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2010.07.09

「わが国の景気は、海外経済の改善を起点として、緩やかに回復しつつある。(白川日銀総裁)」←どうかなあ・・・。

◆記事 日銀総裁、経済は「緩やかに回復しつつある」(7月8日11時8分配信 読売新聞)

日本銀行の支店長会議が8日午前、東京都中央区の日銀本店で始まった。

白川方明総裁は冒頭のあいさつで、日本経済の現状について、

「海外経済の改善を起点として、緩やかに回復しつつある」との認識を改めて示した。

先行きについても、海外経済の改善や内需の持ち直しを背景に、「回復傾向をたどるとみられる」と述べた。

国内の金融システムについては、「全体として安定性を維持している」と強調した。

ただ、金融機関の収益力に対しては、「借り入れ需要の低迷による貸出残高の減少や、

貸し出し利ざやの縮小などから基礎的な収益力は低下を続けている」として懸念を示した。


◆コメント:景気が回復していると言えるのか、疑問です。

記事の通り、今日(7月8日)日銀の全国の支店長が集まって、各地域の景気を報告し、

日本全体の景気はどうか、というようなことを話したのです。これは定期的に行われ、

支店長会議の冒頭の日銀総裁挨拶は、総裁が日本経済をどのように認識しているか、を

示すので、ただちに公表されます。日本銀行のサイトに、

2010年 7月 8日 【挨拶】白川総裁(支店長会議)

があります。要旨ですが、白川総裁は確かに、
(1)海外経済をみると、先進国経済の回復が緩やかなものに止まる一方、新興国・資源国経済は力強い成長を続けている。

国際金融資本市場は、ソブリンリスクを懸念する動きなどから、一部に不安定な動きがみられている。

(2)わが国の景気は、海外経済の改善を起点として、緩やかに回復しつつある。輸出や生産は、増加を続けている。

企業の業況感は、引き続き改善している。設備投資は、企業収益が回復してきているもとで、持ち直しに転じつつある。

雇用・所得環境をみると、引き続き厳しい状況にあるものの、その程度は幾分和らいでいる。

そのような状況のもと、個人消費は、各種対策の効果もあって、耐久消費財を中心に持ち直している。

(3)先行きについては、輸出や生産は、増加ペースが次第に緩やかになっていくものの、海外経済の改善が続くもとで、増加基調を続けるとみられる。

また、国内民間需要は、持ち直しを続けると考えられる。このように、わが国経済は、回復傾向を辿るとみられる。(注:色太文字は引用者による)

といっているのです。立場がありますから、あまり悲観的なことは言えない、ということがあるとしたら、

非常に良くない。

「中央銀行の独立性」の問題です。

日本銀行のみならず、いずこの国でも本来中央銀行は、政治的な思惑から完全に独立していなければなりません。

しかし、実際には、政治家が何か言ってくる見たいですね。FRBのグリーンスパン前議長(だったと思います)が、

回想録で書いてましたが、アメリカのFRBでさえ、ホワイトハウスから四の五の言ってくる。

歴代のFRB議長で、完全にこのような政治的圧力に屈しなかったのは、ポール・ボルカー氏だけだった、と。


◆折りしも、今日は役所や民間企業、調査会社などからいくつもの経済指標が発表されました。

話が、横に逸れました。

本当に日本の景気は「回復傾向を辿っ」ているのでしょうか。

今日は色々な経済指標が発表されました。いちいち記事全文を載せたら大変な量になるので、

見出しだけを羅列します。


  • 5月機械受注、9.1%の大幅減=3カ月ぶり縮小―内閣府(7月8日9時0分配信 時事通信)

  • 5月経常黒字は1兆2053億円、前年比‐8.1%=財務省(7月8日9時18分配信 ロイター)

  • 6月銀行・信金計の貸出平残は前年比‐2.0%=日銀(7月8日9時44分配信 ロイター)

  • 都心オフィス空室率、過去最高5カ月連続更新 10%に迫る(11時56分配信 産経新聞)

  • 6月景気ウォッチャー現状判断は2カ月連続で低下(7月8日15時5分配信 ロイター)

  • 世界経済に下ぶれリスク=債務危機で先行き警戒―今年は4.6%成長・IMF(7月8日12時35分配信 時事通信)

手短に説明します。

内閣府が発表した機械受注。今日発表されたのは5月分です。先月発表された4月分は前月比+4パーセント。

その前の3月も前月比プラス3.6パーセントで2ヶ月連続プラスで、内閣府は基調判断を「持ち直しつつある」としたのですが、

今日発表の5月分は過去2回のプラス分を帳消しにするぐらいのマイナス9.1パーセント。これだけマイナスなのは約2年ぶりなのです。


次。経常黒字が前年比マイナス8.1パーセントです。貿易収支で輸出の増加率より、輸入の増加率の方が高かったのです。

日本は輸出で稼いでるのですから、輸出が減る、つまり海外でものが売れない、ということは景気にとって、マイナス要因です。


銀行の貸し出しが減っているというのは、借り手がいないからです。景気が悪くものが売れないので、設備投資資金を

銀行から借りる必要がない、という事です。


都心オフィス空室率が5ヶ月連続して過去最高を更新している。これは景気が悪く、

企業の収益が減っているので、高い都心のオフィスを引き払い、新たな借り手がいないということです。


景気ウォッチャー調査が現状判断は2カ月連続で低下。とあります。

街角景気ともいいますが、内閣府が全国の景気を敏感に感じ取るような商売の人に3ヶ月前と比べて、今は景気はどうか?

と訪ねるのが「現状判断」です。2ヶ月連続して、前より悪くなっている、と回答した人が増えている、ということです。


世界経済に下ぶれリスク--IMFというのは、7日にIMFが世界経済見通しをアップデートしたのです。

それによると、世界の景気は回復しつつあるのだけれど、ソブリン・リスク(ギリシャ危機のような国家の信用リスクです)や、

ユーロ圏の金融危機の可能性が増大しているのが懸念される、というようなことを書いてます。


以上を考えると、日本の内需が拡大しつつあるとも言えないし、では輸出で何とかなるかというと、

欧州の財政危機、金融危機のため、世界経済全体が落ちこんでいる。

従って、また、ドスーンと世界不況になってもおかしくない、ということです。


随分、悲観的な見方と思われるかも知れませんが、こういうことはリスク・コントロール(危機管理)の

一種でして、危機管理というのは、最悪の事態を想定して、それに対処する方法を考えるのです。

私は、政府の要人でもなんでもありませんが、その立場にあるひとは、危機管理能力が問われます。

危機管理担当者が楽観主義者で、「まあ、何とかなるだろ」という人だったら、たまったものではありません。

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