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2009.07.15

「うつ病、血液検査で診断 白血球の遺伝子反応に着目」←万能ではないかも知れないが、大きな進歩だ。

◆記事:うつ病、血液検査で診断 白血球の遺伝子反応に着目(朝日新聞)(2009年7月11日19時52分)

血液検査でうつ病かどうかを診断する方法を、厚生労働省の研究班(主任研究者・大森哲郎徳島大教授)が開発した。

うつ病患者と健常者で白血球の遺伝子の反応が微妙に異なることを利用した。数年後の実用化を目指す。

問診と併せて、数値化できる簡便な診断法が使えれば、患者の見逃しが減ると期待される。

研究班は白血球の遺伝子がストレスで変化することに着目し、それをうつ病の診断に使えないか調べた。

約3万個の遺伝子の中から、神経伝達や免疫などに関連する24の遺伝子が、うつ病患者と健常者で異なる働き方をすることを突き止めた。

医師の面接によってうつ病と診断された17~76歳の患者46人と健常者122人を分析した結果、

うつ病患者の83%(38人)、健常者の92%(112人)で、特定の遺伝子が突き止めた通りに反応し、正しく判定できた。

治療薬による影響で遺伝子が反応する可能性を除くため、うつ病の患者はまだ治療していない人を対象にした。

研究班は今年から2年間、対象を増やして診断し、実用化できる精度か確かめる。

うつ病以外の精神科の病気と、はっきり見分けることができるかも調べる。実用化されれば、

患者から採った血液2.5ミリリットルを処理した液を、遺伝子チップという分析器具で反応させて診断できるという。

厚労省の調査で、うつ病など気分障害と診断された人は、05年で92万4千人。6年で倍以上に急増している。

うつ病は、医師が患者と面接し、症状から診断している。

しかし、うつ病と他の病気との境目があいまいな例も多く、専門医でも診断に迷うことが少なくないという。

大森教授は「血液検査による診断法が実用化されても、医師の面接による診断は必要だ。血液検査が実用化、普及すれば、

一般の医師が診察する際に、これまで見過ごされてきた患者を治療に結びつけることが期待できる」と話している。

国立精神・神経センターの樋口輝彦総長(気分障害薬理生理学)の話 

今回の診断法が高い確率でうつ病を見分けられることが明らかになれば、

診断の手法として有効な方法といえるのではないか。可能性は十分にあると思う。

今後、白血球の遺伝子の変化と、うつ病の原因とされる脳内の変化との関係がわかれば、うつ病の原因究明にもつながる。


◆コメント:精度を高めるためには、まだ時間がかかりそうだが、うつ病患者にとっては朗報である。

長引く不況と共にうつ病患者が増えていて、それ以前から日本では、10年連続自殺者が3万人を超えている。

自殺者の全てではないが、かなりの割合で、うつ病を発症していたが、適切な治療を受けていなかった人がいた、

と推定される。


私は10年来の遷延性・難治性うつ病患者だが、この病気の辛さは、病気がもたらす、憂鬱感、気力の無さ、不眠などの

症状そのものだけではない。多くの患者にとっての悩みは、

見た目が普通なので、病気を理解しようとしない人々には、「怠けている」「根性が足りない」と誤解される。

ことなのだ。

他の身体の病気(うつ病も脳という臓器の病気なのだが)のように、データ、客観的な情報として、「この人はうつ病である」ということが、

「証明」出来ないのである。

うつ病のみならず、現在、世界標準の精神疾患診断基準は、アメリカ精神医学界が編纂した、DSM-Ⅳ

(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders version4=精神疾患の分類と診断の手引第四版)に従っている。

しかし、これは、あくまでも一つの目安である。もしも、いちいちこの本を見ながら診断を下す精神科医がいたら、間違いなくヤブ

と思っていい。

現状、他の病気も含めると話が煩瑣になるので、話をうつ病に限るが、診断は、精神科医が患者と面談して受けた

「印象」と「臨床経験」に基づいている。

他の臓器の疾患であれば、心臓病なら、心電図、心エコーなどにより、診断が可能であるし、

肝機能・腎機能に異常がある場合も、血液検査から、その客観的な証拠を示すことが出来る。

しかし、精神科には、それに匹敵する、客観的な証拠が、はっきり言って存在しなかった。


このため、大きな声では言えないが、実は、医療従事者の間でも、精神科は、科学と文科系の中間とでもいおうか、

医師のさじ加減でどのような診断も出来てしまう、という点で他科に比べ、科学的客観性に欠けるため、偏見を持たれているようだ。

他科の医師は精神科のことを「P科(psychiatry:サイキアトリー。英語で「精神科」の意)」とか「プシコ(psychology=心理学)」

などとバカにしている。


しかし、転載した朝日新聞がの記事の内容が正確であるならば、今後「純科学的(医学的)に」うつ病診断が可能になる。

尤も、精神科の患者そのものに対する偏見が社会に存在する限り、それで、問題の全てが片付くわけではないが、

大きな進歩であることは論を待たない。


◆「エセうつ病患者」を減らす意味でも有効だろう。

元来うつ病というのは、1日中、何週間、何ヶ月、何年にも亘って、ずっと憂鬱なのである。

従来好きだったテレビも全然面白くないし、私の場合、長年好きだった読書が一時期、全く出来なくなった。

好きな音楽すら聴く気力が無い。何を見ても興味がなく、ただひたすら、ボーッとしているしかなかった。

精神運動抑制、あるいはアンヘドニア(anhedonia=無快感症、無気力症)という状態が長く続いた。

ところが、最近、非定型うつ病という妙な概念が提唱され始めた。

これは、会社にいるときには、憂鬱だが、仕事が終わって趣味など自分が好きなことをするときには、

元気になる、という。

今までは、うつ病を全く理解しようとしない人々に憤りを感じたが、このような「非定型うつ病」は私に言わせれば、

それこそ、「怠け」ではないかと思う。これをうつ病にしたら、ますます世間の誤解を招く、と懸念していた。

新しい、うつ病診断技術が、この「非定型うつ病」をどのように判定するか、分からないが、

少なくとも、従来の、「本当の」うつ病。毎日、1日中、何処か憂鬱感か不安感があり、それがずっと続く

うつ病の患者と全く同じ結果にはならないと思う。

なまじ、うつ病の情報をネットで簡単に調べることができることになったので、

ウツを装った怠け者、も実際には要るに違いない。しかし、新しい研究が

約3万個の遺伝子の中から、神経伝達や免疫などに関連する24の遺伝子が、

うつ病患者と健常者で異なる働き方をすることを突き止めた。

のであれば、似非(えせ)うつ病は、通用しなくなる。その点でも、有り難い。

血液検査によるうつ病診断法の一刻も早い実用化を期待したい。

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