« 「仏不明機の残骸か=大西洋上で座席など発見-ブラジル軍」←乗客に日本人がいないと極端に無関心になるのは日本人の悪い癖だ。 | トップページ | 「『イスラムは米国の一部』オバマ大統領、エジプトで演説」←そういう発想が、アメリカの悪い癖なんだよ。 »

2009.06.04

「<タミフル>異常行動との因果関係不明 厚労省研究班」←4月18日の「最終報告書」は「タミフルと異常行動「因果関係否定できぬ」

◆記事:<タミフル>異常行動との因果関係不明 厚労省研究班(6月3日20時54分配信 毎日新聞)

インフルエンザ治療薬「タミフル」(一般名リン酸オセルタミビル)について、厚生労働省・安全対策調査会の作業部会(鴨下重彦座長)は3日、

服用と異常行動との因果関係を示唆する調査結果は得られなかった、との結論をまとめた。

近く調査会に報告されるが因果関係の有無は不明だった。

厚労省は異常行動の目立った10代に処方を控えるよう医療機関に通知したが、

方針変更の根拠は得られなかったとして、その措置は継続する方針を明らかにした。

作業部会では、06~07年の流行期にインフルエンザと診断された18歳未満の患者約1万人を対象に調べた厚労省研究班の最終報告書が示された。

それによると、約1万人のうち、異常行動を起こしたのは12%で、飛び降りなど重度の異常行動を起こしたのは0.4%だった。

異常行動を起こした患者のうち、タミフルを服用していた場合の発生率は、非服用に比べ0.6倍と低かった。

重度の異常行動を起こした10代に限定すると、服用した方が1.5倍だったが、報告書は対象者が11人と少なく、

「統計的に差はない」と結論づけた。

厚労省によると、販売開始(01年2月)から今年3月末までにタミフルの副作用で異常行動を起こしたと報告されたのは353人。

また、服用者が増加傾向にあるリレンザ(一般名ザナミビル)では167人だった。

タミフルをめぐっては、10代の患者がベランダなどから飛び降り転落死する事故が相次ぎ、

07年3月、厚労省は10代への処方を原則中止する通知を出した。


◆タミフルと異常行動との因果関係に関する研究・報告の「歴史」。

驚きましたね。厚労省は4月18日にこの件に関して、

「因果関係は否定できない」

という最終報告書を発表しているのです。

「最終報告書」から1ヶ月半で、別の結論を発表している。

一体どうなっているのでしょう?



今まで、私の手元で確認出来る、このテーマに関する研究・発表の「歴史」をお見せしましょう。時系列で(古いものから)。
◆資料1:タミフル、異常行動との関連みられず…動物実験で中間発表(2007年10月24日21時31分 読売新聞)

インフルエンザ治療薬「タミフル」と、服用した患者が起こす異常行動などとの因果関係について検討している厚生労働省の作業部会は24日、

輸入・発売元の中外製薬に指示した動物実験の結果について「異常行動と関連づけられるデータは今のところない」とする中間結果を発表した。

心不全などによる突然死についても「関係している可能性は低い」とする見解を示した。

脳に運ぶ物質を選別している「血液脳関門」と呼ばれる部分が未熟な若いラットを使った実験などは、結果がまだ出ていないため、

こうしたデータが出そろった後で、年内にも結論を下したいとしている。

同部会では、血液脳関門に、タミフルの薬効成分を通さないようにする仕組みがあることや、

通常の150倍の濃度の薬効成分を使っても、脳内たんぱく質に異常が見られなかったことが報告された。

また、米国での20万人以上を対象にしたタミフルと突然死に関する大規模調査の結果、「関連はない」と示唆する報告も提出された。

その2ヶ月後、同じ結論です。
◆資料2:タミフル:異常行動との関係、認められず--調査結果 (2007.12.17 毎日新聞 東京朝刊)

インフルエンザ治療薬「タミフル」(一般名リン酸オセルタミビル)について、厚生労働省・安全対策調査会の作業部会は16日、

昨シーズンに発生した30歳以下のインフルエンザ患者の異常行動との因果関係は認められなかったとする調査結果をまとめた。

昨シーズン(昨冬から今春)にインフルエンザにかかり、飛び降りなど重度の異常行動を起こしたと医療機関から報告があった患者のうち、

30歳以下の137件について分析。このうち、タミフルの服用率は82例で6割だった。

また、10代の服用を原則中止した3月20日を境に、シーズン中の10代の異常行動に関する報告件数を比べた。

20日以前はタミフル服用「なし」が11件、「あり」40件に対し、21日以降は「なし」が16件、「あり」が2件だった。

21日以降の服用「あり」の報告数減少は、処方が制限された影響で、服用してもしなくても、異常行動は起こっていた。

ところが、今年(2009年)4月18日の発表は、ガラリと異なる様相を呈するのです。
資料3:タミフルと異常行動「因果関係否定できぬ」…厚労省研究班(4月19日3時6分配信 読売新聞)

