「アポロ通訳『こちらヒューストン』西山千さん死去95歳」←日本人に初めて「同時通訳(者)」を知らしめた方です。
◆記事:アポロ通訳:「こちらヒューストン」西山千さん死去95歳(毎日新聞 2007年7月12日 13時04分)
「こちらヒューストン」「すべて順調」など、人類で初めて月面着陸に成功した
米アポロ11号の実況中継の名調子で知られた同時通訳者、西山千(にしやま・せん)さんが2日、
老衰のため死去した。95歳。葬儀は近親者で済ませた。喪主は非公表。
米国ユタ州ソルトレーク市生まれ。1935年に日本国籍を取得し、当時の逓信省電気試験所勤務。
第二次大戦後、連合国軍総司令部(GHQ)、在日米国大使館の各顧問を務めた。
69年、「この一歩は小さいが、人類にとっては大きな躍進だ」
というアポロ11号のアームストロング船長が月面に降りた時の第一声をNHKの中継で同時通訳し、話題を呼んだ。
73年ソニー理事に就任、のちに顧問。元日本翻訳家協会会長。
◆コメント:アポロといえば「全て順調」だ。
この記事を書いた人、若い記者ではないかと思う。
西山千氏→アポロ11号といったら、まず思いだすのは、
「こちらヒューストン」よりも、
西山氏がアポロ通訳で幾度となく訳した、
「すべて、順調」という言葉なのだ。
それは、さておき・・・。
今日は、拙日記に(敢えて「日記」と書くのは、ブログを始める前の記事だからである)、
「西山千」で検索してこられた方が、多い。
若い人はアポロ11号の中継なんぞ見ていないのだから(1969年=昭和44年の出来事だ)、
多分私と同世代以上の方だろうが、驚くほど多くの方が来られた。
それほど西山千氏の印象を鮮明に記憶しているのだろう。分かる。
◆アポロ11号まで、日本人は同時通訳(者)の存在を知らなかったのだ。
アポロ11号は、「人間が月に行く」という、夢のような話が現実となったことで、
日本でも大騒ぎだった。
そしてアポロと同じぐらい、日本人は、同時通訳という技術があること。
同時通訳者という専門職が存在する、という事実を目の当たりにして驚嘆したのである。
実際は「同時通訳者」という専門職はおらず、通訳者ならば、時と場合に応じて、
逐次通訳(consecutive interpretation)、つまり原発言者が一区切り話たところで、通訳者が
翻訳する、という方法だが、これも出来なくてはならない。
というか、逐次通訳が出来ないで、同時通訳ができるということは、あり得ない。
しかし、とにかく、当時の日本人にとって「アポロと同時通訳」は、分離できない強烈な記憶として残った。
◆NHKに「あの、英語を日本語にする機械は何というのか教えてくれ」と、問い合わせが相次いだ。
アポロ11号が打ち上げられたのは、1969年7月16日。月面に着陸したのは7月20日だった。
その間、西山千氏と國弘正雄氏がずっと宇宙センターとアポロの交信の通訳をした(させられた)。
当時の日本に、本当に同時通訳が出来る人は数名しかいなかったのである
最初、西山さん、國弘さんは画面に映らず、音声だけが放送された(今、一般的になっている形態だ)。
すると、色々な人から、NHKに
「あの、英語を即座に日本語にする機械は何という製品だ?ウチの会社でも使いたいんだ」
という、今のひとには信じられないだろうが、そういう問い合わせが殺到した。
番組担当者は当然ながら、
「機械ではありません。通訳者が英語を聞きながら同時に日本語に訳しているのです」
と答えた。ところが視聴者は、なかなか信じてくれなかったという。
「ウソを言うな。英語を聞きながら訳すなんて、出来るわけがない」
「ウソではありません。本当に人間が訳しているんです。」
「それなら、訳している人間を見せてみろ」
NHK担当者は、ムキになった。
「わかりました。今夜の放送からお見せします」
といういきさつがあり、それ以降、西山千さん達は、スタジオ内のブース(雑音を遮断するためのガラスの囲い)で
通訳させられるハメに陥った。
百聞は一見にしかず。日本中がびっくりした。ひっくり返るほど驚いた。
「日本人がなりたい職業」というアンケートだか、世論調査があり、それまでは、必ず「医者」か「弁護士」がトップだった。
アポロの年、なりたい職業ランキングの1位は何と「同時通訳者」になった(実際は簡単になれるものではないことは、
云うまでもない)。
◆美しいエピソードがある。
