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2006年7月

2006.07.31

レバノンで空爆による死者多数

◆記事:BBC“Dozens killed in Lebanon air raid”(レバノンで空爆による死者多数)

(日本時間7月30日(日)23時5分)

レバノン南部の街、カナ(Qana)を目標とした、イスラエル軍の今までで最も激しい空爆により、54人以上の市民が死亡した。そのうち、少なくとも34人は子どもだった。

これは、住居を失った家族たちが身を寄せていた、カナ市内の地下にある避難所が直撃を受けた為である。

レバノンの首相はイスラエルの「戦争犯罪」を厳しく非難し、予定されていた米国のライス国務長官との会談をキャンセルした。



イスラエル側は、「今回の出来事は誠に遺憾である」という声明を発表したが、同時に「(当該地区の)市民には避難勧告が出されていたはずだ」と付け加えた。

イスラエルは、シーア派民兵組織「ヒズボラ」に対する攻撃を続行しており、イスラエル領内からレバノンに対してロケット段を発射するという方法を用いている。

何百人ものレバノン市民は、これに対してデモを繰り広げている。イスラエルとアメリカに敵意を示し、「ヒズボラ」を支持するシュプレヒコールを繰り返しながら、

ベイルートにある国連の暫定本部に侵入して、中を荒らすなど、暴力的な行為にまで及んでいる。



今回の事態を受けて、国連加盟国の中から、イスラエルの暴挙を厳しく非難する声が上がっている。

国連安保理は、日本時間7月31日(月)午前零時から緊急理事会を開催する予定である。



しかし、イスラエル政府高官によると、イスラエルのエフード・オルメルト首相は、アメリカのライス国務長官に対して、

「今回のレバノン攻撃作戦を終了させるまでには、なお10~14日を要すると語った」

とのことである。

レバノンの保健相は、ここ19日間続いているイスラエル軍の無差別攻撃により、約750人のレバノン人が死亡しており、殆どは非戦闘員だ、と述べている。

シーア派民兵組織「ヒズボラ」はこれに対抗するため、30日、イスラエル領、国境に近い、キルヤト・シェモナという街に向け、

旧ソ連製の「カチューシャ」ロケット砲を発射し、負傷者が出た模様。シェモナの住人によれば、今回の一連の武力応酬が続く中で、「最悪の日」だったという。



イスラエル側の死者は、7月12日、ヒズボラがイスラエル領に侵入し、イスラエル兵2名を拉致し、イスラエルが報復を開始して以来、これまでで、51名に上っている。

目撃者によると、カナの避難所を標的にした爆撃は極めて激しい集中砲火であったため、中にいた、避難民(レバノン人)は逃げたくても逃げられなかったであろう、という。

(以下略。記事URL:http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/5228224.stm)(翻訳:JIRO)


◆コメント

イスラエルの攻撃はいつもこのやり方だ。

今回は直接の復讐の対象(それもあってはならないことだが)、は「ヒズボラ」なのに、全く関係の無い非戦闘員を、

非戦闘員と知りつつ、さらに、女子どもがいる建物だと知りつつ、攻撃して殺す。この蛮行を黙って、世界が見ていて良いのか。

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2006.07.30

「イスラエル 国連軍を空爆、4人死亡 レバノン南部」「国連議長声明、米反対で『非難削除』」←イスラエル、いいかげんにしろ。

◆記事1:イスラエル 国連軍を空爆、4人死亡 レバノン南部

【エルサレム樋口直樹】レバノン南部の平和維持任務に就いている「国連レバノン暫定軍」(UNIFIL)の施設に25日、イスラエル空軍機の爆弾が命中し、同軍の要員4人が死亡した。

AP通信などが伝えた。イスラエル軍とイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラの戦闘が始まった12日以降、国連関係者では最悪の死者数となった。

26日にローマで開かれるレバノン情勢を協議する国際会議を前に、イスラエルへの国際的な圧力が強まるのは確実だ。

国連などによると、4人は国連休戦監視機構(UNTSO)から軍事監視員として派遣され、国籍はカナダ、中国、オーストリア、フィンランド。

UNIFIL報道官などによると、イスラエルとの国境付近のヒアム地区で、イスラエル軍機から投下された爆弾が国連の建物などを直撃した。

爆撃地点の周辺では同日午後だけでイスラエル側からの攻撃が14回に及んだ。報道官は「救急活動中でさえ、攻撃が続いた」と非難した。

今回の事件について、イスラエル外務省報道官は「国連要員を標的にしたものではない」と誤爆だったと説明し、原因調査を約束した。

また、「国連要員の痛ましい死を心から残念に思う」との声明を発表した。

UNIFILはイスラエル・レバノン間の国境地帯に78年から駐留しており、隊員数は約2000人(05年10月末現在)。

イスラエルは、UNIFILの任務遂行能力を厳しく批判している。

12日以降、レバノン南部の港湾都市ティールで、UNIFILの関係者とその妻の2人がイスラエル軍とヒズボラの戦闘に巻き込まれて死亡したほか、

UNIFILのガーナ兵4人が負傷している。(毎日新聞) - 7月26日16時44分更新


◆記事2:国連監視所 6時間も攻撃

国連レバノン暫定軍(UNIFIL)監視所の要員4人がイスラエル軍の空爆で死亡した事件で、国連平和維持活動(PKO)局の高官は26日、攻撃時の状況を安全保障理事会に報告した。

それによると、イスラエル軍が国連軍事監視要員の基地周辺を25日午後1時半から同7時半ごろまで約6時間にわたって16回攻撃。

基地周辺400メートル以内の地点で21個の着弾があり、うち砲弾4発が基地の建物を直撃したという。

イスラエル軍と交戦しているヒズボラの活動が確認された地点は、国連基地から5キロ以上離れており、

攻撃中もUNIFILの司令官が「確保された連絡ルート」でイスラエル側に砲撃をやめるよう繰り返し要請。

ニューヨークでもマロック・ブラウン副事務総長らがイスラエルの国連代表部に複数回にわたり、電話で攻撃停止を求めたという。

高官は「イスラエル軍は本気で、繰り返し基地を直接攻撃した」と強調した。 (産経新聞) - 7月28日8時2分更新


◆記事3:イスラエル:レバノン攻撃 国連要員死亡で議長声明 安保理、米反対で「非難」削除

【ニューヨーク坂東賢治】国連安全保障理事会は27日、レバノン南部でイスラエル軍の攻撃を受けた国連の停戦監視要員4人が死亡した事件で、

イスラエルに原因究明と再発防止を求める議長声明を全会一致で採択した。

中国が作成した草案には、イスラエルを非難し、国連との合同調査を求める文言が入っていたが、イスラエルを支持する米国の反対で共に削除された。

声明は4人の死亡に「大きな衝撃を受けた」として哀悼の意を表明したうえで、イスラエル政府に事件の徹底した調査を要求し、

国連要員保護という国際人道法に基づく義務を果たすように求めた。

さらにイスラエルとイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラの戦闘激化で多数の死傷者が出ていることに「深い懸念」を表明した。

事件では中国、オーストリア、カナダ、フィンランドの4カ国の要員が死亡しており、常任理事国の中国が当初、26日中の議長声明採択を求め、

「国連要員に対する意図的な攻撃を非難する」と明記した草案を作成した。しかし、米国が強く反対し、採択が27日にずれ込んだ。

採択後、中国の王光亜国連大使は「現状で可能な最小限の合意だ」と米国の対応に不満を隠さず、「他の問題にも影響するだろう」と述べた。

毎日新聞 2006年7月28日 東京夕刊


◆コメント:イスラエル、アメリカ、共に言語道断。

私は7月12日に「イスラエルが4日連続で空爆、レバノン北東部も攻撃」パレスチナ問題の基礎知識という文章を書いたが、

その約2週間後、イスラエルがとんでもない暴挙に出た。イスラエルが国連軍を攻撃したのである。

イスラエルほど凶暴な国は無い。パレスチナ問題の基礎知識で書いたとおり、

ユダヤ人は2,500年もの間、世界に拡散し、どこでも虐められ、第2次大戦後、無理矢理、かつて「イスラエル王国」があった場所にいたアラブ人を追い出し、新たにイスラエルを建国した。

長い間主に欧米で邪魔者、厄介者扱いされ、第2次大戦ではヒトラーのホロコーストに遭い、確かに非常に悲惨な歴史を抱えているのだが、

だからといって今、他の民族、国民を殺しても良いわけがない。ましてや、今回攻撃されたのは国連の平和維持軍である。



国連が軍隊を派遣する場合、二つのケースがある。

一つは今回攻撃された「国連平和維持軍」であり、国連加盟国が人員を提供するが、あくまで指揮権は国連にあり、国連平和維持軍の要員は暫定的ながらも、国連の職員になる。

もう一つは「多国籍軍」で、これは、事態が緊急性を帯びていて、時間を要する国連平和維持軍を編成している場合ではない、という状況において、

とにかく現場に兵力を遅れる国は送ってくれ、と国連安全保障理事会で決議した場合である。

この場合は、各国の軍隊は国連の職員ではなく、あくまでその国の軍隊として紛争地域に乗り込む。

そして、平和維持軍よりも攻撃的である。「専守防衛」ではなく、各国軍の指揮官の判断により、積極的な武力行使を行う。イラクなどはそういう状況である。



もう一度、念を押すが、今回、イスラエルが攻撃したのは、自らイスラエルを攻撃することは無い、国連加盟国の人々から構成される「平和維持軍」の拠点である。


◆事態推移の復習。

6月にガザ地区のパレスチナ武装集団がイスラエル軍を攻撃して、イスラエル兵1人を拉致し、イスラエルに拘束されているパレスチナ兵の釈放を求めた。

イスラエルはその要求を拒否し、ガザ地区へ猛攻を加え、非戦闘員まで殺した。

これを見ていたアラブ社会は当然怒ったが、中でもレバノンのシーア派民兵組織、過激な団体「ヒズボラ」が、北からイスラエルを攻撃し、イスラエル兵2名を拉致した。

イスラエルは「ヒズボラ」への復讐の名目でレバノン各地を攻撃した。

同時にヒズボラとは関係がない、レバノン一般市民も無差別に殺戮し、この死者数が600名以上にもなっている。

それに加えて、記事1、記事2、にあるとおり、自分から攻撃することはない国連の停戦監視要員の拠点を

故意に(当初、イスラエルは「間違えて攻撃した」といってるが、ヒズボラの拠点があると言われていた場所は、国連軍の施設から5kmも離れており、

しかも国連拠点への攻撃は6時間にも及んでいることから、故意に国連を攻撃していることは明らか)攻撃し、

本来、アラブ・イスラエル紛争に関して全然責任がない、国連停戦監視要員の中国人、オーストリア人、カナダ人、フィンランド人を殺した。



国連加盟国は、イスラエルの暴挙に怒り、国連安全保障理事会はイスラエルを非難する議長声明を採択しようとしたが、アメリカの反対で「非難」は削除された。

言うまでもなく、アメリカではユダヤ人が社会的に重要な地位に大勢いて、一大勢力を形づくり、政治に影響を及ぼしている。



米国大統領になろうと思ったら、ユダヤ人に反感を持たれたら、絶対になれないし、米国政府は、ユダヤ人の顔色を見ながら政策を決めている。

ユダヤ人はユダヤ人の国であるイスラエルを常に支持している。たとえ、それがどのようにひどい蛮行であっても、である。

だから、アメリカは国連安保理がイスラエルに対する非難声明を決議しようとすると必ず拒否権を発動する。

イスラエルは、アメリカという世界一の大国の後ろ盾があるので、やりたい放題、人を殺し続けるのである。


◆あまりにもひどい。

イスラエルがレバノンでの無差別攻撃を繰り返し、無辜のレバノン人が大勢殺され、国連停戦監視要員まで殺している。

つまり、世界を敵に回したのである。

にもかかわらず、当然全会一致で採択されるべき非難声明は、アメリカの横槍で、決められなかった。



これに対してイランに対する米国の反応は異常に過敏である。イラク戦争が長引き、米国も2,000名以上の兵士が命を落とし、ブッシュ政権は史上最低の支持率となっている。

このため、ブッシュは、イランという新たな「外的の脅威」と「闘う」姿勢を示して、誤魔化そうとしている。

だが、イランはウランの濃縮を始めたばかりであり、すぐに核兵器を保有し、アメリカに向って発射するという状況にはほど遠い。

それでも、

◆記事:対イラン決議案 全会一致で安保理採択へ
 イランの核開発問題をめぐり、イランに8月末までのウラン濃縮関連活動停止を義務付けるよう要求、従わない場合は制裁を警告する決議案が31日の安全保障理事会で全会一致で採択される見通しとなった。イラン核問題での決議採択は初めてで安保理が結束を示すことにより、イランには大きな国際的圧力となる。さらに「制裁の外堀を埋めた」(国連外交筋)とされる対イラン決議は北朝鮮が事態を悪化させた場合の先例ともなりそうで、安保理の非難決議を拒否する北朝鮮に一定の影響を与えるとの指摘もある。(産経新聞) - 7月30日8時2分更新

全く、滑稽と言うほかにない。国連安全保障理事会常任理事国(アメリカ、イギリス、フランス、中国、ロシア)は全て核保有国である。

イランが核を保有するのがけしからん、というのなら、これら五カ国は何故、核を保有しても良いのか?

国連は第2次大戦の戦勝国を中心に作られたから、彼らの都合の良いように運営されることなど、私は承知している。

現実はそのとおりだが、「筋が通らない」ことには、変わりがない。


◆ユダヤ人もいい加減にしろ。

このように、とくにアラブ=イスラエル紛争に関しては、アメリカの支持を得ているイスラエルが、どう考えても正当化出来ない人殺しを、常に行っている。

周囲のアラブ諸国は、あまりにもイスラエルが凶暴で、それを米国が支持することを知っているので、公然と反旗を翻す事が出来なくなってしまった。

このような状態が永遠に続くとは思われない。



アメリカでは、イスラム系アメリカ人がシアトルのユダヤ人施設で銃を乱射し、6人の女性が死傷する事件が起きている。

ユダヤ人はもともと凶暴なわけではなく、学者、思想家、芸術家、実業家などほとんどありとあらゆる分野で歴史に名を残す優秀さを示している。

フロイト、マルクス、マーラー、メンデルスゾーン、アインシュタイン、バーンスタイン等々、挙げだしたらきりがない。

ユダヤ人自身、自らを「神に選ばれた民」などと言っているが、納得せざるを得ないほどである。

長い間、ユダヤ人が世界で虐められたのは、金儲けが上手いのと、あまりにも優秀であるが故ではないか(つまり、他民族からの嫉妬)、といわれているぐらいである。

しかし、今のユダヤ人国家としての「イスラエル」はひどすぎる。過去から現在に至る同胞の輝かしい業績を帳消しにしてしまう。


◆日本人は無関心すぎる。

日本人は北朝鮮のミサイル騒動が収まったら、世界のどこで誰が殺されようがどうでもよく、「ポスト小泉は誰か」ばかりが話題となるが、あまりにも無関心なのは、良くない。

北朝鮮のミサイル発射に関しては、「北朝鮮非難声明を安保理で決議してくれえ」と喚いたくせに、レバノンに関しては何も提言を行わない。

小泉首相は、先日中東へ行ったが、誰にも会って貰えず、イランへ行って、調停の真似事だけでもすればよいのに、何もしない。

どこかでラクダに乗って喜んでいただけである。



25日以降、朝日、毎日、日経が一度ずつこの問題を社説で取り上げている。読売は何と一度もレバノン問題を取り上げていない。

29日付毎日新聞社説「国連施設攻撃 米はイスラエル擁護を控えよ」が最も論理的であり、正しい。

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2006.07.29

「バッハとヴィヴァルディが同じ命日(7月28日)」だとは知らなかった。お薦めCD2枚。

◆年表を見ていると思いがけない偶然に気づくことがあります。

今年の2月4日の日記に、ハイフェッツとクライスラー(バイオリニスト)の誕生日が同じ2月2日、2月3日はメンデルスゾーンの誕生日、とは気が付かなかった。

という文章を書きました。

意外とこの類のことがあるものです。1年は365日又は366日しかないので、当たり前ではないかと言われれば其れまでですが、そういってしまうと実も蓋もない

(話が逸れます。先日の日本語講座の続きじゃないけど、こういう場合「実も蓋もない」というべきところで、

「元も子もない」という人がかなりいますが、意味が全然違います。)



昨日(7月28日)音楽年表を見ていて、たまたま気が付いたのですがバロックの巨匠2人、

ヨハン・セバスチャン・バッハ(J.S.バッハ:1685~1750)とアントニオ・ヴィヴァルディ(1678~1741)は、ほぼ同時代を生きた人で、

もちろんバッハはドイツでヴィヴァルディはイタリア(ヴェネツィア生まれですが、亡くなったのはウィーンなんだってさ。)の人ですが、

二人とも7月28日が命日なのでした。


◆作曲家のエネルギー。

バッハは享年65歳、ヴィヴァルディは享年63歳。当時としては長命ですね。

やはり生命力が強いのですね(夭逝した作曲家はどう説明するのだ?と訊かれると困るんだけどね)。

作曲なんてデスクワークで体力は関係ないと思ったら大間違いで、人類史上(というと大げさですが)、

パソコンで楽譜を入力できるようになったのは、言うまでもなく、「つい、さっき」であって、

歴史に名を残す偉大な作品は、作曲家が、全部一音一音、五線譜を音符と休符、その他の記号で埋めていったのです。

楽譜を売っている店に行く機会があって、オーケストラ・スコア(ポケットスコアと呼ばれるB6版のものです)のコーナーがあったら、

ちょっと見てみると分かりますが、バッハやヴィヴァルディの頃の「オーケストラ」は、

後年の、例えば、ベルリオーズ、マーラー、ブルックナーの時代から見れば、実に「小さい」(楽器の種類、パート(声部)の数が少ない)のです。

それでもあれだけの音符その他を一つずつ書くのは大変ですよ。嘘だと思ったら、何でもいいからスコアを買って、一ページ書き写してみると良いです。

どんなに大変か良く分かります。

その上に、バッハは生涯で千曲以上書いているんです。

カンタータなんてのは、ライプツィッヒの宮廷楽長時代、毎週日曜日に礼拝があって、その度に新しい曲を書いていたんですから、すさまじい。200曲以上書いているのです。



また、これは音楽とは関係ありませんが、バッハは生涯で二人の妻との間に何と20人の子どもを作りました。

そのうち13人は早くに亡くなりました。

13人の子どもの死を看取ってなおかつずーっと作曲していた精神力(?)も常人ではない。



ヴィヴァルディは何と言っても協奏曲ですけど、500曲から600曲も書いている(あまりにも有名な「四季」はその中の一作品です)。

その他に協奏曲ほどではないけど、オペラも50曲近く、その他に色々な楽器(自分がバイオリン弾きですからバイオリンが多いですけど、

チェロとか、フルートとリュート(大雑把に言うとギターの前身みたいなもんです)の為のソナタが70曲、その他諸々。

ヴィヴァルディは喘息の持病があったというけど、それでもとにかく書いてしまうのですから、結局生命力がすごいんですよ。


◆お薦めCD1枚目

ウンチクを傾け出すとキリがないので、本題に入ります。

バッハですけど、先日バイオリン協奏曲をお薦めしたばかりなので、私としては珍しく合唱とオーケストラの曲「カンタータ」

(毎週一曲書いていたんです。それが200曲以上もあるのです)の中で最も有名な、つまり、美しいので有名な、

「主よ、人の望みの喜びよ」と、その他の作曲家の曲も含むCDをお薦めします。

これは、ナクソスだから何と1,000円しませんが、疲れたときに非常に慰められます。



細かい話で恐縮ですが、「主よ、人の望みの喜びよ」(←これ、文字で見ると簡単ですけど、声に出すと言いにくいですよ。

10回続けて言えたら、アナウンサーの素質があるかも知れません)は、カンタータ147番という全部で10曲から構成される一作品の中の一曲なんです。

くどいようですが、バッハはそういうのを毎週一曲のペースで書いていたのです。



「主よ、人の望みの喜びよ」はあまりにも美しいので、ピアノ曲やオーケストラ曲などいろいろな形態に編曲されていますが、

やっぱりね。コーラスが入った原曲が一番いいです。


◆お薦めCD2枚目

ヴィヴァルディにいきます。ヴィヴァルディと言えば「四季」ですね。

CDが発明されてからは、やたら大編成でダイナミックレンジ(ピアニッシモからフォルティッシモまでの音量の幅です)が広い、

マーラー、ブルックナーなどが好んで聴かれるようになりました。

それがCDの特徴の一つでアナログ・レコードの時代は、弱い音に合わせると強い音が割れる。

強い音に合わせると、弱い音が不明瞭になるという難しさが録音する人にも、再生装置を作る人にもあったのですね。



しかし、CDが出来る前は、日本人が買うクラシック(正確にはバロックです)レコードで毎年売上げ一位は、ずーっと「ヴィヴァルディの『四季』」だったのです。

でもねー。「四季」はですねー。わたしゃ、ちょっとこれは、耳にタコが出来たので、今回はパスします。



ヴィヴァルディは外にも色々な楽器(四季はバイオリン協奏曲です)、チェロ、リコーダー、ファゴット、オーボエなどの為にも協奏曲を書いています。

今回聴いていただきたいのは、このCDです。特に最初の「二つのトランペットの為の協奏曲」です。

ピアノなどの人に聴かせると、2つのソロ・トランペットパートを「こんなの、簡単じゃない?」というんですけどね。

あのね。違うの。

この当時のトランペットには、今の楽器のように3本のバルブはついていなかったのです。

単なる、真鍮で出来た「管」にマウスピース(吹き口)を付けただけ。自然倍音を利用して、息のスピードの調整だけで音程をコントロールしていたのです。

その意味では、現在の「進化した」ラッパを吹くより遙かに難しい。



バッハの「ブランデンブルク協奏曲第2番」でもトランペットが活躍しますけど、あれなんか、今のラッパでも難しい。

細かい装飾音とか、トリルが沢山出てくる。それを息と口だけでやっていたのです。

ヴィヴァルディもバッハもそういう曲を書いたのは、「それを吹けるトランペット奏者がいた」ことを前提としているわけです。

天才的な名人がいたのでしょう。



さて、ラッパの話が長くなりましたが、その他、このCDには、オーボエ、チェロ、ヴァイオリン、そしてマンドリン協奏曲が入っているのです。

私は、大変失礼ながら、「マンドリン」というと「古賀政男メロディー」なんかを常にトレモロで弾く「あの楽器」という先入観、

はっきり言って偏見をもっていましたが、ヴィヴァルディの曲を聴いてからは、マンドリンを見直しました。

バイオリン協奏曲には、バイオリンを習うと必ず弾く(鈴木メソッドだと第4巻でしたっけ?ついに、第一ポジションから離れて、第3ポジションから弾き初め、初めてのポジション・シフト!)、

