽を聴いただけで、人々は様々なシーンを回想する。そういう音楽を書くのは、誰にでもできることではない。

 歌謡曲もそうだが、云っては悪いが、本当は「作曲」と「編曲」を別の人が担当するのはおかしいのだ。

 メロディー、つまり単旋律を書くだけでは、「作曲」したとは言えない。

 作曲家を英語でcomposerという。“compose”とは「構成する」という意味である。

 旋律は勿論大事だが、それのみでは音楽の「輪郭」に過ぎない。

 ハーモニーを付け、それぞれの音を最も適切又は効果的な楽器に割り当て、

 様々な技法を駆使して「音の構築物」を作り、初めて「作曲した」と言えるのである。


◆丸山和範氏の編曲はかなり巧みである。

 

 メロディーを考えるだけなら素人でもある程度できるが、これに和声なり、対旋律なりを付けて、

 それを適切な楽器に割り当て、厚みのある音の作品を作る(それが、「オーケストレーション」だ)ためには、

 きちんと作曲の理論を勉強していなければならず、その前提として、人並み外れた才能が必要である。

 「オーケストレーション」は「管弦楽法」と訳す。

 旋律を管弦楽曲にするためには、和声学などの基礎が完全に身に付いているのは、当然の前提条件で、

 その他に、オーケストラの全ての楽器のことを知らなければならない。各楽器の音色、音域。奏法。

 演奏可能な音型、不可能な音型、などなど、膨大な知識である。


 Furuhata

 「古畑」のオープニングテーマで中心となるのは、この音型である

(サントラのCDも、DVDも無く、記憶を頼りに書いたので、少し間違っているかも知れないが、ご容赦)。

 曲が始まってまもなく、上の旋律をトロンボーンとホルンが演奏する。かなり変った音型である。

 これ自体は作曲者の本間勇輔氏の発想だろう。何か「不思議」若しくは「怪しげ」な感じを聴く者に与える。

 これに手を変え品を変え、いろいろな工夫を施してゆくのが、編曲(オーケストレーション)者の仕事である。

 「古畑~」の場合、曲が進むと次第に楽器が増えてゆき、聴いている者が興奮するようにできている。

 ジャズのビッグバンドとクラシックのオーケストラの弦楽器群を組み合わせるという難しいことを実現している。

 上のフレーズは「何がおきるのだろう?」という聴衆の好奇心を刺激する。

 次にサックス4本とトランペットがジャズっぽいカッコいい「合の手」を入れる。ここがたまらん、という人は多いだろう。

 その後、また、冒頭の「動機」)が何度も繰り返される。

 弦楽器群が加わり、音の厚みが増す。

 終わり近くでは、バイオリンが不気味な半音階的音型を16分音符で刻む。極めて効果的だ。

 比較的狭い音域を半音階での上昇、下降を繰り返し、いかにも「犯罪」を暗示している。


◆芸大作曲科
 

 上手く書いたなあ、と思う。

 丸山和範のプロフィールを調べたら、東京芸大付属高校(通称、「芸高」)、東京芸大作曲家を出た俊才であった。

 芸高の作曲なんて、普通は入れない。 芸大になったら、更に難しい。

 芸大の指揮科と作曲科はやたらと入試が難しいのだ。合格者ゼロの年も多い。

 とにかく天賦の才がなければ無理だ。芸高とて同じこと。

 作曲科に入るためには、絶対音感なんか当たり前。その上に、中学2年ぐらいまでに、

 和声学の、あたかも数学書のように難しい、大抵の人は一生理解できないような本を読み、

 西洋音楽2000年の歴史の中で既に確立された理論を身につけていなければならない。

 さらにピアノがピアノ科の学生並に上手くなければならない。

 耳も抜群に良くなければ作曲科など、入れない。

 4声の聴音、つまり4つのパートからなる曲がピアノで演奏されたのを即座に楽譜にできなければならない。

 このように、元々才能がある人が、高校・大学で少なくとも7年間、より一層高度な作曲技法を身につけるのである。

 本当の「作曲家」になる道は極めて厳しい。

 そういう専門家があのオープニングテーマを書いてくれたから、皆さん、「古畑~」が始まるときのあの「ワクワク感」を味わえるのだ。

 音楽の効果は誠に絶大である。

 しかし、誰も丸山氏のことなど気にもかけないので、私が素人の分際で僭越だが、あえて取り上げた。


◆余談だが、「王様のレストラン」の音楽も素晴らしい。

 

 私は全然ドラマに詳しい訳ではないのだが、「独断的」に述べるならば、

「王様のレストラン」こそ、三谷氏の最高傑作ではないかと思う。

 何せ、11回のドラマの舞台は全てあの狭いレストランの中だけなのである。

 完全な台詞劇だ。 それでも全然飽きないのは、脚本が非常に優れているからである。



 このドラマの音楽は服部隆之氏で、彼も芸大だ。

 オープニングテーマは「勇気」という曲(原題はフランス語)で、ホルンとトランペットで演奏される主題が実に素晴らしい。

 私がこのドラマの存在を知ったのは、ロンドンにいた時だったが、

 どうしてもサウンド・トラックのCDが欲しくて東京から取り寄せたほどである。


◆さらに余談だが、三谷幸喜氏は「オケピ」という舞台劇を書いている
 

 「オケピ」とは、オペラやバレエの公演の際にオーケストラが入る、

 ステージの手前にある狭苦しい「穴蔵」、「オーケストラ・ピット」のことである。

 「オーケストラ・ピット」の存在自体、知っている人は少ない。知っているのはかなり音楽に関心がある人だ。

 それをガクタイ用語で「オケピ」と略して云うことを知っているのは、マニアの領域。

 ましてやそれを芝居にしてしまうというのだから、人々は気が付いていないが、

 三谷幸喜氏の音楽への造詣は相当のものであると思う。


◆「古畑~」の陰の功労者を讃える。
 

 話を戻す。

 何はともあれ、映画やドラマ、CMの音楽は、「時間」を厳密に決められていて、

 例えば3分24秒にしてください、などという注文が付くのが普通である。非常に難しい仕事な筈だ。

 その制約の中で最も効果的な音楽に仕上げた丸山和範氏と、

 このような優秀な作曲者・編曲者を採用した三谷幸喜氏の炯眼は、讃えられるべきだろう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.01.07

「小泉首相 「日本橋に青空を」一声発動 コイズミ記念碑?」いい加減にしろよ、この野郎。

◆記事:小泉首相 「日本橋に青空を」一声発動 コイズミ記念碑?

 

 小泉純一郎首相が一大事業に号令を出した。またもや標的は高速道路だが、

 今度は東京・日本橋の上に架かる首都高速道をよそに移せ、という計画。

 「無駄な公共事業をなくす」小泉改革に逆行するのだが、首相の真意は? 



