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2009.08.22

【訂正・グラフ表示】景気底打ちと言いきって良いか疑問が残る。今週発表された経済指標から。

◆17日、月曜日。今年4-6月期のGDP(国内総生産)が5四半期ぶりに前期比プラス、と騒いでましたね。

今週月曜日、私が旅行に出かけた日に、今年第2四半期(4月-6月)のGDP(国内総生産)速報値が

発表されました。GDPとは

国内の経済が新たに生み出した「付加価値」の総額。

です。
◆記事:GDP5期ぶりプラス成長=4~6月期、実質年3.7%増-速報値(8月17日9時0分配信 時事通信)

内閣府が17日発表した2009年4~6月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、

物価変動の影響を除いた実質で前期比0.9%増、年率換算で3.7%増となった。

世界的な金融危機の打撃を受けた08年10~12月期(年率13.1%減)と09年1~3月期(同11.7%減)は歴史的なマイナス成長が続いたが、

輸出の持ち直しと経済対策の効果で急回復し、5四半期ぶりにプラス成長に転じた。

 政府は6月の月例経済報告で景気の底打ちを宣言したが、GDP統計からも最悪期を脱したことが確認された。

林芳正経済財政担当相は同日の記者会見で「(雇用悪化懸念など)厳しい状況が続くが、景気は持ち直しに向かう」との見方を示した。

一方、物価変動の影響を含み、生活実感に近い名目GDPは前期比0.2%減(年率0.7%減)と5期連続のマイナス。

3期ぶりに名目が実質を下回りデフレを示す「名実逆転」に戻った。

全てのメディアが5四半期ぶりに前期比(その前の3ヶ月。今年の1-3月期)プラスになったことを、

それは事実なのですが、必要以上に強調しています。実質GDPは前期比ではプラスですが、実質GNPというのは、インフレの時に、

意味があるのです。ものすごく乱暴に説明すると、
実質GDP=量
名目GDP=金額

です。例えばある会社が一個1万円の製品を100個作って売ったとしたら、売上げは100万円です。

ところがすごいインフレで、3ヶ月後、同じ製品を同じく100個しか作って売っていなくても、

物価が急騰していて、同じ製品の値段が2万円になっていたら、

経済活動拡大していない(量は増えていない)のに、利益は2倍の200万円になります。これが名目GDPです。

本当に景気が回復して経済活動が活発になっているのなら、生産「量」が増えなければなりません。

それを見極めるために、名目の売上げから物価上昇率を勘案して、本当の経済活動がどうなっているのか

見るための経済指標が、「実質GDP」です。

◆今は、デフレ気味なのですから、名目GDPが増えなければ意味がないのです。

上で説明したとおり、実質は量。名目は金額です。

月曜日に発表された、GDPで「量」は増えたのですが、太線で強調したところを読んで下さい。

名目GDPは前期比0.2%減(年率0.7%減)と5期連続のマイナス。

実質GDPが一回、前期(1-3月期)比プラスになったからといって、「景気の最悪期を脱した」と結論づけるのは、

早計です。株式や為替の相場にせよ、経済指標にせよ、「トレンド」(傾向)を見極めるべきです。

一回では何もわかりません。日本の物価は急落していないけれども下落傾向(デフレ傾向)にあります。

それは、このグラフを見れば分かるでしょう

090821japancpi

物価が下がり続ければ企業の収益が増えませんから、従業員の給料も減ることはあっても当分増えることはない。

当然家計は苦しくなる。家計はお金を使わなくなる。一層モノがうれなくなる。モノが余る(供給過剰)が続く。

市場原理によって、物価は低下を続ける。こうなるとデフレスパイラルといいます。


◆個人消費が低迷していることをしめした、百貨店売上高、コンビニ売上高。

実質GDPが5四半期ぶりに前期比プラスになった、と新聞が大本営発表をそのまま報じた翌日、

7月の全国百貨店売上高が発表されました。

◆7月の売上高、過去最大の落ち込み=11.7%減、夏商戦の不振鮮明-全国百貨店(8月18日19時0分配信 時事通信)

日本百貨店協会が18日発表した7月の全国百貨店売上高は、前年同月比11.7%減(既存店ベース)の6185億円と

17カ月連続で前年を下回った。下げ幅は、夏物セールの前倒し効果で1ケタ台に改善した6月(8.8%減)から再び悪化し、

7月としては過去最大。夏季一時金の減少で消費が低迷する中、天候不順による来店客の減少も重なり、夏商戦の不振が鮮明となった格好だ。

さらに、小売業では、唯一売上高前年同期比プラスを続けていた、コンビニまで失速しました。
◆<コンビニ売上高>最大の落ち込み幅 7月7.5%減(8月20日20時29分配信 毎日新聞)

