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2008年11月

2008.11.30

金曜日に発表された、日本の経済指標。失業率、鉱工業生産、消費者物価、個人消費など。

◆記事1:10月完全失業率は3.7%に低下、非労働力人口増に注視--総務省(11月28日11時59分配信 ロイター)

総務省が28日発表した労働力調査によると、10月の完全失業率(季節調整値)は3.7%と

9月(4.0%)から低下し、昨年7月(3.6%)以来の低水準となった。

ロイターが民間調査機関に行った聞き取り調査での予測中央値は4.2%となっていたが、これを大きく下回った。

就業者数は前年比36万人減と9カ月連続で減少し、9月の29万人減から減少幅が拡大した。

一方で、失業者数は前年比16万人減となり、9月の同2万人増から減少に転じた。

減少するのは3月(13万人減)以来7カ月ぶり。

職探しをあきらめた人口がカウントされる非労働力人口は、男女ともに増加した結果、

前年比56万人増となり、9月の同36万人増から増加幅が拡大した。

総務省では、就業者の減少傾向に加え、就業者から完全失業者や非労働力人口にシフトする動きがみられることから、

今後の雇用状況については「一層注意する必要がある」との認識を示した。


◆記事2:10月有効求人倍率は0.80倍、04年5月以来の低水準--厚生労働省(11月28日9時4分配信 ロイター)

厚生労働省が28日に発表した10月有効求人倍率(季節調整値)は0.80倍と、前月比0.04ポイント低下し、

2004年5月(0.80倍)以来の低水準となった。ロイターがまとめた民間調査機関の予測中央値は0.82倍だったが、それを下回った。

正社員有効求人倍率は0.52倍となり、前年同月を0.10ポイント下回った。

有効求人数(季節調整値)は前月比2.1%減、有効求職者(同)は前月比2.0%増となった。

新規求人数は前年比18.1%減となった。産業別にみると、サービス業(31.4%減)、

製造業(30.7%減)、情報通信業(19.3%減)などが減少し、医療・福祉(2.1%増)が増加した。

都道府県別の有効求人倍率(季節調整値)は、群馬県が1.51倍で最も高く、沖縄県が0.34倍で最も低かった。東京は1.11倍だった。


◆記事3:10月の消費者物価1.9%上昇 前月比は8カ月ぶり低下--総務省 (日経)(28日 12:10)

総務省が28日発表した10月の全国消費者物価指数(CPI、2005年=100)は変動の激しい生鮮食品を除くベースで102.4と、

前年同月に比べて1.9%上昇した。食料品が値上がりしたが、ガソリン価格が下落基調にあることから、

上昇率は前月に比べて0.4ポイント縮小。前月比では0.2%低下し、8カ月ぶりに前月を下回った。

消費者心理の重しだった物価上昇は急速に鈍ってきている。


◆記事4:家計の消費支出、10月は3.8%減 交際費など絞り込む--総務省(日経 28日 13:57)

総務省が28日発表した10月の家計調査によると、2人以上世帯の消費支出は物価変動の影響を除いた実質で前年同月比3.8%減り、

8カ月連続で減少した。1世帯あたりの消費支出は29万1504円。景気の悪化を受けて、交際費などの支出を絞り込む動きが目立った。


◆記事5:10月の鉱工業生産3.1%低下 実体経済の悪化鮮明 (日経 28日 14:01)

米欧発の金融危機をきっかけに日本の実体経済が急速に悪化している。

政府が28日発表した10月の主要経済指標によると、鉱工業生産指数は前月比3.1%と大きく低下し、

有効求人倍率など雇用指標も内容の悪さが目立つ。

全国消費者物価指数は生鮮食品を除くベースで前年同月比1.9%と上昇率がやや鈍り、前月比では低下に転じた。

企業の停滞が家計に波及する構図が鮮明となり、後退局面に入った日本経済の落ち込みは一段と深くなるおそれが出てきた。


◆記事6:全地域で景況判断引き下げ=生産・雇用に厳しさ-地域経済動向--内閣府(11月28日17時2分配信 時事通信)

内閣府は28日発表した11月の地域経済動向で、全国11地域すべての景況判断を下方修正した。

企業の生産活動や雇用情勢が厳しさを増していることが主因。

全地域を一斉に下方修正したのはIT(情報技術)バブル崩壊後の2001年8月以来。

地域別の景況判断は沖縄が最も良く、北海道、東北が最も悪い「西高東低」となった。


◆コメント:「不況」です。

28日(金)の朝、多くの指標が発表されました。内容は記事に書いてあるとおりで、どれも悪いです。

簡単にまとめます。

【雇用】

失業率が低下している、と書いてありますが、失業者というのは、「仕事を探しているけれども見つからない」人です。

仕事がないけれど、仕事を探すのを諦めた人(非労働力人口)は、「失業者」に含まれないのです。

10月の完全失業「率」は、非労働人口が増えたからです。記事にもあるでしょ?

職探しをあきらめた人口がカウントされる非労働力人口は、男女ともに増加した結果、

前年比56万人増となり、9月の同36万人増から増加幅が拡大した。

また、有効求人倍率。求人倍率とは、求人数を求職者数で割ったもの。これが0.8倍。

求人倍率が1.0を下回っているというのは、仕事を探している人全員がが仕事に就けない状態。

去年の12月からずっと1%割れが続いてます。雇用情勢、悪いです。



【物価】

前年同月比、+1.9%です。前年同月比プラスは、昨年10月から13ヶ月連続ですが、ここ数ヶ月は2%台でした。

4ヶ月ぶりに2.0%を割り混みました。原油価格が下がっているからです。この傾向は続くでしょう。

ガソリン価格の下がり方、すごいですからね。

いい話は、これぐらいですね。


【家計】

企業の儲けが減って、給与所得が増えないのに、13ヶ月連続で物価が上昇しているのですから、当然、

財布の紐は固くなる。家計の消費が増えないということは、ものが売れないということで、

売れなければ、ものを作っている企業は儲かりませんから、コスト削減の為に、人件費を減らす。

リストラ。給料を引き下げる。ますます。ものを買わなくなる、という悪循環が止まりません。


【鉱工業生産】

10月は、前月比マイナス3.1%でした。景気が良ければモノがよく売れるから、生産が増加する。

特に自動車が、国内でも、頼みの綱のアメリカでも、売れません。マイナスになるのは当然。

いつ、プラスに変わるか、全く見込みが立ちません。


【地域経済動向】

これは、内閣府が3ヶ月に一回発表するのです。ここに載っています

それの、平成20年11月の4ページを見て下さい。

全国を11の地域に分けて経済動向を見るのですが、前回、8月の調査時に比べて、景況判断を上方修正した地域がありません。

11全ての地域で下方修正されています。
全地域を一斉に下方修正したのはIT(情報技術)バブル崩壊後の2001年8月以来。

だそうで、如何に、見通しが暗いか、わかります。

【結論】

多少、改善が見込まれるのは、原油高がおさまった事に起因する消費者物価の上昇の鈍化ぐらいのもの。

しかし、今の景気が続けば、来年には、逆に物価が下がり続ける「デフレ」に陥るかも知れません。

とりあえず、物価上昇率が鈍化したことで、日銀の利下げ余地が出来たということです。

他の数字は皆悪い。完全に景気後退局面にあることが、経済指標から、明らかです。

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2008.11.29

私が唯一好きなオペラ「魔笛」のお薦め。/「魔笛の主題による変奏曲」(ソル、イエペス)

◆私はオペラは原則として嫌いなのです。

私は、オペラが好きではありません。食わず嫌いではなく、イギリスにいた頃何度も観たし、

若い頃、「我慢して」ヴェルディやプッチーニを聴きましたが、大抵、途中で飽きます。

それに、オペラでは、オーケストラは、舞台の手前にある「オーケストラ・ピット」という「穴蔵」に入ってしまい、見えません。

オケの奏者が難しいソロをこなしても、所詮、伴奏。オペラの主役が歌手であることは言うまでもない。

私の愛するオーケストラを「穴蔵に押し込む」というだけで、何となく嫌いです。

とにかく、オペラはどうしても好きになれません。しかし、例外があります。


◆唯一、モーツァルトの「魔笛」のCDは最初から最後まで聴けるのです。

「魔笛」はモーツァルトが最後に、死ぬ年に書いたオペラです。その為でしょうか、あまりにも美しいのです。

「美しい」では表現出来ていません。楽しいし、悲しいし、歌手の超絶技巧を堪能することも出来る。

様々な、要素を含んでいます。ただ、このオペラのストーリー。あらすじを読んでも訳が分かりません。

これは、フリーメーソンのことを知らないと意味が分からないそうです。

それでも、音楽だけで、これだけ初めから終わりまで楽しめるオペラを書いたモーツァルトは

やはり、神の使いなのでしょうか。


◆「魔笛」のサワリを選んでみました。

まず、序曲。これは、ネヴィル・マリナーのCDです。お薦めです。





はい。序曲でした。話が逸れますが、この序曲がモーツァルトと同時代のピアニスト・作曲家、クレメンティのピアノソナタとそっくりなのです。

というか、そのまま使っている部分があります。それに関しては、約2年前に書いた、モーツァルトとクレメンティ

で、聴き比べてみてください(興味の有る方は、です。勿論)。


オペラそのものから、いくつか、有名なアリアなどを。

これらは、全曲じゃなくて、抜粋のCDがナクソスから出ていまして、それを使いました。

まず、パパゲーノという主要登場人物の一人が歌う、陽気な歌。「私は鳥刺し」。





全然難しい音じゃないのに、楽しくなります。屈託がない。


さて、あれもこれも紹介しているとキリがないので、いきなり、第一幕のフィナーレ「早く行きましょう,勇気を出しましょう」

を聴いていただきます。これは、グロッケンシュピールという鉄琴で伴奏することになっていますが、

今ではチェレスタという楽器で演奏します。鉄琴をキーボードのアクションを利用して叩く楽器です。

「早く行きましょう,勇気を出しましょう」です。これ、二重唱も綺麗なんですけど、再生開始後

1分50秒ぐらいからのところ。チェレスタが伴奏して、男声合唱がささやくように歌うメロディーを聴いて下さい。

素朴だけど、私には「天上の調べ」に聞こえます。





私が強調しているのは、この部分↓です。もう一回、そこだけ。





これはですね。もっと弱く、遠くから聞こえてくるようにすると、もっと美しいのです。

それをやっているのが、カラヤンのCDです。

これはお薦めします。ホントに夢のように美しい。私、初めて聴いたときに涙がこぼれました。


さて、ギターの為の作品を沢山書いた、ソルという人がいますが、ソルも私と同様、このコーラスの部分の

あまりの美しさに啓発されたようで、ギターの為に《魔笛》の主題による変奏曲という作品を残しています。

私、ギターの曲でこれ、最も好きなものの一つです。お聴き下さい。演奏はナルシソ・イエペスです。

「魔笛」の主題による変奏曲op.9(ソル)




なるほどね。こういう風に展開できるのですね。


さて、最後ですが、「魔笛」はソプラノ、特に技巧的なコロラトゥーラ・ソプラノにとって、

超絶技巧を要するアリアがあります。「夜の女王のアリア」といいまして、2つあるのですが、

第2幕で歌われる、「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」という恐ろしいタイトルの方が難しいと思います。

どう難しいかは、実際に聴いて下さい。

復讐の炎は地獄のように我が心に燃え




すごいですね。本当にソプラノの最高音域での声のコントロールが必要とされます。

これ、実際のオペラの舞台では、結構可笑しいのです。ソプラノが上手く歌えば、当然、ここで「ブラボー」がかかりますけど、

劇としては、「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」だから、

すごく怒った形相のままで、「プイ」と退場しなければいけないのです。

ここで、ニコッと笑ってお辞儀して、「どうも。」とやってしまったら、劇としての緊張感が無くなってしまいます。

本当はニコッとしたいでしょうに、ここばかりは、ソプラノの人、気の毒です。


本当はこの曲は森麻季さんの演奏で聴きたいですが、オペラ・アリア集はイタリアものしか出しておられないですね。

モーツァルトの魔笛はオペラですけど、ドイツオペラ。ジング・シュピーゲル(歌芝居)と言うんです。

まあ、それは今日はいいです。

音楽の紹介、CDのお薦めは何回もしましたが、オペラは今日が初めてでした。

それでは、皆様良い週末をお過ごし下さい。

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2008.11.28

ムンバイに限らず、テロリストってのは大馬鹿野郎だ。

◆記事1:<インド同時テロ>出張中に銃弾…津田さんチェックイン直前(11月27日11時44分配信 毎日新聞)

出張中の日本人ビジネスマン2人が死傷したインド・ムンバイの同時多発テロは、現地に拠点を置く日本企業にも大きな影響を与えている。

ムンバイには自動車販売会社やプラント建設会社など日本企業の出先が121カ所あり、関係企業は27日早朝から現地との連絡に追われた。

三井物産と丸紅が共同出資する液化石油ガス販売「三井丸紅液化ガス」(東京都千代田区)によると、

死亡した同社関東支店課長の津田尚志(ひさし)さん(38)は岡山県出身で、出張中にテロに巻き込まれた。

ムンバイやデリーなどにある液化ガスの関連施設を視察するため、取引先のプロパンガス業者らと26日昼に成田空港から出発。

ムンバイに到着してトライデント・ホテルにチェックインしようとした際、乱入してきた2人組に胸や腹などを撃たれたという。

同行した東北支店長、結束達也さん(44)も負傷した。一行は12月2日に帰国予定だった。


◆記事2:犯人グループは仲間の釈放要求、ホテル内に客300人か(11月27日22時48分配信 読売新聞)

インド西部の商都ムンバイで26日夜(日本時間27日未明)起きたインド同時テロは、

27日夜までに死者101人、負傷者310人以上に達する大惨事となった。

犯行グループは、市内のホテル「トライデント」などで人質を取って立てこもり、

鎮圧作戦に乗り出したインド治安部隊との間で銃撃戦を続けている。

犯行グループは、インド国内で拘束されている仲間の釈放を要求、インドのシン首相は27日、国民向け演説で、

「周到に用意されており、(犯行グループは)恐らくインド国外とのつながりがある」との見方を示した。

日本政府によると、日本人宿泊客8人がホテルに閉じこめられている。

ロイター通信によると、地元のマハラシュトラ州高官は27日、トライデントホテル内の宿泊客は最大で200人いるとの見方を示した。

同ホテルに立てこもっている犯行グループは10~12人と見られる。

もう一つのタージマハールホテルでは宿泊客数十人が人質となっていたが、治安部隊が突入、全員救出されたという。

しかし、日本人を含む宿泊客100人以上は、安全が確保されないため、ホテルに缶詰め状態となっている。


◆コメント:津田尚志さんのご冥福を祈ります。

今日のテロで三井丸紅液化ガスの津田尚志さんが亡くなった。無論、日本人以外の犠牲者とて同様に気の毒である。

しかし、津田さんはたまたま出張でムンバイに赴き、しかも、ホテルにチェックインしようとしている最中に、銃で撃たれたのである。

もしも、あと10分早くチェックインして、部屋に入っていたら、少なくとも撃たれることは無かっただろう。

それを思うと、運が悪いとしか言いようが無く、余りにもお気の毒で、何と書くべきか言葉がない。

ただただ、ご冥福をお祈り申し上げます。


◆テロリストはバカである。

今回のような単発的なテロ行為に限らず、暴力で問題が解決したことがあるか。

今回のテロは、「デカン・ムジャヒディン」と名乗る組織が犯行声明を出したそうだが、インドの治安当局も、

英米の諜報機関も名前を聞いたことが無い。

今までにもインドでテロが起きたことはあるが、不特定多数の集まる繁華街に時限爆弾を仕掛ける、という犯行が殆どで、

今回のように、武器を携帯した男達が、一斉に無差別の殺戮をした例はない。今回の犯人達は、自爆テロも辞さぬ様子らしい。

それが過去と大きく違う。アルカイダに操られた組織ではないか、との説もある。


しかし、それは事の本質ではない。

アラブ・イスラエル紛争を見るがいい。60年も殺し合いを続けても何も解決しない。

あれを見て、まだ、暴力で何かのカタが付く、と考える全ての人間はバカである。

今も「暴力で何かを達成出来る」と考え、実行する「テロリスト」という人種は、たとえどのような思想・信条に基づいていたとしても、

大馬鹿野郎である。

「この世には、はかりしれないものが二つある。宇宙の大きさと、人間の愚かしさだ。」(アルバート・アインシュタイン)

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2008.11.27

タイ王国では、一体何がどうなっているのか。

◆記事:非常事態宣言か 下院議会解散か 混迷のタイ 空港占領を継続(11月26日22時4分配信 産経新聞)

タイの首都バンコクのスワンナプーム国際空港を占拠し、ソムチャイ政権の退陣を求めている反政府市民団体

「民主主義のための市民同盟」(PAD)は26日も空港閉鎖を継続した。

同日夜にペルーから帰国したソムチャイ首相は非常事態宣言の発令を視野に国防省などに事前に準備を指示、

アヌポン陸軍司令官は全省庁の幹部と緊急協議を開いて事態への対応を検討した。

空港は出発と到着のロビーとも閉鎖状態が続き、全便がキャンセルされた。

アジアの空のハブ(拠点)として利用客は1日に約12万人に上るといわれるが、機能は完全に麻痺している。

到着便はバンコクのドンムアン空港や北部のチェンマイ空港など3空港に振り分けられる一方、出発便では乗客数千人が足止めとなった。

在タイ日本大使館も職員を派遣して日本人利用客の混乱に備えた。

市民同盟の支持者らは出発ロビー前の道路に数千人が夜通し座り込みを続行した。

警察当局は衝突による流血の事態を恐れ、強制排除は行わないまま、警備を続けた。

ペルーでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)を終えて帰国の途についた首相は北部チェンマイ空港内に着陸し、

空港内の軍施設に向かった。首相の帰国を前に全省庁と対応を協議したアヌポン陸軍司令官は

「下院議会を解散し、選挙による国民の判断を仰ぐよう首相に提案する」と述べており、首相は今後の事態への判断を迫られている。


◆外務省海外安全ホームページ 2008/11/26 タイ:バンコクにおける反政府市民団体等のデモ及び国際空港占拠に伴う注意喚起

(http://www.pubanzen.mofa.go.jp/info/info.asp?num=2008C399)


  1. 在タイ日本国大使館からの情報によれば、国会開会を妨害するため国会周辺に集結していた市民民主化同盟(PAD)等反政府グループは、現地時間11月25日(火)午後8時頃、APEC(於:ペルー)に出席していたソムチャイ首相の帰国を阻止するため、バンコクのスワンナプーム国際空港に移動し、空港内に侵入・占拠したため、空港当局は出発便の多くの運航を停止しました。

  2. このような状況を受け、26日(水)早朝、空港当局は各航空会社に対し同日午前4時半過ぎより正午までの間、空港を閉鎖する旨の通達を発出しました。また、正午以降の航空便の発着についても明確ではありませんので、タイに渡航予定・滞在中の方は、事前に航空会社等に運航状況を十分確認してください。また、報道等から最新情報の入手に努めるとともに、これら抗議活動が発生している場所付近には近づかないようしてください。

  3. 現在までのところ、デモのほとんどは平穏裏に行われている由ですが、PADの抗議活動状況から、今後、しばらくの間抗議活動の範囲が広がることも予想され、政府支持グループとの小規模の衝突事件もあり、状況如何によっては不測の事態が発生する可能性も排除できません。

  4. なお、タイについては別途「危険情報」が発出されていますので、その内容にも御留意ください。


◆コメント:一体、何がどうなっているのか?私も良く分からないのでアンチョコを見て写します。

まず、タイ王国に関する基礎知識については、私が13世紀まで溯っていられないので、ウィキペディアと、

外務省タイ王国基礎データ等を読んで頂くしかない。


今世紀の歴史の概略。箇条書きにします。


  • 20世紀はじめまでは専制君主制だったが、1932年の立憲革命で立憲君主制に変わった。

  • 1969年には議会政治も導入されて、一瞬、民主主義っぽくなった。

  • しかし、何故かは知らないが軍部の影響力がやたらと強く、民主化に反対し、第二次大戦後、2006年までに未遂を含めると16回もクーデターを起こしている。

  • 但し、同時に国王の影響力も強い。強いが、軍部を押さえつけるほどは強くない。上手くいったのは1992年の5月流血革命の際、プミポン国王の仲裁で、文民政権が誕生したこともあった。

  • ところが、それでも政権は安定せず、何度となく選挙による政権交代を繰り返している。

  • 2001年の選挙で、経済改革や貧困層の保護を打ち出した、タイ愛国党が圧勝し、タクシン党首が首相になった。

  • 残念ながら、タクシン首相の政策は評価されず、貧困層対策に走るあまり財政赤字が膨らんだこととか、タクシン首相が私腹を肥やしていたのではないかという疑惑が持ち上がった。

