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2010.09.17

11ヶ月前には、全くピアノに触った事が無く、楽譜が読めなかった人の演奏。

◆家内が、ピアノをおしえているのです。

家内は、今、評判のNHK連続テレビ小説、「ゲゲゲの女房」で主役を演じた、

松下奈緒の先輩になります。

つまり東京音大ピアノ科卒なのです。自宅でピアノを教えています。

これは、独身時代からやっていることなので、年季は入っています。


レッスンは家内の仕事で、私は直接、その仕事に関係ないから、レッスンを

見学したことはないのです。

他人の楽器のレッスンを面白半分に覗くものではありません。

しかし、

どんな具合に教えとるのかね?

という興味は、ずっと持っていました。私はご承知の通りクラシックが好きですから。


◆ある人がピアノを習う決心をしました。

昔は、街の「ピアノ教室」の生徒は子供ばかりでしたが、最近は少子化で、

子供が少ないし、特に私の住んでいる辺りは、少ないらしく、最初は広告用チラシに

子供から大人まで

とかいていたのを、今では、成人専用にしました。

大人になってから初めてだけど、習いたい人。

子供の頃習っていて、ある程度までは進んだけれど、止めてしまい、何十年ぶりの人。

保母さんとか小学校教員試験を受ける人(何とかソナチネ程度弾けなければならない)。

などに、生徒募集の対象を絞り込んだら、漸く何人か、生徒さんができました。


これからご紹介するのは、20代前半の女性で、それまでずっとバンドで「ヴォーカル」担当だった方です。

どういう歌を歌うのか、聴いたことがないので分かりませんが、とにかく見よう見まねでやっていたらしい。

会社に就職しておらず、女性にしてはハードな運送業などのバイトで生計を立てています。

バンドはその人にとって、決して「お遊び」ではないのです。


ある時、彼女は「将来、自分で歌を作曲したい。」と考えるようになりました。

しかし何しろ、まず、楽譜が読めないし、音楽の理論的なことは勿論全く分からない。

基礎的な音楽的素養が全然無い。これでは、ダメだ、と彼女は思い立ちました。

まずはピアノが弾けなければ。同時に音楽の基礎的なことも教わらなければ。


そして、たまたま見つけたのが家内のピアノ教室のチラシだったのです。


◆その生徒さんは、驚くほど熱心に勉強しました。

生徒になる前に、当然、教師である家内は話を聴くわけです。過去の楽器経験の有無。

やっていたことがあるのなら、以前はどの程度まで弾けていたのか、というようなことです。

この生徒さんの話を最初に聞いたとき、家内は驚いたようです。全く楽譜も読めず

将来「作曲」したい、というのですから。そこで作曲するにしても何でもとにかく、

音楽を本気でやるのならば、それがクラシックであろうがなかろうが、基礎から固めなければ、

どうしようもない。バイエルから始めるが、やる気はありますか。と尋ねました。

その生徒さんは、非常な熱意で「はい」と答えました。その言葉にウソはなく、毎週ものすごく

さらってくるし、前回、指摘されたことを必ず守るので、驚くべき速さでバイエルの上巻など、

一週間に10曲ぐらいできてしまいます。同時に家内は、音楽の基礎的素養として、ソルフェージュとか

リズム・ソルフェージュ、聴音などを教えました。聡明な子で、これらの必要性を直感的に理解したようです。

全て真面目にさらってきます。その生徒さんは驚くべき速さで上達しました。


◆先日、発表会がありました。

習い始めて11ヶ月目で、家内が友人でやはりピアノ教室をしている人と合同で発表会を行いました。

家内の生徒さんで出たのは、上述した人以外にも二人いますが、以前にもピアノ経験のある人達です。

ここでは、全く音楽の基礎的な素養がゼロだった人が、11ヶ月でどれ程上達したかを聴いて頂きます。

普段は教則本をみっちりやらせますが、こういう時の曲は、必ずしも純クラシックでなくても良い、