イ短調の曲が入っています。これ、好きなんですよ。何だか懐かしい感じがする。

音楽はそういうものだと思います。

N響の鶴我さんだって、エルマン(という昔のバイオリニスト)の「ユーモレスク」を聴くとホッとする、などと書いておられる。

好きなものは好きなのですよね。

これもナクソスだから、1,000円しない。お薦めです。

これらのCDを聴くと、ベルリンフィル、ウィーンフィルばかりがオーケストラではないし、有名ではなくても上手い演奏家がいる、

ということが良く分かります。当たり前なんですけどね。それも収穫でした。

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2006.07.28

「自民総裁選、安倍氏が大幅リード…読売調査」←競馬予想じゃないのだ。各候補者の政策・思想を正確に報道せよ。

◆記事:自民総裁選、安倍氏が大幅リード…読売国会議員調査(読売新聞) - 7月28日3時4分更新

9月20日開票の自民党総裁選について読売新聞社が同党国会議員を対象に調査した結果、安倍官房長官(51)への支持が大勢を占めていることが分かった。

読売新聞社の取材や6月の自民党員調査結果を加味すると、谷垣財務相(61)や麻生外相(65)の逆転は極めて難しく、

安倍氏の大幅なリードは動かない情勢だ。

27日には、谷垣氏が正式に立候補を表明する一方、安倍氏も政府の再チャレンジ推進会議の活動の一環として全国行脚を開始するなど、選挙戦が本格化した。

国会議員調査は、自民党所属国会議員403人を対象に7月中旬から27日にかけて実施し、310人が回答した。

総裁選で支持する候補については83人が具体名を挙げ、安倍氏支持が38人で最も多く、谷垣氏が11人、麻生氏が10人で続いた。

安倍氏を支持する議員は森派の24人のほか、森派以外にも14人おり、支持が派閥横断的に広がっている。

谷垣、麻生両氏は自派を固めているが、他派には浸透していない。


◆コメント:誰が「リード」しているかは、問題ではない。

ブンヤ(新聞屋=マスコミ)はまだ分からないのか。総裁選レースなどといい、結局、誰が勝つか、という予想ばかりしている。しかし、それは問題の本質ではない。

誰がどのような政治思想を持ち、それぞれの候補が首相になった場合、何が変るのか。変らないのか、を伝えるのが、今の日本のマスコミの仕事で最も大切なことだ。


◆昨年の衆議院選挙では「刺客動向」ばかり面白おかしく映し、政策に触れなかったマスコミの無能。

昨夏、8月11日、小泉首相が衆議院を解散してから、前代未聞の「郵政民営化選挙」の投票日、9月11日まで、

小泉首相は郵政民営化に反対した議員を公認せず、対立候補を立てて落選させようと試み、事実多くは、落選した。

このときの対立候補をマスコミはおもしろがって「刺客」と呼び、広島では亀井静香に対抗するホリエモンとか、

静岡の片山さつきなどの選挙戦の映像ばかり流した。本当はそんなことはどうでも良いことだった。



小泉首相はあのとき「郵政民営化の是非だけが問われる選挙なんです」と百万回も繰り返していたが、国政選挙である限り、そんなことは許されない。

内政・外交・安全保障などあらゆる事に関して、各党が何を主張しているのか。

税金はどうするのか?年金保険料はどうするのか。医療制度改革とは具体的に何をするつもりなのか。憲法改正とか言っているのは、本気なのか。

郵政民営化にしても、本当に必要なのか、民営化されたら何がどのように変化するのか。



このようなことを、詳細に調べ、各党に質問し、有権者に分かりやすく伝えるのが、選挙におけるマスコミの重大な使命なのだ。

ところが、あのとき、どのメディア(特にテレビ)も、「刺客のうごき」ばかりを伝え、肝腎の政策に関して、有権者に殆ど何も伝えなかった。

有権者はものの見事に騙された。

選挙で圧倒的な議席を確保した与党は、サラリーマンに対しては定率減税の廃止(つまり増税)を決め、

障害者自立援助法と、聞こえは良いが実際は月収が10万円に満たない障害者からカネをむしり取る、ひどい法律が出来た。


◆繰り返す。今度こそ、「誰が首相になったら、何がどうなるのか」を報道せよ。

私は、いま、後付けでマスコミ批判をしているのではない。それは、選挙期間中の日記、2005年08月16日(火) 郵政民営化の是非を問う選挙なんて、バカな選挙があるか。とか、

2005年08月17日(水) 何が「刺客」だ。選挙戦の本質は政策論争だろう。真面目にやれ。小泉。マスコミ。

そして2005年09月07日(水) 【衆院選】自民党が勝利すると、こういうことが起きる。

などをご覧になると、わかる。

今回は国政選挙ではなく、自民党員しか投票できないが、今一度強調する。

「誰が(「総裁選レース」で)リードしているか」ではなく、各候補者は、首相になったら日本をどうしようとしているのか、が問題なのだ。

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2006.07.27

「上下意識薄い?上司に「ご苦労様」…文化庁国語調査」←日本語は大人になってからも勉強しないとダメですね。

◆記事:上下意識薄い?上司に「ご苦労様」…文化庁国語調査

仕事を終えた後、一緒に働いていた相手にかける言葉を尋ねたところ、マナー本などでは上司に使う言葉と教えている「お疲れさま(でした)」を、

部下にも使っている人が半数以上もいることが26日、文化庁の「国語に関する世論調査」で分かった。

部下には「ご苦労さま(でした)」とねぎらうのが一般的とされるが、調査では“ご苦労さま派”は36・1%にとどまった。

文化庁は調査結果を、敬語の使い方に関する指針づくりを進めている文化審議会国語分科会に提出し、来年2月までに、指針を完成させる方針だ。

調査は今年2~3月、全国の16歳以上の男女3652人を対象に実施した。(読売新聞) - 7月26日23時42分更新


◆コメント:上下意識の問題ではなく、「国語力」の問題だ。

本題に入る前に指摘すると、この読売新聞の見出し自体も変な日本語だ。
「上下意識薄い?」

と、新聞の見出しで訊かれても困る。

一時期若者の間で流行った、肯定文で、当然文末が終止形になるべきところでも語尾を上げて、「~?」という話し方の名残りかも知れぬ。

無論、新聞記事の語法は字数制限のため、多少不自然にならざるを得ないことがある事ぐらい承知しているが、

新聞記者はプロの物書きなのだから、考えて書いていただきたい。

この記事なら、せめて「上下意識の希薄化か。」ぐらい思いつかないかな・・・。本当は「上下意識」という日本語も、変だ。

「上下関係の意識」と書くほうが適切ではないかと、思われる。

本題に入る。

読売新聞は、「ご苦労様」と「お疲れ様」の使い分けが出来ないのは、「目上、目下」の意識が希薄だから、と理由付けしたいようである。

それもあろうが、私には、国語力の低さの問題ではないかと思われる。


◆とにかく、覚える。

日本語は大変難しいが、母国語にしろ、外国語にしろ、習得する過程ではとりあえず理屈抜きに覚える外、仕方のないことが多い。

一例を挙げる。

同じような動作でも将棋は「指す」のに対して囲碁は「打つ」ものである。

この違いが何故生じたかを考えるのは、国語学的には興味深いが、仮に日本語習得中の外国人が、こういうときにいちいち「何故?」を繰り返していたら、

殆ど永久に日本語の運用能力は身につかない。とにかく、理屈は後回しにして覚えてしまうしかない。



これは、日本人が知らない単語や言葉遣いを覚えようとするときも同じ事である。

敬語には、丁寧語、尊敬語、謙譲語があり、この使い訳は比較的理屈で考えることが可能な領域だが、

それでも、目上には「お疲れ様でした」と言い、目下には「ご苦労様」を使う、という類のことは、やはりそのまま覚えるしかない。

本屋へ行けば敬語の本などいくらでも売っている。インターネットでは多分メルマガにあるだろうと思って検索してみたら、

ビジネスマンのわかりやすい!基礎敬語講座というメールマガジンを発行している方がいた。

正確かつ詳細で分かりやすい。「ビジネスマン」に限らず参考になると思う。例えば、

目上や顧客に対して、「分かりました」というのは正しく無い。それは対等の関係において使う言葉である。正しくは「かしこまりました」を用いる。

というようなことが、毎回一つずつ説明してある。

バックナンバーが全て公開されている。有難いもので、これを簡単にダウンロードすることができる。一般のダウンローダーでも可能だが、面倒なので、一つフリーソフトウェアを御紹介する。

「まぐまぐバックナンバー取得」というソフトである。リンクを貼るのは遠慮したいので、そのまま検索していただきたい。

すぐに見付かる。このソフトの使用方法は至って簡単で、「まぐまぐ」のマガジンIDを所定の位置に入力すると、

テキストファイルにして保存してくれる(又は、一通ずつ自分宛のメールにすることも出来るとのことだが、その機能は私は使ったことがない)。

但し、かなり大きめのテキストファイルになるから、メモ帳より機能が高いテキストエディタを使うことをお薦めする。

(余談であるが、私は昔から持っているQXを使っている)。


◆尊敬語と謙譲語

敬語の中でも尊敬と謙譲語の区別が出来ていないか、若しくは「知識がない」、場面を目撃することが最も多いように思う。

ほんの一例を挙げるならば、「ございます」は謙譲語だから、取引先に電話して

「山田部長でございますか?」は失礼である。

「山田部長でいらっしゃいますか?」が正しい。

もう一例だけ。

お客、又は目上が何を食べるか(飲むか)を訊ねるとき、

「何をいただきますか?」は同種の間違いである。

「頂く」は「食べる」「飲む」の謙譲語だから、相手に対して用いてはならない。

「何を召し上がりますか?」が正しい。



以前、フジテレビのクイズ番組で、フジテレビの(男も含む)アナウンサーに、「食べる」の謙譲語は何か、という問題を出したら、

誰も正しい答えを出せず、「召し上がる」と書いていたのには心底驚いた。

最もひどいのは、「謙譲語」という概念を知らない「アナウンサー」が、存在することである。

アナウンサーは、言うまでもなく、「日本語のプロ」であるべき職業だ。タレントではない。



昨日、TBSで故・逸見政孝氏の追悼番組を放送していた。逸見氏は、元来フジテレビアナウンサーだった。

逸見氏はものすごい努力家で、関西出身であるにもかかわらず、アナウンサーになるなら標準語を身につけるのは当たり前だとしても、

NHKの「アクセント辞典」を丸ごと一冊暗記した人である。

東京生まれ、東京育ちの人間よりも遙かに正確で美しい標準語を話していた。

経歴を聞かなければ、彼が関西出身であることは、東京生まれの人間ですら、誰も絶対に分からなかったと思われる。



逸見さんが生きていたら、今のフジテレビなど1人として「アナウンサーとして認めない」というに違いない。


◆敬語以外にも色々とある、間違えやすい日本語。

今ではかなり知られるようになったが、「とんでもない」を「とんでもございません」というのは、誤用である。

こういうことは辞書で覚えてゆくしかない。少しでも、不確かだと感じたら、その場で辞書を引く習慣が大切である。



広辞苑を引くと、語源的には確かに「とんでも+ない」なのだが、文法(語法)的には、

「とんでもな・い」となっていて(ハイフンは省略してある、ややこしくなるので。)、「とんでもな」までが語幹(活用しない部分)であることが分かる。

つまり「とんでもな」までは変化させてはいけないのである。

同様の文法を「汚い」に当てはめると良く分かる。「きたない」という形容詞も、「きたな・い」であり、

「きたな」までが語幹だから、「きたございません」とは言わない。同じ文法である。

従って「とんでもない」の謙譲表現は、「とんでもないことでございます」とするしか方法がない。

「敬語以外にも色々」と書いたのに、一つしか例を挙げられなかったが、キリがなく、今日は時間が無いので、ここまで。

また、いずれ書きたい。

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2006.07.26

<米国産牛肉>27日に、輸入を半年ぶりに解禁←日米いずれも、政治家ってのはひどい奴らだ。

◆記事1:<米国産牛肉>27日に、輸入を半年ぶりに解禁

政府は27日、1月20日から停止している米国産牛肉の輸入を半年ぶりに解禁する。

ただ、厚生労働省と農林水産省は、6月26日から今月21日まで米国の対日輸出認定施設35カ所の事前査察を実施し、

そのうちの1、2カ所で問題点が見つかったため、輸入再開の対象から除外することを含め対応を検討している。(毎日新聞) - 7月25日21時22分更新


◆記事2:米の食肉処理施設、一部に問題…日本調査団の査察結果

BSE(牛海綿状脳症)の特定危険部位が混入し米国産牛肉の輸入を再停止した問題で、

農林水産省と厚生労働省が米国に派遣した調査団の査察の結果、35か所の食肉処理施設の一部に問題があったことが24日、明らかになった。

厚労省幹部は「1、2施設に問題がある」としており、両省は問題施設について、日本向け食肉処理施設として承認するかどうか調整する。

6月21日の日米両政府の合意では、現地査察で不適合施設が発見された場合、「日米両政府が緊密に協議する」ことになっている。

ただ、マイク・ジョハンズ米農務長官は「(査察で)重要なのはシステム全体の判断であり、個別施設の選別ではない」として35施設の一括承認を求め、

日本側に対象施設を選択させない考えを示している。(読売新聞) - 7月24日21時25分更新


◆資料:変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の感染ルートの調査結果を踏まえた献血に係る対応について(厚労省 報道発表資料 平成17年3月7日)より抜粋。(http://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/03/h0307-5.html)

標記については、平成17年3月7日に開催された薬事・食品衛生審議会血液事業部会運営委員会において当面の暫定措置として以下の結論となった

1 クロイツフェルト・ヤコブ病等委員会の調査結果を受けた献血時の対応

(1)  vCJD患者の欧州滞在歴が1990年に英国24日、フランス3日という調査結果に基づき、2月4日の暫定的な措置(※)を次のように変更する案とし、安全技術調査会において専門家による検討を行う。

※ 1980年以降1ヶ月以上の英国滞在歴がある者の献血を制限した暫定措置


  1. 1996年までに英仏に1日以上滞在歴がある者の献血を制限する。(1997年以降はこれまでの6ヶ月以上の滞在歴の制限を継続)

  2. EU諸国(注)において、2005年1月以降の滞在者については献血における滞在歴の制限は行わないこととする。注:  2004年5月の拡大前の15カ国


(2) 本措置は安全技術調査会での検討後施行とするが、それまでの間、速やかに措置を実施できる体制を整備するよう、日本赤十字社に対して運営委員会の結果を速やかに伝達し、指導することとする。また、血液製剤の安定供給に関する調査を同時に行い、その影響を把握する。

(3)献血後に新措置に不適合な献血者が判明した場合に、ロット等の登録を行い、将来的な遡及に備える案として安全技術調査会において検討する。


◆コメント:日本人なんかどうなっても構わないアメリカと日本の政治家。

異常タンパク質プリオン(prion)によって発生する病気全体をプリオン病と総称し、これが牛に発症したものが、牛海綿状脳症(=BSE、Bovine Spongiform Encephalopathy)である。

人間に発生したプリオン病がクロイツフェルト・ヤコブ病で、特にBSEが人間に感染して発症するのが(完全に証明されたわけではないらしいが)、変異性クロイツフェルト・ヤコブ病である。



資料にあるとおり、厚生労働省は昨年3月7日付で、

「1980年~1996年までの期間、イギリスかフランスに一日でも滞在した者は、献血してはいけない」

という通達を出した。

つまり、この期間、英仏ではBSEに感染した牛の肉が普通に流通していたので、

一度でもこの肉を食べた者は、変異性クロイツフェルト・ヤコブ病に罹患している可能性がある(変異性クロイツフェルト・ヤコブ病の潜伏期間は10年)、ということだ。

変異性クロイツフェルト・ヤコブ病は現在治療法が無いので、この病気に感染している可能性がある該当者に献血をして貰っては困る、というのである。


◆そこまで厳密に献血を制限しながら、問題のある処理施設があるアメリカから牛肉輸入を再開するのは納得できない。

ただの一度でも、BSE感染牛肉を食ったら変異性クロイツフェルト・ヤコブ病に罹るかも知れない、と慎重を期している一方で、

アメリカを査察した調査団が「一部に問題のある食肉処理施設がある」と報告しているのに、

「その処理場で処理された牛肉は輸入しなければよい」と言って、平然と米国産牛肉の輸入を再開する日本政府の行為は明らかに矛楯している。

献血者制限の厳密さを基準にすれば、米国産牛肉の輸入が可能だと考えられる訳がない。



「一部の問題がある食肉処理施設で処理された肉は、輸入対象から外す」、と言葉でいうのは簡単だが、実際にはいくらでも偽装出来るだろう。

そもそも、食べ物については(食べ物だけではないと思うが)、アメリカ人と日本人では神経の細やかさが全然違う。

今年一月に、輸入再開僅か一ヶ月後に、肉眼で明らかなほどはっきりと特定危険部位(脊椎)が付着したままの牛肉を日本に送ってきた事実がある。

アメリカという国の食品に対する無神経を端的に示している。


◆日本政府には、日本国民に対する「殺人の未必の故意」があると言えるのではなかろうか?

「資料」と「記事」を読めば、日本とアメリカの政治家と役人は、


  1. アメリカのBSE感染牛肉が故意に、又は過失で日本に送られてくること。

  2. BSE感染牛肉を食べたらクロイツフェルト・ヤコブ病に罹る可能性が高いこと。

  3. クロイツフェルト・ヤコブ病になったら治療法はなく、死ぬしかないこと。


を認識しているにもかかわらず、輸入(言うまでもないが、アメリカ側から言えば輸出)を決定したことが明らかである。

つまり、結果的に変異性クロイツフェルト・ヤコブ病で死ぬ日本人が出る可能性を承知しているのだから、

日本政府には日本国民に対する殺人の「未必の故意」があるといっても決して過言ではない、と私は何度も書いているが、その考えは今も変らない。

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2006.07.25

「ドミニカ移民」にあれほど同情しながら、北朝鮮拉致被害者には無関心な、内閣総理大臣。

◆7月21日の総理会見「一日一小泉」における質疑応答。

記者:ドミニカ移民に対して今日、総理は談話を発表されましたが、談話にはどのような思いを込められたのでしょうか。

小泉:遠く離れた、移住地で大変な苦労をされた。しかも思っていたところとは違ってね。とても農業が出来るような土地ではなかったと。

そういう点で、政府としても、反省すべき点があると、大変ご苦労をかけたなという思いをね、率直に談話に込めたんです。

そしておかげさまで、50周年記念式典の中で、ドミニカ共和国ともこれから友好裡に発展していこうと、

そういう思いのうちに50周年の記念式典を行う運びになれてね、良かったと思っています。

記者:原告団には直接どのような言葉で謝罪の気持ちを伝えたのでしょうか?

小泉:ご苦労をかけた、と。皆さんの努力・苦労は我々の想像を超えるようなご苦労があったと思う。

これは私は、移住する方の努力とか苦労ってのは大変なんですね。

日本人がここまで国際社会の中で信頼されるというのは、移住者の方々の努力とか、海外に出ている企業のみなさんの努力多いんですね。

何故か?

日本人は真面目だと。約束を守ると。勤勉だと。現地の人より努力しているという、実際の活動があるんですよ。

だから日本人てのは信頼あるんですよ。これは海外旅行するとね、移住者だけじゃありません。企業の社員を見てもそうです。

現地の人から信頼されるというのは、もう、日常の行動を見ているのですよ。これは大きいですね。

他の国民とは違って、一目置かれているというのは、実際に日本を離れて、働いている人達の毎日毎日の行動が大きいと、痛感してます。

記者:移民問題に対する総理の思い入れの強さはどこから来るのでしょうか?

小泉:会ってみればわかりますよ。ひとたび国を離れて生活してみれば分かります。

気候も違う。言葉も違う。風習も違う。食べ物も違う。そこで一生を過ごそうと思って日本を離れるんですよ。苦労は並大抵のものではないです。

(文章化=テープ起こし by JIRO)

【為参考】一日一小泉


◆コメント:ドミニカ移民にこれほど、同情心を覚えるなら、北朝鮮拉致被害者にはどうして冷淡なのか。

ドミニカ移民に限らず、ブラジルにもメキシコにも、またハワイにも、国が与えた誤った情報に基づいて移住し、辛酸をなめたひとは大勢いる。

その中でドミニカ移民に対してのみ謝罪するのは、不公平ではないかと思う。



この日の記者会見では、小泉純一郎氏としては珍しく、記者の質問に対する答えが、きちんとしたセンテンスになっており

(フレーズ=句、ではないという意味)、発言内容も大筋では間違っていないのだが、気が付かないうちに、話の対象をすり替えている。



「海外へ移住する人の覚悟は並ではない」、のは正しいが、ドミニカ移民は、「本当の事を知っていれば、移住などせず、無駄な苦労をしなくて済んだと」いって、

日本政府に賠償を請求しているのだ。

「その苦労が並じゃなかったはずで、彼らの努力が海外の日本人の評価を高めることに貢献した」と云われても不本意であろう。



第一、ドミニカ移民は、現地では安い賃金で重労働を強いられて、疲弊しきったのである。

現地民が日本人を正しく評価していたら、それなりの経済的成功と社会的地位を獲得しているはずで、このような訴訟が起きるはずがない。



但し、同じく自らの意志で海外に移住して、幸い成功し、現地において相応の社会的評価を得たた日本人もいるのも事実だ。

小泉首相の言葉はこのような人々に対して向けられるべきである。

ドミニカ移民に対してはただ謝るしかない。


◆海外駐在員の努力に対する首相の評価は正しいが、それならもう少し気を配ってやれ。

企業の海外駐在員の苦労が日本の名を世界に知らしめたと言っても過言ではない。その意味で小泉首相の評価は正しい。

日本が世界第2位の経済大国と成り得たのは、勤勉な労働力、すぐれた科学技術、その応用としての製品開発力があったことと、

その商品を実際に外国に行って、日本人のことなど眼中に無かった、欧米人やアラブ人、

ときにはアフリカの内陸部、世界の何処へでも飛んでいった「商人」がいたからである。



この、主として昭和40年代の海外駐在員の様子を知るために、深田祐介氏の新西洋事情 を、

一度で良いから読んでみて下さい。



深田祐介氏は、昭和50年にこの本を発表したが、当時日本航空の事務方のサラリーマンだった(後に作家に転職する)。

仕事の合間、週末にせっせと書きためた本である。エッセイストに与えられる賞としてはかなり名誉な、大宅壮一賞を、

プロの物書きではなくて、サラリーマンが受賞したので有名になった。



深田氏自身、このような本を書くぐらいだから、当然海外駐在経験があり、ロンドンやら何カ所かの支店に勤務した。

そのときの自らの体験と、同時期に海外で苦労した商社マン、メーカーの海外営業の人。海外で日本食レストランを始めた人、

などの本当は「苦労話」なのだが、巧みなユーモアを交えて重苦しくならないように、軽妙な文章で読みやすく書かれた大変に面白い本である。

まだサラリーマンというものをやったことのない、学生さんが読んでも面白いだろう。

なお、新・西洋事情というタイトルは福沢諭吉が100年前に書いた「西洋事情」から来ている。

この本によって、「プロジェクトX」が放送される数十年前に、多くの日本人が「海外駐在員の苦労」を知ったのである。



お断りしておくが、私も海外駐在を経験したので、この本を褒めているのではない。自分が苦労したと言いたいのではない。

私は、この本が書かれた18年後の海外駐在員で、私が経験した程度のことは、昭和40年代の先輩諸氏に比べたら苦労のうちに入らない。

それでも、やはり、昔も今も共通する困難は確かにある。だから、この本を読むと泣けてくる。



前置きが長くなったが、小泉首相の言葉は正しいのだが、その割に日本国は日本の発展に尽力した海外勤務者に対して配慮がなさ過ぎると思う。

ロンドンのような大都会で、最盛期には日本人が4万人~5万人(家族を含む)も済んでいる場所ですら、

日本政府が派遣した医師はロンドンの北部と南部に一人ずついるだけで、街の開業医の域を出ない。

つまりすこしやっかいな病気になると現地の病院を紹介してくれるが、英語が苦手な奥さんに通訳がつくわけではない。

虫垂炎になったら、イギリス人に手術して貰うしかない。



歯医者は日本政府派遣の歯科医は皆無である。日本人の歯科医はいるが、保険などないから、馬鹿高い。

私は仕方なく、イギリスに帰化した中国人歯科医に診てもらった。

何処がどう痛むのか英語で説明するのですぞ!

何故中国人にしたかというと英国人歯科医はちょっと悪化した状態の歯をすぐに抜いてしまう、と言われていたからである。

手先の器用さはやはり東洋人が優る。幸い親切な医師で、何も問題は無かった。しかし、日本人歯科医がゼロってのは無いでしょう?

日本国内で歯科医はそれほど不足していましたっけ?



更にメンタルヘルスの問題である。

これは駐在員よりも、奥さんに問題が出る場合が多い。もちろん言葉が第一の原因となる。

私の家内は幸い人付き合いが好きで、主に日本人だったが知り合いが大勢出来た(英語は驚異的に下手なままだったが)し、

生来クヨクヨしない人間なので、ノイローゼの心配は無いだろうと思っていたが、その予想は的中した。



しかし、人間、十人十色である。

「人間に生まれたからには社交的でなければならない」という理屈はないだろう。

また、人には得手不得手がある。数学は得意だが、英語は苦手だという人がいて当たり前だ。

引っ込み思案で英語が全然話せないと、日本人とも英国人とも付き合わず、

買い物に行ってもちょっとした会話が出来ないのを必要以上に苦にして、次第に抑うつ状態になる奥さんは、かなりの数に上る。



また、日本人が多数居住する地域に住むと、独特の「奥さんコミュニティ」が出来る。

あまり説明は要らないと思うが、女性の人間関係はなかなか難しい。はっきり言ってネチネチと嫌らしくなりがちだ。

ときにはイジメに遭う人も出る。こうなると最悪で、毎日異国の地で家の中で泣いている。

幼い子どもがいると育児ノイローゼが重なって、一層危険な状態となる。

これは、極秘とされていたが、1996年~1997年にかけて、日本人駐在員の奥さんが立て続けに自殺し、

日本式棺桶の供給が間に合わなくなるほどだったことがある。

企業はこういうことをひた隠しにするから日本で話題になることは絶対に無かったはずだ。



在外公館(英国なら英国大使館、領事館など)は、そういう情報を知っているくせに見て見ぬふりをする。

日本人がいる全ての外国には無理だと思うが、可能な限り精神科医とカウンセラーを常駐させるべきである。



長くなるが、あと二つだけ。



一つ目。日本政府は、海外駐在員の奮闘が日本の発展に寄与したと思うのなら、

彼らの子女が帰国したときの受け皿(帰国子女用のクラス、又は学校)を増やすべきだ。

これは、運の善し悪しがあり、日本語が中途半端な年齢で英語圏に住み、しかし、英語がネイティブ並になるとは限らず、

その状態で帰国内示が出ると、日本語も英語も中途半端で、他の勉強も正確な知識が身についていない、という悲惨なことになるのである。

こうした子どもには、専門家による教育が必要だが、公的な施設で「帰国子女」を対象とした学校は無い。



最後の一つ。小泉首相はドミニカ移民にひどく同情的である。

確かに気の毒だが、彼らは少なくとも移住を自由意思に基づいて選択し、日本に帰ってくることも出来た。

ドミニカ移民に苦労をかけたと謝罪するのなら、全く自分の意思に反して北朝鮮に拉致され、帰国もままならない横田めぐみさんたちに関して、

小泉首相はどうしてあれほど無関心なのだろうか。ドミニカ移民以上に理不尽な苦労をしているのは拉致被害者だ。

一体、あの人の頭の中はどうなっているのだろうか?