  • これに関して野党の追及も激しくなっているのをみて、また、軍部が政治に介入し、2006年、陸軍がクーデターを起こし、タクシン首相は退陣させられた。

  • タクシン首相のあとは、軍人のユスラット首相による政権が発足したが、経済政策に失敗し、世論の支持を得られなかった。

  • まことにめまぐるしいが、2007年12月の総選挙では、タクシン元首相の流れを汲む「国民の力党」が勝ち、タクシン元首相の息がかかったサマック党首が今年1月に首相になった。

  • 再び、しかし、選挙での敗北を認めたがらない、反タクシン派の勢力が、軍部を巻き込んでクーデターを試み、サマック首相支持派と衝突し、今年8月、サマック首相は非常事態宣言を発した。

  • 非常事態宣言が出たのに、反政府勢力は首相府の占拠を止めず混乱が続いた。

  • そうしているウチに、憲法裁判所が、サマック首相がTV番組へ出演がしたことが、閣僚の副業を禁止する憲法に違反したと認めたので、9月9日、サマック首相は解任されてしまった。

  • そのため、ソムチャイ副首相兼教育相が後継者として首班指名を受け、9月25日に新政権が発足した。

  • ソムチャイ首相就任後、2ヶ月しか経っていないのだが、ソムチャイ首相の退陣を求める反政府市民団体が、ソムチャイ首相がAPEC(ペルーで開催された)に出席している間に、空港を占拠した。

  • それで、タイへの入国、タイからの出国が困難になっているのが、今日現在の状況である。ソムチャイ首相は非常事態宣言を発したが、これまで同様、あまり効果がない。

  • 陸軍司令官は下院を解散し、また、総選挙をしろ、と騒いでいる。


以上が、タイという国の「最近の」歴史と現状です。どうやら、軍部が政治に口出しすること。

新しい政権になって、ちょっとやってみてダメだと、すぐに反政府勢力が暴動を起こしてしまうこと。

この繰り返しが、タイ王国の国家としての安定を阻害していると考えて良いでしょう。

厄介な話です。

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2008.11.26

「空売り規制、意味のあるものを策定して欲しい=東証社長」空売り規制をしても株価の下落は止まらない。

◆記事1:空売り追加規制案を批判=「買い注文なくなる」-斉藤東証社長(11月25日17時1分配信 時事通信)

東京証券取引所の斉藤惇社長は25日の記者会見で、

株安対策として金融庁が12月に導入を検討している空売り規制強化案について

「(そのまま導入したら)買い注文はなくなる」と懸念を示した。

その上で売買実務の実態を踏まえた規制をするよう再考を促した。

 斉藤社長は、空売り注文を受ける証券会社に、株券の手当ての確認を義務付ける追加規制案は弊害があるとの認識を示した。

海外投資家などは、機関投資家から大量の銘柄を調達し、わずかの時間差で売買する取引を頻繁に行っている。

追加規制案が適用されれば、空売りのたびに株券の確認作業に時間がかかり、売買タイミングを失いかねないからだ。

このため同社長は「こんな規制をするのは日本だけになる」と批判。

「実際の株式売買方法をよく勉強して規制してもらいたい」と注文を付けた。


◆記事2:各国証券監督当局、空売りなどめぐる国際作業部会を設置(11月25日14時40分配信 ロイター)

[ワシントン 24日 ロイター] 各国の証券監督当局などで構成される証券監督者国際機構(IOSCO)は24日、

不正な空売り、規制されていない金融商品、ヘッジファンドなどの規制されていない金融事業体について

それぞれ検討する3つの作業部会を設置した。米証券取引委員会(SEC)が24日明らかにした。

空売りに関する作業部会は、株の手当てのない空売り(ネーキッド・ショート・セリング)に対する各国当局の対応を調整することに焦点を置く。

SECのコックス委員長は、各国証券当局は

「ショートポジションや取引状況の報告を含め、不正な空売りをめぐる国際的な規制措置で協調するため、早急に対応している」と述べた。

IOSCOは24日に電話会議を開き、緊急を要する規制上の問題について協議した。

コックス委員長はIOSCO専門委員会の委員長を務める。

IOSCOはこのほか、金融危機悪化の一因とされているデリバティブ店頭市場など、

規制を受けていない市場の「透明性を高め」、監督の対象とする方法について検討する部会も設置する。

さらに、ヘッジファンドなどの規制されていない事業体に関する作業部会は、

こうした事業体の取引などに伴うリスクを軽減する方法について提言する。

3部会は次回2月のIOSCO専門委員会および来春の20カ国・地域(G20)会合で報告を行う。


◆コメント:東京証券取引所社長の言うことも尤もであるし、「売りを規制」しても株安は止まらない。

記事1、2共に、内外の証券取引監視当局が株の「空売り」つまり、投資家が実際は手許に無い株を証券会社から借りて市場で売り、

後に(上手く行けば)売ったときよりも株価が下がったところでこれを買い戻し、差益を得た上で、買った株式を証券会社に期日までに返却する、

という手法である。

日本の金融庁ばかりかアメリカのSEC(Securities and Exchange Commission=証券取引委員会)が音頭をとって、

空売り規制をしようとしている。

記事2に書いてある、SECのコックス委員長のコメントはSEC Chairman Cox Statement on Meeting of IOSCO Technical Committeeに載っている。


東証の社長は空売り規制の方法について、今、金融庁が考えているようなことをやったら、手間がかかりすぎて、

プロの、特に海外の投資家は東京市場で売買しなくなるぞ、と、どちらかというと実務面からの危惧を呈しているのであるが、

空売り規制そのものは、ある程度はやむを得ない、と考えているのだろうか。


リーマン・ブラザーズが破綻して数日後、9月19日からアメリカのSECは銘柄を絞って、空売りを禁止したが、10月4日には解除している。

何故解除したか、はっきり言わないが、私は、「空売り規制」は効果が無いことが判ったからだろう、と考えている。


空売りであろうが、実際に手持ちの株を売る場合であろうが、株を売ることが出来るのは、「買い手」がいるからである。
株式の売買取引なのだから、買い手がいなければ誰も売れない。

これは、株に限らず、為替でも債券でも、商品市場(コモディティ)でも、凡そマーケット(市場)取引の原理を考えれば当然である。

言い方を変えると、売りを止めさせたいのなら、皆、ショート・ポジション(「売り持ち」)にさせればよいのである。


少し専門的になる。

マーケット用語で買い持ちを「ロング・ポジション(略して、ロング)」、売り持ちを「ショート・ポジション(同、ショート)」という。

「買い持ち」「売り持ち」とは、何か?

為替の方が簡単なのでドル円の売買を例に取る。

為替においては、百万ドルを「1本」といい、通常10本ぐらいで取引するが、

仮に貴方が、ドルを対円で10本買って、更に10本買って、30本売ったとする。最終的には、

10+10-30=-10

となる。この状態を、貴方のポジションは「ドル・ショート10本」、日本語で言えば「10本のドルの売り持ち」という訳である。

逆に、10本売って、更に10本売って、30本買ったとする。最終的には、
-10-10+30=+10

となる。この状態を、貴方のポジションは「ドル・ロング10本」、日本語で言えば「10本のドル買い持ち」という訳である。



株でも債券でも原理は同じことだ。売り買いを合計して売りが多ければ、「ショート」、買いが多ければ「ロング」というのである。



くどくど説明したが、私が何を云わんとしているか、というと、

マーケットが下がらない様にするには、買い手がいなくなるまで売らせることだ、と言いたいのである。

つまり、マーケット参加者が皆、株のポジションがショートになれば良いのだ。

こうなったら、市場参加者の取るべき行動は一つ。自分が買い手になることである。

誰かがショート・ポジションを閉じ始めたら、株を売った値段より安い値段で買い戻さないと差損が出るから、

我先にと、買い戻しが始まるだろう。

勿論、世界全体が不況で、世界中の企業の業績が不振なのだから、いきなり株が急騰することはあり得ない。

しかし、今まで説明したように、売りを規制しても、株価の下落は止まらないのである。


◆逆の事が不動産で起きたのがアメリカのサブプライムローン問題である。

今の世界同時株安と逆のことが不動産取引で起きたのがアメリカのサブプライムローン問題である。

アメリカ中の住宅ローン専門の金融機関が、通常ならローンを組めないような人にまで、

カネを貸して土地と家を買わせた。土地バブルだったから、不動産価格はうなぎ登りに上昇していた。

だから、住宅ローン会社は、低所得者層に、

「もしも、ローンが返せなくなっても、買った家の価格は買った時より上がっていますから、それを売ればローンを返してお釣りが来ますよ。」

といって、本来なら問題のある人にまで融資をして住宅を買わせた。

その結果、皆が「不動産ロング」になってしまった。皆が買ったから買う人がいない。

こうなったら、不動産価格は上がらなくなる。それで、ローンを返せそうにない人が売り始めた。

一人売り始め、二人売り始め、皆大あわてで、売り始め不動産価格は暴落した。

その結果、ローンの担保に取っておいた住宅の価格は買った時より遙かに安くなってしまった。

家を売っても、ローンは返せない。金融機関からみれば「不良債権」である。

このような不良債権がふくれあがってどうしようもなくなっているのが、今のアメリカである。


逆説的だが、相場は「買うから、下がる。売るから、上がる」のである。

何となくお分かり頂けたであろうか。

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2008.11.25

何だか、ひどく疲れておりまして・・・・。

◆これほど、人間、眠れるものか、と驚いています。

このところ、私事で少々バタバタしておりまして、疲れていたのでしょうか。

11月24日(月)の午前0時半過ぎに日記・ブログを更新した後、朝の9時に一旦起きて朝食を摂り、

その後気が付いたら、13時頃まで眠っていました。そこで昼食を摂った後、また知らない間に寝てしまい、

夕方目が覚めました。3連休、何処にも家族を連れて行ってやっておりませんでしたので、

近くのファミレスに17時頃、食事に行きました。

戻ってきたのが18時半で、その時には気分が悪いわけでも無かったのですが、また、気が付いたら寝ていました。

21時頃にちょっと目が覚めましたが起き上がれません。23時に再び目が覚めましたが、やはり、起き上がれません。

漸く先ほど、11月25日午前2時半に目が覚めました。

要するに1日中眠っていたわけで、世の中の動きについて、全くウォッチしておりません。

従って、時事問題について日記を更新するのは不可能ですので、今日はサボらせていただきます。

25日(火)の深夜、若しくは26日(水)の未明には、少しはまともな記事を書きたいと思います。

本日のところは、ご了承いただきたく、お願い申し上げます。

それでは、失礼します。

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2008.11.24

時事問題を書く気がしないので、今日も音楽にします。「スペイン狂詩曲 祭」、「亡き王女のためのパヴァーヌ」(いずれも、ラベル)

◆昨日のボレロは流石に聴き飽きた方が多いようですので同じラベルから2曲。

昨日の「ボレロ」はスコアをスキャンしたり、結構手間をかけたのですが、やはり余りにも何度も演った所為か、

残念ながら、あまりお聴きいただけなかった様です。


音楽を載せた次の日は気分を入れ替えて、時事問題に戻るのが常なのですが、3連休中で、かつちょっと私事で取り込みがありまして、

天下国家を論ずる気分になれないのです。


そこで、昨日ご紹介した、アバド=ロンドン交響楽団による、ラベル名曲集から2曲載せて本日の日記・ブログとさせていただきます。


◆スペイン狂詩曲より最終曲「祭」と、「亡き王女のためのパヴァーヌ」です。

スペイン狂詩曲もラベルの代表作の一つですが、詳しくは、ウィキペディアをお読み下さい。

その中から、絢爛豪華な第4曲、Feria(祭り)です。





聴いている分には、「血湧き肉躍る」感じで甚だ興奮しますが、演奏は難しそうですね。

次は、どなたも御存知の「亡き王女のためのパヴァーヌ」。生の演奏で聴くと、長いホルン・ソロの高音のところ、

プロのプレイヤーに対しては失礼ですけど、非常にスリリングです。





これは、余りにも美しいので、色々な楽器、アンサンブルに編曲されて演奏されます。

ピアノを弾かれる方、ご自分で弾いた、という方も多いのではないかと思います。

最近、大人になってからピアノを始める方が多いそうです。基礎はやらないといけませんが、

この曲は真面目に練習すれば弾けるようになるのではないか、と思います。

それでは、今日はこの辺で失礼を致します。

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2008.11.23

【差替】80年前の今日(11月22日)、ラベルの「ボレロ」が初演されました(「楽器編成」を追加しました)。

◆今年も恒例、「ボレロ記念日」です。

昨日、「反復は力なり」という文章を書きましたが、今日のことを意識していたわけではありません。

偶然ですが、このフランスの天才作曲家、モーリス・ラベルが作曲した、「ボレロ」もこの、日記・ブログで、

過去何度取りあげたか分かりません。以前にも書いて、再び今日も手前味噌ですが、グーグルで、「ラベル ボレロ」、又は、

「ボレロ トロンボーン」を検索してみて下さい。私の日記かブログが最初に現れると思います(少なくとも2008年11月22日現在では)。


◆今年はちょっと特別な日です。初演されたのが、1928(昭和3)年11月22日で、今日からちょうど80年前なのです。

別に初演から79年目でも81年目でも「ボレロ」が名曲であることに変わりは無いので、どうでも良いとも言えますが、

そう言ってしまっては実も蓋も無い。ちょっと感慨深いです。

だからといって特別な事をするわけではないのですが、今年はボレロのオーケストラ・スコアを買ったので、

サワリのところの楽譜を見ていつもより沢山ご覧頂けます。別に楽譜が読めなくても、何となく面白いのではないかと思います。

しかし、面倒くさい、という方は無理にご覧になる必要は全くありません。

但し、ラベルのスコアでは楽器名が全てイタリア語で書かれているので、それだけ説明しておきます。

楽器編成も分かりますから。


◆ボレロの楽器編成(ラベルの書いたスコア通りにイタリア語で書き、その後、日本語で書きます)。

オーケストラ・スコアは、原則として、上から、木管群、金管群、打楽器群、ハープ(ある場合は)、弦楽器群の順で書きます。

ボレロでは、更に特殊なチェレスタという楽器を使っていて、これは、ハープと弦楽器の間に書かれています。

そして、原則として、それぞれの楽器群で音域の高いものから低いものへ上から下に並べます。

これは、ラベルに限ったことではありません。それでは、早速。


【木管】

Flauto piccolo 1(ピッコロ)

Flauto 1,2    (フルート 1,2とは二人、一番奏者と二番奏者がいる、ということ。以下同様。)

2番奏者、ピッコロ2番と持ち替えあり。

Oboe 1,2     (オーボエ)

2番奏者、Oboe d'amore 1(オーボエ・ダモーレ。オーボエより1音半 短三度低い イ調の楽器)と持ち替えあり。

Corno inglese 1(コールアングレ。イングリッシュホルンとも言う。オーボエ族でオーボエより完全5度低い、へ調の楽器)

Clarinetto piccoro 1(日本では Es(エス)クラリネットという。普通のクラリネットより完全4度高い)

Clarinetto 1,2  (クラリネット)

Clarinetto basso (バス・クラリネット。普通のクラリネットより、音域が1オクターブ低い)

Saxofono sopranino(ソプラニーノ・サックス。ソプラノ・サックスより更に完全5度高い、ヘ調の楽器))

Saxofono tenor (テナー・サックス 変ロ調の楽器))

テナー・サックス奏者、Saxofono soprano (ソプラノサックス、テナーサックスより1オクターブ高い。)と持ち替えあり。

Fagotto 1,2(ファゴット)

Contorafagotto(コントラ・ファゴット。普通のファゴットより、1オクターブ低い。オーケストラの最低音を出す楽器。)


【金管】

Corno(F)1-4(ヘ調のホルン。1番から4番まで4人)

Tromba 1-4(トランペット、1番から4番まで4人 1人はニ調、3人はハ調)

Trombone 1-3(トロンボーン 1番から3番まで3人)

Tuba (チューバ)


【打楽器】

Timpani(ティンパニ)

Tamburo militare 1,2(小太鼓。 日本では普通、英語で「スネア・ドラム」という、イタリア語だと、「軍隊の太鼓」というのですな。)

Piatti(シンバル)

Gran Cassa(大太鼓。日本では普通、英語で「バス・ドラム」という。)

Tam-tam(銅鑼)


【特殊楽器】

Arpa ハープ

Celesta チェレスタ


【弦楽器】

Violino I, II (第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリン)

Viola (ヴィオラ)

Violon Cello (チェロ)

Contrabasso(コントラバス)

(注:以上をまとめて、弦五部、などと云います)


楽器の種類は26種類なのですが、ご覧の通り、フルートでも1番と2番。

ホルンなら1番から4番までパート(声部)が分かれているわけで、それを全部数えると、43パートになります

(持ち替えもありますから、43のパート全てが鳴ることはありませんが)。

以上が「ボレロ」で使われる全ての楽器とパートです。


◆今更解説でもないですが・・・・。

モーリス・ラベル作曲の「ボレロ」を聴いた作曲家は「やられた」と思ったのではないでしょうか。


こういう曲は最初に書いた者の勝ちで、他の作曲家は、2度と同じ手法を用いることが出来ません。

やったら、確実に「ボレロのパクリだ」と言われてしまいます。

この曲は、同じリズムを延々と繰り返します。ダウンロード Ravebolero01.jpg (7.2K)

1番小太鼓の奏者は(2番奏者は途中から加わります)この2小節から成るリズムを171回繰り返します。


メロディーは、原則的に2種類しかありません。

メロディーAは、冒頭4小節の小太鼓とヴィオラ、チェロの前奏の後、ダウンロード t_Bolero001.jpg (101.9K)

フルートが奏でます。スコアは、

ダウンロード t_Bolero002.jpg (95.0K)

ダウンロード t_Bolero003.jpg (81.0K)

(出来れば別のウィンドウを開いて並べてご覧下さい)。

実際の音はこれです。





小太鼓は、ここで手が震えてリズムが乱れたら、それでその日の「ボレロ」は「残念でした」になってしまうので緊張すると思います。

また、フルートは、最後の「ド」はフルートの最低音で、朗々と響かせるには、神経を使うようです。

一番フルートが吹き終わると2番フルートが、小太鼓と同じリズムを吹き始めます

(曲が進むにつれ、色々な管楽器や弦楽器が交替でこれをやらされます)。



メロディーBは、フルートと同じメロディーをクラリネットが吹いた後、ファゴットが最初に吹きます。

スコアでは、

ダウンロード t_Bolero004.jpg (119.4K)

ダウンロード t_Bolero005.jpg (113.0K)

ダウンロード t_Bolero006.jpg (145.0K)(←、最初の小節、Fg.と言うところにメロディーの最後の音があります)。

実際の演奏では、こうなります。





エキゾティックですね。


ところで、これは、私には解説は不可能なので、ウィキペディアの解説「オルガンから借用した手法」というところを、

興味のある方はご覧頂いて、次の演奏をお聴き頂きたいです。これ、実はあまりバランスが余り良くない。

ホルンが強すぎて、本当は、ピッコロとチェレスタがもう少し大きい音だとえもいわれぬ不思議な音響となるのですが、

こういうのを思いつくラベルという人は「オーケストラの魔術師」と呼ばれるだけのことはあり、やはり天才だと思います。





そして、そして、過去に何度も書きましたが、私がボレロを聴くというと極度緊張状態に陥るのですが、

それはトロンボーンの難しいソロがあるからです。難しいソロと言っても、メロディーBをトロンボーンが吹くのですが、

演奏が始まってから7分ぐらい音を出さないでいて、いきなり、トロンボーンの最高音域の変ロ(ハイB)から吹かなくてはならず、

しかも、音域が広く、低い音まで朗々と鳴らさなければならないからです。とにかく何と云っても最初の音を外さないか、聴いているだけで、

いつも鼓動が高まります。

楽譜は、

ダウンロード t_Bolero007.jpg (134.9K)

ダウンロード t_Bolero008.jpg (135.4K)

ダウンロード t_Bolero009.jpg (133.7K)

ダウンロード t_Bolero010.jpg (135.5K)

ダウンロード t_Bolero011.jpg (165.1K)です。

実際の演奏は、これです。





なお、この辺まで来ると、音を出している楽器が相当増えています。

フルート、ホルン、ヴィオラが、小太鼓と同じリズムを刻み、他には、クラリネット、コントラファゴット、ハープ、第二ヴァイオリン、チェロ、コントラバスが、

2拍目と3拍目とか、1拍目と3拍目、など、リズムを補強しています。


さて、最後、クライマックスは本当に興奮します。最初は、こうだったのに→ダウンロード t_Bolero001.jpg (101.9K)

スコアの一番最後の2ページは、こうなっています。

ダウンロード t_Bolero012.jpg (259.8K)

ダウンロード t_Bolero013.jpg (242.3K)

サワリをどうぞ。




細かいのですが、トランペットのパート、Tr.というパートですが、16分音符の下降音型に、vibrato(ビブラート)

