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2010.03.13

「坂本龍一さんら19人、芸術選奨大臣賞に」←どうして安永徹さんや土屋邦雄さんは、何も表彰されないのか。

◆記事:坂本龍一さんら19人、芸術選奨大臣賞に(3月12日20時16分配信 読売新聞)

文化庁は12日、2009年度の芸術選奨文部科学大臣賞と同新人賞の受賞者を発表した。

文部科学大臣賞には、音楽家の坂本龍一さん(58)、評論家の西部邁さん(70)ら19人、

同新人賞には、映画監督、脚本家の西川美和さん(35)らが選ばれた。

贈呈式は19日、東京都千代田区の旧文部省庁舎で行われ、賞状と賞金30万円が贈られる。



◆受賞者は次の通り。(敬称略)

◇芸術選奨文部科学大臣賞

【演劇】俳優 嵐圭史(69)、

演出家 鵜山仁(56)

【映画】編集技師 川島章正(59)、美術監督 種田陽平(49)

【音楽】尺八演奏家 三橋貴風(60)、箏奏者 吉村七重(60)

【舞踊】ダンサー 岩田守弘(39)、日本舞踊家 三代目花柳寿美(68)

【文学】作家 稲葉真弓(60)、歌人 柳宣宏(56)

【美術】彫刻家 長澤英俊(69)、日本画家 山本直彰(59)

【放送】プロデューサー 塩田純(49)

【大衆芸能】音楽家 坂本龍一(58)、落語家 四代目林家染丸(60)

【芸術振興】財団法人たんぽぽの家理事長 播磨靖夫(67)

【評論等】編集者 斎藤慎爾(70)、評論家 西部邁(70)

【メディア芸術】東京芸術大学大学院映像研究科長・教授 藤幡正樹(53)



 ◇同新人賞

【演劇】作家 前川知大(35)

【映画】映画監督 西川美和(35)

【音楽】バイオリニスト 庄司紗矢香(27)

【舞踊】日本舞踊家 山村若有子(53)

【文学】作家 川上未映子(33)

【美術】写真家 津田直(33)

【放送】ディレクター 黒崎博(40)

【大衆芸能】ジャズ・バイオリニスト 寺井尚子(42)

【芸術振興】演出家 中島諒人(44)

【評論等】東京文化短期大学教授 岩切信一郎(59)

【メディア芸術】アニメーション映画監督 細田守(42)


◆コメント:納得できません。

弊日記・ブログを御愛読下さっている読者の皆様方は、

かねて私が、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の第一コンサートマスターを25年間の長きにわたり

務めて、昨年、3月31日を以て退団なさった安永徹さんの業績がどれほど偉大であるか。

また、それを私がどれほど尊敬しているか。日本国が安永さんを正しく評価できないことに、

如何に苛立ちを覚えているか、僭越な書き方ですが、ご理解頂いていると思います。


別に安永さんご本人は、勲章やら、文化庁の何とか賞やら、ましてや国民栄誉賞(あれは芸能人やスポーツ選手用です)

