【音楽】6月11日、リヒャルト・シュトラウス(1864~1949)の誕生日でした。「英雄の生涯」(コンマス=安永徹さん)
◆リヒャルト・シュトラウスってずっと敬遠してたのです。
リヒャルト・シュトラウスという、後期ロマン派の作曲家がおります。
オペラも、シンフォニーも書いています。親父さんがホルン吹きだったから、ホルン協奏曲も2つ書いてます。
歌曲も書いていますが、彼が後世に名を残したのは、7曲の「交響詩」によるところが大きいです。
それ以上のウンチクを垂れる知識は、正直言って私にはないので、知りたい方は恐縮ですが、ウィキペディアをご覧下さい。
子どもの頃、初めて、R・シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」を聴いたとき、私は、
何て退屈な音楽だろう。
と思いました。作曲家の好みはひとそれぞれでいいのですが、ただ、私の乏しい経験からいえるのは、
若い頃に聴いて「つまらない」と思った曲なのに、大人になってから聞いたら気に入る、ということは、
決して珍しくないのです。
◆最近、R・シュトラウスを聴くようになったのは、安永徹さんのおかげです。
この日記・ブログでは、25年間ベルリン・フィルのコンサート・マスターを務めた安永徹が退団なさる前、
随分何度も、その話題を取りあげましたが、安永さんがベルリン・フィルのコンサートマスターとして最終的に
カラヤンとベルリン・フィルのメンバーに認められたのは、R・シュトラウスの交響詩、
「ツァラトゥストラはかく語りき」であったことを、以前から知ってはいたものの改めて認識しました。それは、
「安永さんベルリン・フィルと別れ コンサートマスター25年」←、せ、先週終わってたの?/安永さんがコンマスになった頃の対談。
に引用した、安永さんと、作曲家の故・石井真木さんとの対談を読むと明らかです。
安永さんがコンサート・マスターの試用期間を経て、最後に試された曲がR・シュトラウスだったからには、
聴かねばならぬ、と思いました。理屈ではありません。
ベルリン・フィルの映像はYouTubeに沢山ありますが、流石にカラヤン時代の映像、
しかも安永さんがコンマスになった後、カラヤンが振っている映像は意外にすくないのです。
カラヤンが世に認められるようになったのも、安永さんがコンマスとしてみとめられるようになったのも、
「ツァラトゥストラはかく語りき」なので、何とかその頃の映像がないか、探しましたが、ありません。
その替わり、ベルリン・フィルの指揮者がサイモン・ラトルになった後、2005年に来日公演したときに、
プログラムに、同じくR・シュトラウスが最後書いた交響詩「英雄の生涯」の映像がみつかりました。
幸い、コンサートマスターは安永さんです。そして、この曲には、コンサートマスターの長いソロがあります。
どのオーケストラでもコンサートマスターのオーディションで必ずと言って良いほど弾かされる、難しいので有名なソロです。
今日は、2005年、ベルリン・フィル来日公演における、「英雄の生涯」を載せます。
◆少々取っつきにくいかも知れませんが、安永さんの素晴らしいソロを是非聴いて下さい。
今までこのブログでは、意識的に取っつきやすい音楽を取りあげました。
それらに比べると、「英雄の生涯」は、はっきり言って難解です。
しかし、安永さんのソロがあるだけでも聴いて、見る価値があります。
全体が5つのファイルに分けられています。特にパート2は安永さんの独擅場です。
それでは、いきます。
◆R.シュトラウス作曲:交響詩「英雄の生涯」(Ein Heldenleben)サイモンラトル指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
この曲は6つの部分から構成されていますが、切れ目なく演奏されます。
Ein Heldenleben - Rattle, Berlin (I)
次のパート2はほぼ全体にわたって、コンサートマスターの難しいソロがあります。安永さんの妙技をお聴き下さい。
Ein Heldenleben - Rattle, Berlin (II)
Ein Heldenleben - Rattle, Berlin (III)
Ein Heldenleben - Rattle, Berlin (IV)
次で終わりますが、曲の最後にもコンサート・マスターのソロがあります。
曲が終わって、オーケストラ全員が起立する前にサイモンラトルは真っ先に安永さんだけ立たせて、
