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2009.06.05

「『イスラムは米国の一部』オバマ大統領、エジプトで演説」←そういう発想が、アメリカの悪い癖なんだよ。

◆記事:「イスラムは米国の一部」オバマ大統領、エジプトで演説(読売新聞 - 06月04日 21:18)

中東・欧州歴訪中のオバマ米大統領は4日、エジプトのカイロ大学で演説し、

米国とイスラム世界との新たな関係構築を訴えた。

オバマ氏は大統領就任以来、アラブのメディアやトルコ国会での演説を通じて、

ブッシュ前政権時代に悪化したイスラム世界との関係修復を目指しており、カイロ大での演説は修復努力の総仕上げと言える。

オバマ大統領は、イスラム教徒が米国史の中で果たした役割などを指摘し、「イスラムは米国の不可欠な一部だ」と強調した。

さらに、過去の相互不信やさい疑心を捨て、「新たな始まり」を迎えようと呼びかけた。

新関係構築の課題としては、国際テロ組織「アル・カーイダ」などイスラム過激派のテロ活動や、

頓挫した中東和平プロセスなどを挙げた。このうち、中東和平プロセスの核であるイスラエル-パレスチナ関係については

「2国家共存以外に解決策はない」と語り、パレスチナ国家樹立を目指す姿勢を明確にした。

また、パレスチナのイスラム原理主義組織ハマスの武装闘争を非難すると同時に、

将来のパレスチナ領土と想定されるヨルダン川西岸へのユダヤ人入植地建設の凍結も求め、

和平プロセスの「調停者」として公平な姿勢を示した。

今回の演説には、エジプトの野党指導者らから「(ムバラク大統領の)独裁を認知するものだ」

との批判も出ていたが、演説会場には、米側の配慮で批判勢力も招かれた。


◆コメント:世界中をアメリカにしたがるから、上手くいかないのである。

オバマ大統領は、ブッシュ政権時代に(本当はその前からだが)悪化した、イスラム諸国との関係を修復して、

「新しい時代」を築きたい、と演説したようだ。

本当は、演説のtranscript(演説を文字に起こしたもの)全文を丁寧に読んでから論評するべきなのだが、

それをやっていると、また寝不足になるので、BBCの記事から間接的に調べた。多分、読売新聞の見出し、

イスラムは米国の一部

は、BBCの記事の一部を引用すると
Mr Obama said Islam had "always been a part of America's story".

とあり、イスラムは常にアメリカの歴史の一部だった、という部分を訳したのであろう。


分かってねえなあ、と思う。

アメリカのこういう発想が、イスラムだけではなく、世界で嫌われるのだ。

「イスラムは常にアメリカの歴史の一部だった」という発想。この演説をもう少し詳しく読むと、米国内のイスラム教徒は

米国の中で、重要な役割を演じてきた、ということなのだが、それとは別にアメリカという国家、特にブッシュ時代にはびこった、

ネオコン(ネオ・コンサーバティブ。新保守主義者)達の思想は、単純化するならば、

「世界中をアメリカにすれば、世界は丸く収まるのだ」という独善的かつ傲慢なものだ。

これが世界をより不安定にしている。

イラクを見れば一目瞭然。日本のマスコミの取材に答えて、ネオコンの1人が
中東が不安定なのは、民主主義が根付いていないからで、中東(イスラム世界)に民主主義を植え付ければ、平和になるのだ

と、はっきり答えていた。そしてこの場合の「民主主義」とは「アメリカ式民主主義」を意味するのである。

だから、という大義名分で(その他に大量破壊兵器の証拠を捏造して)イラク戦争を仕掛け、独裁的支配者だったサダム・フセインを

引きずり降ろし、後、処刑した。しかし、イラクは安定するどころか、今だに戦闘が絶えない。イラクをアメリカにしようとしたら、

当然、イラク人は反発し、反米テロが活発化し、むしろ、フセイン独裁時代よりも遙かに不安定で、何万人もの一般市民が戦闘の犠牲になった。

この日記・ブログで過去何度も書いたが、私が学生の頃に、国際法の教授が、
世界の如何なる、国、地域の文化、社会・政治体制にも、それが成立するまでの歴史と必然性があるのだから、

外からの力でこれを変革するのは無理だし、すべきではない。

と、何度も強調していたのを、私は非常に鮮明に記憶しているのだが、正にそのとおりであることが、よく分かる。

アメリカ人、特にネオコンがやろうとしていることは、これと完全に逆である。

繰り返し強調するが、極端な表現を用いるならば、アメリカは「世界をアメリカにすれば、全て上手くいく」と考えている。


だから日本にも、毎年、大内政干渉の「年次改革要望書」を突きつける。

歴代の日本の政権の中でも特に小泉政権は、唯々諾々とそれに従い、アメリカ流市場万能主義、競争原理を

導入した。その結果、「弱者は勝手にのたれ死んで下さい」という「格差社会」が生まれた。

これに対して、論理で全てが割り切れるほど、人間社会は単純ではない。

アメリカ式に従うのは正しくない、と書いたのが、「国家の品格」の藤原正彦氏である。

藤原氏の意見は正しい、と私は考えている。


話がイスラムから逸れた。

オバマ大統領の真意が何処にあるにせよ、「イスラムはアメリカの一部」という考え方は、ネオコンの発想から脱していない。

イスラム諸国はあくまでイスラム文化圏である。

アメリカはアメリカである。

両者は全く別の歴史的背景と文化を持つ、互いに独立した存在なのだ、という認識を持てないのがアメリカのバカなところで、

このおかげで、世界が引っかき回され、不必要に不安定になっている。


更に、アメリカは、イスラム世界と対立するイスラエルを常に支持している。

これは、良く知られているように、ユダヤ系アメリカ人は米国内の様々な分野で要職に就いており、政治的に大きな影響力を持つため、

ユダヤ人の支持を得ないと、選挙でも勝てないし、政治運営も上手くいかない。

歴代の米国政府は、ユダヤ人国家・イスラエルを支持せざるを得ない。

だから、イスラエルが、これまでに数え切れないほど、ガザ地区のパレスチナ人、それも女子供を含む非戦闘員までも無差別に殺戮し、

これに対して、国際社会から批判が大きく、国連安全保障理事会が非難決議を採択しようとしても、

アメリカが拒否権を発動し、邪魔をする。

そのような背景がありながら、オバマ大統領が、ノコノコイスラムへ出かけていって、
アメリカはイスラムのお友達ですよ

といわれても、イスラムのアラブ人達は、「よくも、いけしゃあしゃあとそういうことがいえるな」と感じるだろう。

今までのことに触れずに「新しい時代を共に築こう」と呼びかけても、簡単にいくわけがない。

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