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2008.12.18

「<日産>派遣社員ゼロに…減産拡大」←派遣だろうが、正社員だろうが人員削減を安易に決めるべきではない。

◆記事:最近の「人員削減」関連ニュース

最近、日本有数の大企業が、ゴミでも捨てるかのように簡単に人員削減を次々に発表している。以下、その中から

目立ったものを挙げる。時系列。

◆派遣・期間従業員 いすゞ、1400人全員と解約(11月21日8時3分配信 フジサンケイ ビジネスアイ)

トラック大手のいすゞ自動車は、販売不振を受けた減産に伴い、国内の工場で働く派遣従業員と期間従業員の計

約1400人全員の契約を12月末で打ち切ることを明らかにした。

トラックを生産する藤沢工場(神奈川県藤沢市)と、エンジンや足回り部品を製造する栃木工場(栃木県大平町)で実施する。

契約期間中の解約も含めて、国内工場で非正規従業員の契約をすべて打ち切るのは異例。

金融危機を受けた景気悪化で、日本や米国で新車販売が不振なうえ、

業績を牽引(けんいん)してきた新興国でも需要が落ち込んできたのが影響したという。

削減する計約1400人の内訳は、藤沢工場が約960人、栃木工場が約440人。

2008年度の藤沢工場でのトラック生産台数は、当初計画から約1割減る見通しだ。

◆雇用削減 キヤノンと東芝計1600人…派遣・期間従業員(12月4日23時6分配信 毎日新聞)

キヤノンと東芝が、九州の工場の派遣・期間従業員など計約1600人を削減することが4日、分かった。

世界景気の悪化で、デジタルカメラや薄型テレビなどの販売が低迷しているため。

キヤノンは、カメラを生産する子会社の大分キヤノン(大分県国東市)で請負社員を来年1月までに計約1097人、

プリンター用カートリッジを生産する大分キヤノンマテリアル(同県杵築市)で同約80人との雇用契約を打ち切る。

東芝も、液晶テレビ向けなどの半導体を生産する大分工場(大分市)と北九州工場(北九州市小倉北区)で、

来年3月末までに派遣社員と期間従業員計約480人を削減する。

電機業界では、シャープが年内にも福山工場(広島県福山市)で約300人、

三洋電機も来年3月までに半導体レーザーを製造する事業部(鳥取市)の派遣社員約100人の削減を予定している。

◆ソニー、派遣・業務委託など非正規雇用で8000人以上削減へ(12月9日19時27分配信 ロイター)

ソニー<6758.T>は9日、同日発表した収益改善策で派遣社員や業務委託など非正規雇用の人員について

8000人以上の削減を行う意向を明らかにした。

 同社はエレクトロニクス事業において約16万人の5%にあたる約8000人を削減する方針を打ち出しているが、

非正規雇用についても同様の削減規模になるという。

◆<日産>派遣社員ゼロに…減産拡大(12月17日13時18分配信 毎日新聞)