これは、通訳術と私という、
西山氏の著書に載っているのだが、生憎、今手許にないので、
5年前にこの本を傍に置いて書いた自分の文章の一部を用いることをご容赦願いたい。
「美しいエピソード」とは、次のとおりである。
アポロ11号騒ぎも一段落した頃、西山氏が外出の折、バスに乗った。
すると反対側の座席に座っていた、見知らぬ老婦人が自分の事を妙に真剣な顔で見つめていた。
西山氏は服にシミでもついているのかと落ち着かない気分になった。
暫くして、やおらその婦人が立ち上がり、西山氏の前に来て深々と頭を下げて、云った。
「あの、アポロで通訳をした方でしょうか?」
「はい、NHKでやりましたが・・・」
「ありがとうございました。私が生きている間に人間が月に行くなどとは夢にも思っていませんでした。
でも、貴方が通訳してくださったおかげで、全ての様子が良く分かりました。
何とお礼をいって良いか分からないほどです。本当にありがとうございました」
西山氏は感激した。
暑いスタジオで汗まみれになって毎日何時間も通訳してへとへとになった苦労を一瞬にして忘れるほどだった。
西山氏は後々まで、この時のことを思い出すと目頭が熱くなる、と「通訳術と私」に書いている。
西山氏の流暢な通訳は勿論見事だが、
この後日談はそれ以上に感動的だ。今の日本にこの老婦人のような人がいるだろうか。
西山千さん。本当にあのときは有難うございました。
ご冥福を祈ります。
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コメント
アームストロング船長が亡くなられましたね。
http://abcnews.go.com/Technology/neil-armstrong-man-moon-dead/story?id=12325140
真っ先に思い出したのが西山氏の名通訳で,検索にてたどり着き拝読した次第です。
投稿: Wada | 2012.08.26 07:24
happybird様、何度も恐れ入ります。
事情は良く分かりました。
要するに「勘違い」ですから、もう何とも思っておりません(本当です)。
ですので、あまりお気遣い頂きませんようお願いします。
この件は、おわり、ということで。
何かの御縁ですから、また遊びにいらっしゃって下さい。
投稿: JIRO | 2007.07.22 13:34
JIRO さま
夜分遅くまで対応させてしまいましたこと、申し訳ありませんでした。
私の思い違いでのコメントに困惑なさったと思います。それなのに丁寧な対応をして下さり、感謝いたします。
また、今後このようなことがありました場合はご提案のとおり状況を説明してコメントしたいと思います。
それから自分のURLも載せなかったので、お手数をかけてしまい重ね重ね失礼致しました。
JIROさまの大切な読者の方々にも不快な思いをさせてしまっていましたら申し訳なく思います。
いろいろとご迷惑をおかけしまして恐縮です。
ご対応ありがとうございました。
投稿: happybird | 2007.07.19 23:43
happybirdさん、こんばんは。
早速のお返事、ありがとうございます。
問題はですね。コメントを書いた「奇跡さん」が、私のブログの引用部分と、奇跡さん自身のコメントの部分が、はっきり区別出来るように書かなかったことです。
途中から再引用させて頂きますと、
>百聞は一見にしかず。日本中がびっくりした。ひっくり返るほど驚いた。
>「日本人がなりたい職業」というアンケートだか、世論調査があり、それまでは、必ず「医者」か「弁護士」がトップだった。
>アポロの年、なりたい職業ランキングの1位は何と「同時通訳者」になった(実際は簡単になれるものではないことは、
>云うまでもない)。
ここまでがJIROの原文ですね。ところが、奇跡さんは、空白行を入れずにいきなり、
>http://jiro-dokudan.cocolog-nifty.com/jiro/2007/07/post_b65c.html
●NHKも奇跡の詩人が本当の出来事だったら胸張ってこういう対応が出来たのだろうが・・・
と載せているので、読んだ方は、●以降の言葉をJIROのコメントと勘違いなさったでしょうね。
対処法は、あまり名案がなく、普通の方法なのですが、上の事情を説明して頂くと良いかな、と考えました。
つまり、
