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2007.08.16

NHK「考えてみませんか?憲法9条」視聴後所感。集団的自衛権について。

◆日本のこれから「考えてみませんか?憲法9条」という番組がありました。

この番組は、ココログ版のコメント欄で、読者のころぺこさんが教えて下さったおかげで、

辛うじて10時半から始まった第二部を途中から見ることが出来たのです。ころぺこさん、ありがとうございました。

視聴者参加型討論番組だが、有識者(学者さんなどのことです)も呼ばれていた。


◆集団的自衛権について、知っている人は半分しかいない。

NHKが、行ったアンケート(?)調査によると、回答者の約半分は「集団的自衛権」の意味を知らないのだそうだ。

国民投票法案が成立して、同時に、安倍首相が「集団的自衛権を研究する有識者懇談会」を作っている。

これも、茶番ですね。

集団的自衛権行使を可能にしたい安倍君が、自分に都合の良いことを言いそうな「有識者」ばかりを集めたのだ。

報告書の結論は読まなくても分かる。

それはともかく、このように何だか雲行きの怪しいときに、「集団的自衛権」を知らないというのは、怠慢だと思う。

Googleで「集団的自衛権とは」で検索すると、20,400件もヒットする。簡単に調べられるじゃないか。

手前味噌になるが、46番目に私が先月、ココログに書いた記事が現れるので、

良かったら読んで頂きたい。勿論、他をご覧になっても結構です。


◆戦争体験のある年配の男性で、集団的自衛権容認論を確信的に肯定している人がいた。

戦争を知らない世代ならまだしも、一度戦争を体験しているのに、

集団的自衛権を容認すべきだ、と確信を以て主張するクソジジイ・・・

あ、失礼。年配の男性がいたのには驚いた。また、戦争をしたいのですね。


◆国連憲章51条が集団的自衛権の行使を認めているが、あれはアメリカが押し込んだ文言なのだ。

国際連合の憲法とでもいうべき、国際連合憲章という国際法がある。

国連憲章は、原則的に武力行使を排除しようとしている。第一条で明らかである。

第1条〔目的〕国際連合の目的は、次の通りである。

1 国際の平和及び安全を維持すること。そのために、平和に対する脅威の防止及び除去と侵略行為

その他の平和の破壊の鎮圧とのため有効な集団的措置をとること並びに

平和を破壊するに至る虞のある国際的の紛争又は事態の調整又は解決を平和的手段によって

且つ正義及び国際法の原則に従って実現すること。

但し、例外が2つだけある。その一つが、「自衛権」を発動するときである。
それは51条が定めている。

日本ではしばし国連憲章のこの部分を引き合いに出して、

集団的自衛権はどの国も本来的に持っている「自然権」である、という人がいるが、それは違う。



国連憲章の原案は、1944年に作られた「ダンバートン・オークス提案」である。

ダンバートン・オークスとは、ワシントン郊外の地名である。

ダンバートン・オークス提案では、集団的自衛権に関する今のような規定は無かったのである。

この原案では、同盟国が攻撃・侵略されたときに、自国への攻撃と見なして武力行使をするためには、

全て、その都度、国連安全保障理事会の許可が必要とされていた。


◆米州諸国が反対した。

ダンバートン・オークス提案に反対したのは、米国とラテンアメリカ諸国だった。

これらの国々は、1943年、チャプルテペック規約という条約を締結し、米州諸国間での集団的自衛権行使を可能にしていた。

しかし、ダンバートン・オークス提案のままで国連憲章が成立すると、米州諸国間での行動に支障がある。

いちいち、安保理の許可を得なければならないことになる。

それでは面倒でたまらんというので、最終的に国連憲章を採択した、1945年のサンフランシスコ会議において、

普遍的に集団的自衛権の行使を認める51条を挿入させたのである。


◆結論:集団的自衛権は国家が当然有する「自然権」ではなく、アメリカの都合で創り出された概念である。

上述のとおり、国連憲章の原案である「ダンバートン・オークス提案」には、集団的自衛権は含まれていなかったが、

米国、及びラテンアメリカ諸国の都合に合わせて、後から追加されたものである。

だから、国家が国家たる故に当然有する「自然権」などではない。

私は、日本に集団的自衛権を認めるべきではない、と何度も書いてきた。

番組に出席していた人の中では、一橋大学の渡辺治教授とほぼ同意見である。

日本が集団的自衛権を行使できるようになったら、米国の小間使いになるだけである。

以上。

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コメント

YUKIさん、はじめまして。JIROです。

>集団保障体制と集団的自衛権の概念すら、区別がついていないというのが現実だと思います。

そうですね。それ以前に、個別的自衛権と集団的自衛権の区別がついていない。このNHKの番組も、「集団的自衛権」の是非を論ずる前に、三宅アナウンサーが説明していました。