日産自動車は17日、09年3月末までに国内工場の生産台数を7万8000台減らすと発表した。

これまでの発表分と合わせ、今年度の国内の減産幅は22万5000台規模に上る。国内直営工場の派遣社員も500人を追加削減する。

その結果、08年4月時点で2000人いた日産の派遣社員はすべて削減されることになる。

景気悪化が予想以上に加速しているため。自動車業界では、いすゞ自動車も非正規社員全員の解約を進めている。

減産の対象となるのは、栃木工場(栃木県上三川町)と九州工場(福岡県苅田町)、追浜工場(神奈川県横須賀市)の3工場など。

日産はこれまで、12月末までに派遣社員1500人を削減する計画で、

残る500人は「来年以降の販売状況を見て決める」としていた。

◆ハローワーク 派遣切り相談窓口 「住」の悲鳴、初日で1267件(12月17日16時7分配信 産経新聞)
■転居関連費用が最多

解雇された派遣社員などの住居確保支援のため全国のハローワークで15日始まった相談業務について、

初日の相談は1267件あり、このうち転居に必要な敷金など経費に関するものが最多の255件、

次いで雇用促進住宅への入居に関する相談が209件だったことが、厚生労働省のまとめで分かった。

このほか寮や住み込み付きの求人に関するものが多かった。都道府県別では、愛知が最多で247件、

次いで広島155件、東京108件、神奈川92件、岡山70件、大阪56件と続く。

 大阪ではハローワーク10カ所に窓口が設けられ、ハローワーク大阪東(大阪市中央区)には初日だけで5人が訪れた。

 兵庫県内の工場に派遣で勤めた40代の男性は人員削減の第一陣として1カ月前に予告を受け、今月初めに退職。

派遣会社の借り上げ住宅から退去を余儀なくされ、大阪市内の実家に身を寄せているが、

「いつまでも親元にいられない」と窓口を訪れ、この日の相談ではただ1人、雇用促進住宅入居の見通しが立った。

このほか同住宅に入居するための家賃(約2万~3万円前後)2カ月分に相当する初期費用が払えないなど家賃に関する相談が寄せられた。

同ハローワークの担当者は「非正規労働者が、働きながら次の仕事を探すのは難しく、

住まいがなければ路上生活になってしまう。当面の生活資金や仕事の経験など個々の事情に沿えるようにしていきたい」としている。


◆コメント:小泉改革のなれの果て。

最新号の週刊現代で、小泉内閣の経済諮問委員、つまり小泉のブレーンだった、元・一橋大学教授、経済学者の中谷巌という人が、

小泉改革は完全に誤りだった、とはっきり認めている。以下はその趣旨をまとめたもの。


小泉政権は、といっても小泉は何も分からないから丸投げされた竹中平蔵と、そのブレーンがは、しきりに「構造改革」を

強調したけれども、具体的には、アメリカ流のグローバル資本主義、つまり、市場原理を最重視する資本主義を日本に持ち込んだのである。


「聞こえ」は良いが、これが、日本がガタガタになった始まりだった。

「市場がキチンと機能するように制度を変えること」が構造改革の本質だった。

しかし、マーケットが機能する、といっても、全てのひとが平等に恩恵を受けられるマーケットなど存在しない。

素人よりも、多くの情報源を持っているプロの方が有利に決まっている。そういう人間だけが巨大な利益を得る、

というのが、「マーケット」の現実である。

中谷氏ら多くの日本のエコノミストはハーバードなど、アメリカに留学しているが、それは、1960年代から70年代初めだった。

中谷氏らは、アメリカの中産階級の裕福で大らかな暮らしをみて、これが、市場原理の所産だと思ったが、そうではなかった。

それは、ケネディやジョンソンの民主党政権が社会福祉を重視し、福祉国家に注力し、所得を再分配して国民所得を平等化しようとした

結果だった。しかし、そのせいで、アメリカには膨大な財政赤字が生じた。


1981年、共和党のレーガン政権が誕生し、政策を変えた。社会保障を重視する「大きな政府」をやめて「小さな政府」にして、

つまり、市場原理に任せたのである。

その結果、アメリカ経済は活力を取り戻したが、同時に、巨大な所得格差と多数の医療難民(医療を受けられない人)を生み出した。

中谷氏は、当初、市場原理の副作用に気付かずに、とにかくマーケットを重視すれば、アメリカの様な経済的繁栄が日本にももたらされる、

と、考えた。しかし、次第に「市場原理だけで、人間は幸福になれるのか」疑問を抱き始めた。

中谷氏はブレーンを辞めたが、竹中は、「改革」の一点張りでこれを推進した。