「JIROがコメントを書いたわけではなく、奇跡さんがJIROのコメントを転載し、そこに、続けて自分のコメントを書いたのだ」、
ということをご説明頂くと、誤解が解けて有難いです。
ご覧の読者の方、他に良い方法がありましたら、ご教授頂けると助かります。
まあ、happybirdさんのコメント欄から、奇跡さんのコメントは既に削除されたということですから、あまり目くじらを立てることも無いかも知れませんが、削除以前に読んだ方は、JIROが
>●NHKも奇跡の詩人が本当の出来事だったら胸張ってこういう対応が出来たのだろうが・・・
を書いたと思っていることでしょう。些末なことですが、ちょっと心外なのです。
投稿: JIRO | 2007.07.19 00:54
JIRO さま
私は大変失礼なことをしてしまったようです。
本当に申し訳ありません。
私のブログにコメントをされた方の名前のリンクがこのサイトになっていたのです。
削除してしまいましたが以下の文章がこちらのHPを発信者としてコメントされてきました。
発信者のお名前は「奇跡」という方です。
-----
つい先日、西山千さんが亡くなりました。
虫の知らせというか、その数日前、無性に西山さんのことを思っていました。
まだ生きてられたのだろうかとか、西山さんの口から放たれるアポロ飛行士の
言葉の一つ一つが私の心を宇宙にまで広げてくれた思い出を大切にして行きます。
ありがとうございました。
西山千さんに関するエピソードを紹介されたブログを・・
この中での、NHK職員の対応の下りが印象に残りました。
_______________________
すると、色々な人から、NHKに
「あの、英語を即座に日本語にする機械は何という製品だ?ウチの会社でも使いたいんだ」
という、今のひとには信じられないだろうが、そういう問い合わせが殺到した。
番組担当者は当然ながら、
「機械ではありません。通訳者が英語を聞きながら同時に日本語に訳しているのです」
と答えた。ところが視聴者は、なかなか信じてくれなかったという。
「ウソを言うな。英語を聞きながら訳すなんて、出来るわけがない」
「ウソではありません。本当に人間が訳しているんです。」
「それなら、訳している人間を見せてみろ」
NHK担当者は、ムキになった。
「わかりました。今夜の放送からお見せします」
といういきさつがあり、それ以降、西山千さん達は、スタジオ内のブース(雑音を遮断するためのガラスの囲い)で
通訳させられるハメに陥った。
百聞は一見にしかず。日本中がびっくりした。ひっくり返るほど驚いた。
「日本人がなりたい職業」というアンケートだか、世論調査があり、それまでは、必ず「医者」か「弁護士」がトップだった。
アポロの年、なりたい職業ランキングの1位は何と「同時通訳者」になった(実際は簡単になれるものではないことは、
云うまでもない)。
http://jiro-dokudan.cocolog-nifty.com/jiro/2007/07/post_b65c.html
●NHKも奇跡の詩人が本当の出来事だったら胸張ってこういう対応が出来たのだろうが・・・
実際は、再放送、海外配信を即取りやめ、アーカイブからも削除、NHKサイトからも削除し、黙りを決め込むこれが現実
Posted by 奇跡 at 2007年07月18日 19:14
-----
私もよく分かっていないのですが奇跡という文字のリンクがこちらだったのです。
本当に失礼なことをしてしまったようでお詫び申し上げます。
どうかお許しくださいますように。
もしご存知でしたら、このような事態に対する対処の方法を教えていただけないかと思います。
投稿: happybird | 2007.07.19 00:00
happybirdさん。JIROです。
重ねて申し上げます。
アクセス解析から貴サイトにたどり着きました。
貴方のブログを拝見したのは今日が生まれて初めてです。
17日付の貴方の記事にコメントしている人が、
NHKでかつて問題となった「奇跡の詩人」と取り上げていますね。
その方のブログは
http://homepage3.nifty.com/nhkq/
です。
私のブログのトップページは
http://jiro-dokudan.cocolog-nifty.com/jiro/
です。どう見ても違います。何故、私がコメントを書いたと思われたのでしょうか?