>議論の土台になる基礎的概念が共有できていないのではどうしようもありません。

これも同感です。形式論で述べるならば、全ての国民に、学校教育でこれらの概念を教えるとなると、義務教育で教えなければならず、なかなか大変です。但し、国民の側に「知ろう」とする主体性がないと、中学生であれ大学生であれ、社会人であれ、分からないと思うのです。

とはいっても諦めてはまずいので、私は浅学非才の身で甚だ僭越ですが、自衛権について、当ブログで過去に何度も説明しております。そうすると、「お前の説明で初めて分かった」と云って下さる方もいらっしゃいますので、非力ながら今後も同じ事を何度でも書いていこうと思っております。

なお、恐ろしい事実ですが、小泉純一郎元内閣総理大臣は、個別的自衛権と集団的自衛権の違いを知りません。

平成13年 5月15日、衆議院予算委員会の会議録で明らかです。

この時、当時社民党の辻元清美議員より、

「では総理、個別的自衛権と集団的自衛権の違いを説明してください。(後略)」

と訊かれて答えられず、

「法的には私よりはるかに詳しい法制局長官がおられますから、今それは説明していただきたい。」

と逃げて、辻元議員が重ねて、「総理が説明して下さい」といっても無視して、内閣法制局長官に答えさせています。こういう人が内閣総理大臣を5年も務めていたのです。恐ろしいことです。

>また、自衛権を行使する際には、政治家の主張に嘘がないかポリグラフで徹底的に検査するなど、戦争抑止条項を憲法に加えるべきだと思います。

戦争抑止というか、戦争放棄を憲法第九条が謳っているわけですから、YUKIさんがおっしゃるのは、更にそれを強固なものにするべきだ、ということかと思います。それには、賛成です。

私は今の九条はまだ、生ぬるい、として、私の改正草案(笑)を、以前、このブログで書きました。

よろしければご覧下さい。

http://jiro-dokudan.cocolog-nifty.com/jiro/2007/05/post_1d60.html

投稿: JIRO | 2007.09.26 22:46

勉強になります。

集団保障体制と集団的自衛権の概念すら、区別がついていないというのが現実だと思います。

兵役の義務がある国があるなら、日本人には、国際政治の勉強など平和を維持するために必要な知識を習得する義務を課すべきであったでしょう。単純なたとえで物事を考えたり、議論の土台になる基礎的概念が共有できていないのではどうしようもありません。

また、自衛権を行使する際には、政治家の主張に嘘がないかポリグラフで徹底的に検査するなど、戦争抑止条項を憲法に加えるべきだと思います。戦争抑止条項がない限り、テロを誘発したり、黙認するなど、政治家や軍需産業が自分の都合で適当な理由をつけて開戦することを防ぐことができません。

投稿: YUKI | 2007.09.25 10:56

foresight1974さん、こんばんは。ようこそおいで下さいました。

コメントをありがとうございます。

貴サイトにはTBオンリーでコメントを書かずに失礼致しました。

>政府が想定している集団的自衛権のケースは一見、「義を見てせざるは勇なきなり」というものですが、

そうなんですよね!あれが狡いところです。

日本周辺で米軍艦船が攻撃を受けているのを、見過ごすのは「人道上」問題だ、という具合。浪花節にもって行く。

政府公式見解では集団的自衛権を認めていない現状においてさえ、イラク戦争後、アーミテージがやってきて、"Show the flag."とか、"Boots on the ground."と一言恫喝的言辞を弄しただけで、日本国政府は真っ青になり、たちまちイラク復興支援特別措置法を強行採決して、自衛隊を海外に派遣してしまいました。

