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2007.08.18

「<北極海>氷の面積が減少…観測史上最小に」←「その結果、何が起きるのか」を誰も解説しない。

◆記事:<北極海>氷の面積が減少…観測史上最小に (8月16日19時41分配信 毎日新聞)

北極海の海氷面積が今夏は急速に減少し、15日には1978年に始まった衛星観測史上で最小になったことが、

海洋研究開発機構と宇宙航空研究開発機構の共同解析で分かった。

海氷の縮小は9月中旬まで続く見通し。このペースだと過去最小よりも20%小さくなり、

国連「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)が、地球温暖化が進行する2040~50年ごろと予測したレベルまで減少する可能性もある。

15日の海氷面積は530.7万平方キロで、これまで最小だった05年9月22日の531.5万平方キロを下回った。

夏の海氷は1970年ごろまで約850万平方キロあった。海洋研究開発機構の猪上淳研究員は

「今年特有の要因もあるが、予測モデルを超えた減少が続いている。温暖化の影響が大きい」

と指摘している。今年の要因としては

(1)海氷が薄くて解けやすく、それが北極海内部まで広がった

(2)その海氷が早い時期に解けて日射を吸収し海水が温まった

(3)停滞している低気圧が北極海から太平洋に海氷を押し出した

――ことが推定される


◆コメント:マスコミや専門家は「だから、どうした?」を説明しなければ意味がない。

このニュースは、かなり各メディアが取り上げているが、海洋研究開発機構プレスリリース

宇宙航空研究開発機構(JAXA)プレスリリースを要約しているだけなのである。

メディアの報道と、研究機関のプレスリリースを読んでみたが、確実にわかることは、

「北極海での海氷面積が観測史上最小になっている」

という事実と、それは多分、地球温暖化の影響だろう、という「推測」だけだ。

別の言い方をすると、これらを読んでも、私たち素人がわかるのは、
北極海の海氷が史上最小になった。→地球温暖化が予想以上の早さで進行しているらしい、と主張する専門家もいる。