◆雇用改革も市場原理、競争原理の結果。

市場原理を重視するというのは、要するに競争に勝った者は良いが、負けた者は、とっとと路頭に迷うか、死んでくれ、

というと言い過ぎかも知れないが、要するにそういう社会である。

日本に市場原理重視を持ち込んだ所為で、競争は激化し、企業は労働コストを削減するために「雇用改革」を始めた。

従業員を正社員とそれ以外の派遣労働者・パート労働者とに完全に分断してしまった。

これによって、企業は利益率を向上させたが、日本において、会社とはそうクールに割り切れるものではない。

労働者の差別化により企業としての一体感が薄れてしまった。


日本の戦後の高度成長は一般庶民に非常な「活力」があったから、全体が質の高い労働力で、働けば報われる、という

世の中だったからである。

雇用改革によって、エセアメリカ風になった日本企業ではこのようなことは望めない。一生懸命働いても、突如クビを切られる。

非正規労働者を増やした結果、企業は儲かるが、年収200万円以下の低所得者層を大量に生み出してしまった。

このあたりから、日本がガタガタし始めて来たのである。

冒頭に掲げた人員削減の嵐は、かつての日本では考えられなかったことで、まるでゴミを捨てるかのように、

非正規労働者を中心に人員削減を発表する。

正社員だろうが、派遣だろうが、パートだろうが、コスト削減の為に従業員をクビにする、というのは、

以前の日本企業なら、最後の手段だったのだが、今や天下に名だたるソニーや日産が平気で何千人というひとを

クビにします、と発表する。

人のクビを切るというのは、大変な決定である。クビにされた方は、路頭に迷うということである。食えなくなる、と言うことである。

特に今は不況なのだから、次の勤め口が簡単に見つかるわけが無い。勝手に死んで下さい、というのと変わらない。

それを知っていて平然とこのような決定をするのは、やはり、日本人の心情に合っていない。

2005年にベストセラーとなった、藤原正彦氏の「国家の品格」で、

しきりに強調していたのも、同じ事である。「論理性・合理性」ばかりを重視した「改革」は日本をよくしない。

必要とされているのは、日本人が昔から重んじてきた情緒(惻隠の情など)である、というのがこの本の趣旨だが、

かつて、「改革」に携わっていた中谷氏も結局同じ結論に到達している。

政治家も役人も自分は食うのに困らないから、雇用対策といっても、言語はあるが、親身になっているように感じられない。

大至急、何とかしろ、と云いたい。

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コメント

TACさん、こんにちは。コメントをありがとうございます。

>派遣労働者やパートをたくさん使ったことによって人件費を抑えた結果が家計の可処分所得を減らし、
>内需を減少させて外需頼みの企業体質にしてしまった…というのは、十分に「経営責任」に入ると思われます。

全く仰るとおりで、自社の利益を至上課題にするばかりで、マクロの観点が全く欠落していた。
大企業幹部たるもの、それでは失格ですね。

>給与やボーナス、退職金の返上などをトヨタやキャノン、ソニー等の経営者も当然、すべきですよね。
>それが、「自己責任」というものです。それを行わずに、安易に従業員・労働者のくびを切るのは、論理的にも倫理的にもおかしいですね。

そうですね。会社の利益を至上課題にしている、と書きましたが、経営者は私欲を優先させていて、弱い立場の労働者が路頭に迷う。
全く、どいつも、こいつも・・・という気持ちです。

投稿: JIRO | 2008.12.21 15:59

派遣労働者やパートをたくさん使ったことによって人件費を抑えた結果が家計の可処分所得を減らし、内需を減少させて外需頼みの企業体質にしてしまった…というのは、十分に「経営責任」に入ると思われます。従って、給与やボーナス、退職金の返上などをトヨタやキャノン、ソニー等の経営者も当然、すべきですよね。それが、「自己責任」というものです。それを行わずに、安易に従業員・労働者のくびを切るのは、論理的にも倫理的にもおかしいですね。財界/経営陣は、そこから手をつけるべきだし、「自己責任」を連呼した政府与党も、その辺りは厳しく対応する必要がありますね。

投稿: TAC | 2008.12.18 17:31

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