名演奏を讃えます。そして、他のベルリン・フィルのメンバーがやはり、「流石、安永さん。」と言わんばかりです。
Ein Heldenleben - Rattle, Berlin (V)
◆やはり、ベルリン・フィルのコンマスを務めるのは、我々の想像を超える偉業なのです。
何度もかきましたけど、ベルリン・フィルのオーディションに合格するだけでも、多分我々の想像を絶する難関。
普通のメンバーですら、オーディションに合格するのは「試用期間の始まり」ということ。1年みんなが観察していて、
「やはり、あなた、ウチのオーケストラには合わない。ごめんね」ということもあるのです。
更に、コンサート・マスターになるときには、コンサート・マスターのオーディションがある。
それに合格しても、やはり、それは、「コンサート・マスターとしての試用期間の始まり」で、
安永さんは試用期間が1年半もあったのです。その間、全員が安永さんが本当にコンサート・マスターとして適任か、
を観察している。その期間が終わると全員が議論をして、最後に投票をする。3分の2以上の人が賛成して、
そこでやっと本当に「ベルリン・フィル、第一コンサートマスター」になるんです。
とても、想像の付かないプレッシャーの連続で、それは、正式なコンサートマスターになってもずっと続く。
その重責を25年も務めた安永さんを尊敬せずにはいられません。
ドイツは、安永さんに勲章を贈りました。
「ベルリン・フィルの安永徹さん、独政府が勲章授与」←安永さんは勲章が欲しくて音楽家になったのではない。しかし、私は嬉しい。
「最大級の賛辞」とは、正にこのこと。安永徹さんにベルリン・フィルとサイモン・ラトルから贈られたメッセージ。
これに対して、日本政府は無反応。あまりにも無教養で恥ずかしいと思い、私は、内閣総理大臣あてにメールを送りました。
首相へのメール「麻生太郎内閣総理大臣。世界一のオーケストラのコンサートマスターを25年務めた日本人がいることを御存知ですか。」
勿論、期待してなどいませんでしたが、やはり何の反応もありません。
恥ずかしいことです。
【読者の皆様にお願い】
是非、エンピツの投票ボタンをクリックして下さい。皆さまの投票の多さが、次の執筆の原動力になります。画面右下にボタンがあります。
| 固定リンク
「オーケストラ」カテゴリの記事
- 【音楽】クリスマス。今日は器楽です。(2009.12.23)
- 【音楽】12月16日はベートーベンの誕生日でした。ピアノ協奏曲第5番「皇帝」他。(2009.12.19)
- 【音楽】涙が溢れるほど懐かしい、山本直純さんが解説する「青少年のための管弦楽入門」with NHK交響楽団(2009.12.16)
- 行政刷新会議「文科省事業」に対する意見。(実際にメールで送ったもの)(2009.12.14)
- 「モーツァルト「神童」の弾いたバイオリンで演奏披露」←先週に続きモーツァルト。(2009.12.12)
「クラシック」カテゴリの記事
- 12月26日は、Kenさんの奥様のご命日ですので、音楽を捧げます。(2009.12.27)
- 【音楽】クリスマス特集を良心的に組もうとすると、大変困ります。結局平凡な選曲になりました。(2009.12.25)
- 【音楽】クリスマス。今日は器楽です。(2009.12.23)
- 【音楽】12月16日はベートーベンの誕生日でした。ピアノ協奏曲第5番「皇帝」他。(2009.12.19)
- 【音楽】涙が溢れるほど懐かしい、山本直純さんが解説する「青少年のための管弦楽入門」with NHK交響楽団(2009.12.16)
「クラシック音楽」カテゴリの記事
- 12月26日は、Kenさんの奥様のご命日ですので、音楽を捧げます。(2009.12.27)
- 【音楽】クリスマス。今日は器楽です。(2009.12.23)
- 【音楽】12月16日はベートーベンの誕生日でした。ピアノ協奏曲第5番「皇帝」他。(2009.12.19)
- 【音楽】涙が溢れるほど懐かしい、山本直純さんが解説する「青少年のための管弦楽入門」with NHK交響楽団(2009.12.16)
- 行政刷新会議「文科省事業」に対する意見。(実際にメールで送ったもの)(2009.12.14)
「音楽」カテゴリの記事
- 12月26日は、Kenさんの奥様のご命日ですので、音楽を捧げます。(2009.12.27)