など、全然欲しくもない、とおっしゃるでしょう。


私とて、勲章やら、何とか賞自体が偉大だと思うわけではないけれど、

日本国政府と、日本国民が、安永さんの偉業を正しく評価出来ないという事実が歯がゆくてなりません。


クライバーン・コンクールで優勝した辻井伸行氏には、文化庁長官表彰が与えられました。

ウィーン国立歌劇場音楽監督、小澤征爾さんは、2008年、文化勲章を受章しました。

英国ロイヤルバレエのプリンシパル、吉田都さんは2007年11月、紫綬褒章を受章し、同年12月、英国文化・メディア・スポーツ省から、

大英帝国勲章授与が発表されました。


誤解なさらないで頂きたいのですが、私はこれらの方々が、それぞれの賞を受けたことに異を唱える気は毛頭ありません。


一言でいうなら、不公平である、と言いたいのです。

文化庁の賞、文化勲章、紫綬褒章、それぞれ、誰が選んでいるのかも知れないが、日本国政府は、

「コンサート・マスター」という立場が理解できない、としか思えません。


◆安永さんだけではない。欧米のオーケストラで活躍している音楽家への評価が低すぎます。

元・ベルリン・フィル、第一コンサートマスター、安永徹さんに関して、私は何度書いたか分かりません。

自分の日記を「安永徹」で検索した結果です。

余りにも何度も書くので、読者の皆様は辟易なさっているかも知れませんが、私は大事なことは何十回でも、何百回でも繰り返すのです。

特に次に掲げる記事をよく読んで頂きたいと思います。

2004年10月08日(金) 欧州の管弦楽団で活躍する日本人音楽家は、どんな政治家・外交官よりも、日本に貢献している(シュミット元ドイツ首相)(当時、エンピツのみ)

2006年08月31日(木) ベルリン・フィル 第一コンサートマスターを23年間務めている日本人バイオリニストがいます。お薦めCDも。ココログ

2008年08月11日(月) 北島、世界新で連覇=日本勢、今大会2個目の金-北京五輪←勿論、大偉業だが、「ずっと金メダル状態」の日本人もいるのです。ココログ

2009年02月04日(水) 「ベルリンフィルコンサートマスター 安永さんが退団へ」←ものすごいショックですが、安永さん、長い間お疲れ様でした。ココログ

2009年02月21日(土) 「安永さんベルリン・フィルと別れ コンサートマスター25年」←、せ、先週終わってたの?/安永さんがコンマスになった頃の対談。ココログ

2009年02月27日(金) 「ベルリン・フィルの安永徹さん、独政府が勲章授与」←安永さんは勲章が欲しくて音楽家になったのではない。しかし、私は嬉しい。ココログ

2009年03月18日(水) 「最大級の賛辞」とは、正にこのこと。安永徹さんにベルリン・フィルとサイモン・ラトルから贈られたメッセージ。ココログ

2009年05月11日(月) 首相へのメール「麻生太郎内閣総理大臣。世界一のオーケストラのコンサートマスターを25年務めた日本人がいることを御存知ですか。」ココログ

