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2009.10.07

「家族間殺人は経団連にも責任」←亀井金融相調子に乗りすぎ。

◆記事:「家族間殺人は経団連にも責任」波紋広がる(日テレNEWS24 - 10月06日 19:53)

日本で家族間での殺人事件が増えていることについて、亀井金融・郵政相が5日に「日本経団連にも責任がある」と発言し、

波紋を広げている。亀井金融・郵政相は6日、大企業の経営姿勢を批判した。

亀井金融・郵政相は5日に行われた講演の中で、今年春ごろに日本経団連・御手洗会長と会談した際のエピソードとして、

「殺人事件の半分以上は、親子・兄弟・夫婦の殺し合いになっている。社会をおかしくしていることを、

責任を感じなきゃダメだってと(御手洗会長に)言った」と述べた。

亀井金融・郵政相は6日の会見でも、「大企業の経営が、人間を単なる利益を得るための道具としか考えない風潮を作った」と指摘し、

下請け企業にもうからない値段で仕事を発注したり、人件費削減のために従業員を派遣労働に切り替えたりした大企業の経営を批判した。

また、そうした経営が人間関係や家族の崩壊につながっている面があると指摘し、家族間の殺人の増加についての「日本経団連にも責任がある」

という発言を取り消すつもりがないことを明らかにした。

これに対し、御手洗会長は「私たちは日本的経営を捨てたつもりはございません」とした上で、

「亀井金融・郵政相と会談はしたが、このような会話は覚えていない」と話している。


◆コメント:問題は2つ。事実の誤認と、論理の飛躍だ。

亀井金融相は、小泉純一郎が首相になった時に煮え湯を飲まされ、余程4年間

「こんちくしょう」と思っていたのだろうが、「江戸の仇を長崎で・・・」にしても少々はしゃぎ過ぎである。


本件に関して言えば、まず、事実の認識に誤りがある。

昨年、私は、「Always 三丁目の夕日」の時代(昭和30年)の方が今よりもずっと殺人事件認知件数は多かったのですな。ココログ)を書いた。

お読み頂くと有難いが、結論だけ、ここに書くと、
メディア報道により、殺人事件は年々増加の一途を辿っている「印象」を受けるが、実際は昭和30年代半ばの殺人事件は今の2倍も起きていた。

のである。正確には「警察庁の殺人事件の認知件数の推移をみると、昭和34年は平成16年の倍もある」ということだ。


この件につき、私よりも一層詳しく書いておられる方がいらっしゃる。

凶悪犯罪増加の誤解を解くページ である。

そこには、正に亀井大臣が言及した「家族間殺人」(家庭内殺人)について、家庭内殺人大幅増は錯覚です という稿がある。

まず、平成19年(2007)の殺人発生数は戦後最低であることが統計上明らかだ、と述べられており、

更に、嬰児殺(赤ちゃん殺し)と幼児殺人被害者数統計を見れば分かるとおり、子殺し(大部分は母親によるもの)は激減している。

次に親殺し統計を見ると、直線的に減り続けてはいないが昭和30年代が一番多かったことは明らかである。


そして、殺人事件全体の認知件数は平成20年と昭和33年(あののどかな映画「Always 三丁目の夕日」で設定された年)を比べると、

091006murder

後者が前者の2.5倍もあったのであり、殺人事件の総数が減っている中で家族間殺人の「比率」が増えているとしても、

その絶対件数は確実に減少している筈である。


◆家族間殺人が増えていることと、大企業の経営の因果関係は立証出来ない。

亀井金融相は、「大企業の経営が、人間を単なる利益を得るための道具としか考えない風潮を作った」と指摘し、

「そうした経営が人間関係や家族の崩壊につながっている面がある」とのべ、家族間殺人比率の増加が経団連にある、

というが、それは論理の飛躍である。

確かに、自由経済重視、市場原理主義、競争原理などアメリカ式資本主義を信奉したのが、

小泉=竹中の経済政策の柱であり、それは、社会の風潮を殺伐とさせたかも知れないが、

だからといって、人を殺して良いわけがない。

人を殺した責任は、殺人は違法行為であると知りながら、自由意思に基づき殺人を実行した本人に存するのであり、

経団連の所為だ、というのはあまりにも論理が飛躍している。


◆日本銀行の独立性を侵害している。

殺人事件と、完全に話が別である。今朝の日経朝刊は一面に次の記事を載せた。

◆記事:CP・社債買い取り、年末打ち切りへ 日銀検討 (日経)

日銀は5日、金融危機対応策として導入した企業金融支援策のうち、企業が発行したコマーシャルペーパー(CP)と

社債を市場から買い取る措置について年末で打ち切る方向で検討に入った。

金融市場の安定でCPや社債の発行環境が改善したため必要性が低下したと判断。10月中にも決める。

日銀による危機対応策の解除は初めて。ただ、景気の先行きや中小企業金融は慎重にみており、超低金利政策は継続する。

これを読んだ亀井金融相は、まだ、CPや社債の買い取りを打ち切るのは早い、と主張したのだが、言い方が良くない。
◆亀井金融相「日銀はときどき寝言」危機対応打ち切りをけん制(NIKKEI NET)(10月6日13:23)

亀井静香郵政・金融担当相は6日の閣議後の記者会見で、日銀が金融危機対応で導入した企業のコマーシャルペーパー(CP)と

社債を市場から買い取る措置について、「いまは(危機対応からの出口戦略を探る)状況ではない」と述べ、

打ち切るのは時期尚早との見方を示した。

藤井裕久財務相は同日の閣議後会見で「日銀は国の経済政策と調和した政策をとると思う。

(現在は)日銀が企業の資金繰りを見る段階ではないか」と述べた。

亀井金融相は景気認識について「回復過程に入っているとは見ていない」と指摘。

そのうえで、日銀がCPなどの買い取りを年末でやめる方向で検討に入ったことに関連して、

「日銀はときどき寝言みたいなことを言う」と述べた。

一言余計なんですよ。これ読んだら、日銀総裁だって、不愉快であろう。

金融相が公の場で、日銀が真剣に検討している内容を「寝言」呼ばわりしたのだから。

中央銀行の独立性は、守られなくてはいけないのである。

政治家が、人気取りの為に、或いは偉そうに振る舞いたいが為に、中央銀行の意思決定を

牽制してはならないのだ。

本件に関しては、内閣総理大臣が金融相を厳重注意すべきである。

放っておくと、亀井氏は言いたい放題を続け、日本の新政権は如何にも意思が統一できていない、

という印象を世界中のマーケットに与え、それは、日本の信用を低下させることになるだろう。

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