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2006.07.24

「九州大雨、宮崎・えびの市などで1200ミリ超える」 豪雨が続く原因

◆記事:九州大雨、宮崎・えびの市などで1200ミリ超える

活発な梅雨前線の影響で記録的な大雨に見舞われた九州南部は、23日も鹿児島、熊本県などで激しい雨が降り続き、

土砂や濁流にさらされた街では懸命な捜索や復旧作業が続いた。

23日午後9時現在、建物の全半壊は九州各地で69棟、避難指示・勧告は鹿児島、熊本両県で1万6500世帯3万8699人に出されている。



福岡管区気象台によると、18日午前0時の降り始めから23日午後3時までの総雨量は、宮崎県えびの市で1264ミリを記録して、

平年の7月ひと月分(827ミリ)を上回ったほか、鹿児島県さつま町で1237ミリ、熊本県球磨村で900ミリに達した。

4人が死亡した鹿児島県では、さつま町の川内(せんだい)川に流され行方不明になっている同町柏原の会社員鉢迫義治さん(76)の捜索が続けられたが、依然、見つかっていない。

(読売新聞) - 7月23日23時44分更新


◆コメント:「活発な梅雨前線の影響で」とだけ云われても、分からない。

天気予報というのは、皆、結論だけ聴いていて、「前線の影響でとか」いう前説は殆ど誰も聞いていない。

無論気象学の専門家や学生、素人でも気象学に興味がある人は分かるだろうが、たいていの人はそんなことは知らないのだから、

天気予報に割く時間を長くするなりして、いくら何でも基本的なことから説明した方が良いと思う。

「理屈なんかどうでも良い」という人の方が多いだろうが、

「長雨の原因を科学的に説明して欲しい。状況が分かった方が安心だ」、という人もいるのだ。


◆前線とはなにか。

前線とは冷たい空気と暖かい空気の境目である。

空気は云うまでもなく気体だから、接している部分は実際には上空で面を成している。これが前線面である。

前線面が地上に接するところが「前線」である。



冷たい空気と暖かい空気がぶつかった場合、暖かい空気が冷たい空気よりも比重が軽く上昇気流を生ずるので上空で雲となり、雨を降らせるわけである。

南から北上する暖かい空気の勢いの方が強いと、次第に前線は北上してゆく。これが温暖前線。

逆に北から南下してくる冷たい空気の勢いが強い場合、暖かい空気が冷たい空気の上に乗り上げる格好となり、

したの冷たい空気に冷やされた、上の暖かい空気は、水蒸気が飽和状態となり、雨が降る。

これが寒冷前線だが、比較的短時間で雨は上がる。



そして、今、大雨を降らせている前線はここ1週間ほど殆ど動かず、東西にのびている。

これは暖かい空気と冷たい空気が接してはいるものの、どちらの勢いもほぼ同じで動けない状態である。

一般的にはこれを「停滞前線」と呼ぶが、梅雨明け間際にはこのような停滞前線が出来ることは普通である。

それでこの季節の停滞前線を「梅雨前線」という。繰り返すが梅雨前線は停滞前線の一種である。


◆梅雨期には、寒気の南下に伴い、前線で対流が激化し、次から次へ雲を形成し雨を降らせる。

この時期は、下層(地面に近い低い空)に高温多湿の空気があり、一方、上層にはオホーツク海で冷やされた空気が降りてくる。

下に暖かい空気があり、上に冷たい空気が乗っかるので、自然、前線面では対流

(暖かい流体が上昇し、したに冷たい流体が流れ込む。昔風の風呂を沸かして、上が暖かいからといって入ったら、下はまだ水だった、という奴ですよ)が起きる。

即ち、湿った生暖かい空気が上空で冷やされ、雲となり雨を降らせる。



今、日本上空の寒気はマイナス12℃ぐらいだが、東経120度、北緯50度付近にはマイナス21度の猛烈に冷たい寒気団がある。

これが南下してくると、前線面で対流性の雲が更に次から次へと発生するおそれがある。

天気予報や気象情報で、依然として警戒が必要だと注意を促しているのは、このためであると考えられる。


◆どうして異常なのか。

今年ばかりではなく、ここ4,5年、世界的に異常気象が多見される。

今もヨーロッパは凄い熱波に襲われ、すでに30人以上が死亡している。

ニューヨークも暑さのあまり電力の使いすぎで停電して、一時地獄のような暑さに耐えねばならなかったという。



全てが地球温暖化が原因というわけではないだろうが、地球温暖化がなにがしかの影響を気候に与えていることはほぼ明らかである、

と気象庁の専門家が異常気象レポート 2005 で公式に述べているのは事実である。



また、この日記では、過去、100回ぐらい(大げさですね)紹介したが、

毎日、この日記を初めて読んで下さる方がおられるので、今一度書いておく。

国連環境計画という気象学などの専門家が1999年に発表した、地球環境概況2000は、次のように警告している。

温室効果ガスの排出量増加により、地球温暖化を防止するのはおそらく手遅れであり、更に、京都議定書において合意された多くの目標は達成されないかもしれない。

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2006.07.23

マスコミは良い話(ニュース)をもう少し強調しては如何ですか?

◆コメント:悪い出来事ばかり伝えられるが、良い出来事も起きている。

5月にジャワ島を大地震が襲ったとき、私は、「ジャワ島地震、日本企業の支援続く。」マスコミは世の中の「善行」もきちんと伝えるべきだ。

と書いたが、世の中は相変わらず悪い話ばかりである---と言いたくなるが、これは、相変わらず、マスメディアの影響が大きい。

「悪いニュースばかり報道される」ことは、必ずしも「世の中で悪いことだけが起きている」ことを意味するものではない。

我々は、毎日全国、全世界を自分の目で見て歩くわけに行かないので、その変わりにマスメディアが発達したわけであるが、

彼らが世の中の何を伝えて何を伝えないかは、彼らの好きなように決めることが出来る。



はっきり言って、彼らに見識と呼べるほどの思想はなく、ニュースの「ネタ」を決定するときに考えるのはテレビならば視聴率。新聞なら部数である。

前回も書いたし、嫌なことを云うようだが、人間は他人の幸福よりも不幸を喜ぶので、悪い話が良い話よりも視聴率を取れる。従って優先的に伝えられるのだ。

そこで、私は、テレビなどが大きく取り上げなかった、「良い話」を拾っておいた。


◆記事1:振り込め詐欺:被害女性が被告に“激励”の絵手紙

振り込め詐欺の被害に遭った女性(75)が、自分をだました男性被告(26)の公判中、被告を激励する絵手紙を送った。

「お金は簡単には手に入りません。あなたは若いから『働ける』のです。感謝を忘れず一日一日努力して幸せをつかんでください」。

被告は21日、東京地裁で懲役4年10月の実刑(求刑・懲役8年)を言い渡された。

「つらい時、苦しい時にはこの手紙を見て頑張っていきたい」と話しているという。



被告は知人の男(26)=1審で懲役6年10月=に誘われて、警察官や弁護士になりすまし、

架空のわいせつ事件の示談金名目で、複数の被害者から計1300万円をだまし取った。

女性は被害者の一人で、200万円をだまし取られた。

女性は事件後、一部返金を受けて示談に応じ、被告に手紙1通と絵手紙4通を送った。

そこには、被告の更生を願う激励の言葉が並んでいた。

「台風には柿も振り落とされます。それでも、くじけず、まじめに働けば、いつかは立派な柿となると思って仕事をしているのです」。

手紙の裏には、まだ熟していない柿が水彩画で描かれ、「私の選んだ柿、しっかり大玉になって」と添えられていた。

玩具の「ダルマ落とし」が崩れかかった絵手紙には「あなたにもよい所があるはずです。夢に向かって努力する人は輝いていますよ。人間は一生勉強ですね」とあった。



1人暮らしの女性には、かつて弁護士を目指しながら、病気で33歳のとき亡くなった息子がいた。

「この被告を弁護する仕事をしていたかもしれない」。そう思い、手紙を出したという。

公判中の法廷で女性の手紙が読み上げられると、被告は涙をこぼし、「宝物にして頑張っていきたい」と誓っていた。


◆コメント:このニュースを読んで、どう感じるか、によりその人の人柄が試される。

今も、このような「聖人」が日本にいると思うと、ホッとする。

昨今の世の中は、「他人を騙す人間」より、「騙される人間」がまず悪いのだ、という風潮があるが、それは違う。

騙す人間がまず悪いのに決まっている。

自分を騙してカネを奪った若造に励ましの言葉をかけたこのご婦人を、どう思いますか?

「なんというお人好しなんだ。バカではないか」と思うか。

或いは、「何と心の優しい人なんだ」と感じるか。

読み手の人格が試される。


◆記事2:アーチェリーの山本、日本初の世界ランク1位に

全日本アーチェリー連盟は20日、アテネ五輪銀メダルの山本博(43)(日体大教)が国際連盟が認定する世界ランキングで

男女を通じて日本人選手で初めて1位になったと発表した。

山本は「安定した成績が求められるランキングの1位は難しかったので、驚きとともに本当にうれしかった。

世界ナンバーワンを目指してきたので、すごく誇りが持てる。それに見合う行動をし、これを励みに今後も頑張りたい」と喜びを語った。

山本は準優勝した6月のワールドカップ(W杯)トルコ大会後、国際連盟発表の世界ランキングで1位に輝いた。

山本は「アテネ五輪と今回のW杯の活躍が大きかった」と振り返り、2大会連続のメダル獲得を狙う北京五輪に向けて

「今の時期からパワーアップすることが必要で、今回の1位で、より気持ちの面で力が入る」。

若い選手に向けても「日本人で1位を取れたことを励みにしてほしい」と話した。(読売新聞) - 7月21日1時8分更新


◆コメント:金メダルじゃないと褒め称えないのか?

日本人が熱しやすく冷めやすいのは今更言うまでもないが、アテネ五輪のアーチェリーで42歳にして銀メダルを手にした山本博選手を覚えているだろうか?

1962年生まれ。1984年、初めて出場したロサンゼルス大会で銅メダルを獲得したが、その後、なかなか思うようにいかず、

アテネの前のシドニーでは日本代表に選ばれないどん底に落ちた。

そこから復活し、銅メダルから20年後、アテネで銀と獲得した人である。



アテネオリンピックの直前に出版された、五輪の身体という本がある。

「声に出して読みたい日本語」で一躍有名になった教育学の齋藤孝氏が、アテネに出る室伏(ハンマー投げ)、塚原(体操)、野村(柔道)らにインタビューした本で、

偶然だがこの本に登場する選手がアテネで皆メダルを手にしている。それぞれの苦労や、意外な面が分かって面白い。

この本に山本選手が出ている。山本氏ははテレビでは何となくノーテンキな印象を受けるが、人間、それほど単純ではない。



シドニーの代表選考に落ちたときのショックは、ものすごかったという。

どれぐらいものすごいかというと、発表があった翌日、いつもと同じように練習しようとしたのだが、

なんと、どうしてもアーチェリーの弓を持ち上げられないのだという。構えることが出来ないのである。

精神的なショックが人間の身体にそこまで影響を与えるとは思わなかったと、ご本人が言っている。



そこから立ち直って、アテネでは代表に選ばれるところまで回復し、回復どころかメダルを取った根性は正に尊敬に値する。

今回なんと世界ランキング一位となった。

日本のスポーツ選手で初めて世界ランキング一位になったのは、44歳のオッサンだった。素晴らしい。

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2006.07.22

お薦めCD。今日は4枚一度に書きます。

◆大抵1枚か2枚に絞るのですが。

先日、ナクソス・ミュージックライブラリーという、クラシック音楽専門、

しかもダウンロードしない(違法な手段を用いなければ、です)ストリーミングだけの音楽配信サービスが大変良いという話を書きました。

何しろ、一ヶ月1900円で、どれだけ聴いても構わないのですから、これからとりあえずクラシック名曲に親しむという方も、

普通のは大抵聴いてしまって、誰も知らないような作曲家や有名ではないが、すぐれた才能を持った演奏家を見つけたいという方、どちらの方も便利です。

CDを買うとなると、聴いたことのない作曲家や演奏家のものは敬遠しがちになります。

このサービスはそういうのをいくら聴いても良いわけで、つまらなかったら止めればよいのですから、宝の山です。



今日は、現在世界的に最も注目されている1人で、凄い才能を持つ若手バイオリニスト。

ナクソス・ミュージックライブラリーで見つけた、先日のトロンボーンよりももっと珍しいテューバ(最低音域を担当する金管楽器。馬鹿でかいラッパ)の天才。

それから、すでに有名ですが、とてもユニークなバイオリニスト。

音だけ聴くと女性とは思えず、かつ驚異的なテクニックを持つトランペット奏者。を紹介します。全てCDでも買えますので、ご心配なく。


◆バッハ:バイオリン協奏曲集(ヒラリー・ハーン)

ヒラリー・ハーンは今ではすっかり有名になったアメリカの女性バイオリニストです。

昨年も今年も日本に来ました。昨年はN響のソリストとしてプロコフィエフのバイオリン協奏曲を演奏しました。

プロコフィエフのピアノやバイオリンの協奏曲は素人が聴いても明らかに高度な技術を要求されていて、プロのソリストなら当然の如く弾けなければならないし、

技術の向上には役立つでしょうが、これはあくまでも私個人の趣味ですが、聴いていてもあまり面白くない。で、バッハにしました。



ヒラリー・ハーンは約10年前にCDデビューしたのですが、それが何とバイオリニストのバイブルみたいな曲なのです。

バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ(全部じゃないです)。

こういうのは、プロになるような人は、若いときでも弾けるのですが、あまりにも「音楽の粋」みたいな作品なので、人前で弾くと、才能というか音楽性が一遍でばれてしまう。

ところが、くどいですけど、ヒラリー・ハーンはいきなり、17歳で無伴奏パルティータ第2番&第3番、ソナタ第3番でデビューしたもので、

みんなひっくり返ったのです。特にパルティータ2番の「シャコンヌ」は、西洋文化2000年の最高傑作の一つ、なんて云われるほどの作品です。

弾くにはそれ相応の覚悟が要ると思われます。ということは、ハーンは、それだけ、才能と自信があったのでしょう。

ですが、お薦めするには、無伴奏はちょっと重いのです。

最初はバッハのバイオリン協奏曲が良いとおもいます。

協奏曲第1番は、颯爽、かつ毅然として、背筋がピンと伸びるような音楽です。

第2番は暖かくて上品(一番が下品ってわけじゃないよ)。

そして、「二つのバイオリンの為の協奏曲」があります。

実は私はこれが一番好きなんですが、2人のソロバイオリンの掛け合い、難しい言葉だと対位法というのでしょうか。

二本のバイオリンが違う旋律を奏でながらも実に上手く絡み合うのです。

ソロが奏でるメロディーの初め、音の跳躍がとても印象的です。


◆ヴァイオリン名曲ア・ラ・カルト ギトリス(イブリー)

月並みな表現しか出来なくて残念ですが、「個性的」という言葉はギトリス先生の為にあるのではないか、と言うぐらい独特の、誤解を恐れずに言えば「癖のある」演奏です。

それは奇を衒っているのではなくて、ギトリス氏にとって自然な演奏なのでしょう。

慣れるとやみつきになります。ヴァイオリン名曲ア・ラ・カルトです。

楽しい曲ばかりです。この中で簡単にギトリス先生の「個性」が分かるのは「金婚式」だと思います。

この曲は、プロの演奏家はもちろん、弾くだけならアマチュアでも弾ける曲ですけど、こんな簡単な曲ですら、独自の感性で演奏している。

気をつけて聴くとすぐ分かりますが、最初から終わりまで常にテンポが変化するのです。

普通の4拍子なのですが、一拍といえども同じ長さにならない。伸び縮みするんです。

でも、聴いていてとても心地よい。却って自然に聞こえます。こうなると、一定のテンポで弾く方がむしろ不自然なのかも知れないと思います。

音も美しい。バイオリンの魅力を一枚で知りたいと言ったら、これです。


◆気を確かに持って聴かないと気絶します。「テューバ・カーニバル」エイスティン・ボーズウィック (Oystein Baadsvik)

お薦めするのは、Tuba Carnival です。

先日はトロンボーンで「熊ん蜂の飛行」を吹く男。を御紹介しました。

プロのクラリネット奏者の方から、トロンボーン奏者の世界では、リンドベルイというトロンボーン奏者は、「変態だ」(無論、これは敬意を込めた表現なのです)と言われている、と教えていただきました。

そうなると、このボーズウィックというテューバ奏者は「異常者」ぐらいで丁度良いのではないかと思います。

トランペットからテューバまで金管楽器の勉強にはアーバンという人が書いた教則本を使いますが、

そのアーバンが書いたベニスの謝肉祭変奏曲という、とても難しい、目の回りそうな早いパッセージを吹きまくる難曲があります。

比較的小回りが利くトランペットですら、誰でも吹けると言うわけではありません。それを、何と、チューバで吹きこなしている。

実はこの人が初めてじゃないのです。「ベニスの謝肉祭」をテューバで吹くのは。

この人のすごいのは、まだテクニックに余裕があるのです。

テクニックギリギリの限界で演奏すると、如何にもしんどそう、無理してるな、と分かるものですが、そうじゃないのです。音楽的なのです。

でかいラッパだからと言って大きな音を不必要に出すことを絶対にしない。だからお薦めするんです。

更に一言付け加えるなら、最初に録れてある、ヴィヴァルディの四季から「冬」。

四季ってのはバイオリン協奏曲ですが、そのバイオリンパートをテューバで正確に吹いているのですね。一体どういう人なんだ・・・。


◆この女性がプロのトランペット奏者だと想像できる人は地球上にいないと思います。

さて、最後は、トランペットです。最近は上手い人がどんどん出てくるけど、女性でここまで上手い人を私は知りません。

Scmzzzzzzz

この人の写真だけ見て、ラッパ吹きだと分かる人はいないと思うのですが、演奏を聴くと、男とか女とか関係ない。

Bach: Works for Trumpet。Alison Balsom(アリソン・バルサム)という人です。

完璧なテクニック。トランペットでバッハの無伴奏バイオリンソナタ、パルティータの一部を吹いてしまった凄腕です。

この他、このCDにはマルチェルロのオーボエ協奏曲で「ベニスの愛」という映画で使われたことで有名な曲も録れてあります。



いま、発見したのですが、オリコンで試聴、ダウンロード出来ます。

CDより当然ながら安い。Windows Media Playerがあれば聴けます。

オリコンというのは、昔は歌謡曲のヒットチャートを出す会社だったのですが(今もやっていますが)、クラシックのダウンロード配信までしているとは知らなかった。

しかもこんなマニアックな録音を配信しているとは。ちょっと、驚きました。

今日は、全く統一性がないのですが、一枚ずつ御紹介していくのがじれったいので、まとめて書きました。

ご了承下さい。

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2006.07.21

内閣総理大臣の靖国神社参拝に関する一考察。

◆陛下(昭和天皇)のスクープで、すったもんだの大騒ぎだが、それはさておき陛下について私が覚えていること。

日経のスクープで大騒ぎである。靖国問題はひとまず、脇によけて、私が知っている、または覚えている昭和天皇に関する話をすこし書きたい。


若い人は、昭和の天皇陛下があまり記憶に残っていないかも知れない。

昭和30年代から40年代に生まれた人まではそれぞれ程度の差こそあれ、かなり鮮明に陛下の映像を記憶しているのではないか。

昭和天皇は、誤解を恐れずに言うならば、明らかに一般人と一線を画すやんごとなきお方だった。

いつもは、何だかいつも眠そうで、一体何を何処まで分かっておられるのかと、子供心に思ったが、

大人になってからいろいろな本を読むと、政治・経済をはじめ、非常に世情に通じておられたことがわかった。

それを知りたければ、毎日新聞の元編集委員、岩見隆夫氏の陛下の御質問を読むことをお薦めする。


◆天皇陛下が凍っちゃった、札幌オリンピック。

他愛の無い話では、1972年2月札幌オリンピックの開会式は陛下のご臨席を賜り、天皇陛下は開会宣言をなさったのだが、

センテンスがヘンなところで区切れ、私は失礼ながら、笑ってしまった。

あまりにも寒いので(無論、充分に防寒していたのだが・・・)天皇陛下が凍っちゃったのである。



もう一つは、ご在位何十周年かの節目に日本の主なメディアを大勢集めて記者会見を行ったことがある。

戦争責任云々は面倒くさいから省略する。

面白かったのは、陛下のプライベートに関わる質問で、どこかの記者(と言っても陛下の記者会見だから、デスクか政治部長クラスだと思う)が、

「陛下、お好きなテレビ番組はおありですか?」

と訊ねた。すると天皇陛下はニコニコしながら、
「好きなテレビ番組はありますが、放送会社の競争がはなはだ激しいので、どの番組を見ているかは・・・言えません」

と笑いながらおっしゃった。記者たちも皆、爆笑した。懐かしい。


◆内閣総理大臣の靖国参拝の是非に関する私見

この問題を論ずるとき、世間はあまりに情緒に傾いた主張をするのに驚く。

大きく分けると、


  1. 外国の反応に反発するもの、或いはこれを考慮すべきだという考え方。

  2. 靖国神社には東京裁判でA級戦犯とされた人々が神様として合祀されている。数百万人が死んだ太平洋戦争を始める決定をした人々を神様として祀っている場所を首相がわざわざ訪れて、神道の儀式にのっとって、敬意を表するのは「当然だ」又は、「いや、けしからん」


という二つの判断基準が主流である。



私は、いずれも肝腎な点を見逃していると思う。

内閣総理大臣の靖国参拝はまず、日本国憲法第20条第3項「国の宗教活動の禁止」に抵触しないかどうかを考えるべきである。
日本国憲法第20条第3項 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。


◆司法が「違憲だ」と判断したのであるから、行政府はこれに従うべきである。

日本は封建社会ではなく、近代国家であるから、三権分立が大原則である。

そして、法令、処分等が憲法に適合しているか否かを審査する権利は裁判所に与えられている。

日本国憲法 第81条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

ここでは最高裁判所のみについて言及しているが、それは、最高裁が合憲性を判断する「終審裁判所」、つまり最終的に判断するのだ、という意味であり、

下級裁判所(高等裁判所、地方裁判所など)が違憲審査権を持たない事を意味するものではない(最大判昭和25年2月1日では、下級裁判所に違憲審査があることを肯定している)。



昨年9月30日大阪高等裁判所の判決(大阪高等裁判所 平成17年09月30日 平成16(ネ)1888 損害賠償請求控訴事件)は極めてはっきりと、小泉首相の靖国神社参拝は違憲である、との判断を示している。

リンク先を見れば分かるが、PDFファイルで34ページ、

テキストファイルにして文字数を数えたら、原稿用紙(20×20)186枚分に相当する「大作」である。

無論、判決文が長ければ良い判決とは限らないが、大阪高裁の緻密な論理の展開は殆ど「感動的」という形容が当てはまるほどであり、

裁判官がこの判決文に注いだ、使命感に由来する情熱が、ひしひしと感じられる。

長大な判決文の一部を引用する。
愛媛玉串料違憲訴訟において,上告審判決は,玉ぐし料の支出という現場に出向かない行為ですら,県が靖國神社との間にのみ意識的に特別のかかわり合いを持ったことを否定することができないと断定している。この玉ぐし料の支出との比較からすれば,国民と世界が注視している中で,被控訴人小泉が内閣総理大臣として行った本件各参拝ではなおのこと,被控訴人国が靖國神社との間にのみ,極めて意識的に,特別のかかわり合いを持ったことを否定することができない

以上の事情から判断すれば,被控訴人小泉が被控訴人国を代表し内閣総理大臣として靖國神社に本件各参拝をしたことは,愛媛玉串料訴訟上告審判決が県の玉ぐし料支出を宗教的活動と判断したよりさらに明確に,その目的が宗教的意義を持つことを免れず,その効果が特定の宗教に対する援助,助長,促進になると認めるべきであり,これによってもたらされる被控訴人国と靖國神社のかかわり合いがわが国の社会的・文化的諸条件に照らし相当とされる限度を超えるものであって,憲法20条3項の禁止する宗教的活動に当たるというべきである。

このとおり、「首相の靖国参拝は違憲である」との結論を出している。

この判決が出たときに、「主文ではなく、傍論だから法的拘束力はない」とバカな産経新聞の論説が書いていたし、

ブログの世界でもこの手合いが大勢いた。

それは、日本が「付随的違憲審査制」を採用しているから、そうならざるを得ないのだ。

なお、この件については、以前、詳しく説明したので、ご参照頂きたい。



話を戻す。

司法が行政府(内閣)の行為を「違憲だ」と判断したのであるから、三権分立の国家統治体制を破壊するつもりで無い限り、行政府は司法の判断に従わねばならぬ。

つまり、小泉首相は靖国神社を参拝してはいけないのである。議論の余地は無い。

小泉首相が大阪高裁の判断を無視して、靖国参拝を続けるのは、内閣総理大臣自ら「裁判所の判決には従わなくても構わない」と国民に告げているに等しい。

こうなったら、日本は法治国家ではなく、何でも内閣総理大臣の一言で決まる国となる。北朝鮮にそっくりではないでしょうか?