安永徹さんの偉業はいくら強調しても、し足りないほどですが、欧米のオーケストラで活躍した、または、現在も活躍している

音楽家は安永さんだけではありません。日本人として初めてベルリン・フィルのメンバーになり(つまり、オーディションに合格し)、

定年まで勤め上げた、ヴィオラ奏者・土屋邦雄さん。ケルン放送響でコンサート・ミストレスを務め、現在東京都交響楽団のコン・ミスになった

四方恭子さん。ケルン放送響における日本人はすごくて、現役引退されましたが首席オーボエを長年務めた宮本文昭さん。

今なお、ケルンの首席コントラバス奏者、河原泰則さん。その他、全ヨーロッパ、アメリカのオケまで見渡したら、数えきれません。


シュミット・元・西独首相が言っているように、この方々は、大変な努力を続けているから、東洋人なのに、西洋人の音楽を演奏する、

西洋人のオーケストラのオーディションに合格し、今なお現役として弾いていられるのです。

日本国・日本国民は、そのことを誇りに思うべきです。

が、悲しいかな。大衆は勿論、「文化庁」の「非文化的ヤクニン」は、海外で活躍する(した)日本人音楽家の偉大さを理解出来ない。

大新聞を初めとするメディアも、理解出来ないから、社説のテーマにもならないのでしょう。

だから、私は、何百回でも書くのです。


私は、安永徹さんに関していえば、その仕事は文化勲章に匹敵する、と考えています。

日本政府は、安永徹さんがドイツ政府から「独功労勲章・功労十字小綬章」を授与されたことすら、知らないのではないでしょうか。

この勲章授与の約二ヶ月後、ドイツのメルクル首相が来日し、当時の麻生内閣総理大臣と会談しましたが、

そういう話題が出た、という記事はどこにもなく、また、そのことに気付いた大手メディアは、ただの一社もありませんでした。

無教養で、恥ずかしいことだと思います。

世界第二位の経済大国の地位は、恐らく今年、中国に奪われます。

しかし、芸術において、欧米のオーケストラやその他の芸術分野で、日本ほど多くの人が活躍しているアジアの国は他にありません。

最後にもう一度繰り返し書きますが、我々は、それを誇りに思うべきです。

【読者の皆様にお願い】

是非、エンピツの投票ボタンをクリックして下さい。皆さまの投票の多さが、次の執筆の原動力になります。画面右下にボタンがあります。

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コメント

miyaさん、コメントをありがとうございます。

>父が音楽家でして、安永徹さんの父である安永武一郎さんに師事していたそうです。

ピアノですか。

>その時に自宅で走り回っていた徹さんが、ベルリンフィルのコンサートマスターに就任したと言って大変喜んでいた事を思い出しました。

それは、感無量でしょうなあ。

>この度樫本大進さんがベルリンフィルのコンサートマスターに就任された事で
>改めて安永徹さんが見直されるきっかけになるのではと思っています。

残念ながらそれは、無い、と思います。安永さんがコンサートマスターに就任したときの方が、
樫本さんよりは、まだ、もうすこし大きくマスコミに取りあげられました。

今回は、あまりにも、地味な扱いです。

そもそも、99.・・・・・パーセントの日本人は「ベルリン・フィル」が何か「コンサートマスターとは何か」
知りませんし、関心もありません。

>余談ですが、父も斎藤秀雄さんにレッスンを受けたかったが、
>1レッスン幾らってのがとんでもない金額で、普通の人には受けられなかったと言ってたのも思い出しました。

1回30分10万円ぐらい平気でとりましたよね。ピアノの井口愛子さんとか。
江藤俊哉さんは、本当に才能のある生徒は、格安(だったか、無料だったか)で教えたそうです。

安永徹さんは何しろ江藤先生のほうから、「この子を教えたい」とおっしゃったそうですから、
子供の頃から、次元の違う才能の持ち主だったのでしょう。

投稿: JIRO | 2011.01.22 23:26

父が音楽家でして、安永徹さんの父である安永武一郎さんに師事していたそうです。
その時に自宅で走り回っていた徹さんが、ベルリンフィルのコンサートマスターに就任したと言って大変喜んでいた事を思い出しました。

この度樫本大進さんがベルリンフィルのコンサートマスターに就任された事で改めて安永徹さんが見直されるきっかけになるのではと思っています。
樫本大進さんは小さい頃から天才少年として有名でしたので日本のマスコミでも比較的頻繁に取り上げられるのではないでしょうかね。
事実私もテレビで知った次第ですから^^;