インフルエンザ治療薬タミフルを服薬した10歳以上の子どもは、服薬しなかった子どもに比べ、

飛び降りなどの深刻な異常行動をとるリスクが1・54倍高いという分析結果が18日、

厚生労働省研究班(班長=広田良夫・大阪市大教授)の最終報告書で明らかになった。

「タミフルとの因果関係は否定できず、深刻な異常行動に絞った新たな研究を実施すべきだ」と指摘しており、

現在は原則中止している10歳代への使用再開は難しくなってきた。

最終報告書は近く、厚労省薬事・食品衛生審議会安全対策調査会に報告される。

別の検証作業では、「関連は見つからなかった」とする結論が出されており、

同調査会では10歳代への使用をいつ再開するかが最大の焦点だった。


◆コメント:最終報告書の後に更に反対の発表が為される不思議。

厚労省というのは、訳の分からない役所ですなあ。

資料3の「最終報告書」が発表されたのが、今年の4月18日。

インフルエンザ治療薬タミフルを服薬した10歳以上の子どもは、服薬しなかった子どもに比べ、異常行動をとるリスクが1・54倍高い

という結論でした。それからわずか一ヶ月半。今日発表された調査結果は、「18歳未満の患者約1万人を対象に調べた厚労省研究班の最終報告書

だそうですが、最終報告書ってのは、何度も出るものらしいですね。厚労省では。

それは、さておき今日の「最終報告書」の結論は、
服用と異常行動との因果関係を示唆する調査結果は得られなかった。

というもので、4月18日の最終報告書と一致しません。

要するに、
タミフルと異常行動の因果関係の有無はいまだに分からない。

と言っているのです。わからないなら、簡単に「最終報告書」というタイトルを付けない方がいいのではないでしょうか。

多分、また暫くすると、「新しい最終報告書」が発表されるのでしょう。

厚労省のお役人さんは「最終」という日本語の意味が分からないようですから。


◆仮に、タミフル服用と異常行動の全てに因果関係があったとしても、確率は大変低いです。

「タミフルと異常行動」に関して、私は過去に何度も記事を書きました。前回、4月18日の「最終報告書」の翌日に書いた、

「タミフルと異常行動『因果関係否定できぬ』…厚労省研究班」←過去に「タミフル、異常行動との関連みられず」と発表しましたよね?ココログ)をお読みいただきたいのですが、

仮に、過去の全ての異常行動とタミフル服用に因果関係があったとしても、異常行動が起きる確率は、100万分の7です。

今回大騒ぎになった、豚インフル由来の新型インフルエンザは、御存知の通り弱毒性ですが、それでも致死率は0.4パーセント。1,000分の4です。

普通の季節性H1N1型の致死率は0.1パーセント以下とされていますが、0.1パーセントは1,000分の1です。


つーまーり。タミフルの副作用で異常行動が起きるとしても、その確率は100万分の7。しかも異常行動=死とは限らない。

マスコミが、異常行動の結果、ベランダから飛び降りたという極端なケースを強調するから、皆怖がりますが、

それは、あくまでも極めて特異なケースです。異常行動をおこしても、死ぬことは稀です。

一方、副作用を恐れるあまり、抗ウイルス薬、タミフルやリレンザを飲まないで放っておいたら、インフルエンザそのもので死ぬ確率が、

もっともありふれた、季節性インフルエンザ(毎年流行るインフルエンザ)ですら、1,000分の1。異常行動が起きる確率の142倍です。

ごく普通の知能で考えても、どちらを恐れるべきか、何を選択すべきか明らかだと思います。


◆タミフルと同じぐらい効果があるリレンザですが、服用方法が特殊なので、予め製薬会社のサイトのビデオ説明を見ると良いです。

私事で恐縮ながら、新型インフルエンザ騒ぎが起きる少し前、愚息が季節性インフルエンザを発症しました。

近くの内科を受診したところ、5日分のリレンザを処方されました。この薬は大変良く効きました。劇的といっていいぐらいでした。

但し、服用方法が普通の薬と違うのです。錠剤を専用の吸入器で粉にして、吸い込むのです。

初めてだと少し戸惑います。将来、もしインフルエンザを発症し、自分や家族がこの薬を服用することになったときのために、

リレンザの販売元、グラクソのサイトにあるリレンザのページで動画で使い方を説明しているので、

一度見ておくと良いと思います。少なくともブックマークしておくことをお薦めします。

それでは。

【読者の皆様にお願い】

是非、エンピツの投票ボタンをクリックして下さい。皆さまの投票の多さが、次の執筆の原動力になります。画面右下にボタンがあります。

|

« 「仏不明機の残骸か=大西洋上で座席など発見-ブラジル軍」←乗客に日本人がいないと極端に無関心になるのは日本人の悪い癖だ。 | トップページ | 「『イスラムは米国の一部』オバマ大統領、エジプトで演説」←そういう発想が、アメリカの悪い癖なんだよ。 »

インフルエンザ」カテゴリの記事

ニュース」カテゴリの記事

マスコミ批評」カテゴリの記事

医療」カテゴリの記事

心と体」カテゴリの記事

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/62198/45227198

この記事へのトラックバック一覧です: 「<タミフル>異常行動との因果関係不明 厚労省研究班」←4月18日の「最終報告書」は「タミフルと異常行動「因果関係否定できぬ」:

« 「仏不明機の残骸か=大西洋上で座席など発見-ブラジル軍」←乗客に日本人がいないと極端に無関心になるのは日本人の悪い癖だ。 | トップページ | 「『イスラムは米国の一部』オバマ大統領、エジプトで演説」←そういう発想が、アメリカの悪い癖なんだよ。 »