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2006.04.20

「イラク派遣 国連輸送も支援 空自の任務拡大検討」←国連より米軍支援を強化しようとしていることが問題なのだ

◆記事:「イラク派遣 国連輸送も支援 空自の任務拡大検討」

政府がイラクで輸送活動を行っている航空自衛隊の任務を拡大、国連の人員・物資輸送の支援を検討していることが十八日、分かった。

陸上自衛隊撤収前の実施も視野に入れる。空自の任務拡大では、米軍の物資輸送などに重心がシフトするため、イラク復興支援特別措置法に基づく基本計画を変更する方針も固めた。

現在、国連はイラクで「国連イラク支援派遣団(UNAMI)」を活動させている。人員は五百人程度で、バグダッドを拠点にイラク全土と隣国のヨルダンやクウェートとも往来。

憲法起草作業や昨年十二月の国民議会選挙といったイラクの政治プロセスや人権問題への助言、人道復興支援の調整など活動内容は多岐にわたる。

だが、国連職員の移動や物資輸送は、米英軍の輸送機に便乗しているのが実情だ。

輸送機に空きがなければ後回しにされるなど不便で、国連は日本政府に「イラクでの国連活動を今後、拡大していく」との方針を示した上で、輸送機の提供を要請してきた。

これを受け、防衛庁では、イラク南部とクウェート間で自衛隊や米軍の物資輸送などにあたっているC130輸送機を国連に提供することを検討している。

ただ、空自の任務拡大は、イラク南部サマワに駐留する陸自部隊の撤収を念頭に、米軍に対する輸送支援の強化を軸に調整を進めており、政府は国連に「米政府を通じて交渉してほしい」と回答している。

また、空自はバグダッドなどに空輸拠点を拡大し、米軍輸送機の肩代わりをする方針を固めている

人道復興支援にあたる陸自部隊が今秋にも撤収した場合、米軍向けの輸送が中心になり、活動の軸足を安全確保支援に移すことになる。

しかし、現行の基本計画は、「人道復興支援活動に支障を及ぼさない範囲で、安全確保支援活動を実施」としており、基本計画を変更して安全確保支援にシフトすることを明記する方針だ。

一方、サマワの陸自部隊は五月までの予定で第九次イラク復興支援群が活動中だが、政府は今月中に後続部隊となる十次群の派遣を決定し、来月上旬に編成・派遣命令を出す予定だ。 (産経新聞) - 4月19日3時25分更新


◆コメント:何度でも書くが、米軍物資輸送は約束違反かつ違憲だ。

この問題は何度書いたか分からないほどだが、何百回でも書いてやる。

イラクに自衛隊を派遣することを政府が閣議決定した、2003年12月9日の小泉首相記者会見を読んで下さい。

最初に小泉首相が憲法前文を読み上げ、自衛隊海外派遣の正当性を主張した(これにも文句があるが今は触れない)。

その後、マスコミ各社との質疑応答があった。

そのときの一問一答は、今でも、首相官邸ホームページ、小泉内閣総理大臣記者会見[イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置に関する基本計画について] において、読むことが出来る。

そこで、首相は明確に述べている。

【質問】 今回、武器弾薬の輸送は行われるんでしょうか。

【小泉総理】 武器弾薬の輸送は行いません。

【質問】 行わない。

【小泉総理】 行いません。
【質問】 それは、実施要項の中とかで担保されるんですか。

【小泉総理】 そうです。

【質問】 そういうことですか。

【小泉総理】 はい。復興支援活動であります。日本は戦争に行くのではありません。自衛隊は復興人道支援活動に行くんです。

◆ところが、(武器弾薬の輸送が)行われているのだ。

何故断言するかと言えば、クウェートに派遣された航空自衛隊の自衛官が認めているからである。

◆武装米兵の輸送実施 C130、空幕長が認める

【クウェート8日共同】航空自衛隊トップの津曲義光航空幕僚長が空自部隊派遣先のクウェートを訪問。

8日に記者会見してC130輸送機によるクウェート、イラク間の米兵や連合軍関係者の輸送を実施していたことを初めて明らかにした。

イラク復興支援特別措置法に基づく空輸が始まって約1カ月。空自は人道支援や連合軍の物資以外に、兵員輸送も手掛け、コアリション(連合軍)の一員としての立場を築いたことになる。

津曲空幕長は過去の輸送任務について「米兵や(連合軍の)軍属を運んだことはある」と答え、さらに

「武器、弾薬を単独で運んだことはない」と説明。輸送した米兵が小銃など軽火器類を携行していたことも認めた。
これまでの輸送回数や状況については「20回弱の任務を実施したが、(地上からの)攻撃はなかった」と述べ、武装勢力によるテロはなく安全だったことを強調。