日本フランチャイズチェーン協会が20日発表した7月の全国主要コンビニエンスストアの売上高は、

既存店ベースで前年同月比7.5%減の6548億円だった。売上高の減少は2カ月連続だが、

落ち込み幅は98年12月の調査開始以来最大。たばこ自販機用成人識別カード「タスポ」導入効果の一巡が最大の要因で、

便利さを武器に“小売業界の優等生”として、成長を続けてきたコンビニの失速ぶりが鮮明となった。

モノが売れない状態が続けば、既に下がり気味の物価が、更に下がりますね。それが続けばデフレスパイラルですね。


◆日本銀行も最終需要(個人消費)を大変気にしています。

日本銀行は先週の月曜、火曜と金融政策決定会合を行い、現在の金融政策を維持することをきめました。

2009年 8月11日 当面の金融政策運営について(現状維持、11時51分公表) (PDF, 122KB)



これ自体は予想通りです。今金融政策を劇的に変更する理由がない。

問題は金融政策決定会合で、我が国の金融政策を決める人々は、本当はどう思っているのか、です。

それは、金融政策決定会合の後、毎月行われる日銀総裁の記者会見要旨をよく読む必要があります。

2009年 8月12日 総裁定例記者会見(8月11日)要旨 (PDF, 211KB)

この中で、日銀はやはり、最終需要(個人消費)がどうなるか、注視していることが分かります。

質疑応答から抜萃引用。PDFファイルのページだと8ページから。

(問) 本日の公表文をみますと7月分とほとんど変わりがなく、個人消費や設備投資、所得環境について

の記載も先月からほとんど文章的には変更がないように思えます。ここ1か月ないし数か月間、失業率

の上昇や、サーベイ等において先行きの設備投資に関する慎重な態度、所得環境の悪化がみられている

と思います。本日の公表文には記載がなかったように思いますが、昨日までに発表された指標をもとに、

今後の見方の変化や先行きの慎重論について、お伺いできますか。

(答) 景気の現状評価および見通しを語る時に、短期的な動きと少し長い経済の動きをどのように分けて

説明していくのかというのは悩ましい課題だと思っています。足許の景気の動きについては、先程申し

上げた通りですので繰り返しませんが、私どもが気にしていることは、現在の内外の政策効果、あるい

は在庫調整が一巡した後の最終需要の強さにまだ確信が持てないということです
。そうした確信が持て

ないのは、2000 年代半ばにかけて蓄積された世界経済の様々な不均衡が非常に大きく、その結果、そ

の調整にも時間がある程度かかるということが背景にあります。その意味で、回復した場合でも、その

強さについては目覚ましいものではないという判断があるわけです。

全部引用すると長くなるので私が要約します。
昨年9月15日のリーマンブラザーズの破綻以来、急激な金融収縮が生じて、

その所為で世界の経済活動が落ちこんで、需要と供給のギャップが大きい。つまり、

供給が多いので、物価に下方圧力がかかっている。今回(リーマン以降)世界経済に加わったショックが

ものすごく大きいので、物価の安定までにも時間がかかるだろう、ということです。

このような状況(リーマンを発端として世界中が金融危機になる)は誰も経験していないので、はっきり言って、

まだ完全に安心は出来ない。

金融システムが完全に安定するまでは、物価にも下落リスクがある、と白川日銀総裁は非常にはっきりといっているのですが、

政府与党は、選挙直前で、自公政権の景気対策が奏功して、5四半期ぶりにGDPが前期比プラスになった、

と「実績」を強調したいわけですが、はっきり言って、自民党の景気対策があろうが無かろうが、関係なかったと思います。



◆私見:暫く、所得減税するべきだと思います。

民主党もマニフェストで、下手だな、と思うのは、補助金とか給付金とかバラマキ項目を並べていますが、

財源の根拠がはっきりしない、と自民党に言われています。

そしてバラマキ始めると、目が行き届かないところが必ず出て不公平になります。

要するに景気が悪くて、最終需要=家計の消費が増えないのは、可処分所得が少ないからです。

給料は上がらないどころか、下がる。ボーナスも下がる。これではおカネを使えません。

かといって民間企業の給与に政府がクチを挟むのも良くない。一時的には税収が減っても、所得税減税をして、

家計の可処分所得を増やすのです。それを子育てに使うか、医療に使うかは、各世帯に任せればよい。

すると、モノやサービスが売れるようになる。→企業収益が改善する→時差はあるでしょうが、給与を増やせる

給与が増えて減税してるのですから、可処分所得はもっと増える、→経済活動が活発になる。

→デフレの危険も回避出来る。→企業収益が改善すれば、株価も上がる→株式評価損を抱えて融資に慎重になっている

銀行もおカネを貸し出す。→ますます、経済活動が活発になる。また、投資家の有価証券含み損がへる。

株・債券の市場が活気を取り戻す。全体の経済活動が活発化すれば、一時落ちこんだ税収も増える。

というのが、簡単かつ実効性のある財政政策だと思いますが、自公・民主ともに、公約に「定率減税の導入」って

いれていないか、入れていてもあまり本気で主張していないでしょう?

つくづく、下手だな、と思います。

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