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2009.11.29

ドバイで何が起きたのでしょう?

◆何がおきたのか。

ドバイ・ショックに関しては、圧倒的に情報が足りませんが、分かる範囲で書きます。

ただ、ちょっと私から見ると滑稽です。事の重大さにおいては2008年9月15日のリーマン・ショックは桁違いです。

私はまさか、リーマンをアメリカが潰すとは思いませんでした。あの日、リーマンを潰したのが原因で、いまだに世界不況が

続いている、といっても過言ではない。後付けで書くのは簡単ですが、私は当時、

「米証券大手リーマン、破産法適用申請へ」←三菱UFJか三井住友か、みずほが潰れたようなものです。超一大事です。ココログ

を書きました。これが原因で、世界中が(金融)パニックに陥るぞ、と書きました。

その通りになりました。各国の中央銀行が自国の民間銀行に公的資金を注入して資本を増強し、

金融機関が破綻するかも知れないという不安を払拭してなんとか金融恐慌をもたらしましたが、

どうも世の中、のほほんとしていました。今回、ドバイも晴天に霹靂ですが、

今回騒ぐならば、リーマンのときにどうしてあれほど暢気だったの?と、やや皮肉なことを書きたくなります。

今回何が起きたか。事実だけを書くと、

ドバイ政府の持ち株会社ドバイ・ワールドと傘下の開発会社ナキールが、25日に総額590億ドル(約5兆円)の債務返済を繰り延べるよう要請した。

ということです。


◆何が問題なのか。

ドバイとは、アラブ首長国連邦(UAE=United Arab Emirates)を構成する7つの首長国の1つで、

正確にはドバイ首長国です。あまり石油が出ないので、観光業、金融業、不動産開発に力を入れて、

1970年代から、顕著な経済成長を遂げました。

不動産開発が活発化するように、税制面で優遇し、規制を緩和したので、周りの産油国の資金や、

その他、海外の不動産開発業者を積極的に呼び込み、超高層ビルや大規模リゾートの建設ラッシュが起きました。


最初は良いのですが、日本のバブル崩壊も、アメリカのサブプライムローン問題と、ドバイも原理的には同じです。

つまり、高層ビルやリゾート施設を無限に建設し続けることはできないのですから、何処かで頭打ちになります。

建設ラッシュの頃は海外投資家が競って土地を買いますから、不動産価格が上昇しますが、これ以上買えない、

となれば、価格は暴落します。バブル崩壊そのものです。

ドバイの場合、その傾向が去年から出ていましたが、運悪く、リーマン・ショックが起きたので、

世界の投資家は大損害を被り、ドバイに投資する余裕が無くなりました。おカネがドバイから引き揚げられて

いきました。ドバイの政府系開発会社ナキールは、リゾート人工島の造成を行ったり、

退役したクイーンエリザベス2世号を買収したり、派手なことを続けていましたが、外国の投資家が、

リーマン・ショック以降に資金を手元に戻しました「投資マネーの流出」とはそういうことです。

いくらでも海外投資家の資金を集められると思っていたナキールははしごを外された格好になりました。

それで、ヨーロッパの大手銀行から借りていたおカネを期日に返せない、というのです。

今回は12月中旬以後に返済期限を迎える債務の支払いを半年間延期するよう、欧州系金融機関に要請しました。

欧州系金融機関から見れば、貸したおカネが焦げ付いたわけです。総額約5兆円が不良債権になる、といわれています。

当然、ヨーロッパの銀行の業績が悪化します。すると、銀行は融資に慎重になり、自国の企業は必要なおカネを

調達できなくなる。クレジットクランチといいますが、リーマン・ショック以降、リーマンに投資していた世界中の

銀行が損失を被り、クレジットクランチが起きたことが今の世界不況の原因だったのです。

最近漸く、そこから、薄皮を剥がすようにではありますが、立ち直ってきたな、と、

やや、世界の金融市場に安堵感が広がっていたのに、ドバイの政府系持ち株会社が、

「約5兆円、返済を猶予して下さい」といったので、「またか」という訳です。

前述したとおり、リーマンが潰れたときに、世界の銀行が被った損失に比べれば、

大したことはない、と思いますが、問題は、全貌が明らかではないことです。

つまり、ドバイワールドが全てなのか、という疑念が持ち上がるのです。

欧州の金融機関は他にも巨大な不良債権を抱えているのではないか?と、いうことです。


◆どうすれば良いのか。

この記事の冒頭に、情報が圧倒的に不足している、と書きました。

それは、

本当は欧州の各銀行はドバイワールドにどれぐらいの債権をもっているのか?

