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2006.07.15

「日銀、ゼロ金利を解除…年0・25%に」←ゼロ金利が異常だったのです。

◆記事1:日銀、ゼロ金利を解除…年0・25%に

日本銀行は14日の政策委員会・金融政策決定会合で、ゼロ金利政策の解除を全員一致で決め、ほぼゼロ%としてきた短期金利(無担保コール翌日物)の誘導目標を即日、年0・25%に引き上げた。

金融機関への貸し出しに適用し、事実上の短期金利の上限となる公定歩合は、6対3の賛成多数で年0・1%から年0・4%に引き上げると決め、即日実施した。

ゼロ金利解除後も低金利を当面維持し、景気回復の足を引っ張らないように配慮する。記者会見した福井俊彦総裁は「粛々と職責を全うする覚悟に変わりない」として、今後も日銀の舵取りを担う考えを強調した。

今回の決定で、異例の長期にわたるゼロ金利政策は5年4か月ぶりに幕を閉じ、金融政策の正常化に向けた一歩を踏み出した。

ただ、原油価格の高騰など不安要因が多い中での政策転換だけに、今後は難しい政策運営を迫られる。(読売新聞) - 7月14日23時12分更新


◆記事2:2005年1月28日 衆議院予算委員会会議録、民主党岩國哲人議員と福井日銀総裁の質疑応答。より抜粋

岩國委員:私が何度もこの予算委員会で取り上げたゼロ金利政策について、私は再度お伺いしたいと思います。

皆さんも給料が欲しい、一般の人も給料が欲しい、そして皆さんのお金も給料が欲しい。お金がもらう給料のことを金利といいます。

日本のお金は五年前から給料をもらえていない。給料の遅配、欠配、無配。世界の国の中で、お金が給料をもらえないのは日本の国だけなんです。

ゼロ金利政策がいろいろな意味で必要だということは、私もその世界におりましたからわかります。

しかし、このゼロ金利政策が、だれに恩恵を与え、だれに負担をかけてきたかということを今こそ率直に総括し、そしてその結果を私は国民に説明しなければならないと思います。

ゼロ金利政策の担当の日銀総裁にお伺いします。

このゼロ金利政策の結果として、過去十年間に日本の一般家庭の貯蓄が得べかりし利子が幾ら奪われたのか、それを端的に金額で御説明ください。

福井参考人 お答えを申し上げます。いろいろな計算の仕方があろうかと思いますけれども、国民所得統計で、日本の家計の受取利子というものが過去の金利の低下でどれぐらい減ったか。平成五年、一九九三年と比べますと、十年間ということになります、毎年の受取利子の減少額を足し合わせますれば、累計で百五十四兆円ということになります