 発端は昨年10月19日夜。都内の日本料理店で、小泉首相が牧野徹首相補佐官(元建設事務次官)や

 伊藤滋早稲田大学教授(都市計画専攻)らと食事した時のことだ。

 「日本橋やろうよ。おれの任期中にまとめてくれ」。首相はその場で「一声政治」を発動。牧野氏に準備を命じた。

 2カ月後の12月26日。官邸に伊藤氏のほか、高速道路の権威である中村英夫武蔵工大学長、

 奥田碩日本経団連会長、作家の三浦朱門氏の3人が呼ばれ、首相の私的な有識者懇談会が発足した。

 首相直属の懇談会設置は、郵政民営化や皇室典範改正などの重要課題に限られ、 5年の長期政権でもこれまでにわずか六つ。



 4人を前に首相は「オリンピックがあろうとなかろうとやるんだ」と強い口調で言ったという。

 石原慎太郎・東京都知事もオリンピック誘致に合わせた日本橋の首都高撤去を唱えているため、

 それに対抗して「おれのプロジェクトだ」との意気込みらしい。



 ある政府関係者が内情を明かす。

「完全に首相の思い入れ。任期中、郵政民営化などの改革では足跡を残したが、形に残るモニュメントがない。

 空港や道路を造るのでは田中角栄的だが、青空やきれいな川を取り戻す事業ならば小泉首相らしい。

 昨年の衆院選の後、話が動き出した」


 4人の有識者の一人も「任期中に」という首相の注文を受けて、「これは首相の最後のお土産だ」と感じたという。



 それにしても、なぜ日本橋? 関係者は「小泉首相は歌舞伎など日本の伝統文化や歴史にこだわりがある。

 『江戸時代の五街道の起点なのに美しくない』とも言っていた」と話す。

 首相は周辺に「実現したら文化都市・東京のシンボルになる」と語っているという。



 環境・景観・文化を前面に押し出した「小泉記念碑」という趣向だ。

 日本橋の場合、コストは膨大だ。

 第1次小泉内閣の扇千景国土交通相(現参院議長)が設けた有識者会議は02年4月、首都高を

 (1)日本橋川の地下を通す

 (2)両岸のビルの中か地下を通す

 (3)日本橋を通らないルートに変更する--

 の3案を提言した。昨年末の推計で総工費は3000億~6500億円。



 ちなみに、この金額を「開かずの踏切」対策に使えばどうなるか。

 国交省によると、1時間に40分以上閉じている踏切は全国611カ所、

 立体交差化には1カ所で平均50億円かかるというから、1~2割が改修される計算だ。

 国交省の担当者は「財政難の折、政府の金をつぎ込むのは難しい。

 募金か積み立てか、いずれにしても国民の理解が必要だ」

 と、思わぬ「首相の一声」に困惑気味だ。(毎日新聞) - 1月6日17時18分更新


◆コメント:こんなことするなら、医療費や障害者負担を増やすなよ。馬鹿野郎。

 

 小泉内閣は、700兆円もの借金を抱えている。

 それを減らすために、と称して、

 昨年10月には障害者自立支援法を成立させて、

 障害の程度にかかわらず、障害者が使うサービスに応じて、決まった金額を払うようにした。

 この法律は残酷だ。

 障害が重いほど、使うサービスは多いだろうし、高収入を得る仕事はできない。



 大阪障害センターが、30都道府県の四千数百人の障害者を対象にして昨年(2004年)行った調査によると、

 受け取っている年金(障害者年金)・手当の額は51,000円 が約60%で最も多く、3万円未満が30%強。

 何とか働けるという障害者の就労収入(要するに給料)は、77%が月額1万円にもならない。

 こういう人々に、もっとカネを払えという。

 財政を立て直すために、どうしても国民からもっとカネを取らなければならないのであれば、

 初めは、少々負担が増えても当面の生活には困らない階層から優先的に取るのが、普通の発想である。

 それをこともあろうに、社会的に最も弱い立場にある障害者、月収1万円の障害者に、

 「福祉サービスを利用した分だけ金を払え」というのは、非常識を通り越して殆どサディスティックである。


◆障害者から金をとって、日本橋の景色を綺麗にするのか?

 

 月収が10万に満たない障害者に、今までよりも重い負担を課しておきながら、

 小泉首相は自分の名前を歴史に残すことを考え、自己陶酔に浸っているようだ。

 都市の景観は綺麗な方が良いに決まっているが、今の緊迫した財政を考えれば、第一義的な課題であるとは、到底考えられぬ。

 小泉の気まぐれのアイデア、つまり「日本橋の町並みを昔に戻すために、高速道路を移す」ためには、

 記事にあるとおり、5000億円もかかるという。

 そのカネがあれば、全国611カ所の「開かずの踏切」の1~2割を立体交差にできるという。



 一体、この国の宰相の脳はどうなっているのか知りたい。

 この首相を支持するという人々に関しても、同様である。

 私には悪夢に思える。腹が立ちすぎて、これ以上書く気がしない。

 以上。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.01.05

「日経平均終値、1万6400円台回復…5年3か月ぶり」←ヤバいですねー。

◆記事1:日経平均終値、1万6400円台回復…5年3か月ぶり。

 

 5日の東京株式市場の日経平均株価(225種)は、前日比63円83銭高の1万6425円37銭で取引を終え、

 4日の「大発会」に続き2005年の最高値を上回った。

 終値で1万6400円台を回復するのは2000年9月以来約5年3か月ぶりだ。

 東証株価指数(TOPIX)も同12・08ポイント高い1685・15と、

 2000年5月以来約5年8か月ぶりの高水準で取引を終えた。第1部の出来高は約28億3900万株だった。

 電機や自動車など輸出関連株を中心に値上がりした。国内景気の回復期待を背景に、

 情報通信や化学製品など内需関連株にも買いが入った。(読売新聞) - 1月5日18時25分更新


◆記事2:11月の新車販売、前年比8.2%減の30万5569台――30年ぶりの低水準(12月2日の記事)

 

 景気の回復基調が強まるのをよそに、新車の国内販売の不振が際立っている。

 11月の新車販売台数(軽自動車除く)は30万5569台で、前年同月比8.2%減と5カ月連続で減り、

 前月に続き30年ぶりの水準に低迷。景気の波に乗れない背景には、

 ガソリン高による軽自動車志向や買い控えなどの要因が横たわる。

 好調なボーナスなどに各社は期待をつなぐが、成算はまだ見えない。 (日経)


◆記事3:12月の新車登録、6カ月連続減少・「軽」へのシフト進む (本日の記事)

 