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2006.07.20

「陸自、イラク撤収、危険と隣り合った2年半」陸自に死傷者が出なかったのは良いが、イラクへの自衛隊派遣は違憲である。

◆記事:陸自、イラク撤収、危険と隣り合った2年半(日本経済新聞7月19日付朝刊)

事実上の「戦地」に足を踏み入れてから二年半――。国論を分けた陸上自衛隊のイラク派遣がようやく終わった。砂じんの舞うクウェートの滑走路を踏みしめ、無事に撤収できたことを喜び合う隊員たち。

だが、この間にサマワの宿営地を標的にした砲撃は計十三回、陸自の車列の脇で爆発物が破裂するテロも起きた。

サマワ住民とのトラブルも少なくなかったが、最終的には危険と隣り合わせの復興支援活動を一人の犠牲者も出さずに完了させた。



「無事に犠牲者を出さないことが私の最大の使命だった。率直に言ってほっとしている」――。

気温五〇度。熱風が吹きすさぶ灼熱(しゃくねつ)の砂漠にあるクウェートのアリ・アルサレム空軍基地の滑走路に、

最後の陸自隊員を乗せた航空自衛隊のC130輸送機が舞い降りた瞬間、額賀福志郎防衛庁長官に笑みがこぼれた。

陸上自衛隊は二〇〇四年一月に先遣隊がサマワ入りして以降、延べ約五千五百人の隊員を派遣。道路や学校などのインフラ整備を担った。

治安維持を担う多国籍軍の活動とは一線を画し、可能な限り、住民との接点を探った。

政府は延べ雇用者数など様々な数字を並べて「人道復興支援活動の成果だ」と強調する。

住民からも自衛隊に感謝する声が相次いだ。

ただ、日本の誠意がどこまで伝わったかとなると不明確だ。

撤収に際し、陸自はサマワのあるムサンナ州のドワイニ評議会議長らにアラビア語で書いた支援活動に感謝する手紙がほしいと頼んだ。

議長は「趣旨がよく分からない」と拒否。陸自は「隊員の士気を上げるためで、強要したつもりはない」(幹部)と釈明する。

宿営地がイラク軍に譲渡されることに反対する地主らは見直しを要求。日本が払ってきた年間約三千万円の地代をイラク軍が支払うかどうかはっきりしないためだ。

二年半のサマワ暮らしの最後の最後に悪い後味が残った。



海外での武力行使を禁じる現行憲法下では、自衛隊は治安維持の任務には加われない。

だが、治安が比較的安定していたサマワでもロケット弾による砲撃がときどきはあり、英豪軍の宿営地への砲撃も頻発した。

去り際が最も危ないとの判断から最後の撤収部隊は真夜中にサマワを出発し、タリル空港までの約百キロを休みなく走破した。

「自衛隊が一人の死者も出さなかったのは奇跡だと言ってもよい」と話す政府関係者もいる。

〇四年春、邦人ジャーナリスト二人が武装グループに殺害された際、クウェートの米軍基地に棺(ひつぎ)が運び込まれた。

輸送活動に携わっていた空自隊員はこの光景を今も思い出すという。

陸自も万が一に備え、小さな棺をサマワの宿営地内に持ち込んでいた。隊員の一人はこう振り返る。

「死を覚悟しなければいけない。そういう任務だった」


◆コメント:情に棹させば流される。

陸上自衛隊が2年半にわたるサマワでの人道復興支援活動を終えた。幸い1人の死人も出なかった。

それはそうなのだが、いつも現地の子どもたちとニコニコしていたわけではない。危険な目に遭っている。

無論、自衛官に責任はない。自衛隊のイラク派遣を決定した内閣の責任である。

東京新聞は、昨年自衛隊が初めて武力を行使する寸前だったことを曝露している。
◆記事:イラク陸自 実弾装てん 車列襲撃 発砲寸前だった(7月19日 東京新聞朝刊)

昨年六月、イラクに派遣されていた陸上自衛隊の車列近くで爆発があり、高機動車が破損した事件で、爆発直後、車列の隊員が銃に実弾を装てんし、戦闘態勢を整えていたことが分かった。

発砲には至らなかったが、“戦地派遣”の危険な現実を示した。十四年に及ぶ自衛隊海外派遣の歴史で実弾装てんが判明したのは初めて。

この事件は昨年六月二十三日、前後を軽装甲機動車で警護された高機動車二台がサマワ市内を通過中、道路右側の遠隔操作爆弾が破裂した。

高機動車一両のフロントガラスにひびが入り、ドアが破損した。

複数の防衛庁関係者によると、爆発直後に軽装甲機動車の警備隊員らが車載の五・五六ミリ機関銃を操作して弾倉から実弾を銃内に送り込み、発射態勢を整えた。

同時に砂漠の中を逃走する人物を目撃したが、車列は方向転換して宿営地に戻った。

移動中だった隊員約二十人は武器を所持しており、何人が実弾を装てんしたのか判明していないが、犯人が銃などで襲撃していれば、撃ち合いになった可能性がある。

当時、伝えられたより、はるかに緊迫した場面だった。

自衛隊が武力行使するのは、日本が他国の攻撃を受け、国民の生命に危険が及んだときに、これを守る場合にのみ許される。

東京新聞の報道内容が真実であれば、陸自隊員が自らを守るためとはいえ、

「海外で」現地の何らかの武装集団と銃撃戦に至る可能性があったわけで、これは、日本国憲法に違反する。



イラク復興支援特別措置法が、自衛隊が活動する地域は「非戦闘地域」に限ると規定しているのは、このためである。

イラク復興支援特別措置法の「非戦闘地域」定義は、

「現に戦闘行為が行われておらず、かつ自衛隊が活動する期間を通じて、戦闘行為が行われる危険が無いと認められる地域」

である。

小泉首相は2003年7月23日、国会において、当時の民主党代表管直人氏の、

「今のイラクに非戦闘地域はあるのか。例えばどこなのか、1カ所でも言えるなら言ってみてほしい」
との質問に対して、

「イラク国内の地名とか、よく把握しているわけではない。どこが非戦闘地域で、どこが戦闘地域か、いま私に聞かれても、分かるわけない」

と答弁している

こういう態度を日本語で「無責任」というのである。

それは実際にサマワを見た人物の証言により、一層明らかである。


◆「非戦闘地域」なんて言ってるのは日本の首相だけ(宮嶋カメラマン)

週刊文春の取材でサマワに赴き、陸自の宿営地で自衛隊員と寝食を共にした経験がある宮嶋カメラマンは、

元来自衛隊の海外派遣に賛成していたが、昨年、毎日新聞のインタビューを受けて次のように答えている。

Q:サマワは非戦闘地域ですか?

宮嶋:「戦闘地域ですよ。イラク全土が戦闘地域。日本の首相だけですよ、非戦闘地域だなんて言っているのは。昼間に銃撃戦がある。オランダ兵も殺される(04年5月)。正規軍が戦死しているということなんです。私は自衛隊の派遣は国益にかなうという自説がありましたが、今は自信がありません。大量破壊兵器がいまだに発見できない。多分、本当にないでしょう。つまりあの戦争に大義はなかったわけです。それでも部隊を派遣することで米国に恩を売れると思った。でも6カ国協議を見ても、国連の常任理事国入り問題にしても日本のことを真剣に考えるそぶりがない。米国には裏切られた気分です。ただしこれまでの自衛隊の任務や苦労を無にしたくない。全員が無事で帰ってきてほしい。あんなひどいところでけがをしたり、死んだりしてほしくない」

◆結論:そもそも存在しなかった「非戦闘地域」に自衛隊を派遣した首相の責任は今も重い。

陸上自衛隊が2年半サマワに滞在し、死傷者を出さなかったのは、以上を勘案すると殆ど奇跡的、と言って良い。

陸上自衛隊員が無事に帰国するのは、結果論である。



内閣総理大臣は自衛隊法により、自衛隊の最高指揮権を有する立場にある。

それにも関わらず、自らサマワの状況を視察することは一度もないまま、このような危険な場所に陸自を派遣した責任は重大である。


◆航空自衛隊と海上自衛隊は残留して、何をしているのか、説明がない。

帰国したのは陸上自衛隊だけであり、航空自衛隊、海上自衛隊は今もなお中東に留まっている。

これまでに、私は何度も書いた。最近では4月20日がそれに当たる。

再び書く。

空自の輸送機は、武装した英米軍兵士の輸送を行っている(何故、そのように言い切れるかは、4月20日の日記をご参照いただきたい)。

交戦中の同盟国の後方支援は集団的自衛権の行使に該当し、違憲である。

日本のメディアは陸自撤退ばかりを取り上げ、空自と海自が何をしているか、殆ど何も書かないが、こちらの方が問題なのだ。

特に、海自に関しては空自よりももっと情報が無い。何故、陸自の情報ばかりが伝えられ、空自、海自の情報が国民に伝わらないのだろうか?

自衛隊のイラク派遣を決定した、2003年12月9日、閣議後の記者会見、

イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置に関する基本計画についてを読むと分かるが、

この時、小泉首相は次の通り明言したのである。

【質問】 今回、武器弾薬の輸送は行われるんでしょうか。

【小泉総理】 武器弾薬の輸送は行いません。

【質問】 行わない。

【小泉総理】 行いません。

【質問】 それは、実施要項の中とかで担保されるんですか。

【小泉総理】 そうです。

【質問】 そういうことですか。

【小泉総理】 はい。復興支援活動であります。日本は戦争に行くのではありません。自衛隊は復興人道支援活動に行くんです。

この言葉を信じるならば、空自と海自も人道復興支援活動を行っていなければならない。それは、軍事的な行為ではないから、隠蔽する必要は無いはずである。

だが、現実には、空自と海自の活動内容は誰も知らない。

国民に空自、海自の活動内容を知らせないのが、「軍事上の」機密事項であるならば、小泉首相は、記者会見で嘘をついたことになる。

大新聞は、皆そんなことは分かっているくせに、書かない。

だから、私は、マスコミほどの影響力を持つわけは無いが、何度も書くのである。



最後に小泉純一郎内閣総理大臣自身の著書、「コイズム」に収録されている、小泉純一郎氏の発言を紹介しておく。

「コイズム」168ページ
「現行の憲法では、自衛隊の海外派遣はどう考えても無理がある。」

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2006.07.19

「<ジャワ地震>死者339人」 「ジャワ島」や「レバノン攻撃」より「秋田児童殺害」を優先する日本のマスコミ

◆記事1:<ジャワ地震>死者339人、負傷者も600人以上に

【パガンダラン(インドネシア西ジャワ州)井田純】インドネシア・ジャワ島南方沖で17日午後に発生した地震と津波による被害は、18日夜までに死者339人、負傷者600人以上となった。

インドネシア保健省がAP通信に明らかにした。避難生活を送る住民は5万4000人以上。

136人が行方不明になっており、犠牲者はさらに増える可能性がある。

在インドネシア日本大使館によると、62歳の日本人男性が肩の骨を折るなどのけがを負ったが、パガンダランの病院で応急手当てを受け、命に別条はない。

これまでの調査では、他に日本人の負傷者は確認されていない。

最も大きな被害を受けたパガンダランは、釣りやサーフィンを楽しめる行楽地で外国人バックパッカーにも人気が高い。

パガンダランに津波が到達したのは地震発生の約7分後だが、地元当局者は毎日新聞に「地震の後、国からの津波警報はなかった」と証言した。

(毎日新聞) - 7月18日23時25分更新


◆記事2イスラエル軍が大規模侵攻も=7日連続でレバノン攻撃、死者230人

【エルサレム18日時事】イスラエル軍は18日、7日連続となるレバノンでの空爆作戦を展開し、ロイター通信によると、住民や兵士ら29人が死亡。

これまでの軍事作戦による死者は230人を超えた。

イスラエル軍高官はイスラエル兵を拉致したイスラム教シーア派武装組織ヒズボラへの圧力をさらに強化するため、今後、大規模な侵攻作戦を展開する可能性に言及した。

(時事通信) - 7月19日3時0分更新


◆コメント:自然災害(ジャワ島)や戦争(中東)で大勢の市民が命を落としているのに、「畠山被疑者」をトップで報じる日本のテレビ。

物事には軽重がある。

インドネシアはわずか2か月足らずの間にM6.9とM7.2の地震と津波で何千人という人が亡くなっている。



そして、中東では、イスラエルがレバノンを攻撃している。イスラエルの攻撃により殺された、レバノン各地の一般市民は数え切れない。

一方、イスラエルの市民もレバノン過激シーア派組織「ヒズボラ」の報復攻撃に晒されている。


◆圧倒的な情報量、BBC

BBCはご存知「イギリスのNHK」のようなものだが、世界中に張り巡らした情報網がすごい。英語など読めなくても、写真を沢山載せているから、世界の大体の様子がわかる。
ジャワ島の様子は、Indonesian tsunami で見ることができる。津波によって海沿いの街が壊滅状態であることが良く分かる。
中東、ベイルートとイスラエルでは、イスラエル軍、ヒズボラの攻撃がいずれも、相手の一般人を故意に狙って殺しているところが何とも卑劣である。
BBCのサイトでは、Bloodshed continuesの一連の写真を見ると、双方の攻撃のすさまじさがわかる。
ジャワ島、イスラエル=レバノンの写真いずれにも、残酷な死体の写真は載っていないから、一度ご覧になってみてはいかがだろうか。


◆日本のマスコミは、いい加減「彩香ちゃん殺害」ばかり報じるのを止めろ。

秋田県の事件は、子どもが殺されたのだから、無論、凶悪な犯罪であるが、その場しのぎでコロコロ供述を変える畠山被疑者ばかりをトップで扱うのはいい加減止めたらどうか。

畠山被疑者が極めてクロに近いグレーである、という印象は否めないが、被疑者が起訴され、裁判で有罪判決が確定するまでは、無罪の推定をしなければならないことを、

日本の「ジャーナリスト」が「知らない」では済まされない。



一般論で述べるならば、民主主義においては法によって定められた手続きを遵守することが肝要である。

「あいつが犯人に違いない。死刑にしろ」では、封建時代と変わりがない。



長くなるので詳しいことは、検索していただきたいが、

1994年6月の「松本サリン事件」では、第一通報者の河野義行氏を警察は重要参考人として取り調べを行い、

マスコミはそれを見て、確たる証拠が無いまま(それどころか、河野さんが所持していた農薬からサリンを生成することは不可能という専門家がいたのにも関わらず)、

河野さんが犯人であるかのごとき印象を与える報道を続けた。

結局、河野さんは全くの「シロ」だった。

あのときの醜態をブンヤ(新聞記者、ひいてはマスコミのこと)どもはもう忘れたのか?


◆Sense of proportion

この言葉はかつて何度か用いた。

最初に使ったときの説明をご参照頂けると有難い。



先に書いたとおり、物事には軽重(けいちょう)がある。

報道関係者は、その軽重を見極め、今現在、世の中全体で何を先に伝えるべきか判断して、まず、その取材に注力するべきであるが、

民放テレビの報道は理想にほど遠い。



どうして、これほど程度が悪いのかというと、放送内容自体の重要性よりも、視聴率を取ることの方が、彼らにとっては重大事だからである。

世の中がどうなるか、よりも、如何に数字(視聴率)を取る番組を作るかだけが、ニュースを選別する基準になっている。

プロデューサーの頭の中では、「公の利害」よりも「自らの出世」のほうが大きな意味を持つらしい。

これは、”Sense of proportion”ではない。

"Sense of promotion"(出世欲)だ。

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2006.07.17

「小泉総理はしゃぎぶりにブッシュ大統領『少しおとなしくしていた方が良い』」/ジャワ島沖でM7・2 津波で6人死亡

◆記事1:総理はしゃぎぶりにブッシュ大統領ジョークでチクリ

ロシアのサンクトペテルブルクで開かれているG8サミット=主要国首脳会議で、ブッシュ大統領が小泉総理大臣に対して、

「少し、おとなしくしたほうが良い」とチクリと刺す一幕がありました。

これは、15日のコンサートで、小泉総理がオペラ歌手をねぎらうため、一人、舞台に進み出たことについての発言です。

全体会合で隣に座った小泉総理に対して、ブッシュ大統領が「あなたは常に場を支配する。ロシアの民族舞踊でも先頭をきって踊っていたし、少し、おとなしくしたほうが良い」と、

相変わらずのはしゃぎぶりにジョークを飛ばしました。

これに対し、小泉総理も「あなたも、私に続いて民族舞踊を一緒に踊ったではないか」と切り返しました。

他国の首脳は大笑いして、「まさに同盟国だ」と口々に感想を述べていたということです。[17日18時22分更新](ANN)

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann/ann_pollist.html


◆記事2:今国会の会期、延長なし決定 与党幹部ら会談 (2006/ 06/ 15朝日新聞)

自民、公明の衆参両院の幹事長・国会対策委員長は14日、国会内で会談し、18日に会期末を迎える今国会の会期を延長しないことを正式に決めた。

夏の参院選がない年に会期を延長しないのは小泉政権では初めて。



今国会では、行政改革推進法や医療制度改革関連法は成立したが、国民投票法案、「共謀罪」を創設する組織的犯罪処罰法改正案などの重要法案は継続審議となった。

自民党の武部勤幹事長は「国民に約束した課題を与党で精力的に協議、国会に提出し、大きな成果を得た」と重要法案を次々と提出したこと自体を評価した。

これに関し、小泉首相は14日夜、首相官邸で記者団に対して

「私は9月に退任することが決まっている。外交もある。国会閉会中もやるべきことは山積している。そういう観点から延長は必要ないと思いました」と語った。


◆コメント:総理がはしゃぎすぎという問題もあるが・・・

確かに、小泉純一郎内閣総理大臣の最近の躁状態は、やや常軌を逸しているように思われる。

先の訪米でブッシュ大統領夫妻にプレスリー邸を案内されたときは、プレスリーのモノマネまで行い、アホのブッシュですら、思わず引いてしまうほどのはしゃぎぶりだった。

アメリカ人ならば、ドンチャン騒ぎは珍しくないが、大統領ともなれば、さすがに衆目の中、でああいうことはしない。

ましてや、感情を表さないことで知られる日本人の政治の最高責任者があそこまでバカをさらけ出すのは珍しい。

それでも私は、「一度ぐらいはいいか」、と思っていた。



ところが今度はサミット首脳会議でバカをやって、ブッシュに「おとなしくしていろ」と言われたという。

さすがにみっともない。

マスコミは報道を差し控えているのか、控えるように国から言われているのか、格好のお笑いネタなのに、あまり報じられていない。



それはさておき、問題の本質はそこにあるのではない。


◆国会は延長を求めていたのに、行政府(首相)の鶴の一声で延長無し、とはどういうことか。

記事2に書かれているとおり、国会で審議すべき重要な法案はまだあったのに、首相の鶴の一声で延長しないことが決定されてしまったのである。

これはとんでもないことだ。

何故か。

行政府が立法府に介入しているからである。



国権の最高機関は国会であり、その国会の信認の上に内閣が存続するのがわが国のような「議院内閣制」である。

国会は、「まだ、審議する法案がある」と言っていたのであり、国会法により、通常国会、臨時国会の会期の延長は認められている。延長は特別のことではない。



そして、内閣総理大臣は行政府の長である。だから、今回の経過は、「行政府が国権の最高機関たる国会を無理矢理閉会させた」ことになる。

すなわち、中学生でも知っている「三権分立」に抵触する。



同じようなことは、昨年8月11日にも起きた。さすがにこれは皆、覚えているだろう。

内閣が提出した「郵政民営化法案」が立法府である参議院で否決されたのだから、廃案にするべきだったのにも関わらず、否決したのとは関係の無い衆議院の解散権を用いて強引に選挙に持ち込んだ。

繰り返すが、立法府が否決した法案を、あたかも「国民投票」にかける形で衆議院解散総選挙で、強引に成立に持ち込んだのは、議会制(代議制)民主主義の原則に反している。

法案を直接国民投票にかける、という手続きを定めた法律は日本にはないのである(憲法改正を除く)。



要するに、小泉首相は近代国家の大原則、「三権分立」の意識がなく、万能の権力を持っているかのごとき錯覚に陥っているのではあるまいか。

そうだとしたら、金正日と大差なく、そういう首相を支持している日本国民が大勢いるのなら、北朝鮮を笑えた義理ではない。


◆「総裁選、外交があるから」は理由にならない。

前段落に書いたことだけで十分だが、念のために、首相発言における問題点を指摘する。

「私は9月に退任することが決まっている。外交もある。国会閉会中もやるべきことは山積している。そういう観点から延長は必要ないと思いました」

「9月に退任することが決まっている」とは総裁選の準備があると言うことだ。

それは一政党内部の問題であり、国会での法案審議よりもプライオリティ(優先順位)を高くする理由はない。

「外交もある」というが、テレビでご覧の通り、アメリカとロシアに行って遊んでいるだけだ。

何よりも、小泉首相はこれまでにも国会会期中、週末に国際会議に参加してとんぼ返りしてきたことが何度もある。

従って、「外交がある」ことは、審議事項を残し、国会を閉会する行為を正当化しない。

首相の重責から逃れられる安堵感からの躁状態かもしれないが、任期最後の日まで真面目に仕事をして欲しい。


◆ニュース速報:ジャワ島沖でM7・2 津波で6人死亡

【ジャカルタ17日共同】米地質調査所によると、インドネシア・ジャワ島南方のインド洋で17日午後3時19分(日本時間同5時19分)、マグニチュード(M)7・2の地震があり、津波が発生した。

AP通信によると、同国警察当局は少なくとも6人の死亡を確認した。在インドネシア日本大使館によると、日本人の死傷者の情報はない。

インドネシアの地元ラジオ局エルシンタによると、西ジャワ州の南岸が津波の被害を受け、ホテルや民家数軒が損壊。

ジャワ島南岸の漁港パンガンダランの住民によると、海岸にはオランダ人を含むグループもいたが、多くが行方不明になったもよう。

AP通信は、ジャワ島に2メートルの津波が押し寄せたとの目撃情報を報じた。

また住民の一人は同局に、人の乗った車が波にのみ込まれ、行方不明になったと語った。(共同通信) - 7月17日21時30分更新


◆コメント:前回の大地震から二ヶ月も経っていない。

ジャワ島では、今年5月27日(土)現地時間午前6時頃(日本時間午前8時頃)M6.9の大地震が起きて、5,700名以上の死者が出たばかりである。

それから、まだ51日しか経っていない。各国の迅速かつ大量の支援が望まれる。

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「北朝鮮に関する国連安保理決議1695号」の法的性格。動詞一つで意味が変る。

◆記事1:北朝鮮ミサイル:安保理非難決議の要旨

国連安保理が15日採択した対北朝鮮非難決議の要旨は次の通り。

◆前文◆

一、朝鮮半島と北東アジアの平和と安定の重要性を記憶にとどめる。

一、核・化学・生物兵器の弾頭運搬手段となる可能性のある北朝鮮の弾道ミサイル発射に重大な懸念を表明する。

一、北朝鮮のミサイル発射凍結継続の公約違反に深い憂慮を表明する。

一、北朝鮮が近い将来、さらに弾道ミサイルを発射すると示唆したことに深い懸念を表明する。

一、北朝鮮による核拡散防止条約(NPT)脱退の表明と核兵器保有追求の宣言を非難する。

一、ミサイル発射が地域の平和、安定、安全を脅かすことを確認する。



◆本文◆

一、国際平和と安全を維持する(安保理の)特別な責任の下で行動する。

一、北朝鮮の弾道ミサイル発射を非難する。

一、北朝鮮に弾道ミサイル開発計画中止と発射凍結公約の再確認を求める。

一、ミサイルや大量破壊兵器開発に資する関連物資の北朝鮮への移転阻止を加盟国に求める。

一、北朝鮮からのミサイル関連物資の調達禁止を加盟国に求める。

一、北朝鮮に6カ国協議への即時復帰と核兵器及び核開発計画の放棄、NPTへの早期復帰を強く勧告する。

一、朝鮮半島の非核化を平和的手段で達成し、6カ国協議の共同声明の履行に協議参加国が努力するように求める。

(毎日新聞 最終更新時間 7月16日 21時37分)


◆記事2:原文の要旨を伝える安保理のサイトのニュース

(注:安保理決議の文言が全て掲載されるのには暫く時間がかかる)



URL:http://www.un.org/apps/news/story.asp-NewsID=19211&Cr=Korea&Cr1=



Security Council demands that DPR Korea suspend ballistic missile activities15 July 2006

Condemning the Democratic People's Republic of Korea's (DPRK) multiple ballistic missile launches 11 days ago, the United Nations Security Council today demanded that the country suspend all related activities and required States to prevent the import or export of funds or goods that could fuel Pyongyang's missile or weapons of mass destruction programmes.

