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2006.10.02

「さくらちゃんを救う会」難病女児の募金に批判/臓器移植:みらいちゃん 来月中旬に渡米

◆【お詫び】

原稿を若干加筆訂正しました。

再アップする際に日付を10月1日付にしました。
前稿は9月30日付でしたから、URLが変ってしまいました。

enpituの新しいURLは、

http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/day?id=89954&pg=20061001

になります。 enpituにブックマークなさった方が多く誠に恐縮なのですが、

もう一度、ブックマークする、という方は、

再登録してください。お手数をおかけして、申し訳ありません。


◆記事1:心臓移植:さくらちゃん「救う会」が募金活動 目標1億3600万円--三鷹 /東京(毎日新聞) - 9月22日11時2分更新

◇心臓移植手術しかない--年内渡米目指し

難病の「拘束型心筋症」と診断された三鷹市の団体職員、上田昌広さん(53)の長女さくらちゃん(4)が米国で心臓移植手術を受けるため、

支援者でつくる「さくらちゃんを救う会」が募金活動を始めた。目標額は渡米・手術費など計1億3600万円。

同会は「11月中には目標を達成し、年内にもさくらちゃんの渡米を実現させてあげたい」と協力を呼び掛けている。

拘束型心筋症は心臓の筋肉が硬化し、心室の拡張機能が次第に低下する病気。心機能が落ちて肝臓や肺などにも負担がかかり、

診断1年後の生存率は5割未満という。現時点では心臓移植以外に治療法はないが、国内では臓器移植法により、15歳未満のドナーは認められていない。

さくらちゃんは今年4月、肺炎を発症して都内の病院で精密検査を受けたのがきっかけで病気が判明した。

現在は血流が弱まって血栓ができるのを防ぐ薬を1日2回服用しながら2週間に1回通院している。

21日、都庁内で会見した昌広さんは「肝臓など他の内臓の機能も低下し、移植が難しくなってしまう」と訴えた。

さくらちゃんは一人娘。同席した妻和子さんは「信じられない診断結果で、移植しかないと言われた時は足元が崩れ落ちる思いだったが、

さくらが頑張っている姿に、私たちも前向きに頑張り、協力をお願いしようと思った」と声を震わせて話した。

同会はこの日の都庁前を皮切りに、毎週土日曜日にはJR吉祥寺駅周辺での街頭活動を予定。

23日には武蔵野市の市民文化会館でチャリティーコンサートを開く。

募金の呼び掛け人には子どもがさくらちゃんと同じ保育園に通っていたという漫画家の石坂啓さんらも名を連ねている。

 募金の振込先は「さくらちゃんを救う会」で、

郵便振替00140―0―446479など。問い合わせは同会事務局(0422・41・8586)まで。


◆記事2:難病女児の募金に批判 ネット掲示板 (産経新聞) - 9月28日8時0分更新

重い心臓病におかされた女児の救済募金が、インターネット上の巨大掲示板「2ちゃんねる」などで激しい批判の対象になっている。

女児の両親と有志が手術に必要な1億3600万円を目標に募金活動を始めたが、

ネット上では父親がNHKに勤務していることなどを理由に募金が必要なのかなど疑問を投げかける声が続出している。

募金の事務局は「募金は親としての最大限の努力をした上、足らなければ助けてもらう大前提で行っている。

ポスターやホームページは説明が足らなかった。両親が集めた負担額を計算し、近日中にサイトを書き換える。

募金収支などの情報公開は全部ガラス張りにしたい」と話している。

救済募金は東京都三鷹市の上田さくらちゃん(4)のための募金。難病の「特発性拘束型心筋症」で、

米国での心臓移植しかない状況といい、21日には「さくらちゃんを救う会」が都庁で会見し、手術費や渡航費などをまかなう募金への協力を訴えた。


◆記事3:臓器移植:みらいちゃん、来月中旬に渡米--難病で移植手術(毎日新聞) - 9月29日12時1分更新

難病「全結腸型ヒルシュスプルング」の患者で、全国から約1億5000万円の寄付を受けた山下みらいちゃん(6カ月)=春日井市=が、

腸の移植手術のため10月中旬に渡米することが決まった。

手術を受けるには体重が4000グラムに達する必要があるとされていたが、現在4200グラムになっているという。

寄付活動を支えた「山下みらいちゃんをすくう会」によると、10月2日に入院中の県心身障害者コロニー中央病院(春日井市)から東京の慶応義塾大学病院に転院。

検査の後、同月中旬に、手術を受ける米・マイアミ大ジャクソン記念病院へ両親らと向かう予定。9月29日朝刊

◆リンク;「さくらちゃんを救う会」「みらいちゃんを救う会」

さくらちゃんを救う会
山下みらいちゃんをすくう会ホームページ


◆コメント:何故「みらいちゃん」には何も言わず「さくらちゃん」を批判するのか。

それぞれのサイトから得られる情報によれば、

「さくらちゃんを救う会」の目標額は1億3600万円。9月29日現在、集まったのは、60,031,460円。

「みらいちゃん」を救う会は5月13日(土)に「決起集会」、5月15日に両親が愛知県庁にて記者会見。目標額は、 1億4,600万円 で、約3か月後には、150,686,929円 (8月17日15時現在)

さくらちゃんへの募金活動が批判に晒されている、というのでネット上いくつかのブログを拝読したが、

どうも、


  • 父親がNHK職員だということ。

  • しかも「冬のソナタ」のチーフ・プロデューサーであること。

  • 推定世帯年収が4000万円超であること(言うまでもなく、エビデンス無し)。
  • 三鷹市に庭付き一戸建ての住居を持つこと、


などが「批判の根拠」らしい。

特に父親が「NHK」職員である、と言うことが世間の反感を呼んでいるようだ。(要するに単なる嫉みではないのか?)