それから、そのコメントを書いている人のハンドルネームは「天使○○(一部伏せます」ですね。
JIROという人間はコメントしておりませんね?
どうして、私と勘違いなさったのでしょうか?
ご説明頂ければ幸甚です。
投稿: JIRO | 2007.07.18 22:45
happybirdさん。当ブログ管理人のJIROです。はじめまして。
冒頭から恐縮ですが、何のことをおっしゃっているのか、さっぱり要領を得ないのです。
何かの勘違い、又は間違いではないでしょうか。私は、ご指摘のコメントを書いておりません。
そもそも、西山先生に関しては他人様のブログにコメントは全く書いておりません。
貴方が私が書いたとおっしゃるコメントを読んでも、明らかにおかしいのです。私の文体ではないのです。
>●NHKも奇跡の詩人が本当の出来事だったら胸張ってこういう対応が出来たのだろうが・・・
>
>実際は、再放送、海外配信を即取りやめ、アーカイブからも削除、NHKサイトからも削除し、黙りを決め込むこれが現実
1.西山千先生に関して(でしょうが)「奇跡の詩人」という表現を用いたことはありません。
2.「胸張って」←私はこの慣用句を使うときには必ず「胸を張って」と書きます。「胸張って」という日本語はありません。
3.「実際は、再放送、海外配信を即取りやめ、アーカイブからも削除、NHKサイトからも削除し、黙りを決め込むこれが現実」←こういうコメントは世界中の何処のブログにも書いておりません。
もう一度繰り返しますが、西山先生に関して、他人様のブログにコメントは一切書いておりません。これは信じて頂くしかありません。
以上の理由により、「何かの勘違い、又は間違いではないでしょうか。」と申し上げたのです。
他に考えられるのは、何物かが私の名前を語り、当ブログのURLをもそえて、happybirdさんのブログにコメントをした可能性は一般論として推測できますね。
それから、こう言ってはなんですが、このようなコメントをお書きになるときには、貴ブログのURLをコメント欄で入力するか、本文中に記入して頂きませんと、私が実際にそのコメントを見ることが出来ません。本当にどこかに貴方が私のもの、と思いこんだコメントが存在するのか確認できません。
ご配慮のほど、よろしく御願いいたします。
投稿: JIRO | 2007.07.18 22:20
こんにちは、私のブログにコメントいただいてありがとうございました。
私は 西山 千さんを存知あげませんが、すばらしいお仕事をされた方のようですね。
私のブログの何を見て、西山千という方のことを思い出されたのかは存じませんが、
奇跡の人のことに関しては、私はブログで扱うことをやめようと思っています。私には判断できないことですし、NHKの対応については私は興味がありません。
あなたが書いたコメントの
----
●NHKも奇跡の詩人が本当の出来事だったら胸張ってこういう対応が出来たのだろうが・・・
実際は、再放送、海外配信を即取りやめ、アーカイブからも削除、NHKサイトからも削除し、黙りを決め込むこれが現実
----
この部分に関し、私のサイトでは公開したい文章ではないので、あなたのコメントのすべてを削除させていただきます。
こちらのサイトに関してはすばらしいと思いますが、何卒私の意志をお汲み取りいただけますよう、よろしくお願い致します。
投稿: happybird | 2007.07.18 21:07
DJさん、はじめまして。コメントをありがとうございます。
>かなり前に松本先生の事務所でお世話になっていました。
それはそれは・・・。うらやましいですね。
>日本経済新聞で西山先生の訃報を知り頭に浮かんだのは、松本先生は大丈夫だろうかということです。
松本先生のブログを拝読しましたが、確かに大変なご心痛であることが分かります。淡々と文章を綴っておられるので、却って読み手の胸に迫ります。
ただ、西山先生は松本先生、松本先生はDJさん、という師匠思いの良いお弟子さんがいらっしゃって、その点では、お幸せだと思います。
投稿: JIRO | 2007.07.16 22:46
smna様、はじめまして。コメントをありがとうございます。
>講談社α新書「同時通訳おもしろ話」付属のミニCDで、師のお声を聞くことができます
そうなんですよね。これは、貴重な本です。ただ、smnaさんもお書きのとおり、対談ですから・・・・。
私は西山先生が日本語を英語に通訳なさるのを是非聴いてみたかったです。