 日本自動車販売協会連合会(自販連)が5日発表した2005年12月の登録車の新車販売台数は、

 前年同月比9.7%減の27万3834台となり、6カ月連続で前年実績を下回った。

 販売台数が30万台を下回るのは2003年12月以来2年ぶり。

 小型車から軽自動車へのシフトが進んでいるほか、「一部地域では大雪の影響も見られる」(自販連)という。(日経)(15:47)


◆コメント1:景気の実態はさほど良くない。

 

 経済指標をウォッチしていると、必ずしも経済の実体(ファンダメンタルズ)は良くないのではないかと思います。

 記事2と記事3を見て下さい。

 自動車が国内で売れていません。

 去年11月の新車販売など、30年ぶりの低水準。

 記事3を読むと、やはり、前年同月比マイナス9.7%です。

 自動車が全てではありませんが、日本最大の企業群にはトヨタ、日産がいつもランキングされます。

 クルマの売れ行きは、住宅着工件数(家を建て始めた件数)などと共に景気に大きな影響を与えるので、大事な指標です。

 これが全てではないけれども、「景気が必ずしも順調に好転しているわけではない」

 と判断する材料の一つになります。


◆コメント2:実体は良くないのに、投機によって株価が高騰する。これこそバブルです。

 

 バブル経済というのは、株価や地価が実際の資産の価値と乖離して、大きく一人歩き(上昇)してしまう状態です。

 日本は、日本史と長期的視点から見れば、「つい最近」と云って良いでしょう。

 1980年代にバブル経済とその崩壊を経験したばかりなのに、またやろうとしているのです。

 ほとほとあきれます。こう言うときは、目端が利く奴が儲けるのです。

 株を買っている連中とて、バブルであることは分かっているのです。

 それでも、とにかく自宅にこもって、短期的な株や債券の売買を繰り返し、

 差益を稼いでしまえば、他の奴のことなど知ったことか、と言うわけです。



 先頃、みずほ証券の誤注文で20億円だか儲けた無職の20代の男性は、

 ほんの数年前に100万円から始めた、まだ初心者だそうですね。

 週刊新潮のインタビューに答えて、「楽しくない。苦しいです」と云っていますが、

 そこは「笑いが止まりません」と云ったら生命の危険がありますから、まあ、社交辞令でしょう。

 しかしながら、私が12月28日に、「プロジェクト X」は、やはり、良い。

 で書いたように、そういう人ばかりでは、世の中は成り立たないのです。


◆コメント3:バブルより怖い、インフレ。

 

 昨年11月25日に書いたのですが、現在、日銀は量的緩和という金融政策を実践していて、

 日銀当座預金には常時恐るべき量のおカネがだぶついています。

 マネタリズムという経済学の立場では、通貨供給量が物価水準を決めます。



 インフレが起きるメカニズムにはごく大雑把に言って2種類です。

 1つは、モノを作っている企業のコスト、原材料費とか人件費、が上昇してそれが、製品の価格に転嫁されて、物価全体が上昇してゆくもの。

 もう一つは、通貨供給量が増えて、国民の懐が豊かになりすぎて、需要に供給が追いつかなくなって、物価が暴騰するものです。



 繰り返しますが、今、日銀当座には30兆から35兆というすごい量のお金があります。

 ガソリンに火がつかないのは、国民のところにまで流れてきていないからですが、

 何かをきっかけとして、国民に流れてきたら、ドッカーンと爆発、

 つまり物価の暴騰を招くのではないか、という懸念があります。


◆コメント4:日本銀行は、インフレ警戒。小泉政権は経済成長を持続と称してインフレ期待。

 

 日銀の福井総裁をはじめ、日銀は金融政策の本当のプロですから

(それについても11月25日に書きました)、

 日銀の独立性を尊重するべきなのですが、小泉首相、安倍官房長官、竹中平蔵、バカの中川政調会長などが、

 「このまま、まだまだ、ゼロ金利政策を維持せよ」と日銀総裁を恫喝していますが、余計なことです。



 日銀はジーッと日本経済をウォッチしています。

 インフレになりかけの時にゼロ金利政策解除に失敗したら、すごいインフレになりかねないのを懸念しています。

 これは専門家に任せておいた方が良い。


◆コメント5:何故、自民党はムキになって「ゼロ金利維持」にこだわるのか。

 

 これは、色々な人が既に分かっていてなかなか云わないのですが、

 要するに日本国のにっちもさっちもいかなくなった700兆円の借金をチャラにするのには、

 すごいインフレを起こすのが、もっとも手っ取り早い方法だからです。

 インフレはモノの値段があがり、相対的におカネの価値は下がります。

 今、貴方が100万円の借金があって、月収が10万円だとします。

 インフレが起り、つまり通貨供給量がドカンと増えて10倍になれば、単純に云って月給は100万円になります。

 すると100万円の借金を返すのも簡単です。



 1920年代にドイツが実際にこの手法を使ったので、今の小泉首相もそれをやろうとしているのではないかというわけです。

 国の借金がチャラになるのはよいですが、皆さんの金融資産の価値もゼロになります。

 それに一旦インフレになったら、それを抑えるのが大変です。

 インフレは社会的弱者を苦しめます。名目の給料が増えてもキュウリが1本1万円もしたら、意味がない。

 今バブルを利用して、働かずに株で儲けている奴らは、それを横目でせせら笑うわけです。


◆コメント6:だから、日銀に任せろというのだ。

 

 このように、日銀が早めにインフレを警戒するのはそれなりの理由が存在するわけです。

 それに、これも11月25日に書きましたが、

 ゼロ金利政策が続いているおかげで、預金金利もゼロに等しいわけですが、

 これによって、失われた「国民の得べかりし利益」は154兆円だそうです。

 自民党の政治家が「ゼロ金利政策を続けて経済成長を促せ」というのは、聞こえは良いですが、

 その政策は、大きなデメリットと危険をはらんでいます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ウィーンフィル関連の質問に僭越ながらお答えします。

◆色々とお問い合わせがありまして、ご参考になればと。

 

 ニューイヤーコンサートのことを書いていたら、色々とお問い合わせがありました。

 本当は、プロの音楽ジャーナリストではない私がお答えするのはどうかなと思ったのですが、

素人であるということをご勘案の上、reliabilit(信頼性)が必ずしも高いわけではないと言うことをお含み置き下さい。


◆日本人団員の方はどうなったのか。

 

