「小室哲哉容疑者ら逮捕」が「アメリカ大統領選挙」よりも上位のニュースになる、ということ。
◆記事1:期限迫り詐取計画か=5億、ほぼ全額返済に充当-事業失敗で巨額負債・小室容疑者(11月4日22時42分配信 時事通信)
音楽プロデューサー小室哲哉容疑者(49)らが著作権売却をめぐり5億円を詐取したとされる事件で、
同容疑者が被害者の兵庫県の投資家男性に接触した2006年8月ごろ、借入金の返済期限が迫っていたことが4日、
大阪地検特捜部の調べで分かった。
特捜部は、返済手段に窮した小室容疑者がうその売却話で金を捻出(ねんしゅつ)した疑いもあるとみて調べる。
調べなどによると、男性は806曲分の著作権の代金10億円のうち5億円を、同年8月9日と29日の2回に分け、
小室容疑者の関連会社「トライバルキックス」監査役木村隆容疑者(56)が社長を務める別の広告会社に送金した。
この5億円は、いったん広告会社からトライバル社の口座に振り込まれたが、
同月31日、1億5000万円が木村容疑者からの借入金返済に、残りのほぼ全額が別の企業への返済などにそれぞれ充てられた。
木村容疑者は逮捕前、取材に対し「04年ごろ、(小室容疑者側に)金を貸した」と話していた。
◆記事2:<米大統領選>投票始まる 5日昼に大勢判明(11月4日20時55分配信 毎日新聞)
ブッシュ政権後の米国の針路を定める米大統領選は4日朝(日本時間同日夜)、東部諸州から投票が始まった。
8年ぶりの政権奪還を狙う民主党のバラク・オバマ上院議員(47)と、政権継続を目指す共和党のジョン・マケイン上院議員(72)の戦い。
オバマ氏勝利なら黒人初、マケイン氏勝利なら最高齢(1期目)の大統領となる。オバマ氏は地元シカゴで投票、有権者と握手を交わした。
日本時間5日午前にほとんどの州で投票が終了、同昼前後に大勢が判明する見通し。
大統領選と並び上下両院選や州知事選(11州)なども始まった。上下両院選では民主党が議席を伸ばすのが確実視されている。
大統領選は、金融危機を受け深刻化する米国経済の再生と、開戦から5年半余にわたるイラク戦争が争点。
ブッシュ共和党政権への審判の意味合いもあり、直前の世論調査ではオバマ氏が優位を維持したまま投票に入った。
◆コメント:或る意味当然なのだが・・・。
米国は、別に「偉い国」ではないが、世界一にして唯一の超大国であり、この国の指導者が誰になるか、ということは、
世界に影響を与える。その意味で好むと好まざるとに関わらず、米大統領選は、本日、11月4日、世界で最も注目されるべきニュースである。
しかしながら、今朝、テレビをつけたら、NHKを含む全てのテレビ局が、「小室哲哉逮捕」をトップニュースとして扱っていた。
私は昼間はテレビを見ることがない(仕事中である)が、どうせ、1日中、特に民放は「小室哲哉逮捕緊急特集」をしていたのであろう。
これは或る意味では当然である。その方が視聴率が稼げる。大衆は、観念的には米大統領選が大きな出来事だと分かっていても、
感覚は、「小室逮捕」に向かう。何故かというと、
「社会的名声を得、巨万の富を築いていたミュージシャンが、犯罪者として逮捕される」
ことは、「成功者」への嫉妬心を十分以上に慰めてくれるからである。
嫉妬心は醜いが、誰もが抱く感情だから、仕方のないことかも知れない。
私は、クラシック以外には疎いので、小室哲哉「容疑者」が今までに書いた歌もごくわずかしか知らない。
しかし、彼がまだ、時代の寵児としてもてはやされる前に書き、渡辺美里が歌った、“My Revolution”は好きだったし、
今もYouTubeで聴いた。やはり良い歌だと思った。
このように、概して音楽は、あれこれこねくり回さずに、出来るだけ自然に、単純に書いた方が、聴き手の心を捉える。