ということと、もし、ドバイが半年猶予と言っていますが、返済不能に陥ったときに、

欧州で、それが原因で潰れる銀行はないのか?ということが不明だ、という意味です。

因みに邦銀では三井住友が200億円程度の債権をもっているようですが、三井住友フィナンシャルグループの

総資産は約111兆円ですから、心配するほどではないでしょう。


欧州系金融機関は財務の全貌がよく分からないから、徒に金融市場の不安を募らせるのです。

ドバイワールドに対して、各銀行はいくら債権をもっているのか。

各銀行はそれが全部貸倒になっても潰れないのか。

ドバイワールド以外に、中東に限らず、回収不能の巨額債権はないのか。

などを、明らかにすることが、事態の沈静化に、最も必要なことだと思われます。

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コメント

antoinedoinelさん、こんばんは。

>やはりエミレーツで行くことに決めました。

はい。その頃には事態は収拾しているというか、前に書いたとおりエアラインの運航には、
支障ない、と思います。

>「何かが起こったとしても,それは神様が決めたことがからしょうがない」
それよ。それなのよ。商社の人、本当に苦労するらしいです。アラブ担当の人。
契約当日になって「やっぱり止めた。」と、平気で言うことがしばしば。

何故なら「神様が決めたことだから」。
ずるいよー。神様じゃなくてアンタが決めたんだろー、と言っても通用しない。

話が逸れますけど、アメリカ人はそこのところがどうしても分からないのね。
「中東で紛争が絶えないのは民主主義が定着していないからで、民主主義を教えてやれば、
万事、丸く収まるのだ」というのが、ネオコンの思想ですが、ここでいう「民主主義」は
アメリカ式民主主義ですからね。アメリカ人は世界中をアメリカにすれば上手くいく、と
思っているけど、そうじゃないことはイラクを見て明らかで、フセイン独裁の頃の方が、
ずっと平和だった。アフガニスタンの反米テロを掃討するというけど、「米」がいるから、
「反米テロ」がなくならないんで、「米」がさっさと引き揚げれば少なくとも「反米テロ」を
起こしようがない。無論、「米」がいなくても宗教的・民族的対立はありますが、それは、
アフガニスタンの内部事情だから、ほっとけばいいんですよね。いつまで経っても分からない。
オバマはこれから増派し、2011年に撤退する、と12月1日に発表しましたが、それなら、
最初から撤退すりゃ良いじゃないか?と思います。

投稿: JIRO | 2009.12.03 02:12

JIROさん,お返事ありがとうございました。
あれから数日,色々考えましたが(ナントカの考えは休むに似たりと言いますが)
やはりエミレーツで行くことに決めました。
3ヶ月でエミレーツが消えてなくなることはないでしょうし,
そうなればなったで私も「インシャラー」と思うことにします。

前にエアインディアのパイロット(ヒンドゥー教徒のインド人)と話したことがありますが,
「飛行中に怖いと思ったことはありませんか?」と訪ねると
「何かが起こったとしても,それは神様が決めたことがからしょうがない」
と答えが返ってきて,宗教観の違いをつくづく感じたものです。
(神の采配に身を委ねる前にプロとして最大限の努力をしてよ,とも思いましたが)
一般的にインド人は,自分の力で運命を変えてみせるとか,そういう発想はないようです。

JIROさんが12月1日の記事に書かれていた「ドバイ政府は債務保証せず」を読んだ時も
「さもありなん」という感じでした。それでこそイスラム国家(?)。
エミレーツ航空に電話してあれこれ質問したとき,
「たいへん失礼ですが,万一会社が倒産した場合,航空券を買った人はどうなるのでしょうか?」
と訊くと「あ,その場合はただの紙切れになってしまいます」と明るくサックリ言われ,
そのアッケラカンぶりに笑ってしまいました。

投稿: antoinedoinel | 2009.12.03 01:14

antoinedoinelさん、コメントをありがとうございます。

>金融不安→即,航空会社倒産ということはないと思いたいのですが。

その通りです。

ドバイ・ショックといっても、ドバイ首長国の財政が破綻したわけじゃないですから、

エア・ラインは関係無いと思いますよ。

ドバイは借金を踏み倒そうとしているわけで、ヤバいのは踏み倒される側、

つまり主に英国の銀行や投資銀行ですが、それにしても、これも英国のエア・ラインの経営には直結しないと思います。

将来的には、ドバイへの投資熱が醒め、旅客数が激減し、エミレーツが経営難、という事態を

無理に想像しようとすればできないことはないと思いますが、

来年の3月までに、そのような劇的な変化が起きることはない、と思います。

さほど、ご心配は無用だと思います。

投稿: JIRO | 2009.12.01 23:02

来春イランに行く予定なのですが,情報が少ないもので旅程や航空会社選びに手間取ること約1ヶ月。
やっと「よし,エミレーツ航空に決めた!」とスッキリしたその瞬間,テレビのニュース番組が始まり
「ドバイショック!」とフルタチさんが絶叫したのです。
でええぇぇー!?エミレーツはドバイのフラッグキャリアなんですけど!!
今は関空から毎日飛んでいるエミレーツですが,春にはどうなっているか・・・?
(成田便も3月から就航することになっていますが,どうなるか?)
金融不安→即,航空会社倒産ということはないと思いたいのですが
今回のイラン行きは仕事なので失敗するわけにはいかず,
もうスケジュールを組み直すのにもウンザリしていて,ブルーな気分です。
すみません,愚痴になってしまって。
ドバイショックにショックを受けた,という話です。。。

投稿: antoinedoinel | 2009.11.30 01:42

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