と指示があります。実際の演奏上、こういう細かい動きでトランペットがヴィヴラートをかけるのは不可能なのですが、

こういうことに、ものすごく詳しい、Kenさんによると、「音程は適当でいいよ」というような意味なのだそうです。

ラベルには意地の悪いところがあって、「この楽譜の意味が分からないなら演奏するな」といっているのだ、とのことです。

なるほど、と、感心してしまいました。世の中知らない事ばかりです。


◆それでは、全曲をどうぞ。アバド=ロンドンです。

「ボレロ」の録音は一体いくつあるのか分からないほど沢山ありますが、以前からお薦めしているのは、

クライマックスでオーケストラのメンバーが興奮のあまり、叫んでいる、ロンドン交響楽団=アバドです。

他の「マ・メール・ロワ」や「亡き王女のためのパヴァーヌ」も名演です。


では、80年前の今日初演された、モーリス・ラヴェル作曲、「ボレロ」を、この演奏でどうぞ。





何度聴いても、興奮に身をよじってしまいます。お楽しみ頂けたでしょうか。

それでは。

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2008.11.22

「反復は力なり」と思いたい。

◆テレビで「ALWAYS 続・三丁目の夕日」を見た。

先々週の土曜日には、「スウィング・ガールズ」を見た。

そのことは日記ブログに書いた。

今日は日本テレビ系列で、「ALWAYS 続・三丁目の夕日」を見た。

この映画も私はDVDを持っていて、何度見たか分からない。やはり、日記ブログに書いた。


自分の行動様式を客観的に観察すると、「反復する」ことが、かなり目立った特徴である。

映画に限らず、今まで拙日記・ブログに載せた音楽も、幾度となく同じ音楽を繰り返し載せている。

読者の皆様は、「また、バッハのあの曲か」と呆れられた方も多いかも知れない。

実は、本に関しても同様で、例えば漱石の「三四郎」「それから」「門」「草枕」「坊っちゃん」などは何度繰り返して読んだか分からない。

手前味噌になるが、私は「反復する」ということは、良いことだ、と思っている。

繰り返し、見たり、読んだり、聴いたりする度に新しい発見がある、とは良く言われることだが、本当だと思うのである。

隅から隅まで覚えているつもりの、映画、音楽、本、いずれにおいても、繰り返す度に必ず、なにがしかの新しい発見がある。


勉強も(全ての科目に通用することではないかも知れないが)、同様ではないかと思う。

学生時代、出来の良い学生ではなかったが、何とか英語は海外で生活するのに不自由の無い程度の運用能力を身につけることが出来た。

これは、國弘正雄先生の「英語の話し方」と言う本(今、売られている「國弘流英語の話しかた」の元となった、1970年に発売された旧版だが)

に書かれている、「只管朗読」という方法、つまり、意味の分かった英文を500回も繰り返して音読するということを、実践した為であろうと思われる。

(頭が悪いから、繰り返さないと何事も覚えられない、ということもあるけれど。)


◆日記・ブログで同じテーマを繰り返し書くのも、意識的に行っているのである。

拙日記・ブログでは、目次を見ていただくと分かるが、イラク戦争が国際法上違法だということ。

日本の集団的自衛権の行使を認めてはならない、ということ。

小泉政権のどこが間違っていたかということ、などは何度書いたか分からない。

最近では、米国政府がリーマン・ブラザーズを破綻させたのが誤った判断だったと言うことを、毎日の様に書いている。

これは、新しいテーマを探すのが面倒なのではなく、繰り返すこと自体に意味がある、と思うからである。

ある事柄に関する自分の所感を一回書いただけでは、他人様の印象に残らない。

しつこいぐらい書いて、初めて、少しは覚えて下さる方がおられるわけである。


自分が何かを見たり、聴いたり、読んだりして感ずるときも、自分の信ずるところを主張するときにも、

「反復は力なり」と思いたい。

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2008.11.20

「ビッグ3緊急融資の民主党案、週内の採決撤回 米メディア報道」←今週で米議会は休会。ビッグ3も潰す気か?

◆記事:ビッグ3緊急融資の民主党案、週内の採決撤回 米メディア報道 (NIKKEI NET)(13:04)

米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は19日、米民主党のリード上院院内総務が、

経営難のビッグスリー(米自動車大手3社)に緊急融資する支援案を週内に採決する方針を撤回したと報じた。

同党は金融安定化法で用意した公的資金7000億ドル(約67兆円)の一部を使う案を検討していたが、

ブッシュ政権や共和党から支持を得られておらず、早期の採決は難しくなった。ビッグスリー支援の行方は不透明になっている。

上下両院の民主党は環境対応車生産を支援するための250億ドルの低利融資とは別に、

金融安定化法による公的資金を使う250億ドルの緊急融資を検討していた。

だが、金融機関以外の支援に使うことに共和党などの反対姿勢は根強く、週内の採決は難しいと判断したもようだ。

一方、ブッシュ政権や共和党は環境対応車向け低利融資枠を緊急融資に回す支援策を検討中だが、この案には下院民主党などが反対している


◆コメント:米国政府や議会はリーマン破綻後の世界経済の混乱を見てもまだ、分からないのか。

ビッグ3とは、アメリカ産業の代業格、自動車産業の代名詞、GM(ジェネラル・モーターズ)、クライスラー、フォードの3社である。

このうち、世界最大の自動車メーカーGM(今年上半期の売り上げはトヨタに抜かれたが)が何と、資金繰りに困っている。

そのことは、10日ほど前に日記ブログに書いた。

日本で、もし、トヨタ自動車が潰れたら、日本経済への影響は計り知れない。

それ以上に世界中で自動車を生産・販売しているGMがもしも、資金繰りに窮して破綻したら、ものすごい数の失業者が出るだろう。

直接の従業員は勿論、下請け、孫請け、関連企業全てが打撃を被り、ただでさえ後退しているアメリカの景気は、

さらに悪化し、世界中の株価は暴落するだろう。


製造業ではないが、やはり世界中に拠点を持っていた、リーマン・ブラザーズが9月15日に破綻して以来、世界金融危機が勃発したのは、最早誰でも知っている。

私は、あの教訓から今度のビッグ3支援策に関しては、アメリカの議会も政府も前向きに対処するだろうと思っていた。

ところが、今日、上に転載した記事の通りの情報が伝わってから、東京の株まで暴落した。昨日のアメリカの住宅着工件数が予想以上に少なかったため、

ニューヨーク株は暴落し、もともと東京株も連れ安だったのだが、このニュースで余計に売られた。

記事では民主党の院内総務が、

経営難のビッグスリー(米自動車大手3社)に緊急融資する支援案を週内に採決する方針を撤回したと報じた。

としか書いていないが、米国の議会は今週末で休会に入る。再開するのは来年1月である。臨時に議会を招集使用という声もあるが、

それにすら反対、という議会内部の声も多いという。

一体、アメリカ人は、リーマン破綻から何も教訓を得ていないのであろうか。

今週中にビッグ3救済策がまとまらなければ、下手すれば本当に天下のGMが潰れるかも知れないのである。

そんなことになったら、ただでさえ世界同時不況なのに、更に株が売られて、事態は悪化するだろう。

細かいことをごちゃごちゃ論じていないで、とりあえず、応急処置として、ビッグ3に緊急融資を発表するのが、

殆どアメリカの「責任」と言っても過言ではなかった。

確かに民間企業が潰れそうだからと言って、何でもかんでも税金で救済するわけにはいかないだろうが、

GMを潰したら、影響が大きすぎる。どうして、世界への迷惑をもっと真剣に考えてくれないのであろうか。

アメリカ人というのは、そういうことを本当に考えない。自国のことばかり考えて行動されては迷惑なのである。

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「NYダウ大幅反落、5年8か月ぶり8000ドル割れ」←東京も大幅安。その理由は・・・。

◆記事1:NYダウ大幅反落、5年8か月ぶり8000ドル割れ(11月20日6時32分配信 読売新聞)

19日のニューヨーク株式市場は大幅に下落し、ダウ平均株価(30種)は終値として2003年3月下旬以来、

約5年8か月ぶりに8000ドルを割り込んで取引を終えた。

米連邦準備制度理事会(FRB)が2009年の経済成長率がマイナスに陥る可能性を指摘したことなどから、

終値は、前日比427・47ドル安の7997・28ドルをつけた。下落幅は今年10番目の大きさで、

07年10月に付けた史上最高値(1万4164・53ドル)から44%下落した。

ダウ平均は10月6日に終値で約4年ぶりに1万ドルの大台を割り込み、同月9日には9000ドルを割った。

ナスダック店頭市場の総合指数は、96・85ポイント低い1386・42で取引を終えた。


◆記事2:日経平均大幅続落、終値570円安 3週間ぶり8000円割れ (NIKKEI NET)(20日 15:38)

20日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に3日続落した。終値は前日比570円18銭(6.89%)安の7703円4銭と安値引け。

10月28日以来、約3週間ぶりに8000円を割り込んだ。

19日の米株の急落や外国為替市場での円高・ドル安を嫌気し、主力株中心に全面安だった。

前日発表した9月中間決算で業績悪化が鮮明となった損保ジャパンなど保険株は値幅制限の下限(ストップ安)まで売られる銘柄が続出した。

東証株価指数(TOPIX)も大幅に3日続落し、下げ幅は5%を超えた。

米ゼネラル・モーターズ(GM)を始めとした米自動車3社の経営危機や米金融機関の業績及び財務に対する警戒感が再燃。

世界的な景気悪化懸念が強まった。前場には公的年金の買い期待を指摘する声があったものの、

期待されたような買いは見られず、後場は失望売りが膨らんだ。

アジア株安やGLOBEX(シカゴ先物取引システム)で米株価指数先物が下落したため、世界連鎖株安への懸念にもつながった。

東証1部の売買代金は概算で1兆6043億円。売買高は21億714万株。〔NQN〕 (15:38)


◆コメント:ビッグ3まで潰す気か?ということです。

昨夜のNY株式市場で売られたきっかけは、

10月の米住宅着工件数は79万1000件と過去最低水準まで減少した。

のがきっかけです。サブプライムローンを貸しまくって(消費者は借りまくって)家を買ったり新築していたのが住宅バブルで、

それが、遂に買う人がいなくなって不動産価格が暴落し始めた2007年の7月頃が、今の世界不況のきっかけです。

米国の不動産価格は下がり続けているので、昨日も住宅着工件数で良い数字が出る訳がないことは予想していたものの、

予想以上に悪かった。それで、ニューヨーク・ダウの終値が8,000ドル割れ、という悲惨なことになりました。

それを見ていた東京でもいきなり売られました。NY株に連れ安、と言うこともできますが、このニュースが痛かった。
◆記事:<米議会>ビッグ3支援…上院が法案採決断念 修正協議入り(11月20日13時30分配信 毎日新聞)

米自動車大手3社(ビッグ3)への支援策を審議している米上院は19日、民主党が週内可決を目指していた

金融安定化法から250億ドルを低利融資する支援法案の採決を断念し、妥協策に向けた修正協議に入った。

民主党は一両日中の合意を目指すが、打開のメドは立っておらず、混迷の度を深めている。

民主党のリード院内総務は同日夜、20日にも予定していた民主党案の採決を見送り、修正協議に入ったことを明らかにした。

米メディアによると、融資規模の縮小や、ブッシュ政権が主張しているエネルギー法に基づき低公害車生産向けに予算措置されている

250億ドル低利融資の使途制限緩和などが協議される見込み。

上院の民主党内にはブッシュ提案で妥協する動きも出ているが、

下院民主党内には環境対策向けの設備投資資金を転用することに難色を示す意見が強く、

ビッグ3支援を強く求める民主党内の足並みもそろっていない。

上院内では米連邦破産法11条の適用を容認する動きが民主党からも出始め、

事態打開に向けた求心力は急速に低下しつつある。米議会は週末でいったん閉会し、来年1月まで休会に入るが、

民主党の一部には12月上旬に臨時開催する案も浮上。しかし、これにも両党から異論が出ている。

この記事の最後にあるように、アメリカの議会は今週末で会期が切れるのです。

アメリカ産業の象徴、自動車産業の代名詞「ビッグ3」(GM、クライスラー、フォード)は放っておくと資金繰り難に陥る。

これは最大手のGM(ジェネラル・モーターズ)が自ら宣言したことで、私も日記ブログに書きました。


日本でトヨタ、日産、ホンダがあまりの業績不振に陥って、一度に潰れるかも知れないと言ったら大変なことになりますね。

アメリカはもっと大変かも知れない。米国の議会も政府も、製造業ではないけれど、リーマン・ブラザーズを潰してしまったがために、

世界経済がどれ程混乱しているかは、十分承知しているはず。

今度のビッグ3の救済案は、会期末つまり、明日までにすんなり議会を通ると思っていたのですが、

引用した記事でお分かりの通り、可決されそうにない。

こりゃ、とんでもないことになるぞ、という予感が東京市場を席巻しました。

東京だけではない。アジア各地の株式市場は、皆、惨憺たるありさまです。

いい加減、アメリカ政府も議会も、これは単なる自国の民間企業の問題ではないことを認識して欲しいです。

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2008.11.19

「6大銀の中間決算、純利益57%減 三菱UFJは64%減の920億円」←と書くと悲観的だが、欧米に比べて遙かにマシ。

◆記事:6大銀の中間決算、純利益57%減 三菱UFJは64%減の920億円 (NIKKEI NET)(19:54)

大手銀行6グループの2008年9月中間決算が18日出そろった。

連結純利益の合計は3983億円と前年同期に比べ57%減少し、中間期としては4年ぶりの低水準に落ち込んだ。

09年3月期通期も前期比50%減と低迷する見通し。融資先の破綻などで不良債権処理損失が増えたうえ、

株安により保有株式の時価が目減りしたことも利益を押し下げた。

世界的な金融危機の影響が邦銀の業績にも深刻な影響を与え始めた。

6グループは

三菱UFJフィナンシャル・グループ、

みずほフィナンシャルグループ、

三井住友フィナンシャルグループ、

りそなホールディングス、

住友信託銀行、

中央三井トラスト・ホールディングス。

18日に発表した三菱UFJの9月中間期の連結純利益は64%減の920億円。

不良債権処理損失が54%増えたうえ、保有株式の価格下落による減損処理が2.8倍に膨らんだ。



◆【為参考】大手6行 中間決算一覧表 (ブルームバーグ)(2008/11/18 17:14)

【08年4-9月期連結決算の概要と通期予想】
-------------------------------------------------------------------
4-9月期 通期
業務純益 与信費用 株式損益 純利益 純利益予想
-------------------------------------------------------------------
三菱UFJ 6348 -3206 -753 920 2200
(7334) (-2472) ( 544) (-64) (-65)
-------------------------------------------------------------------
みずほ 3175 -1428 -396 946 2500
(4140) ( -447) ( 851) (-71) (-20)
-------------------------------------------------------------------
三井住友 4100 -3021 -198 833 1800
(4996) (-1431) (-474) (-51) (-61)
-------------------------------------------------------------------
りそな 1632 -1334 -50 864 1600
(1650) (-281) (-90) (-28) (-47)
-------------------------------------------------------------------
住友信託 953 -161 -102 283 600
(1024) (-350) ( 47) (-25) (-27)
-------------------------------------------------------------------
中央三井 618 -3 -129 138 600
トラスト ( 734) (-169) ( 83) (-61) (-17)
-------------------------------------------------------------------
注)単位億円。業務純益、与信費用、株式損益のカッコ内は前年同期の実額。
純利益のカッコ内は前年同期比%。りそなの業務純益のみ傘下4行合算ベース。
中央三井の業務純益、与信費用、株式損益は傘下2行合算ベース。


◆コメント:通期(来年3月までの1会計年度)6割減益という銀行でさえ、黒字で、公的資金の注入必要なし。

今日、三菱UFJの中間決算の発表があり、これで大手6行の中間決算が出そろったため、記事になったのであるが、

現実は直視しなくてはならず、昨日書いたとおり、世界中景気が悪いから、確かに楽観は出来ないが、

日経の記事は徒に不安を煽っている。


確かに、三菱UFJや三井住友の通期純利益予想を見ると、前期比6割から7割減で、それだけを強調すると、

大変なことになった、という印象を受けるが(実際、いい話ではないけれど)、純利益予想の数字そのもの(単位:億円)を見ると、

6行ともに黒字である。7割減でもなお黒字だ、という見方をすると、欧米の銀行より大分マシである。


銀行の儲けが大幅に減ったのは、本来の商売に寄る儲け、「業務純益」は、それほど減っていないのに、

与信費用の増加と、株式損益で足を引っ張られている。

要するに、景気が後退したことにより、借りたカネを返せない与信先が増え、

その不良債権処理による損(リーマンに融資していて、回収不能になった分もある)が増えたことと、

保有株式の評価損、これは時価会計という方式を採用しているから、株の取得時と、9月末時点の時価を比べ、

株価は下がっているから、株を持っているだけで、実際に売却していなくても「評価損」をいうものを計上しなくてはいけないのである。

これが、もう一つ、収益の足を引っ張っている要因である。


しかし、世界的な金融危機における各国の銀行の状況を見ると、米国や欧州では、「まさか」と思われるような、超巨大銀行までもが、

公的資金の注入を受けなければ、資本が足りなくなる、という事態なのに対して、日本では全然そういう話になっていない。

今日、金融庁が、主要行等の平成20年度中間決算について(速報ベース)。を発表した。

これは、6行よりさらに範囲が広く、大手11行の中間決算状況をまとめたものだ。

最初に概略が言葉でまとめてあるが、6.自己資本比率を見ると、

自己資本比率(加重平均)は、11.73%(単体)。20年3月期は12.30%。

となっている。

BIS(国際決済銀行)のバーゼル銀行監督委員会が、世界中の銀行に、国際業務を営む為の最低自己資本比率は最低8%、

という基準を課しているのだが、それを軽くクリアしている。


このように考えると、邦銀も世界金融危機の影響を受けて減益してはいるものの、

欧米よりずっと健全な財務状態が保たれていることが分かる。サブプライムローン関連商品への投資が欧米の銀行よりも

少なかったのが、幸いしているのだろう。


ただ、何しろ景気が悪いから、サブプライムローンの影響がさほどでなくても、国内の融資先が景気後退による業績不振で、

債務を返済できなくなり、不良債権が増加する可能性は十分にあるし、そもそも景気が悪い時に、カネを借りて設備投資しようという企業は、

無い。そして、銀行自体も、貸付を増やして利息を取らないと儲からないが、下手に貸して不良債権化するのを押さえるだろうから、

急速に業績が好転することはないだろう、ということだ。

それでも、少なくともメガバンクが潰れるとか、公的資金の注入を受けるとか、欧米みたいなひどいことにはならないだろう。

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2008.11.17

7-9月実質GDP、前期比-0.1%。2四半期連続マイナス。←完全に世界同時不況。

◆記事1:【日本】2期連続のマイナス成長=7~9月期、実質年0.4%減-GDP速報値(11月17日11時0分配信 時事通信)

内閣府が17日発表した2008年7~9月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値によると、

物価変動の影響を除いた実質GDPは前期比0.1%減、年率換算では0.4%減となった。

IT(情報技術)バブル崩壊後の01年以来7年ぶりの2・四半期連続マイナス成長。外需が落ち込む中、

設備投資は3期連続のマイナスと内需も低迷し、景気後退が一段と顕著となった。

物価の影響を含めた名目では0.5%減(年率2.1%減)だった。

与謝野馨経済財政担当相は記者会見で

「景気は後退局面にあり、下向きの動きが続く。成長のための良い材料はそろっていない」との認識を示した。

08年度の政府経済見通し(実質1.3%、名目0.3%)達成には、

残りの2・四半期に実質1.8%、名目2.4%ずつの成長が必要で、達成は困難な情勢だ。

【為参考】内閣府:20年11月17日 四半期別GDP速報(平成20年7-9月期・1次速報)

ポイント

2008年7~9月期の実質GDP(国内総生産・2000 暦年連鎖価格)の成長率は、▲0.1%(年率▲0.4%)となった。

また、名目GDPの成長率は、▲0.5%(年率▲2.1%)となった。
(注:太文字は引用者による。)


◆記事2:【米国】米GDP、年0.3%減 7~9月期(10月31日8時5分配信 産経新聞)

米商務省が発表した今年第3四半期(7~9月期)の実質国内総生産(GDP)の伸び率(速報値)は

年率換算(季節調整済み)で前期比マイナス0・3%となった。消費の減少や輸出の鈍化を受けて

前期の2・8%成長から一転し、昨年第4四半期(10~12月)以来、3四半期ぶりのマイナス台に突入。

金融危機が実体経済に波及してリセッション(景気後退)入りしたことがほぼ確実となった。

マイナス幅は前回の景気後退期の2001年第3四半期のマイナス1・4%以来7年ぶりの大きさ。


◆記事3:【欧州】<EU>ユーロ圏が景気後退入り GDP2期連続マイナス(11月14日21時7分配信 毎日新聞)