中には、どういう根拠があってのことかは知らないが、さくらちゃんは移植する必要までの病状ではない「ようだ」などと書いているサイトまであった。

これらの批判を受けて、さくらちゃんを救う会のサイトは、

(当初どのような内容だったか知らぬが、)現在は、費用内訳を掲載し、手術前に病院に支払うデポジット(預け金、保証金のようなものですな)請求書の写し

(それが偽物かも知れない、と疑い出せばキリがない)まで、公開している。

※ロマリンダ大学病院から上田夫妻に届いた文書を添付いたします。(PDF/139KB)(http://www.sakurahelp.com/hp_img/bokin-uchiwake/20060929224042717.pdf)

750,000ドルと確かに表記してある。



また、ご両親からのメッセージが事情を説明する長い文章を書いた。

その中で、上田さんは、

確かに自分は戸建ての家に住んでいるが、当然ローンで借りているから、預金と相殺しても、純資産は負債であること、

医療上の必要性などに関して

などが、述べられている。(http://www.sakurahelp.com/contents/ryosin-message.html)

「みらいちゃん」のときには、批判が出たのか出ないのか、確かめられないが、「さくらちゃん」のときほどの騒ぎにならなかった筈である。

「さくらちゃんを救う会」が批判されるのは、要するに、父親がNHK職員であることなどが理由だと、産経は書いているが、そんなことは関係ない。


◆親がNHK職員であろうが、無かろうが、子どもの病には関係が無いだろう。

「さくらちゃん」募金批判を読むと要するに、親がNHKの「冬のソナタ」のプロデューサーでそこそこの所得がある「筈」で、

一戸建ての住宅に住むぐらいだから、カネにも余裕がある「筈」だ。

だから、この募金はおかしいのではないか、という趣旨で書いているものが殆どであるが、

反論の根拠は「憶測」の範囲にとどまるものが多く、客観的に募金の不要性を証明するものではない。

一番ひどいのは、

「子どもの病気も移植を受けるほどひどい状態じゃないようだ」

という言葉である。

一体、何を根拠に書いているのか、信じられないほどひどい罵詈雑言を書いている人がいる。

何故、困っている人を叩くのか。


◆移植手術の困難。

「さくらちゃん」の両親の年収が3000万だか、4000万だかある「らしい」と書いた人は源泉徴収票でも見たのだろうか?

