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2006.10.14

「北朝鮮が核実験を行ったとは確定出来ていない」のが現時点における客観的事実である。(14日追加情報を含む)

◆記事1:北の「核実験」確定できない可能性=分析作業の難航示唆-米報道官

【ワシントン13日時事】スノー米大統領報道官は13日、北朝鮮の核実験実施発表に関して、

「(核実験だったかどうか)分析責任者はまだ、判断を下していない。確定的な発表はないかもしれない」と述べ、

確定できない可能性もあるとの見通しを示した。スノー報道官は記者団に、「分析は期限を設定できる作業ではない」と語り、

関連情報の収集・分析が難航していることを示唆した。(時事通信) - 10月14日1時4分更新


◆記事2:<北朝鮮核実験>放射性物質出ず CTBTO観測結果

核実験全面禁止条約機関(CTBTO)準備委員会は13日、ウィーンで、条約に署名した各国を集めて特別会合を開き、

地震波など、北朝鮮の核実験監視のための各種の観測データを議論した。

核爆発の確認に重要な判断材料となる放射性物質は、「これまで検出されていない」との観測結果が報告された。

一方、核実験が原因となった可能性がある地震のマグニチュード(M)を従来のM4.0(誤差M0.3)から、M4.1(同0.1)と評価し直した。

日本では、全国36府県などが行った12日午前9時までの観測で、大気中で放射性物質は検出されていない。

しかし、CTBTOの観測は精度が高く、自治体の観測では分からない微量元素も検出できるため、データが注目されていた。

日本政府は「現時点では放射性物質が出ていないということで、核実験ではなかったとの判断はまだできない」

としており、今後も観測データの収集などを続けるという。(毎日新聞) - 10月13日22時55分更新


◆記事3:対北決議、きょうにも採択=米が安保理各国に提示(時事通信) - 10月14日1時4分更新

【ニューヨーク13日時事】国連を舞台にした北朝鮮に対する制裁決議交渉で、米国は13日午前、

最終合意案を安保理の理事国各国に提示した。米国は同日午後に安保理に合意案を提出。

14日午前(日本時間同日深夜から15日未明)にも全会一致で採択される見通しだ。

合意案は、経済制裁について定めた「国連憲章第7章41条」を明記し、制裁を非軍事的措置に限定。

一方で、北朝鮮船舶の臨検のほか、核・ミサイル関連物資や大型通常兵器の禁輸、大量破壊兵器開発に絡んだ金融資産の凍結など、

幅広い制裁措置を盛り込んだ。少なくとも日本と英仏両国、スロバキアなど8カ国が共同提案国に名を連ねる見込み。


◆記事4:ミサイル防衛の整備急ぐと安倍首相=敵基地攻撃能力「検討は当然」-参院予算委

安倍晋三首相は12日の参院予算委員会で、北朝鮮の核実験実施発表という新事態を受けたミサイル防衛網の整備について

「こういう状況を踏まえ、促進すべく努力したい」と述べ、急ぐ考えを表明した。

また、久間章生防衛庁長官は「国民の不安を取り除くため、少し(整備計画の)前倒しを考えないといけない」と述べた。自民党の愛知治郎氏への答弁。

現行計画は、地上配備型(PAC3)とイージス艦搭載型(SM3)の2種類の迎撃ミサイルによる防衛システムの整備を2011年度までに完了するとしている。



また愛知氏は、北朝鮮が弾道ミサイルを日本に発射した場合の対抗手段として、

敵基地攻撃などの能力の保有を検討すべきだとただした。これに対し首相は、

「常にわが国を守るためにはどうすればいいかを検討、研究していくことは当然だ」と述べた。

首相は官房長官当時も、敵基地攻撃能力の保有に関する検討が必要だと発言している。

(時事通信) - 10月12日21時2分更新


◆コメント:運が良い安倍首相、だが、性急すぎる。

安倍首相はツイている。

就任演説では「この人、大丈夫かね・・・」という印象だったが、就任早々、訪中、訪韓を決め、

その最中に北朝鮮が核実験に成功した、との声明を発表した。

北朝鮮の件がなくても、小泉首相の時代には全然会おうとしなかった中国の指導者は、

安倍首相とならば、日中関係改善が期待出来る、と踏んでいたようだ。



しかし、北朝鮮の騒ぎがなかったら、中国も韓国も例によって戦争中の話を持ち出し、また、「謝れ」といい出したかも知れない。

ところが、北朝鮮が丁度良いタイミングで、日・中・韓にとっての共通の「安全保障上の脅威」になってくれたので、

とりあえず「今は、靖国問題は保留にしておこう」という流れになった。

これにより、5年間、小泉首相の所為で最悪の状態だった日中関係を、

とりあえず、急速に安倍首相が回復させた、という印象が形成されている。


◆確証がないまま、急速に「制裁」「適地攻撃能力検討は当然」という安倍首相。

日本政府は、近年稀に見る「迅速な対応」を行っている。

記事3のとおり、日本時間の14日中にも国連安全保障理事会は、対北決議案を採択する見通しである。

それは、国連憲章にのっとった手続きである。



しかし、記事4は危ないね。これがどれぐらい重大な発言か、どうしてマスコミは取り上げないのか。