余談ですが、父も斎藤秀雄さんにレッスンを受けたかったが、1レッスン幾らってのがとんでもない金額で、普通の人には受けられなかったと言ってたのも思い出しました。

投稿: miya | 2011.01.19 04:14

take-5さん、こんばんは。 ご無沙汰してます。コメントをありがとうございます。

>安永さんが日本において全く「受賞歴」がないのはちょっと不自然ですよね。

そうですよね。私もあまりにひどいと思うんです。

>あと「大衆音楽」という部門の設け方が大ざっぱすぎて、間違いなくジャズ・レゲエ・長唄等ほかの音楽ジャンルに対して失礼です。

なるほど。これは、私が気が付かなかったことを書いて下さいました。鋭いご指摘で、ご尤もです。

>「この30年間で確かに日本の音楽界は飛躍的に成長した。しかし、全く変わらないのが
>キミらマスコミと役人だ。30年間全く成長していないのでは?」ですね。

全くです。中村紘子さんと仲が良い、元・ニューヨーク・タイムズの首席音楽担当記者、

ハロルド・ショーンバーグという人は、専門的な音楽教育を受け、当然、演奏会評(オーケストラ・コンサートであろうが、

ピアノ・リサイタルであろうが)を書くために(つまり、「仕事」として)音楽を聴く前には、キチンとスコアなり、ピアノ譜なりを

勉強したそうです。指揮者と同レベルぐらいの勉強をしていて、オーケストラ・スコアをピアノで弾くのぐらい、

当たり前に出来た人だったそうで、それだけに、彼の音楽評には重みがありました(おかげで、一回のリサイタルで

消えたピアニストも数え切れないそうですが・・・・)。

日本には、辛うじて毎日新聞が、毎コンを戦前に始めたぐらいですから、

梅津時比古という人が、今や編集委員というか嘱託みたいな立場ですが、かなり

分かってはいるものの、新聞社全体の経営方針が「売らんかな」主義ですから、

大衆に人気の無いクラシックの話題が前面に出ることはない。チャイコフスキーか、ショパン・コンクールで

日本人が上位入賞したようなときは、さすがに全国紙が大きく取りあげますが、

本当にその価値が分かっていないのが、読んでいてよく分かります(笑)。

ましてや、オーケストラのプレーヤーとなると、コンサート・マスターと言っても、分からないのでしょうね。

カネもうけばかりでこういうことに疎いから、欧米のインテリからはバカにされるのですよね。

文化庁は、文科省の外局で、文科省は、旧「文部省」の時代から、昔の国家公務員上級試験、

今の国家公務員Ⅰ種試験の合格者の中で最も成績が悪い者が配属される役所とされている、

のは有名ですが、ただでさえバカな役人の中から、たまたま人事異動で文化庁に行くだけで、

「文化」に詳しいかどうかなど斟酌されている筈がありません。

何も分からないから、コンクールとか形で明らかになった人だけ、分かったような顔をして

表彰しているのだろうと思います。

全く無教養な国です。

投稿: JIRO | 2010.03.15 23:23

seikoさん、こんばんは。お久しぶりです。

安永さんがベルリン・フィルを正式に退団なさったのが、昨年(2009年)の3月31日ですから、

間もなく1年。早いものです。

>安永さんのことになると黙っていられないseikoです(笑)

seikoさんのような方がおられて嬉しいです。日本人の大多数は、安永さんが

現役コンマスだった頃は勿論、いまだに、何のことだかさっぱり分からないでしょう。

私はそれが悔しくて仕方がないのです。

かなりのクラシック好きでも樫本大進氏は、既に正式にコンマスになったと勘違いしている人がいます。

近ごろ流行りのTwitterのアカウントを私も開きまして、安永さんがプローベ・ツァイトを経て、正式に採用される

までのいきさつを書いた記事を読んで下さいと薦めるのですが、ロクに読まないようで、

プローベ・ツァイト(試用期間)は単なる形式だと思っています。

私のブログは大メディアのような影響力が無いことぐらい、十分過ぎるほど分かっていますが、

じれったくて仕方がないので、こうして何度も記事にしています。

本来、大新聞の文芸部には、音楽専門の記者がいて、きちんと啓蒙するべきだと思います。

投稿: JIRO | 2010.03.15 22:58

こんにちは。おひさしぶりです。おっしゃるとおり、安永さんが日本において全く「受賞歴」がないのはちょっと不自然ですよね。
あと「大衆音楽」という部門の設け方が大ざっぱすぎて、間違いなくジャズ・レゲエ・長唄等ほかの音楽ジャンルに対して失礼です。グラミー賞のように100以上の部門を作れとは言わないまでも、こういった賞を与える機会をつくる場合、先進国である以上は音楽・芸術の多様性に対して配慮を最大限にすべきです。「日本レコードアカデミー賞」にも全く同じことが言えると思います。
サッカーのオシム語録じゃありませんけど「この30年間で確かに日本の音楽界は飛躍的に成長した。しかし、全く変わらないのがキミらマスコミと役人だ。30年間全く成長していないのでは?」ですね。

投稿: take-5 | 2010.03.13 17:04

久しぶりの書き込みです。安永さんのことになると黙っていられないseikoです(笑)
JIROさんの仰るとおりですね。日本ほど欧米の芸術各分野において評価されている国はないと思います。小澤征爾さんが、これからの指揮者人生は、日本人しかできない西洋音楽を創り上げるために、捧げたい。延いてはそれが日本のためだというようなことを仰っていました。日本の誇る技術は、産業だけではなく芸術においても本質は”日本人の感性”ですよね。きっと、日本人しか奏でられない音楽が世界中に評価される日がくると思います。政治家に代わり、芸術家が日本を変え、そして世界を変えることになるかもしれないですね。皆がそれに気づいたときに、安永さんを含め、世界で活躍された方々が改めて評価されることを願うばかりです。。。

投稿: seiko | 2010.03.13 00:52

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