 これこそ、他人様の経歴に関わることなので、みだりに触れるべきことではないのですが、

 私は、2003年に日本人テューバ奏者がウィーンフィルに入団した話を書きました。

 それで、ここ数日「ウィーンフィル 日本人 団員」でGoogleかYahoo!で検索してこられる方がもの凄い数になっています。

 結論を書きますと、現在、ウィーンフィル及び、ウィーン国立歌劇場管弦楽団のメンバー表を見る限り、チューバに日本人はおりません。

 ずっとウィーンフィルの団員の動向とか、コンサートの曲目、指揮者などをウォッチしておられる方がいらっしゃいます。

 この方のサイトに載っている今シーズン(2005-2006年)の始まりにおける、ウィーンフィルのプレスリリースによれば、

【 新入団員 】

1stVn:Isabelle Caillieret、Andreas Grossbauer、Iva Nikolova

2ndVn:Yevgen Andrusenko

Vc:Eckhard Schwarz-Schulz

Cb:Oedoen Racz

Fl:Wolfgang Breinschmid

Trp:Stefan Haimel

【 退職団員 】

1stVn:Helmuth Puffler、Herbert Fruhauf、Peter Gotzel

Vc:Wolfgang Herzer

Ob:Gunter Lorenz

Hrn:Willibald Janezic
Tub:Yasuhito Sugiyama

と、いうことです。

なお、シーズンは9月に始まりますから、実際の異動があったのは、2005年9月1日付です。

ご覧の通り、Tub(チューバ)のYasuhiro Sugiyma氏が退職団員になっています。

書いてあるのはそれだけですから、その経緯はみだりに推測で書くわけには参りません。



そう書いておきながら一言申し添えるのは矛盾しますが、敢えて書きます。

掲示板などでは、試用期間が終わり、不採用になったらしいなどと書いてあるけど、それは分からない。

繰り返しますが、推測で人の経歴に関わることを無責任に書いてはダメです。

私が書いているのは客観的事実。

つまり、今現在、杉山氏はウィーンフィルのメンバー表に載っていない、ということです。

「どうして載っていないかは、分からない」、と書くのが正しい。


◆音色の相性というのがあるのです。

 

 そして、仮にですよ。仮定上の話ですが、試用期間の後で不採用ということは、現実に起りうることですが、

 これは、必ずしもその音楽家の能力がどうのこうのという問題ではないのです。

 ウィーンフィルほどの超一流オーケストラになると、いや、これよりランクが低いオーケストラでも、

 いくら上手くてもその人の「音色」が「うちのオーケストラに合わない」ので不採用、と言うことがしばしば、あります。



 これは、音楽家の音楽性や、演奏能力とは関係がない。

 相性の問題なのです。



 トランペットでも、フルートでも、チューバでも、バイオリンでも、

 ビオラでも、ティンパニでも、シンバルでも、一人一人出す音が違うのです。

 特に、チューバが属する金管楽器群は全て人間の唇をマウスピースにあてて振動させて音を出している。

 人間の身体の一部を振動体(発音体)としているのは、歌と金管楽器だけです。

 もう、既に賢明なる読者諸氏は私のいわんとするところがお分かりかと思いますが、

 唇の形状、筋肉の厚さ、歯の形、生え方など、地球上の人間一人として同じ人はいないのですから、

 ラッパを吹けば違う音がする。但し、同じような系統の音色というのはあるわけです。



 ウィーンフィルはなによりも、全体として如何に美しい音が出るか、に全員が気を配っているので、

 ウィーンフィル独特の音を「オルガントーン」などと表現します。

 ですから、あくまで仮定上の話、一般論ですが、ある音楽家がウィーンフィルに入ってみて、

 技術的には何にも問題がないが、残念ながら音色がちょっと合わないな、と判断されることは、あり得る。
 くどいけど、これは、一般論です。

 これはウィーンフィルだけではないですが、ウィーンフィルは特に敏感だ、ということです。

 ついでに書きますが、同じ楽器でも一番奏者には向かないが、二番としてなら採用しても良い、ということがあります。

 1番と2番でハーモニーを作る場合、2番が下(低い音)、1番が上(高い音)を吹きます。

 そして、1番がメロディーになるのです。

 1番の華やかさはないが、2番で下を支えるのには、いい音だ、という判断のされ方もあるのです。


◆コンサートマスターで、昔からいるあの髪の薄い(失礼)人はだれか?

 

 ライナー・キュッヘルという人です。奥さんが日本人です。

 キュッヘル氏の一日を以前NHKでドキュメンタリーで撮していましたが、

 驚いたのは、朝、起きると、顔も洗う前から、いきなりバイオリンをさらい始めるのです。

 放っておくと、1日中弾いているそうです。

 既に何十年もオペラとウィーンフィルの両方で弾いているのですから、大抵の曲は、弾けてしまうはずなのです。

 勿論コンクールなんか出る訳じゃない。

 それなのに、「な、なんだ、これは?」と仰天するほど、音楽のことばかり考えているようでした。

 キュッヘル氏は、しばしば単独で日本に来て、協奏曲のソリストを務めたり、

 室内楽(弦楽四重奏などのこと)を演ったりしていますが、そういうマネジメント、

 俗事は全て奥さんが取り仕切っているそうです。

 奥さんがいなくなったら自分は一日も生きてゆけない、と云っていましたが、そうでしょうね。

 非常にマニアックですが、キュッヘル氏は、バイオリニストですが、バイオリンをビオラの弓で弾くそうです。

 「このほうが、楽器が鳴る」と云って。



 一層マニアックですが、弦楽器の弓の長さは、どれが一番長いとおもいますか?

 一番大きいコントラバスだと思うでしょ?

 違うのです。バイオリンが一番弓が長い。そして、ビオラ・チェロ・コントラバスという順で短くなります。



  さて、ウィーンフィルのコンサートマスターといえば、以前は「ウィーンフィルの顔」、

 「ゲアハルト・ヘッツェル」という超有名な方がいらっしゃいました。

 世界のコンサートマスターの鑑のような方でした。

 経験の浅い指揮者は、リハーサルの合間に音楽的なことについて、ヘッツェル氏に教えを請うのだそうです。

 それぐらい偉い先生なのですが、いつも柔和な笑顔を浮かべる正真正銘の紳士でした。



 ソリストとしても勿論通用する、たぐいまれなる高度な音楽性とテクニックを兼ね備えていました。

 ある時、シェリングという有名なバイオリニストをソリストに迎えて、

 ブラームスのバイオリン協奏曲を演奏するはずだったのが、ドタキャンになりました。

 それもコンサートの3時間か4時間前だったそうです。
 どんなプロでも、いきなりブラームスのコンチェルトを弾いてくれと言われたら断るでしょうが、

 何と、ヘッツェル先生は、ブッツケ本番で、見事に弾いてしまったといいます。信じられないです。



 しかし、何と言うことでしょう。ヘッツェル先生は1992年、登山中足が滑って滑落、

 バイオリニストなので手を庇ったため、頭を打ち、不慮の死を遂げました。みんな泣きました。


◆ウィーンフィルはストラディバリウスなどの名器を使っているからいい音がするのか。

 