いずれにせよ、有難いご指摘に感謝します。
また、よろしければ、お寄り下さい。
投稿: JIRO | 2007.07.16 22:19
かなり前に松本先生の事務所でお世話になっていました。
日本経済新聞で西山先生の訃報を知り頭に浮かんだのは、松本先生は大丈夫だろうかということです。
西山先生の関係者の皆さんにお悔やみ申し上げるとともに、お力落としのないようにと願うばかりです。
投稿: DJ | 2007.07.16 16:35
西山先生のご逝去に驚き悲しんだ者の一人です。JIROさんが松本先生へのコメントに「我々一般人は、西山先生が英語から訳した『日本語」しか聞いていないことです。つまり西山先生の英語を聞いていないのです。』とありますが、講談社α新書「同時通訳おもしろ話」付属のミニCDで、師のお声を聞くことができます、しかもそれは松本先生との英語による対談です。ご参考まで。
投稿: smna | 2007.07.16 13:19
松本道弘様、はじめまして。
当ブログの管理人、JIROと申します。
この度は、拙文をご高名な松本道弘先生のブログからリンクしていただき、光栄でございます。
有難うございます。
松本先生のお名前は、もちろん、何十年も前から存じ上げております。
今更申し上げるまでもありませんが、日本で英語を少しでも本気で勉強しようとした者で、
「英語道」の松本先生を知らない、ということはありえません。
松本先生が西山千先生の御高弟でいらっしゃること、これもあまりにも有名な事実でございます。
西山先生が「私は12時間続けて通訳をした。最後には鼻血が出てぶっ倒れた」とおっしゃったエピソードが、強烈に印象に残っております。
拙文にて紹介した「老婦人のエピソード」を読んだときは、私も泣いてしまいましたが、ありがたいことに、本文で初めてこのエピソードを知った、という方々からも多数「今まで知らなかった。目頭が熱くなった」というご感想を頂いております。
西山先生の通訳者としての偉大さは、松本先生のように、全身全霊で通訳の勉強をした方でないと、その真価は分からないと思いましたので、私は敢えてその点には触れませんでした。わたくし如きが書くのは失礼だと思いました。
ただ、惜しむらくは、我々一般人は、西山先生が英語から訳した「日本語」しか聞いていないことです。つまり西山先生の英語を聞いていないのです。
私は、偶々、以前、日経が主催した、西山千先生、村松増美先生、小松達也先生の講演を拝聴しました。
途中、西山先生が、所々で例として話された英文の、あまりにも美しい発音に驚嘆したことを(先生が米国でお生まれになり、幼少時を過ごされたことは存じておりましたが)、今でもはっきりと記憶しております。
西山先生のご逝去は誠に惜しまれますが、アポロ11号当時の西山先生の、良く通る声、明瞭な日本語、
素人にも、神業としか思えない天下の名通訳は、NHKを見た全ての人々に深い感銘を与えて下さいました。
西山先生のお姿は、皆の心に永遠に刻み込まれるでしょう。
今一度、松本先生におかれましては、拙文をご高覧賜りましたことに、
心より御礼申し上げますとともに、
西山千先生のご冥福をお祈り申し上げます。
乱文、何卒、ご容赦のほど。
投稿: JIRO | 2007.07.15 12:35
素晴らしい内容でしたので、引用させていただきました。
ありがとうございます。
投稿: 松本道弘 | 2007.07.15 08:47
selaさん、こんばんは。嬉しいご感想を寄せて頂き、ありがとうございます。
今回、「老婦人のエピソードを読み、目頭が熱くなった」とコメントを書いて下さる方が多いのに、半ば驚きつつ(最近の人はアポロなんて興味が無いだろうとおもっていたのです)、とても感激しています。
この老婦人の行為に感動なさった方々は、間違いなく心の綺麗な、良い方だと思います。
selaさんも、いつもコメントを書いて頂いているから、分かっていましたけど、優しい方ですね(^^)
投稿: JIRO | 2007.07.14 21:27
あつし様、こんばんは。いつもご丁寧なコメントをありがとうございます。
>台風が日本の太平洋沿岸を沿うように進む見込みとか。JIROさまもお気をつけ下さい。
あつし様こそ。この台風はもの凄いですね。
今思い出しました。台風4号は違いますが、近年、太平洋東部で発生したハリケーンが、日付変更線を越えて「台風」になるケースが近年増えている、という記事を昨年書きました。ご参考まで。
