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2006.07.17

「北朝鮮に関する国連安保理決議1695号」の法的性格。動詞一つで意味が変る。

◆記事1:北朝鮮ミサイル:安保理非難決議の要旨

国連安保理が15日採択した対北朝鮮非難決議の要旨は次の通り。

◆前文◆

一、朝鮮半島と北東アジアの平和と安定の重要性を記憶にとどめる。

一、核・化学・生物兵器の弾頭運搬手段となる可能性のある北朝鮮の弾道ミサイル発射に重大な懸念を表明する。

一、北朝鮮のミサイル発射凍結継続の公約違反に深い憂慮を表明する。

一、北朝鮮が近い将来、さらに弾道ミサイルを発射すると示唆したことに深い懸念を表明する。

一、北朝鮮による核拡散防止条約(NPT)脱退の表明と核兵器保有追求の宣言を非難する。

一、ミサイル発射が地域の平和、安定、安全を脅かすことを確認する。



◆本文◆

一、国際平和と安全を維持する(安保理の)特別な責任の下で行動する。

一、北朝鮮の弾道ミサイル発射を非難する。

一、北朝鮮に弾道ミサイル開発計画中止と発射凍結公約の再確認を求める。

一、ミサイルや大量破壊兵器開発に資する関連物資の北朝鮮への移転阻止を加盟国に求める。

一、北朝鮮からのミサイル関連物資の調達禁止を加盟国に求める。

一、北朝鮮に6カ国協議への即時復帰と核兵器及び核開発計画の放棄、NPTへの早期復帰を強く勧告する。

一、朝鮮半島の非核化を平和的手段で達成し、6カ国協議の共同声明の履行に協議参加国が努力するように求める。

(毎日新聞 最終更新時間 7月16日 21時37分)


◆記事2:原文の要旨を伝える安保理のサイトのニュース

(注:安保理決議の文言が全て掲載されるのには暫く時間がかかる)



URL:http://www.un.org/apps/news/story.asp-NewsID=19211&Cr=Korea&Cr1=



Security Council demands that DPR Korea suspend ballistic missile activities15 July 2006

Condemning the Democratic People's Republic of Korea's (DPRK) multiple ballistic missile launches 11 days ago, the United Nations Security Council today demanded that the country suspend all related activities and required States to prevent the import or export of funds or goods that could fuel Pyongyang's missile or weapons of mass destruction programmes.

The Council's unanimous adoption of resolution 1695 came following intensive debate behind closed doors and was immediately hailed by numerous Council members but rejected just as quickly by the DPRK Government.

In adopting the resolution, the 15-member body noted the potential of ballistic missiles to be used for delivering nuclear, chemical or biological payloads. It also invoked the Council's “special responsibility for the maintenance of international peace and security.”

The Council required all Member States, “in accordance with their national legal authorities and legislation and consistent with international law,” to exercise vigilance and prevent missile and missile-related items, materials, goods and technology being transferred to DPRK's missile or WMD programmes.

States were also required to exercise vigilance and prevent the procurement of missiles or missile related-items, materials, goods and technology from the country, as well as the transfer of any financial resources in relation to its missile or WMD programmes.

The resolution deplored the DPRK's announced withdrawal from the Treaty on Non-Proliferation of Nuclear Weapons (NPT) and its stated pursuit of atomic arms in spite of its obligations under the NPT and the International Atomic Energy Agency (IAEA) safeguards.

The DPRK was strongly urged to return immediately to the Six-Party Talks without precondition, to work towards the expeditious implementation of a September 2005 Joint Statement, “in particular to abandon all nuclear weapons and existing nuclear programmes” and to return soon to the NPT and IAEA safeguards.

Supporting the six-party talks, the Council called for their early resumption, and urged all the participants - the two Koreas, China, Japan, Russia and the United States - to intensify their efforts on the full implementation of the Joint Statement with a view to achieving the verifiable denuclearization of the Korean Peninsula in a peaceful manner and to maintaining peace and stability on the Korean Peninsula and in north-east Asia.