 いいえ、違います。

 驚く無かれ。ウィーンフィルの弦楽器は楽団の所有物なのです。

 楽器部屋に行くと、スタンドにずらーっとヴァイオリンがぶら下げてある。

 勿論、ウィーンフィル専従の弦楽器職人がいて、調整はしてあるのですが、

 楽器そのものは、プロから見ると、手に取るまでもなくはっきりと「安物」と分かるような代物なのだそうです。

 弦楽器では弓だけでも名器は何百万円もするのですが、ウィーンフィルは、

 引き出しにガシャっと放り込んであって、それを適当に持っていって弾くのだそうです。



 普通、楽器に関しては「弘法筆を選ばず」ということはあり得ないのです。

 ウィーンフィルでも管楽器はヤマハに特注しています。

 しかし、ウィーンフィルの弦楽器セクションは信じられないけれど、「そこらの安物」なのです。

 安物の楽器でも鳴らしてしまう腕を持った人々なのですね

 もっと書きたいのですが、時間が遅くなってきましたので、今日はこの辺で。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.01.03

ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート、所感。「泣けました」

◆聴いていて、胸が苦しくなるほど、良かった。

 

 1日の生中継ときょうの再放送、さらにDVDに録画したもの、と3回聴いてしまった(3回目は途中だが)。

 聴いていて、こみ上げる感動で胸が苦しくなった。それぐらい良かった。

 私は日本ではウィーン・フィルを生で聴いたことがない。コネでもないとチケットが手に入らないのだ。

 ものすごく傲慢な云い方だが、聴いても良く分からないような人が大勢チケットを手にしているように思われる

(勿論、本当の愛好家のほうが多いだろうけど)。



 ロンドン駐在時には、簡単にチケットが買えた。

 日本では信じられないが、コンサートの1週間前でも日本で云うところのS席が5000円ぐらいで買えるのだ。

 ヨーロッパ人は各国とも自国に誇りがあり、ウィーンフィルを特別扱いしないのだ。

 ベルリン・フィルに対しても同様である。イギリス人は得にその傾向が顕著だ。

 そもそもイギリス人は英国は「ヨーロッパの一部ではない」、と思っている。本気で思っている。

 それでは、何かというと、“Great Britain”(「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」

 =United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland、略すときには、Theがつく。

 “The United Kingdom”。更に省略するときは、単に“U.K.”)なのである。

 大英帝国なのである。

 仕事場で同じ部署のイギリス人がヨーロッパ諸国のお客さんを往訪するときに、

 「来週、ヨーロッパに行ってくる。」という表現を用いるのが普通だった。


◆ヤンソンス氏は良いですね。

 

 話がそれた。

 “ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート2006”を聴いていて、

 「ああ、ウィーンフィル!」という初歩的な感動に身が震えた。

 あの響きは、厳密には楽友協会ホール(Wiener Musikverein )で聴いてこそ

 「本物」のウィーンフィルの音になるはずである。ホールは楽器の一部である。



 ああ、ウィーンで、ウィーンフィルを聴いてみたいなあ・・・。もう無理だけど。



 ヤンソンス氏の評価が高いのが分かるような気がする。

 決して奇を衒わず、しかし、ワルツとポルカ(二拍子の早い曲)の組み合わせ。

 珍しいワルツを取り上げることなど、プログラムがかなり工夫してあった。

 ヤンソンス氏を見ていると実に音楽をしていることが楽しそうで、

 音楽の「楽しさ」を素直に感じることができる。それが聴く者を幸せにする。



 ウィーンフィルともなれば、ニューイヤーコンサートの全曲目を、指揮者がいなくても演奏できる。

 それは間違いが無い。

 そこで、何かの存在意義を示すのは指揮者とっては大変重い課題である。

 だからといって、何か変ったことをしようとして、

 ウィーンフィルに、音楽的な常識に反する注文をしてもバカにされるだけである。

 指揮者にとって一番大切な能力は、オーケストラが能動的に演奏する意欲(俗な云い方をすれば「ノリ」であろうか)、

 を引き出すことである。


◆指揮者にとって大事なこと。

 

 岩城宏之さんが30年も前に書いたが、ずっと絶版で、最近復刊された、

 岩城音楽教室は専門的なことばなど、全く使われていないが、

 音楽の本質に関わることが沢山述べられていて、大変面白い本である。



 この中で、岩城さんがかつてカラヤンに指揮のレッスンを受けたとき、

 カラヤンが「君は、もの凄く表現しているが、君が振る(注:指揮する)と、

 ときどき、オーケストラから汚い音が出る。力を抜きなさい。」

 さらに、「オーケストラを『ドライブ』するのではなく『キャリー』(carry)するのだ。」と言われた、とある。



 つまり、指揮者はオーケストラに命ずるのではなく、やる気を引き出させて、

 しかも気が付くと指揮者の欲する音楽になっている、というのが理想的な形なのだということで、

 これはいろいろなところで、色々な人が述べている。

 カラヤンは自分でジェット機を操縦したが、初めて自分で飛ばすとき、

 教官から「貴方にとって一番大切なのは、飛行機が飛ぼうとするのをじゃましないことだ」と云われたという。

 私は乗馬の練習に行ったことはないが、乗馬を教わると、同じようなことを云われるらしい。



 オーケストラを馬になぞらえるのは失礼だが、飛行機の操縦に関しては、

 ベルリンフィルのコンサートマスター、安永徹さんがある対談で(安永さんは飛行機を操縦するわけではないが)、

 「それは、核心をついていますね。神髄ですね」と大いに同意していた。

 云うのは簡単だが、なかなかそういう境地にたどり着ける指揮者はいない。

 ヤンソンス氏は多分、その境地に達しているのであろう。

 私のごとき凡人には、「だろう」としか云えない。

 プロの音楽家や、専門的な訓練を受けた方、オーケストラで弾いておられる方でなければ、本当には分からない筈だ。



 但し、素人目にもわかることがあった。ヤンソンス氏は見栄を張らない真面目な人だと言うことだ。

 全部、スコア(総譜=オーケストラ全てのパートが書き込まれた楽譜。各楽器の奏者の譜面台にはパート譜、

 つまり自分のパートだけをスコアから抽出した楽譜が置いてあるのだ)を見ていたでしょう?

