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2008.10.15

米国が公的資金の注入を実行しても、世界中の実体経済の現状は良くありません。

◆所見:米国が公的資金の注入を決め、金融恐慌が回避出来たからと言って安心出来ません。

昨日の続きですが、先週末、G7で主要国が公的資金を金融機関に注入することを決めました。

アメリカ、英国は早速実行したようですが、これで、「めでたし、めでたし」とはなりません。

金融機関に公的資金を注入したのは、とりあえず、金融機関の資本を増強し、連鎖的な銀行の倒産、

即ち、世界金融恐慌を避ける為の緊急手段、応急処置です。

ひとまず、銀行がつぶれなくなったとしても、各国の景気が悪ければ、企業は設備投資を行わないし、

家計は消費を抑制する。

そのように、経済活動の規模が縮小してゆくのが、「景気の後退」ですが、これは既に起きていて、

すぐに、好景気に向かう兆しはありません。世界経済には暗雲が垂れ込めています。

その例を、国内外の統計で説明します。今日発表された日本とアメリカの数字だけでも十分です。


◆今日(15日)発表された、様々な経済指標とそれに関する記事。

◆【日本】8月の国際収支、経常黒字52%減 資源高で輸入額拡大(日経)

財務省が15日発表した8月の国際収支速報によると、モノやサービス、投資などを含めた

海外との総合的な取引状況を示す経常収支は9888億円の黒字となった。6カ月連続で減少し、

前年同月に比べ52.5%減と約半分に縮小した。

資源高の影響で輸入額が拡大した一方、輸出額はほぼ横ばいで、差し引きである貿易収支が赤字になったのが響いた。

投資による収益も前年に比べ小幅減となった。

8月の経常黒字が1兆円を割り込んだのは2001年以来。

サブプライムローン問題に端を発した米国経済の減速で輸出額が伸び悩む一方、

原油や液化天然ガスの価格が上昇し、貿易収支が悪化。モノの貿易で稼ぎにくくなっている姿が鮮明になった。

日本は資源が無いから、原材料を輸入して、モノを作って輸出して、お金を稼いでいる、ということは常識ですが、

この記事は、輸出が全然増えず、一方原油高は続いているから、貿易収支が赤字で、その他を含めた経常収支が前年の半分になっている、

ということです。日本は全然、輸出で儲けることが出来ません。これは、最大の輸出先である米国の景気が悪いからです。

次の記事をお読み下さい。
◆記事:【米国】9月の米小売売上高 1.2%減 金融危機で消費抑制(日経 15日 21:55)

米商務省が15日発表した9月の小売売上高(季節調整済み)は、3755億ドルとなり、前月比1.2%減った。

市場予測の平均(0.7%)を大幅に下回った。金融危機の影響が広がり、家計の消費抑制が広がっていることが浮き彫りになった。

アメリカの家計は資産を株式で持っている割合が日本よりも大きいのです。株価が上昇し、含み益がある時には、

景気が良い気分になって、米国消費者の財布の紐が緩みますが、9月はもともと株価が低迷していた上に、途中、リーマン破綻で

アメリカの株価は暴落しました。多くの家計が保有している株式は含み損を生じています。こうなるとどうしても、モノやサービスを買いにくい。

だから、小売売上高が減少したのです。

ヨーロッパはどうでしょうか。
◆記事:【欧州】9月の欧州新車販売、9.3%減 5カ月連続減 金融危機で買い控え(日経 15日 20:06)

欧州自動車工業会が15日発表した9月の新車販売(主要18カ国)は、前年同月比9.3%減の121万1300台となり、5カ月連続で減少した。

9月としては1998年以来10年ぶりの低い水準で、同工業会は「金融危機で販売環境が悪化し、消費者の買い控えが強まった」と分析している。

最大市場のドイツが1.5%減だったほか、英国とスペインは二ケタ減と落ち込みが目立った。

中・東欧10カ国を加えても9月は8.2%減にとどまり、新興国が西欧の低迷を補えなかった。

日本車メーカー(6社)の販売台数は10.5%減の17万8600台。トヨタ自動車は9カ月連続で減少した。

メーカー別でプラスだったのは独フォルクスワーゲン、マツダ、スズキの3社だけだった。

日本が輸出する「モノ」の代表格はクルマで、海外での日本車の売れ行きは自動車メーカーの業績を大きく左右します。

アメリカの消費者がモノを買い控えているのなら、ヨーロッパはどうか、と思ったら、やはり金融危機の影響で、消費者の

購買意欲が低下していることが顕著です。最大手のトヨタが9ヶ月連続で前年同月比マイナスだ、というのだから、深刻です。

外需ばかりアテにしては、いけませんね。日本国内の景気はどうでしょう。首都圏と近畿圏のマンション販売統計が発表されました。
◆記事:【日本】首都圏のマンション発売、景気減速で53・3%減(10月15日22時32分 読売新聞)

不動産経済研究所が15日発表した9月の首都圏のマンション発売戸数は、前年同月比53・3%減の2427戸と半減した。

下落率は、1996年10月(54・3%減)以来約12年ぶりの大きさだ。

近畿圏も2047戸、43・8%減だった。

発売戸数が大幅に落ち込んだのは、米国発の金融危機をきっかけに景気の先行き不透明感が強まり、

消費者の購入意欲が冷え込んでいるためだ。不動産会社が、地価の上昇期に高値で用地を取得しているうえ、

建築資材が高騰しているため、在庫処分を優先して新規の売り出しを手控えている面もある。

国内景気は住宅販売だけで決まるわけでは勿論ありません。しかし、マンションは大きな買い物です。

これがどんどん売れているなら、大雑把に言えば、それほど景気は悪くない。

しかし、日本の消費者も金融危機に端を発する株価の下落を見ていると、とても景気が良いとは思えない。

給料が増えるか分からない。リストラされるかも知れない。そんなときにマンションを買おうという人が減る。

当然のことです。


◆結論:世界的に不況なのです。経済の停滞は暫く続くでしょう。

以上、見てきたように、日米欧、いずれも景気が悪い。従って、財貨・サービスを売って稼ぎたくても、

世界中の人々が財布の紐を締めてますから、売れません。世界中の経済活動が縮小している。

世界同時不況だ、というのはそういう意味です。欧米が金融機関にいくら公的資金を注入しても、

実体経済をただちに好転させる「魔法の杖」には、残念ながら、なりません。

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