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2006.08.30

「日米同盟の構図」(安倍晋三著「美しい国へ」 第四章)に書かれていないこと。

◆「アメリカはイギリスから独立を勝ち取って生まれた国」それほど単純じゃないだろ?

新総理間違いなしと言われている安倍晋三氏の「美しい国へ」を読んでいると、

きれい事しか書いていないのが気になる。

この人は親米の度が過ぎる。

第四章は「日米関係の構図」と題して、日米関係の重要性を力説しているが、アメリカ史の都合の良い部分しか書いていない。



111ページ。「アメリカ人の信じる普遍的な価値」という部分では、アメリカ人の根底にある価値観は、

1776年にアメリカがイギリスに対して独立を宣言した、ジェファーソンの独立宣言だ、という趣旨のことが書かれている。

これが、独立宣言全文の邦訳である。

安倍晋三氏も引用しているが、独立宣言の最も有名な一節だけを読むと、書かれていること自体は実に美しい。

我らは以下の諸事実を自明なものと見なす.すべての人間は平等につくられている.創造主によって,生存,自由そして幸福の追求を含むある侵すべからざる権利を与えられている.これらの権利を確実なものとするために,人は政府という機関をもつ.

有難くて涙が出そうだ。だが、これはさほど立派な宣言ではない。

何故か。

ここでいう「人間」に「黒人」は含まれていないのである。独立宣言の後、100年間もアメリカは奴隷貿易を続けていたのだ。

アフリカの黒人を「モノ」と同様に扱い、勝手にアメリカに連れてきて、奴隷として働かせていた。

言うまでもなくアメリカの白人はヨーロッパ人だが、ヨーロッパの殆ど全ての国は400年もの長きに亘って奴隷貿易を行っていたのだ。

黒人をアフリカの祖国から無理矢理連れてきて奴隷として働かせるのだ。

北朝鮮による日本人拉致事件どころではない。



また、安倍氏はアメリカはイギリスから独立を勝ち取ったのだ、と書いているが、その時にアメリカにやっていた白人たちが何をしたか触れていない。

独立を勝ち取ったのはイギリスからだが、そのために、アメリカの原住民を虐殺している。

アメリカの歴史は人殺しで始まるのだ。


◆ピルグリム・ファーザーズは何をしたか。

断っておくが、私は安倍晋三批判の為に急遽アメリカ史を調べたのではない。

過去、この日記で何度も書いている。

例えば、2005年07月04日(月) 今日は、アメリカの独立記念日だが、アメリカ建国の歴史的事実に関して記す。をお読み頂きたい。

そこに書いてあるが、繰り返す。

アメリカは、白人が、先住民であるネイティブアメリカンを騙し、虐殺したところから歴史が始まる。



1620年、メイフラワー号に乗ってヨーロッパからアメリカ大陸にやってきた白人たちは、ピルグリム・ファーザーズと呼ばれ、

アメリカ建国の祖として尊敬されているが、この者たちは、悪魔のように残酷な連中だった。

周知のとおり、白人がアメリカ大陸にやってくるまでは先住民族の、所謂、アメリカ・インディアンが平和に暮らしていた。

ピルグリム・ファーザー達は何の罪もないこれら先住民族を虐殺したことを忘れてはならない。

白人たちは、自分達が勝手に他人の土地におしかけたくせに、アメリカインディアンのことを「悪魔の代理人」と呼んだ。



1622年、ピルグリム・ファーザーズの1人が、インディアンの一部族、マサチューセッツ族の酋長ら4人を自分の執務室に食事に招待した。

インディアンは名誉を重んじ、客を丁重にもてなすのが掟であるから、この招待を受けても危険は無いと思ってやってきた。

ところが、なんということであろう。マサチューセッツ族の4人が執務室に入るなり、アメリカ人は執務室のドアに鍵をかけて、逃げられないようにした。

そして、この白人は自らナイフを振りかざして、インディアンの一人をズタズタに切り裂いた。