- 【音楽】クリスマス特集を良心的に組もうとすると、大変困ります。結局平凡な選曲になりました。(2009.12.25)
- 【音楽】クリスマス。今日は器楽です。(2009.12.23)
- 【音楽】12月16日はベートーベンの誕生日でした。ピアノ協奏曲第5番「皇帝」他。(2009.12.19)
- 【音楽】涙が溢れるほど懐かしい、山本直純さんが解説する「青少年のための管弦楽入門」with NHK交響楽団(2009.12.16)


コメント
take-5さん、お久しぶりです。前回頂戴したコメント、良く覚えております。
再びお越し頂き有難うございました。
>指揮者の大植英次さんがドイツの地方政府から勲章をもらう。
>ピアニストの内田光子さんがイギリス政府から勲章をもらう。
>この世界不況の中、アルメニア・フィルが災害時の日本からの支援への恩返しとして来日公演を行った。等々…
>明るいニュースはたくさんあります。経済不安・政治不信を無駄に煽る記事の代わりにこういったニュースを掲載すれば、
>メディアに踊らされやすい日本人のことですから景気もその分好転するんじゃないですかね。
同感です。私は以前、マスコミはどうして、「明るいこと」や、「良いこと」を取りあげない、或いは小さくしか取りあげないのか、
という批判を書きました。
「バレエ:ローザンヌ国際コンクール 若手の登竜門、河野舞衣さん2位」←こういう事を大きく報じないから世の中暗くなる。
http://jiro-dokudan.cocolog-nifty.com/jiro/2007/02/post_eeb8.html
「チャイコフスキー国際コン:弦楽器製作で日本人が1、2位」←「良いこと」は大ニュースにならないのかい?/【感激】高橋さんご本人からコメントを頂きました。
http://jiro-dokudan.cocolog-nifty.com/jiro/2007/06/post_b681.html
大植さん、内田さん、の話も当然取りあげられるべきですが、
はっきり言って、日本人の大多数はクラシックなどに興味がないので、それで景気が好転するとは思えませんが、
世の中では、これほど大きな「晴れがましいこと」ではなくても、何か「良いこと」「心温まる話」があるはずで、
ただそれらが報じられないので、世の中では暗いことしか起きていないような錯覚に陥っているのだと思います。
>「音楽家は千人の外交官」(←BY小澤・武満)ですからね!
そのとおりなんです。音楽家自身が言っても良いのですが、もっとはっきりそれを名言しているのが、
元・旧西ドイツ首相、ヘルムート・シュミット氏で、シュミット氏の言葉はこのブログでも繰り返し載せているのですが、
かつて、ニューズウィークのインタビューに答えたものです。
「欧州の管弦楽団で活躍する日本人音楽家は、どんな政治家・外交官よりも、日本に貢献している」
それも記事にしました(この当時はブログにアカウントを持っておらず、ウェブ日記エンピツに書いたものです。
今でも、エンピツとココログに毎日同じ文章を載せています)。
2004年10月08日(金) 欧州の管弦楽団で活躍する日本人音楽家は、どんな政治家・外交官よりも、日本に貢献している(シュミット元ドイツ首相)
http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/day?id=89954&pg=20041008
イチロの連続安打も立派ですし、オリンピックで金メダルを獲ることも大変な偉業でしょうが、
もう少し、芸術に対して日本国も日本人も目を向けるべきだと思っています。
投稿: JIRO | 2009.06.14 14:36
おはようございます。以前、安永さんの件でコメントさせていただいた者です
指揮者の大植英次さんがドイツの地方政府から勲章をもらう。ピアニストの内田光子さんがイギリス政府から勲章をもらう。この世界不況の中、アルメニア・フィルが災害時の日本からの支援への恩返しとして来日公演を行った。等々…
明るいニュースはたくさんあります。経済不安・政治不信を無駄に煽る記事の代わりにこういったニュースを掲載すれば、メディアに踊らされやすい日本人のことですから景気もその分好転するんじゃないですかね。
松坂が敗戦投手になったことをわざわざ派手に報道するのであれば、その分を大植さん・内田さんに使ってもらいたいものです。
「音楽家は千人の外交官」(←BY小澤・武満)ですからね!
投稿: take-5 | 2009.06.14 08:43