The Council's unanimous adoption of resolution 1695 came following intensive debate behind closed doors and was immediately hailed by numerous Council members but rejected just as quickly by the DPRK Government.

In adopting the resolution, the 15-member body noted the potential of ballistic missiles to be used for delivering nuclear, chemical or biological payloads. It also invoked the Council's “special responsibility for the maintenance of international peace and security.”

The Council required all Member States, “in accordance with their national legal authorities and legislation and consistent with international law,” to exercise vigilance and prevent missile and missile-related items, materials, goods and technology being transferred to DPRK's missile or WMD programmes.

States were also required to exercise vigilance and prevent the procurement of missiles or missile related-items, materials, goods and technology from the country, as well as the transfer of any financial resources in relation to its missile or WMD programmes.

The resolution deplored the DPRK's announced withdrawal from the Treaty on Non-Proliferation of Nuclear Weapons (NPT) and its stated pursuit of atomic arms in spite of its obligations under the NPT and the International Atomic Energy Agency (IAEA) safeguards.

The DPRK was strongly urged to return immediately to the Six-Party Talks without precondition, to work towards the expeditious implementation of a September 2005 Joint Statement, “in particular to abandon all nuclear weapons and existing nuclear programmes” and to return soon to the NPT and IAEA safeguards.

Supporting the six-party talks, the Council called for their early resumption, and urged all the participants - the two Koreas, China, Japan, Russia and the United States - to intensify their efforts on the full implementation of the Joint Statement with a view to achieving the verifiable denuclearization of the Korean Peninsula in a peaceful manner and to maintaining peace and stability on the Korean Peninsula and in north-east Asia.

China, the United States, Japan and the Russian Federation were among the countries that welcomed the resolution's adoption during the debate which followed.



But DPRK representative Pak Gil Yon roundly rejected the resolution, saying the missile launches were part of routine military exercises to increase the country's capacity for self-defence and arguing that the exercise was a legitimate right of a sovereign State and was not covered by international law, bilateral or multilateral agreements.


◆コメント:動詞に注目。

国連安保理は満場一致で安保理決議1695を採択しました。日本主導の安保理決議は確かに始めてのことです。
記事2は、安保理決議そのものではありません。正式な決議は国連公用語(英語 フランス語 ロシア語 中国語 スペイン語 アラビア語の6カ国語)全てに訳されなければならないので、時間がかかります。

安保理のサイトに載っている国連広報センターが発表したニュースです。

それを元に、書いた日本語の報道が記事1です。英語はご参考までに載せました。

日本語でも分かるのですが、英語と並べると分かりやすいのです。本当に大事なことは原文を見なければなりません。

記事1の日本語要旨を見て下さい。特に、語尾の動詞に注目して下さい。

前文では、
「懸念を表明する」「深い憂慮を表明する」「非難する」「ミサイル発射が地域の平和、安定、安全を脅かすことを確認する」

本文でも、

「非難する。」「求める」「勧告する」ですね?

英語の見出しで明らか。

Security Council demands that DPR Korea suspend ballistic missile activities15 July 2006

(国連安全保障理事会、7月15日付で北朝鮮民主主義人民共和国にミサイル発射の中止を要求)

となっている。「要求」しています。「要求」していますが、北朝鮮に対し何らかの行動を求めること、又は、国連が何かアクションを起こすことを「決定」してはいません。


◆7章決議は動詞が“decide”

国連憲章第7章は「平和に対する脅威」について定めてあります。7章に基づく決議は法的拘束力を持ちます。

ここでは、「決定する」が全て原文で「decide」なのです。

第39条 安全保障理事会は、平和に対する脅威、平和の破壊又は侵略行為の存在を決定し、並びに、国際の平和及び安全を維持し又は回復するために、勧告をし、又は第41条及び第42条に従っていかなる措置をとるかを決定する。

とあります。英語だと、

The Security Council shall determine the existence of any threat to the peace, breach of the peace, or act of aggression and shall make recommendations, or decide what measures shall be taken in accordance with Articles 41 and 42, to maintain or restore international peace and security.

繰り返しますが、このように動詞がdecideだと、法的な拘束力が生じます。安保理がかなり本気だということです。

まず経済制裁、外交関係の断絶その他。

それでもダメなら軍事力の行使となります。


◆今回の安保理決議では、そこまで危険と見なしていないということですが、それでもいいのです。

国連憲章第7章「平和に対する脅威」と見なされるということは、相当にヤバい状態なので、中国とロシアはそこまで北朝鮮を追い込まない方が良い、と必死に日米を説得したのでしょう。

水面下で相当もめたと思います。

いきなり7章を持ってくるとかなり、緊張が高まります。

北朝鮮は、安保理決議を全面拒否するそうですが、決議直後に拒否声明を発表したと言うことは、安保理の決定を非常に気にしてずっと結果を待っていた証拠です。

多分、何日かすると、子どものように「国連決議など何ともおもっていないぞ」と言うことを主張するために、また、何発かミサイルを発射するのではないでしょうか。


◆日本主導で満場一致の安保理決議を採択できたのですから、落ちついて様子を見ること。

国連安保理は、常任理事国5カ国と非常任理事国10カ国の計15カ国で構成され、安保理決議の採択には9カ国以上が賛成して、かつ、常任理事国のいずれも拒否権を発動しないことが必要です。

今回は絶対に中国かロシアが拒否権発動すると思いましたが、アメリカの圧力とか、いろいろすったもんだあったのでしょうが、それでも採決に持ち込んだということです。



直接的に危険が一番大きいのは日本だけなのに、日本に対する脅威について、様々な計算があるとはいえ、国際社会が懸念を表明したことに間違いはないのです。

悪い結果ではない、と思います。

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2006.07.16

「イスラエルが4日連続で空爆、レバノン北東部も攻撃」パレスチナ問題の基礎知識

◆記事:イスラエルが4日連続で空爆、レバノン北東部も攻撃

【エルサレム=三井美奈】レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラによる兵士拉致を受け、レバノンに侵攻したイスラエル軍は15日、

レバノン南部を中心に4日連続となる空爆を行い、シリア国境に近いレバノン北東部まで攻撃範囲を拡大、ヒズボラ系ラジオの放送局や燃料タンク、橋を空爆した。

ヒズボラ指導者ナスララ師は14日、イスラエル軍艦船への攻撃を実施、「全面戦争を受けて立つ」と徹底抗戦の姿勢を見せており、戦闘はさらに激化する様相だ。

ヒズボラ系テレビによると、レバノン北部ヘルメルでは空爆により、少なくとも3人が死亡した。

ロイター通信は、レバノン南部で走行中の乗用車が爆撃され、少なくとも15人が死亡したと報じた。

また、AP通信は、空爆開始から15日までの4日間の死者はレバノン側で少なくとも88人、イスラエル側で15人に上っていると伝えている。

(読売新聞) - 7月16日0時0分更新


◆コメント:パレスチナ問題ってのは未来永劫続くのですかね。

日本人の現在の国際問題における最大関心事は、北朝鮮のミサイル発射に対する国連決議がどうなるか、という事でしょうが、

世界は広い訳で、パレスチナ問題は、遡れば紀元前になるわけで、2500年も続いていて、今もなお、ユダヤ人とアラブ人は毎日実際に殺し合っています。

それも軍隊の衝突だけではなく、パレスチナ人の高校生の女の子が自爆テロを決行したり、もう、すさまじい。



海外のニュースサイト、例えばBBCを見ると、イスラエルがレバノンの一般市民が乗った車列を空爆して、子どもを含む13人が新たに死亡、と書かれています。

欧米の主要な新聞の一面トップは殆どここ数日、イスラエルがレバノンに猛攻を加えて、多数のレバノン人が殺されている悲惨な状況を伝えています。

もちろん、北朝鮮がどうでも良いわけではないけれども、世界の関心がこれほど中東に集まっているときに、

「そんなのどうでも良いから、北朝鮮に対する非難決議を早く決めよう」というと、顰蹙を買うと思います。

日本政府は元来アラブ・イスラエル紛争には介入しないことにしていますが、常識として、この問題の背景ぐらいは知っておいた方が良いとおもいます。


◆元来は国境紛争です。

パレスチナというのは地名です。昔から明確な境界線があったわけではないけれど、今は地中海の東部に面するイスラエル、ガザ地区、ヨルダン川西岸を指す事が多いようです。

パレスチナ問題の核心となる領土問題の中心は、この3つの地域を巡る争いです。

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紀元前10世紀頃、まずユダヤ人がここに国を創ったのです。

「イスラエル王国」といい、今の用語で言えば「首都」として、「エルサレム」という街をつくりましたが、紀元前586年に新バビロニアによって、滅ぼされます。

そのときから、ユダヤ人はパレスチナ人は2500年近く、国を持たず、主にヨーロッパに拡散します。

キリスト教徒は教義により金貸しが出来なかったけれど、ユダヤ教徒は、金融業を営んでも良かったので、それで儲けたので嫌われました。

それは、シェークスピアの「ヴェニスの商人」を読むと明らかです。



また、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教は、同じ神様を信仰しているのです。

ユダヤ教の教典が旧約聖書、そこから派生したのがキリスト教で、その教典が新約聖書です。

イスラム教もこの二つから派生したので、元々は同じ神様を信仰しているのです。。

三つの宗教ともエルサレムを「聖地」としているから、エルサレムの「取り合い」もこの長く続く「揉め事」の原因の一つになっています。


◆追い出されてから2500年後、ユダヤ人が再びパレスチナに国を創ったのが現在のイスラエルです。

ユダヤ教を信仰するユダヤ人はキリスト教世界で、あまりにも嫌われるので、19世紀から「シオニズム」という祖国再興運動がユダヤ人の間で盛り上がります。

さらに第2次大戦では、ご存知の通りヒトラーによるユダヤ人のホロコーストがあったので、ますます、その機運が高まります。



第二次大戦後、1948年、パレスチナに強引に国を創ったのが現在のイスラエルです。

ユダヤ人がいない間に、パレスチナにはアラブ人(イスラム教徒)が住んでいたわけですが、彼らは、無理矢理追い出されてしまいました。

これがパレスチナ難民です。

「パレスチナ人」という人種がいるわけではなく、ユダヤ人がイスラエルを創った場所に住んでいたアラブ人をパレスチナ人と呼んでいるのです。


◆パレスチナ人にしてみると今更急にユダヤ人に割り込まれたので、穏やかではありません。

このように、歴史を遠く遡れば、確かにイスラエルはパレスチナに国を構えていたし、その後追い出されたユダヤ人は散々苦労させられたとはいうものの、

2500年を経て、ユダヤ人は、急に、そして半ば強引に再び「新」イスラエルを建国したのです。

しかも、パレスチナに住んでいたアラブ人(パレスチナ人)を追い出してしまったので、パレスチナ人としてみれば面白くない。

そこで、パレスチナの地を巡りユダヤ人(イスラエル)とパレスチナ人(アラブ人)との紛争が起きます。

パレスチナ問題の発端はここにあります。


◆中東戦争

中東戦争は大きく分けて、第一次から第四次まであります。

第一次中東戦争は、1948年、イスラエル建国直後、これに反発するアラブ諸国(エジプト、サウジアラビア、イラク、トランスヨルダン、シリア、レバノンなど)との争いで、

数の上ではアラブが圧倒的に有利だったのですが、イスラエルが巻き返し優位に立ちます。1949年、国連が停戦勧告を行い、イスラエルと各国との間で停戦協定が結ばれます。

この際、ガザ地区はエジプト領に、ヨルダン川西岸はヨルダン領にするということで、合意が為されたのです。

第2次中東戦争は、スエズ運河をエジプトが国有化しようとしたのに反発したフランスとイギリスがイスラエルを焚きつけて戦争を始めさせ、自分たちは仲介者の立場をとります。

(こう言うところは、欧米人は実に狡いのです。)

スエズ戦争といいます。アラブ=イスラエル紛争の本質とはあまり関係が無い、イスラエルが欧米人に利用された戦争です。



問題は第3次中東戦争です

イスラエルは第1次中東戦争の後、国連の提案を受け入れてかなり広大な土地を手に入れたのです。

これは、私個人の所見ですが、イスラエルがそれ以上の土地を求めなければ、今に至る戦争は起きなかったか、

紛争が起きたとしても、これほどひどくならなかったのではないか、と思うのです。



話を歴史的事実に戻します。

1967年、イスラエルとイスラエルから見て北東に位置するシリアとの間にある「ゴラン高原」を巡って、イスラエルとアラブ諸国の雰囲気が険悪になっていました。

イスラエルは6月5日、いきなり先制攻撃を仕掛け、ゴラン高原、(エジプト領の筈の)ガザ地区、(ヨルダン領の筈の)ヨルダン川西岸、ゴラン高原、

さらに、シナイ半島(アラビア半島とアフリカ大陸の間にある三角形の半島)をわずか六日間で占領します。



第4次中東戦争で、ゴラン高原はシリアが、シナイ半島はエジプトが奪回します。


◆現在もヨルダン川西岸とガザ地区が紛争の原因です。

イスラエルはガザ地区や、ヨルダン川西岸に「ユダヤ人入植地」と称する土地を広げそこにユダヤ人を住ませて、要するにイスラエル領にしたいのです。

しかし、この両地域には、ユダヤ人がイスラエルを建国した際にパレスチナを追い出された「パレスチナ難民」が住んでいる。

当然、揉め事になります。イスラエルは容赦なく、ガザ地区のパレスチナ人居住区を爆撃したり、住居をブルドーザーで破壊します。

その際婦女子まで殺害するので、アラブ世界の恨みを買っています。



我慢しきれなくなったパレスチナ人はイスラエルに反撃しています。

こうした動きが組織化されたのがPLO(パレスチナ解放戦線)ですが、もっと過激な人々も大勢います。

ひどくイスラエル人を憎み、武力攻撃をしたり、先に述べたように非戦闘員である、パレスチナの高校生の女の子までがイスラエル領に入って自爆テロをする。

血で血を洗う悲惨な状況がずっと続いています。

もはや、「悲惨」などと言う言葉では表現できないほどですが、日本人は無関心過ぎると思います。


◆今回のイスラエルによるレバノン猛攻は何が原因か。

レバノンはもちろんアラブ人の国で、イスラエルの北に位置し、国境を接していますから、小競り合いは従来から起きています。

レバノンのイスラム教シーア派民兵組織「ヒズボラ(神の党の意味)」という過激な集団が存在します。



6月にガザ地区から(これはイスラエル南部の話)パレスチナ武装集団がイスラエル軍を攻撃し、イスラエル兵1人を拉致しました。

そして、イスラエルに収監されているパレスチナ人の釈放を要求したのですが、イスラエルはこれを拒否しただけではなく、暫く止めていたガザ地区への攻撃を開始しました。


これを見ていた、レバノンの「ヒズボラ」が怒り、イスラエル軍に(今度はイスラエル北部の話です)かつて最大と言われる攻撃を行い、イスラエル兵2人を拉致しました。

イスラエルは何かされると必ず武力を用いて報復するので、今回もレバノンにすさまじい空爆を仕掛け、普通に暮らしていたレバノン市民が多数殺されました。

冒頭の記事の13人というのは、ごく一部です。これが毎日続いている。


◆このように何十年も殺し合いが続いている地域があるわけです。

パレスチナ問題(アラブ=イスラエル紛争)に関して私が最初に少し勉強したのは20数年前、まだ学生の頃でした。

今に至るまで、解決しません。

何度か中東に平和をもたらそうという合意が成されたことはあるのです。

しかし、結局、イスラエル人かパレスチナ人どちらかが、些細なことをきっかけに、すぐに相手に対して武力を行使し、報復され、結局「元の木阿弥」、という経過を繰り返すのです。

武力行使が平和の実現に全く役に立たないのは、パレスチナ問題を見れば極めて明らかなことです。

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2006.07.15

「日銀、ゼロ金利を解除…年0・25%に」←ゼロ金利が異常だったのです。

◆記事1:日銀、ゼロ金利を解除…年0・25%に

日本銀行は14日の政策委員会・金融政策決定会合で、ゼロ金利政策の解除を全員一致で決め、ほぼゼロ%としてきた短期金利(無担保コール翌日物)の誘導目標を即日、年0・25%に引き上げた。

金融機関への貸し出しに適用し、事実上の短期金利の上限となる公定歩合は、6対3の賛成多数で年0・1%から年0・4%に引き上げると決め、即日実施した。

ゼロ金利解除後も低金利を当面維持し、景気回復の足を引っ張らないように配慮する。記者会見した福井俊彦総裁は「粛々と職責を全うする覚悟に変わりない」として、今後も日銀の舵取りを担う考えを強調した。

今回の決定で、異例の長期にわたるゼロ金利政策は5年4か月ぶりに幕を閉じ、金融政策の正常化に向けた一歩を踏み出した。

ただ、原油価格の高騰など不安要因が多い中での政策転換だけに、今後は難しい政策運営を迫られる。(読売新聞) - 7月14日23時12分更新


◆記事2:2005年1月28日 衆議院予算委員会会議録、民主党岩國哲人議員と福井日銀総裁の質疑応答。より抜粋

岩國委員:私が何度もこの予算委員会で取り上げたゼロ金利政策について、私は再度お伺いしたいと思います。

皆さんも給料が欲しい、一般の人も給料が欲しい、そして皆さんのお金も給料が欲しい。お金がもらう給料のことを金利といいます。

日本のお金は五年前から給料をもらえていない。給料の遅配、欠配、無配。世界の国の中で、お金が給料をもらえないのは日本の国だけなんです。

ゼロ金利政策がいろいろな意味で必要だということは、私もその世界におりましたからわかります。

しかし、このゼロ金利政策が、だれに恩恵を与え、だれに負担をかけてきたかということを今こそ率直に総括し、そしてその結果を私は国民に説明しなければならないと思います。

ゼロ金利政策の担当の日銀総裁にお伺いします。

このゼロ金利政策の結果として、過去十年間に日本の一般家庭の貯蓄が得べかりし利子が幾ら奪われたのか、それを端的に金額で御説明ください。

福井参考人 お答えを申し上げます。いろいろな計算の仕方があろうかと思いますけれども、国民所得統計で、日本の家計の受取利子というものが過去の金利の低下でどれぐらい減ったか。平成五年、一九九三年と比べますと、十年間ということになります、毎年の受取利子の減少額を足し合わせますれば、累計で百五十四兆円ということになります

岩國委員 百五十四兆円、丹念に御計算いただきまして感謝いたします。

決して福井総裁のときからこれが始まったわけではありません。

私は、速水日銀総裁にもここへ来ていただいて、同じことを、なぜゼロ金利政策が昨年、一昨年から始まったのかということを三年前に質問しました。

私は速水総裁に、あなたはお金の印刷ばかりしていらっしゃるけれども、お金に生活費を払っていらっしゃいますかと聞きました。

払っておりません。世界のどこの国がこういうことをやっていますか。どこの国もやっておりません。

あなたはどういう御心境で仕事をしていらっしゃるんですか。大変心苦しい思いでございます。

私は、本当に率直な答弁をしていただいたと思います。

そして今、福井総裁にも、百五十四兆円の一般家計に入るべき利子が所得移転。所得移転というのは経済用語の言葉です。一般用語では、これは泥棒というんです。

百五十四兆円が、入るべきお金がどこかへ持っていかれている、どこかで使われている。

これが、銀行を救済し、不良債権を減らし、そしてあのスーパー、あの建設会社の救済に使われている。

そうした建設会社、スーパーから預金者に対して礼状でも出ましたか。

あなたが得べかりし利子を途中、流用させていただいて、そのために私の会社は助かりました、私の銀行は助かりましたという礼状ぐらい私は出すべきじゃないかと思います。

国民勘定からいえば、百五十四兆円というのは消費税に換算して幾らになりますか。

毎年毎年、私が取り寄せた調査でも、今から十年前には毎年三十兆円、今ではわずか五兆円、これが利子として入っているんです。

アメリカの家計利子、日本の家計利子の収入を見てください。この激減ぶり。一九九〇年には三十四兆円の利子を受け取っていました。

今はわずか五兆円です。今、このパネルにはアメリカの利子収入統計は入っておりませんけれども、

アメリカの利子収入は過去十五年間コンスタントに家計に対して払われています。

竹中大臣、今一生懸命聞いていただいていますけれども、竹中大臣ならアメリカの経済についてもお詳しいと思いますけれども、

こうしたアメリカの家計所得への利子収入というのは家計の一〇%を割ったことはないんです。

家計の一〇%は利子という形で入ってくる、これが一般家庭の姿。

ところが、日本の場合には、今や家計所得の一%そこそこしかもらえない。はっきり言って、これはゼロの状態ですよ。

お金はあっても、世界で一番たくさん金融資産があるという国が、そのお金が収入を生まない。

毎年二十兆円の所得が奪われているということは、消費税に換算すれば、一〇%の見えざる消費税が日本では課せられているということなんです。

日本の消費税は五%ではありません。一五%です、一般家計に与える影響を考慮するならば。

これについて、福井総裁、家計所得という家計を中心とした経済の観点からすれば、これはもう限度に来ているんじゃありませんか。

利子が入らないどころか、貯金を取り崩さなきゃいかぬ。元本までも減っていく。利子は入らない、元本は減っていく。

その上、来年度から、いよいよ定率減税の縮小といったような形も含めていろいろな負担がふえている。

負担はふえる、収入は減る。これでは、踏んだりけったりというよりも、踏んだり取られたりの状態がこれから始まっていくんです。

福井総裁、どういうふうにお考えになりますか。

福井参考人 委員御指摘のとおり、ゼロ金利政策に限らず、経済の状況がよくないときに日本銀行が行います金融緩和政策は、

一般的に家計部門に負担をおかけする、それはそのとおりでございます。

しかし、それは同時に、金利全般の引き下げを通じて、企業活動、これを、問題を克服して前向きの活動が展開できるような状況に持っていくという、

同時にそちらの方の作用もございまして、あわせて、経済全体がなるべく早くいい状況に持っていく、これが目標でございます。


◆コメント:あまり補足は要らないと思いますが、ゼロ金利が続いたら、何年預金しても、利子が付かないのです。

テレビニュースを見ていたら、特に民放ですが、ゼロ金利解除が何か「悪いこと」のように聞こえます。

それは、ローンを借りている人だけにわざとインタビューするからです。預金に目を向けていない。

預金とは、預金者が銀行にカネを貸しているのです。

カネを貸しているのに、銀行は利息を払わなかった。厳密に言えば払っているけれど、0.0・・%等というのは、利息を払っているとは言えない。


◆岩國議員はメリルリンチの上級副社長だった、金融のプロ中のプロなのです。

民主党の岩國哲人議員は、この日記(ブログ)で何度も書いたけれど、かつて世界最大の証券会社、アメリカのメリルリンチ本社の上級副社長だった人です。

世界の金融界のトップ集団の一員だった人。福井さんはともかく、小泉首相の100倍ぐらい、経済・金融・財政に通暁(つうぎょう)している。

本稿の本題からは外れるけれど、岩國さんは、本当に問題の本質が分かっているから、この議事録を読めば分かるように、子どもでも分かるように、易しい言葉で質問できるのです。