部下たちは酋長ともう一人のインディアンを剣でめった切りにした。

18歳の少年は、その場では殺されず、あとで、皆の前に引きずり出して絞首刑に処せられた。

ピルグリム・ファーザー達はインディアンの酋長の首をもってプリマス砦に引き返し、人々は歓喜して彼を迎えた。

酋長たち4人の首は棒にさされて30年もプリマスの砦に掲げられ、名物とされた。

これが、アメリカの「自由と民主主義」の起源だ。

安倍晋三氏はこの事実に全く触れていない。


◆繰り返す。アメリカ独立宣言は人類の平等を謳っているが、その後100年も奴隷貿易を続けていた。

ネイティブ・アメリカンの惨殺は勿論これだけではない。

アメリカにやってきた白人たちは、悪魔の如く残酷な殺戮を繰り返しておきながら、いけしゃあしゃあと独立宣言で、

「すべての人間は平等につくられている.創造主によって,生存,自由そして幸福の追求を含むある侵すべからざる権利を与えられている.」

と、自分がしたことを忘れたかの如く、誇りをもって謳っている。

これがアングロサクソンの大きな特徴である。



前述のとおり、独立宣言の後、1860年にリンカーンが大統領となり奴隷制を廃止(彼はそのために、後に暗殺される)するまで、

100年も奴隷貿易は続いていた。この言行不一致を忘れてはならぬ。


◆「リヴァイアサン」を持ち出すとは・・。

「美しい国へ」第四章はさらに、「アメリカ保守の自信はどこからきているのか」という一節を設け、

ネオコンの思想的根源が、有名なイギリスの思想家、ホッブスの「リヴァイアサン」であるかの如く書いている。

「リヴァイアサン」は

「人間は放っておけば闘争を続ける生き物だから、この混乱を治めるには強大な権力をもったもの(ホッブスは国王を意図している)に権力を委ねて統治させるのが合理的だ」

として、絶対君主制を正当化する本だ。

アメリカのネオコンは「アメリカこそ現在の国際社会に秩序をもたらす正義だ」と考えているわけで、

安倍晋三氏はそれを肯定したいらしい。だからそのような強大な力を持った国と仲良くするのが得策だ、というわけである。



現実にはそのようなアメリカの傲慢な思想が世界を却って混乱させている。

ベトナム然り、アラブ・イスラエル紛争しかり、イラク然り、である。見れば分かりそうなものだ。

私には、このような傲慢な思想を持った国を殆ど無条件で賛美する安倍氏の思考回路がどうしても理解不能である。

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コメント

さざ波様、いつもありがとうございます。

広島式典における、小泉首相の如何にも面倒くさそうな原稿の棒読みと
子供たちの「平和への誓い」は、ものすごく対照的でしたね。

ああいう場面になっても全然気まずく思わないのが、小泉純一郎という人なんですよね。

子供への誓いはこれですね。

【引用開始】

こども代表・平和への誓い(全文)

昭和20年(1945年)8月6日、午前8時15分。一瞬にして広島の街
は何もかも破壊されました。原子爆弾は、高温と爆風で人々をおそい、さら
に死の放射能で街を汚染していきました。そして、その年の終わりまでに約
14万人もの命が失われました。14万の夢や希望、未来が奪われ、数え切
れないほどの悲しみが生まれたのです。


平成17年(2005年)11月22日。私たちの身近なところで、とても
悲しい、辛い事件が起きました。その事件によって、私たちが当たり前だと
思っていた日常は壊れてしまいました。好きな友だちとおしゃべりしながら
登下校したり、一人で外へ出ることもできなくなりました。そして、私たち
は事件を通して、一つの命の重みを知りました。


この時奪われた命も、原子爆弾や戦争で奪われた多くの命も同じ命です。一
つの命について考えることは、多くの命について考えることにつながります。
命は自分のものだけでなく、家族のものであり、その人を必要としている人
のものでもあるのです。


