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2008.03.16

日本の政権に関する謎(3月6日付 Economist誌 翻訳)

◆地方があまりにも中央政府に依存している。

日本の政界について、過去半世紀、ずっと抱かれてきた疑問がある。

それは、日本が民主主義国家なのに、何故、競合する政党間での政権交代が行われないのか?ということである。

自民党は、国民から大変愛されている、という訳でもないのに、1955年以来、わずかな空白期間を除いて、ずっと政権を担当している。

昨年夏の参院選では、民主党が勝ち、初めて野党が参議院の過半数を占めた。

しかし、衆議院では依然として自民・公明の連立与党が、全議席の3分の2を押さえている。野党は予算案の可決を止めようと、

躍起になり、早い時期の総選挙を望んでいる(尤も、野党各党の党首は、オフレコでは、

今はまだ、衆院選で野党が過半数を取ることは出来ないだろうと思っている)。


この疑問を解くひとつのカギは、中央政府と地方との関係にある。日本には、1800余りの市町村と、47の都道府県がある。

いくら民主主義国家といっても、日本は結局、中央に政治的権力と資金源が集中しているのである。

改革派知事として名を馳せた前三重県知事の北川正恭氏は、都道府県予算の5分の4、市町村予算の5分の2は、

中央政府により、委譲されたものだろうと推計する。

このような状況により、あらゆるレベルで「クライアントとパトロン」のような不健康な癒着が生まれる。

地方選挙の際、政治家は地元の支持を失いたくなかったら、なにか、地方に利益をもたらすようなものを、

用意しなければならない。つまり、農家には補助金を。建設業者には、大きな利益をもたらすインフラ事業計画を。

その替わり、自民党の大物政治家や彼らと結託している中央官僚は、国政選挙の際に、地方議員に票のとりまとめを

頼むわけである。そうすれば、又地方選挙の時に面倒を見てやるぞ、と言うわけである。

これが、自民党を常に有利にしてきた仕組みである。しかし、これでは、自民党は政策によって政権を保って来たのではなく、

地方に便宜を図ってやることにより、その地位を守ってきたのだ、ということが分かる。


前出の北川氏に言わせると、このようなシステムでは、地方行政は単なる中央政府の「請負業者」でしかない。

そして、この構造が、無駄なインフラを建設し、日本の国土の景観を破壊してきたのだ、という。

例えば熊本県では、県庁の役人が、中央から資金を提供された、しかし、全然必要の無いバイパス道路の建設を決定した。

本当は、中央からの資金を必要としていたのは、どんどん衰退していく県内の多くの商店街だったのである。

または、同じ資金を九州新幹線の延長に投じることにより、ビジネスが活性化し、発展する福岡に若い人たちが

出向くのを容易にするはずだ、という。



自民党は、このような状況を変えようとした。小泉元首相は、インフラへの支出を大幅にカットした。しかし、他国に比べると

まだ多い。また、小泉は地方の権限を強化する、と豪語したが、実際は、地方への補助金が減らされただけであった。その結果、

各地方自治体は、財政難に悩んでいる。

負債を大量に抱える、地方の各都市は、典型的な失敗例である夕張市のことを忘れない。かつて炭坑の街だった夕張市は、

炭坑の閉鎖を機に、生まれ変わろうとした。かつて炭坑が有った場所に巨大なテーマパークを建設し、国際映画祭を開催し、

信じがたいほど高価なメロンを作った。いずれも巨額のプロモーション費用を必要とした。結果は失敗だった。

夕張市は年間税収額の14倍もの債務を負い、財政的に破綻したのである。

これを見た他の地方自治体は、独立を目指すどころかより一層、中央の援助を期待するようになった。


しかし、何処も同じ、と言うわけではない。都市部に住む国民は、特定財源のあり方に怒りを覚えている。

彼らは市場の改革と、低金利の是正を期待している。

民主党はこのような層から支持を受けている。民主党代表の小沢一郎氏は、30年以上も続いている暫定税率の維持に反対した。

しかし、日本の政治の典型で、小沢氏の反対も純粋に原理・原則から生じたものではない。

昨年の参院選当時における民主党のマニフェストを読んでも、税制に関しては、具体的なことは書かれていないのである。

小沢氏は地方の有権者に民主党が政権を取れば、自民党のときよりも良いことがありますよ、と言っているだけだ。


自民・民主両党の改革主義者のフラストレーションが昂じた結果、超党派の100人の国会議員と北川氏のような地方の改革論者、計107人は、

3月3日、超党派議連「せんたく議員連合」を結成した。彼らは、地方分権、国会改革、霞ヶ関改革などを標榜し、

議論の結果を時期衆議院選挙のマニフェストに反映させると、言っている。

これを画期的な動きだ、と評価する向きもある。しかし、各議員が所属政党を内側から変革出来ないのだとしたら、

いくら団体を作っても、外側から変えることなど出来るのであろうか?

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