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2006.12.07

「海自インド洋派遣6年目 無料給油、203億円分」「生活保護 削減額は400億円」←これが「美しい日本」なのか。

◆記事:海自インド洋派遣6年目 無料給油、203億円分

米英などによるアフガニスタンでのテロ掃討作戦を支援するテロ対策特別措置法が11月から1年延長され、

海上自衛隊のインド洋派遣は6年目に入った。他国艦艇への無料給油は先月27日で、延べ700回に達した。

日本から1万8000キロも離れた洋上の活動の実績はどうなっているのか。



◇評価分かれる成果

「来年のゴールデンウイーク明けには、無事に戻ってきます」。

先月12日、海自の呉港(広島県呉市)から補給艦「とわだ」(8100トン)がインド洋に向け出航した。

山下正和艦長(54)は、見送りの海自幹部や家族ら約300人に、こうあいさつして乗り込んだ。

出港から帰港まで約5カ月。「とわだ」は今回で6度目の派遣となる。5度目の派遣となる隊員も多く、精神的・肉体的負担に加え、家族の苦労も大きい。

また、海自の補給艦は5隻しかなく、派遣前後は通常任務の訓練、整備などもこなさなければならない。

米英などの艦船は、アラビア半島周辺のインド洋で武器やテロリスト、資金源となる麻薬が行き来しないよう、

01年9月の米同時テロ以降、阻止行動を続けている。04年1月に大麻約1・5トン(110億円相当)を押収し、

アルカイダに関与するとみられる乗員15人を拘束した。同5月には、銃器約560丁、実弾約1200発を押収した。



海自の補給艦は、これら他国の軍艦艇に無料で燃料や水を補給する。いわば「洋上の給油スタンド」の役目だ。

過去5年で派遣された海自艦は延べ55隻、活動した隊員は同約1万600人。

11カ国の艦艇に提供した燃料は46万キロリットル(ドラム缶230万本分)で海自の艦艇が使用するほぼ1年分に相当。

5年間で203億円分の燃料を提供したことになる。



だが、支援の具体的成果は見えにくく、1カ月の補給回数は、最盛期の03年5月の32回から13回程度まで減少している。

今年2月、内閣府は「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」を実施した。

自衛隊が取り組んでいる国際平和協力活動について複数回答で挙げてもらったところ、

▽イラク再建への協力(88・4%)

▽国際緊急援助活動(68・9%)

▽国際平和協力業務(45・3%)

が上位を占め、「国際テロリズム対応」は28・5%の4位にとどまった。



久間章生防衛庁長官は「イラク戦争に反対したフランスなども参加した活動であり、テロ撲滅に効果を上げている」と話す。

一方、民主党の笹木竜三衆院議員は「活動の実態が見えない。米国のような力で抑える行為は限界であり、日本は違う貢献の道を探すべきだ」と批判する。

海自幹部は「テロとの戦いは50年はかかると思う」と話し、長期化を覚悟する。(毎日新聞 2006年12月1日 東京夕刊)


◆コメント:既成事実化したからといえども、違憲が合憲になるわけではない。

最初に整理しておかなければいけないことがある。

自衛隊を海外に派遣する根拠となっている法律は大きく分けて二つある。

一つ目は「テロ対策特別措置法」である。

2001年9月11日の同時多発テロの後、アメリカがテロリスト(タリバン)掃討作戦を行うというので、

小泉がこれを助けようといって、テロから2か月も経たずに、強行採決した法律である。

正式には、「平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法」(平成十三年十一月二日法律第百十三号)という。