それでも9条があったので、海外で人を殺さずに済んだ。

集団的自衛権なんて認めたら、一体何処まで人殺しの手伝いをさせられるか分かったものではありません。

NHKの討論では、有事の際に米軍が日本を護ってくれる、と無邪気に、単純に信じている人が多いのは、大衆はそんなものでしょうが、渡辺教授が極めて辛辣に、「アメリカにとって日本なんか、ただの基地なんですよ」と仰っていましたね。本当の事なのですが、なかなかあそこまではっきり言って下さる「有識者」はいないので、痛快でした。

>ところで、渡辺教授、最初はあまり発言していませんでしたが、後半はノリノリでしたね。笑

面白かったですね(笑)。特に、一般人で日米関係を完全に擬人化しているお兄さんに、「そういうのは、貴方がお友達との間でやってくださいよ」とか、調子が出てきましたね。

今後ともよろしくどうぞ。また、お気が向いたとき、駄文を眺めていただければ有難く思います。

投稿: JIRO | 2007.08.19 02:31

こんばんは。
TBありがとうございました。

国連憲章に集団的自衛権が盛り込まれた経緯、興味深く拝見しました。

私もJIROさんと同感です。政府が想定している集団的自衛権のケースは一見、「義を見てせざるは勇なきなり」というものですが、実際にはJIROさんの懸念の通りになる。まさに空理空論なんですよね。
この点の欺瞞性を打破しないと、本物の議論になっていかないのではないかと思います。

ところで、渡辺教授、最初はあまり発言していませんでしたが、後半はノリノリでしたね。笑

投稿: foresight1974 | 2007.08.18 08:54

ころぺこさん、こんばんは。コメントをありがとうございます。

>約半数の人が集団的自衛権の概念を知らないのに、憲法9条改正についてのアンケートでは
>「賛成28%・反対41%・わからない26%」
>となっていました。ちょっと、変ですよね。
>「わからないけど何となく」で論じてもらっては困る問題だと思うのですが・・・。

全く同感です。

しかも、「集団的自衛権の意味(定義)が分かる」と答えた人たちにしても、本当に分かっている人はどれぐらいいるのかな?と思いました。

多分、「何となく分かっている(ような気がする)」人が含まれていたことでしょう。

私は、数年前の衆議院の議事録を読んで、ひっくり返るほど驚いたのですが、その当時の首相、小泉純一郎氏は、国会で辻元清美議員に、「個別的自衛権と集団的自衛権の違いを説明して下さい」と詰め寄られたら、何ということでしょう。答えられず、誤魔化して内閣法制局の役人に代わりに答弁をさせていたのです(いずれ、ここでもそれについて書くかもしれません)。

こんな人が総理大臣をやって、「自衛隊は軍隊」「今の憲法は時代遅れ」と適当な発言を繰り返していたのです。そして、国民はそういう人物を2005年9月の衆院選で大勝させたのです。

NHKの議論でも、一般人は「自分は何も分かっていない」ことを自覚していない人がいましたね。国家間の関係を完全に擬人化している人とか。

集団的自衛権について、「俺(日本)が誰かから殴られたら、お前(アメリカ)、助けてくれよ。でもお前が殴られても、俺は助けないよ、なんて云っていたら友達をなくしちゃいますよ」という人がいました。ああいう短絡思考が危ないのです。

あの人はアメリカが日本の「親友」だと、本気で信じているのでしょうね。既に何度も裏切られているのに。

私は学生時代、国際政治学の講義で、「国家の意思決定プロセスは個人のそれとは比較にならないほど複雑である。国家間の関係を擬人化してはならない」と何度も言われました。

私もころぺこさんが仰るように、勉強しないといかんな、と思いました。

あの番組に出演していた一般人のかなりの人は、自衛権の問題などという極めて重大かつ高度な問題を論ずるには、勉強(つまり知識)が足りないと思いました。分からないまま、憲法改正反対とか賛成とか・・・、冗談じゃないですよね。

投稿: JIRO | 2007.08.18 00:48

記事拝読いたしました。
こちらこそありがとうございます。
私もあの後第2部を見ておりまして、集団的自衛権のアンケート結果には少し驚きました。
約半数の人が集団的自衛権の概念を知らないのに、憲法9条改正についてのアンケートでは
「賛成28%・反対41%・わからない26%」
となっていました。ちょっと、変ですよね。
「わからないけど何となく」で論じてもらっては困る問題だと思うのですが・・・。

私も含め、もっともっと勉強していかなくてはいけない問題だと思います。

投稿: ころぺこ | 2007.08.17 00:18

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