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2007.07.07

あまりの上手さに絶句。お薦めDVD(CD)「ジャーマン・ブラス・ゴーズ・バッハ」/今日(8日)15時NHK教育「ローザンヌ」再放送

◆厳密な意味での「ブラス・アンサンブル」

昔のクラシックファンに比べると、最近の若い人は大分思考が柔軟になっているが、それでも、

クラシック界には、「階級」がありまして、少し極端化して書くと、

器楽で最上位に来るのはピアノ、ヴァイオリン、チェロ。辛うじて管楽器を入れるなら、フルート。

それ以外の楽器の独奏・合奏は、「その他」でひとくくりにされてしまいます。

ブラスとは真鍮のことで、音楽で「ブラス」と云えば、金管楽器を意味します。

「ブラス・アンサンブルとは、」純粋に金管楽器のみによるアンサンブル(「合奏」又は「合奏団」)を意味します。


◆金管楽器とは何か。

日本では、中学・高校で吹奏楽団を「ブラスバンド」と称するのは、既に定着しているから、まあいいですけど、本当は正しくないのです。

いわゆる「ブラスバンド」には、木管楽器が混ざっているからです。

因みにサキソフォーンは楽器の素材は真鍮ですが、金管・木管を区別する基準は音を出す原理(発音原理)によります。

人間の唇を振動体=発音体とする管楽器のみを「金管楽器」といい、それ以外は木管楽器です。

サクソフォーンは、クラリネット(シングル・リード)やオーボエ、ファゴット(いずれもダブルリード)と同じく、

「リード」という、葦(あし)を削ったものを(そもそも「リード(reed)」が「葦」という意味です)振動させて音をだしているから、見かけは金管ですが、木管楽器です。

フルートも金属で出来ていますが、あれは、吹口に息を吹き込むと、空気の渦巻きが出来、それが、辺りの空気を振動させて音が出る。

風が吹くと、木の枝とか電線などにぶつかってヒューと音がするのと、大雑把に言えば同じ事です。ですから、フルートも木管楽器です。


◆きちんとした真面目なブラスアンサンブルは、高貴な響きがするものです。

このブログで何度も紹介した、トランペット奏者、モーリスアンドレを知ったとき、

私は「これほど上手い人は、もう、出ないだろうな」と思いました。

とんでもないことでした。

私は、ヨーロッパにしょっちゅう出かけて、各地のコンサートを聴けるような優雅な身分ではないので、どうしても発見がおくれるのですが、

天才的な金管奏者が山ほど出てきます。

金管楽器は、明らかに欧米人=狩猟民族の楽器で、狩りをしながら「獲物を見つけたぞ」と仲間に知らせるのに使ったのがラッパの起源です。

日本は農耕民族で、同じ場所で皆一緒に農作業をしているのですから、大声を出せばいいのであって、わざわざラッパを吹く必要などありません。

だから、と結論づけるのは、乱暴ですが、西洋人には金管楽器の遺伝子が受け継がれているように思われます。


◆「ジャーマン・ブラス」の上手いのなんのって・・・。

実は、ジャーマン・ブラスという金管アンサンブルは、以前、一度御紹介しました。

音はココログにしかアップしていないので、ココログでリンクさせていただきます。

記事の前半は時事問題です。音楽は下のほうにあります。

「音楽:ウェーバー「アブ・ハッサン序曲」をオーケストラ、ピアノ連弾・金管アンサンブルで聴いてみます。」

という企画(?)です。そのときに、名前を挙げなかったのですが、この「金管アンサンブル」が、初期のジャーマン・ブラスです。

それから、すっかりメンバーも入れ替わったようです。ドイツでは大変人気があるようで、DVDまで出ているのですね。

とにかく仰天するほど上手い。

高い音のトランペット(ピッコロ・トランペット)を自在に操っているのは、1965年生まれのマティアス・ヘフスという人です。

モーリスアンドレ以降、これほどピッコロ・トランペットが上手い人を「私は」知りませんでした。


◆ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲をバッハがチェンバロ独奏用に編曲したBWV972を、ブラスアンサンブルで吹いているのですが・・。