二つ目。イラクに自衛隊を派遣したのは「イラク復興支援特別措置法」に基づく。

テロ特措法とは別の法律である。

私は、「イラク復興支援特別措置法」もテロ特措法と共に違憲だと考えているが、本日は、イラク復興支援特別措置法は保留する。



記事に書かれている海上自衛隊のインド洋での「ガソリンスタンド活動」はテロ特措法に拠る。

テロ特措法が成立するときには、アメリカの後方支援をすることは、アメリカが敵と見なすのはテロリストであり、

「国家」ではないものの、実質戦闘状態に成るわけで、「戦闘状態の同盟国の後方支援を行うことは、集団的自衛権の行使に相当し、違憲である」

と憲法学者らが署名を集めるなど、大騒ぎだった。



しかし、時間の経過と共に、その問題の本質をわすれ、「どうでもいいや」となってしまうのが日本の有権者の悪い癖である。

テロ特措法は成立時には、2年間の時限立法だった。

当初「違憲ではないか」とあれほど騒がれていた法律の3度目の延長が、11月にあっさり可決してしまった。

私は、「テロ対策特措法の改正案が成立 3度目の期限延長」時限立法がほとんど「自動継続」

という記事を書いたのでお読みいただきたい。



記事は毎日新聞が、海上自衛隊のインド洋での活動に関して特集した記事である。記事のキャッシュは、

http://megalodon.jp/?url=http://www.mainichi-msn.co.jp/tokusyu/shiritai/&date=20061202100404

にある。現れたURLをクリックすれば記事原文を読むことができる。

新聞が取り上げないよりは良いが、テロ特措法の延長が国会で決まったのは、一ヶ月以上前である。

新聞には「どうなっているか」、即ち事実(存在)を伝えるだけでなく、どうあるべきか(当為)を国民に示す使命がある。

今、日本中で、インド洋への海自派遣の合憲性について考えている人がいるだろうか?



なお、自衛隊の海外派遣の問題を取り上げる度に書くが、私は自衛隊、自衛官を責めているのではない。

自衛隊の最高指揮権は内閣総理大臣が有する(自衛隊法第7条)

