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2008.12.22

【経済】日銀政策決定会合に関する話の続き。日銀総裁の責任の重さ/日銀がコマーシャル・ペーパーを買い取る、ということ。

◆日銀総裁の記者会見一問一答を読んでいて思いますが、これほど大きなプレッシャを抱える仕事は珍しい、と思います。


19日金曜日に日銀の政策決定会合が行われました。

その結果は、日本銀行のホームページに、金融政策の変更について(14時05分公表)金融調節手段に係る追加措置についてで発表されています。

政策金利については、

無担コールオーバーナイトの誘導目標を
0.2%引き下げ、0.1%前後で推移するよう促す。

とあります。この決定の有効性に関する考察は、日記ブログに書きました。

書いておいて今更なんですが、日銀の金融政策についてあーだ、こーだいうのは、ある程度知識があれば、

簡単です。しかし、実際に金融政策を決定する、金融政策決定会合のメンバー、とりわけ最終責任者たる日銀総裁の責任の重さは、

考えるだけでぞっとします。

そんなことは何十年も前から同様なのですが、今のように急激に経済が変動しているときは、尚更です。

世界で一番影響が大きいのはアメリカであることは云うまでもなく、FRB議長の責任が世界で最も重いですが、

日本とて、世界第二の経済大国なのですから、日本経済全体の状況を検討して、金融政策を毎月決定しなければならない

日銀総裁の受けるプレッシャーは、恐らく想像を絶します。

このポストを引き受ける(副総裁が総裁になったので、ある程度慣れてはいるでしょうが)だけで、非常に勇気を必要とします。

日銀のサイトにはまだ掲載されていませんが、金融政策決定会合が開かれた日は、必ず日銀総裁の記者会見が行われます。

ロイターが報じた、白川日銀総裁記者会見の一問一答を読むと、

当然とは言え、経済のあらゆる側面を考慮し、データを検討し、景気の先行きを予想し、欧米の中央銀行の政策金利とのバランスを考えなければならない。

日銀総裁会見に出る経済記者は各メディアのベテランで、専門的なことが分かっている連中なので、質問もかなり詳細に及びます。

国の要職の中でもこれほどしんどいポストは無いのではないか、と、同情してしまいます。


◆金融政策決定会合は、日銀が企業のコマーシャル・ペーパーを買い取ること決めましたが、こんなのは初めてです。

日本銀行サイトの金融政策の変更について(14時05分公表)金融調節手段に係る追加措置についてには、

政策金利(無担コールオーバーナイト物)の誘導目標の引き下げ、いわゆる「利下げ」のみならず、

企業の資金繰りを助ける為に、日本銀行が、民間企業が発行するコマーシャル・ペーパー(CP)を買取ることを決めた、

と書かれています。6ページ目の「金融調節手段に係る追加措置について」で、

2.企業金融の円滑化に向けた措置

(2)CP買入れを含めた企業金融面での追加措置の導入・検討今後、年度末に向けて企業金融が一段と厳しさを増すおそれがあることを踏まえ、

時限的に、CPの買入れ(買切り方式)を実施することとする。それとともに、企業金融に係るその他の金融商品についても対応を検討することとし、

それらの検討結果をできるだけ速やかに金融政策決定会合に報告するよう、議長から執行部に対し指示した。

これらの措置は、結果的に個別企業の信用リスクを負担することになるものであり、

中央銀行としては異例の対応となる。この点を踏まえ、議長からは、中央銀行としてどの範囲でどの程度の期間行うことが必要かつ適当か、

また、中央銀行の財務の健全性と通貨に対する信認を確保するために、政府との関係も含めどのような対応が必要か、

といった点からの検討を求めた。(注:太文字は引用者による)

と言う箇所があります。

これは、かなりきわどい、というか勇気があるというか、場合によっては危険な決定です。コマーシャル・ペーパー(CP)とは、
企業が資金調達を行うために発行される短期の約束手形。 コマーシャルペーパー(Commercial Paper)はCPという略称で呼ばれることが多い。

無担保の割引方式(金利分を額面から割り引いて販売する形)で発行される短期の約束手形であり、発行体は優良企業に限られる。

また、金融機関、証券会社などが発行を引き受け、販売先は機関投資家に限定される。

というわけで、本来中央銀行が直接立ち入る分野じゃないのです。

企業がCPを発行するということは、それを買ってくれた人から借金をするのと同じです。

日銀が
結果的に個別企業の信用リスクを負担することになるものであり、中央銀行としては異例の対応となる。

と書いているのは、どういう事かというと、CPを発行した企業が倒産したら、日銀がおカネを回収出来なくなる。

つまり、日本の中央銀行が「不良債権」を抱える危険を冒すこと、を意味する。

銀行の銀行。「最後の貸し手」である日本の中央銀行がもしも不良債権を抱えることになったら、

それは日本国の「信用」が低下することを意味します。だから、本当はこんな事は日銀はしたくないのです。


何故日銀が民間企業の信用リスクを敢えて抱えるのか、というと、それほど、今の日本経済がヤバいからです。

企業は不景気で倒産する可能性が高いから、そのような企業が発行する約束手形(特に中小企業が発行したもの)の一種、

CPを買う人がいない。CPを発行しても買う人がいなければ企業は資金を調達できない。実際、出来ていないのです。

それじゃ銀行から借りることができるかというと、難しいのです。

何故なら、銀行自体がも金融危機に端を発する株安や、様々な金融商品の価格が下がって評価損を計上し、

業績の下方修正をしているぐらいだから、潰れそうな会社に融資できない。貸したおカネが返して貰えなかったら、

ますます銀行は損失を計上しなければなりません。これは、非人道的なのではなく、

銀行だって商売なのだから、仕方がない。


結果的に中小企業はCPを発行しても売れず、銀行はおカネを貸してくれない。

年末の資金繰りが付くかどうか分からない会社がゴマンとある。

資金繰りが付かなければ、会社は潰れるのです。

この問題を解消するために、日銀は自らが企業が発行するコマーシャルペーパーを買い取る、と宣言したのです。

日銀自身の言葉どおり、「極めて異例」です。しかしそうせざるを得ないほど、日本の中で資金の流れが滞っているのです。


土曜日に、全国紙はもとより、地方紙の新聞の社説を大分読みました。新聞コラム社説リンクというサイトが、便利です。

皆同じなんです。日銀の利下げと追加的措置は評価できる。しかし、場合によっては、中央銀行の信用に関わるから、

注意深くやってくれ。政府は景気・雇用対策を急げ、と、判で押したように同じ趣旨です。

そんなことは、分かっている。じゃあどういう経済政策が有効なのか、を具体的に提案している新聞は、

私の読んだ範囲では、皆無でした。

何しろ、50年か100年に一度の金融危機に端を発した世界同時不況で、誰もが未経験です。

誰も、どうしたらよいのか、分からない、というのが、今の日本の経済の現状です。

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