この曲は、元々、ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲なのです(ヴィヴァルディの作品番号はRVですが、RV230です)。

それをバッハがワイマールのヨハン・エルンスト公(バッハのキャリアで最初の雇用主。バッハはエルンスト公の宮廷楽師を半年ほど務めました)の依頼で、

チェンバロ独奏曲に編曲しました。いずれも、以前取り上げました。

今日は、「バッハづくし」です。の3曲目と4曲目です。

5曲目はこれを、アリソン・バルサムという英国人女性トランペット奏者が、オルガン伴奏で吹いた演奏がのせてあります。


さて、ジャーマン・ブラスではどうなるでしょう。

第一楽章です。







第二楽章です。再生開始後約1分後に、左から中音の柔らかい音が聞こえます。DVDで見るとバルブ・トロンボーンという、

珍しい楽器であることが分かり、大変驚きました。この楽器がコンサートで実際に使われるのを聴いて、見るのは、初めてです。







第三楽章です。ピッコロ・トランペットのマティアス・ヘフス氏の腕が鳴ります。







上手いですねえ。どうにも、惚れ惚れするほど上手い。

私は、「プロの音楽家になる」ということがどれ程大変なことか、多少は分かるつもりです。

何故かというと、プロを目指す人たちと同じ先生についてトランペットのレッスンを受けていたことがありますし、

他の楽器のプロのお話も伺ったり、読んだりしているからです。それは、一般の人々の想像を遙かに超えた厳しさです。

それでも私は、大変な修練を積まなければならないことが分かっていても、

もし、生まれ変わって自分の才能、生涯を選ぶ事ができるのならば、

これぐらい上手いラッパ吹きになってみたい、と(子供のようですが)いう憧れを、どうしても捨てきれないのです。

実に実に、羨ましい。永遠の憧憬です(笑)。


◆このDVDお薦めです。

今回私がお薦めしたいDVDは、ジャーマン・ブラス・ゴーズ・バッハです。

これは、バッハ没後250年の2000年にライプツィッヒの聖・トーマス教会で行われたコンサートのライブ音声・映像です。

ライプツィッヒのセント・トーマス教会とは、バッハがここで1723年から27年間、亡くなるまで、音楽監督として努めていた教会です。

「バッハゆかりの地」なんてもんじゃないですね。バッハそのもの、のような場所です。

ご参考までに書きますと、同じ曲目を収録したCDもありまして、DVDはちょっと懐具合で難しいと言う方はそれでも勿論いいのですが、

私が敢えてDVDをお薦めしたのは、「演奏は、見られるものは、見たほうが面白い」からです。この難しいのを各演奏者は真面目ですが、平気な顔で吹いています。

それから、マニアックなところでは、第二楽章でご説明したとおり、バルブ・トロンボーンなどという珍しい楽器の演奏が見られます。

そして、なんといっても、演奏されている場所。

バッハの曲を、バッハが300年前に存在していた、聖・トーマス教会で演奏している、その雰囲気。



曲目は、親しみやすいものばかりです。ちょっと高いけどお薦めしたいのです。それでは。また。


◆【追加】第35回ローザンヌ国際バレエコンクール(河野舞衣さん2位)を今日(7月8日(日))、15時から、NHK教育テレビで再放送。

このコンクールは2月に行われ、そのとき、記事を書きました。ココログはこちらです。

それ以来、「ローザンヌ バレエ」とか「ローザンヌ 河野舞衣」で検索して来られる方が多いので、

それだけ関心が高いのだと思います。4月26日にNHKがコンクールの模様を(毎年恒例ながら)放送しました。

今日(8日)の15時から、NHK教育テレビで再放送があります。当然、河野さんの演技も見ることが出来ます。

ご参考まで。

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コメント

Nべさん、こんにちは。コメントをありがとうございます。

ヘフスさんって、演奏活動はもっぱらジャーマン・ブラスで、教える(ハンブルグ音大教授)方に重きを置いておられるのでしょうかね。