岩國委員 百五十四兆円、丹念に御計算いただきまして感謝いたします。

決して福井総裁のときからこれが始まったわけではありません。

私は、速水日銀総裁にもここへ来ていただいて、同じことを、なぜゼロ金利政策が昨年、一昨年から始まったのかということを三年前に質問しました。

私は速水総裁に、あなたはお金の印刷ばかりしていらっしゃるけれども、お金に生活費を払っていらっしゃいますかと聞きました。

払っておりません。世界のどこの国がこういうことをやっていますか。どこの国もやっておりません。

あなたはどういう御心境で仕事をしていらっしゃるんですか。大変心苦しい思いでございます。

私は、本当に率直な答弁をしていただいたと思います。

そして今、福井総裁にも、百五十四兆円の一般家計に入るべき利子が所得移転。所得移転というのは経済用語の言葉です。一般用語では、これは泥棒というんです。

百五十四兆円が、入るべきお金がどこかへ持っていかれている、どこかで使われている。

これが、銀行を救済し、不良債権を減らし、そしてあのスーパー、あの建設会社の救済に使われている。

そうした建設会社、スーパーから預金者に対して礼状でも出ましたか。

あなたが得べかりし利子を途中、流用させていただいて、そのために私の会社は助かりました、私の銀行は助かりましたという礼状ぐらい私は出すべきじゃないかと思います。

国民勘定からいえば、百五十四兆円というのは消費税に換算して幾らになりますか。

毎年毎年、私が取り寄せた調査でも、今から十年前には毎年三十兆円、今ではわずか五兆円、これが利子として入っているんです。

アメリカの家計利子、日本の家計利子の収入を見てください。この激減ぶり。一九九〇年には三十四兆円の利子を受け取っていました。

今はわずか五兆円です。今、このパネルにはアメリカの利子収入統計は入っておりませんけれども、

アメリカの利子収入は過去十五年間コンスタントに家計に対して払われています。

竹中大臣、今一生懸命聞いていただいていますけれども、竹中大臣ならアメリカの経済についてもお詳しいと思いますけれども、

こうしたアメリカの家計所得への利子収入というのは家計の一〇%を割ったことはないんです。

家計の一〇%は利子という形で入ってくる、これが一般家庭の姿。

ところが、日本の場合には、今や家計所得の一%そこそこしかもらえない。はっきり言って、これはゼロの状態ですよ。

お金はあっても、世界で一番たくさん金融資産があるという国が、そのお金が収入を生まない。

毎年二十兆円の所得が奪われているということは、消費税に換算すれば、一〇%の見えざる消費税が日本では課せられているということなんです。

日本の消費税は五%ではありません。一五%です、一般家計に与える影響を考慮するならば。

これについて、福井総裁、家計所得という家計を中心とした経済の観点からすれば、これはもう限度に来ているんじゃありませんか。

利子が入らないどころか、貯金を取り崩さなきゃいかぬ。元本までも減っていく。利子は入らない、元本は減っていく。

その上、来年度から、いよいよ定率減税の縮小といったような形も含めていろいろな負担がふえている。

負担はふえる、収入は減る。これでは、踏んだりけったりというよりも、踏んだり取られたりの状態がこれから始まっていくんです。

福井総裁、どういうふうにお考えになりますか。

福井参考人 委員御指摘のとおり、ゼロ金利政策に限らず、経済の状況がよくないときに日本銀行が行います金融緩和政策は、

一般的に家計部門に負担をおかけする、それはそのとおりでございます。

しかし、それは同時に、金利全般の引き下げを通じて、企業活動、これを、問題を克服して前向きの活動が展開できるような状況に持っていくという、

同時にそちらの方の作用もございまして、あわせて、経済全体がなるべく早くいい状況に持っていく、これが目標でございます。


◆コメント:あまり補足は要らないと思いますが、ゼロ金利が続いたら、何年預金しても、利子が付かないのです。

テレビニュースを見ていたら、特に民放ですが、ゼロ金利解除が何か「悪いこと」のように聞こえます。

それは、ローンを借りている人だけにわざとインタビューするからです。預金に目を向けていない。

預金とは、預金者が銀行にカネを貸しているのです。

カネを貸しているのに、銀行は利息を払わなかった。厳密に言えば払っているけれど、0.0・・%等というのは、利息を払っているとは言えない。


◆岩國議員はメリルリンチの上級副社長だった、金融のプロ中のプロなのです。

民主党の岩國哲人議員は、この日記(ブログ)で何度も書いたけれど、かつて世界最大の証券会社、アメリカのメリルリンチ本社の上級副社長だった人です。

世界の金融界のトップ集団の一員だった人。福井さんはともかく、小泉首相の100倍ぐらい、経済・金融・財政に通暁(つうぎょう)している。

本稿の本題からは外れるけれど、岩國さんは、本当に問題の本質が分かっているから、この議事録を読めば分かるように、子どもでも分かるように、易しい言葉で質問できるのです。


◆ゼロ金利が続いたために国民が失った「得べかりし利益」が154兆円と日銀総裁が認めている。

「得べかりし利益」とは、ゼロ金利でなかったら預金者が受け取れたはずなのに、ゼロ金利が続いたために、もらい損なった預金利息の累計です。

それが国全体で、10年間で、154兆円だと、福井総裁は認めているのです。

岩國さんの目の付け所が絶妙で、アメリカでは家計所得の10%は利子収入だと。

日本もかつては家計収入の10%は利子だった。それが、ゼロ金利政策で奪われている。

これは、10%の税金をかけられているのと同じ事だ。だから、消費税に換算すれば、15%だ。

日本の消費税は名目は5%だけど、実質15%の高い消費税を払わされているのと同じだ、というわけです。

言われてみれば、当たり前なのだけど、後から言うのは簡単で、岩國議員の他にこのような指摘をした国会議員はいない。

この発想は、やはり金融・経済のプロだからこそ、すぐに出てくるのです。

ゼロ金利の為に、生活に困っている人が沢山いた。ところが、低い金利で資金を調達出来る銀行や、企業は大儲けしていた。

最近、日銀総裁もこっそり投資組合で儲けていた、というので大問題になっているのはご承知の通り。


◆ゼロ金利政策が解除されるのは悪いことではありません。

日銀が、金利の誘導目標水準を銀行間取引の無担コールという市場において0.25%にすると判断したのは、

いよいよデフレ(物価が下がり続けること)から脱却して、物価が上昇を始めたと判断したからです。

つまり、放っておけばインフレの可能性が生じる、と日銀は考えているわけです。

物価が上がれば、企業の売上げが増える。それが、やがてサラリーマンの給与所得にも反映する可能性を示唆しています。


◆物価が上昇すれば、負の資産の価値(負担)も軽くなる。

また、ローン金利が上がるのは困るというけれど、インフレになるということは、相対的にお金の価値が下がると言うことです。

それは、資産の価値が目減りすることです。ローンというのは、家計にとっては「マイナスの財産」、負の資産です。

物価が上昇してカネの価値が下がると、負の資産の価値も下がると言うことです。

それには、前提として企業の収益が従業員の所得の増加に結びつかないといけないのですが、

企業の業績がどんどん向上しているのに、給料が上がらなければ社員のやる気を削ぐことになるから、やがて、給料を増やすことになるでしょう。

すると、最終的には、ローンを抱えている人の負担も軽減されるのです。


◆結論:金利を上げるということは日銀が「景気が良くなっている」と認識していることを意味します。

給与所得が増加すれば、やがて個人消費が増える。つまり、モノやサービスの売れ行きが増える。

すると、企業が儲かる。従業員の給料が増える。というプラスの循環が始まるわけです。

これが景気の拡大ですが、行き過ぎると、バブル期にように、企業が土地投機に走るなど、弊害がある。

金融政策はその辺を見極めて、常に、一歩先を行かなければなりません。

今回は、公開市場操作の対象である。無担保コール翌日物(無担コールといいます)が5年間もゼロだったのを、25ベーシスポイント引き上げた訳ですが、

量的緩和策解除後も消費者物価指数が上昇しているのですから、当然です。

騒ぐようなことではないのです。

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