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2006.05.02

「米経済学者のガルブレイス氏死去=『不確実性の時代』などベストセラー」←徹頭徹尾戦争に反対だった人。

◆記事:米経済学者のガルブレイス氏死去=「不確実性の時代」などベストセラー

現代資本主義の病理に鋭い分析を加えたことで知られる米国の代表的経済学者ジョン・ケネス・ガルブレイス氏(ハーバード大名誉教授)が29日、マサチューセッツ州ケンブリッジの病院で死去した。97歳だった。

カナダ生まれ。「不確実性の時代」や「大恐慌」などベストセラーを多数著し、日本でも広く知られた。

主要著書の「ゆたかな社会」(1958年)では、企業の広告・宣伝で物を買っても買っても満たされない精神的欠乏がかつての貧困に取って代わるという「依存効果」理論を提起するなど、

「現代資本主義の病理」を鋭くえぐった。(時事通信) - 4月30日17時1分更新


◆コメント:「不確実性の時代」、懐かしいですねえ。

何故かというと、私が大学一年のときに、一般教養の英語の時間が随分あったのです(法学部なんだけどね)が、そのうちの一コマは、この不確実性の時代(The age of uncertainty)が教材だったのです。

毎週かなりの量を読まされました。

難しかったけど、高校や予備校で接する「教科書の英語」ではない、れっきとした、ネイティブが読む、正真正銘の「英語の本」でしょ?

しかも「大経済学者の原著」を読んでいるというのが、如何にも「学問」の入り口に到達したな、という気分につながり(それは、やや短絡的ですがね)、嬉しかったのを覚えています。



予備校で、英語の先生から國弘正雄先生が提唱する只管朗読法、つまり、ただひたすら繰り返し音読する、という学習法を教えられ、実践していたので、

「不確実性の時代」も音読しました。毎週読む量が多いので大変だけど、パラグラフ毎に100回ぐらい音読したら、試験で満点だったのを覚えています。

いや、自慢話じゃないのです。音読は本当に効果的です。その話をすると長くなるので今日は止めておきます。

ところで、一つのパラグラフを一度に100回読むのではないですよ。10回ずつ読んでいって、また最初に戻って・・・という具合にやるのです。

あまりにも音読しすぎて喉の粘膜が充血して、ついには唾に血が混じったほどなのです。

喀血かと思い、真っ青になって子供の頃からお世話になっている近所の開業医の先生に、かくかくしかじか、と話したら、笑われてしまいました。


◆この本、題名だけ見ると分からないのですが、前半は、「経済学史」なんです。

「不確実性の時代」は経済学史が書いてあるのです。

最初に登場するのは、当然、経済学の祖・アダム・スミスです。彼が所謂「国富論」正式には「諸国民の富の性質と起源に関する一考察」で何を書いたか、から始まって、

マルクスについても、「何故、マルクスは資本主義が搾取的である、と考えたのか」とか、

ケインズってのは、「雇用・利子および貨幣の一般理論」で何を考えついたのか、などが、素人にも分かりやすく書いてあります。


◆アメリカを代表する知性が、またひとり亡くなった。

「アメリカを代表する知性」と書いたけれども、頭の良い人なら他にも沢山いるでしょう。

ガルブレイス氏は、専門は経済学なのだが、政治的な事に非常に関心があったのです。

政治的野心があったのではなく、とにかく、徹底的に戦争反対なのです。平和主義者なのですね。どんな理由があろうとも、「戦争は絶対に反対だ」と生涯、訴え続けた。

ベトナム戦争のときもずーっと反戦運動をしていたし、近年のイラク戦争は「ベトナム戦争と共に、アメリカ外交の最大の過ちである」、と繰り返し、述べていました。

本当に最後まで、イラク戦争反対と言っていたそうです。


◆終戦直後の日本に来てショックを受け、反戦思想が強まったのです。

ガルブレイス氏は1908年10月カナダで生まれたというから、第二次大戦が終わった時には既に36歳でしたが、

終戦直後、45年にアメリカの「戦略爆撃調査団」の一員として初めて日本に来ました。

東京の焼け野原を見て、広島でも生き残った人の話を聴き、あまりの惨状に大変なショックを受け、もともと戦争嫌いの家系らしいのですが、

ここに来て、確信的になったようです。


◆「通念(一般に共通した考え)を疑ってみることの大切さ」を大恐慌の時に学んだ。

反戦思想以外にも、ガルブレイス氏は孤高の人でした。

アメリカが経済大国となり、人々が浮かれているときに、「物質的な豊かさが幸福とは限らない」といい、消費社会に対する警鐘を鳴らしたのです。

株価がグングン上がって、人々がこれもまた浮かれていると「バブルだぞ。暴落するぞ」と冷水をかける

。だから、アメリカの政財界の「偉い」人達からは疎んぜられていたようです。



ガルブレイス氏は何しろ、大恐慌を実際に体験した人だから、言葉に重みがあります。それだけに、無視できない。

無視できないから、凡人にとっては「うるさい」存在だったのでしょう。



「大恐慌」とは1929年10月24日「暗黒の木曜日に」ニューヨーク株式市場が大暴落して、その後の4年間でアメリカでは銀行が一万行も倒産して、失業率が25%というものすごいことになり、

それが世界中に波及した、人類史上最大の経済的混乱ですね。

それをガルブレイス氏は見ているわけです。だからバブルが如何に危ないか、骨身に沁みているのですね。

ガルブレイス氏によれば、「最も知的であるべき人達が、株価が暴落するその時まで、如何に自分たちが楽観的すぎたかに気が付かなかった」そうです。有名な経済学者も皆、浮かれていた。

ガルブレイス氏は、そのときに、「通念(一般に共通した考え)を疑ってみることの大切さ」を身を以て学んだ、と言っています。



常に、反骨精神で、経済学の世界でも孤高の人だったようですが、サミュエルソンというノーベル経済学賞受賞者で、かつては「経済学の教科書」=「サミュエルソンの『経済学』」とまで言われた経済学者が、
「自分たちノーベル賞を貰った者が書いた本は半世紀後には誰も読まないだろう。しかし、ガルブレイス氏の本は読まれ続けるだろう」

と言うぐらいのひとなのです(因みに、ガルブレイス氏はノーベル賞を取っていません)。


◆非常な親日家だったのです。

こういう超一流のインテリが親日家であることは、日本にとって有難いことでした。先日、故・ライシャワー博士の事を書きました。

ガルブレイス氏はライシャワー博士のように日本で生まれたのではなく、日本語を話すことも出来ませんでしたが、

何しろ焼け野原から世界第二の経済大国にあっという間に復興するところを全部見ているわけです。

日本に来る度に、大企業のお偉いさんだけではなく、メーカーの工場なども訪れ、現場の労働者にも会うのです。

そういう工場労働者から官僚まで、「勤勉に働く日本人」に心を打たれ、あれほど戦争で滅茶苦茶に負けたにも関わらず、

平和国家として急速に復興したことに「驚嘆した」とのことです。

こういう先生がまた、一人、亡くなった訳です。誠に残念です。

ご冥福をお祈り申し上げます。

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