欧州連合(EU)が14日発表した08年7~9月期のユーロ圏15カ国の実質域内総生産(GDP、季節調整済み・速報値)は

前期(4~6月期)比0.2%減とマイナス成長になった。4~6月期の0.2%減に続く2四半期連続のマイナス成長で、

99年の通貨統合以来、初の景気後退入りが確認された。

EU全体(27カ国)でも7~9月期は0.2%減(4~6月期は0.0%)とマイナス成長だった。

国別では、ドイツとイタリアが2四半期連続のマイナス成長。

最大の経済圏ドイツは4~6月期が0.4%減、7~9月期は0.5%減と大幅なマイナス成長が続いている。

フランスは0.1%増だった。

一方、この日発表された10月のユーロ圏のインフレ率は3.2%で、7月に4%をつけて以降、低下している。

市場では「原油など商品相場の急落でインフレは落ち着くが、景気は悪化が続く」との見方が広がっている。


◆コメント:解説する必要すら無いでしょう。世界同時不況です。

引用した記事を読んでいただくだけで、お分かりになるだろう。

日本の7-9月(第3四半期)の実質GDPが前期比マイナス0.1%。3ヶ月で0.1%だから、年率換算マイナス0.4%。

「景気後退」とは英語のリセッション(recession)の訳だが、世界共通の客観的な定義があるわけではない。

ただ、日本では、2四半期連続実質GDPがマイナスになることをもって、「景気後退」と認識する。

だから、太文字で示したとおり、与謝野大臣が「景気は後退局面にある」と言っている。

これは、日本政府が、日本経済は景気後退局面にあることを、初めて公式に認めたことになる。そこがポイント。

記事には載せていないが、与謝野大臣は、放っておけば来年はプラス成長になるというような状態ではなく、

何らかの策を打たないと2009年度も通年でマイナス成長になる可能性が高い、とはっきり悲観的な見通しを明らかにしている。

日本が景気後退局面にあっても世界の他の地域が好景気なら、外需依存が可能だが、記事2と3はその可能性が乏しいことを示している。

要するに、7ー9月期は、日本、アメリカ、ヨーロッパ、いずれもGDPが前期比マイナスなのである。ヨーロッパは、日本と同様、

2四半期連続マイナス。どの国を見ても景気が悪い。

前後するが、金融危機の震源地、米国は(他の地域も同じ原理だが)金融危機が実体経済に影響を及ぼしている。

アメリカもヨーロッパも不動産価格の下落が続き、この先、不良債権が増え、さらに銀行が潰れ、金融危機が深刻化する怖れがある。

その間は、どこの地域のどの銀行も、資金を積極的に貸し出しに回そうとしないから、経済活動全体が萎縮した状態が続く。

金融危機がいつまで続くか、各国金融政策の専門家は、「アタマの良い」人たちの集まりの筈だが、見当が付かないらしい。

従って、いつまで、景気後退局面が続くか分からない。景気後退から不況に。更にひどくなると恐慌になる。

決定的な打開策になる、と断言できる方策はないが、日本に関して言えば、

もうこうなったら、ゼロ金利にして、更にバブル崩壊後日銀が前例の無い金融政策として、世界から注目された、

量的緩和策をもう一度実施するぐらい、思い切った事をしないと、効果が無いように思われる。

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2008.11.16

「金融サミット宣言骨子」←意外感がないので、また、市場は荒れると思います。

◆記事:金融安定化へ「あらゆる追加的措置」 金融サミット (NIKKEI NET)(19:46)

日米欧と中国、インドなど新興国の20カ国・地域(G20)による緊急首脳会合(金融サミット)は15日午後(日本時間16日未明)、

金融安定化に向け「あらゆる追加的措置をとる」との首脳宣言を採択し、閉幕した。

世界経済の成長回復には「より緊密で広範な政策対応が必要だ」と指摘。適切な金融政策と

景気刺激の財政政策を組み合わせた協調行動をとる方針を明記した。次回会合は2009年4月末までの開催で合意。

合意に沿って金融安定化策は実行段階に移るが、具体化に向け課題は山積している。

首脳会合では、首脳宣言とは別に金融危機の再発防止のための具体的な措置を盛り込んだ「行動計画」も決定した。

規制の拡大や監督の強化、国際金融機関改革など5つのテーマに、合わせて50近い項目を盛り込んだ。


【為参考】金融サミット宣言骨子(注:Webキャッシュ保存サービス利用)


◆コメント:新味に乏しいので、却って逆効果だったかもしれません。

今週末、G20という、金融問題にテーマを絞った緊急首脳会議が開かれていたのです。

こういう会合の常で、最後には、「宣言」を採択して終わります。今回も勿論、「宣言」が発表されました。

金融サミット宣言骨子(ウェブキャッシュ保存サービスを使っているので、リンク先をもう一度クリックして下さい)ですけれど、

色々書いてありますが、要するに目新しい事が何もない。

金融安定化へ「あらゆる追加的措置」って、そりゃそうでしょうよ。下手すれば恐慌なんですから。

要するに、各国とも、金融当局が、市場の監視を強化するということ。

必要とあらば、更に強調利下げをする準備がありますよ、ということ。

出来るだけ、財政支出によって景気刺激策をとりますよ、ということ。

これらを単独でやってもあまり効果がないから、やるときには各国の連絡を緊密にして、一斉にやりますよ、と言うこと。

ごく大雑把に言うと、そういうことで、それは今までと大きな変わりがないのです。

一つ、期待されていたのは株式、債券、為替、商品市場で巨額の資金を動かし、市場を混乱させるヘッジファンドという連中を

規制する具体案なんですけど、それも言わなかった。

こういう会議は、何か世界をアッといわせる様なことを決めないと(それは難しいのですが)、期待はずれで、

却って、翌日から株が売られます。


◆やはり、参加国が多すぎたかも知れません。

普通、経済・金融関係の相談をするのはG7とかG8の主要国だけで決めるのですが、

今の世界経済は100年に一度の危機、といわれていて、先進国だけではなく新興国も困っているので、参加しました。

参加国を調べたら、アルファベット順で、

アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、日本、

メキシコ、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、韓国、トルコ、イギリス、アメリカ、そして、EU(欧州連合)でした。

新興国に「出るな」とは言えませんが、やはり主要国と比べたら、金融政策の経験とか、金融機関の監督手法、能力などに、

バラツキがありますから、共通の具体策を策定するのが困難だったのではないかと思います。

だから、金融サミット宣言には、50項目も書いてはありますが、具体策の本当の「詰め」が甘いのです。

そのため、継続審議しなければならないことが多いのでしょう。来年4月に次回会合を開くそうですが、

その間、何があるか分かりません。


はっきり言って、今回のG20は、間違ったことは言っていないけど、当たり前すぎて、

「世界金融市場はこれでひと安心」とはとても、言えません。

明日以降の市場(株、為替、債券など)は、乱高下するか、再び急落すると思います。

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息子の個人面談に行ってきました。愚息のことはさておき、生徒達に元気を貰いました。

◆私事で失礼します。息子の学校に行ってきました。

今日は、高校二年の息子の担任の先生との個人面談に行ってきた。

息子は中高一貫教育の男子校に通っている。

ついこの前中学入試に受かったと思っていたのに、もう高校二年である。 早いものだ。


個人面談は、定期的に行われている。別に父親である私が呼ばれた訳ではないが、

たまには親父が顔を見せた方が良いだろうと考えた。 また、久しぶりに息子の学校の様子を見たかったのである。

中学の頃は男の子なんてガキだし、イジメたのイジメられたの騒いだ 事もあったが、

生徒は、皆、大分皆成長したようで(勿論、中には問題児がいるのだが)、 その類の話は殆ど無く、要するに、

「英語、もう少し期末試験ではがんばりましょう。」

と言う話が主な内容だったので、安心した。安心したというのは、本人の努力の問題だからである。

本人が普通にしていても、乱暴者からいじめられている、というような事態だったとしたら、その方が心配である。

そうでなくて、良かった、ということだ。


しかしながら、英語が得意だった祖父や、英語に関しては比較的マシな私の倅だというのに、

どうしたことであろう。上手くいかんものだ。

愚息には、 期末試験は死にものぐるいで勉強しろ、とお灸を据えておいた。

学校の中間試験だの、期末試験なんてものは、出題範囲がわかっているのだから、

点数が悪いのは、怠惰である証拠だ。まあ、それは良い。


担任の先生はいい人だった。 変わったキャリアの持ち主で、大学を卒業したあと、

すぐに教師になりたかったが、職がないので 暫く警察官をしていたという。

しかし、それだけ「シャバ」を知っているわけで、話が早い。良い先生だ。


◆礼儀正しい若者に会うと、とても嬉しくなる。

男子校は気持ちが良い。学校に到着して、面談する教室の場所を尋ねた生徒さんは、 偶々せがれの同級生だった。

中一からずっと一緒の子で、背が高く、「イケメン」で、と言っても単なる容姿の問題ではなく、聡明さが一目で分かる子だ。

人柄も良い。人品というものは、大人も子供も一目瞭然である。


私は、相手は生徒とは言え、ものを尋ねるのだから、辞を低くして、訊いた。

「○○○○の父親です。息子がお世話になっています。この教室には どうやって行けばいいですか?」

大変丁寧に教えてくれた。私は「ありがとうございました。」と礼をのべた。 当然である。

帰宅後、家内にその話をした。驚いたのだが、私に教室の場所を教えてくれた生徒は、両親を赤ん坊のころ、

交通事故で亡くしている、とのことだった。事故の詳細は知らないが、衝突事故だったらしい、

その子は後部座席で ベビーシートに乗っていたので、自分だけ助かったのである。

幸い祖母上が大変きちんとした方で、親代わりに、この子を育てたの だという。

そんな辛い過去を持っているのに、明るく、礼儀正しく、素直ないい子 に成長している。立派なものだ。


◆明るい挨拶は他人を幸福にする。

それにしても、繰り返すが、男子校は気持ちが良い

(女子校が気持ちが悪い、というつもりではありません。倅の学校しか知らない、ということです)。

ランニングをしている野球部の生徒や他の生徒とすれ違うと、 「こんにちは」と明るく挨拶してくれる。

学校の指示でも、クラブの監督の指示でもない。自然とそういう雰囲気になった学校なのだそうだ。

私も、大きな声で「こんにちは」と返礼した。実に気持ちがよい。

人は誰でも、明るい挨拶をするだけで他人を幸福にできるのだ、ということが良く分かった。

今日の東京の空はどんよりと曇っていたが、「青春」真っ盛りの生徒達に接して、

清々しい気持ちになっている自分に気付いた。

行ってよかった。

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2008.11.15

14日は、ギタリスト、ナルシソ・イエペス(1927~1997)の誕生日。「禁じられた遊び」他をYouTubeでどうぞ。

◆普段、ギターは殆ど聴かないのですが、余りの名演に聞き惚れました。

ナルシソ・イエペス(1927年11月14日~1997年5月3日)と言えば、映画「禁じられた遊び」を連想します。

細かい話ですが、「禁じられた遊び」はあくまで映画の邦題でありまして、あの余りにも有名な音楽は、

“Romance"というのですね。日本では「愛のロマンス」とか訳してますが、「愛の」は余計な気がします。

以前、私は正直言うと、「こんな甘ったるい曲・・・」と少々軽んじていたのですが、本日、イエペスが、

“Romance"を演奏している映像と音をYouTubeで発見して、その余りの美しさ(YouTubeの音質自体は、良くありませんが、

そんなこと、問題じゃないです)に、愕然としました。


映像を見ると、何だかやたらギターの弦の数が多いのでびっくりします。普通ギターの弦は六本ですが、

イエペスは音域を拡げるため、その他の理由で10弦ギターを開発し、専らこれで演奏していたことは割と有名な話です。

早速「禁じられた遊び」の“Romance"の演奏をお聴き下さい。詳細は不明ですが、来日公演時のアンコールで演奏したものです。

それは、映像を見て、聴けばすぐに分かります。

ROMANCE

切ないですねえ。何というロマンティックな演奏でしょう!


イエペスは4歳からギターを弾き始めて10歳ぐらいまででテクニックは出来上がってしまったようですが、

それでもちゃんと、いくつかの音楽学校でギターと作曲を学んでいます。

イエペス=「禁じられた遊び」だけ、というのは、気の毒です。

次の映像と音声は、バッハがギターの前身(というと余りにも乱暴なんですけど)のようなリュートという楽器の為に「リュート組曲」を

書いていますが、その第1番、BWV 996から「ブーレ」をイエペスがギターで弾いたものです。

Bach 's Bourree BWV 996

禁じられた遊びとは全く違う音楽ですが、イエペスの音楽的教養を感じます。素晴らしいです。


次は再び、ギター名曲の定番「アルハンブラの思い出」で、村治佳織さんか誰かの演奏をお聴きになった方、

いらっしゃるかも知れませんが、名手イエペスの円熟した演奏をお聴き下さい。

アルハンブラの思い出

ギターは小さいオーケストラ、などということがありますが、本当ですね。低音の伴奏と主旋律と細かい刻みと、

全部一人で弾いているわけで、技術的に完成するだけでも大変ですが、その中でちゃんと「歌っている」ところ、

驚嘆すべきものがあります。


最後。ギターは音量が小さいのでコンチェルトはあまりないのですが、

「アランフェス協奏曲」は有名です。特に第二楽章が素晴らしいのですが、

最初、ギターは伴奏で、旋律はコール・アングレ(イングリッシュ・ホルン)という、オーボエ族でオーボエよりも

若干音域が低い楽器が吹いてしまう。私は今までこの曲を何度も(イエペス以外で)聴きましたが、

大抵、ギターはオーケストラと対等になっていない。オーケストラに埋もれてしまう印象を受けました。

イエペスはすごいですね。完全にオーケストラを「従」にしています。いや、「従」というと語弊がありますね。

映像をよく見ると、オケの連中がイエペスを見て、真剣に聴いているのが分かります。

聴くのは当たり前なのですが、つまり、イエペスのギターにオケが触発されて一層名演になっている。

やはり、イエペスは天才的なギター奏者だと思います。それでは、アランフェス協奏曲の第二楽章をどうぞ。

アランフェス協奏曲



胸が張り裂けそうに切なく、美しい。

皆さんもYouTubeで「Narciso Yepes」で検索してみると、色々なギタリストによる名演をお聴きになれます。

是非、お試し下さい。

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2008.11.14

19年前の11月13日、日本初の生体肝移植が行われました。

◆毎年書いていますが、今年も書きます。忘れてはいけないことだからです。

人間の崇高で偉大な行為は忘れられるべきではありません。

デール・カーネギーが書いているように、世の中の殆どの人間は、1日の99%は、「自分の事だけ」を考えて

生きています。20年近く前に行われた、赤の他人の手術のことなどすぐに忘れてしまいます。

だから、私は殆ど毎年、この話を思い出して頂くべく、書くことにしています。

昨年と内容は全く同じですが、去年読まなかったが、今年は読んで下さる方もいるでしょう。

今日、初めて、この歴史的事実を知る人もいるでしょう。繰り返し、同じ事を書くということは、

大事なことなのです。今日、全国紙にざっと目を通しましたが、この話に触れている新聞はありませんでした。

テレビは、全て見るのは不可能ですので、或いは何処かのテレビが取りあげたかも知れませんが、私の見た範囲内では、

どのテレビ局も「19年前、日本初の生体肝移植手術が島根医大で行われた」ことを伝えていませんでした。

だから、私がやります。


◆そもそもの始まり。

移植手術の患者は、生後間もない杉本裕弥ちゃんでした。生後1ヶ月検診で黄疸がある、と言われました。

山口県玖珂郡和木町、岩国市のすぐ北、広島との県境で開業していた木村直躬医師に、

裕弥ちゃんのおばあさんが、そのことを告げました。1988(昭和63)年12月のことです。

木村先生はエコー(超音波)で、ただちに、杉本裕弥ちゃんが、先天性胆道閉鎖症という病気である、と診断しました。

先天性胆道閉鎖症とは、生まれつき胆汁が流れ出る道がふさがっていて、胆汁が肝臓へ流れていかないので、

黄疸が段々強くなり、しまいには、肝硬変で死に至る病です。


◆杉本裕弥ちゃんは、移植以前に、胆道閉鎖症の専門家による手術をうけましたが、上手く行きませんでした。

この世に生を受けて間もない赤ん坊が、可哀想なことに、何度も手術を受ける運命にあったのです。

木村先生の紹介で、地元山口県の国立岩國病院の小児外科により、胆管を何とか開く手術が行われました。

1度では上手く行かず、2度目の手術も失敗でした。

岩國病院の担当医から、木村先生(最初に裕弥ちゃんを診察した開業医の先生)の元に、手紙が来て、

「この子の予後はホープレス(望みがない)」とのことでした。残酷な宣告です。

それでも、裕弥ちゃんの家族は諦めませんでした。

木村先生に、何とか手段は無いか、と聞きました。先生は肝移植以外に道はない。といいました。

日本では、移植手術はタブーとされていました。

1968年札幌医大で行われた日本初の心臓移植手術の失敗が、その背景にありますが、その説明は省きます。

日本木村先生はオーストラリアの病院に問い合わせましたが、オーストラリアの病院は

「生体肝移植は難しくて無理だ。」という、つれない返事をよこしてきました。

しかし、木村先生も諦めませんでした。


◆木村先生は、「移植手術を頼むなら、島根医大の永末先生しかない」と考えました。

木村先生の頭に浮かんだのは、九州大学医学部の後輩で、広島赤十字病院で同僚だった永末直文医師でした。

木村先生は内科、永末先生は外科ですが、肝臓を専門とすることで共通していました。

木村先生がエコーで肝臓ガンを診断し、永末先生が切除可能な肝ガンの手術を6年間で200例も手がけていました。

木村先生は「生体肝移植を頼むなら、(島根医大に移った)永末君しかいない」と思いました。

永末先生は、最初あまり乗り気ではなく、オーストラリアの病院で手術を受けることを進めました。

これは、前述の通り当時の日本の医学界で「移植」という言葉はタブーだったのです。

このタブーを破った医師は、医師生命を絶たれる危険がありました。ですから、最初に永末先生が積極的ではなかったことも、

無理からぬことだったと言って良いでしょう。

ところが、木村先生は諦めませんでした。講演のため、広島に来た永末先生に会い、

とにかく裕弥ちゃんの診察だけでもしてくれ、と、頼みました。永末先生は引き受けました。

永末医師が初めて診る裕弥ちゃんは、黄疸が強く出ていて、溜まった腹水でおなかがパンパンに膨れて、静脈が浮き出ていました。

既に食道静脈瘤が出来ている可能性があり、これでは、いつ吐血してもおかしくない。

吐血しなくてもあと1ヶ月ほどの命、と永末先生は思いました。まだ、生後一年経っていない赤ん坊が肝硬変です。残酷な現実でした。

裕弥ちゃんの体力が移植手術に耐えられるか、五分五分だと考えました。


◆永末先生は裕弥ちゃんの家族にありのままを話しました。

永末医師は家族に客観的事実を説明しました。それは、


  • 正確なことは精密検査をしないと分からないが、移植手術は出来そうなこと。

  • 但し、島根医大の永末医師のグループでは生体肝移植の経験がないので、上手くいくかどうか保証できないこと。

  • 手術まで持ち込めても、裕弥ちゃんの全身状態があまりにも悪いので、手術に持ちこたえられずに亡くなる可能性も高いこと、


という内容でした。決して楽観出来る話ではありません。しかし、家族は必死でした。

永末医師は特に裕弥ちゃんの祖父政雄さんの言葉を強く覚えています。
このまま裕弥を死なせたら悔いが残ります。明弘(引用者注:裕弥ちゃんの父)の命に別状がないのなら、結果は問いません。是非手術をして下さい。