 ニューイヤーコンサートというと、大抵暗譜で振るものだが、実は音楽にとって暗譜かどうかはさほど重要ではない。



 そもそも、昔の大指揮者・トスカニーニという人が非常な近視で、

 譜面を置いたとしても、3センチぐらいまで顔を近づけないと見えず、

 それでは、ステージ上で不便だし、あまりにかっこ悪いので、やむを得ず暗譜するようになり、

 それがカッコいいというので、次第に世界中の指揮者が暗譜をするようになったのだ。

 暗譜は、音楽演奏上の決まりでも何でもない。

 むしろ、暗譜に費やす時間を、音楽の解釈に時間をかけるべきだと考える人は、今でも楽譜を見ながら指揮をする。



 それにしても、ヤンソンス氏は、今まで何百回も振ったに違いない「フィガロの結婚」序曲

(今年はモーツァルト(1756~1791)の生誕250年なので、ニューイヤーコンサートでも「フィガロの結婚」序曲

 が演奏されたのだろうが、これは大変珍しい)まで、忠実にスコアを見て、ページをめくりながら演奏していた。

 オペラを演るときならともかく、ステージ上でベテラン指揮者が振る光景としては、非常に稀である。

 しかし、その「フィガロ」の演奏が終わるやいなや、ブラボーが飛んだ。私も全く同じ気持ちだった。


◆音楽のすばらしさを思い出させてくれた。

 ヤンソンス氏とウィーンフィルの演奏は、エネルギーと躍動感に満ちあふれ、

 一方、優雅な場面ではあくまでも美しく、要するに「これぞ、音楽のすばらしさだ」と叫びたくなる、「血湧き肉躍る」演奏だった。

 私はこれまでに、ニューイヤーコンサートをテレビを通じて、或いはCDで、何十回聴いたか分からない。

 毎年聴いていて、もう飽きたと思っていたような曲で、しかも、無類に明るく楽しい音楽なのだが、

 「ああ。これこそ音楽だ。私が30年憧れ続けている音楽だ。」という気持ちが身体じゅうを貫いた。

 知らぬ間にボロボロ泣いてしまった。

 書きたいことはいくらでもあるが、きりがないので、ひとまず、筆を置くことにする。

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2006.01.02

「長き世のとをの眠りのみな目覚め波乗り船の音のよきかな」1月2日の夜に見る夢を初夢と云う(異説あり)

◆季節の行事の消失は仕方ないけど無風流ですなあ。

 

 昔は日本の各家庭で、私などはずっと東京だが、それでも季節の行事があったものである。

 初夢を語るのに、いきなり話が飛ぶが、夏はお盆(盂蘭盆=うらぼん)の入りには、お迎え火、終わりにはお送り火を焚いた。

 その季節には「おがら」という麻の皮を剥いだ茎の部分を乾かしたものを、花屋さんで、売っていた。

 これに火を付けて煙りを出すのである。

 「おがら」は中が空洞になっていて、燃やすと良く煙が出る。



 ご先祖様はこれに乗って、あの世から夏休みに遊びに来るのだと子供の頃、祖母から教わり、

 なるほどそういうものか、と、私は他愛なく信じていた。

 お迎え日もお送り火も、残り火を消すときには、バケツの水をかける、などという乱暴なことをせずに、

 私の家にはヤマブキ(という植物)が生えていたから、その枝を小さく折り、

 葉っぱ毎水の入ったコップに浸し、その枝に付いた水滴をパラパラとおがらの燃えかすに振りかけて、丹念に消すのであった。



 床の間には明かり(提灯ですね)を飾り、仏壇にはご先祖様のために御馳走を供えるのである。

 お盆の最終日には、お送り火をお迎え日と同じように焚き、皆で手を合わせ、

 「また来年もいらしてください」と祈るのであった。

 子供心に、死後何年も経っている故人をこのように丁寧に供養するとは、何という美しい習慣であろうか、と思った。

 損得勘定でできることではないのだ。死んだ人を供養しても一文の得にもならない、

 という発想しかできない人は、悪いが、育ちが悪い人だ。

 残念ながら、これは、東京の人口がもっと少なくて、

 家と云えば戸建ての一軒家を指すのが当たり前だった時代だったからこそ可能であり、

 今の東京は庭のある家でもみだりに「たき火」ができないらしい。

 事前に消防署に届けなければならない。なんという無風流。

 今の東京の子供は、たき火で焼いた焼き芋の味を知らないのだ。


◆年始廻り

 

 初夢の話をするのにお盆の話が長くなってしまった。

 尤も昔は、めでたいことが重なると、「盆と正月が一遍に来たようだ」という慣用句で喜びを表したように、

 お盆は年中行事の中でも正月に次ぐ「ビッグイベント」だったのだ。



 正月の話だった。

 正月の行事と言っても、地方により、また各家庭により千差万別であろう。

 私が苦手だったのは、元旦に親父が羽織袴に着替え、近所に一軒一軒、年始の挨拶をして回る時に、

 「お供」をさせられることで、これは、小学校中学年ぐらいまで続いた。

 どうして、我が家が挨拶に出向くのかというと、近辺では大正14年生まれの父が一番「目下」だったからである。

 挨拶は、目下が目上にするものである。

 私は引っ込み思案の子供で、よそのお宅を訪問したり(年始回りは玄関先だけだが)、

 お客さんが自宅に来たときに、出て行って挨拶をするのが、恥ずかしくてたまらない。

 だから毎年元旦は憂鬱であった。

 しかし、今にして思えば、あのような「きちんとした」行儀、礼節、という習慣の存在を知っていて良かったと思う。

 こういう習慣が廃れてきたのと人心がギスギスしてきたのは、無関係ではないような気がする。

 昔は一見無駄なことをすることにより、気持ちに余裕ができていたのだろう。


◆初夢

 

 さて、漸く初夢である。

 何日に見る夢を初夢というか、調べてみたら、次のような説明であった。

 

「はつゆめ【初夢】
新年に初めて見る夢。夢占(ゆめうら)としてその年の吉凶を占う。当初は除夜の夢であったが,除夜には寝ない習慣のせいか江戸中期から元日の夜の夢となり,他の事始めが2日なので2日夜の夢となった。室町時代から宝船を枕の下に敷いて寝ると吉夢を見るという風習が広まった。吉夢を順に並べて〈一富士・二鷹・三茄子(なすび)〉などという。」


 今でも元旦の夜を初夢としている人がいるようだが、まあ、これは各家庭の習慣と云うことで良かろう。

 私が生まれ育った家では、1月2日の夜を初夢としていた。

 引用した説明にあるように、宝船を枕の下に敷くのが、本来の姿だが、

 現代では簡略的に、折り紙で宝船を折り、その上に、

「長き世のとをの眠りのみな目覚め波乗り船の音のよきかな」(ながきよのとおのねむりのみなめさめなみのりぶねのおとのよきかな)

 という、見事に回文になった和歌を書く。本当は七福神の絵が描いてあると更に良いこれを枕の下に敷いて寝る。

 これで、縁起の良い初夢が見られる。

 こういうときに、「科学的根拠は?」などと云うものではない。

 無風流だ。

 信じれば、良いのである。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.01.01

「ウィーン・フィル、ニューイヤー・コンサート」まだ演奏されていないCDの売上げが一位というのもすごいね。

◆ネットショップを見てびっくり。

 

 ウィーンフィルのことを検索していたらネットCDショップで「ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート2006年」が売上げランキング1位になっているのを見てびっくりした。

 毎年こうなのだろか(私は、ニューイヤーコンサートのCDを常に買うわけではないので、知らないのだ)?

