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2009.08.08

「<酒井法子容疑者>最高裁が使用自粛 主演の広報用映画」←最高裁は「無罪推定原則」を知らないのですか?

◆記事:<酒井法子容疑者>最高裁が使用自粛 主演の広報用映画(8月7日20時40分配信 毎日新聞)

最高裁は7日、覚せい剤取締法違反容疑で逮捕状が出た酒井法子容疑者が主演する裁判員制度の広報用映画「審理」について、

使用を自粛すると発表した。最高裁のウェブサイト上での無料動画配信を停止するほか、

DVDやパンフレットの貸し出し、配布を中止した。全国の地裁や家裁などに掲示した広報ポスターも撤去する。


◆コメント:刑事裁判の大原則「推定無罪」の有名無実化に最高裁が加担している。

あまりにもマスコミも世間も騒ぐので、馬鹿馬鹿しくなり、この件は取りあげないつもりだったが、

上の記事を読んで気になったので、やはり、書く。

現時点での客観的事実は、

1.タレント、酒井法子容疑者に対して、覚せい剤取締法違反容疑で逮捕状が出た。

2.同容疑者の所在が不明である。

ということだけである。にも関わらず、殆どのマスコミは、

「逮捕状が出た=酒井容疑者の有罪確定」であるかの如き報道をしている。

マスコミが大きく取りあげるのは、テレビは視聴率を稼げるし、新聞は売上げが伸びるからである。

それは毎度のことだが、忘れてはいけないことがある。


酒井容疑者が、今後もし逮捕されたら、その後、身柄を検察に送致され、検察官が取り調べを行い、

起訴するかどうか、つまり、刑事裁判を起こすのかどうかを決定する。

仮定上の話として、検察が酒井容疑者を取り調べることになったとしても、酒井法子さんはまだ「被疑者」である。

被疑者は「無罪が推定される」

そしてもし、検察が酒井被疑者を有罪に出来ると確信したら、初めて起訴を決める。

起訴されると、酒井「被告人」になる。しかし、それでもまだ、

刑事被告人は有罪判決が確定するまでは「無罪」と推定される。

これが近代刑事裁判の大原則「推定無罪」又は「無罪推定原則」である。


警察とマスコミはかつて、松本サリン事件において、

大失態を演じた。警察は、無実の第1発見者、河野義行氏を犯人と決めつけた。

マスコミは警察発表をそのまま記事にするだけで、警察の捜査、取り調べに問題がないのかどうかも確かめなかった。

ニュースを見た国民は皆、河野義行氏が犯人と思いこんでしまった。

結果的に河野氏は無実であり、真犯人はオウム真理教だった。


当時の国家公安委員会委員長、野中広務だけが河野氏の元に直接謝罪に訪れた。

新聞各社は謝罪記事を掲載したが、実際に責任者が謝罪にきた社は無かった。


あれほど、取り返しの付かない失態を演じておきながら、マスコミは懲りずに同じ事を繰り返す。

私は、本件(酒井法子氏)の詳細に個人的興味は無い。

言い方を変えれば、酒井被疑者が覚醒剤を使用しているかどうか、知ったことではない。

場合によっては、酒井被疑者は逮捕され、送検され、起訴され、有罪判決が下される可能性は、勿論、ある。

それは結果論であり、本稿で強調しているのは、刑事裁判の一般的な原則。考え方である。

繰り返すが、酒井被疑者は、法的には、無罪と推定される。

マスコミ各社がミスリーディングな報道をするのは前述のとおりだが、私がおどろいたのは、

最高裁が、酒井法子容疑者が主演する裁判員制度の広報用映画「審理」について「使用を自粛する」

と決定したことである。司法の頂点にある裁判所が、無罪推定原則の有名無実化に加担している、

と言って良い。それこそが大問題だ、と主張しているのだ。

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コメント

Dukeさん、こんばんは。 

世間はともかく、新聞社の法廷(法曹)担当記者は、この最高裁の行為の重大性が理解出来るはずで、

Dukeさんのおっしゃるところの「司法の自殺」は決して、大袈裟ではない。最高裁自らが「推定無罪」の形骸化を認めたも同然です。


酒井被疑者の出演する映画の使用自粛に最高裁判事が関わったかどうか分かりませんが、

事務方が勝手にやったことだとしたら、やはり最高裁の裁判官として、監督責任があると思います。

衆議院と同時に「最高裁判所裁判官国民審査」が行われます。いままでは実質形骸化しておりました。どうでしょう。

今回は全裁判官に×(バツ)を付けるというのは?

前代未聞のことですが、最高裁として正しく機能していないのですから、こういう時にこそ、この制度(それで実際に罷免されるかどうかは別として)

を利用して、主権者たる国民が司法に対し警鐘を鳴らすべきではないか、と思うのですが。

投稿: JIRO | 2009.08.19 23:13

Jiroさんのおっしゃる通り、この事件で最も重大な問題は、酒井夫妻の覚せい剤所持・使用でも、その知人たちの犯人隠避・逃亡幇助でもなく、最高裁が映画の使用を自粛したことです。
最高裁は知らん顔して使用を続けて、何か言われたら「無罪推定を貫くのが裁判所だ!」と胸を張って言い切るべきでした。裁判員も審理に臨むときにはそのように考えてくれ、と。
今回の自粛は「司法の自殺」です。
マスコミはこの問題をこそ深くえぐって報道すべきだと思いますが、それは無いものねだりなんでしょうね。

投稿: Duke | 2009.08.19 12:51

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