http://jiro-dokudan.cocolog-nifty.com/jiro/2006/09/180_6e60.html
西山さんのエピソードのご感想、誠に有難く存じます。
私も泣けました。この部分を何度も繰り返し読んだので、なかなか、その後を読むことが出来なかったのを覚えています。
今回、予想外に(と書くのは失礼なのですが)、多くの方、しかも初めてコメントを書いて下さる方も多く、くだんのエピソードを読み、目頭が熱くなったと書いて下さったことを嬉しく思います。そういう方はとても心の綺麗な方だと思います。
当時としても、西山氏に面と向かって謝意を表する人は少なかったのでしょうね。だからこそ、西山氏も感激なさったわけですね。
新聞を読んでも明らかなとおり、人のアラを探し、批判し、糾弾するのは簡単ですが、他人様の優れた仕事に感謝し、賞賛することは出来そうでなかなか出来ません。
優れた仕事をした人、世のために尽くした人を素直に誉め称えられる世の中が、あつし様のおっしゃるように、「美しい国」であろうことは全く同感です。
人の善意が報われる世の中にしたいものです。
投稿: JIRO | 2007.07.14 21:14
いつも楽しく拝読させていただいております。
そうか機械....うーん…と思いつつ、偉大な先達がいらして今があるのだと改めて思います。
老婦人のエピソード、思わず目頭があつくなりました。
投稿: sela | 2007.07.14 18:02
さざ波様、いつもコメントをありがとうございます。
アポロ11号当時、私は小学生でしたから、この出来事の人類史上における意味、というか、感慨は分かっていませんでした。
あの時に、心の底から感動なさったのは、さざ波様や、西山さんに謝意を表したご婦人、つまり当時の大人でしょうね。
母もよく言っておりました。「月に人間が飛んでいって、月の上を歩くなんて夢のようね」と。
老婦人のエピソードは、私ですら目頭が熱くなります。
本文には「今の日本に、この老婦人のような人がいるだろうか」と書きましたが、
当時ですら、殆どいなかったでしょうね。だからこそ西山さんには、強烈な印象として感じられたのでしょう。
人は、他人の失敗や悪事を暴くことには熱中します。
しかし、他人に感謝する、他人の仕事を尊敬する、それを言葉で伝えることには、情熱を発揮しません。
この老婦人のように他人に感謝し、他人を褒めることが、相手の人生に大きな影響を与えることもあるのですから、
感謝すること、褒めることは、大人が相手であっても、重要です。それを人々に認識して頂きたい、と思いました。
投稿: JIRO | 2007.07.14 17:43
月の光さん、こんにちは。こちらこそ、嬉しいコメントをありがとうございます。
私もこのエピソードを初めて知ったときは、大変感激しました。
人に感謝する、という気持は美しい。感謝の意を伝えるのははずかしいけど、
この老婦人の一言によって、西山千さんは通訳になって良かったと思われたことでしょう。
ちょっとした一言で、他人を幸福に出来るのですね。
因みにテレビに映っているときの西山さんは、そんなに疲労しているように見えなかったのですが、
そこはプロ根性で、忍の一字で仕事をしたのでしょう。
また、余談ですが、アポロ当時、西山さんは私の自宅のすぐそばに住んでいました
杉並区荻窪というところです。西山さんはあれほどの天下の名通訳でしたが、
質素を旨としておられたのか、お住まいは、失礼ながらどちらかと言えば小さい、地味なお宅でした。
子供心に尊敬したのを良く覚えています。
エンピツへのご投票、ありがとうございます(笑)。
投稿: JIRO | 2007.07.14 17:25
たーぼー777 さん、こんにちは。コメントをありがとうございます。
確かに、あの映像は、当時だから(しかも「月から」ですから)、「こんなものだろう」と思いましたが、今見るとザラザラですね。
と同時に音声も雑音だらけで、雑音の中の英語を通訳しなければならない西山さん達の苦労は、大変なものだったようです。
有名な、アームストロング船長の言葉、
「この一歩は一人の人間にとっては、小さな一歩だが、 人類にとっては、大きな一歩である。」
を訳したのも西山さんでしたね。
細かい話ですが、この原文が、いまだにはっきりしないそうです(発言者本人もいちいち覚えていないので)。
That's one small step for [a] man, one giant leap for mankind.