そして、政雄さんは、裕弥ちゃんの両親に言いました。
「明弘、寿美子さん。お前たちが両親なんだから、お前たちからはっきりお願いしなさい」

15秒ほどの沈黙の後、それまで寡黙だった明弘さん(裕弥ちゃんの父)が永末医師を正面から見つめ、言いました。
「お願いします」

その言葉に永末先生の気持ちが動きました。

「この人達は裕弥ちゃんを助けようと必死になっている。移植手術未経験だというのに、頼むという。

ここで失敗を恐れて背を向けたら、医師として最も大事なものを失ってしまう」と思ったのです。


◆永末先生は、島根医大第二外科全員に「この手術を断るぐらいなら、明日から肝移植の研究など止めてしまおう」と言いました。

永末先生の気持ちは固まりました。

当時永末先生は助教授でしたから、第二外科の部長中村教授の了解も取り付けました。

自分の研究室に戻った永末先生は、肝臓グループの医師たちに、裕弥ちゃんの生体肝移植を引き受けることにした、と言いました。

医師達は全員無言になりました。

「日本で初めての生体肝移植」であることに加え、裕弥ちゃんの症状が悪すぎる、と専門医たちは誰もが思ったのです。

スタッフが躊躇っているのを見て、永末先生は、言いました。

「赤ちゃんは死にかけている。責任は全て私が取る。目の前の赤ちゃんを救えないような研究なら意味は無い。もしこの移植を拒むなら、明日から移植の研究など止めてしまおう

第二外科の河野講師(当時)はこの言葉を聞いて、身体が震えたといいます。皆同じ心境だったことでしょう。


◆中村教授は「永末君、君は全てを失うかも知れない、本当にそれでいいのか?」と心配しました。

手術を行うことが決まってから、永末先生は、中村教授の部屋で何度も話し合いました。

中村先生は、心配していました。

「永末君。僕はもう13年もここの教授をしていて思い残すことはない。福岡へ帰れば済む。

しかし、君はこの手術で全てを失うかも知れない。僕はそれがいちばん心配だ。本当に君はそうなってもかまわないのか」

その都度、永末先生は答えました。
「先生。大丈夫です。誰かがやらなければならないことを、私たちがやるだけです。これで弾劾されたら、福岡へ帰って開業します」

この言葉は、決断―生体肝移植の軌跡という本(是非、読んでいただきたい)で永末先生自身が書いている言葉です。

しかし、本当はもっと悲痛な覚悟でした。

後年、NHKの「プロジェクトX」に出たとき、永末先生は、医師を辞めることさえ覚悟していた、と話しました。

「私は英語が得意なので、学習塾の英語の先生をすれば、食べていけると思ったのです」

淡々と語る永末先生を見て、私は心の底から、永末先生を尊敬しました。

これほど立派な医師を見たことがありません。

裕弥ちゃんの移植手術そのものは成功しましたが、その後、ありとあらゆる合併症が起きました。

そして、手術から285日後、1990(平成2)年8月24日、午前2時32分、亡くなりました。1歳9ヶ月の生涯でした。

家族は、手術とその後の肝臓チームのすさまじい努力、裕弥ちゃんを救おうとする苦労を目の当たりにしていたので、

チーム全員に丁重にお礼をいいました。後年、裕弥ちゃんの弟が生まれました。

母親の寿美子さんは、永末直文医師の「直」と裕弥ちゃんの「弥」をとり、「直弥」と名付けました。

島根医大第二外科が初めての生体肝移植をしたのを見届けるように、その後、京大、信州大が、数多くの生体肝移植を成功させました。

それはそれで、良いことです。

しかし、何と云っても、「最初にやる」ことを決断する勇気と覚悟は、2番目以降とは比べものになりません。

島根医大第二外科の英断と死にものぐるいの努力がなければ、こうした道は今も開けていなかったでしょう。

島根医大は、今は島根大学医学部になってしまいましたが、それはこの歴史的事実の価値に比べればどうでも良い。

永末先生とそのチームの偉業は、日本の医療の歴史に永遠に刻まれるでしょう。

永末先生が中心となり、当時の移植チームのメンバーが、思いを綴った本、決断―生体肝移植の軌跡を是非、読んで下さい。

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2008.11.13

ボロディン(1833~1887)の誕生日なので、「だったん人の踊り」、お薦めCD。

◆これも、私の不得意科目でして・・・・。

先日、私はピアノの音楽をあまり知らず、ショパンも良く知らないのだと日記ブログで書きました。

良く考えてみたら、ショパンだけではなく、私の知っているクラシックなどたかが知れておりまして、

当たり前なんですが、知らない曲だらけなんです。

ロシア音楽もその一つです。チャイコフスキーぐらい、そりゃ、多少知っていますが、

ロシア五人組という作曲家たちがいるんですけど、彼らの作品なんて殆ど知らないんです。

だから、知ったかぶり出来ないので、非常に有名な曲なのに、載せていないものがずいぶんあります。


◆今日(11月12日)はアレクサンドル・ボロディン(1833年 - 1887年)という人の誕生日です。

ロシア五人組の一人でボロディンって人がいます。詳しくはウィキペディアの解説をお読み下さい。

この人の曲で、「だったん人の踊り」という大変有名な曲があります。「イーゴリ公」というオペラの中の曲なのですが、

しばしば、オーケストラコンサートで、単独で演奏されます。

とにかくお聴き下さい。

再生開始約1分後、オーボエが奏でる美しいメロディーは、お聴きになったこと、きっとあると思います。

その後も、曲想がめまぐるしく変化するので、聴いていて飽きません。





あのオーボエのメロディー、郷愁をさそいますよね。

これはナクソスのこのCDに収録されています。

さすが、ナクソス。安いですね。1,050円だそうです。送料は別ですけど。

オーケストラを聴くというときに、何でもベルリン・フィルかウィーン・フィルである「必要」はありません。

ボロディンらの音楽は、「ロシア国民楽派」というんですが、純粋にヨーロッパ音楽っぽくなくて、

アジアの香りがするんですよね。こういうのは、餅は餅屋だと思うのです。スロバキア・フィルにぴったりです。いいですよ。

このCDでは他に、同じくロシア五人組のムソルグスキーが作曲、ラベル編曲の「展覧会の絵」や「はげ山の一夜」も聴けます。

お得だと思います。もし興味を持った方が週末までに入手出来るように、週の半ばですが、音楽にしました。

それでは、お休みなさい。

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2008.11.12

「いささかも間違ってない 田母神前航空幕僚長」←「田母神論文」は「論文」になっていない。

「いささかも間違ってない 田母神前航空幕僚長」←「田母神論文」は「論文」になっていない。





◆記事:「いささかも間違ってない」=制止顧みず、持論展開-顔紅潮させ反論も・前空幕長(11月11日 12:03)

「いささかも間違っていると思わない」。田母神俊雄前航空幕僚長(60)は制止されていたにもかかわらず、

とうとうと持論を展開した。11日の参院外交防衛委員会。文民統制への危機感をあらわにする

野党議員の質問に自説を繰り返し、委員席からは失笑すら漏れた。

同委員会の北沢俊美委員長は冒頭、「参考人の個人的見解を表明する場ではない」と田母神氏にくぎを刺し、

論文を「内閣の方針に反することを公表した驚がくの事態」と強い口調で非難した。

「改正すべきだと思っている」。濃いグレーのスーツにピンク色のネクタイ姿の田母神氏。

参考人席では胸を張り、正面を見据えた。民主党の浅尾慶一郎議員が「憲法は改正した方がいいのか」と尋ねると、

立ち上がり「はい。国を守ることについてこれほど意見が変わるものは直した方がいい」と力を込めた。

「いささかも間違っていると思っていない。日本が正しい方向に行くため、必要と思っている」。

自らの論文の正当性を繰り返し主張。空幕長を更迭された理由を「(論文が)多くの人の目に付き、マスコミに騒がれたと思う

」と説明すると、委員席からは「その程度の認識か」とやじが飛んだ。

民主党の犬塚直史議員が「立法府への挑戦」と指摘すると、反論したそうに右手を何度も挙げた。

発言の機会が来ると「立法府に対して挑戦というのは妥当ではない」と顔色を紅潮させ、

「自衛官にも言論の自由が認められているはずだ」と強調した。

社民党の山内徳信議員から「集団的自衛権を行使し、武器を堂々と使いたいのが本音では」と問われると、

顔色ひとつ変えず「私はそうするべきだと思います」とだけ答え、席に戻った。


◆所感:「田母神論文」は論文の体を成していない。

この問題が表面化してから、大分経つが、面倒くさいので、私は今日まで「田母神論文」を読んでいなかったが、

読まないで所感を書くわけにもいかないので、拝読いたしました。

それでまず、呆れたのは、田母神サン、ムキになっているけど、彼の書いた文章は「論文」なんて代物ではない。

論文の体(てい)を成していないのである。

歴史的事実に関して、新しく発見された事実を書くならば、或いは「新説を展開する」為には、

エビデンス(証拠)が必要である。さらにそのエビデンスの出典・所在を明記しなければならない。

最低限の常識だ。ところが、「田母神論文」はそのような形式的基本も踏まえていない。
本文冒頭から少し抜粋引用する。

日本は侵略国家であったのか 田母神俊雄(防衛省航空幕僚長 空将)

アメリカ合衆国軍隊は日米安全保障条約により日本国内に駐留している。これをアメリカによる日本侵略とは言わない。

二国間で合意された条約に基づいているからである。我が国は戦前中国大陸や朝鮮半島を侵略したと言われるが、

実は日本軍のこれらの国に対する駐留も条約に基づいたものであることは意外に知られていない。

日本は19世紀の後半以降、朝鮮半島や中国大陸に軍を進めることになるが相手国の了承を得ないで一方的に軍を進めたことはない。

現在の中国政府から「日本の侵略」を執拗に追求されるが、

我が国は日清戦争、日露戦争などによって国際法上合法的に中国大陸に権益を得て、これを守るために条約等に基づいて軍を配置したのである。

これに対し、圧力をかけて条約を無理矢理締結させたのだから条約そのものが無効だという人もいるが、昔も今も多少の圧力を伴わない条約など存在したことがない。

(注:太文字は引用者による。)。

これは驚いた。
実は日本軍のこれらの国に対する駐留も条約に基づいたものであること

と書くならば、日本と朝鮮、日本と中国は、いつ、どこで、誰と誰が、何という名称の「条約」を締結したのかを、

明記せねばならない。「意外と知られていない。」と書いてあるだけで、エビデンスが全く表記されていない。

次。
我が国は日清戦争、日露戦争などによって国際法上合法的に中国大陸に権益を得て、これを守るために条約等に基づいて軍を配置したのである。

日清戦争・日露戦争に勝ったことが、日本に中国大陸に対する権益ををもたらすのか? それが何故「国際法上合法的」なのか。

その国際法上の合理性の根拠が示されていない。話にならん。


「田母神論文」はこの調子で延々と、自らが信ずるところの「歴史的事実」を列挙しているが、

一事が万事、この調子である。こういう書き方をしては、何の説得力もない。

書き手が頑なに信じている「主観的歴史的事実」に基づいているのだ。論文ではなく、作文である。


◆自衛官のみならず、公務員には憲法遵守義務があり、完全な言論の自由はない、ということが分かっていない。

田母神氏は「論文」の中で、日本が集団的自衛権の行使を認められていないことに明らかに反発している。

彼の文章で最も問題なのは、「侵略戦争」云々が政府見解と異なること、ではない。それよりも、

田母神氏が、この憲法を変えるべきだ、という思想を表明したことである。

確かに、日本国憲法には、次の文言がある。

第十九条  思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

第二十一条  集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

田母神氏は、「だから、自衛官とて何をいっても良いのだ。これを制限するのは言論統制だ」と息巻いている。

しかし、憲法改正を口に出すならば、憲法を隅から隅までよく読んでいただきたい。

憲法には、公務員の憲法遵守義務が定められている。
第九十九条  天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

田母神氏は、「論文」の中で「集団的自衛権も行使できない」と記述している。つまり、これを認めるべきだ、

と自衛隊を退職する前から考えていたことになる。だが、日本政府の公式見解は今なお、
集団的自衛権の行使は違憲だ。

となっている。田母神氏は自衛官であった。当然、公務員である。自衛官云々以前に公務員は、憲法を遵守する義務がある。

憲法をよく読めば、日本国民は原則として思想の自由、言論の自由を保障されているが、

公務員は、こと憲法の改正に関して、思想・言論の自由はない、と考えるべきことは明らかである。

特に武力を保持する自衛官が、憲法改正(9条改正)するべきだ、などと発言することはもってのほか。

やろうと思えば、クーデターを起こせるのだから、彼らは憲法改正を論じてはいけないのである。

自衛隊の最高指揮官は文民である内閣総理大臣であり、内閣は集団的自衛権の行使を容認していないのだから、

これに反するような論文を書いてはならない。

その程度の事も分からない人物が航空幕僚長を務めていたことが、問題なのだ。

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2008.11.11

オバマ氏の勝利演説を聴いたり読んだりしている人、多いようですが、どうせなら、過去の名演説もどうです?

◆オバマ氏が大統領選挙で勝利をおさめてから、彼の演説に感動(感心)している人が多いですね。

ずっと昔から、私が高校生のころから、英語を話す練習用の教材として、米国大統領の演説を暗唱するまで、

音読せよ(テープを聴きながら)、というのは良く言われていました。


これらの演説は本人では無くて、スピーチを書くプロ、スピーチライターというのがいるわけですれども、

やはり、何だかんだいっても、名演説が多いですね。

勿論、演説の本質はそこで述べられている思想にあるのですが、英語の練習教材に使うのは、良いことです。


◆大統領に限らず、名演説を集めたサイトをご紹介します。

まずは、トランスクリプト(transcript=口述を文字におこしたもの)集。

大統領の演説は、一度大統領になったら、年中やってますが、やはり一世一代の晴れ舞台は、大統領就任演説(inauguration speech)ですね。

歴代大統領就任演説のトランスクリプトが載っているサイトがあります。

Inaugural Addresses of the Presidents of the United Statesです。

何と、ジョージ・ワシントンから、ジョージ・ブッシュまで載っています。


でも、inauguration speechは観念的な言葉が多いですから、意味が分からないこともあります。

ご安心下さい。大統領就任演説の日本語訳を載せて下さっているサイトがあります。大統領就任演説です。

J.F.ケネディから今のジョージ・ブッシュの就任演説を翻訳して下さっています。訳して下さった方々に感謝。


次は、米国大統領に限らず、歴史に残る名演説の音声を聞けるサイト、The Free Information Society - Media in Historyです。

キング牧師、アインシュタイン、マッカーサー、ロックフェラー、ドイツ語だから意味は分からないけどヒトラーの肉声も実に明瞭に聴けます。

マーチン・ルーサー・キング牧師の有名な、「私には夢がある。」も当然載っています。

私には夢がある。それはいつの日か、私の幼い子どもたちが肌の色によってではなく、人格そのものによって評価される国に住めるようになることだ。

文字では何度も読んだことがありましたが(英語で)、キング牧師の肉声で聴くと、泣けます。


さて、最後に、これが一番すごいかな。音声も映像もトランスクリプトも一度に見て、聴けるサイトです。

American Rhetoric: The Power of Oratory in the United States。膨大なスピーチの宝庫です。

若い方でも御存知でしょう。J.F.ケネディの就任演説。“And so, my fellow Americans”(そして、わが同胞のアメリカ人よ)というの。

これは、知っておいた方が良いと思いますね。私20年ぶりぐらいに聴いて、改めて感銘を受けました。

ケネディの就任演説が載っているのはここ。John F. Kennedy Inaugural Address 映像も驚くほど鮮明です。


この演説が素晴らしいのは、今のアメリカみたいに、何でもかんでも「アメリカ、アメリカ」ではなく、

ケネディが
My fellow citizens of THE WORLD(わが同胞の世界の市民よ)

という表現を用いていることです。


◆その最も感動的な部分を観て、聴いて、読んで下さい。

映像は、先ほどのリンク、John F. Kennedy Inaugural Addressからご覧下さい。

ここでは、音声とトランスクリプトと、日本語訳を途中から抜粋して載せます。まず、音声。



その部分のトランスクリプトです。

In your hands, my fellow citizens, more than mine, will rest the final success or failure of our course.

Since this country was founded, each generation of Americans has been summoned to give testimony to its national loyalty.

The graves of young Americans who answered the call to service surround the globe.

Now the trumpet summons us again--not as a call to bear arms, though arms we need--not as a call to battle,

though embattled we are-- but a call to bear the burden of a long twilight struggle, year in and year out,

"rejoicing in hope, patient in tribulation"--a struggle against the common enemies of man: tyranny, poverty, disease and war itself.

Can we forge against these enemies a grand and global alliance, North and South, East and West,

that can assure a more fruitful life for all mankind?

Will you join in that historic effort?

In the long history of the world, only a few generations have been granted the role of defending freedom

in its hour of maximum danger. I do not shrink from this responsibility--I welcome it.

I do not believe that any of us would exchange places with any other people or any other generation.

The energy, the faith, the devotion which we bring to this endeavor will light our country and

all who serve it--and the glow from that fire can truly light the world.

And so, my fellow Americans: ask not what your country can do for you--ask what you can do for your country.

My fellow citizens of the world: ask not what America will do for you, but what together we can do for the freedom of man.

Finally, whether you are citizens of America or citizens of the world,

ask of us here the same high standards of strength and sacrifice which we ask of you.

With a good conscience our only sure reward, with history the final judge of our deeds,

let us go forth to lead the land we love, asking His blessing and His help,

but knowing that here on earth God's work must truly be our own.

日本語訳です。
われわれのとる道が最終的に成功するか失敗するかは、わたし以上に、あなたがた市民の手にかかっているのだ。

この国の建国以来、アメリカ人の各世代は国家に対する忠誠を証明するために召集されてきた。

その召集に応えた若いアメリカ人の墓は世界中にある。今トランペットの音がわれわれを再び召集している。

武器は必要だが、武器をとれという召集ではない、戦ってはいるが、戦うための召集ではない、

長い夜明け前の闘争の重荷を肩に背負えという召集なのである。

いつも希望をもって喜びを抱き、苦難に耐えながら、人類の共通の敵、専制、貧困、疫病、そして戦争そのものに対して闘うという重荷を。

これらを敵にして、北も南も、東も西も、壮大な世界的な同盟をわれわれは作れないものだろうか? 

その同盟は全人類により実りある生活を保証してくれるだろう。あなたがたもこの歴史的な努力に身を投じてみないだろうか?

世界の長い歴史の中で、自由が最大の危機にさらされている時に、自由を守る役割を与えられてきた世代はごく少ない。

私はこの責任からしりごみするものではない、私はそれを歓迎する。

われわれの誰かが自分の立場を、他の人もしくは他の世代と交換するだろうなどということを私は信じない。

こうした努力にわれわれが捧げるエネルギー、信念、献身こそがわれわれの国家を、

そして国家につかえるわれわれを照らしだすのである。そしてその明かりから発せられる輝きこそが、本当に世界を照らしだすのである。



そして、わが同胞のアメリカ人よ、あなたの国家があなたのために何をしてくれるかではなく、

あなたがあなたの国家のために何ができるかを問おうではないか。

わが同胞の世界の市民よ、アメリカがあなたのために何をしてくれるかではなく、

われわれと共に人類の自由のために何ができるかを問おうではないか。

最後に、あなたがアメリカ市民であろうが、世界の市民であろうが、

われわれがあなたに求めるのと同じ高い水準の力と犠牲をここのわれわれに求めて欲しい。

良心を唯一のたしかな報酬とみなし、歴史がわれわれの行動に最終的な判断を下してくれることを信じて、

神の祝福と助けをもとめながらも、この地球上では神の仕事はわれわれ自身でなしとげなければならないということを肝に銘じて、

われわれの愛すべき国を導くために前進しよう。

やはりですね。構想(力)の範囲が違うんですよ(オバマさんとは)。

人類の共通の敵、専制、貧困、疫病、そして戦争そのものに対して闘うという重荷を敵にして、

北も南も、東も西も、壮大な世界的な同盟をわれわれは作れないものだろうか?と、世界に呼びかけている。

勿論、アメリカの大統領だから、アメリカの国益にプライオリティを置いていたのは当たり前なんですけど、

この演説当時、私はまだ幼児で、勿論、全然分からなかったけど、世界中の大人は、相当に感動したようです。

それから半世紀近くを経て、自分がその年齢になって、改めて聴いてみて、やはり、歴史的名演説だと思います。

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2008.11.09

「米GMが予想超える赤字、クライスラー合併計画は凍結」GMが資金繰りに行き詰まるかも知れない・・・とは。

◆記事:米GMが予想超える赤字、クライスラー合併計画は凍結(11月8日12時47分配信 ロイター)

米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)が7日発表した第3・四半期決算は、

営業損益が予想を上回る42億ドルの赤字となった。また、流動性確保に向けた努力を優先するため、

クライスラー買収計画は凍結する意向を明らかにした。

同社は決算発表で、手元資金が69億ドル減少したことを明らかにし、新規の資金調達など抜本的な措置を取らなければ、

2009年上半期までに事業継続に必要な資金が不足するとの見通しを示した。

純損失は25億ドル(1株当たり4.45ドル)。前年同期の継続事業ベースの損失は425億ドル(同75.12ドル)だった。

売上高は379億ドル。前年同期の437億ドルから減少した。

世界販売は11%減少した。北米で約19%減少したほか、欧州で約7%減、アジアで3%減となった。

ホワイトカラー従業員を削減し、来年の設備投資を25億ドル減額するほか、新型車の投入延期や減産を実施する方針を示した。

同社は、クライスラーの名前に言及はしなかったものの、09年に200億ドルの流動性を確保するため

コスト削減やその他の緊急対策に取り組むことが現在の優先課題だとした。

リック・ワゴナー最高経営責任者(CEO)は、

「現時点では、われわれが全力を尽くして取り組むべき課題は、目前に迫る流動性問題との結論に達した」

と説明した。


◆コメント:末期的な不況。

GM・クライスラー・フォードがアメリカのビッグ3と呼ばれる。

自動車製造業はアメリカ経済の牽引力であり、GMはアメリカ最大・最高の企業である。

極端に言えば、ゼネラル・モーターズはアメリカ資本主義経済の代名詞である。

長年、世界の自動車販売台数はGMが常にNo.1であったが、今年上半期、遂にトヨタに抜かれた

ここ数年、GMの業績不振は、世界の周知の事実であったが、トヨタに抜かれたあたりから、いよいよ雲行きが怪しくなって来た、

と誰もが感じた。しかし、「世界のGMが資金繰りに窮する」とは、(専門家は予想していたのかも知れないが)、

常識的には「青天の霹靂」である(先月あたりから、GMがFRBに直接緊急融資を要請していると言う話は流れていたが)。


日本時間、7日(金)の午後、日本のマスコミが、

「米国時間7日、GMが経営方針の重大な改革について発表する。」

と報じた。
◆記事;米GM「重大な改革」公表へ=7日の決算発表で(11月7日15時22分配信 時事通信)

