« 「『健康保険法等の一部を改正する法律案』の内容は、あまりにも酷だ」で書き忘れましたが、背後には米国がいます。 | トップページ | 「小泉首相は、中韓の圧力に屈せずに、よくぞ参拝した」、という人は、かなりおめでたい。 »

2006.08.15

クレーンが送電線に接触。139万世帯が停電。←電柱が非常に多い日本。電力系統の勉強。

◆記事:損傷1カ所、広範囲に影響=都心貫く送電線-「早期復旧」強調・東電

14日朝、首都圏を襲った大規模停電は、1カ所で起きた送電線の損傷事故が、東京、神奈川、千葉の3都県に及ぶ広範囲の停電につながった。

東京電力によると、発電所で作られた電気は首都圏を環状に取り巻く50万ボルトの送電線で送られ、そこから27万5000ボルトに減圧されて放射状に都内に入ってくる。

それぞれの送電線には、さらに減圧して電気を分配する下流の変電所が多数つながっており、各家庭まで電力を供給する。



今回、損傷した送電線は千葉、茨城方面から都内に入る27万5000ボルトの基幹送電線の1つ。

都心を通り、横浜市北部の変電所までつながっており、幅広い範囲に停電をもたらした。

東電は、こうした送電線の損傷による停電事故を想定し、放射状の基幹送電線同士をつなぐ迂回(うかい)ルートも用意している。

今回は首都圏西部からの供給網を使い、停電した地域への電力供給を再開した。

全面復旧まで約3時間を要したが、東電は「迂回網がなければ、損傷された送電線の復旧を待つほかなく、それに比べれば早く復旧できた」(広報担当者)と強調する。

しかし、迂回ルートを使うには、高圧電流を流しても安全かどうかを確認する作業が必要で、どうしても復旧までには2、3時間かかるという。

(時事通信) - 8月14日19時1分更新


◆電力系統

電気を発生し,それを輸送,分配するシステムの全体を電力系統という。

電力系統のはじめは、当然、電気をつくる(発生させる)電源、つまり発電所である。

発電所は発電方式により、水力、火力、原子力に大別されるのは周知のとおりである。



電源(発電所)からは、今回損傷した27万5000ボルト又は50万ボルトの送電線を経由して、電力需要地域に電力を送る。

そして、まず、一次変電所で15万4千ボルト、又は6万6千ボルトに電圧を下げる(降圧する)。

その後、二次変電所で6万6千ボルト、又は2万2千ボルトに降圧する。これは、大口需要家(工場など)に供給される。

一般家庭には、さらに、6,600ボルトの高圧配電線と、200ボルト、100ボルトの低圧配電線を経由して電力を供給している。

今日の事故では、電源から、一次変電所に届く前の、一番大元の電線に、クレーンが触れてしまった。

つまり、最終的には無数に枝分かれする送電線だが、枝ではなく、「幹」の部分でショートしてしまったので、

その先の需要先に電力の供給が出来なくなったのは、原理的には当然である。


◆架空送電と地中送電

架空送電とは、金融犯罪の「架空取引」の「架空」ではない。電線が、地面の上に張り巡らされている、日本ではおなじみの送電形式である。

日本では、町中に電信柱が立っているが、海外に行って、少し注意して観察すると分かるが、電信柱が無い。若しくは少ない。

電線が地下をとおっているからだ。

架空送電のメリットは、費用が安いこと。デメリットは、特に日本の場合、海岸線に沿って電線が剥き出しになっているため、

導体である電線を絶縁している碍子(がいし)などに塩分や埃が付着して、絶縁効果が低くなること、落雷の被害を受けやすいこと、などである。



地中送電とは、文字通り地下に電線をとおすことであるが、電線そのものを土の中に埋めるわけではなく、

チューブを作ってその中を通すことになるので、導体である電線の保護の観点からは、架空送電よりもずっと安全であるが、

設備投資費用が架空送電よりも遙かにかさむ。また、地中では静電容量、つまり電気を貯めるキャパシティが大きいので、電気が遠くまで届きにくいことなどである。


◆本日の事故に関して。

明日の新聞の社説は、読まなくても分かる。

首都圏のインフラの脆弱性が浮き彫りになった。早急に見直すべきだ、と書くのだろう。

しかし、今回のような人的要因による送電停止が起きることは、極めて例外的である。

それは、新聞記事にも書いてあるとおり、もう一つの例が、1999年自衛隊の練習機が墜落したときに、送電線を切断した事故であることを考えれば、明らかである。



経産相は、東電の幹部を呼びつけて厳重注意をいいわたしたそうだが、それは東電が気の毒であろう。

東電こそいい迷惑だ。

厳重注意するならば、電線に接触した、クレーンのオペレーターか、操船責任者だろう。

船に積んだクレーンが高圧線に接触することなど、過去に何度も例があるのならともかく、今回が初めてであり、そこまで想定しろ、というのは、酷だ。

日本も全て地中送電に切り替えたら、莫大な費用がかかり、それは、我々に電気代に転嫁される(値上げされる、ということです)だろうし、手間を考えると現実的ではない。



この分野に関しては完全に素人の私なので、軽々しく思いつきで書くべきではないが、

敢えて書くならば、要するに仮にクレーンが電線に接触してもショートしないように、

電線そのものを強力な絶縁体力を持つ材質で覆うとか何とか、其れぐらいしかないだろう。

極めて例外的なことを、普遍化して、「抜本的な改革が必要である」というのは、短絡だ。

本論の主題からそれるが、思い出した。東電を「厳重注意」した経産省の官僚が株のインサイダー取引を行っていたことがある。

経産相は、他人の会社を厳重注意する前に、自分の役所の職員も「厳重監督」してくださいね。

|

« 「『健康保険法等の一部を改正する法律案』の内容は、あまりにも酷だ」で書き忘れましたが、背後には米国がいます。 | トップページ | 「小泉首相は、中韓の圧力に屈せずに、よくぞ参拝した」、という人は、かなりおめでたい。 »

ニュース」カテゴリの記事

マスコミ批評」カテゴリの記事

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/62198/11442152

この記事へのトラックバック一覧です: クレーンが送電線に接触。139万世帯が停電。←電柱が非常に多い日本。電力系統の勉強。:

« 「『健康保険法等の一部を改正する法律案』の内容は、あまりにも酷だ」で書き忘れましたが、背後には米国がいます。 | トップページ | 「小泉首相は、中韓の圧力に屈せずに、よくぞ参拝した」、という人は、かなりおめでたい。 »