China, the United States, Japan and the Russian Federation were among the countries that welcomed the resolution's adoption during the debate which followed.



But DPRK representative Pak Gil Yon roundly rejected the resolution, saying the missile launches were part of routine military exercises to increase the country's capacity for self-defence and arguing that the exercise was a legitimate right of a sovereign State and was not covered by international law, bilateral or multilateral agreements.


◆コメント:動詞に注目。

国連安保理は満場一致で安保理決議1695を採択しました。日本主導の安保理決議は確かに始めてのことです。
記事2は、安保理決議そのものではありません。正式な決議は国連公用語(英語 フランス語 ロシア語 中国語 スペイン語 アラビア語の6カ国語)全てに訳されなければならないので、時間がかかります。

安保理のサイトに載っている国連広報センターが発表したニュースです。

それを元に、書いた日本語の報道が記事1です。英語はご参考までに載せました。

日本語でも分かるのですが、英語と並べると分かりやすいのです。本当に大事なことは原文を見なければなりません。

記事1の日本語要旨を見て下さい。特に、語尾の動詞に注目して下さい。

前文では、
「懸念を表明する」「深い憂慮を表明する」「非難する」「ミサイル発射が地域の平和、安定、安全を脅かすことを確認する」

本文でも、

「非難する。」「求める」「勧告する」ですね?

英語の見出しで明らか。

Security Council demands that DPR Korea suspend ballistic missile activities15 July 2006

(国連安全保障理事会、7月15日付で北朝鮮民主主義人民共和国にミサイル発射の中止を要求)

となっている。「要求」しています。「要求」していますが、北朝鮮に対し何らかの行動を求めること、又は、国連が何かアクションを起こすことを「決定」してはいません。


◆7章決議は動詞が“decide”

国連憲章第7章は「平和に対する脅威」について定めてあります。7章に基づく決議は法的拘束力を持ちます。

ここでは、「決定する」が全て原文で「decide」なのです。

第39条 安全保障理事会は、平和に対する脅威、平和の破壊又は侵略行為の存在を決定し、並びに、国際の平和及び安全を維持し又は回復するために、勧告をし、又は第41条及び第42条に従っていかなる措置をとるかを決定する。

とあります。英語だと、

The Security Council shall determine the existence of any threat to the peace, breach of the peace, or act of aggression and shall make recommendations, or decide what measures shall be taken in accordance with Articles 41 and 42, to maintain or restore international peace and security.

繰り返しますが、このように動詞がdecideだと、法的な拘束力が生じます。安保理がかなり本気だということです。

まず経済制裁、外交関係の断絶その他。

それでもダメなら軍事力の行使となります。


◆今回の安保理決議では、そこまで危険と見なしていないということですが、それでもいいのです。

国連憲章第7章「平和に対する脅威」と見なされるということは、相当にヤバい状態なので、中国とロシアはそこまで北朝鮮を追い込まない方が良い、と必死に日米を説得したのでしょう。

水面下で相当もめたと思います。

いきなり7章を持ってくるとかなり、緊張が高まります。

北朝鮮は、安保理決議を全面拒否するそうですが、決議直後に拒否声明を発表したと言うことは、安保理の決定を非常に気にしてずっと結果を待っていた証拠です。

多分、何日かすると、子どものように「国連決議など何ともおもっていないぞ」と言うことを主張するために、また、何発かミサイルを発射するのではないでしょうか。


◆日本主導で満場一致の安保理決議を採択できたのですから、落ちついて様子を見ること。

国連安保理は、常任理事国5カ国と非常任理事国10カ国の計15カ国で構成され、安保理決議の採択には9カ国以上が賛成して、かつ、常任理事国のいずれも拒否権を発動しないことが必要です。

今回は絶対に中国かロシアが拒否権発動すると思いましたが、アメリカの圧力とか、いろいろすったもんだあったのでしょうが、それでも採決に持ち込んだということです。



直接的に危険が一番大きいのは日本だけなのに、日本に対する脅威について、様々な計算があるとはいえ、国際社会が懸念を表明したことに間違いはないのです。

悪い結果ではない、と思います。

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