それはさておき、仮に4000万円の年収があったとしても、治療、その他に必要な費用1億5千万は年収の約4倍である。

「さくらちゃん」批判の中には、募金じゃなくて、借りればよいだろうという意見があった。

さくらちゃんの父親の上田さんによれば、自宅は3年前に20年ローンを組んで購入したばかりだという。

すでに大きなローンを抱えている上に、新たなローンを組めるかどうか(銀行が貸すかどうか)は甚だ疑問だ。

また、仮に新たな借金が出来たとしても、上田さんは53歳だから、長いローンは組めない。



退職金を前借りするとか、いろいろ企業内の福利制度を利用する手もある。

それでも、上田さんに家を売れ、というのはあまりに酷ではないか。

帰国してから、どこに住めというのか。

さくらちゃんの病気が分かったのは、自宅購入後ということだが、結果的には、その方がいい。

さくらちゃんの手術が成功して帰国しても、自宅で安静にしなければならない。それは、狭い家ではダメなのだ。

さくらちゃんが必要とするのは普通のベッドではなく、容態急変に備え、バイタルを計測する装置や、酸素吸入装置の装着が可能な、

特殊な高価な治療用のベッドだ。それが置けるだけの広い部屋でなければならない。

場合によっては、病院への搬入もままならず、相当数の医療スタッフが自宅にくることがあるかも知れない。

病院へ搬出するにしてもいずれにしても、移動の際はマンションより、戸建ての方が、救急車への移動がスムーズに(患者に負担を与えずに)行うことが可能である。


◆移植の後は拒絶反応との闘いだ。

移植手術は、「手術が成功すれば終わり」ではない。

「さくらちゃん」は心臓移植が必要だが、移植を受けた患者はその後様々な合併症を経験することが多い。



「さくらちゃん」の身体は、移植された臓器を「異物」と見なし、拒絶反応を起こす。

それを防ぐために、移植された患者には「免疫抑制剤」を用いるが、「免疫」を「抑制」するのだから、

様々な感染症に罹る可能性も高く、そのような「合併症」を防ぐ為に、術後ICUで治療を受ける。

その費用が「1日に60万円~80万円」にもなる。そこまでは、上記のデポジットでまかなえるらしい(ご両親のメッセージによる)。


◆最悪の場合は、再移植が必要となるが、上田さんはそこまで想定していないと思われる。

免疫抑制剤を用いても、移植した心臓が、さくらちゃんの身体に合わない、という最悪の場合は、再移植しか手段がない。

だが、さくらちゃんの募金目標額はそこまで想定していない、と推定される。

再移植を想定しているならば、目標募金額は今の倍近くになるはずだからだ。

ということは、「さくらちゃん」のご両親は、覚悟しておられるのだ。

再移植が必要となった場合は、もはや、諦めるしかない。ということを、である。


◆結論:募金したくない人は、しなくて良いが、憶測にすぎない「情報」をみだりに流すべきではない。

私はさくらちゃんを救う会に募金したが、私は、医者ではない。

従って、さくらちゃんの症例が医学的に移植適応なのか、証明できない。

また、募集目標金額の妥当性を精査することは出来ない。



だから、他の人々に「貴方も募金するべきだ」とは言えない。それは各人の自由である。

しかしながら、さくらちゃんを救う会に書いてあることが真実だとすれば、

カネが足りない為に幼子が命を落とすことがあったら、あまりにも不憫である。と私は考えたのである。

話が飛躍するかも知れないが、田中角栄の秘書を23年務め、先年亡くなった早坂茂三氏が、ある本の中で、

「余程の悪党で無い限り、人間、他人様(ひとさま)に『カネを貸してくれ』と頼むほど、惨めで、切ないことは無い」

と書いている。その通りだと思う。

ましてや、今回は、上田さん夫妻は「カネを恵んでくれ」と世間に顔を名を晒して頼んでいるのだ。

ブログの中で、
「これは、乞食じゃないか」

とひどいことを書いている人がいる。

その通りだから、ひどいのである。それを書いてはいけない。



これは人の親にならないと分からない。

親なら、乞食をしてでも我が子を救いたいと思う。それは、恥ずかしいことでも悪いことでもない、自然な気持ちだと思うのである。

それはそうなのだが、それでも、「乞食ではないか」ということは、多分親の上田さんが一番辛いと思っていることである。

だから、書くべきではないのだ。ひどすぎる。

昔からの知恵で

「借りたカネは必ず、返せ。しかし、貸したカネは相手にやったものと思え」

という。借りても返さない人は意外と多いものである。

今回は、募金だから、これに応じた人は、当然、返して貰えるとは全然思っていない。

あくまでも、仮定上の話として、ひどいことを敢えて書くならば、

私は「さくらちゃん」の話が全部嘘だったとしても、それはそれで仕方がない、と思って募金した。

根拠を示すことは出来ないが、上田さんは本当に募金を必要としていると「感じた」が、そうではなくても、今更何も言わぬ。



繰り返すが、だから、他の人にも「募金するべきだ」とは言わない。貴方が「募金しない自由」は完全に確保されている。

されているのだから、せめて、「上田さんは、そこそこの高収入らしい」とか、「三鷹に戸建ての家を持っている」とか、

「NHK職員だから」、というような「批判」をネット上に展開するべきではない。

そのような文章を読んだ人が、募金をしようとしていたのに、次々と止めてしまい、必要な費用があつまらず、

さくらちゃんが移植手術を受けられず、幼い命を落とすようなことがあったら、取り返しがつかない。

大切なのは、親の懐具合を探る意地悪さではなく、「子どもの命を助けられるものなら助けたい」という善意である。


◆結論は同じだが、多少加筆。

多少、書き方を変えてみようか。

「娘が重病でカネが要るから、寄付してくれ」

という親がいる。

それを信じて、寄付する人がいる。

寄付しない人がいる。

する、しないは各人が自由意思に基づき、検証したい人は検証してから寄付すればよいし、

話を聞いただけで、「胡散臭い」と思う人は寄付しなければよい。それだけではないか。

ただ、寄付しない人は、黙っていれば良いではないか、と言いたいのである。

仮に、本当は寄付を必要としていないのに、募金を募り、それに応じる人がいたら、両親の行為は詐欺罪の構成要件に該当するであろう。

そして、これだけの騒ぎになっているのだから、当然司法は怪しいと思えば捜査するだろう。

わざわざ、素人が、「本当に必要なのかも知れない募金」を邪魔することはないだろう。

産経新聞のあいまいな記事も同様である。というか、産経は曲がりなりにも、(バカだが)プロなのだから、

「ネット上で問題になっている」で終わらせずに、真面目に取材するべきである。

「インターネットの掲示板で、募金が本当に必要なのか、批判が起きている」という事象を伝えるだけの記事などは、載せるべきではない。

↓がその記事(のキャッシュ。ウェブ魚拓経由)。

難病女児の募金「本当に必要?」 ネット上で批判集中

こういう書き方をしたら、読者は「本当は怪しいのかな?」という疑いを抱く可能性が高い。

ミス・リーディングだと思う。

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