経営不振に陥っている米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)は、7日の2008年7~9月期決算発表の際に、

自動車生産事業について「重大な改革」を明らかにする見通しだ。

米紙デトロイト・ニューズが入手した同社幹部向け電子メールによると、

ワゴナー会長兼最高経営責任者(CEO)とヘンダーソン最高執行責任者(COO)が従業員向けにこの改革について説明するという。

このため、業界関係者、市場関係者の間では、大幅人員削減や工場閉鎖、一部事業・資産の売却、

新車開発および生産の停止、同業クライスラーとの合併など、改革の発表内容をめぐりさまざまな憶測が浮上している。

私はどうせ、ロクな話ではないだろうが、記事にあるように、大胆なリストラを発表するぐらいだろうと、タカを括っていた。

ところが、報道発表は驚くべきものであった。第3・四半期の営業損益が42億ドル(4,200億円)の赤字もすさまじいが、

なにより、こちらが顔面蒼白となったのは、
「新規の資金調達など抜本的な措置を取らなければ、2009年上半期までに事業継続に必要な資金が不足するとの見通しを示した。」

世界最大の製造業、アメリカ資本主義の象徴の如き企業が、このままでは資金繰りが付かなくなる、というのである。

資金繰りに窮するということは、日々の商売で、取引先に支払う金が無くなると言うことで、いくら自己資本があっても、資産があっても、

人間で言えば、ショックにより「心肺停止」に陥るような事態であり、支払うべき資金が本当に調達出来なければ、破産法の適用を申請するしかない。

GMは想像を絶する超巨大企業である。日本のトヨタ、日産を考えれば分かるように、

GMの下請け、孫請け、その他、無数の業種、会社がGMのおかげで商売をしている。

もしも、万が一GMが潰れたら、アメリカ経済は金融危機に加えて、壊滅的打撃を受けることは間違いない。

GMはクライスラーと合併して何とか商売を立て直そうとしていた(今更無理だと思うが)、が、GMの会長は、
「今はそれどころではない。目先の資金繰りに集中しなければならない」

という。それほど、資金繰りが危ないということだ。

とりあえず、GMは自分で何とか、カネの算段を付けると言っているが、あまりに大ごとなので、

米議会が早くも、世間の動揺を鎮静すべく、政府にはたらきかけている。
◆米議会民主党首脳:7000億ドルの金融安定化策でビッグ3に融資を(ブルームバーグ)(2008/11/09 15:03)

11月9日(ブルームバーグ):米議会民主党首脳はポールソン財務長官に対し、

米自動車メーカーへの融資で総額7000億ドルの金融安定化策を活用するよう要請している。

ペロシ下院議長とリード上院院内総務は8日、ポールソン長官に書簡を送付し、

金融安定化法が同長官に

「金融市場の安定を回復するために必要と判断した 金融商品を購入ないし取得を約束する広範囲の裁量」

を与えていると指摘した。

ペロシ議長は先週、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)とフォード・モーター、クライスラー

の3社の最高経営責任者(CEO)と会談した。事情に詳しい関係者1人によると、

3社は25年間で最悪の自動車市場の苦境を乗り切るために、500億ドルの政府融資を求めている。

下院議長の要請にポールソン財務長官がどのように反応するか、注目されるが、兎にも角にも、

ビッグ3のトップが揃って、米政府に直接「カネ(500億ドル=5兆円)を貸してくれ」と陳情しているのである。

つい数年前まで、破綻することなど誰も想像しなかった会社がこの有り様である。

米国内の一般の会社、中小企業がどれぐらい、経営に困窮しているか想像に難くない。

下手すると(というか、ほぼ間違いなく)、世界経済にとって大衝撃となる。NY株が暴落し、それが、世界中に波及する。

株を持っている世界中の会社は評価損を計上することになる(時価会計制度を維持するならば。

因みにこの「時価会計制度」を世界に導入するように強引に主張したのはアメリカ自身である)。


自民党内部や公明党は麻生首相が「解散のタイミングを逃した」とか言っているらしいが、

今、解散どころではない。世界経済は24時間動いている(週末を除いて)。いつ何が起きてもおかしくない。

日本政府・金融当局、金融政策担当者(日銀)は、片時も油断出来ない。24時間、臨戦態勢でいて貰わねば、困るのだ。

それぐらい、緊張した状態である。

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今となっては、「昔の映画」なんでしょうか。「スウィング・ガールズ」テレビでやってましたね。また書きます。

◆映画「スウィング・ガールズ」のことを書くのは2度目ですが、何か、好きなんですよ。


少なくとも東京では今日(8日(土))フジテレビで夜9時から「スウィング・ガールズ」を放送していました。

昨年2月、私はこの映画について、日記ブログに書いたので、これで2度目です。2度目と分かっていても書きたくなりました。


「スウィング・ガールズ」がテレビで放送されるのは、何度目でしょう。随分繰り返し放送されたと思いますが、今夜放送された目論見は明らかで、

この映画の監督、矢口史靖(しのぶ)さんの新作「ハッピー・フライト」が、

15日(土)から劇場公開されるからでしょう。その前に矢口監督の前作はこんなのでしたよ、ということでしょう。

新作については、見ていないので、何も書けませんが、「スウィング・ガールズ」は、楽器など触ったことも見たこともない、

田舎の女子高生がビッグ・バンドを結成して、ついにはコンサートで大熱演して盛り上がる、という作品です。

私は、音楽、しかも、自分がかつて関わった管楽器が関係する所為でしょう。この映画が妙に好きでして、

DVD(プレミアム・エディション)を持っているほどです。


◆ヘタクソなんですけどね。演じる女の子達がホントに楽器の練習をしているところなど、健気です。

DVD(プレミアム・エディション)を買うと、この映画に限りませんが、メイキングや、出演者インタビューとか、

色々載っています。私はこういうものが出回り始めたころ、どんなものかな、とあまり感心しませんでした。

つまり、映画はあくまで虚構の世界に浸るものであって、その製作過程はこうなんですよ、と、タネ明かしをしてしまっては、

興ざめになるのではないか、と思ったのです。ところが、必ずしもそうではない。

「スウィング・ガールズ」という映画を観ると、ストーリーを考えると、つじつまが合わないところとか、

解明されない部分がある訳です。例えば、一見ジャズに詳しそうな小沢先生(竹中直人)は無類のジャズ好きだけれど、

自分では楽譜が読めない。では、バンドのメンバーは楽器の演奏は誰に教わったのか?とか、

最後のコンサートでのプログラムはどうして決まったのか。何時の間に、あんなにレパートリーが増えたのか、等々。

「スウィング・ガールズ」に限らず、多くの映画には必ずそういうところがありますが、それは構わない。

気にならないような「いい加減さ」は許容されます。


メイキングDVDを見ると分かりますが、あの連中は2003年5月にオーディションがあって、

必ずしも楽器が出来ることを条件とせずに選ばれたのです。

メインの五人(上野樹里、貫地谷しほり、本仮屋ユイカ、豊島ゆかり、平岡祐太 )は、それぞれの楽器

(順に、テナー・サックス、トランペット、トロンボーン、ドラムス、キーボード)の経験皆無だったのを、何とゼロから教わり

(当然、プロの専門の先生達を雇ったのですが)基礎練習から始めて、なんとあの、ラストのコンサートのシーンは2003年8月に撮っている。

楽器を始めて3ヶ月であんなの無理です。無茶です。トランペット及び金管を指導した山口れお氏(本名。東京音大卒。N響の津堅さんの弟子)

は、最初、映画制作側から

「(演奏できるようになるまで)どれぐらいかかりますか?」

と訊かれて、
「まあ、1年あれば何とかなるでしょう」

と答えています。どう考えてもそうでしょう。1年でも本当は、まだ早いぐらいです。

しかし、映画製作者(というか、世間一般)の楽器演奏に対する認識なんて、あの程度なんですね。

映画のプロデューサーは、
「1年なんて待っていられない。3ヶ月でなんとかなりませんか?」

と、山口れお先生に頼む訳です。無理です。と言うべきところ、「何とかしましょう」と言って、

「何とかしてしまった」のがあの映画です。

これは、超例外で、仮に3ヶ月で吹けるようになったとしても、そういう風に無理矢理短期間で身につけたことは、すぐに身体が忘れてしまう。

上野樹里や貫地谷しほりは、多分今はもう、サックスやトランペットを吹けないと思います。勿体ないことです。


ただ、撮影に向けて、何が何でも吹けるようにならなくてはいけない。これは彼女らは女優であり、「演技の一部としての楽器演奏」。

つまり「仕事」なんですから、出来ないとは言えない。

とにかく朝から晩まで練習しながら、映画はクランクインします。

クランクインの後もヒマを見つけては、練習します。

で、前述の通り、コンサートのシーンは2003年8月に山形で5日間を費やして撮影した。演奏、はっきり言ってヘタクソですが、

演奏シーンを撮り終えたあと、皆今までの辛さからか、ボロボロ泣いています。健気です。


因みにこの映画は、二度に分けて撮られています。

夏にコンサートシーンその他を取り終えたあと、暫く間を置いて、2004年2月に冬のシーンを撮っています。

演奏会に申し込むシーンとか、演奏会用のビデオを撮るシーンとか、演奏会場へ向かう電車のシーンは後で撮っているのですね。

そして、編集を経て、事前のキャンペーンで東北で実際に演奏を何度も演ったりしたあと、2004年9月劇場公開となった訳です。


また、メイキングDVDを見ていて感心するのは、出演者のみならず、製作に関係したスタッフの苦労と勤勉さです。

映画を撮るということは、あれほど、細部まで手間がかかるものなのか、

あれほど多くの人々が、ウラで苦労しているのか、ということです。

細かいエピソードを書いているとキリがないので省きますが、

私がいつも書いていることですが「人を楽しませる、喜ばせる」、ためには大変な努力、労力を必要とします。偉大なことだと思います。


それにしても、「スウィング・ガールズ」わずか4年前の映画なのに、日本の社会ってのはせわしないですね。もう「古い」映画なのですね。

でも私は今でも時々、DVDを見ますが、良い映画だと思います。


◆映画公開後、スウィング・ガールズ、ファースト&ラストコンサートのライブ録音から。

映画封切り前後、出演した子たちは、キャンペーンのため、東京都内や東北やら、色んなところで実際に生で演奏しています。

ただ、ちゃんとしたコンサートとして演奏した最初で最後は、2004年12月27日~28日の2日だけ。ホテル日航東京で行われた、

「SWING GIRLS First & Last Concert」だけなのですね。それを最後で、この連中は集まって演奏したことは、無い。

楽器を始めて1年半ですよ。まだ初心者です。これから面白くなる、という時だし、ビッグバンドでもクラシックのオーケストラでも、

言えることですが、合奏体というのは、年月を経ると、上手くなるし、次第に「円熟」していくものなんです。

スウィング・ガールズで演奏した連中は、あくまでも「映画の一部、演技としての演奏団体」だから仕方がないのでしょうが、

すぐに熱くなってすぐに止めてしまうところ。これが、いかにも日本人らしく、せっかちで、もったい無い、とおもいました。


その「SWING GIRLS First & Last Concert」のCDがありまして、そこでは、映画では演奏されていない曲もあるので、

いつもお聴かせしているクラシックのプロの演奏とは比べものにならないぐらいヘタクソなんですが、

私と同じく映画を観て、彼女らの演奏を聴いて懐かしく思われた方も多いとおもうので、敢えて載せます。


これらは、SWING GIRLS LIVE!! [Live] で聴けます。

全体にボリューム大きいですから、絞り気味でお聴きになった方が良いと思いますが、適宜調整なさって下さい。

最初。映画では、最初に「A列車で行こう(A列車で行こう)」を練習(?)しますが、コンサートのシーンでは演奏されていない。

ただ、キャンペーンでは繰り返し演奏しています。トランペット・ソロの子、ボロボロ間違えますが、まあ、聴いて下さい。

「A列車で行こう(TAKE THE A TRAIN)です。



デューク・エリントンですね。ジャズのスタンダード・ナンバー中のスタンダード・ナンバー。


次も超スタンダード・ナンバー。グレンミラーのバンドの代表曲、「イン・ザ・ムード(IN THE MOOD)」。



最後、段々音が上がっていくところ、トランペット・セクションが、ぐちゃぐちゃになりかけますが、

先ほど、A Trainでソロを吹いた、金崎睦美という娘(この娘のおかげでトランペット・セクションが辛うじて救われています)が、

何とかハイ・トーン(高音)を出してくれて、ホッとしました。


次は、映画では、全然出てきません。キャンペーンで演奏する間にレパートリーが少し増えていまして、その中から、

「オーバー・ザ・レインボウ(Over the Rainbow)」。元々、ジャズではなく、映画「オズの魔法使い」で使われた余りにも有名な曲を

ビッグバンド用にアレンジしたもの。



元来2拍子系の曲を敢えて3拍子にしたことによって、スウィングしやすくなっています。こういうこともあるのですね。


さて、映画「スウィング・ガールズ」の最後に演奏されて盛り上がる、ベニー・グッドマンの代表曲“Sing,Sing,Sing”です。

映画ではトロンボーン・ソロは本仮屋ユイカが吹いていますが、彼女はこのコンサートにはNHKの朝ドラの撮影(多分)のせいで、

参加できず、別の娘が吹いています。トランペット・ソロは貫地谷しほりですが、最後のハイ・B(シのフラット)が辛い。

上野樹里のサックスも指が回らなくて大変ですが、まあ、若い娘が一生懸命吹いていて、良いです。





ふう。まあ、細かいこと言ったら問題外なんですけど、何か若いっていいな、ということで(嫌味じゃないです)爽やかです。

最後におまけ。映画「スウィング・ガールズ」のエンド・ロールに使われていた、ナット・キング・コールの“LOVE"です。





今回は完全に私が一人で気に入っている、という形ですが、景気の悪い話が続いてますから、

たまには、パーッと行きましょう、ということです。

それでは。失礼を致します。

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2008.11.08

「10月の米雇用、24万人減 失業率6.5%に悪化」←もう、1929年に近い状態じゃないかな。

◆記事:10月の米雇用、24万人減 失業率6.5%に悪化 (日経 22:36)

米労働省が7日発表した10月の雇用統計(季節調整済み)によると、非農業部門の雇用者数は24万人減少し、10カ月連続で悪化した。

失業率(軍人を除く)は6.5%で前月から0.4ポイント上昇しており、94年2月(6.6%)以来の高水準となった。

金融危機と景気後退の懸念が深まり、米国の雇用情勢は厳しさを増している。

10月の雇用の実態は雇用者数20万人減、失業率6.3%を見込んでいた市場予測より悪かった。

雇用情勢の悪化は企業の資金調達難や内需の低迷を受けて深刻化している。

7―9月期の実質経済成長率もマイナスに落ち込み、景気後退への懸念が一段と強まりそうだ。


◆コメント:こうなると、既に「恐慌」ではないだろうか。

私は最近、ブログで何を書いたらよいか迷わなくて済むので助かる。毎日、経済・金融で大事件が起きている。

毎月、第一金曜日、アメリカ東部時間の午前8時30分に前月の雇用統計が発表される。

無論、米国はこの他にも様々な統計を発表しているが、毎月最も注目されるのが、雇用統計である。


失業率がどうでも良い、とは言わないが、マーケットが最も注目するのが、「非農業部門雇用者数」である。

アメリカの企業は景気が悪くなり、業績が思わしくないと、すぐにレイオフ

(layoff。不況による操業短縮の処理策として、企業が労働者を一時的に解雇すること。一時解雇。)するので、

景気の変動の影響を余り受けない農業従事者を除いた「非農業部門雇用者数」(nonfarm payrolls。payrollとは給与台帳のこと)

に、経済の実体がすぐに反映されるからである。


今年の2月に発表された、1月分の非農業部門雇用者数は、4年5ヶ月ぶりにマイナスになった。

一旦マイナスになってから、今日まで、ただの一度も、前月比、非農業部門雇用者数が増えない。

失業率の6.5%というのも14年ぶりの高さだ。


民間のエコノミストたちは、今月の非農業部門雇用者数は悪いだろうと予想していたものの、マイナス20万人~22万人程度と考えていた。

それでも、ひどい数字なのだが、現実はもっと悪かった。こうなったら、もうどうしようもない。

広辞苑で「恐慌」を引くと、

景気の循環過程における最悪の経済状態。過剰生産に基づく資本主義固有の矛盾が爆発し、価格の暴落、失業の増大、破産、銀行とりつけなどが起きる現象。

と、説明されている。「資本主義固有の矛盾が爆発し」という一言で、察しの良い方ならお分かりだろうが、

「恐慌」とはもともと、マルクス経済学の概念である。が、そういう教科書のような話は今は、どうでも良い。


今の世界同時不況は「過剰生産」とは関係なく、アメリカの金融恐慌に端を発し、

大打撃を受けているのであるが、既に恐慌になりかけているとおもう。


世界中の中央銀行が、金融機関に公的資金の注入を行っているから、何とか今は体裁を取り繕っているが、

その「支え」がなければ、リーマン以降、世界中の銀行が連鎖倒産し、世界の金融システムが大混乱になるところだった。

「なるところだった」と書いたが、依然としてその危険が消えた訳ではない。

世界のどこでどのような「爆弾」が炸裂するか、そしてそれが他国に如何なる影響を与えるか、

全く予想が付かない。

週明けの東京株式市場は、さらに大暴落する可能性が高い。

例え、月曜に下がらなくても、来週のいつか、必ず暴落をする。

最早止まらない。手遅れである。

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2008.11.07

「トヨタ、今期営業益74%減に下方修正」等々←よくぞこれだけ、景気の悪い話が並ぶものだ。

◆これほど「景気の悪い話」が並ぶと言葉を失います。

今日は、経済指標としては、内閣府の景気動向指数ぐらいのものなのですが、

とにかく、経済関連情報を追っていると、よくぞこれだけ、見事に不景気な話が並ぶものだ、と、

言葉が出ません。ざっとまとめます。記事は必ずしも全文載せていません。

まず、記事を載せるまでもないので、私がまとめますが、5日のNYダウは466ドル安でした。

大抵、大統領選の翌日の株価なんてものは、実体経済云々はさておき、「ご祝儀相場」で急騰するのですが、

新聞によると、「大統領選挙翌日の下げ幅としては過去最大」だそうです。

大統領選挙というお祭り騒ぎが終わり、マーケットが急に現実の景気に意識を向けたような印象です。

ニューヨーク株がこれほど下げたら、東京も上がりようがない。5日は406円高だったのに、6日は622円安の暴落です。それもそのはず。

◆記事:トヨタ、今期営業益74%減に下方修正(日経 20:47)

トヨタ自動車は6日、2008年4―9月期連結決算(米国会計基準)の発表とあわせて09年3月期の業績見通しを下方修正した。

本業の稼ぎを示す営業利益は前期比74%減の6000億円と従来予想を1兆円下回る。金融危機が波及し、

北米や欧州など先進国を中心に自動車販売が減少。収益計画を立てる際の想定為替レートを円高に見直した影響も大きい。

ホンダなども含めた大手はそろって今期大幅減益。すそ野の広い自動車産業の低迷が一段の景気下押し要因となる恐れもある。

天下のトヨタが業績見通しを74パーセント下方修正って、どれだけ影響が大きいか。
◆記事:トヨタ、国内の期間従業員3000人に半減(日経 23:34)

トヨタ自動車は6日、現在約6000人を雇用している国内工場の期間従業員が2009年3月末までに3000人程度に半減するとの見通しを明らかにした。

すでに新規採用を抑えており、契約切れなどによって期間従業員の雇用人数が減るため。

世界的な景気減速を受け、欧米の自動車販売が急減、欧米向け輸出が多い国内工場を中心に稼働率が大きく落ち込んでいることが背景にある。

景気が悪くなれば、パート、派遣など人件費をカットするのは企業の「定石」ですが、「切られた」人々はその収入源をどうすればいいのでしょう?