◆ゼロ金利が続いたために国民が失った「得べかりし利益」が154兆円と日銀総裁が認めている。

「得べかりし利益」とは、ゼロ金利でなかったら預金者が受け取れたはずなのに、ゼロ金利が続いたために、もらい損なった預金利息の累計です。

それが国全体で、10年間で、154兆円だと、福井総裁は認めているのです。

岩國さんの目の付け所が絶妙で、アメリカでは家計所得の10%は利子収入だと。

日本もかつては家計収入の10%は利子だった。それが、ゼロ金利政策で奪われている。

これは、10%の税金をかけられているのと同じ事だ。だから、消費税に換算すれば、15%だ。

日本の消費税は名目は5%だけど、実質15%の高い消費税を払わされているのと同じだ、というわけです。

言われてみれば、当たり前なのだけど、後から言うのは簡単で、岩國議員の他にこのような指摘をした国会議員はいない。

この発想は、やはり金融・経済のプロだからこそ、すぐに出てくるのです。

ゼロ金利の為に、生活に困っている人が沢山いた。ところが、低い金利で資金を調達出来る銀行や、企業は大儲けしていた。

最近、日銀総裁もこっそり投資組合で儲けていた、というので大問題になっているのはご承知の通り。


◆ゼロ金利政策が解除されるのは悪いことではありません。

日銀が、金利の誘導目標水準を銀行間取引の無担コールという市場において0.25%にすると判断したのは、

いよいよデフレ(物価が下がり続けること)から脱却して、物価が上昇を始めたと判断したからです。

つまり、放っておけばインフレの可能性が生じる、と日銀は考えているわけです。

物価が上がれば、企業の売上げが増える。それが、やがてサラリーマンの給与所得にも反映する可能性を示唆しています。


◆物価が上昇すれば、負の資産の価値(負担)も軽くなる。

また、ローン金利が上がるのは困るというけれど、インフレになるということは、相対的にお金の価値が下がると言うことです。

それは、資産の価値が目減りすることです。ローンというのは、家計にとっては「マイナスの財産」、負の資産です。

物価が上昇してカネの価値が下がると、負の資産の価値も下がると言うことです。

それには、前提として企業の収益が従業員の所得の増加に結びつかないといけないのですが、

企業の業績がどんどん向上しているのに、給料が上がらなければ社員のやる気を削ぐことになるから、やがて、給料を増やすことになるでしょう。

すると、最終的には、ローンを抱えている人の負担も軽減されるのです。


◆結論:金利を上げるということは日銀が「景気が良くなっている」と認識していることを意味します。

給与所得が増加すれば、やがて個人消費が増える。つまり、モノやサービスの売れ行きが増える。

すると、企業が儲かる。従業員の給料が増える。というプラスの循環が始まるわけです。

これが景気の拡大ですが、行き過ぎると、バブル期にように、企業が土地投機に走るなど、弊害がある。

金融政策はその辺を見極めて、常に、一歩先を行かなければなりません。

今回は、公開市場操作の対象である。無担保コール翌日物(無担コールといいます)が5年間もゼロだったのを、25ベーシスポイント引き上げた訳ですが、

量的緩和策解除後も消費者物価指数が上昇しているのですから、当然です。

騒ぐようなことではないのです。

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2006.07.14

北朝鮮ミサイル問題、現状解説その3

◆国連「制裁決議」は、まず無理

7月5日に北朝鮮がミサイルを発射したけれど、9日経ったらもう緊張感が薄れてしまいました。

日本はアメリカが絶対後押ししてくれて、早い段階で国連安全保障理事会で「北朝鮮制裁決議」の採決に持ち込みたかったのです。



ところが、アメリカが、「まあ、待て。中国が6カ国協議のホスト国だから、北朝鮮を説得させよう」と言い出したのです。

日本はアメリカに逆らえないので、云うことを聞くしかありませんが、中国がわざと引き延ばしているのと、

北朝鮮はアメリカとの二国間交渉を望んでいたのに無視されて、結構カリカリしているので、ここでおいそれと云うことを聞くことはないようですね。



もともと、常任理事国のうち中国とロシアは北朝鮮に対する強硬策に否定的だから、

日本が提唱する対北朝鮮制裁決議案を国連安全保障理事会で採決しようとしても、中国かロシアが拒否権を発動したでしょう。

しかし、「制裁決議案」の決を採るところまで持ち込んだら、少しはサマになったけれど、今や「非難決議にしよう」ということで、

仮にこれが可決されても、別に北朝鮮は堪えない。


◆ノドンを本気で日本に撃ってきたら、迎撃不能だそうです。

絶対不可能というわけではないのです。可能かも知れない。

ミサイルを打ち落とすとなったら、イージス艦しかないようです。

アメリカにはアラスカとカリフォルニアに、地上配備迎撃ミサイル(GB1)を備えていますが、これは米国本土を守るためのもので、

日本を守るために配備してくれません。

しかもGB1とてまだ「ベータ版」みたいなもので、弾道ミサイルを100%打ち落とせるとは限らない。



他には、アメリカのイージス艦です。イージス艦でもスタンダードミサイル3(SM3)を装備している艦でなければ、迎撃不能だそうです。

日本もイージス艦を持っているけど、装備しているのは、スタンダードミサイル2(SM2)で、これでは、ノドンを打ち落とすことは無理。

しかもアメリカは、SM3を装備したイージス艦「シャイロ」を太平洋に展開していて、日本の防衛用に使ってくれない。つまり、日本近海に配備しない。

やはりアメリカは本気で日本を守る気は無いのでしょうね。



じゃあ、日本が独自にSM3を持てば良いではないかということですが、その予定はあるのです。

日本のイージス艦四隻にSM3を搭載する予定が。但し、「来年度」。

これが二隻あれば日本全土をカバーできるそうです。

ところが現実には、一隻はインド洋へ派遣し、一隻はアメリカでの訓練に出ていて、一隻は年次定期点検、という具合で、日本には一隻しかない。

また、ノドンが発射されたら着弾まで10分もかからないから、発射と同時にそれを探知出来なければいけないのですが、

アメリカの偵察衛星が探知した情報をアテにしているので、間に合わない。

もし核弾頭を積んだノドンが東京に落ちたら、お仕舞い。他人事じゃないんですよ。私は。東京都心にいるんだから。

しかしながら。私はその可能性は低い、と思います。

もし、北朝鮮が本当に東京に核弾頭若しくは生物・化学兵器の弾頭を落っことしたら、アメリカは、北朝鮮を攻撃する格好の口実が出来るし、

北朝鮮もそれぐらい分かっているからです。

何しろ、平壌には、横田めぐみさん達がいるのですから、そうならない事を祈ります。


◆「日本が攻撃されたら、金正日をピンポイント攻撃する」

元NHKのワシントン支局長で現在はワシントンのシンク・タンク、ハドソン研究所の上級研究員になっている日高義樹という人がいますが、日高さんによると、

「ミサイルが米軍基地や日本など米国の同盟国へ向かうような場合、米国は“金正日邸を撃つ”と北朝鮮に伝えてある」

とのこと。もう少し、情報筋の話を引用すると、
「米政府中枢の情報に詳しい日高氏は金総書記邸攻撃について『中国を通じて昨年末か年頭に伝えてある』と明らかにした。米国は北朝鮮の様子を常に監視しており、発射台の向いている方向、ミサイルの燃料などの情報を把握している。」

そうです。1991年の湾岸戦争のとき、ピンポイント攻撃の映像が何回もテレビで放送されました。

あの時の映像を思い出すと、あながちハッタリではないように思われるのです。


◆やはり黙っていた方が北朝鮮は不気味に感じたのではないかな。

私は、北朝鮮が7発のミサイルを撃った日に、「煙突男」と同じで、放っておけばよいのですよと書いたのですが、

やはりそうかな、と思うのです。今や、国際社会はあの憎たらしい男に振り回されているでしょう?

あのとき、世界が全く取り上げないで、静寂を保っていたら、却って金ちゃん、怖かったのではないか、と。無論推測でしかありませんが。

現在は、そういう状況です。

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2006.07.13

トロンボーンで「熊ん蜂の飛行」を吹く男。

◆お薦めCD。世界でただ一人、ソロで食っている、クラシック・トロンボーン奏者。

今日のお薦めはかなりマニアックなので、もしも気が向いたら、という程度でお読み頂きたい。

1958年スウェーデン生まれのトロンボーン奏者、クリスティアン・リンドベルイという人がいる。

クラシックの世界で、ソロ・トロンボーン奏者として食える、というのは、殆ど奇跡である。

トロンボーンは、ジャズのビッグバンドや吹奏楽では常連であるが、クラシックでは、オーケストラですら、出番が無いプログラムの方が多分、多い。

例えば、モーツァルトの交響曲は41曲あるが、トロンボーンの出番は一度もない。「魔笛」というオペラや遺作の「レクイエム」でかろうじて使っているだけだ。



トロンボーン協奏曲、というのは、実はかなりある。アルブレヒツベルガーという人の曲など私は結構好きだ。

また、かの有名なメンデルスゾーンのバイオリン協奏曲を初演したバイオリニストは、ライプツィッヒ・ゲバントハウス管弦楽団(メンデルスゾーンはこのオーケストラの指揮者だった)

のコンサートマスターだった、フィルディナンド・ダヴィッドという人物なのだが、このバイオリニストは作曲もした。

そして何故か、「トロンボーンの為の小協奏曲」(毎コンでトロンボーン部門がある年は、必ず課題曲になる)を書いている。大変美しい。

(ここ、インディアナ大学トロンボーン科のサイトで、楽譜を見て、音を聴くことができる)。

しかし、世界の大部分のオーケストラはコンサートプログラムにわざわざ「トロンボーン協奏曲」を入れようとしない。

客を呼べないからである。

だから、ソロ・トロンボーン奏者の需要は無きに等しい。


◆気絶しそうな上手さ

それなのに、クリスティアン・リンドベルイ(Christian Lindberg)がソリストとして食えるのは、無茶苦茶に上手いからである。

リムスキー・コルサコフという作曲家の歌劇「サルタン皇帝の物語」の中に「くまんばちの飛行」という、ずっと16分音符の細かい動きを続ける曲がある。

演奏時間にしたら、1分程度であるが、ピアノ、バイオリン、チェロ、フルート、あらゆる楽器で、

速く、上手く弾ける吹ける(ピアノや弦楽器や、木管楽器の場合、「指が回る」という云い方をする)テクニックを披露したときに、

(速いのだけがテクニックではないけど、素人にも一番分かりやすいでしょ?)この曲を演る。



リンドベルイは、トロンボーンで「くまんばちの飛行」を吹いてしまうのである。テンポを落とさずに、である。

他の楽器と異なり、トロンボーンは音程の変化はスライドと呼ばれる部分を伸縮させることによって行う。

全くスライドを伸ばさない状態を第一ポジションといい、半音下げる位置を第2ポジションという。第2ポジションまでが約9cmである。

第7ポジションまであるが、先に行くほど少しずつ、幅が広くなる。とにかく、音程の変化に要する運動量が非常に多い。

因みに、ポジションに「しるし」がついているわけでも、「ストッパー」がついているわけでもない。

トロンボーン奏者は弦楽器奏者と同じく、ただひたすら練習によって、正しい音程が出る各ポジションまでの距離を身体に覚え込ませる。

極めてユニークな管楽器であるが、必然的にキーやバルブを押えて音程を変える他の全ての管楽器よりも、「速い」音の動きを演奏するときは不利である。

「くまんばちの飛行」を吹くことなど、常識的に考えると絶対に無理なのであるが、その常識を覆したのがリンドベルイで、ただただ、驚嘆するしかない。



輸入盤になるが、Amazonにありますね。中古でも何枚かある。

The Virtuoso Trombone (トロンボーンのヴィルティオーゾ)というこのページで試聴ができる。

一曲目が「くまんばちの飛行」である。


◆モンティの「チャールダーシュ」その他もすさまじい。

この他、やはり、「速い」演奏を披露したいときに、いろいろな楽器で演奏されるモンティという作曲家の「チャールダーシュ」がある。

ジプシー音楽から題材を拾った曲だが、曲中間部では、演奏者の腕が鳴る。

そして、「スコットランドの釣鐘草による変奏曲」は、トロンボーン用に書かれたものだ。

「スコットランドの釣鐘草」は、誰でも聞いたことのある美しいメロディーである。これを、もとに変奏曲にしてある。

変奏曲の手法としてはいささか初歩的だが、第一変奏では、八分音符、第二変奏では三連符、最後の変奏では16分音符となる。

つまり、段々、音の動きが細かくなるのである。

最後になると、上で紹介した他の曲と同様に、「トロンボーンでこんな速い動きができるのか!」と驚かれることであろう。



ブラスバンドでトロンボーンを吹いている(いた)人などは、当然リンドベルイを知っているだろうが、

「普通の」クラシック聴きは、あまり管楽器のソロ、しかも金管のソロに興味を示さない。

しかし、この世か人類が滅びる前に(?)、リンドベルイの演奏を、一度ぐらいは聴いてみることをお薦めしたい。

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客なら態度が悪くてもいいのか?

◆街で見かける光景

私は業務のため仕事場から外出し、出先で昼飯どきになると「立ち食いそば」を利用することがしばしばある。

立ち食いそばという商売が全国的に同じようなシステムで経営されているのか定かではないが、

東京では、例えば天ぷら「蕎麦」にするか「うどん」にするかは、店員に口頭で伝えることになっている。

私が非常に気になるのが、この場合に、「そば!」「うどん!」と吐き捨てるようにいう人がとても多い、という事実である。

どうして、「蕎麦で御願いします」とか「うどんにしてください」とか言えないのかね。

そりゃ、相手はカネを払ったお客様であるから、そば屋の店員は、はい、かしこまりました、と応対しているが、店員の立場で考えてご覧なさい。

「蕎麦!」と言われるより「蕎麦、御願いします」と一言添えられると、随分気分が違うものだ。

カネを払った以上、「御願い」する必要はない、という人がいるだろう。

そういうのを「ケチな料簡」というのだ。


◆食い終わったら、日本語では「ごちそうさま」というのが「行儀」だ。

今の世の中、「行儀が良い(悪い)」という言葉を使う人が殆どいない。意識されていないようだ。

行儀とはマナーである。皆のマナーが良いと、「とかくに棲みにくい人の世」も多少は棲みやすくなる。多少の累積が大切である。

今のガキどもは行儀が悪いが、そもそも大人の行儀が悪くては文句を言えまい。

ものを食べ終えたら、「ごちそうさま」というのが日本の行儀である。これも履行する人が大変少ない。

私は云いますよ。必ず。食器を返すときに一言「ごちそうさま」と。


◆英国で気づいたこと

ロンドンにいる頃に気が付いた。

英国の全てが日本よりすぐれている、という気は毛頭無いが、このような「ちょっとした一言」に関して、英語圏はとても感じが良い。

あっちに旅行して、レストランでもマクドナルドでも同じだが、何か注文するときには、必ず、“please”をつけてくださいね。

“Hamburger,please.”とか“Coffee,please”とか。pleaseをつけないと、ホント野蛮人と見なされますよ。



それから、あちらでは客が例えばコーヒーを注文して、受け取るときには、「お客が」、必ず“Thank you.”をつける。

この僅かな気遣いが、大変世の中の雰囲気を良くしている。

カネを払った客である以上、横柄な態度でも良い、という考え方をするのは「紳士並びに淑女」のすることじゃないのですな。

私はこの点に関しては、冷静かつ客観的に評価して、英国人の方が「大人」だと思います。

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2006.07.11

<北朝鮮ミサイル>「基地攻撃能力は持つべき」額賀長官」←防衛庁長官、「防衛白書」を読んでいませんね?

◆記事1:<北朝鮮ミサイル>「基地攻撃能力は持つべき」額賀長官

額賀福志郎防衛庁長官は9日、北朝鮮の弾道ミサイル発射を受け、ミサイル基地への攻撃について「独立国として憲法の範囲内で国民を守るために限定的な能力を持つのは当然」と述べ、

自衛隊が敵地への攻撃能力を持つことを議論すべきだとの考えを示した。東京都内で記者団に語った。

ただ、「こういう事態が起こってすぐに結論を出すべきものではなく、与党の中でよく議論してもらいたい」とも語り、慎重に検討すべきだとの認識を示した。

また、「現状では日米同盟があり役割分担をしている。敵地への攻撃は米軍が行う」と説明した。

麻生太郎外相も同日、NHKの番組で「今の状況を考えた場合、国民の安全を守るためには(自衛権の範囲内でのミサイル基地攻撃は)間違いなく正しい」と語った。

政府は56年、当時の鳩山一郎内閣が「我が国に対して急迫不正の侵害が行われ、他に手段がない場合、必要最小限度の措置を取ること、

例えば誘導弾等の基地をたたくことは自衛の範囲で可能」との政府見解を出しており、額賀長官と麻生外相の発言は、これに沿ったものだ。 

安倍晋三官房長官は10日午前の記者会見で「日米同盟で盾(日本)と矛(米国)という役割分担があるなかにおいて、こうした理論をまとめていく必要がある」と話した。

(毎日新聞) - 7月10日12時27分更新


◆記事2:平成16年版「防衛白書」わが国の防衛政策にある解説 わが国に対する武力攻撃が発生した時点

わが国に対する武力攻撃が発生し、自衛権発動の3要件が満たされる場合には、自衛権の発動が可能である。

この場合の武力攻撃が発生した時点とは、「相手が武力攻撃に着手した時」であると考えられ、武力攻撃のおそれがあるだけでは着手と認められないが、

他方で武力攻撃による現実の侵害の結果の発生を待たなければならないというものではない。

なお、現実の事態において、どの時点で相手が武力攻撃に着手したかについては、

そのときの国際情勢、相手国の明示された意図、攻撃の手段、態様など様々な事情を勘案して判断する必要があるので、

一概には言えず、個別具体的に判断すべきものである。

いずれにせよ、政府は、従来から、未だ武力攻撃が発生していないのに武力攻撃のおそれがあると推量されるだけで他国を攻撃するいわゆる先制攻撃は許されないと説明している。


◆コメント:国連憲章が先制攻撃を認めていない。それをやったのがアメリカだろう。

つい先日、6月27日「国民は横田めぐみさん達を心配しているときに、米国大統領とはしゃいでいる内閣総理大臣」の中で、私は、「イラク戦争は何故、正しくないのか」を説明しました。

私では権威が無いので、専門家の見解を紹介します。

日本の国際法学者23人が2003年3月19日、イラク問題に関する国際法研究者の声明を当時の川口外相に手渡しています。

全文掲載しているサイトがありました。

イラク問題に関する国際法研究者の声明です。

但し、これは「しんぶん赤旗」(共産党の新聞)に掲載されているので、反戦は当たり前で、都合の良い具合に改ざんしてある、と疑われそうです。

そこで、司法試験受験予備校の先生として有名な、伊藤真氏が発行する伊藤塾|メールマガジン第35号(2003年3月29日)に、載っている要約を使わせていただきます。

力による支配ではなく法による支配を

~イラク問題に関する国際法研究者の声明

先の18日、日本の国際法研究者40名が、イラク問題に関して声明を発表し、外務省に申し入れました。要旨は次のとおりです。

国連憲章が認める武力行使禁止原則の例外は、

 (1)武力攻撃が発生した場合、安全保障理事会が必要な措置をとるまでの間、国家に認められる個別的または集団的な自衛権の行使

 (2)平和に対する脅威、平和の破壊または侵略行為に対する集団的措置として安保理が決定する行動、

の二つだけである。

長くなるので、この後はリンク先、伊藤塾|メールマガジン第35号(2003年3月29日)を読んで下さい。

念には念をいれて、朝日新聞の決議欠く攻撃は「国際法違反」 研究者ら声明提出へにもリンクを貼っておきます。

原則として、ある情報の信頼性は、複数の情報源でクロスチェックすることにより高まるので、こういう面倒なことをしているわけです。

23人の国際法学者の主張は、私が、6月27日付で書いたことと一致しています。



先制攻撃は、国際法上、積極的な侵略の手段としては勿論ですが、自衛権の拡大解釈としても容認されません。

額賀長官はこの程度の知識もないようです。


◆「防衛白書」に、「先制攻撃は認めないのが、政府の見解だ」、と書いてある。

記事2をお読み下さい。

これは、平成16年(2004年)の防衛白書の中にある「解説」です。

因みに、北朝鮮は2002年に核兵器を開発していることを認め、2003年1月に「核拡散防止条約」から脱退した後の防衛白書です。

しつこいようですが、大文字で一番大事なセンテンスを強調します。

 いずれにせよ、政府は、従来から、未だ武力攻撃が発生していないのに武力攻撃のおそれがあると推量されるだけで他国を攻撃するいわゆる先制攻撃は許されないと説明している。

政府の公式見解は、現在でも専守防衛であり、先制攻撃を認めていない

それを、内閣府の一外局たる防衛庁の長官が、ちょっと北朝鮮がミサイルを撃ったからという理由で、日本国の防衛に関する基本政策を変えるべきだ、と発言している。

立場をわきまえなさい。


◆これも「きな臭い」けど、とりあえず、ミサイル「防衛」構想が先でしょ?

平成15年12月19日付の「弾道ミサイル防衛システムの整備等について」に関する内閣官房長官談話

防衛白書の資料として掲載されています。

MD(Missile Defense ミサイル防衛)構想、つまり、弾道ミサイルが飛んできたときにこれを迎撃するシステムを開発するぞ、と小泉内閣は決めたのです。



小泉内閣の歴代の閣僚の発言から見て、小泉内閣は将来的には、憲法を改正して自衛隊を軍隊として、

徴兵制を施行して、集団的自衛権の行使も可能にしたがっていることは明らかです。

余談ですが、そういう政権を支持する国民が多いということは、皆さんそんなに戦争がしたいのでしょうか。まあ、それは、今はいいや。



要するに、ミサイル防衛構想も、将来、積極的な武力行使を行うことを念頭に入れていることは見え透いているけれど、

まだ、このときの公式の内閣官房長官声明は、ミサイル防衛システムは専守防衛だと言っている。

建前としては専守防衛なんです。内閣の公式声明が。

まず、迎撃ミサイルだと。こちらから攻撃するとは官房長官声明ですら、述べていない。

それを防衛庁長官ごときが軽々しく、「攻撃能力」などと言う言葉を口にするべきではない。



あのね。やはり若い諸君はなるべく海外の新聞、雑誌を読んで欲しいね。

ワシントンポスト、LAタイムズ、The Economist、Financial Times、The Times(Timeじゃない。英国の新聞の The Times)、皆、折に触れて書いている。

「日本は憲法によって武力の行使を禁止されている。そして日本はその規定を守り、戦後60年間、自衛隊を有してはいるが、ただの一度も武力行使をしていない」

とある種、畏敬の念を持って書いている。

別の云い方をすると、日本は決して武力を行使しない国、ということは「所与の条件」として、論旨を展開しているのです。


◆日本から攻撃されるまで、待っているほど金正日さんはお人好しですか。

仮定上の話として、こっちが本気で先制攻撃をかけることになったとしましょう。

そのためには、まず、憲法を改正して、そのための国民投票制度を考えて、法制化しなければなりません。

それだけで何年かかるでしょう。そして、相手を攻撃するシステムを完備します。それにも何年かかるでしょう?

いよいよ、北朝鮮が攻撃してきたも大丈夫。

って、それまで金ちゃんが黙ってみているわけ無いでしょ?


◆結論

北朝鮮がミサイルを発射したのは初めてではないけれども、今回は一日、合計7発発射して、海に落っこちただけでしょ?

これから、先制攻撃態勢を準備する間に国際情勢がどのように変化するかわからないでしょ?