自衛官は内閣が提出し、国会で可決した法律と、内閣総理大臣の命令に従って活動しているだけである。

私が、批判しているのは内閣及び国会である。



しかし、自衛官も「海自幹部は『テロとの戦いは50年はかかると思う』と平然と発言するのは如何なものか。

2年間の時限立法を24回も「自動継続」させろ、というのか。


◆成果の分からない自衛隊派遣には惜しみなく金を使い、国内の社会的弱者は切り捨てる政府。

海上自衛隊の艦船はインド洋で、

203億円分も「無料のガソリンスタンド」をして、テロ掃討に役だったという。

役立っているかどうかは関係ない。集団的自衛権の行使は違憲だから、この活動を放置してはいけないのである。



さらに、合憲か違憲かとは別問題だが、国として予算の配分がおかしいのではないか。

最近、障害者や、弱者が切り捨てられるような話が、続けざまに、新聞に載っているのをご存知だろうか。

先日、日曜日、NHK特集では、国民健康保険の保険料が引き上げられたために、これを払えず、保険証を取り上げられ、

病気なのに医者に診て貰えない人が増えている、という問題をとりあげていた。似たような話が続く。

次の記事をお読み頂きたい。12月1日付毎日新聞である。

◆生活保護:削減額は400億円 来年度予算編成で政府方針

政府は30日、07年度予算案編成で生活保護の削減額を母子加算の縮小などで約400億円とする方針を固めた。

07年度の社会保障費は、母子加算見直しと失業給付に充てる雇用保険の国庫負担削減などで約2200億円削る方針が既に決まっているが、

雇用保険は国庫負担を5割カットして1800億円減らす。

母子加算は、15歳以下の子がいる一人親家庭に月額2万円強の保護費を上乗せする制度。

約9万1000世帯が受給しているが、「非保護の母子世帯より恵まれている」として削減が決まっていた。

政府は07年度から段階的に縮小し3年で廃止する方針で、代わりに一人親世帯の働く親を支援する制度を設ける。

雇用保険は、雇用情勢の改善で07年度の積立残高が06年度を1兆円上回る4兆3000億円に膨らむ見通しで、

国庫負担を半減しても対応可能と判断した。(毎日新聞)2006年12月1日 0時45分

さらに、今朝の読売新聞。
◆弱者の共済制度、08年法人化義務で消滅の危機

民間の保険が利かない出費を賄ってきた知的障害者らの共済制度が、大きな岐路に立たされている。

今年4月に施行された改正保険業法で、いわゆる無認可共済は、法人組織にして厳しい管理体制をとることが義務付けられたが、

予算や人手が不足して法人化は簡単ではないためだ。

このままでは、2008年にほぼ消滅し、障害者らの肩にずっしりと負担がかかることになる。

各団体は、金融庁に同法の適用除外を求めているが、同庁は「運営の透明性を高めることが必要」と認めない方針だ。

法律に基づかない無認可共済を巡っては、1996年に社会問題化したオレンジ共済事件のように、

加入者が負担金をだまし取られるなどのトラブルが相次ぎ、監督する必要性が指摘されていた。

このため、改正保険業法では、会社内で社員同士で作る共済や、公益法人化した共済などを除き、

〈1〉今年9月末までに金融庁へ届け出ること

〈2〉08年3月末までに株式会社か相互会社に移行すること――

などを義務づけた。しかし、この義務づけが、既存の共済には高い壁となっている。

会社組織に移行することにより、保険に詳しい常勤職員や事務所を確保する必要が出てくるなど新たな負担を強いられるためで、

特に、スタッフの多くをボランティアに頼り、年間予算が数千万円規模の小さい団体には死活問題だ。

障害者団体の中には、「1億円の追加負担になる」と試算しているところもある。

知的障害者と保護者らで組織する「全国知的障害者互助会連絡協議会」(会員約8万7000人)によると、

39都道府県の傘下団体が共済を運営してきた。障害者が入院した場合、支援施設の職員らが付き添うことが多く、

各共済は付き添い費として、会員から集めた年間1万2000円の会費から、1日約8000円を支給してきた。

05年度の給付総額は約6億円に上る。

法改正に伴い、ほとんどの傘下団体の共済が金融庁に届け出たが、08年3月末までに法人化できるかどうかは不透明な状況だ。

法人化できずに会費集めがストップすると、財源が枯渇した時点で解散せざるを得ない。

同協議会の福田和臣会長は、「非営利で低予算で続けてきたが、法人化には新たに人件費もかかって無理。

付き添い費を対象にした保険はなく、障害者を抱える家庭の負担はさらに増す」と心配する。

一方、登山愛好家が加入する「日本勤労者山岳連盟」(約2万2000人)は、

会員が遭難した際の救助活動費を捻出(ねんしゅつ)するための共済を運営してきたが、

法人化はそぐわないとして届け出なかった。

同連盟の川島高志事務局長は「ヘリコプターのチャーター代などを、愛好家みんなで出し合ってきた。

共済がなくなれば、救助も出来ない」と憤る。

こうした共済制度は、けがをした子どもの治療費を負担するPTAの共済、

医師が休業した時に看護師らに保障する保険医団体の共済などもあるが、いずれもこのままだと消滅することになる。

金融庁は「改正保険業法は契約者保護のためにある。共済の運営責任を明確化するには、営利か非営利かは問わず、法人化が最適」(保険課)としている。

(2006年12月5日14時36分 読売新聞)

どうしてこういうことになるのか。


◆こういう世の中で良いのですか?

違憲であり、かつ、如何なる成果が上がっているかさっぱり分からない海上自衛隊のインド洋派遣はこれからも続け、

外国の艦船に「無料ガソリンスタンド」を続ける。



一方、日本国内では、年寄りや、国民健康保険加入者や、事情があって働けず、本当に生活保護を受けなければならない人や、障害者がいる。

だが、引用した毎日新聞、読売新聞の記事を読めば明らかなとおり、日本政府は、こうした弱者は「勝手に死んでください」といわんばかりである。



このような流れを作ったのは小泉内閣である。

私は、その件に関しては「<竹中総務相>参院議員辞職、政界から引退へ 首相に伝える」←卑怯と言う言葉を知っていますか、竹中さん。小泉経済政策検証総括

で詳しく書いたので、是非お読み頂きたい。

このような世の中を作りながら、相変わらず小泉はヘラヘラと笑い、

卑怯者竹中は、無責任極まり無いことに、国会議員を辞め、元の慶應義塾大学で教えている。

汚い。あまりにも汚い。こういう世の中は間違っている。

これが安倍晋三内閣総理大臣の言うところの、「美しい日本」なのか。

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