◆「先制攻撃の検討」は違憲である。

今までの政府の公式見解は、集団的自衛権の行使は不可、であって、それは今も変更されていない。

ところが、記事4にあるとおり、安倍首相は、ミサイル「防衛」のみならず、

何と、日本から先制攻撃を仕掛けることも「当然、検討するべき」だと言う。



時事通信は淡々と伝えているが、これは、重大な発言だ。

現行憲法では、どう考えても先制攻撃は認められないのに、憲法遵守義務を負う内閣総理大臣が、完全に憲法9条を無視している。

これはいけませんぞ。

仮に、憲法改正(私は絶対反対だが)が実現し、日本が戦争を出来る国になってしまったのならば(考えたくもないが)、

記事4に書かれているような首相の発言も許されるだろう。



しかし、現実には、言うまでもなく、日本国憲法は、施行から今日まで、何の変更もないのである。

首相が今の憲法を変えたがっているのは、皆知っているが、兎にも角にも今現在は、日本国憲法は先制攻撃など認めていないのだから、

国政の最高責任者が憲法遵守義務に違反する行為(先制攻撃)を「当然検討すべきだ」と発言してはいけない。


◆いいですか、落ちついて記事1と記事2を読んで下さい。「核実験は確認できていないのです」

北朝鮮が「核実験に成功した」との声明を発表したのが、9日(月)の午前11時すぎ。

それから、4日経ったが、放射能は検出できず、核実験が行われていないかを監視する専門組織、

「核実験全面禁止条約機関」は、今日、いまだに放射能は検出されていないといったのだ。



米国のスノー報道官も、記事1だが、「北の『核実験』確定できない可能性」を示唆している。

つまり、北朝鮮が核実験を行ったかどうかすら、いまだに分かっていないのである。


◆イラク戦争を始めたときのブッシュと同じだ。国際法(国連憲章)にも違反している。

国連憲章は、原則として武力行使を国際紛争解決の手段として用いることを禁止している。例外は2つだけ。


  1. 自国(集団的自衛権の行使を認めている国なら、同盟国も含む)が他国の攻撃を受けて、これに対して、国連軍が助けに行くまで、自国又は同盟国を防衛する場合。

  2. 国連安全保障理事会が正式な手続きにしたがって、問題を起こしている国へ多国籍軍を派遣することを決定したとき。


である。

先制攻撃はゆるされていないのである。

にも関わらず、「イラクが大量破壊兵器を保有している」と主張して、

実は証拠もない(ことが後に判明した)のにイラク戦争を開始したアメリカと、安倍首相の発想は同一である。



結論として繰り返すならば、日本が勝手に先制攻撃を行うことは、憲法にも国連憲章にも違反する行為である。

「当然検討」など、とんでもない。

それに、北朝鮮には横田めぐみさんたち、拉致被害者がいるのだ。

先制攻撃などを加えたら、彼らの身に何が起きるか分からないではないか。

安倍ちゃん。あまり調子に乗ってはいかんよ。


◆【追加】記事:<北朝鮮核実験>米軍偵察機、微量の放射性物質発見?(毎日新聞) - 10月14日12時18分更新

【ワシントン和田浩明】米CNNテレビは13日夜(日本時間14日朝)、

北朝鮮が9日に発表した核実験が行われたとされる現場付近で「放射能の形跡」が見つかったとの米政府当局者の話を報じた。

CNNによると、沖縄の駐留米軍の偵察機が収集した大気サンプルから、核実験で放出されたとみられる微量の放射性物質を発見したという。

詳細な収集場所は不明。核実験全面禁止条約機関(CTBTO)準備委員会が13日ウィーンで開催した加盟国の特別会合では、

放射性物質は「これまで検出されていない」との観測結果が報告されている。

AP通信も同日、米情報当局者の話として、大気サンプルの初回の分析では、「まだ見つかっていない」と報じていた。


◆コメント:「北朝鮮の『核実験声明』後5日経ってから」、「米国」が、「放射能の形跡」を発見したと言い出した訳です。

昨夜、原稿をアップした時点では、ホワイトハウスのスノー報道官は、記事1にあるとおり、確証を得るのは難しいといっていたけれど、

今日になって、「放射能の形跡」を北朝鮮の現場付近で検出した。と言っています。

早とちりしないようにしないと、いけないですね。北朝鮮の核実験によるものかは分かりません。

核実験が行われなくても常に、大気中に微量の放射能は存在しているのですから。

例えば、原子力発電所で使用済み核燃料を、処理施設に運ぶために、ごく一瞬ではあるが、あのプールから外に出すと、空気に触れる。

使用済み核燃料からは大変強い放射能が出ている。そして、放射能は風に乗って何百キロも飛んでゆくのです。

だから、北朝鮮が「実験を行ったと言われている場所」の上空で「放射能の形跡」が検出されたこと=「北朝鮮が核実験を行った物的証拠」

には、必ずしもなりません。

そして、発見したのがアメリカですから。

イラク戦争を開始するために、ありもしない「大量破壊兵器」の証拠がある、と嘘をついた国家ですから。

それも、考慮する必要があります。

つまり、今もなお「事実は確定できていない」のが、客観的な見方です。


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