ベルリンの壁が崩壊したときも、ソ連がこの世から無くなることも誰も全然想像していなかったのだから。

たかが一回、首領様が挑発したからといって、60年間堅持してきた方針を変えるようなことを軽々しく、

それも文民とはいえ、事実上の軍隊(自衛隊)の親玉が口にするべきではないのです。

大体、あの自衛隊の情報流出はどうなったのだ。どうしようもないのだろうね。

北朝鮮を攻撃しようとしたら、Winnyで情報が流出し、こちらの攻撃計画を全て北朝鮮は知っていた、なんてことになりそうな気がする。

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2006.07.10

エンピツ、アクセスカウンター30万突破御礼

◆日頃よりご愛読頂き、ありがとうございます。

現在、私は、全く同じ文章を、Web日記ENPITUと、ココログに、JIROの独断的日記ココログ版と何の工夫もない名前で載せています。

エキサイトにもまだアカウントは持っていますが、3つのサイトにまたがると、同じ文章を載せるとはいえ、コメントやTBに対応しきれなくなります。

そういうわけでエキサイトは閉めてはいませんが、全然更新していません。

本日、(7月9日日曜日)、エンピツのカウントが300,000に達しましたので、

日頃より御愛読下さっている読者の皆様に、心より、お礼を申し上げます。


◆僭越ながら「JIROの独断的日記」の沿革

エンピツに初めて書いたのは2002年4月15日ですが、当時はまだ何を書いたらよいか方針が定まらず、最初の半年ぐらいは、サボり気味です。

2002年10月8日に小柴東大名誉教授のノーベル物理学賞、翌日、10月9日に島津製作所の田中耕一さんがノーベル化学賞を受賞するという快挙がありましたが、

この日から、何故か、ほぼ毎日書き始めるようになったのです。



しかし、殆ど読者はいなかったですね。ウェブ日記を紹介するサイトの存在すら知らなかったのです。

何かの拍子に、日記才人(にっきさいと)を知るようになって、登録しましたが、

登録件数が多いからなかなかはじめは人目に止まらなかったですね。


◆ココログは2004年11月からです。

ブログを使い始めた理由は、要するに好奇心です。

エンピツを書き始めた2002年4月頃は、ブログなんて言う言葉は、誰も知らなかったと思います。それは、ほぼ、断言できます。



ところが、その後、あまりにも爆発的にBlogという言葉が広まり、書いたり読んだりする人が増えて、ウェブ日記の方が少なくなってしまった。

じゃ、ブログってのは一体、ウェブ日記と何が違うのか?という好奇心です。

もう一つは、言うことが矛盾してますが、私は基本的には、流行を追うという行為は大嫌いなのです。

しかし、私は、かなりの頻度で、「天下国家を論じ」ております。

つまり、「世の中がこうあるべきだ」「この政治家の考え方は正しくない」という類の主張を発信しているわけです。

こういうことは、なるべく多くの人に知って貰いたい。ならば、同じ文章を複数のサイトに掲載した方が、人目に触れる確率が高くなります。

それが、理由です。


◆アクセス数10万までは2年9か月、そこから30万までは1年半でした。

2002年4月15日にエンピツに登録して、カウンターが100,000に到達したのは、昨年、2005年1月3日でした。994日かかりました。

そして、お陰様で今日、300,000を突破しました。この200,000ビューは552日で達成しています。

そのように見ると、非常に急激にアクセス数が増えているようですがそれは、当たり前なのです。



エンピツとココログ、或いはココログをご覧の方はお気づき方と思いますが、私は自分の過去の記事にリンクを貼るときに、

エンピツは当然として、ココログからも、エンピツにリンクを貼っているのです。

ココログのみの読者の方もリンクをクリックすれば、エンピツのアクセス数に計上されるのです。

しかし、それでも、エンピツとココログそれぞれのアクセス解析を見ると、重複しない方が、かなりおられますので、

すこしずつながらも読んで下さる方が増えているのはほぼ間違い無く、500回目、700回目、1,000回目という古くからご愛読下さっている方もいらっしゃいまして、恐縮至極です。


◆大学、官公庁、マスコミ、様々な方からご高覧賜り、忝なく存じます。

読者のアクセス元は勿論、分かります。

これは守秘義務がありますから、当然固有名詞は出せませんが、国公立大学(北から、南まで)、中央官庁の方、立法府の方、マスコミの方、

超一流企業の方、高校生のかた、地方公務員の方、また、アメリカの方、ヨーロッパの方、南半球の方、

太平洋の真ん中から読んで下さる方、実に様々な読者がおられて光栄に存じます。



エンピツもココログもレイアウトは汚いし、デザインも全然工夫しない無骨なサイトですが、毎日読んで下さると言うことは、

人生の一部の時間を私の稚拙な駄文を読むために割いて下さっているわけですから、それだけで、忝ない。

この数年、このように文章を書いて感じたのが、「プロの物書きは大変だな」ということです。



私の文章は無論、「商品」に値するものではありませんが、プロの文筆家というのは、何しろ文章を書いてお金を取るのですから、つくづく大変だろうな、と。

カネを払っても読みたい文章を書かなくてはいけない。

小説家なら読んで面白かったと思わせなければいけない。

しかし、そればかりを考えて、つまり「売れるか売れないか」ばかりを考えていると、自分の本来表現したいことを忘れて、迎合的になります。

この辺、実に難しいというか、しんどいだろうなと、改めて、「プロの物書き」を尊敬しました。


◆最後につまらんことですが、

エンピツの最初の文章を書いてから、昨日までに書いた原稿が1,366本。

つまり、今日は「JIROの独断的日記」(1367号)です。

2002年4月15日から、2006年7月9日は1546日です。

最初の半年、殆ど真面目に書いていなかったのが、見事に(?)反映されております。


◆天下国家と音楽

時事問題を取り上げることが殆どですが、たまに書く、「知ったかぶりクラシック談義」を楽しみにしているというメールを、頂戴します。

「薦められたCDを聴いたけど、なかなか良かった」、と感想を書いて下さる方もいらっしゃいます。

実は、これは殆ど飛び上がるほどうれしいことです。



私にとってクラシック音楽は命の次ぐらいに大事なものなので、私の鈍才でも、その素晴らしさを他の方々にお伝えできたかと思うと、

電車の中で嬉しさの思い出し笑いがこみ上げてきて、怪しげな人物になってしまったことも一度や二度ではありません。

すぐれた芸術は世の中に絶対に必要なものです。いささか青臭いのですが、中学生の時に目にした、カールベームという指揮者の

「人間の存在を少しでも明るく照らし出すことが、芸術家に与えられた使命だと信じています」

という言葉がわすれられません(若い頃、感動した言葉は一生忘れないものです)。

これからも、世の中の問題と、世の中で最も美しいものを、平行して書いていきたいと思っております。

今後とも、よろしければ駄文にお付き合い頂ければ幸甚でございます。失礼いたしました。

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2006.07.09

「北制裁決議案、7か国が共同提案…10日採決の方針」 一番困っているのは中国ですね。現状解説その2

◆記事:北制裁決議案、7か国が共同提案…10日採決の方針

【ニューヨーク=白川義和】国連安全保障理事会の非公式協議が7日午後(日本時間8日未明)開かれ、日本は北朝鮮のミサイル発射を非難し、

制裁措置も盛り込んだ決議案を一部修正したうえで、米国、英国、フランスと共同で正式に提出した。

デンマーク、スロバキア、ギリシャも加わり、7か国が共同提案国となる。

中国は強硬に反対し、拒否権行使も辞さない構えだが、日米英仏は10日採決の方針で準備を進めている。

安保理筋によると、この日の非公式協議では、中露を除く13か国が決議案の原則支持を表明。中国は「最善のアプローチは議長声明」とし、決議への反対を改めて示した

中国の王光亜・国連大使は記者団に対し、決議案が採決にかけられた場合、「安保理の一体性はなくなる」と主張。

「すべての可能性がテーブルにある」と述べ、拒否権行使を排除しなかった。

採択されるには、理事国15か国のうち、9か国以上の賛成が必要で、常任理事国が拒否権を行使しないことが条件となる。(読売新聞) - 7月8日18時24分更新


◆コメント:中国が頭を抱えています。

北朝鮮がミサイルを発射して、困っているのは中国です。今まで一番北朝鮮の核開発など、他の国が非難していることを庇っていたのが中国です。

「経済制裁は良くない。追い込むと暴発するかも知れない」と言っていたのですが、日本などが経済制裁を発動していないのに、北朝鮮がミサイル発射という暴挙に出た。

また、中国は六カ国協議の議長を務めるのに、北を六カ国協議に引っ張り出してくることができなかった。



北朝鮮はマカオの銀行に現金を置いておいたのですが、昨年の9月に、アメリカはマカオの銀行をマネロンに協力したとして、資産を凍結した。使えなくしてしまったのです。

北朝鮮は、覚醒剤などを売って「稼いだ」お金を使えない。どんどんお金が無くなってゆく。

お金が無いと、外国から食い物も買えない。武器が買えない。工作員養成の資金も無い。強制収容所の維持もできない。

かなり困っていた。で頭を下げたら、お仕舞いだから、アメリカに直接対話に出てこいよ、と言うサインを示すためにミサイルを撃った、ということのようです。


◆月曜日に国連安全保障理事会が開かれます。

ここでは、経済制裁を含む措置と、北朝鮮を非難する声明を決議したいのです。そうしたい国の方が圧倒的に多い。

けれども、常任理事国である中国が拒否権を発動したら、決議は採択されません。

中国はその場合、世界中から睨まれ、孤立します。

ロシアも北朝鮮と親密ですが、狡いですから、安保理決議の際は、賛成とも反対とも言わないで、「棄権」する可能性が高い。

ますます、中国だけ世界で「浮いた」存在になる。



そうならないために、中国は必死でロシアにも拒否権を発動するように頼みつつ、北朝鮮には、六カ国協議に出てこい、と説得しているはずです。


◆額賀防衛庁長官は北のスカッドミサイルの脅威を誇張しています。

額賀防衛庁長官は、「北朝鮮のスカッドミサイルは100発以上あり、日本全土が射程に入る。日本はまだ打ち落とすことができない。大変だ。迎撃システム構築を急がないと」、と、

この期を利用して日本の軍備増強のチャンスにしようとしていますが、そんなの今、慌てても仕方がない。



今回はアメリカが射程に入るテポドン2号を撃ったので(失敗しましたがもう一発ある)、アメリカもムキになっていて、空母とかイージス艦を日本周辺においています。

このイージス艦から発射されるミサイルだけでも北朝鮮全土を攻撃できてしまう。それが何隻もいる。

北朝鮮が日本国内でまず狙うのは米軍基地ですから、もしも、本当に北朝鮮がこちらに向けて撃ったら、イージス艦は殆ど同時に北に向けてミサイルを発射する。

それぐらいのことは首領様は分かっています。だから、防衛庁は脅かしてくるけど、あたふたしない方がいいです。

要するに、10日の国連安全保障理事会で中国がどうするかを待つしかないです。


◆余談ですが、台風3号が朝鮮半島のど真ん中を通りそうです。

余談ですが、台風3号の進路予想図を見ると、朝鮮半島が、コースのど真ん中に位置しています。

短距離ミサイルはともかく、大陸間弾道ミサイルであるテポドン2号の2発目を打ち上げるのは、暫く難しくなるでしょうね。

(勿論、北朝鮮のミサイル問題、核開発問題の抜本的解決とは関係ありません。だから、「余談」と書いたのです。)

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2006.07.08

お薦めいろいろ。(加筆版)

◆音楽配信サービス:ナクソス・ミュージック・ライブラリー

これです。→ナクソス・ミュージック・ライブラリー

完全定額制。一ヶ月1,900円で、いくらでも聴き放題。超有名曲から、超無名曲まで。

但し、ストリーミング再生オンリーです。ダウンロードは一切できません。

iPodに録れて屋外でいつでも気軽に、と言う訳にはいかないということです。しかし、クラシックは一曲が長いから、あまりダウンロードに適さないのではないかと思うのです。

オペラなんか、CD3枚で「一曲」。

極端な場合、ワーグナーの楽劇「ニーベルングの指環」ってのは、全部上演するのに4晩かかるのです。4時間じゃないよ。4晩。

しかも、一晩それぞれ3時間。CD20数枚で「一曲」。



ブルックナーの交響曲の長い奴もCD2枚で「一曲」。

だから、ナクソス・ミュージック・ライブラリーの配信形式は、クラシックに適していると思います。

自宅でじっくり聴く。

もう一つ。クラシックのピアニッシモは本当に弱い音だから、いくら音を遮断するヘッドフォンをつけたとしても、雑音があったら聞こえない。

電車の中で聴くものではないんです(聴くのは自由だけどね)。



「ナクソス」というのは、1984年にドイツ生まれの実業家と日本人バイオリニストの奥さんが起こしたCDのレーベルで、一枚1,000円もしないCDを売り出したので、有名。

演奏家はグラモフォンとか、フィリップス、ロンドン、のような有名レーベルに出るような人はいないけど、無名で優秀な演奏家を見事に発掘している。

とにかく、聴き放題、ひと月でバッハのカンタータ全部聴いても(無理だと思うけど)、

ヴェルディとプッチーニのオペラ全部聴いても(無理だと思うけど)、1890円。



初心者向けの、「ベスト・オブ・バッハ」の類も用意されている。「映画で使われたクラシック」とかね。



一方で、極めてマニアックなコレクションが揃っている。私もこんなに知らない曲が多いのだと言うことを痛感しました。

映画アマデウスでは、モーツァルトに嫉妬心を抱く「無能な」作曲家のように描かれているサリエリの曲。初めて聴きました。

サリエリってね。映画のイメージ(あの役者さんは上手いね)が強すぎるけど、ベートーベン、シューベルト、ピアノ教則本で有名なチェルニーなどの先生なんですよ。

ナクソス・ミュージックライブラリーには、サリエリの「オーボエ協奏曲」があったので聴きました。

決して、鈍才ではない。それなりの才能がある人です。

ただ、相手(モーツァルト)があまりにも超弩級の天才だった。それが、悲劇でした。

けれども、モーツァルトの天才を見抜いたということは、サリエリにもそれだけの才能があったということです。凡人に天才は見抜けません。



さて、ナクソス・ミュージックライブラリーには、ものすごく珍しい曲、演奏も多い。

「イギリス・チューバ協奏曲集」とか、「四手によるウェーバー序曲集」とか。

ヴォーンウィリアムズのテューバ協奏曲って、日本のチャンバラ映画からヒントを得たとしか思えない。変ってるわ。この人。

「四手(二台のピアノということ)によるウェーバー序曲集」。聴いたことのないピアニストだけど、上手い。

「アブハッサン」なんて、オーケストラに引けを取らない。

初心者もマニアも楽しめるように工夫されている、良心的なサービスだと思い、紹介しました。


◆インターネットコンテンス配信(アメリカの昔のテレビドラマ)AII「チャーリーズ・エンジェル」

驚いたね。AIIは昨年の選挙前、ビデオニュース・ドットコムを見るために登録したのだが、

他のコンテンツ配信サービスのようにいろいろな番組を流している。

韓流もいいが、私たちが学生の頃、日曜日の夜、アメリカのテレビドラマを吹き替えで日本の民放がよく放送していたでしょう?



数年前、映画としてリバイバルした「チャーリーズ・エンジェル」はありゃだめですよ。

元祖は30年前だけど見てご覧なさい。今はこの女優さんたち、見る影もないだろうがこの頃は綺麗。

これですよ。テレビドラマってところ。

ケイト・ジャクソン、ファラ・フォーセット・メジャーズ、ジャクリン・スミスですよ。

綺麗な画像で見られます。声優は違うけどね。違和感ないです。一話2日間315円。

その前にAIIの入会費がいるのかな?大したこと無いですよ。


DVD「王様のレストラン」

1995年、つまり11年前のテレビドラマ。

当時私はロンドンにいたけど、日本のテレビをビデオにして貸し出している日本書店があって偶然見つけた。

あまりの面白さに驚いた。三谷幸喜氏を知ったのは、これが初めて。

このドラマは、11話全てがセットの中だけで撮られている(全くロケが無い)。

レストランのセットだけが舞台である。それでこれだけ面白い。完全な台詞劇。大変な才能だと思った。



DVDでは、副音声で、全話に三谷氏と俳優のコメントが入っている。一つだけネタバレ。

冒頭の格言、

「人生で起きることは、全て皿の中でも起きる」(ミッシェル・サラゲッタ)

は、全部、三谷氏の創作だという。大したものだ。



服部隆之氏の音楽も素晴らしい。

あの冒頭の音楽、フランス語で「勇気」という意味らしいが、聴く度にまさしく勇気を鼓舞される。

それにしても、あのホルンソロ、美味しい(丁度良いぐらいの難しさで、カッコイイメロディーで、目立つ、という意味です)よね。

ホルン吹きが羨ましい。今日は、軽めでしたね。たまには良いでしょう。疲れたよ。

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2006.07.07

北朝鮮の目論見 6カ国協議より対米直接対話 現状解説。

◆北朝鮮は何故あんなことをしたのでしょう。

北朝鮮がミサイル発射の準備をしているという情報は5月から一般にも報道されていました。

金正日は、アメリカに言いがかりをつけられて、国の中をごちゃごちゃにされたイラクを見て、「あの二の舞はご免だ」という気持ちがあります。

アメリカは北朝鮮を「悪の枢軸」と言っています。

まあ、アメリカも核兵器を持った国の本土をいきなり攻撃したことはないのですが、北朝鮮は、世界一の超大国に、北朝鮮という国家の存在を認めさせたい。


◆北朝鮮と世界との窓口は六カ国協議しかないのですが、北朝鮮は乗り気ではない。

6カ国協議というのは、2002年、北朝鮮が核兵器を開発していることを世界に対して認め、核拡散防止条約から脱退したのがきっかけで、

こりゃ、北を放っておくと何をするか分からんというので、関係が深い、日本、中国、ロシア、韓国、アメリカ、北朝鮮で会議を開こうとしたのです。

何とか、北朝鮮を国際会議の場に引きずり出そうとして作られた会議なのですが、北朝鮮は中国や韓国との交渉はどうでも良い。

日本は、日本のカネは欲しいけれども、(当然なのですが)拉致問題をしつこく言ってくるので北朝鮮から見ると、鬱陶しい。

それよりも、世界で最も軍事力その他強大な国力を持つアメリカに「お前のところはイラクみたいにしないから、安心しな」と云って欲しいわけです。

そうすれば、北朝鮮から見れば、他の国など怖くない(失礼な話ですが)。

また、アメリカは北朝鮮がマカオに持っている口座を凍結したりして、北朝鮮が外国の銀行においている多額の資金を使えないようにしています。

これが、かなり効いた(北朝鮮にとって打撃だった)ようです。だから、このカネも何とか凍結を解除して欲しい。



大雑把に言うと、このような理由により、北朝鮮はアメリカとの二国間対話、直接対話を実現したいのです。


◆6月上旬にアメリカ高官を平壌に招待して断られた。

直接対話を実現するために北朝鮮は6月1日に、アメリカ政府の北朝鮮担当者、ヒル国務次官補を平壌に招待したい、といいました。

ところが、ブッシュが断りました。

「米国は6カ国協議でのみ、北朝鮮と交渉する。直接交渉はしない」

と言ったのです。6月9日に共同通信が伝えています。


◆その後から、ミサイルをチラつかせてきたのです。

北朝鮮がミサイルの発射準備をおおっぴらに始めたのが、大体その後からです。

「アメリカが直接対話に応じないなら、ミサイル撃つぞ!」ということですが、これも手段としては幼稚です。

「ミサイル撃つぞ」と脅かされて、アメリカが、「分かった。会おう」というわけないじゃないですか。

面目丸つぶれ。北朝鮮の脅しに屈したことになるのですから。

ただ、北朝鮮はこれより他に、アピールする手段がないのです。


◆アメリカは中国に六カ国協議に「北」を出させろよ、と要求しました。

六カ国協議を主導しているのは中国なので、アメリカから、中国に対して、北朝鮮を六カ国協議に出させるよう説得しろよ、と要求が入りました。

中国は北朝鮮を支援していますが、アメリカと北朝鮮のどちらがよりおっかないかといえば、それはアメリカですから、色々と試みているようでしたが、上手く行きませんでした。



韓国も盧武鉉大統領は、北朝鮮を追い込むより、対話に持っていこうという「宥和政策」を続けています。

金大中の頃から始まった「太陽政策」(イソップ物語の北風と太陽の寓話から来ています)を踏襲している。

アメリカの偵察衛星や、日本の情報当局が、「北朝鮮がミサイル発射準備をしているぞ」といっているのに、

「いや、あれは人工衛星だよ。大丈夫だよ」と言い張っていました。

昨日、やはりミサイルだったことが明らかになり、韓国も面目をつぶしました。

今日の中央日報【社説】ミサイル危機、韓日米の共助優先は怒り狂っています。

「日本やアメリカがミサイルだといっていたのに、わが国だけ、人工衛星だと言い続けて、いまさらどうやって弁明するつもりだ!」

ということをかなり厳しい論調で書いています。


◆日本も内閣総理大臣が対話対話と言い続けているからあまり威張れた物ではない

北朝鮮は、もう一発テポドンを撃つ準備をしているようですが、これを撃ってしまったら、とりあえずテポドン2号は打ち止め。アメリカに届くミサイルがない。



やらないとは思いますが、アメリカは、「事前通告も無しに発射されたら戦争と区別がつかない」と言っているし、

万が一、テポドン2号がアメリカ本土に届くか届きそうになったら本当にヤバい。

アメリカは相手に先制攻撃させておいて反撃するのが大好きですから。

金正日は狂っているように見えますが、それはない、と思います。

ミサイルを落下させた場所は、丁度無難な場所に集中させています。やけくそではない。しかし、一触即発、というのが、現状です。

日本では、小泉首相が、「対話が大事だ」と繰り返しながら、全然対話が進まず、緊張緩和に成功していない。

やはり、金融制裁とか、その他の経済制裁とかしないと、ダメでしょうね。

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2006.07.06

北朝鮮に対する声明は「内閣総理大臣」名ではなく「内閣官房長官宣言」なのですよ。

  • 本日(5日)未明より複数回にわたり、北朝鮮から、弾道ミサイル又は何らかの飛翔体が発射されたものと考えられる。政府としては、関係閣僚と関係省庁を緊急参集させるなどして、対応に万全を期しているところである。

  • 我が国としては、北朝鮮による今回の弾道ミサイル又は飛翔体の発射は極めて憂慮すべきものであると考えている。北朝鮮については、1998年8月にも我が国上空を通過するテポドン1を基礎とした弾道ミサイルの発射を行っており、今回、我が国を含む関係各国による事前の警告にもかかわらず発射を強行したことは、我が国の安全保障や国際社会の平和と安定、さらには大量破壊兵器の不拡散という観点から重大な問題であり、船舶・航空機の航行の安全に関する国際法上問題であると同時に、日朝平壌宣言にあるミサイル発射モラトリアムにも反する疑いが強い。また、六者会合の共同声明とも相容れない。北朝鮮に対しては、我が国として厳重に抗議し、遺憾の意を表明する。さらに、北朝鮮がミサイル発射モラトリアムを改めて確認し、それに従った行動をとると同時に、六者会合へ早期かつ無条件に復帰することを強く求める。

  • 北朝鮮による今回の発射に対しては、我が国として厳しい措置をもって臨む。今後速やかに我が国として法に則った措置を決定し、改めて発表する。

  • また、北朝鮮による発射は、国際社会において厳しく糾弾されるべきものである。このため、国際社会全体としての対応が重要であり、日米同盟に基づく米国との協力を始め、六者会合参加国を含む関係国との連携をさらに進め、また、国連安全保障理事会において然るべき対処がなされるよう働きかけを行う。


    ◆参考:一日一小泉(NTVネットテレビ)より首相発言の抜粋

    どういう意図があるのか不明だが、北朝鮮の為にならない行為だ。

    日朝平壌宣言を違反しないように働きかけて行かなければならない。

    (対北金融制裁を発動するか?と記者に問われ)どういう圧力をかけるかは、話すべきじゃないと思う。

    (ブッシュ大統領とは話したのか?と問われ)話しましたよ。(ミサイル発射後ですか?)いえ、(ミサイル発射)後は話してませんけど。


    ◆コメント:内閣総理大臣は大統領じゃないのですが、もう少しやる気を出しなさいよ。

    昨日の北朝鮮の行為に対して、日本国が公式の声明を発表したのは、記事に掲載した、「内閣官房長官声明」である。

    内閣官房長官は、内閣のスポークスマンであり、何も取り立てて発表することが無い日は別として、原則、午前と午後、一回ずつ記者会見を発表する。

    昨日は緊急記者会見が行われ、その場で声明を発したのは官房長官だから、「内閣官房長官声明」なのだろう。まあ、昨日も書いたようにあたふたするより良いかもしれぬ。

    また、行政権は内閣に属し(日本国憲法65条)内閣総理大臣が一人で何でも決めることはできない。

    日本テレビがインターネットで流している一日一小泉では、その日のぶら下がり会見の一問一答を映像とともに聴くことができる。

    その抜粋が、参考に載せたものである。

    あたふたしないのはいい。

    しかし、北朝鮮のミサイルはやろうと思えば、日本の領海または、領土に着弾させることができたのであり、国民の平和的生存権を脅かす危険があったのだから、

    非常事態の一歩手前だったことは客観的に見れば明らかである。

    一日一小泉を聴くと分かるが、小泉首相は9月に辞める(と、今はいっている)、

    つまり、アメリカ大統領でいえばlame duckの状態であるが、だからといって、プレスリー邸であれだけはしゃぐエネルギーがあった割に、

    国家非常事態(一歩前)に臨む内閣総理大臣の態度としてはあまりにも投げやりに思われる。

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    2006.07.05

    「北ミサイル1発は『テポドン2』の発射失敗…米高官」←「煙突男」と同じで、放っておけばよいのですよ。

    ◆記事:北ミサイル1発は「テポドン2」の発射失敗…米高官

    【ワシントン=坂元隆】CNNテレビが4日、国務省高官の話として報じたところによると、北朝鮮は長距離弾道ミサイル「テポドン2号」も発射したが失敗した模様だという。

    同高官は、北朝鮮はこのほか、より射程距離の短いミサイルを少なくとも2発発射したが、いずれもテポドン2号の発射基地とは異なる場所から発射されたと話した。

    この国務省高官はCNNに対し、北朝鮮のミサイル発射は、米国のスペースシャトル「ディスカバリー」の発射と時期を合わせたものだとし、

    「(米国など国際社会の)注目を集めるための挑発的行為だ」と批判した。(読売新聞) - 7月5日7時53分更新


    ◆コメント:国際社会が騒ぐと首領様の「思うつぼ」にはまってしまうのですね。

    くそー。今日は休みのはずだったのに、こいつのせいで叩き起こされたじゃないか!眠くて仕方がない。



    今年に入ってからは、3月8日に北朝鮮は、ミサイルを発射していますが、これは「地対艦ミサイル」で、北朝鮮の領海内に落っこちてます。

    今日は、朝っぱらから、6発撃って、一発は発射失敗。こりゃ、まずかったね。テポドン2号、大したこと無いじゃない。ん?追加情報では、8時過ぎにもう一発発射した?