次は、経済指標です。

前述の通り、本日発表された日本の経済指標は、内閣府の景気動向指数ですが、

概要を読むと、
「景気動向指数(CI一致指数)は、悪化を示している。」という基調判断を変更する状況にはない。

とあります。一致指数はプラス0.1パーセントで、一般的には一致指数がプラスの時には景気拡大局面と判断するのですが、

内閣府は総合的に判断して、景気の悪化は続いている、といっているのです。


◆海外の動向:英中銀、欧州中銀そろって利下げ。

海外からも、次々と実体経済の悪化を示すニュースが伝わってきます。

◆記事:欧州主要中銀が一斉利下げ 英1.5%下げ、半世紀ぶり低水準に(日経 06日 22:44)

欧州の主要中央銀行が6日、一斉に利下げに踏み切った。英イングランド銀行は政策金利を1.5%引き下げ、

年3.0%と1955年以来ほぼ半世紀ぶりの低水準とすることを決めた。

欧州中央銀行(ECB)、スイス国立銀行は政策金利を0.5%引き下げ、それぞれ年3.25%、年1.5―2.5%とする。

米国発の金融危機の広がりで欧州でも信用収縮が深刻化しており、実体経済への悪影響を食い止める狙い。

日本や米国に続いて欧州が足並みをそろえて追加緩和を実施することで世界景気を下支えする。

今日は、英中銀金融政策委員会と欧州中銀の欧州中央銀行定例理事会があることは、分かっていました。

ヨーロッパの中でも景気後退が最も深刻なイギリスが利下げすることは、皆、予想していましたが、

下げても0.5パーセントが常識的な下げ幅です。



私は、英中銀(Bank of England=BOE)が1.5%利下げした、という記憶が無かったので大変驚いたのですが、

それもそのはずで、これほどの下げ幅は半世紀ぶりだそうです。イギリス経済のヤバさが分かります。

イギリスがやるなら、一国だけ下げても意味がないので欧州中銀も下げました。0.5パーセントですが、

先月、欧米が協調利下げしたばかりなのです。それほど、情勢が逼迫しているのでしょう。

この分だといずれ日銀もゼロ金利に戻るばかりか、「量的緩和策」を復活させなければならなくなるかもしれません。



さて、日本ではトヨタが強烈な業績下方修正を発表しましたが、アメリカのビッグ3も深刻です。
◆記事:GMとフォード、第3四半期に大幅赤字計上の見通し(11月6日20時9分配信 ロイター)

米自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)とフォード・モーターは、7日に第3・四半期決算を発表する。

ウォール街のアナリストは、両社が大幅赤字を計上すると予想している。

また米国内の自動車販売台数は、2009年まで好転はほとんど見込めないとみられている。

GMとフォードは08年上期に合わせて270億ドル以上の純損失を計上したが、

その後下期に入って景気減速が深刻化し、米国内の自動車販売台数は25年ぶりの水準に落ち込んでいる。

両社が7日に発表する第3・四半期決算は悲惨な内容となり、10月の販売台数急減の発表で始まった惨たんたる1週間を締めくくる見通しだ。

ロイター・エスティメーツが集計したアナリストの平均予想では、

GMとフォードは第3・四半期に特別項目計上前で各20億ドル前後の損失を発表すると見込まれている。

そして、GM(ゼネラル・モーターズ)は明日の決算発表と共に重大な経営上の変更を発表する、と嫌なことを言っています。
◆記事:米GM、事業に関する「重要な変更」について7日社員に説明(11月6日13時37分配信 ロイター)

米ゼネラル・モーターズ(GM)は、第3・四半期決算を発表する7日に、

事業に関する「重要な変更」について、従業員に説明する。従業員に電子メールで通知した。

トヨタ同様、リストラでしょうね。アメリカの米非営利組織の自動車研究センターは、

ビッグ3(GM,クライスラー、フォード)の事業規模が現状の半分に縮小されると約250万人の失業者が出るだろう、と予測しています。


◆7日の米雇用統計が注目されます。

明日は、第一金曜日ですから、米国の経済指標で最も重要な、「雇用統計」が発表されます。

失業率よりもノンファーム・ペイロール(非農業部門雇用者数)が前月比どれぐらい減るか、

を世界中のマーケットが注目しています。非農業部門雇用者数は今年1月、4年5ヶ月ぶりに前月比マイナスになり、

その後ずっとマイナスが続いています。ロイターが、エコノミストを対象としたにアンケートを取ったら、

明日は今年最悪の前月比マイナス20万人程度になるのではないかとの予想です。

予想ですから、発表まで分かりませんが、とにかく10ヶ月連続前月比マイナスになるのはほぼ、間違い無い。

そしてもしも、本当にマイナス20万人と出たら、2003年3月以来の大幅な下げ幅となります。

ある程度織り込み済みですけど、アメリカも、ヨーロッパも、日本も、アジア諸国も世界中景気が悪く、

しかもさらに悪化する見込みなのですから、今後、株はさらに売られる可能性があります。

このように書くと実も蓋もないのですが、それが、現実なのです。

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2008.11.06

<米大統領選>オバマ氏演説「私たちはできる」←何が?

◆記事:<米大統領選>オバマ氏演説「私たちはできる」(11月5日21時4分配信 毎日新聞)

 ◇米大統領選で当選した民主党候補、オバマ氏の演説要旨。

アメリカでは、すべてが可能であることを疑い、民主主義の力に疑問を呈する人がまだいるなら、今夜がその答えだ。

今度の選挙は違うと信じて、投票所に並んだ人々の列が答えだ。老いも若きも、共和党支持者も民主党支持者も、

黒人も白人も、同性愛者もそうでない人も、健常者も障害者も、すべてが出した答えだ。我々はアメリカ合衆国(の一員)なのだ。



長い道のりだった。だが今夜、今日の決戦を経てアメリカに変革が訪れた。

この勝利は皆さんのものだ。私は最初から大統領に最も当選しそうな候補者だったわけではない。

金もなかったが、労働者たちが5ドル、10ドル、20ドルと献金してくれた。

極寒の日もうだるような暑さの日も見知らぬ人の家のドアをたたいて回った人々のおかげで選挙運動は力を得た。

人民の、人民による、人民のための政治が滅んでいなかったと。

我々の前には大きな仕事が待っている。(イラク、アフガンの)二つの戦争、危機に直面した地球、世紀の金融危機だ。

新エネルギーを開発し、仕事を創出し、学校を建て、脅威に対処し、各国との同盟関係を修復しなければならない。

道は長く険しい。坂は急だ。だが、私は今夜ほど希望に満ちたことはない。私は約束する。我々は一つの国民として目標に到達するのだ。

挫折やつまずきもあろう。だが、私は皆さんに、常に正直であるつもりだ。

この勝利は、変革のためのきっかけでしかない。後戻りはできない。



今夜我々は、この国の真の力は武力ではなく、民主主義、自由、機会と不屈の希望に由来することを証明した。

この選挙戦では語り継ぐべき多くの物語があった。(ジョージア州)アトランタで投票した女性もその一つだ。

106歳の彼女は、かつて(女性という)性別と(黒い)肌の色の二つの理由から選挙に参加できなかった。

彼女は全米が大不況の絶望に包まれ、ニューディール政策によって恐怖を克服する国を見た。

彼女はアメリカがどれだけ変化できるか知っている。我々はできる。

我々の子どもたちが来世紀を生き、私の娘がクーパーさんのように長生きすればどんな変革を目にするのだろうか。

どんな進歩を成し遂げられるのだろうか。今がその使命に答えるチャンスだ。今が我々の時代だ。

子供たちに機会の扉を開き、豊かさを取り戻し、アメリカンドリームを唱え、基本となる真実を確かなものにする時だ。

皮肉や疑いに直面した時、「できない」と私たちに語る人がいる時、時間を超えた道理で答えるのだ。私たちはできる、と。


◆コメント:小泉よりは頭がいいだろうが、大衆心理のつかみ方は同じ。“Change”と“Yes,we can."の一点張り。

オバマ氏勝ちましたけど。手放しで喜んで大丈夫だろうか。

この人は、勿論、内政・経済・軍事・環境・外交などについて、具体的な案を提示しているが、

要するに、勝因の最大のポイントは、Change(変革)とYes,we can.(私たちはきっとできる)の一点張りを貫いたことだろう。

その点においては、2005年9月の衆院選で、小泉純一郎が「郵政民営化の是非だけを問う選挙なのです」「改革を止めてもいいのですか」を

百万遍繰り返したのと、原理的には同じである。大衆は、細かい政策(公約)より、短いフレーズ、テンポの良いオバマ氏の語感の心地よさに投票した、

と言っても過言ではない。実際には、まだ海のものとも山のものともつかぬ。


◆変革の時が来たと言われても、アメリカに都合が良い変革ばかりでは困るんだよ。

アメリカの大統領だから当たり前と言えば当たり前だが、演説の最初のパラグラフの終わり。

我々はアメリカ合衆国(の一員)なのだ。

そりゃそうなんだが、どうも、「世界で最も素晴らしい国、アメリカの一員」なのだ、というニュアンスを感じる。

アメリカは、戦争や、地球温暖化や、金融危機で世界中に迷惑をかけている、ということを自覚して貰わないと困る。


オバマ氏は、イラク戦争には最初から反対だったという。それは結構。だが、今日の勝利演説でも次の一言に注目されたい。
今夜我々は、この国の真の力は武力ではなく、民主主義、自由、機会と不屈の希望に由来することを証明した。

まだ、全然証明していない。オバマはイラク派兵に関しては、撤退方針だが、アフガニスタンに関しては、
アフガニスタンで反政府武装勢力タリバンを抑え、パキスタンとの国境からアルカイダを掃討することに一層力を入れる方針を明らかにしており、

アフガン駐留米軍を現在の3万2000人規模から増派する方針も表明。

そういう方針なのに、どうして、
この国の真の力は武力ではなく

と、言えるのか。イラク派兵はダメだが、アルカイダ掃討の為に人殺しを続けるという。何が「変革」だ。

アフガニスタンに注力するにあたり、オバマは日本にもより一層の強力を要求してくるであろう、という。

迷惑だ。


◆日本に関して、選挙運動中何も言及していない。

福井県小浜市は「おばま」市だから、「オバマ」候補を応援していたそうで、それに対してオバマが謝意を表した、というのが、

今回の大統領選で、オバマと日本を結びつけた唯一の話題だった。オバマはより中国との連携を深める意思を持っているといわれている。

今日、麻生首相が、談話を発表した。首相官邸ホームページに載っている。

オバマ米上院議員の米国大統領当選に対する内閣総理大臣の談話 平成20年11月5日


  1. 米国大統領選挙において、オバマ上院議員が当選を果たされたことに、心から祝意を表する。

  2. 世界が、多くの困難な課題に直面している中、米国が、オバマ次期大統領の優れたリーダーシップの下、国際社会と協調しながら、更に前進を遂げていくことを確信している。

  3. 日米両国は、自由・民主主義、基本的人権の尊重、市場経済の推進といった価値観を共有している。日米同盟は、日本外交の基軸であり、アジア太平洋地域の平和と安定の礎である。私は、オバマ次期大統領と力を合わせ、日米同盟を一層強化し、また、国際経済、テロ、地球環境等の国際社会全体の諸課題の解決に向け、力を尽くしていきたい。


一応、日米は同盟国だから、外交儀礼上、この程度の談話を発表しても不自然ではないが、

なんだか、アメリカと中国が仲良くなって、日本がのけ者にされるのを今から警戒しているようにも読める。


◆「変革」するなら、良い方向に変革して貰いたい。

先に書いたように、オバマ氏はとにかく、変革、変革と言い続けて大統領になったようなものだが、

アメリカに都合のよい、世界のことを考えないような変革では困る。私がすぐに思いつく「アメリカが変わって欲しいこと」を

いくつか挙げると、


  • やたらと海外へ派兵して、人を殺す国であることを止めて欲しい。

  • リーマンを破綻させて以来、世界中に金融危機が訪れている。アメリカが発端である。アメリカの経済を安定させて欲しい。

  • 世界で一番CO2を排出しているのに、環境問題でリーダーシップを採ろうとする、傲慢な態度を改めて欲しい。

  • 日本を属国と見なし、毎年、内政干渉の極み「年次改革要望書」を日本に突きつけるのを変えて(止めて)欲しい。

  • 米国空軍の戦闘機は、在日米軍基地から中東へ飛んで爆撃を加えている。これは日米安全保障条約違反である。変えて(止めて欲しい)。


当面は、金融危機を世界に波及させたことにより、世界のアメリカに対する信認は地に落ちている。

ブッシュは経済対策を策定したが、Lame・Duck化する。この後をちゃんと引き継ぐなり、よりよい方法を採用して、

米国の金融市場を安定させ、リセッション(景気後退)から早く脱して貰いたい。

オバマは演説で、
長い道のりだった。だが今夜、今日の決戦を経てアメリカに変革が訪れた。

と述べたが、それは違う。まだ何も変わっていない。変革は「訪れる」のではなく、オバマさん。

あんたが変革してくれなきゃ困るんだよ。

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2008.11.05

「小室哲哉容疑者ら逮捕」が「アメリカ大統領選挙」よりも上位のニュースになる、ということ。

◆記事1:期限迫り詐取計画か=5億、ほぼ全額返済に充当-事業失敗で巨額負債・小室容疑者(11月4日22時42分配信 時事通信)

音楽プロデューサー小室哲哉容疑者(49)らが著作権売却をめぐり5億円を詐取したとされる事件で、

同容疑者が被害者の兵庫県の投資家男性に接触した2006年8月ごろ、借入金の返済期限が迫っていたことが4日、

大阪地検特捜部の調べで分かった。

特捜部は、返済手段に窮した小室容疑者がうその売却話で金を捻出(ねんしゅつ)した疑いもあるとみて調べる。

調べなどによると、男性は806曲分の著作権の代金10億円のうち5億円を、同年8月9日と29日の2回に分け、

小室容疑者の関連会社「トライバルキックス」監査役木村隆容疑者(56)が社長を務める別の広告会社に送金した。

この5億円は、いったん広告会社からトライバル社の口座に振り込まれたが、

同月31日、1億5000万円が木村容疑者からの借入金返済に、残りのほぼ全額が別の企業への返済などにそれぞれ充てられた。

木村容疑者は逮捕前、取材に対し「04年ごろ、(小室容疑者側に)金を貸した」と話していた。


◆記事2:<米大統領選>投票始まる 5日昼に大勢判明(11月4日20時55分配信 毎日新聞)

ブッシュ政権後の米国の針路を定める米大統領選は4日朝(日本時間同日夜)、東部諸州から投票が始まった。

8年ぶりの政権奪還を狙う民主党のバラク・オバマ上院議員(47)と、政権継続を目指す共和党のジョン・マケイン上院議員(72)の戦い。

オバマ氏勝利なら黒人初、マケイン氏勝利なら最高齢(1期目)の大統領となる。オバマ氏は地元シカゴで投票、有権者と握手を交わした。

日本時間5日午前にほとんどの州で投票が終了、同昼前後に大勢が判明する見通し。

大統領選と並び上下両院選や州知事選(11州)なども始まった。上下両院選では民主党が議席を伸ばすのが確実視されている。

大統領選は、金融危機を受け深刻化する米国経済の再生と、開戦から5年半余にわたるイラク戦争が争点。

ブッシュ共和党政権への審判の意味合いもあり、直前の世論調査ではオバマ氏が優位を維持したまま投票に入った。


◆コメント:或る意味当然なのだが・・・。

米国は、別に「偉い国」ではないが、世界一にして唯一の超大国であり、この国の指導者が誰になるか、ということは、

世界に影響を与える。その意味で好むと好まざるとに関わらず、米大統領選は、本日、11月4日、世界で最も注目されるべきニュースである。


しかしながら、今朝、テレビをつけたら、NHKを含む全てのテレビ局が、「小室哲哉逮捕」をトップニュースとして扱っていた。

私は昼間はテレビを見ることがない(仕事中である)が、どうせ、1日中、特に民放は「小室哲哉逮捕緊急特集」をしていたのであろう。


これは或る意味では当然である。その方が視聴率が稼げる。大衆は、観念的には米大統領選が大きな出来事だと分かっていても、

感覚は、「小室逮捕」に向かう。何故かというと、

「社会的名声を得、巨万の富を築いていたミュージシャンが、犯罪者として逮捕される」

ことは、「成功者」への嫉妬心を十分以上に慰めてくれるからである。

嫉妬心は醜いが、誰もが抱く感情だから、仕方のないことかも知れない。


私は、クラシック以外には疎いので、小室哲哉「容疑者」が今までに書いた歌もごくわずかしか知らない。

しかし、彼がまだ、時代の寵児としてもてはやされる前に書き、渡辺美里が歌った、“My Revolution”は好きだったし、

今もYouTubeで聴いた。やはり良い歌だと思った。

このように、概して音楽は、あれこれこねくり回さずに、出来るだけ自然に、単純に書いた方が、聴き手の心を捉える。

小室氏は、その後更なるヒット曲はいくつも書いたが、次第に売れなくなった。つまりはっきり言って、その程度の才能だったのだ。

それを、一番売れている時代にマスコミに「神格化」されたのが悲劇だった。

「何を表現したいか」ではなくて、「もっと、売れる(カネを稼げる)歌にするためにはどうすればよいか」と考え、

あれこれと、曲をいじくり回すと、音楽は正直なもので、作曲者の邪念が反映されるのだろう。途端につまらなくなる。

一番売れていた頃は、100億円も資産があったそうだから、余計なことをしないで、そのままカネを動かさないでいても、

一生、食うのに困らなかったのに、惨めな姿をさらし、自業自得とはいえ、やや可哀想な気もする。実刑間違いないだろう。


◆マスコミは、大衆に迎合するのではなくて、何が世の中で重要なことなのかを提示するのが使命の一つである。

マスコミ(ジャーナリズム)の社会的使命は、ただ事実を伝えるだけではなく、数ある事実の中で、今、一番大事なことは何か。

何をどう考えるべきなのか、のヒントを、大衆に与えることである。


ところが、嘆かわしいことに、まず、民放テレビはそれが不可能である。民放は収益をスポンサーの広告料に頼っている。

スポンサーは、広告を少しでも多くの人に見て貰わなくては、高い広告料を使う意味が無い。

だから、テレビ局に「とにかく何でもいいから、教養なんかなくていいから、多くの人間が見る番組を作る」ことを強要する。

従って今日は、「アメリカ大統領選挙」など詳しく解説するより「小室哲哉逮捕」の方が数字(視聴率)を稼げることは、

火を見るよりも明らかだから、そういう番組ばかりになってしまった。


◆元はと言えば、国民の民度、意識の問題である。

私は、大衆に迎合するマスコミの方針は良くない、という意味のことを書いたが、

国民が「事の軽重」をわきまえることができれば、マスコミも「小室逮捕」をムキになって報じる事はないはずだ。

日本の、かつては「超売れっ子だったミュージシャン」が詐欺で逮捕されたこと。

全世界に影響を与えるほどの権力を持つ、アメリカの大統領に誰が選ばれるか、ということ

のどちらが、重要なことなのかを判断するぐらいの分別があっても、良いだろう。

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2008.11.04

【翻訳】日銀は「ジェスチャー」で済ませるな。(11月2日付 フィナンシャル・タイムズ社説)

◆【翻訳】:【社説】日銀は「ジェスチャー」で済ませるな。(Japan needs more than gestures)

(注:原文URL:http://www.ft.com/cms/s/0/d1ab33bc-a90f-11dd-a19a-000077b07658.html)

日銀の利下げは、その場しのぎに過ぎず、何の効果ももたらさないであろう。

日本の金融政策責任者たちは、日本が再びデフレに陥いることを恐れているのなら(実際、経済展望で、彼らはそう認識している)、

政策金利をゼロパーセントまで引き下げ、その上、遅かれ早かれ、例外的な政策を採らねばならなくなるだろう。


31日(金)、日銀は政策金利を従来の0.5%から0.3%へ引き下げた。最終的な決定は総裁の裁量によるものだった。

しかし、20ベーシス・ポイント(訳者注:0.20%のこと)の引き下げは、円に何の影響も与えない。

アメリカが0.5%の引き下げを実行した後で、円とドルの金利差は若干縮まったが、固定金利の住宅ローンを借りている消費者には、

何の変化も起きない。また、「ミニ・不動産投資バブル」を起こしていた海外の投資銀行を呼び戻す効果もない。

更に、0.2%の利下げでは、邦銀が多少リスキーな借り手に対する貸出を増やすことはないだろう。


0.2%の利下げに正当性があるとしたら、ただ一つ。マーケットがそれを望んでいた、ということだろう。

これなら無難で、誰も喜びもしない代わりに不満が出ることも無い筈だった。

残念ながら、状況はそうなっていない。日本はデフレに逆戻りしつつある。

日銀自身、2009年のコア消費者物価上昇率をゼロと下方修正し、生産活動の増加は今年も来年も、ごくわずかなものに

止まるだろう、と予想している。


日本政府は巨額の公的資金を金融機関に注入する計画を明らかにした。これは、金融機関の資本を充実させ、

システミックリスクにより、経済全体の状況がさらに悪化するのを予防するためである。


円高は、輸入物価を引き下げ、とりわけ原油価格は、最悪だった7月のピーク時よりも60%も下げ、消費者物価指数の

上昇を抑制することに貢献している。それは、悪いことではないが、円高は輸出企業にとっては打撃であり、景気後退の一因となっている。


しかし、消費と輸出が不振でも、投資がそれを穴埋めしてくれる訳ではない。

麻生太郎内閣総理大臣は、約5兆円の経済対策を発表したが、それすら、景気に劇的な変化をもたらすためには十分とは言えない。

所得税の払い戻し(給付金)や中小企業への融資保証などは、真剣に考えられた経済政策というよりは、

選挙を意識したものと見られる。


日本の巨額の財政赤字は好ましいことでないが、今や、更に大規模な景気刺激策を考えるべき時である。

日本の経済政策担当者たちは、日本の景気が良かった5年の間に、あまりにも輸出依存型である日本の経済構造を

変えるチャンスを逃した。日本経済を内需主導型に変革することが、特に、過去20年にも亘って恵まれない低・中所得者層の所得を

増やす唯一の方法なのである。


日銀に関して述べるならば、インフレが起きる前に予防的に利上げすることに対する過度の、確率された「情熱」が、

今までに無く、誤っているように思われる。

前回、日本が深刻なデフレに陥った時期、日銀はゼロ金利政策でも間に合わず、「量的緩和」という前例の無い手段を取ったが、

金融市場に混乱は起きなかった。世界の他のどの中央銀行よりも、日銀は何が有効な手段か、知っているのだ。

善は急げ、である。

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2008.11.03

【差替】「情熱大陸」(TBS系列)視聴後所感 大野和士氏、名指揮者になりましたねえ。

◆日曜の夜、「情熱大陸」という番組があります。

毎回見るわけではないのですが、たまに、欧米で(日本で)活躍するクラシックの

音楽家を特集するときにみます。以前、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団首席ヴィオラ奏者の清水直子さん