 2006年のウィーンフィル・ニューイヤーコンサートは現在演奏中であり、従って、CDはまだ製作されていないのだが、予約で、売上げ一位なのだ。


◆ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

 

 日本語では「管弦楽団」がついているが、ドイツ語の本来の名称は、「Wiener Philharmoniker」である。フィルハーモニーカーとは「音楽愛好家」が元来の意味である。

 ウィーンフィルは普段は、「ウィーン国立歌劇場管弦楽団」である。

 ニューイヤーコンサートやウィーンフィルの定期演奏会が演奏されるのは、「ウィーン楽友協会ホール」だが、

 それとは別に、ウィーン国立歌劇場(シュターツ・オーパー)というオペラハウス(=歌劇場)があり、

 そこで、オペラの伴奏をするのが本業である。



 「ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」は「ウィーン国立歌劇場管弦楽団」の有志によって、

 自主的に運営されているオーケストラであり、謂わば「同好会」なのである。

 一方、昨夜ジルベスターコンサートを行い、日本人の安永さんがコンサートマスターを務めるベルリンフィルハーモニー管弦楽団は、

 N響や、シカゴ交響楽団や、ロンドン交響楽団と同じように、

 もっぱら、交響曲をはじめとする、管弦楽のための作品を演奏するためのオーケストラである。

 何故、ウィーン・シュターツ・オーパーのオーケストラから、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が誕生したか?

 オペラは、歌手が主役。オーケストラは「伴奏者」であり、ずっとピットという「あなぐら」に入ったままだ。

 誰が弾いたり、吹いたり、叩いたりしても、ごく一部を除き、お客さんからは見えない。

 どんなに名演奏をしても、拍手喝采を浴びるのは、歌手である。

 オペラの伴奏に徹していたら、一生、交響曲など演奏できない。

 たまには、自分たちがオモテに出たいという自然の欲求によるものだろう。

 しかし、あくまで本職はオペラで、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団は、誤解を恐れずに云うなら「趣味」の活動なので、

 コンサート専門のオーケストラに比べて、定期演奏会の回数はとても少ない、1シーズンで8回ぐらいではなかったか。

 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会の会員はウィーン市民の中でも特定の人たちが代々受け継いでゆくので、

 滅多なことでは新規で定期の会員にはなれない。聴く方も筋金入りの「プロ」なのである。

 だから、「ウィーン・フィルの定期」の指揮者に選ばれる(楽員の投票で決める)、ということは、

 世界中の指揮者にとって、「夢」なのだ。



 ましてや、本業のウィーン国立歌劇場管弦楽団の音楽監督が日本人の小澤征爾であるということは、

 目も眩むほどの栄誉なのである。


◆マリス・ヤンソンス氏(指揮者)

 

 実は、私はこの人の演奏を聴いたことが無い(生で)ので、評価を下すことは出来ないが、

 ウィーンから伝わる噂では、評価が厳しいウィーンフィル定期会員の間で絶賛されており、

「今、ウィーン・フィル定期にいつでも来て欲しいのは、ヤンソンス氏だ」とまでいわれているそうな。

 1943年1月14日、ラトビア生まれ、というから、既に62歳。

 ラトビアは現在は独立国だが、ヤンソンス氏が生まれた頃は旧ソ連に属していた、

 バルト3国(エストニア、ラトビア、リトアニア)の一つ。ソ連から独立したのは、1991年である。

 指揮者は誠に厳しい世界で、ヤンソンス氏も既に何十年も音楽をしているが、

 近年になってようやく、しかし、あっという間に有名になった。

 ヤンソンス氏はヨーロッパの数あるオーケストラの中で、ウィーン、ベルリン両フィルハーモニーを超A級とすれば、

 それに次ぐ、それでも十分世界的に見て超一流のオーケストラの常任指揮者を2つも兼任しているのだ。

 2003年からは、バイエルン放送交響楽団の首席指揮者に。

 2004年には、オランダのロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(「コンセルトヘボウ」とは、「コンサートホール」の意味。

 昔はこのオーケストラは、「アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団」という名称だった)の常任指揮者に就任、

 というのは、今までの常識では考えられないほどの快挙であり、並の音楽家ではないことが十分推察できる。


◆ウィンナー・ワルツはウィーンのオーケストラでなければ、弾けない。

 

