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2006.06.14

「日銀総裁、村上ファンドに1000万円」←福井総裁、残念だが辞めて下さい/岩城さんの話(続き)

◆記事1:「日銀総裁、村上ファンドに1000万円」 (日経 2006年06月12日 (月) 13:48)

日銀の福井俊彦総裁は13日の参院財政金融委員会で、インサイダー取引事件で逮捕された村上世彰容疑者が率いた「村上ファンド」との関係について

「(富士通総研理事長だった1999年秋に)有志数人で私も入り、1人1000万円を拠出した」と述べ、同ファンドに個人資金を拠出していたことを明らかにした。

福井総裁は99年に村上容疑者がファンドを立ち上げた際、「具体的な投資活動のアドバイスをしないとの約束の下、(アドバイザーを)引き受けた。報酬もない」と強調。

「総裁就任時にアドバイザーは辞めた」とした。その上で「拠出もやめるというのも一つの考え方だったが、私だけが抜けるというのが適当かどうかという仲間内の意識もあった」と述べた。

拠出金から得た利益に関しては「キャッシュアウト(現金化)したことはない」とし、「帳簿上の利益は確定申告して納税している。もうかっているという感じではない」と表明。

拠出金は「数カ月前に解約の申し入れをしている。今月末に清算される」と述べた。


◆記事2:首相、経財相「問題なし」・日銀総裁の村上ファンド拠出

小泉純一郎首相は13日昼、福井俊彦日銀総裁が村上ファンドに資金拠出していたことへの道義的責任について「それはないんじゃないか」と述べた。

自らが村上ファンドを介して取引したことがあるかに関しては「私、関心ないから」と否定した。首相官邸で記者団の質問に答えた。

与謝野馨経済財政担当相も同日、福井総裁が出席した参院財政金融委員会で

「総裁になることが予定されていない時期に民間人として出資に応募したということで、それ自体はなんら問題はない」との見解を示した。 (14:01)


◆結論:中央銀行総裁が株取引に関わってはならない。

非常に残念である。

福井さんともあろう人が、何故、このような杜撰な資産管理をしたのか、不思議でならない。



福井総裁は優れた日銀総裁だと思う。

昨年秋以降、与党の政治家が、「量的金融緩和政策(とゼロ金利政策を混同していた政治家も多いが)を解除するな」と、福井さんを殆ど恫喝してきた。

その経緯については、昨年11月にここで書いた。

しかし、福井さんは屈しなかった。

かねて公にしていたとおり、消費者物価指数が、連続的にプラスになることなどの条件を満たした時点で、日銀当座預金量を金融政策の目標とする、「量的金融緩和政策」を止めた。

その時のことも「日銀、量的緩和解除」←福井日銀総裁は、立派だ。に書いた。



福井さんは、これも11月25日に書いたが、2004年2月には英国の経済専門誌"The Economist"が、

「世界で最も優れた中央銀行総裁」に選んだ人なのである。



日銀総裁とは、日本の金融市場全体に影響を及ぼしうる存在である。

無論、日銀の金融政策は毎月の金融政策決定会合で、総裁、副総裁、理事らによって決定され、

そのときの議論の要旨は、日銀のサイトに、金融市場調節方針等に関する決定事項として公表される。



日銀の決定は、当面の市場金利をどのように誘導するかという点が焦点だが、この決定は金融市場のあらゆる相場に影響を及ぼしうる。勿論、株式市場も日銀の動向を注視している。



繰り返すが、日銀の政策は日本経済全体の将来を左右するものである。

従って、その政策の決定に携わる者は、絶対に、中立、公正、無私でなければならない。

金融商品(株、債券、為替)取引を行っている者が集まって、日本の金融政策を決定したら、世間はどう思うだろう?

