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2008.06.01

「アフガンに陸自派遣検討=対テロ支援、民主と協議必要-町村長官」←4月の名古屋高裁の違憲判決を無視する気?

◆記事1:アフガンに陸自派遣検討=対テロ支援、民主と協議必要-町村長官(6月1日1時1分配信 時事通信)

 

町村信孝官房長官は31日午後、都内で講演し、アフガニスタンで続く「テロとの戦い」に関し、

「給油活動の継続にプラスアルファして、何らかの活動ができるのか検討したい。これは主として海上なのか、

アフガンの陸上なのかも含め、視野を広げて政府として考え始めようとしている」と述べた。

海上自衛隊によるインド洋での給油活動継続だけでなく、アフガン本土への陸上自衛隊派遣も視野に支援活動を検討する考えを示したものだ。

また、町村長官は「衆参両院のねじれという問題が絡むので、民主党の理解をどう得られるかを常に念頭に置き、

アフガン支援を考えないといけない」と指摘。民主党の小沢一郎代表がアフガンでの国際治安支援部隊(ISAF)への

参加に前向きな考えを示したことも踏まえ、民主党との協議が必要との認識を示した。


記事2:自衛隊イラク派遣:米兵輸送は違憲 差し止めは却下--名高裁判決(2008.04.17 毎日新聞)

 イラクへの自衛隊派遣は違憲だとして、全国の市民が国を相手取り、派遣の差し止めと違憲確認、

原告1人当たり1万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が17日、名古屋高裁であった。

青山邦夫裁判長(高田健一裁判長代読)は、米兵の輸送などを行っている航空自衛隊の活動について

「武力行使を禁じた憲法9条1項に反する」と述べ、違憲と認定した。

原告が求めた損害賠償の支払いなどは退けた。全国の同種の訴訟で、航空自衛隊の活動を違憲と認定したのは同高裁が初めて。

原告団は04~06年にかけ、7次にわたって3268人が集団提訴した。

政府が04年、イラク復興特別措置法に基づきイラクに自衛隊を派遣したのは憲法9条に違反し、

憲法が保障した「平和的生存権」を侵害したと主張してきた。国は「平和的生存権は抽象的な概念で、憲法に基づく具体的な権利ではない」と反論。

差し止めと違憲確認の請求を却下し、損害賠償請求を棄却した1審判決に対し、原告のうち1122人が控訴していた。

弁護団によると、イラク派遣では、全国の11地裁で12の集団訴訟が起こされたが、

これまでに出た判決はいずれも原告側の訴えを退けている。


◆コメント:予備知識。「付随的違憲審査制」

 何度書いても分からない人がいるが、最初に説明しておく。

記事2の名古屋高裁判決において、航空自衛隊の米兵輸送活動は違憲である、と述べたのは判決文傍論だから、関係がない、という人。

日本では、ある法律や行為が憲法に違反するか否かを問う「憲法裁判」の制度も「憲法裁判所」という司法機関も存在しない。

だから、自衛隊イラク派遣の違憲性の判断を求めたいときには、この裁判の様に民事訴訟(本件は損害賠償請求の裁判である)

を起こすのである。つまり、原告市民団体は国の違法(憲法も法律)行為で損害を受けたので賠償しろ、と言う裁判を起こしたのである。

裁判所は、

1.国の行為は違法行為か(憲法も法律の一種)。

2.それによって、原告に被害が生じたか。

を判断するのである。

名古屋高裁は、

1に関して、国の行為(航空自衛隊の米兵輸送活動)は憲法違反である。と判断した。

2に関しては、損害は生じていないから、国は損害賠償しなくて良いと判断した。

繰り返すが、これは民事訴訟であり、形式上、原告が求めているのは損害賠償なのである。だから判決主文は、

1 本件控訴をいずれも棄却する。

2 控訴費用は控訴人らの負担とする。

となるのである。民事訴訟としては、国が勝っている。しかし、判決に至る過程で、裁判所はイラク復興支援特別措置法に基づく

空自の米兵輸送活動は違憲だとはっきり述べている。この部分を傍論といいます。

このように、他の裁判(民事訴訟とか行政訴訟)に絡めて合憲か違憲かを判断する制度を日本は採用している。

これを付随的違憲審査制という。

つまり、裁判制度上、判決主文に、国の行為が合憲か違憲かという言葉が書かれることはないのであり、傍論で述べるしか無いのである。


◆4月に名古屋高裁がイラクにおける空自による米兵輸送活動は違憲だと判断したのに、無視する行政府。

記事2で書かれているとおり、名古屋高等裁判所は極めてはっきりと、イラクでの航空自衛隊の米兵輸送活動は違憲だと判断した。

自衛隊のイラク派兵差止等請求控訴事件判決文全文を読むと、青山邦夫裁判長他2名の裁判官は、

驚くほど詳細にイラク情勢を分析した上で、航空自衛隊の活動は、武力そのものは行使していないが、

戦闘中の多国籍軍の武力行使と一体となった後方支援に相当し、

憲法9条1項に違反する活動を含んでいることが認められる。

と結論づけている。

にも関わらず、兵士の輸送どころか、今度は陸自をアフガンに上陸させるという。

上陸すれば、アフガンのテロリストの標的になり、本当に武力を行使することになりかねない。後方支援ですら違憲なのに、である。

憲法には、こう書いてある。

第九十八条  この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

そして、国務大臣その他公務員等には憲法を遵守する義務がある。
第九十九条  天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

名古屋高裁(=司法)がイラクでの空自の活動(戦闘中の同盟国への後方支援)は違憲だといっているのである。

官房長官は、その司法の判断を無視して更に、直接的武力行使に近いことを陸自にさせようという。

憲法を無視しているのである。こういう内閣(行政府)は要らない。

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コメント

これは、憲法の欠陥だと思いますが、第76条で、

すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。

としながら、裁判官の任命は内閣が行うわけで、実質的に、日本は「二権分立」なんですよね。それが行政府が司法を軽視する原因になっている。

しかし、軽視してはいけないことぐらい分かれよ、と政治家に言いたいです。

投稿: JIRO | 2008.06.01 11:11

日本の行政、もはや末期状態か?

でも、子供たちに悲しい目は見せられないし。

これ以上ひどい世の中にならないで欲しいなあ。

投稿: ken | 2008.06.01 10:53

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