「平和」とは一体何でしょうか。


争いや戦争がないこと。いじめや暴力、犯罪、貧困、飢餓がないこと。


安心して学校へ行くこと、勉強すること、遊ぶこと、食べること。


今、私たちが当たり前のように過ごしているこうした日常も「平和」なので
す。


世界中のどこの国も「平和」であるために、今必要なことは、自分の考えを
伝えること、相手の考えを受け入れること、つまりお互いの心を開くことで
す。人間は言葉をもっています。心を開けば対話も生まれ、対話があれば争
いも起きないはずです。


そして、自分だけでなく他の人のことを思いやること、みんなと仲良くする
ことも「平和」のためにできることです。


私たちはこれまで、祖父母や被爆者の方から体験を聞いたり、「平和」につ
いて学習したりする中で、原爆や戦争のことについて学んできました。しか
し、まだまだ知らないことがたくさんあります。これからもヒロシマで起き
た事実に学び、それを伝えていかなければなりません。


私たちは、命を大切にし、精いっぱい生きることを誓います。


私たちヒロシマのこどもは世界中の国々や人々との間の架け橋となり、「平
和」の扉を開くために一歩一歩、歩み続けていくことを誓います。

 平成18年(2006年)8月6日


 こども代表
 広島市立南観音小学校6年 新谷 望
 広島市立楽々園小学校6年 スミス・アンジェリア

【引用終わり】


小泉氏はもう辞めるし、要するに面倒くさいことは何も考えない人なのです
が、安倍晋三は一見柔和な外見から想像できないほど、好戦的な思想の持ち
主であることに、皆さん早く気が付くべきです。確信的な現行憲法否定論者
なのです。

最新号の「現代」(講談社)で立花隆と辺見庸が、「安倍は非常に危険だ」
ということを書いているようです(新聞広告を見ただけで、原文はまだ読ん
でいないのですが)。

まあ、多分、参議院選挙で自民が大敗して責任を取って辞めることになるで
しょうが、安倍氏は現職国会議員の中でも恐らく最も好戦的な人でしょう。

自民党員は「美しい国へ」という言葉に騙されないようにして欲しいもので
すが、大部分の党員(国会議員ではない、一般国民の党員です)は理屈は面
倒くさいから、といって、感覚で投票するのでしょうね。

投稿: JIRO | 2006.09.03 01:06

JIROさん、お邪魔します。上記では、ご挨拶もせず済みません。
広島の平和記念式典での、こども代表2人の力強い誠意溢れる声、
満場に響き渡りました。まだ、生まれて10年そこそこですよ。
政治のプロが、ボソボソ読んだご挨拶とは、気迫が違いました。

書き忘れましたが、広島市長・秋葉忠利氏の《平和宣言》、
これは、血を吐く思いで書かれたとも思える宣言文です。
日本で政治に携わる人には、これを、ぜひ読んで聴いて欲しい。
国民が読めば、与党への支持率は変わるでしょう。
与党の皆さん、「過ちを改むるに憚ること勿れ」ですよ!

投稿: さざ波 | 2006.08.30 17:34

《美しい国》 本は、タイトルに惑わされないことが肝心ですね。
酋長ら4人を執務室に食事に招待し惨殺した話、私も読みました。

アメリカを車で走っていて、つくづく、悲しかったのは、
歴史で、それだけむごい目に遭わされた人達の居住区である
インディアン・リザベィションが、一見、不毛の土地かと
思うほど荒涼とした場所に有ったことです。
砂漠の見渡すかぎり人家も森もない道端で、広げた布に首飾りや
手作りの品を並べて売っている汚れた子供たちもいました。
この豊かさを誇るアメリカで、何だろうと驚きました。

福祉が行き届いたという日本でも、この秋、続けざまに医療費の
自己負担が増えます。リハビリも期間が制限され、なぜか、弱者が
狙い撃ちされてるような気がします。目だけ光らせて座っていた
子供たちの姿が、ダブって思い出されてしまいます。

それより怖いのは、戦です。
この夏、広島の平和記念式典で、こども代表の2人が読み上げた
「平和への誓い」を、阿倍さんに心して聴いて貰いたいです。

投稿: さざ波 | 2006.08.30 16:44

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