不定冠詞があったのか、無かったのか、ということで、ちょうどそこで、雑音が入ったんですね。
何はともあれ、見ていない方には申し訳ないけれど、見ていないと分からないことがありますね。仰るとおり。
投稿: JIRO | 2007.07.14 17:12
こんにちは 台風が日本の太平洋沿岸を沿うように進む見込みとか。JIROさまもお気をつけ下さい。
西山さまの素敵なエピソード、読んでいる私の目にも雨が降りました(最近涙腺が弱いもので)。
台風も近付いて鬱陶しい週末ですが、心地よい風が吹き抜けたようなそんな気持ちになりました。ありがとうございます。
>今の日本にこの老婦人のような人がいるだろうか。
そうですね。生活に追われまた将来への不安から、このような豊かな心を持った人は少ないのかも知れません。
日本がこの老婦人のような人であふれ、安心して暮らせる国。それが本当の「美しい国」だと思うのですが。
謹んで哀悼の意を表します。
投稿: あつし | 2007.07.14 11:27
先ほどの投稿、名前を書き忘れていました。ボンヤリの《さざ波》です。
投稿: さざ波 | 2007.07.13 10:36
JIROさま お邪魔します。
この着陸の時、私は大人でしたので覚えています。夜、外へ出て、しみじみ、月を仰ぎ見て、あそこへ人類が行ったのだ。信じられないけどホントなんだ。と、何度も思いました。同時通訳も不思議でしたが、アポロ月面着陸に較べれば、地球上の話で、それは有り得るかもしれないと思いました。
老婦人のエピソード、西山さんの迸るような嬉しさが伝わって来ます。また、同時通訳の有り難さもさることながら、それを、西山さんへの感謝に繋げ、ご本人に偶然出会い、感動を押さえ切れずお礼申し上げた老婦人。思い切って話しかけた彼女の勇気にも、感動しました。
《独断的日記》にJIROさんの顔写真が出ていたら、いつの日か、ここに居る老人が、長年、拝見している日記の数々に、お礼申し上げたい所ですが、電車や飛行機で横に座られても判らず、残念です。
投稿: | 2007.07.13 10:28
追伸:
エンピツ投票させていただきました。
素敵な記事をありがとう。
投稿: 月の光 | 2007.07.13 09:47
アポロ11号が月面着陸したとき、4歳だったので、テレビを見た記憶はありませんが、
この記事を読んで、ジーンと心にこみ上げてくるものを感じました。
老婦人の方とのエピソードの話もとても感動して、目頭が熱くなりました。
日本に新しい風を吹かせてくださった方なんですね。
御冥福を心からお祈り申し上げます。
投稿: 月の光 | 2007.07.13 09:41
老婦人のエピソードは、知りませんでした。
モノクロで解像度の悪いテレビでしたから、同時通訳の声が頼りでした。
翻訳機のエピソードは多分、当時は日テレが放送していた宇宙大作戦の影響かと(^^ゞ
やがて、バイキングの生放送で、「あっ¦なにかが動いてます」磯村キャスターの声は忘れられない。
「火星の空は青い」は訂正があったものの、約、60センチのゾウリ虫には訂正はない。
目撃者は訂正出来なない。
生放送みた人しか通じないんですよ・・
投稿: たーぼー777 | 2007.07.13 07:44