以前はハンブルグ・オペラの首席だったようですが、オーケストラでの演奏経歴はあまり長くないのではないでしょうか。

いずれにせよ、今まで知らなかったのを恥じるばかり。

それにしても、このヘフスさんとガンシュさんとは(ガンシュさんがヘフスさんを絶賛してますね)。注文せずにはいられませんでした。

貴重な情報、ありがとうございます。

台風が真っ直ぐ関東に来るようですが、どうも、少しずつ進路が東向きになっているので、大したことは無いと思います。

しかし、千葉の方が台風に近くなるでしょうから、念のため、お気をつけ下さい(風雨が強まる前に買っておくもの、やっておくことは、懐中電灯と、電池と、食べ物・飲み物、携帯を充電しておくこと、ぐらいですが)。

投稿: JIRO | 2007.07.15 11:49

selaさん、こんばんは。

ご主人のお誕生日ですか。それはそれは。

なれそめはコーラスですか。

しかし、バッハの合唱曲から入るとは、渋いですね。どうしても日本人はバッハというと器楽にかたよりがちですね。

教会カンタータは何か、テクストが聖書で面倒くさそうだ、とか、キリスト教そのものに対する漠然とした「警戒感」があるので、世俗曲も一緒くたにされてしましますが、実は美しい音楽の宝庫ですね。

カンタータに関しては、N響オーボエの茂木さんが、三鷹で解説を交えたコンサートをやっていますね。

ご主人のバースデイ・プレゼントに、私がお奨めしたDVDを、とは誠に光栄です。

大変嬉しいです。お薦めした甲斐があります。今頃聴いておられるかも知れませんが、きっと満足して下さると思います。

並の上手さではありません。

投稿: JIRO | 2007.07.14 22:42

ヘフスさんと、元ウイーンフィル首席のハンス・ガンシュさんがデュオを録音したCDがあります。
http://www.pipers.co.jp/FS-Shop/pipersonlineshop/item/SR-06001.html

なんだか、こんな演奏されると木管楽器奏者の立場が…。

http://www.amazon.co.jp/Gansch-Meets-Hofs-Hans-tp/dp/B000GJ26SE/ref=sr_1_18/503-9706551-6915147?ie=UTF8&s=music&qid=1184417990&sr=8-18
アマゾンで視聴できるかと思ったのですが、無理でした。でもこれはビックリすること請け合いの録音です。お勧めしても怒られないかな?

もうひとつビックリなのが、ヘフスさんの老け顔(スイマセン)まだ40代なのに、ガンシュさんと変わらないように見えます(苦笑)。

投稿: Nべ | 2007.07.14 22:01

実は片割れの誕生日なので、オススメのこれをプレゼントに買いまして、今晩一緒に聴きます♪
合唱団同期で結婚しまして、双方ともにバッハの合唱曲(モテット1-6)から入ってブランデンブルグ好きという、少々狭いとこから入った(のかもしれない)バッハ好きです。
楽しみです。

投稿: sela | 2007.07.14 18:49

Kenさん、いつもありがとうございます。

私も、この演奏は唖然としました。

>音楽の上に神の手がのびてきている。


いやあ、Kenさんにここまで書いていただけるとは、自分が吹いている訳ではないのに、感激してしまいます。

私が知るかぎり、Kenさんの音楽評で最大級の賛辞ですから。

非常にうれしいです。

ありがとうございます

投稿: JIRO | 2007.07.12 01:35

財政難のときに、悪いものを聴かせて頂いてしまいました・・・
明日、HMVのぞいてよう、っと。

でも、この協奏曲、ヴィヴァルディの方は何度も伴奏させられたけど、バッハのチェンバロ協奏曲版も何度も聴いたけれど、全然別物ですね。
音楽の上に神の手がのびてきている。

投稿: ken | 2007.07.08 01:14

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