« 8月1日は岩城宏之さんの四十九日である。 | トップページ | 「安倍氏が4月に靖国参拝=例大祭前、中韓反発は必至-総裁選論議に影響も」←各候補の政策を包括的に提示すべし。 »

2006.08.03

「<靖国神社>A級戦犯の分祀検討へ 日本遺族会」←分祀されても首相参拝は違憲だと思います。

◆記事:<靖国神社>A級戦犯の分祀検討へ 日本遺族会

日本遺族会(会長、古賀誠・自民党元幹事長)は2日、自民党本部で正副会長会議を開き、靖国神社に祭られているA級戦犯の分祀(ぶんし)の是非について、9月の自民党総裁選後に検討会を設置する方針を固めた。

靖国神社は「分祀はできない」としているが、最大の支援組織である遺族会で分祀の検討が始まれば、対応を迫られることになりそうだ。

古賀氏は今年5月、9月の党総裁選に向けた丹羽・古賀派の政策提言に「分祀の検討」を盛り込むよう個人的見解として提案。

結局、派閥の政策提言に盛り込まれなかったが、古賀氏はその後も、会合などで分祀論を積極的に展開し、検討会の設置を提唱していた。

遺族会では5月末に役員が集まった場で、古賀氏が分祀検討の必要性を提起したが、その時は古賀氏が途中で退席したため、

議論がないまま幹部たちから戸惑いと反発の声が出たという。

2日の正副会長会議で、初めて古賀氏を交えて提案を協議し、副会長らから「会長の提案は尊重しなければならないが、総裁選に絡めないような配慮が必要だ」

との意見が出たため、総裁選後に分祀の是非について本格的に検討する方向で共通認識ができた。

遺族会ではこれまで分祀への反対が強く、2月にまとめた活動方針でも「靖国神社自身の問題であり、

神社が応じるとは考えられない」として、分祀問題には一切かかわらない立場だった。

しかし、古賀提案の後、昭和天皇がA級戦犯合祀に「不快感」を示していた元側近のメモが発見されたことで、会内にも動揺が広がり、

幹部の間で「BC級戦犯の分祀にまで及ばないのであれば、A級戦犯の分祀については話し合うことも必要ではないか」との意見が増えているという。

3人の副会長は当初、いずれも分祀に消極的だったが、こうした会内の空気の変化を踏まえて「遺族会としての総意を確認するため、話し合ってみる必要はある」と判断したという。

古賀氏は7月19日、訪問先の中国でも共産党幹部との会談で考えを説明し、中国側は「注目している。一つのよい方向だ」と評価していた。(毎日新聞) - 8月2日21時39分更新


◆コメント:大阪高裁の判決文を読めば、明らか。

私は、7月17日の日記に、内閣総理大臣の靖国神社参拝に関する一考察。を書きました。

そこでも触れた、昨年9月30日の大阪高裁の判決文の別の箇所、「本件各参拝の目的」(ア)という部分を読むと、司法は次のように判断しています。

靖國神社の本殿には礼拝の対象である祭神が奉斎されており,靖國神社の祭神は,控訴人らの親族を含む戦没者の霊である。

被控訴人小泉は,靖國神社本殿に昇殿し,戦没者の霊を祭った祭壇に黙とうした後,深く一礼を行ったが,

宗教法人の宗教施設において,その祭神に拝礼することは,典型的な宗教行為であって,社会通念・常識に照らして,宗教的意義を持つことは明らかである。

本当は判決文に限らず、他人の意見は最初から最後まで読まなければなりません。

しかし、この判決文は長大でここに全文を掲載するわけにはいかないので、(大阪高等裁判所 平成17年09月30日 平成16(ネ)1888 損害賠償請求控訴事件)をご覧下さい。

さて、私が述べたいことは、上に抜粋した判決文により明らかなとおり、「靖国神社は宗教施設であり、かつ、小泉首相の参拝は典型的な宗教行為だ」、と裁判所が判断している事実です。