ということだけだ。当面、我々の生活に如何なる影響を及ぼすか、について書かなければ、

マスコミも、海洋研究開発機構も宇宙航空研究開発機構(JAXA)も説明不足だと思う。

私はかつてこれに関係する話を書いたことがあるが、今回初めて得た知識もあるので、

それを加えて、以下に記す。


◆北極海の海氷が溶けると、北半球中緯度(日本を含む)の気候に影響がある。

本件に関するマスコミ報道の論調は、北極海の海氷が観測史上最小になったのは、

地球温暖化が予想以上の早さで進行している為であろう」と言うことだけだ。

これでは、「だからどうした?」と言いたくなる。

北極海の海氷が小さくなることは、温暖化進行の「結果」だろうが、

同時に、世界に異常気象をもたらす「原因」にもなっているようだ。

「ようだ」と書いたのは、専門家の説明を読んでも、ひとりひとり着眼点が違うなど、

今ひとつ煮え切らないのである。

ここでは、私が以前調べた、海洋水大循環への影響という問題を書いてみる。


◆熱塩循環への影響。

世界の海の水は、超巨大なベルトコンベアーのようになっていて、約2000年かけて、地球を一周する。

英語だが、Great Circulationを見ると分かりやすい。

低緯度で暖められて、表層を流れてきた海水は暖かく(メキシコ湾流)、これがヨーロッパ大陸の西の大西洋を通るので、

多くのヨーロッパの都市は、東京どころか、ロンドンなどは北海道よりも北にあるのにもかかわらず、極寒にならない。


このベルト・コンベアが循環する原動力は、メキシコから北上してきた海水が、北上するにつれて、

冷気に接して水温が下がり、相対的に塩分の濃度が増す。

さらに、北極海の海氷が出来るときに、塩分は凍りにくいので、氷の外に排出される。

これも、高緯度の海水の比重を大きくすることに貢献している。

比重が大きい(塩分の濃度が高い)海水は、海の表面から、深いところへ沈んでゆく。この運動を「熱塩循環」といい、巨大な

「ベルト・コンベア」を動かす、原動力になっている。


ところが、北極海の海氷が大量に溶け出している。更に、陸にある氷河が、温暖化の影響により溶けて、

海に流れ出している。これらは淡水なので、本来塩分の濃度が高くなるところの海水を薄めてしまう。

そうすると、海面近くの海水の沈降が、極端な場合止まってしまう。「熱塩循環の停止」という。

ベルト・コンベアがとまってしまうとどうなるか。

メキシコ湾から北上してきた温かい海流のおかげで比較的温暖であった、欧州の気候が寒冷化する。


即ち、地球温暖化→北極海の海氷、大陸の氷河の減少又は消滅→海洋大循環(熱塩交換)の停止。→欧州の寒冷化

という皮肉な結果を生むことになる。

数年前に、わずか数日間で地球全体が凍ってしまう、というストーリーの"The day after tomorrow"という映画があった。

あれは映画だから、わざと極端化してショッキングな演出をしていたのであるが、あの台本のネタは、

この「熱塩循環の停止」である。


◆北極振動への影響

北極振動とは、北極にビブラートがかかっているのではない。

どうしてこういう分かりにくい用語になってしまうのかわからない。こういうことだ。

北極圏の気圧が例年よりも低いと、北半球中緯度付近(日本も含まれます)の気圧は逆に平年よりも高くなる。

北極圏の気圧が低いから、冷気が降りて来ないのである。

逆に北極圏の気圧が例年より高いと、北半球中緯度付近の気圧は例年より低くなる。

すると、北極圏の寒気がこちらに降下してくるので、日本付近は厳冬となる。

この「北極振動」が何故起きるか、というメカニズムと、どれぐらいの周期で変動するのか、

色々読んだが、どうも良く分かっていないらしい。


北極海の海氷が減ると、北極圏上空の気温に影響を与え、それが北極振動にも影響するらしいのだが、

そこのメカニズムも解明されていない。ただ、学者達は「何か関係がありそうだ」と睨んで研究している。


最後にもう一度まとめると、北極の海氷が予想以上の早さで消失している、という事実は、

単に、地球温暖化の進行速度の目安ではなく、直接的に日本を含む北半球中緯度付近の

異常気象の原因となっているかも知れない、ということなのである。

最初に書いたように、どのメディアも公的研究機関もそこまで書かないので、

私が四苦八苦しながら、まとめてみた。下手な説明ですいません。

もっと上手く、一般人にも分かりやすく、正確に説明できる頭の良い人、是非書いて下さい。

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コメント

@niftyトップページ「旬の話題ブログ」コーナーにて、
本ページの記事を紹介させて頂きました。
紹介記事については、「旬の話題ブログ」バックナンバーで
半年間、ご覧いただけます。
今後も旬な話題の記事を楽しみにしておりますので、
引き続き@niftyをご愛顧の程、よろしくお願い致します。
ありがとうございました。

        @nifty「旬の話題ブログ」スタッフ

投稿: 「旬の話題ブログ」スタッフ | 2007.08.20 10:03

TORIOさん、はじめまして。コメントをありがとうございます。

ご専門の方に過分のお言葉を頂いて恐縮しています。

私は、元来、まるっきり文科系の人間でして、理論的な思考は苦手なのですが、温暖化に関しては、数年前にたまたま、国連環境計画の「地球環境概況2000」で、「地球温暖化を防ぐのは恐らくすでに手遅れ」という一言を読んで、戦慄を覚えました。

それ以来、日本のメディアは、状況の深刻さの伝え方が足りない、と思い、情報をフォローしております。

このUNEPのリポートを何故、新聞もテレビも報じないのか。

仰るようにまったなしの状況ですね。

チームマイナス6パーセントとか、百万人のキャンドルナイトとか、チャラチャラしている場合ではないとおもうのです。

釈迦に説法で恐縮ですが、「地球環境概況2000」によれば氷河の消失などにより淡水資源が枯渇し、2025年には世界の3分の2の人々が水不足の問題に直面するといいます。

一般大衆が暢気なのは、「自分が死ぬまでは、何とか(今の状況が)保つだろう」とかんがえているからではないかとおもいますが、「地球環境概況2000」や、今回の北極海氷のレポートが暗示するとおり、深刻な状況は、予想より早く到来するかも知れない。

その恐ろしい現実を伝えないと、社会全体としての動きに結びつかないと思います。

今後とも、お気が向きましたら、駄文にお付き合い頂ければ。幸甚です。

投稿: JIRO | 2007.08.19 01:25

感心しました。よくここまで理論立てて書いて下さったことに敬意を表します。いままでの異常気象という領域を超えているかも知れません。私もこういう記事を見ましたが・・・・まったなしの状況に近くなっているように感じます。
http://torio.cocolog-nifty.com/blog/2007/05/1_35c5.html

投稿: TORIO | 2007.08.18 22:37

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