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2009.05.30

先週末から今日までの経済関連の話題。日銀金融経済月報、月例経済報告、29日に発表された経済指標を見た所感。

◆記事1:日銀月報:景気判断を2年10カ月ぶり上方修正-次第に下げ止まり(ブルームバーグ)(2009/05/25 15:19)

日本銀行は25日午後、5月の金融経済月報を公表し、日本の景気について「悪化を続けているが、輸出や生産は下げ止まりつつある」として、

前月の「大幅に悪化している」から判断を引き上げた。上方修正は、ゼロ金利を解除した2006年7月以来2年10カ月ぶり。

先行きについても「当面、悪化のテンポが徐々に和らぎ、次第に下げ止まっていく可能性が高い」として判断を上方修正した。


◆コメント1:「悪化を続けている」ことに違いはない。

日銀は先週木曜と金曜(5月21日、22日)に月例の金融政策決定会合を開き、金融政策の現状維持を決定した。

2009年 5月22日 当面の金融政策運営について(現状維持、12時33分公表) (PDF, 106KB)

金融政策決定会合の翌営業日、日銀は金融経済月報を発表する。

25日(月)、今月分の金融経済月報が公表された。2009年 5月25日 金融経済月報(5月) (PDF, 856KB)

PDFファイルで60ページ近い、大部のレポートだから全部読むのは無理だが、幸い結論(基本的見解)が、いつも冒頭に書かれている。

今月は、
わが国の景気は悪化を続けているが、輸出や生産は下げ止まりつつある。

だった。ブルームバーグが、過去の「基本的見解」を一覧表にしている。日銀:金融経済月報-過去の基本的見解(表)である。

そのごく一部、昨年12月から、今月までを抜萃する。
(2008年)

12月   わが国の景気は悪化している。

(2009年)

1月 わが国の景気は大幅に悪化している。

2月 わが国の景気は大幅に悪化している。

3月 わが国の景気は大幅に悪化している。

4月 わが国の景気は大幅に悪化している。

5月 わが国の景気は悪化を続けているが、輸出や生産は下げ止まりつつある。

「上方修正」という言葉はウソではないとしても、如何にもミスリーディングだ。

読めば一目瞭然だが、日本の景気は好転していない。悪化を続けているが、悪化のスピードに、

ごくわずかにブレーキがかかったかも知れない、ということだ。


◆記事2:「悪化のテンポが緩やかになっている」に上方修正=月例経済報告(5月25日18時57分配信 ロイター)

政府は25日に発表した5月の月例経済報告で、輸出や生産が下げ止まりつつあるとして、

基調判断を「景気は、厳しい状況にあるものの、このところ悪化のテンポが緩やかになっている」に上方修正した。

判断の上方修正は2006年2月以来3年3カ月ぶりとなる。

先行きについては「当面、雇用情勢が悪化するなかで、厳しい状況が続くとみられる」としながら、

「対外経済環境における改善の動きや在庫調整圧力の低下、経済対策の効果が景気を下支えすることが期待される」と判断。

加えて、世界的な金融危機の影響や世界景気の下振れ懸念など、景気をさらに下押しするリスクが存在することに留意する必要があるとした。


◆コメント:日銀がマクロ経済をウォッチしているのに、内閣府が別途「月例経済報告」を発表する必要があるのか。

日銀が金融経済月報を発表するのは、我が国の中央銀行がマクロ経済(国全体の経済)をどのように認識しているか、

を国民に知らせるためだが、奇妙な事に同じ日、もしくは極めて隣接した日に、内閣府が独自の景気判断を示す。

内閣府のサイト月例経済報告関係資料のページ。

平成21年5月を開く。

この報告も冒頭に結論(「基調判断」という)が書かれている。今月は、
景気は、厳しい状況にあるものの、このところ悪化のテンポが緩やかになっている。

だった。月例経済報告の基調判断に関しても、ブルームバーグが一覧表にしている。月例経済報告:過去の基調判断

こちらも昨年12月から6ヶ月分を抜萃引用する。次の通り。
12月 景気は、悪化している。

1月 景気は、急速に悪化している。

2月 景気は、急速な悪化が続いており、厳しい状況にある。

3月 景気は、急速な悪化が続いており、厳しい状況にある。

4月 景気は、急速な悪化が続いており、厳しい状況にある。

5月 景気は、厳しい状況にあるものの、このところ悪化のテンポが穏やかになっている。

流れとしては日銀金融経済月報と全く同じ。日銀が「大幅に」で内閣府が「急速に」

違いはそれだけ。日銀と内閣府が全く反対のことをいったら、国民はどちらを信じれば良いのか分からなくなる。

従って、大抵の場合、同じ判断を繰り返すだけになる。日銀と別に月例経済報告を発表する意味があるのかどうか。

◆記事3:29日に発表された、経済指標、その他。鉱工業生産以外は全て、惨憺たる有り様。

今日は重要な経済指標や民間が発表する統計が集中した。見出しだけで十分なので、列記する。

4月完全失業率、2003年11月以来初の5%台(総務省)。

4月有効求人倍率は0.46倍、1999年6月以来の低水準 (厚労省)。

家計調査、4月全世帯消費支出、過去最長の14カ月連続マイナス(総務省)

消費者物価0.1%下落=2カ月連続マイナス-4月 (総務省)

4月鉱工業生産速報は前月比+5.2%、予想を大幅に上回る (経済産業省)

4月の自動車生産台数 前年同月比47%減 下落率が過去最大 (日本自動車工業会)

4月の住宅着工、6万6,198戸で65年以来の最低値に (国交省)


◆結論:日銀の金融経済月報も、内閣府の月例経済報告も「上方修正」は早すぎた。

29日(金)に発表された数字だけ見ても、雇用情勢は悪化を続けており、個人消費は減り続けているから、

企業収益の改善は見込めない。更に、人々がモノやサービスを買わないから、消費者物価は下がり続け、

デフレになりつつある。物価が下がれば、企業の収益は悪化し、更にリストラで雇用が悪化する可能性が高い。

また、儲かっていないのだから、従業員の給与・ボーナスを下げてコストを減らさざるを得ない。

家計は所得が減るから、一層消費を抑制する。

どう考えても負のスパイラルが続く。景気判断を「上方修正」する根拠に鉱工業生産だけでは不十分だ。

日銀も内閣府も見通しが甘い。

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