小室氏は、その後更なるヒット曲はいくつも書いたが、次第に売れなくなった。つまりはっきり言って、その程度の才能だったのだ。
それを、一番売れている時代にマスコミに「神格化」されたのが悲劇だった。
「何を表現したいか」ではなくて、「もっと、売れる(カネを稼げる)歌にするためにはどうすればよいか」と考え、
あれこれと、曲をいじくり回すと、音楽は正直なもので、作曲者の邪念が反映されるのだろう。途端につまらなくなる。
一番売れていた頃は、100億円も資産があったそうだから、余計なことをしないで、そのままカネを動かさないでいても、
一生、食うのに困らなかったのに、惨めな姿をさらし、自業自得とはいえ、やや可哀想な気もする。実刑間違いないだろう。
◆マスコミは、大衆に迎合するのではなくて、何が世の中で重要なことなのかを提示するのが使命の一つである。
マスコミ(ジャーナリズム)の社会的使命は、ただ事実を伝えるだけではなく、数ある事実の中で、今、一番大事なことは何か。
何をどう考えるべきなのか、のヒントを、大衆に与えることである。
ところが、嘆かわしいことに、まず、民放テレビはそれが不可能である。民放は収益をスポンサーの広告料に頼っている。
スポンサーは、広告を少しでも多くの人に見て貰わなくては、高い広告料を使う意味が無い。
だから、テレビ局に「とにかく何でもいいから、教養なんかなくていいから、多くの人間が見る番組を作る」ことを強要する。
従って今日は、「アメリカ大統領選挙」など詳しく解説するより「小室哲哉逮捕」の方が数字(視聴率)を稼げることは、
火を見るよりも明らかだから、そういう番組ばかりになってしまった。
◆元はと言えば、国民の民度、意識の問題である。
私は、大衆に迎合するマスコミの方針は良くない、という意味のことを書いたが、
国民が「事の軽重」をわきまえることができれば、マスコミも「小室逮捕」をムキになって報じる事はないはずだ。
日本の、かつては「超売れっ子だったミュージシャン」が詐欺で逮捕されたこと。
全世界に影響を与えるほどの権力を持つ、アメリカの大統領に誰が選ばれるか、ということ
のどちらが、重要なことなのかを判断するぐらいの分別があっても、良いだろう。
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コメント
TMnetworkの頃まで、つまり90年代初頭の頃までの小室哲哉の音楽は好きでした。新しいアルバムに、今までのサウンドを乗り越えていこうとするチャレンジ精神や創意工夫を感じたことが何度かあったからです。ところが、「小室ファミリー」という形でヒットを連発し続けていた頃のサウンドは、逆に薄っぺらな感じでほとんど聞きませんでした。「天と地と」「ぼくらの七日間戦争」「マドモアゼル・モーツァルト」等のサントラは、「これが小室?」とうならせるものだったのを覚えています。作品は作品、人は人というようなところは、ルソーの著作と実生活のギャップの例などを考えれば別に特殊な例とは思えません。私は、今後もTMNを楽しむつもりですから。
その意味では、ご指摘の通り、マスコミの扱いは変な感じがします。詐欺事件としての金額は大きいとしても、たかが1民間人の話です。それに対して仕事もせずに税金から給料や退職金をもらってのうのうとしていて、尻拭いにさらに税金を使っている社会保険庁の「詐欺」の方が問題としてはもっと大きいにもかかわらず、追求は甘いですから。せいぜい、三面記事のトップ…くらいが正当な扱いだと思いますし、もっとトップに相応しいものがあると思うのですが……。
投稿: TAC | 2008.11.05 21:53
オバマ氏 勝ちましたね。。。
NHKの特集で 見ましたが
マケイン氏も なかなか タフで
あくの強い人物でしたが。。。(・ー・)
投稿: きょろちゃん☆ | 2008.11.05 16:20