「結局、自分たちに有利な政策を採用しているのではないか?」という疑問を抱くかも知れない。

本人にそのつもりが無くとも、そのような疑いをもたれる可能性をゼロにしておかなくてはいけないのだ。「李下に冠を正さず」ということだ。

これは、鉄則である。というより、「常識で考えれば分かること」である。


◆「村上ファンドと知り合いだったこと」が問題なのではない。株をやっていたこと自体が問題なのだ。

今回、「福井日銀総裁が、インサイダー取引容疑の村上某とつきあいがあったことが問題なのだ」、と勘違いしている人がいるけれども、そうではない。

相手が誰であってもダメなのだ。

ファンドに投資するということは、自分が直接株式を売買するわけではないが、福井氏の資産を運用するファンド・マネジャーは、株取引を行っている。



つまり、「日銀総裁が、たとえ間接的にではあっても、株取引を行っていた」ことが看過できない失態なのである。

福井氏が民間に出ていた時に投資行動を行っていたのは自由だが、日銀総裁就任が決定したときに、すべて解約するべきだった。

それをいままで、持っていた。

どうしてそんなドジを踏んだのか残念でならない。


◆与謝野、小泉はバカ。

以上述べたことを理解していただけるなら、与謝野金融相の発言が如何に的外れか、お分かりだろう。

「総裁になることが予定されていない時期に民間人として出資に応募したということで、それ自体はなんら問題はない」

よくぞ、これだけバカなことを言えるモノだ。感動した。

民間人時代の投資を問題にしているのではない。

「日銀総裁になるときに解約せず、いまだにファンドに資金を置いていること」が問題なのだ。

数ヶ月前に解約の手続きを取ったそうだが、堀江が逮捕されるのを見て、村上にも来る。ヤバい。と思ったのだろう。今頃解約してもダメだ。



小泉首相は、今更まともな言葉を期待していないけれども、
小泉純一郎首相は13日昼、福井俊彦日銀総裁が村上ファンドに資金拠出していたことへの道義的責任について「それはないんじゃないか」と述べた。

「それはないんじゃないか」と言いたいのは、我々国民だ。


◆岩城宏之さんのこと(2)

昨日に引き続き、岩城宏之さんのことを書く。

岩城宏之さんは自分が音楽家になるまでの過程をあまり文章にしなかった。



それは、岩城さんが音楽の早期教育を受けていないのにプロになったという歴史的事実にだけ注目し、

「自分も子どもの頃、音楽を習ったことは無いけれども、岩城さんに話を読んで、道が開けた気がします」というたぐいの、

はっきり言って、「勘違い坊や」が増えるのを警戒するからだという。



実は、ここに書いている話はすべて新潮文庫の「ハニホヘト音楽説法」という本に出ている。一読をお薦めする。

多分、現役の音楽家、音大生、音楽ファン、皆、仰天するだろう。よく、これでプロになれた、と。

しかし、裏を返せば、それは、岩城さんにそれだけの才能があり、本当に努力したということだ。


◆「ソプラノ」は「一番上手い人」だと思っていた。

岩城宏之さんは、学習院高等部で一度だけコーラス部の練習に行ったことがある。

しかし、先輩に「貴様(何故か学習院のコーラス部は後輩を「貴様」呼ばわりしたのだそうだ)はテノールだな」と言われ、憤慨して、そのまま帰ってきたのだそうだ。



岩城さんは何と、ソプラノ、アルト、テノール、バス、は声の高さの区分だということをしらず、一番上手いのが「ソプラノ」だと勝手に信じていたのである。

従って、自分は下手な方から2番目だと言われたとおもって怒ったのである。それぐらい、「音楽の知識」には乏しかった。


◆高校一年になって初めてプロの木琴奏者に、「正式の音楽教育」を受けた。

学習院音楽部の先輩が紹介してくれて、当時、木琴の独奏で活躍していた岩井貞雄という先生に初めて、正式の「レッスン」を受けることになった。

バチだけ持ってくればよい、というので、例のオモチャのバチを持っていった。十歳年上の兄がついてきてくれた。



先生のお宅にあるのは、当然、本格的なシロフォン(マリンバより堅い音がする)だった。全然大きさが違う。

先生が「何か得意な曲を2,3曲ひいてごらん」というので、おそるおそる、得意の曲を弾いた。

これは本には書いてないが、「トルコ行進曲」「ボッケリーニのメヌエット」の類であろうと思われる。



先生は、何も言わなかった。随分長いこと黙っていた。

独学で「トルコ行進曲」を弾けるとはいえ、先生から見ればそれだけ、どうしようもない、「癖」がついていたのだった。

あまりの沈黙の長さに耐えかねて兄がきいた。

「弟はモノになるでしょうか」

先生はそれでも黙っていた。これ以上の愚問は無いのである。やがて先生は、

「それは・・・・あのお・・・これからの本人の勉強次第ですがね」

こうしか答えようがないだろう。


◆「基礎」をたたき込まれた。

岩城さんのことばによれば、

「小さいときにひとりでに音楽が好きになり、全くの独学でやってきたのだけれど、この高校一年の時に、基礎ということの大事さを、僕はこの岩井先生にとことん叩き込まれた」

のだという。

毎週レッスンに行ったが、徹底的に基礎練習をやらされ、エチュード(教則本)だけの週が続いた。

先生は曲など弾かせてくれなかった。そんなことは、先の先なのだ。



岩城さんはこの時の経験から、凡そ人間の動作に関することは楽器でもスポーツでも、踊りでも、

他人の客観的な観察と適切なアドヴァイスが必要であることが分かった、という。人間は自分の動きを客観的に観察することはできないのだ。と。(続く)


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