を取りあげたとき、日記ブログに、

「試聴後所感」を書いたつもりでしたが、今見たら、「番組予告」に終わっていました。


◆昨日(11月2日)は指揮者の大野和士氏を取材していました。

大野和士氏をご存じない方の為に、公式HPではありませんが、ファンの方が作ったサイトがありまして、

特にリンク禁止ということもないようですので、リンクを貼らせて頂きます

大野氏は1960年東京生まれ、ということ(それだけですが)が、私と共通していて、以前から注目していました。

リンク先のプロフィールを見ると分かりますが、以前は東フィルの常任だったので、日本でもしばしば彼の演奏を聴けました。

とは言っても、私は、それほど、何度も生で聴いたことがあるわけではない。

印象に残っているのは、彼が30歳前後の時だったと思いますが、新日フィルの「名曲コンサート」(の類)を振った時です。

プログラムは、非常に一般的で、
J・シュトラウスII生:喜歌劇「こうもり」序曲

グリーク:ピアノ協奏曲(ソロ:仲道郁代)

ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」

というもので、言い方は悪いのですが、所謂「お子様ランチ」風プログラムだったのですが、

この何十回も聴いた曲が、彼の棒で、いつになく新鮮に響いていたことを思い出します。

そして、当時、彼は指揮者としては、まだまだ「駆け出し」だったわけですが、オーケストラの各プレイヤーが、

かなり真剣に、大野氏の棒を見て、棒に忠実に弾いていたのがすぐに分かり、私は、
「あ、才能のある人だな」

と、素人ながら、直感的に思いました。

私はその後、何かの番組で、彼が直接発言したわけではないのですが、大野氏が、
「自分には大した才能が無いから、あと10年振ったら、キッパリ音楽を止めて、牧場をやるのだ」

と言っている、と言う話を聞いて(その発言の真偽も未確認ですし、本当にそう言ったとしても冗談だったかも知れませんが)、

随分、勿体ない話だ、と驚いたことを覚えています。


◆最初、指揮者に就任したのが内戦最中のクロアチア、ザグレブ・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督でした。

再びプロフィールを読んで頂くと分かりますが、大野氏は1987年(27歳ですね)、アルトゥーロ・トスカニーニ国際指揮者コンクールで優勝しました。

それは知っていたのですが、ヨーロッパで指揮者として活躍する(特に日本人が)というのは大変なことで、

コンクールで優勝した途端、次から次へとお呼びがかかる、というほど、甘いものでは無いようです。

今日、文化勲章を受章した小澤征爾さんも、亡くなった岩城宏之さんも、随分苦労したそうです。


大野氏の場合、コンクールの翌年、クロアチアの、ザグレブ・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督に就任し、

結局8年(1988年から1996年まで)振ったのですが、何しろ内戦下の国ですから、真面目に生命の危険があっただろうし

(事実、練習中、防空壕に飛び込んだことが何度もある、と昨日の番組でナレーターが語っていました)、

言葉の問題(クロアチアは、元ユーゴスラビアの一部で、公用語はクロアチア語です)も当然あった筈で、

苦労しただろうと思います。その頃のことは、昨日の「情熱大陸」ではあまり取りあげていませんでしたが。

私は、とにかく、大野氏がヨーロッパのオーケストラで「音楽監督」の地位を得たのは良かったけれども、

生命の危険がありますから、そちらが心配でした。無事でなによりでした。


◆その後、暫くどのような活動をしていたか、知りませんでした。

大野氏は1992年から1999年まで、東京フィルハーモニー交響楽団の常任指揮者(一部、ザグレブと重なっていますね)だったので、

その時期に日本にいた方は、大野氏の演奏に触れる機会が多いにあったでしょうが、生憎私がそのころ(93年から97年まで)ロンドン駐在だったので、

そして、大野氏はまだイギリスでは、多分あまり振っていなかった(と思うのです)ので、聴く機会がありませんでした。すれ違いです。


◆昨日の「情熱大陸」を見て驚いたのですが、すっかり大指揮者になっていました。

「驚いた」と失礼なことを書いてしまいましたが、私が知らなかっただけで、大野氏の名声はヨーロッパではかなり広まっていたのです。

96年から2002年まではドイツ・バーデン州立歌劇場音楽総監督。

2002年からつい最近2008年6月までは、ベルギーの王立歌劇場の音楽監督を歴任し、

今年の9月からは遂にフランス・リヨン歌劇場の首席指揮者に就任しました。

ヨーロッパ(に限りませんが)のオペラハウスの音楽監督になるというのは、とんでもなく大変なことで、

オーケストラの演奏のみならず、時には歌手の歌の指導や、舞台、演出、照明にまで責任があるのです。

昨日の「情熱大陸」では、ベルギー王立歌劇場における大野氏の最終公演、ヴェルディ「運命の力」の一部を

放送していましたが、カーテンコールの時に指揮者が舞台に上がるのは普通なのですけれども、客席のみならず、

オーケストラ・ピットからも各プレイヤーから、彼の労をねぎらい、別れを惜しむ花束がステージに投げられていました。

これは、社交辞令ではなく、大野氏の努力と実力(音楽性)と、音楽監督としての業績が高く評価されている証左です。


◆リヨンへの移動の合間をぬって、日本に戻りボランティアの演奏をしていたのが立派でした。

大野氏は、激務の合間に日本に戻り、様々なところで、普段生の音楽を聴けない人々の為に、

演奏活動をしていました。リヨンへの就任前のわずか5日間で、日本の9つの病院や施設を巡回し、自らピアノを弾いて聴かせ、

歌手にオペラのアリアを歌ってもらい、自分がその伴奏をしたり、障害を持った子どもの病院では「ドレミの歌」を自ら歌い、

精力的でした。

これは、内戦下のクロアチアで棒を振っていたときに、人間はどんな環境でも音楽を必要とする。

音楽に接しているときには、別の世界にいる、ということを強く感じたのがきっかけとなり、始めた活動だそうです。

立派だと思います。


◆しかし、大野氏はどこまでも謙虚でした。

「情熱大陸」に限りませんが、あの類のドキュメンタリー番組は、見る方は勿論気楽ですが、

取材される方にとっては、ずっと、カメラと照明と音声と、画面には現れませんが、インタビューをするスタッフが

くっついてくるのですから、はっきり言ってそうとう「鬱陶しい」筈ですが、大野和士氏は終始に朗らかで人柄の良さが良く分かりました。

また、彼は音楽に関してはあくまでも謙虚でした。演奏者は作曲家が書いた作品の忠実な再現者であるべきで、先に自我を出すべきではないと。


これは、難しい議論で、作品を解釈するに当たって、他の指揮者と同じようにやっていては、その指揮者の存在意義は無い訳で、

そこには、指揮者の自我がどうしても割り込まざるを得ないのですが、それは当然で、大野氏の言わんとするところは、多分、

自我が先に見えてはいけない。自我を表現するために作品を利用してはいけない、という意味だと思います。

番組の最後の大野氏の、

「自我を出したら、ベートーベンに失礼ですよ」

という言葉に、私は大変感銘を受けました。

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2008.11.02

日銀利下げ、8人中7人が利下げ支持…株安・円高に危機感」利下げそのものには8人中7人が賛成だったのです。

◆記事:日銀利下げ、8人中7人が利下げ支持…株安・円高に危機感(11月1日1時42分配信 読売新聞)

日本銀行は31日の金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を

現行の0・5%から0・2%引き下げて0・3%にすると決め、即日実施した。

日銀の白川方明総裁は会合終了後の記者会見で、

「株価下落や円高など国際金融市場の緊張が高まり、設備、輸出、生産などで明らかに変化を示す材料が出てきた」として、

株安や円高が利下げの主な理由だったと説明した。日銀の利下げは、2001年3月の量的緩和策導入時にゼロ金利にして以来、約7年7か月ぶりだ。

0・2%の引き下げは白川総裁が提案した。

これに対し、議決権を持つ8人の政策委員(正副総裁3人と審議委員5人)のうち、

白川総裁に加え山口広秀、西村清彦両副総裁、野田忠男審議委員の4人が賛成した。

水野温氏、中村清次、亀崎英敏、須田美矢子の審議委員4氏の中では、3人が0・25%の利下げを主張、

1人が0・5%のまま据え置くことを求めた。利下げ自体は、8人中7人が了承していたことになる。

0・2%下げについては、4対4の可否同数だったため、最後は白川総裁による初の議長裁定で利下げが決まった。

白川総裁は会見で、「世界経済と日本経済は関連している。中央銀行間の国際協調が重要だ」とも述べ、

米連邦準備制度理事会(FRB)が29日に行った追加利下げも利下げ判断を後押ししたことを示唆した。


◆コメント:最初の日銀発表では、賛成・反対、それぞれ4対4の同数と聞いて驚いたのです。

日銀の金融政策決定会合というのは、毎月行われ(日程も決まっています)、

政策金利(無担保コール・オーバーナイト物)の誘導目標を決めるのです。

ずっと、0.5%で「現状維持」が続いていました。

変更は、2007年2月以来ですが、この時は利上げでした

利下げは、記事本文中に書いてあるとおり、2001年3月以来のことです。

これは、バブル崩壊後の景気低迷に対応する為の決定でした。


今回は、日本経済自体の景気後退も利下げの理由ですが、アメリカ発の金融危機に対応する為であるところが、

大きな違いです。

昨日(10月31日)の金融政策決定会合の決定内容発表を読んだ時、

金融市場調節方針の変更(賛成4反対4(注1))
無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標を0.2%引き下げ、0.3%前後で推移するよう促す(公表後直ちに実施)。(別添1)

という箇所を見て、驚きました。

賛成4反対4

と書かれていたからです。現在、金融政策決定会合のメンバーは8人(本当は9人なのですが、日銀副総裁が本来2名なのに、まだ一人しか、

決まっていないからです。先日漸く一人決まりましたが)ですけれども、

今の世界経済・日本経済の実体を見ても、利下げに反対した人が4人(半分)もいたのかと、思ったのです。

◆利下げ自体に反対したのは、1名だけでした。

記事を読んで、ややホッとしたのは、利下げ自体に反対したのは、8人中1人だけだった、ということです。

金融政策の専門家が経済の現状を見て、4名も利下げ反対だったら、見識を疑うところでした。


賛否同数、というのは、利下げ幅に関してで、白川日銀総裁は0.2%を提案し、それに賛成したのが総裁を含めて4人。

他の4名は、利下げ幅を0.25%にすべきだ、ということで反対していたのです。

世界の中央銀行は、何処でも政策金利を変更する時は、概してクオーター(0.25%)単位が普通で、日本銀行も今まではそうでした。

0.2%などという中途半端な利下げ幅は見たことがありません。元々、今までが0.5%という低水準なのですから、

0.25%で良かったと思うのですが、それを巡って金融政策決定会合は、31日の朝9時から5時間も討論したことになります。

議論を尽くすのは良いことですが、散々発表を待たされてくたびれました。


◆経済指標、無茶苦茶悪いです。

日銀の会合とは別に、昨日は朝、完全失業率、有効求人倍率、消費者物価指数、家計調査の統計が発表されました。

9月の完全失業率は、0.4%でした。これに前月比0.2%改善、という見出しを付けたマスコミがいくつかあります。例えば時事は、
◆記事:9月の失業率4.0%に改善=有効求人倍率は0.84倍(10月31日9時1分配信 時事通信)

総務省が31日発表した労働力調査によると、9月の完全失業率(季節調整値)は4.0%で前月比0.2ポイント改善した。

失業率低下は2カ月ぶり。一方、厚生労働省が同日発表した同月の有効求人倍率(同)は0.84倍で、前月を0.02ポイント下回った。

求人より求職者の方が多いことを示す1倍割れは10カ月連続。

完全失業者数は前年同月比2万人増の271万人。就業者数は同29万人減の6393万人。(注:太文字は引用者による)

記事本文を読むと、詳細が書かれているのですが、見出しだけ斜め読みする人は結構多いです。

「0.2%改善」はミス・リーディング(誤解を招きやすい)な見出しです。

失業者というのは、「仕事を探しているけれども見つからない」人です。

仕事がないけれど、仕事を探すのを諦めた人(非労働力人口)は、「失業者」に含まれないのです。

今回、「失業率」が下がっているのは、非労働力人口が前年比36万人増(8月は前年比22万人増)と、大幅に増えているのが一因です。

「率」には誤魔化され易いです。

就業者数は前年比29万人減です。失業者数は前年比2万人増です。失業者数は4月からずっと増えています。

雇用情勢は悪化を続けています。


次に問題なのは、景気が悪いのに、物価が上昇を続けていることです。
◆記事:<消費者物価指数>102.6…12カ月連続上昇 9月(10月31日8時50分配信 毎日新聞)

総務省が31日発表した9月の全国の消費者物価指数(05年=100、生鮮食品を除く総合)は102.6となり、

前年同月比2.3%上昇した。上昇は12カ月連続。ガソリン価格低下などを受け、

上昇幅は8月の2.4%から0.1ポイント縮小した。上昇幅が縮小したのは、

ガソリンの暫定税率が一時失効した今年4月を除くと、07年3月以来、1年半ぶり。

原油価格の下落を受け、これまで消費者物価の上昇をけん引してきたガソリン、灯油などエネルギー関連の影響度が縮小した。

ガソリン価格は10月以降も値下がりし、物価の伸びも鈍化しそうだ。

ただ、生鮮食品を除く食料の値上がりは依然、続いており、サプリメント、

航空運賃、外国パック旅行などの上昇幅が拡大するなど、物価上昇のすそ野は拡大している。(注:太文字は引用者による)

国民の所得は減っているのに、物価は上昇を続けている。原油高が一段落したので、上昇率が鈍化しただけ。

しかも、一番大事な食料の値上がりは続いている。完全に庶民が困窮する図式です。


家計の動向も良くありません。
◆記事:9月全世帯消費支出は前年比実質‐2.3%、7カ月連続減=総務省(10月31日11時38分配信 ロイター)

総務省が31日午前8時30分に発表した9月の家計調査によると、全国全世帯(農林漁家世帯を含む)の消費支出は前年比実質2.3%減となった。

実額は28万1433円。ロイターが民間調査機関に行った聞き取り調査での予測中央値は前年比3.9%減で、

発表値は予測を上回った。減少は7カ月連続となる
消費減少には、調理食品などの食料費、設備修繕・維持などの住居費、電気・ガス代など光熱・水道費などが寄与した。

食の安全に対する懸念が国民の間に広がったことも食費減少に寄与した可能性があるという。

季節調整済み全世帯消費支出は前月比1.7%増で、2カ月ぶりのプラスとなった。

勤労者世帯の実収入は実質で前年比2.0%減となった。実収入は4月以後、8月を除いて、前年比マイナスになっており

所得の低調さが確認された。(注:太文字は引用者による)

物価が上昇を続け、勤労者世帯の実収入は4月以降、8月を除いて前年比マイナス。収入が減り続けているのですから、

家計の消費支出が増える訳がありません。


書いているだけで憂鬱になりますが、こうなると負のスパイラルですね。

企業は儲からないので給料を減らす。物価は上がる。だから、各世帯はお金を使わない。

お金を使わないということは、モノやサービスが売れない。企業の収益はますます悪化する。

さらに人件費(ボーナス・給料、パート・派遣雇用)を減らす。ますます生活は苦しい。

ちょっとやそっとの景気対策では、どうしようもありません。

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2008.11.01

【音楽】実は私の「不得意科目」、ショパン名曲集に挑戦いたします。

◆不得意科目と言っても嫌いな訳ではありません。

私は、「クラシック音楽」というと真っ先に頭に浮かぶのは、子供の頃から大好きなオーケストラです。

子供の頃はピアノ曲にあまり興味がありませんでした。

ピアノというのは、一種の打楽器でして、鋼鉄で出来たピアノ線を約2トンの張力で張り巡らしたものを

フェルトを貼った木製のハンマーで叩く構造になっています。ですから、そんな言葉はないのですが、

敢えて言えば「打弦楽器」です。このため、あまり上手くない人が弾くと、ゴツゴツした音や高音ではキンキンと刺激的な音に

なります。どうも、その音色が気に入らなかったのではないかと思います。

しかし、随分経ってから、アシュケナージという名人がモーツァルトのピアノ協奏曲を弾いたCDを聴いて、

「へえ。ピアノってのはこんなに綺麗な音がするものかね」

と、目の覚める思いがしました。それから、ピアノを聴き始めたのです。

ピアノを聴き始めたのが遅い、という意味で「不得意科目」なんです。


◆だから、ショパンも実はそれほど知らないんですが。

クラシック音楽が好き、と言いながらショパンを全然知らん、と言うのも恥ずかしいので、それから大分聴きました。

あの人は、病弱で短命(1810-1849ですから、39年の生涯です)で、というイメージが先行しますが、その作品数は

全部でいくつあるか正確には分からないのですが(未知の作品や楽譜がなくなったり、見つからない作品があるので)、

分かっているだけでも230曲は、あるとのこと。すごい創作力です。


ショパンが「ピアノの詩人」と呼ばれるのは余りにも有名ですけど、要するにピアノでしか表現できない音楽を書きました。

そして、それまでの作曲家にはない作風。ちょっと聴けば曲名を知らなくても「あ、ショパンだ」と察しが付きます。

これは、大作曲家は、皆、そうですね。「その人の音楽」特有の響きがする。

月並みな言い方しかできませんけど、ショパンは、やはり何百年に一人の天才だと思います。


なお、ちょっと話がそれますが、「ショパンの生涯」というと何だか悲劇的側面がまず連想されますけど、

本人は意外と明るい、楽しい人だったようです。モノマネが得意で、作曲家の集まるサロンで、しばしば仲間に、
「お前、あいつの真似、やってみろよ」

と言われて、喜んでやっていたそうです。


◆私が知っている中で、特に楽しいのと美しい曲を載せてみます。

いつものように、「曲目解説」は最小限にして、音楽を聴いていただきます。

ショパンのピアノ独奏曲で、一番取っつきやすいと思われるのがワルツです。

ショパンを弾いたらこの人、という思い入れは、人によって違うでしょうけど、

私は、前述のアシュケナージ(ショパンの作品全曲を録音済なんです)の演奏をお薦めします。

ワルツ全集から。

「子犬のワルツ」として有名な第6番、変ニ長調 作品64-1です。



速く弾けば良い、というものではありません。ショパンは全部そうですが、

微妙にテンポを変化させないと(テンポ・ルバートといいます)、あたかも芝居におけるセリフの「棒読み」になってしまいます。

(ショパンに限りませんけど。ショパンでは特にそのセンスが問われます)。


次は第7番嬰ハ短調作品64-2です。兎に角、お聴き下さい。「子犬のワルツ」と同じCDに収められています。



切なく、悲しいロマンティシズム。私はこれを初めて聴いたときに、背筋に寒気を感じるほど美しい、と思いました。


次はですね。マズルカです。ショパンの故郷、ポーランドの民族舞踊のリズムを取り入れているとのこと。

マズルカ集には、23曲も録れてありますが、1曲1曲は短いのが多いです。

マズルカで私が一番美しいと思う第38番をお聴き下さい。



これもイン・テンポ(一定のテンポ)で弾いたら、全然話になりません。難しそうですねー。


最後はノクターン集から。

これは、多分かなりご賛同いただけるとおもうのですが、ぞっとするほど美しい。

夜想曲第20番嬰ハ短調「遺作」です。



私、ショパンでは、これが一番好きかも知れません(今まで聴いたことがある曲の中では)。

今日は、「不得意科目」、ピアノ音楽、しかもピアノ音楽の最高峰、ショパンの作品を選びましたが、

気に入って頂けたでしょうか?

それでは皆さん、良い週末をお過ごし下さい。

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