    それにしても、金ちゃん、芸が細かいね。

    アメリカの独立記念日に撃てば、米国人はカッカ来ますね。さすがに。で直接交渉に持ち込もうということ?



    あのね。北朝鮮は、食い物が無いし、経済を自力で立て直すことなんかできないのですね。餓死者が200万人以上も出ている。

    そのくせ、ノドンなんか100発以上も蓄えている。そんなものを作るカネがあったら国民に食わせてやれば良さそうなものだが、

    金正日がひとりで「メタボリック・シンドローム」になっているのです。



    北朝鮮は、ジャパンマネーや、日本などからの食い物が欲しくて仕方がない。日本に落としたら、お仕舞いなのですね。

    詳しくは3月8日に書きましたから、読んで下さい。

    国際社会が騒ぐほど、金正日の、思うツボ。

    政府は一言「あ、そう?メシ要らないのね?」と。

    勿論、専門家はウォッチしていないといけませんけどね。

    今日一日、日本のマスコミはこのニュースばかりを流すでしょうけど、そうやって騒ぐと、相手の目論見(もくろみ)にはまってしまう。

    黙ーっていれば、良いのですよ。

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    2006.07.04

    「ウィニー開発・公開の元東大大学院助手に懲役1年求刑」←「形が無い財産」という概念が本当に理解できるかどうか、です。

    ◆記事:ウィニー開発・公開の元東大大学院助手に懲役1年求刑

    ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」を開発、インターネットで公開し、ゲームソフトなどの違法コピーを手助けしたとして、

    著作権法違反(公衆送信権の侵害)ほう助罪に問われた元東京大大学院助手金子勇被告(35)に対する論告求刑公判が3日、京都地裁(氷室真裁判長)であった。

    検察側は「著作権侵害に向けられた確定的犯意に基づく犯行で、被害は甚大」などとして、懲役1年を求刑した。弁護側が9月4日に最終弁論を行い、結審する。

    論告で検察側は、金子被告が「インターネット社会では情報はタダで当たり前」などとネットの掲示板に書き込んでいたことを明らかにした上で、

    「著作権侵害にウィニーが利用されることを意図して開発、公開したことは明白」と指摘した。 (読売新聞) - 7月3日20時22分更新


    ◆コメント:形が無い財産でも、盗んだら泥棒だ、というだけのことです。

    これは、さほど難しい話ではないですね。



    他人の家に入り込んでお金を盗んだら、窃盗罪ですよね。

    美術品や、パソコンを盗んでも泥棒ですよね?これは子どもでも分かります。

    盗みの対象物が有形物だからです。

    昔は人間の財産と言えば、形がある物ばかりでした。

    しかし、やがて、人間が頭で考え出したアイデア(特許)、デザイン(意匠)、精神的な創作物(音楽、文学、ソフトウェアプログラム)なども、市場を通して売買するようになりました。



    自分の財産を自分が自由に支配できる権利を「私有財産権」と言います。私有財産権を認めるのが資本主義経済の大前提です。

    本件の場合、財産が「目に見えないもの」なのですね。



    私の学生の頃は「無体財産権」(これ、専門の先生に訊いたら「むていざいさんけん」と読むのが本当だそうです)と言いました。

    こちらの方が分かりやすい。今は「知的財産権」といいます。

    いずれにせよ、形があるものばかりではなく、音楽や、発明や、プログラムや、アイディアや、デザインが売買の対象になる、ということは、

    資本主義の基礎、「私有財産」である。ということです。

    逆の云い方をすれば「財産」とは、市場(マーケット)で売買の対象、つまり「商品」になるものです。

    ある人は自分のアイデアや作った音楽、それを録音したCDなどを、市場を通じて売り、対価として、お金を受け取って生計を立てているわけです。

    ですから、ある人が考えたり作ったりしたモノを、その人にお金を支払わずにコピーして、勝手に第三者同士が交換したら、最初に考えた人はお金が入らなくなり、困りますよね?


    ◆ファイル交換ソフトがすべて違法ではない、ということは分かります。

    P2P、ファイル交換の全てが違法でないことは知っています。

    しかし、現実には多くの人は、本当はお金を払ってCDを買わないと聞けない音楽や入手できないコンピューターソフトを、

    お金を払わないで済ませるために、ファイル交換ソフトの一種であるWinnyを用いているわけですよね?

    いろいろ、きれい事を言っても結局お金を払うのが勿体ないから、そうするのですよね? これはいけないのです。


    ◆私有財産権を認めないのは、一種の共産主義です。

    これは、

    「オレのものはオレのもの。他人のものもオレのもの」

    という考え方です。

    他人の財産と自分の財産を概念上区別できていないのです。

    社会の構成員が互いに他の人の「私有財産権」を尊重しない社会は、資本主義社会ではありません。

    変な云い方をすれば、一種の原始共産制です。マルクスレーニン主義という意味ではありません。

    もっと原始共産主義的思想です。


    ◆結論:目に見えない「財」であっても、対価を支払うのが資本主義経済です。

    他人の家に入ってお金を盗むのに比べると、パソコンを使い、ファイル交換ソフトを通じて、目に見えない「音声ファイル」や「ソフトウェア」を交換するのは、罪悪感を感じにくい。

    それが、Winnyによる違法コピーが止まらない原因でしょう。

    しかし、今までの説明でお分かりと思いますが、その行為は、他人の私有財産権を侵害している点において、泥棒と変らないのです。さらに、資本主義の根幹を否定しています。

    だから、こういう事をしてはいけないのだ、と検察は言っているのです。

    抽象的な思考ができるかどうかです。できないひとは、著作権侵害をなかなか「犯罪」として認識できません。

    知能・思考力が試されています。

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    2006.07.03

    岩城音楽教室

    ◆岩城音楽教室(光文社 知恵の森文庫)

    今日はこの本からすこし。

    夕べ、「N響アワー」の最後はチャイコフスキー「悲愴」の終楽章でした。できれば第3楽章を見せて欲しかった。

    というのはですね。



    岩城さんが生まれて初めてN響を指揮したときのメイン・プログラムがやはり「悲愴」でした。

    岩城さんは、首の病気をするぐらい、かなり大振り(指揮の動作が大きいということ)でしたが、デビューのときは、すさまじかったそうです。

    第3楽章は進むにつれてどんどん盛り上がっていくんです。これ、いいですよ。興奮します。

    かなりのベテランでも大振りしますが、デビューの岩城さんは、3楽章の途中で右腕が動かなくなってしまった。



    暴れすぎて、脱臼したのです。しかし、不思議なことに暫くしたら動くようになった。また動かなくなったというのを何度か繰り返した。

    あとで医者に診てもらったら、どうやら脱臼した肩を意志の力で(そんなことあるんですね)自分ではめて、大暴れして、また外れてまたはめて、の繰り返しだったとか。



    当時、岩城宏之さんは、山本直純さんにつれられて、小澤征爾さんらを輩出した斉藤秀雄氏のレッスンを受けていました。

    斉藤理論は指揮の動作を分析して、いくつかのパターンに分類するのです。

    「指揮においては合理的な動作しか許されない」という怖いセンセイなので、演奏会の翌日のレッスンでは、怒鳴られると覚悟してました。

    ところが、斉藤先生は言いました。

    「昨日、見たよ。あれはほかの弟子には絶対に許さないけど、君にだけは許す。君がああ演りたいのは分かる」

    へえ。と思いました。斉藤先生というのは、もっと型を強制する人なのかと思っていたのです。


    ◆「岩城音楽教室」名言集

    本は、これです。

    Amazonだと1~2週間かかると書いてあるけど、書店にあります(東京の大きめの書店の話ですが)。

    ◆「音楽は『分かる』『分からない』ではない。」

    「人間として生まれた以上、クラシックを好きにならなければ教養が無い奴だ。などと言う人がいます。とんでもない話です。嫌いなら嫌いと胸を張って言える自由があってこそ、むしろ本当の音楽好きが増えるのではないでしょうか」

    「音楽が分かる、分からないという云い方は間違っています。所詮、はじめは音楽なんて好きか嫌いかです」

    ◆子どもにピアノなど楽器を習わせているおかあさんへ。

    「ほめ言葉を知らない人間は、人を思う方向へ動かすことができません。母親がこどものピアノをほめるのに、なにも、専門的な言葉を使う必要はありません。『なんだか今日のピアノの音は綺麗ね』とか『今日はとても楽しく聞こえるわ』とかそれでいいのです。そう聞こえることが音楽の本質なのですから。どうすれば上手く弾けるようになるかは、プロである教師が教えます。母親は直感に頼ったほめ方をすればいいのです」

    ◆カラヤンの逸話。

    「カラヤンはいつでも、リハーサルで楽員に注意するときに、名指しで注意するようなことはしません。例えば、2番ホルンの音程がすこしおかしいとき、演奏を止めて、全く関係ない第一バイオリンの人達に、フレージングの説明などをする。そして、ミスをした本人の隣の一番ホルン奏者にウィンクするのです。同じところへ来て、まだ、2番ホルンの音程が直っていないと、演奏を止めて、また一番ホルン奏者にウィンクする。さすがに一番奏者が気が付いて2番に注意する。こうして、回りくどいけれども、決してある楽員に人前で恥をかかせないようにする、という気遣いをする人なのです」



    「人真似こそ最高の勉強法です。学ぶは「真似ぶ」から来ています。ピアノを習っている子がいたら、なるべく多く名人の演奏を聴かせてやることです。子どもはその中から何となく自分の感性に合ったものをみつけ、まず真似てみる。それは大変良いことです。音楽は個性だから、といって、まだ右も左も分からない子どもに『好きなように弾いてごらん』と言うのは、間違いです。子どもにはまだそんな『個性』が出せる訳は無いのです。カラヤンですら、トスカニーニの真似から入りました。カラヤンは最近の若者は情けないといいます。どういう事かというと、カラヤンのリハーサルは絶対に公開しないのが決まりですが、カラヤンは、もし、それでもあらゆる手段を尽くして潜り込んでくる、指揮者志望の若者がいたら、見て見ぬふりをするつもりだというのです。カラヤンも若い頃、人の練習を強引に盗み見た時期があったそうです。それなのにこのごろの若い奴はちょっと障害があるとすぐ諦める。ガッツが足りないといって嘆くのです」

    ◆面白そうでしょ?

    これは、1977年に書かれた本ですが、今も通用する普遍性を持ち、岩城さんの「音楽観」が一番良く分かる本だと思います。

    文庫で600円ですから、読んでみては如何でしょう。

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    2006.07.02

    今日(日曜日)の「N響アワー」は岩城さんの追悼番組ですが、本を紹介します。

    ◆岩城さんには失礼かも知れないが、本が面白いのです。

    今晩、追悼番組を放送するそうですが、いつまでも陰気なことを書いていても仕方がない。

    思いつくままに、岩城さんの夥しい本の中から、面白いエピソードを紹介します。

    一番楽しいのは、森のうた―山本直純との芸大青春記かも知れない。

    音楽のこととか全然知らなくても楽しめます。



    岩城さんは打楽器科ですが、一年後輩に山本直純さんがいました。

    初めて山本直純さんに会ったときの印象は岩城さんにとって余程強烈だったようで、何十年経ってもよく覚えていると、岩城さんは生前よくあちこちで言っていました。

    山本さんの自己紹介がふるっている。

    「岩城さん、オレのことをナオズミっていってよ。ナオは不正直のジキ、ズミは不純のジュンです」

    山本さんってのはとてもユニークな方でした。ユニーク過ぎて損をしている。

    私と同年配の方は「芸能人」に近い存在と思っているかも知れません。

    本当は子どもの頃から英才教育を受けているひとです。

    岩城さんが山本直純さんの子どもの頃の日記を読んで、愕然とする話が森のうた―山本直純との芸大青春記に載っています。

    山本さんが小学校2年生のある日の日記(ひらがなばかりで書かれているので適宜漢字に直しました)。
    「僕は今日、お父様に連れられて、山田一雄先生のおうちに行きました。先生はベートーベンの第一交響曲が、どうしてこのようなハーモニーで始まるのかを教えてくださいました。来週は導入部全部のことを教えてくださると仰いました。そして、第一楽章の終わりまでピアノで弾けるようにしておいで、と仰いました。しっかり勉強しよう」

    「英才教育」を受ければだれでも小学校2年生でこういうレベルになる訳ではない、ことは、素人の私にも良く分かります。天才的です。

    岩城さんが、オモチャの木琴で「半音」を発見するよりもずっと幼い時期に、山本直純さんは、スコアをピアノで弾いていた(これも、練習すれば必ず出来るようになる、という事ではないのです)。

    ピアノ協奏曲を弾けるぐらいの腕前でした。12歳の頃から沢山作曲をしていた。



    岩城さんは、山本さんの子ども時代の日記を読んで、自分とのあまりの違いに驚嘆し、またうちひしがれるのですが、山本さんが気さくな人柄なので仲良くなる。

    そして渡辺暁男先生の指揮のレッスンを受けるようになる。


    ◆岩城さんと山本さんははじめ、渡邉暁雄先生から指揮を習ったのです。

    岩城さんは打楽器科。山本さんは作曲家です。

    音大は今もそうですが専門以外に、なにか楽器か声楽かの単位を取らないといけないのですね。

    余談ですが、私の知っているある女性はピアノ科でしたが、副科でトロンボーンを選択しました。これ自体珍しい。

    普通、こういうのは学校の楽器を借りるのですが、この女性はかなりのめり込んで、自分のトロンボーンを買っちゃって、結構上手いです。



    話を戻すと、岩城さんと山本さんは「副科としての指揮科」のレッスンを渡辺先生から受けたのです。

    後に、岩城さんは山本さんに紹介されて、斉藤秀夫氏にも指揮を習うのですが、一番最初の「指揮との出会い」は、「副科 指揮」だったのですね。



    渡邉暁雄先生は私も恐れ多くも子どもの頃、直接サインをいただいたことがありますが、格好の良い方でしたね。

    カッコイイのではない。「格好が良い」のです。

    お母さんがフィンランド人のハーフのためか、背が高くて、彫りの深い顔立ちですが、見た目だけではありません。

    「人品」ということです。「品(ひん)が良い」ということです。

    物腰が上品で、子どもに対しても丁寧で、私は、子供心に「紳士」とはこういう人のことを言うのだな、とおもいました。


    ◆「副科 指揮科」のオーディションで分かった山本さんの天才的な耳

    それは、さておき、岩城さんと山本さんは渡邉暁雄先生のクラスに入る。

    聴音の試験はあったけど、まあ殆ど無試験みたいなものだったようです。

    それにしても、この「聴音」がすごい。

    渡邊先生が指十本で出鱈目にピアノの鍵盤を「ガーン」と鳴らす。完全な不協和音です。

    渡邊先生はナオズミさんに、「上から3番目の音の五度下を声に出してごらん」と静かにおっしゃったそうです。

    山本さんはダミ声ですが、「アー」と歌った。先生は、自分で指定した音をピアノで叩きました。山本さんの声はピタリと合っていた。

    まぐれだと思ったのか、渡邊先生はもう一度、出鱈目の不協和音を鳴らす。

    「今度は下から二番目の音の六度上を歌ってごらん」

    で、山本直純さんはピタリと正確な音を出せたそうです。渡邊先生は「君は完全な耳をしているね」と言いました。

    岩城さん自身の言葉によれば、

    「僕は(試験の緊張のあまり)ガタガタ震えているのも忘れて呆れかえった。こんなことが出来るやつは、日本に何人といないだろう。完全無欠な絶対音感教育の、しかももともと天才的な聴覚を持っている人間でなければあり得ない。テストをする渡邊先生自身、絶対にできないに決まっている。これは断言できる」

    ということだそうです。


    ◆渡邊先生の「バイオリンリサイタル」

    それから、この二人の学生は、渡邊先生のご自宅に、しょっちゅう出入りするようになります。

    常に発作的でナオズミさんが「オイ、行こうじゃねえか」というのだそうです。

    一応「礼儀正しく」、前もって電話するのですが、その電話がいつも夜11時とか12時なんだそうです。悪い学生ですねえ(笑)。

    それでも渡邊先生も奥様も寛容な方で、何と一度も断られたことがなかったそうです。



    渡邊先生はバイオリニストでもあったので、一度、早めに行った時に、先生がバイオリンの女の子にメンデルスゾーンの協奏曲のレッスンをしているのを見学しました。

    ナオズミさんと岩城さんが、

    「そういえば、僕たち、先生のバイオリンをじかに聴いたことがないなあ。」

    「じゃあ、聴かせてあげようか」

    アケちゃん(渡邊先生のことを二人はこう呼んでいたのです。無論、面と向って話すときは、「先生」です)は二階から、バイオリンのケースを持ってきました。

    小さい奴です。どうやら息子さん用の二分の一か四分の一のサイズのバイオリンだったようです。

    先生は2,3枚のペラペラの楽譜も持ってきました。ナオズミさんに「きみ、伴奏してちょうだい」と言いました。山本さんにとっては、それを初見で弾くぐらい朝飯前です。

    チューニング(調律)のあと、「枯れ葉」を弾きました。その次は「ラ・ヴィ・アン・ローズ」でした。ここから岩城さんの本から引用します。

    素晴らしいエスプレッシーボだった。

    「先生、すげえ、ヴィブラートだなあ。ものすごく歌いますね。どうして指揮するときにこうならないんですか?」

    ナオズミがひどいことを言った。絶賛しているつもりなのだ。

    「そうねえ。どうも上手くいかないのよ」

    結局、夜遅くまで先生のリサイタルが続いたのだった。
    「オイ、オメェ、そろそろ帰ろうじゃねえか。長いことお邪魔いたしました」

    玄関を出る。

    音羽御殿(引用者注:先生の家のことをふたりはこう呼んでいたのです)の玄関からは、くねくねと曲がりくねった長い坂が、下の通りまで続く。

    アケちゃんは、いつまでも玄関からわれわれに手を振っているのだった。

    こちらもヘアピン・カーブごとに何度も立ち止まって、手を振らなければならなかった。

    良い時代ですねえ。今みたいに世の中全体がカリカリしているのに比べると、

    全てに関してのんびりしていて「良い加減」(「いいかげん」じゃないです。「良い」「加減」です)が自然に保たれていたんですね。

    しかし、渡邊先生は優しいだけではなかった。あるとき、「ピシャリ」と来ます。それはまた後ほど。

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    2006.07.01

    国民は横田めぐみさん達を心配しているときに、米国大統領とはしゃいでいる内閣総理大臣。

    ◆記事:日米友好「くどいほど」演出

    【ワシントン=貞広貴志】メーン料理は大統領の地元テキサス州産の神戸牛、ワインはカリフォルニア産の「ミツコ」、デザートは盆栽を模したチョコレート――。

    29日夜、ホワイトハウスに小泉首相を迎えて行われた公式晩さん会は、日米友好を「くどいほど」(ホワイトハウス詰め米記者)打ち出す演出となった。

    乾杯でブッシュ大統領が、「私たちの友情は日米の強い同盟関係から生まれた」と呼びかけると、首相は2001年6月の初会談でキャッチボールしたことに言及し、

    「大統領と私は信頼のキャッチボールを続けてきた」と応じた。

    ローラ大統領夫人は異例の事前説明会で、「日本のお客様の趣味に合う装飾と食事を選んだ」と語った。(読売新聞) - 6月30日12時5分更新


    ◆コメント:一般国民とは対照的に、小泉純一郎内閣総理大臣は拉致問題のことなどお忘れのようだ。

    昨日、横田めぐみさんについて書いた。

    拉致問題は読者諸氏の関心が高いのが、このテーマで書いたときのアクセス数の多さで分かる。

    アクセス数という数字そのものに関心はないのだが、今日のアクセス解析を見て、いつも以上に皆さんが、横田めぐみさんら拉致被害者の事を心配していることが良く分かった

    (有料アクセス解析なので、画面を見ただけでは分かりませんが、解析ツールをつけているのです)。

    検索ワードで最も多かったのが、「横田めぐみ」であり、フレーズでは「横田めぐみさんは生きている」が、トップであった。

    私は胸が熱くなった。

    「横田めぐみさんは生きている」

    という日本人の「祈り」に近い感情が、そこに表れている。

    だが、冒頭の記事を読むとお分かりのとおり、日本国の内閣総理大臣は、アメリカでアホのブッシュにもてなされて、嬉しくてたまらないようだ。

    なんという、情けなさ。


    ◆何度でも繰り返す。イラク戦争は米国の違法行為であり、それを支持した日本は間違っている。

    何十回目でも、何百回目でも構わぬ。

    国際法(具体的には国連憲章)上、原則的に武力行使、戦争を仕掛けることは違法行為である。

    国連憲章 第1条〔目的〕

    国際連合の目的は、次の通りである。

    国際の平和及び安全を維持すること。そのために、平和に対する脅威の防止及び除去と侵略行為その他の平和の破壊の鎮圧とのため有効な集団的措置をとること並びに平和を破壊するに至る虞のある国際的の紛争又は事態の調整又は解決を平和的手段によって且つ正義及び国際法の原則に従って実現すること。

    第2条〔原則〕

    3 すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決しなければならない。

    4 すべての加盟国は、その国際関係において、武力よる威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。


    例外は、2つだけ

    一つ目は 第7章「平和に対する脅威」41条、42条。国連安全保障理事会が平和に対する脅威に対抗するため、多国籍軍による武力行使で対抗せざるを得ないと決定したとき。

    二つ目は、51条、「自衛権」。ある国が他国により、武力による侵略を受けた場合、国連が多国籍軍を送って助けに行くまでの間、自衛のために武力を行使するのはやむを得ない。

    これだけが、例外なのだ。


    ◆大量破壊兵器があろうがなかろうが、イラク戦争を開始したアメリカの行為の違法性は阻却されない。

    2003年3月20日、アメリカがイラク戦争を開始した理由は、

    「イラクは大量破壊兵器を保有しており、それがテロリストの手に渡れば、明日にでもアメリカが攻撃されるかもしれない」

    というものだった。

    周知の通り、アメリカはイラク戦争を開始する前に、

    「アメリカはイラクが大量破壊兵器を保有している証拠を握っている」と繰り返した。結局嘘だった。

    だが、たとえ、イラクに大量破壊兵器があったとしても、それだけで米国がイラクに対して武力を行使することは許されない。

    何故なら、国連憲章が例外的に武力行使を認める二つの場合のいずれにも該当しないからである。

    日本の国会でもしきりに「イラク戦争の大義」はなどと下らない質疑応答を繰り返していた。

    野党は「大量破壊兵器は無かったのに、小泉首相はイラク戦争が正しかったと思うのか?」という質問を重ねた。

    それ自体バカである。大量破壊兵器の有無は関係ない。


    ◆違法行為、それも人殺しを「正しい」と公式に発言したのが日本の首相である。

    日本政府は、国連憲章を無視し、何ら正当性の根拠とならないのに、米国が発したイラクの大量破壊兵器情報を全然検証しようともせず信じて(或いは信じたフリをして)

    世界で最初に「イラク戦争を開始したアメリカの決断は正しい」と公式にアメリカの武力行使を支持した。



    世の多くは、「アメリカに護ってもらわなければ日本はやっていけないから、アメリカを支持するしかない」という論調だった。

    これは、間違っている。

    有事の際にアメリカが全力を挙げて日本を守る、と本気で信じている人は相当おめでたいが、なにより、

    「日本人が生き残る為には、無辜のイラク人が殺されても仕方がない」という思想はあまりにも卑劣である。

    私は、アメリカの行為を日本の首相が支持したこと。

    その首相を選挙で勝たせて、自分の信念は正しいと思わせてしまった有権者、いずれも正しくない、とずっと言い続けている。

    くどいようだが、今一度繰り返す。

    日本は、自分さえ生き残れればよい、という考えから、アメリカの人殺しを「正しい」といった。

    これは、取り返しのつかない過ちである。

    私のこの思想は絶対に変らない。

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