タリルやバスラの空港があるイラク南部は「比較的安全」との認識を示した。(共同通信)[2004年4月8日13時26分更新]

◆武装兵士を輸送していることは武器弾薬を輸送しているということだ。

米英軍の武装兵士を航空自衛隊の輸送機がクウェートからイラク各地の米軍基地へ輸送している。

日本の同盟国である米国は、イラクで「イスラム反米勢力」と戦闘状態にある。

「反米勢力」は国家ではないから、戦争ではないという役人や政治家がいるが、そういうのを屁理屈というのだ。

実際に弾丸が飛び交い、劣化ウラン弾が使用され、放射能をばらまいている。行為の実質において、「戦争」である。

そして、冒頭の産経新聞の記事によれば、

空自はバグダッドなどに空輸拠点を拡大し、米軍輸送機の肩代わりをする方針を固めている。

人道復興支援にあたる陸自部隊が今秋にも撤収した場合、米軍向けの輸送が中心になり、活動の軸足を安全確保支援に移すことになる。

のだそうだ。


◆自国が攻撃されていないのに、戦争中の同盟国を支援することは「集団的自衛権の行使」に相当し、違憲である。

「空自はバグダッドなどに空輸拠点を拡大し、米軍輸送機の肩代わりをする方針を固めている」

だと?ふざけるな。米軍輸送機の肩代わりなら、絶対に武器弾薬を輸送することになる。違憲である。



日本国憲法は、集団的自衛権の行使を禁止している、というのが政府の公式見解である。

異論を唱える者は大勢いるが、公式見解が変更になったという事実を私は知らない。



「集団的自衛権とは何か」を知らず、調べもせずに反論してくる若い衆がいる(文章を読めば意味を理解していないことが一目瞭然なのだ)。それぐらい調べて欲しい。



集団的自衛権とは、

「自国が直接攻撃を受けなくても他国への攻撃を自国への攻撃と同等と見なして、反撃のために、武力を行使することが出来る権利」

である。

アメリカは常にどこかで戦争をしている国である。

日本に集団的自衛権の行使を認めたら、自衛隊は世界中に飛んでいって、米国の人殺しの手助けをすることになる。

日本が攻撃されたときにこれを防衛するのは個別的自衛権の行使である。謂わば正当防衛であり、日本国憲法はそれまで否定しているわけではない。

何故なら、前文において国民の平和的生存権を保障しているからだ。


さて、「集団的自衛権の定義」を字面(じづら)だけで見ると、クウェートにおいて航空自衛隊が米軍の武器弾薬を輸送することは、

武力行使ではないから、良いじゃないか?と思う人が多いようだ。

違う。


◆後方支援は武力行使の一部だから、認めてはダメだ。

日本が自衛隊をやたらと海外に派遣したがるようになったのは、1991年の湾岸戦争からである。

このときはイラクがクウェートを侵略したので、国連安保理が多国籍軍の派遣を決めた。

日本は多国籍軍のために、130億ドル(当時のドル円相場は132円近辺。132円で円貨換算すると1兆7160億円)もの大金を拠出したが、自衛隊の派遣は拒否した(それが正しい)。

そうしたら、日本はカネだけで血を流さなかったと嘲笑され、フセイン政権を倒した西側諸国の先勝パーティーに日本は呼ばれず、世界の笑いものになった。ということになっている。

そして、その「トラウマ」が防衛庁=自衛隊と、日本政府に残り、PKO法案、周辺事態法案(調べて下さい)など、自衛隊を海外に派遣する法律を次々に作った。

イラク戦争に自衛隊を派遣できる(私に言わせれば出来ない)根拠法は、「イラク復興支援特別措置法である。

(注:法律を調べるときは、法令データ提供システムで「法令索引検索」「法令名の用語索引」という検索欄にイラク復興支援特別措置法をコピー&ペーストして下さい。)

イラク復興支援特別措置法第三条は次の通り。

第三条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一  人道復興支援活動 イラクの国民に対して医療その他の人道上の支援を行い若しくはイラクの復興を支援することを国際連合加盟国に対して要請する国際連合安全保障理事会決議第千四百八十三号又はこれに関連する政令で定める国際連合の総会若しくは安全保障理事会の決議に基づき、人道的精神に基づいてイラク特別事態によって被害を受け若しくは受けるおそれがあるイラクの住民その他の者(以下「被災民」という。)を救援し若しくはイラク特別事態によって生じた被害を復旧するため、又はイラクの復興を支援するために我が国が実施する措置をいう。