 ここから後は、クラシック・ファンは、既によくご存じだと思うけれども、お付き合い頂ければ幸い。

 ニューイヤーコンサートのプログラムの中心は、ウィンナー・ワルツ、

 つまりヨハン・シュトラウス(これ、父子共に作曲家なのだが、同じ名前なのでややこしい。

 面倒なので、しばしば、「ヨハンシュトラウス父子のワルツ」という)が作った作品群を中心とする、ウィーンで育った作曲家が作ったワルツである。

 これは、譜面を音にするだけならば、他でも出来る。

 勿論、日本のオーケストラでも出来る。

 しかし、ウィンナー・ワルツをウィンナー・ワルツたらしめているのは、伴奏のリズムにある。



 ウィンナー・ワルツにおいて、気持ちよくメロディーを弾いているのはもっぱら第一バイオリンである。

 第2バイオリン・ビオラは大変である。

 3拍子をしばしば「ブン・チャッ・チャッ」と表現する。

 一拍目の「ブン」はベースである。チェロ・コントラバス、チューバなど。

 2拍目、3拍目の「チャッ・チャッ」をずーーーっと弾くのが、第2バイオリンとビオラである。

 プロでも本当に腕が辛くなるそうだ。

 しかし、この伴奏者こそ、「ウィンナー・ワルツ」の影の主役である。

 ウィンナー・ワルツにおいて、3拍子の「ブン・チャッ・チャッ」は等間隔で演奏されず、

 一拍目と二拍目の間隔が普通の三拍子よりもわずかに短い。

 このわずかなリズムの特殊性が「ああ、ウィーンだ」と思わせるのである。

 これは、マネできそうだが、ウィーンで生まれ育ち音楽を身につけた者以外の音楽家が演ると、どこか違ってしまうのである。

 ウィーン人にはこのリズムが遺伝子に情報として組み込まれているに違いない。いくらよそ者が演ってもダメだ。



 言葉における「お国なまり」=「方言」のようなものだろう。

 何となく真似はできるが土地の人が聴いたら一遍で「あ、どこか違う」とばれてしまう。

 というわけであるから、ウィンナー・ワルツは、ウィーンのオーケストラ(ウィーンフィル以外にも、

 いくつかオーケストラがある)以外では聴かない方がいい。

 故・芥川也寸志氏(作曲家)がやはり、そう書いている。

 「餅は餅屋です」。


◆昨年は聴けなかったラデツキー行進曲
 

 ニューイヤーコンサートでは、絶対に変えない「しきたり」がある。

 主なプログラムが終わってから、何曲かアンコールが演奏され、

 漸くウィンナー・ワルツの代名詞、「美しき青きドナウ」が演奏される。あれは、アンコールなのである。

 その後、本当の最後に「ラデツキー行進曲」が演奏され、この時は聴衆も手拍子をする

(一年を通じて、ウィーン・フィルが演奏している最中にお客が音を出すのはこの時だけ、である)。

 これで「お開き」となるのが、「ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート」というものである。



 ところが、昨年のニューイヤーコンサートでは、数日前にスマトラ島沖大地震により、20万人が亡くなった直後であったため、

 指揮者ロリン・マゼール氏はラデツキー行進曲の演奏を止めることにした。

 やむを得ないが、寂しいことであった。 今年はそれが聴ける。めでたいことである。

 なお、ニューイヤーコンサートは、再放送がある。

 1月3日午前11時から、NHK教育テレビで。ご参考まで。

| | コメント (0) | トラックバック (2)

「第九」の歌詞は何を訴えているのか。

◆オーチャードホールで第九を演っていましたね。

 

 キー局がテレビ東京なので、日本中では一体どれぐらいの人が見ることが出来たのか、或いは見たのかわからない。

  毎年、東京・渋谷のオーチャードホールでテレ東企画(実際には番組製作会社企画だろうが)のシルベスターコンサートが行われ、生中継される。

 このコンサートの目玉は「カウントダウン」と称して、演奏時間が15分程度の曲を演奏し、

 その最後の音が、丁度、元旦の0時0分0秒に終わるようにするのである。



 演奏者、特に指揮者にとっては、嫌な企画だろう。

音楽そのもの以外の事に異常に神経を使わなければならないからである。

 音楽は、途中で拍子が変らなければ、一小節の拍数は決まっていて、

 一曲の小節数は、頭から数える必要は無く、楽譜の所々に何小節目かがかいてあるので、容易に知ることが出来る。

 従って、その曲全体が、合計何拍であるかを算出し、演奏時間を決めれば、演奏時間を拍数で割ることにより、

 一拍あたり何秒で振ればよいか計算できる(普通はテンポはメトロノーム速度、

 即ち一分間に四分音符を80個のテンポで演奏せよ、という形式で指定される)。



 しかし、それは、理屈であって、クラシックの曲を最初から最後まで、歌謡曲のように、

 同じテンポで演奏すると云うことはあり得ない。

 あるところでは、遅くなり、そうしたら、演奏終了を何としても午前0時丁度にするためには、

 どこかでその分を取り戻すべく、テンポを上げなければならないが、コンピューターじゃないから、

 そこは指揮者の勘を頼りにするしかない。


◆絶対テンポ感

 

 そんな言葉はないのだが、現実には、指揮者になるような人は、この能力がないとやっていけないと思う。

 適切なテンポを設定するのは、指揮者の一番最初のしかし、非常に大切な役割である。



 指揮者の岩城宏之さんは、時計を用いないで、正確に1分間を測ることができるという。

 今日、オーチャードホールのジルベスターコンサートでは、

 何とベートーベンの交響曲第九番の第4楽章で「カウントダウン」を行ったわけである。

 指揮者は、私が子供の頃サインを貰った、「コバケン」こと、小林研一郎氏で、見事に成功を収めた。

 最後の合唱の部分が終わると、すごいアッチェレランド(段々早く、の意。逆がリタルダンド「段々遅く」だ)をかけて、

 聴いているこちらも、間に合うかどうか冷汗をかいたが、ドンピシャリであった。


◆第九の歌詞はシラーの詩からとったものだ。

 

 シラーの詩をベートーベンが用いたことや、

 一番最初のバリトン・ソロ、

 「オー、フロインデ。ニヒト・ディーゼ・テーネ」は、英語にすれば、

 “Oh,my friends! Not such a tone”(おお、友よ。このような音ではなく・・・)

 で始まる事は知っているが、最後まで逐語的にドイツ語の歌詞を理解している人は少ない。

 実は私も大雑把にしか分からぬ。



 だが、要するに、「人類愛」、つまり人類は皆兄弟なのだ、という事を強く訴えている。

 この詩を理解したからといって、国際紛争が無くなるような単純な世の中ではないことは百も承知だが、

 シラーの言葉は、理想としては高邁(気高く、すぐれていること)である。

 そこで、この詩を刻んで、平和を祈念しつつ、本年の日記を結びたい。


◆第九の歌詞の意訳。

 

 実際の音楽では、同じ部分がソロで歌われた後、合唱で歌われるなど、繰り返しが多いが、

 あの15分間で歌われているのは、以下の通りである。

 

 おお、友よ! このような調べではない!

 そんな調べより、もっと心地よく歌い始めよう、喜びに満ちて。

 歓喜よ、美しき神々の煌めきよ、

 エリジウム(楽土)から来た娘よ、

 我等は炎のような情熱に酔って

 天空の彼方、貴方の聖地に踏み入る!



 一人の友人を得るという

 大きな賭けに成功した者よ、一人の優しい妻を努めて得た者よ、

 その歓びの声を一つに混ぜよ!

 そう、この地球上でただ1人の(一つの心と呼ばれる)者も!

 そして、それが出来なかった者は、この集まりから涙を流してひっそりと去る。



 全ての生物は、

 自然の乳房より歓喜を飲む。

 そして、善きもの、悪しきものも全て薔薇色の跡を付けていく。



 歓喜は我等に口づけと葡萄、そして死の試練にある一人の友を与えた。

 官能的な快楽は虫けらに与えられ、そしてケルブ(智天使)は神の御前に立つ!



 喜ばしきかな、太陽が壮大なる天の計画に従って飛ぶが如く、

 兄弟達が己〔おの〕が道を駆け抜ける、勝利に向かう英雄のように喜ばしく。

 抱〔いだ〕かれよ、数多〔あまた〕の者よ! この口づけを全世界へ!



 兄弟達よ!星空の彼方に 愛する父(なる神)がおられるはずだ。

 地にひれ伏さぬのか? 数多の者よ。 創造主(の存在)を感じるか? 世界よ。

 星空の彼方に求めよ! 星々の彼方に彼の御方(神)がおられるはずだ。


| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2005年12月 | トップページ | 2006年2月 »