そこでは、A級戦犯という概念は意識されていません。行為自体が宗教的行為で、これは、違憲である、と述べているのです。

判決文全体を読むとA級戦犯という言葉は出てきますが、それは控訴人と被控訴人(国)の主張の引用の中で出てくるだけです。

更に、判決文の終わり近くには、

以上のとおりであるから,本件各参拝は,極めて宗教的意義の深い行為であり,一般人がこれを社会的儀礼にすぎないものと評価しているとは考え難いし,被控訴人小泉においても,これが宗教的意義を有するものと認識していたものというべきである。また,これにより,被控訴人国が宗教団体である被控訴人靖國神社との間にのみ意識的に特別の関わり合いをもったものというべきであって,これが,一般人に対して,被控訴人国が宗教団体である被控訴人靖國神社を特別に支援しており,他の宗教団体とは異なり特別のものであるとの印象を与え,特定の宗教への関心を呼び起こすものといわざるを得ず,その効果が特定の宗教に対する助長,促進になると認められ,これによってもたらされる被控訴人国と被控訴人靖國神社との関わり合いが我が国の社会的・文化的諸条件に照らし相当とされる限度を超えるものというべきである。
したがって,本件各参拝は,憲法20条3項の禁止する宗教的活動に当たると認められる。

として、被控訴人、「国」が特定の宗教に対して特に深い関係を持っていると考えられても仕方がないのであって、それは、国の宗教的活動を禁じた、憲法第20条第3項に抵触するというのが趣旨です。

従って、A級戦犯の合祀、分祀にかかわらず、靖国神社を国が参拝することは違憲であることに変化はなく、

違憲審査権を持つ司法が行政府の行為を違憲と判断している以上、これを無視して参拝することは許されません。以上。

|

« 8月1日は岩城宏之さんの四十九日である。 | トップページ | 「安倍氏が4月に靖国参拝=例大祭前、中韓反発は必至-総裁選論議に影響も」←各候補の政策を包括的に提示すべし。 »

ニュース」カテゴリの記事

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

TACさん、こんばんは。

>百歩譲って国会議員や閣僚であっても、その立場になるずっと以前から繰り返し参拝していたのであれば、私
>人としてひっそりと参拝する(目立たぬ平服でSP等もつけずあくまでも個人的に)限りにおいては、精神の自
>由から考えれば心情的には辛うじて許容できるかな…という感じです。

私も、似たようなことを考えていました。
「若い頃、政治家になる前から、1人で靖国を参拝していたから、その習慣を保っているだけだ。」
という人は、果たして何人いるのか?何故か与党に入ると急に「英霊が」と言い出すのは滑稽です。
この人たち、自分の家の墓参りにはちゃんと行っているのかな?と。

さらに、大阪高裁判決文にもあるとおり、公用車と用いて移動し、神殿まで小泉氏が歩くところは、首相のSP
(警護官)が厳重に周囲を固めています。

小泉首相自身が主張するとおりの「私的参拝」であるならば、「一私人」の移動に税金で費用を賄っている公
用車を用い、「一私人」のボディーガードに、首相の身辺を守ることが任務である公務員を「借用」したこと
となります。

勝手に「私人」が税金を使って貰っては困りますね。

アジア諸国が反感を持つのは「A級戦犯」云々もあるでしょうけれども、小泉君は、ブッシュの愛玩犬と成り
下がり、何を言われても逆らわないのにもかかわらず、同じアジア人の自分らの言葉には、一顧だにしない、
という事実が(中国は他にもいろいろ計算しているでしょうけれども)癪に障るのでしょうね。

ただ、一部の噂では、小泉氏はブッシュから「中国ともう少し上手くやれ。日中関係はあまりにも悪化してい
る」という「お叱り」を受けたとか。そうなると、靖国参拝は自分の「心の問題」などと言っていられなくな
りますので、どのように行動するか。

いずれにせよ、靖国参拝が総理大臣の仕事の「中心」である訳はないのであって、こんな事にばかり「信念」
を持ち、エネルギーを注ぐのならば、在任中、社会的弱者に光を当てる事にその情熱を燃やして欲しかったと
思います。

靖国は、行ってみたことがありますけど。あれはねえ・・。完全に戦争を美化してますからねえ。ホームペー
ジからでもある程度雰囲気が分かりますが、私は不気味な感じがしましたねえ。

やはり、日本古来の風俗習慣にのっとり、戦死者であってもなくても、軍人であってもなくても、亡くなった
人は「仏様」として供養した方がしっくりくるように思います。「神様」にするのは、どうかと思いますねえ。

真珠湾の連合艦隊司令長官、山本五十六氏は阿川弘之著「山本五十六」(上)(下)(新潮文庫)を読むと分
かりますが、極めてリベラルな精神の持ち主で、当時の海軍が日本海海戦の東郷平八郎海軍大将をやたらと持
ち上げ、没後、「神様」に祭り上げ、「東郷神社」が建てられたときには、

「如何なる、武勲を立てた軍人と言えども、これを神格化するなど、言語同断」と激怒しています。彼が生き
残ったら、多分間違いなくA級戦犯だったでしょうが、自らが神様にされることなど、まっぴらご免と拒絶し
たかったと思います。