二  安全確保支援活動 イラクの国内における安全及び安定を回復するために貢献することを国際連合加盟国に対して要請する国際連合安全保障理事会決議第千四百八十三号又はこれに関連する政令で定める国際連合の総会若しくは安全保障理事会の決議に基づき、国際連合加盟国が行うイラクの国内における安全及び安定を回復する活動を支援するために我が国が実施する措置をいう

この中の「安全確保活動」は米軍に対する「後方支援」なのである。

後方支援とは、戦争をしている米国の武力行使に必要な物資・サービスを提供することである。

自衛隊自身はただの一発の弾丸すら発射しなくても、武力行使に加担していることになる。

現行憲法は現実に武力行使を禁止しているのだから、「武力行使」の範囲は広く、厳格に解釈するべきである。

繰り返す。

「日本はイラクから攻撃されていないが、米国を手伝って、米軍の物資を運ぶ後方支援を行っている。これは、明らかに集団的自衛権の行使であり、違憲である。」

◆新聞・テレビ、それでもジャーナリストか?

産経新聞は記事の中で平然と、

「空自の任務拡大は、イラク南部サマワに駐留する陸自部隊の撤収を念頭に、米軍に対する輸送支援の強化を軸に調整を進めており、政府は国連に「米政府を通じて交渉してほしい」と回答している。」

と書いている。

それでもジャーナリストか。

首相が約束を破ったのがこれほど明らかなのに、何も書かないのか。

産経だけではない。どの大新聞もテレビも同じだ。

小泉首相が2003年12月9日、明確に「武器弾薬の輸送はしない」といっておきながら、わずか四か月後には、自衛官自身が武装兵士を輸送していることを認めた。

何処のメディアも全然問題にしなかった。



小泉政権は、今度は、「この度、サマワの陸自を撤収するので、その分空自が米軍輸送機の肩代わりをすべく、頑張ります」と言っているのだ。

ジャーナリストなら、「そんな大事なことを国会で討論しないで勝手に決めるな。」と批判するべきだ。



有権者もいい加減気が付くべきだ。

イラク戦争は何の正当性もない。単なる人殺しだ。人殺しを支援することが正しいのか。

アメリカの人殺しを支援すれば、北朝鮮がノドンかテポドンを撃って攻撃してきた場合に、米国が日本を守ると本気で思っているのか?

イラク復興の為に、日本は50億ドルと他国と桁違いの拠出金を提供し、アメリカ人から「日本は世界のキャッシュ・ディスペンサーだ」とまで言われ、

そこまで侮辱されながら、アーミテージがやってきて、「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」と一喝したら震え上がって、自衛隊派遣を決めた。

そこまで譲歩したというのに、日本が国連安保理に加盟しようとしたら、アメリカは中国と結託してこれを邪魔したのである。



そして、アーミテージ前国務副長官の狡猾な一言を私は忘れない。彼は言った。
「日本への(第三国からの)攻撃は、米国本土への攻撃と同等とみなす」

よく読んでいただきたい。

北朝鮮のミサイルが日本に落ちたら、アメリカへの攻撃と見なす、といっているだけだ。

「日本を、他国の攻撃から守ってみせる」とは絶対に言わない。

ここに、アングロサクソンのずるさが端的に表れている。


◆小泉語録「コイズム」より。

ここに一冊の面白い本がある。コイズム

小泉純一郎氏が若者向けの雑誌に載せていた連載を本にまとめたものだ。



166ページ。集団的自衛権について、小泉純一郎氏はこう語っている。

「僕の考え方はどうかというと、憲法のどこを読んでも集団的自衛権が認められるとは思えない。憲法の拡大解釈は非常に危険だ、というのが基本的なスタンスだ」

さらにご丁寧にも、自衛隊の海外派遣に関しては、168ページ。
「僕は自衛隊のPKO派遣のときも反対した。国際協力をダメといっているわけではない。むしろ積極的に行うべきだと思うけど、現行の憲法では、自衛隊の海外派遣はどう考えても無理がある。」

お分かりの通り、小泉首相は、かつて、自分が反対していたことを、全て実行している。

人間の思想が変化してはいけないとは言わないが、学生ならまだしも、既に政治家になった人物の発言である。

これほど、見事180度言うことが変るのは、「思想が変化した」、というよりも、元々「思想が無い」証左である。

次の日曜日に千葉7区衆院補選がある。

千葉の有権者は、そういう人をまた、支持するのだろうか?

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