「<日銀>30日に臨時の金融政策決定会合 追加緩和策決定へ」←あまり効果は期待できません。
◆記事:<日銀>30日に臨時の金融政策決定会合 追加緩和策決定へ(8月29日22時50分配信 毎日新聞)
日銀は、急激な円高・株安による景気腰折れを防ぐため、30日に臨時の金融政策決定会合を開き、
追加の金融緩和策を決定する方針を固めた。
9月6、7日に定例の決定会合が予定されているが、対応を極力、早める必要があると判断した。
訪米中の白川方明総裁は29日夕、予定を1日繰り上げて帰国した。
追加の緩和策は、政策金利と同じ超低金利(年0.1%)で、長めの期間の資金を供給する「新型オペ」を
現行の20兆円から30兆円に増額するのが柱。現在3カ月の供給期間を6カ月に延ばすことも検討する。
日銀は昨年12月、ドバイ・ショック後の急激な円高・株安で景気が失速する懸念が高まったとして、追加緩和に踏み切った。
円相場が一時1ドル=83円台を付けた今回の円高局面でも「再びドバイ・ショック時のような状況に近づきつつある」(幹部)と判断し、
追加緩和に踏み切ることにした。
◆コメント:リーマン・ショックやドバイ・ショックと状況が違います。
何度も同じようなことを書きますが、金融とか経済というのは分かり難いので
(私も本当に理解しているとは言えません)、多少繰り返し説明しても良いかと思います。
日銀が実行しようとしていることは、まだ、マスコミの報道だけですけれど、それが本当だとしたら、
金融市場に資金を供給する、という一言に集約できます。
リーマン・ショックやドバイ・ショックのときには、リーマンという証券会社や、ドバイ首長国が
資金繰りに行き詰まって、市場から借りているお金を返せなくなるのではないか。
そして、連鎖的に世界の金融機関が同じように債務不履行(デフォルト)を起こすのではないか、
という懸念から、極度の信用収縮が起きて(特にリーマン・ショックの後です)、世界中の金融機関が
各国の中央銀行から公的資金の注入を受けて、資本を増強しました。
また、金融機関同士がおカネの貸し借りを行っている短期金融市場に潤沢に資金を供給して、
銀行が資金繰り難で潰れる可能性をできるだけ、小さくしました。
これによって世界中の大手金融機関の何処かが、資金繰りに行き詰まって潰れることはないだろう、
と、ひとまず安堵感が生じ、世界金融恐慌は避けられたのですが、諸悪の根源、不良債権化した
アメリカのサブプライムローンを証券化した商品や、アメリカの大手金融機関の株や債券には、
世界中の投資家(主に他の銀行や証券会社です)が投資していて、サブプライムローン関連金融商品の
価格が暴落したら、評価損がでますから、それに備えて、金融機関は貸し出しに極めて慎重になりました。
その結果、各国の普通の事業会社がおカネを借りたくても借りられず、どんどん経済活動が収縮し、
ものすごい勢いで、世界中の景気が後退したのです。
しかし、30日、日銀が新しい金融緩和策を発表するだろうというのは、株価や円高対策の為ですね。
これは、金融危機で株やドルが売られているのではなくて、アメリカの景気がもう一度落ちこみそうだ。
ヨーロッパ経済の回復も芳しくない、というので、ドルやユーロが売られ、日本経済だって、けっして良くはないのですが、
マーケットで取引されている主要通貨、ドル、ユーロ、円の中では、比較的マシかというので、対円での
ドル売り、ユーロ売りが進み、相対的に円高になり、日本の輸出企業は困ってしまっているわけです。
そのような外的なマクロ経済的な要因ですから、日本の金融市場に資金を供給しても、別に銀行などの
金融機関は、資金繰りで困っているわけではありませんし、何より円が買われるというのは、円が評価されて
いる状態なので、円売りの極端な材料、例えば縁起でもないですが、東京で直下型大地震が起きて、首都壊滅
などの「材料」がなければ、円を売る理由が無いのです。
何度も書いているように、マーケットで取引しているディーラーという生物の習性を利用し、一度、
79円75銭の歴史的安値を更新させてやらないと、円高は止まらず、株安も止まらないでしょう。
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コメント
円高再来! 再び84円台! 日銀の政策が手緩いと市場が言っているのかも知れませんね?
勉強になりました。ありがとうございます。
投稿: 株式勝男 | 2010.08.30 23:47