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2006.07.04

「ウィニー開発・公開の元東大大学院助手に懲役1年求刑」←「形が無い財産」という概念が本当に理解できるかどうか、です。

◆記事:ウィニー開発・公開の元東大大学院助手に懲役1年求刑

ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」を開発、インターネットで公開し、ゲームソフトなどの違法コピーを手助けしたとして、

著作権法違反(公衆送信権の侵害)ほう助罪に問われた元東京大大学院助手金子勇被告(35)に対する論告求刑公判が3日、京都地裁(氷室真裁判長)であった。

検察側は「著作権侵害に向けられた確定的犯意に基づく犯行で、被害は甚大」などとして、懲役1年を求刑した。弁護側が9月4日に最終弁論を行い、結審する。

論告で検察側は、金子被告が「インターネット社会では情報はタダで当たり前」などとネットの掲示板に書き込んでいたことを明らかにした上で、

「著作権侵害にウィニーが利用されることを意図して開発、公開したことは明白」と指摘した。 (読売新聞) - 7月3日20時22分更新


◆コメント:形が無い財産でも、盗んだら泥棒だ、というだけのことです。

これは、さほど難しい話ではないですね。



他人の家に入り込んでお金を盗んだら、窃盗罪ですよね。

美術品や、パソコンを盗んでも泥棒ですよね?これは子どもでも分かります。

盗みの対象物が有形物だからです。

昔は人間の財産と言えば、形がある物ばかりでした。

しかし、やがて、人間が頭で考え出したアイデア(特許)、デザイン(意匠)、精神的な創作物(音楽、文学、ソフトウェアプログラム)なども、市場を通して売買するようになりました。



自分の財産を自分が自由に支配できる権利を「私有財産権」と言います。私有財産権を認めるのが資本主義経済の大前提です。

本件の場合、財産が「目に見えないもの」なのですね。



私の学生の頃は「無体財産権」(これ、専門の先生に訊いたら「むていざいさんけん」と読むのが本当だそうです)と言いました。

こちらの方が分かりやすい。今は「知的財産権」といいます。

いずれにせよ、形があるものばかりではなく、音楽や、発明や、プログラムや、アイディアや、デザインが売買の対象になる、ということは、

資本主義の基礎、「私有財産」である。ということです。

逆の云い方をすれば「財産」とは、市場(マーケット)で売買の対象、つまり「商品」になるものです。

ある人は自分のアイデアや作った音楽、それを録音したCDなどを、市場を通じて売り、対価として、お金を受け取って生計を立てているわけです。

ですから、ある人が考えたり作ったりしたモノを、その人にお金を支払わずにコピーして、勝手に第三者同士が交換したら、最初に考えた人はお金が入らなくなり、困りますよね?


◆ファイル交換ソフトがすべて違法ではない、ということは分かります。

P2P、ファイル交換の全てが違法でないことは知っています。

しかし、現実には多くの人は、本当はお金を払ってCDを買わないと聞けない音楽や入手できないコンピューターソフトを、

お金を払わないで済ませるために、ファイル交換ソフトの一種であるWinnyを用いているわけですよね?

いろいろ、きれい事を言っても結局お金を払うのが勿体ないから、そうするのですよね? これはいけないのです。


◆私有財産権を認めないのは、一種の共産主義です。

これは、

「オレのものはオレのもの。他人のものもオレのもの」

という考え方です。

他人の財産と自分の財産を概念上区別できていないのです。

社会の構成員が互いに他の人の「私有財産権」を尊重しない社会は、資本主義社会ではありません。

変な云い方をすれば、一種の原始共産制です。マルクスレーニン主義という意味ではありません。

もっと原始共産主義的思想です。


◆結論:目に見えない「財」であっても、対価を支払うのが資本主義経済です。

他人の家に入ってお金を盗むのに比べると、パソコンを使い、ファイル交換ソフトを通じて、目に見えない「音声ファイル」や「ソフトウェア」を交換するのは、罪悪感を感じにくい。

それが、Winnyによる違法コピーが止まらない原因でしょう。

しかし、今までの説明でお分かりと思いますが、その行為は、他人の私有財産権を侵害している点において、泥棒と変らないのです。さらに、資本主義の根幹を否定しています。

だから、こういう事をしてはいけないのだ、と検察は言っているのです。

抽象的な思考ができるかどうかです。できないひとは、著作権侵害をなかなか「犯罪」として認識できません。

知能・思考力が試されています。

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コメント

いち愛読者さん、コメントをありがとうございます。

おっしゃるとおり、引用記事が適当じゃないですね。

この記事を引用するのであれば、「著作権法違反(公衆送信権の侵害)ほう助罪」を持ち出すことの妥当性を論じなければなりません。

但し、それは、いささか、専門性が高くなります。

私の目論見はそちらではなくて、もっと基本的な問題、本文で述べているとおり、「知的財産権」という概念を意識している日本人があまりに少ないという事を述べたかったのです。

その意味では、もう少し適当な材料(記事)を探すべきでした。

岩城宏之さんは今日で無くなってから丁度一ヶ月です。返す返すも残念です。

投稿: JIRO | 2006.07.13 23:12

始めまして。毎日、楽しく読ませていただいております。
岩城さんの件は、私も大変悲しく思いましたし、その悲しみについて同じく感じていらっしゃるようで、同好の志が居る事に大変心強く思ったものです。

ただ、今回の件は、少々賛同しがたく思います。
と申しますのも、表記裁判で争われている論旨とJIROさんの論旨がずれている様に思われるからです。

まず、知的財産(あるいは公衆送信権)を侵害してはいけないのは、まず間違いないことでしょう。
もし、金子被告がWinnyを介する、しないに拘わらず、知的財産権を侵害していたとしたら、その事によって罰せられることは、当然のことと思います。

また、金子被告が、Winnyを使って、具体的に知的財産権を侵害する方法を記載したとするならば、幇助、と言われても致し方ないかもしれません。
(例えば、アドビ社のフォトショップをこれこれ云々の方法で、Winnyを用いて公開すれば、不特定多数に対して配布する事が出来る、と言った具合に。)

しかし、金子被告は、Winnyに関して(記事中にもあるような)抽象的なコメントしかしておらず、コレを元に、公衆送信権侵害幇助と言えるのか、と言う事が問題なのではないでしょうか。

金子被告の各種コメントは、全く以って賛同しがたくはありますが、しかし、それは金子被告の思想信条の範囲を超えるものではなく(つまり具体的に知財権侵害を促す内容ではない)、コレを元に罰するならば、これは、共謀罪以上の愚劣としか、言いようが無いように思われるのですが、如何でしょうか。

なお、犯罪「にも」使い「得る」道具を開発した、と言う理由で罰する事が出来ないのは、今更指摘する事柄でも無いでしょうし、京都府警も承知しているので、斯様に、実に苦しい起訴事実になっているのだと思いますが。

投稿: いち愛読者 | 2006.07.04 11:04

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