事実、故郷新潟・長岡で「山本神社」を建立しようという話が持ち上がったときに、生前、仲が良く、対米戦
争に関しても「絶対反対」で完全に考えが一致していた米内光政が、普段は無口なのに、このときは、「山本
はそういうことは大嫌いです。神様になどされて、一番迷惑なのは山本です」頑として譲らず、計画を止めさ
せたという話が載っています。

当然のことですけれども、いつの時代でも物事の見える人と頭の固い人がいて、多くは「固い」部類に属し、
国を傾けるのですね。

投稿: JIRO | 2006.08.05 18:55

弱者の人権を踏みにじり、強者の横暴を「人権」の名において押し付ける最近の非民主国家・偽先進国(アメリカもそうですね)日本の迷走を象徴する事件の1つではないかと思います。まあ、それにしても小泉政権はあまりにも酷い。

個人的には非暴力の宗教には寛容でありたいですし、零式艦上戦闘機などは何度もプラモデルを作り、シルエットを見ただけで何型かがわかるくらい好きですが、15年戦争に対しては肯定する気持ちはありません。

靖国問題も、国会議員や閣僚が参拝するのでなければ、たとえ大東亜戦争肯定の思想で運営されている現実があったとしても、その存在そのものを否定はしません。慰霊はひっそりとなされるべきです。

百歩譲って国会議員や閣僚であっても、その立場になるずっと以前から繰り返し参拝していたのであれば、私人としてひっそりと参拝する(目立たぬ平服でSP等もつけずあくまでも個人的に)限りにおいては、精神の自由から考えれば心情的には辛うじて許容できるかな…という感じです。

小泉ポチ首相においては、以前に参拝を誘われた時には断っているという記事も目にしていますし、何よりも「アメリカの友好国という選択をした」のならアメリカを敵とした大東亜戦争史観の靖国神社参拝は論理矛盾です。当然、靖国の英霊は、アメリカの顔色を伺っている政治家たちには決して参拝して欲しいとは考えないと思います。裏切り行為ですからねえ……。

マスコミは、そうした取り上げ方はしませんねえ。何なんでしょうねえ、この国は…。こんなことを繰り返していたら愛国心は育たず、かえって辛うじて持っていた国土に愛着を持つ感情もなえてしまうと思うのですが……。結局、自らの言葉にきちんと責任を取らないからなんでしょうね。日本文化の源である日本語が泣いていますよ、偽愛国心しか持っていない政治家・官僚の皆さん。

投稿: TAC | 2006.08.03 11:52

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/62198/11238775

この記事へのトラックバック一覧です: 「<靖国神社>A級戦犯の分祀検討へ 日本遺族会」←分祀されても首相参拝は違憲だと思います。:

» [検証]メモ解読捏造報道確定か!?日経の昭和天皇と靖国手帳報道 [ネット的記憶装置]
某2ch掲示板で、1日程度かけて、あらゆる角度から検証されている。いろいろと、突っ込みどころが多くてスレ自体は結構混沌としていたが(錯乱作戦実行部隊もいたんだろうけどね)その中でも、確度が高そうなものを記しておこう、捏造報道確定にはいたらないと思うが、検証材... [続きを読む]

受信: 2006.08.03 10:42

» A級戦犯分祀(靖国神社)日本遺族会で検討と古賀誠会長 [ブログで情報収集!Blog-Headline]
「A級戦犯分祀(靖国神社)日本遺族会で検討と古賀誠会長」に関連するブログ記事から興味深いものを選んでみました。ぜひ、読み比べてみてください。 =20... [続きを読む]

受信: 2006.08.03 18:48

» A級戦犯分祀(靖国神社)日本遺族会で検討と古賀誠会長 [ブログで情報収集!Blog-Headline]
「A級戦犯分祀(靖国神社)日本遺族会で検討と古賀誠会長」に関連するブログ記事から興味深いものを選んでみました。ぜひ、読み比べてみてください。 =20... [続きを読む]

受信: 2006.08.03 18:53

» 日本人は裁かれる側と [スクランド日記]
 A級戦犯とは、戦争を始めたこと。  B級戦犯とは、ときどきの戦争の方法が国際法の規定を踏んでいないこ [続きを読む]

受信: 2006.08.09 01:04

« 8月1日は岩城宏之さんの四十九日である。 | トップページ | 「安倍氏が4月に靖国参拝=例大祭前、中韓反発は必至-総裁選論議に影響も」←各候補の政策を包括的に提示すべし。 »