というのが家内の方針で、自由に選ばせたら、フランスの国民的シャンソン歌手、エディット・ピアフの映画か何かを

見て感激した、生徒さんは「愛の賛歌」をピアノ用に編曲した楽譜を見つけてきました。

この通り、かなり難しいのです。

T_pianolesson001_3

T_pianolesson002_2

T_pianolesson003_2

T_pianolesson004_2

本番で、多少のミスはありましたが、当の生徒さんは弾いたんですね。

平日に行われたので、私は録音しか聴けません。DVDですが映像を載せる訳にもいきません。

音質が悪いですが、音声だけお聴き下さい。


愛の賛歌



Hymne a l'amour



お聴きの通り、ミスタッチもあるし、音符の数が違っていたり、指が回っていないところなどはありますが、

感性が良いと思います。勿論家内がある程度指導していますが、ルバートとか、ダイナミックスのかなりの部分は

この生徒さんの裁量に任せているのです。曲終盤にかけて、アッチェレランドとクレッシェンドなど、本人が

やっているのです。「演奏で表現したいもの」をかなりはっきり頭の中で描いている訳ですな。


これは、相当ものすごい努力です。十分に賞賛に値する。20歳過ぎてピアノを習い始めて、11ヶ月です。

やる気になれば、人はこういうことができるのだな、と私は大変感銘を受けました。

あなたもできるかもしれません。本気になれば。

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コメント

Kenさん! お久しぶりです!

また、コメントを書いて頂けて嬉しいです。

この生徒さんには驚きました。

決して天才ではなく、ただひたすら練習なんです。

来年は「キチンとしたクラシックを弾きたい」と言っています。

あの努力には脱帽です。

勿論、本人の努力の賜なのですが、

ちょっとカミさんを見直しました。

ギャーギャー言わないけど、基礎をおろそかにすることは許さない、と。

ソルフェージュとかリズムソルフェージュも喜んで、この生徒さんやっていましたね。

いままで8ビートだか、16ビートの刻みしか、知らなかったので、

「リズムって、こんなに色んな種類があるんですね。」と驚き、しかし、とても楽しんでやっていました。

偉いものです。一緒におさらい会を開いた、家内の音大の同級生のピアノ教師達も普段は口が悪い癖に、

この「愛の賛歌」を弾いた子の感性は、素直に褒めていたそうです。

大人の生徒さん、大歓迎です。 ピアノを教えるときには決してヒステリックにならないのが、

女房の良いところだと思います。どんな方でも教えます。

月謝、いくらだっけ?とにかく大して高く無いんです(笑)。

お聴き頂きありがとうございました。

投稿: JIRO | 2010.09.27 23:08

奥様の素晴らしい先生ぶりが分かります!

・・・おいらも教えて頂こうかしら・・・こんなに弾けないし。(^^;

生徒さんも素晴らしい!

熱意の勝利ですね!
脱帽です。

ありがとうございました。

投稿: ken | 2010.09.27 20:50

ねおさん、コメントをありがとうございます。

楽譜、どういたしまして。あれをお見せした方が、生徒さんの努力の程度が分かると思ったのです。

>習い事って、子どもの時は、
>どんないい先生に習っていても、
>子どもにその気がなければ、
>ある程度は、上達しますが、続きません。

おっしゃるとおりですね。
また、本人がピアノを好きでも、あまりに口やかましい
ヒステリックな先生にガミガミ言われて音楽嫌いになってしまったという、
残念なケースが大変多いと思われます。

>今は、大人向けの教室いいと思います。
>やりたくてもできなかったという人もかなりいると思います。

本当にそう思います。別の記事で「N響ほっとこんさーと」について書きましたが、
「楽器体験工房」というコーナーが毎年ありまして、子供でも大人でも、
申し込んでおくと、オーケストラの楽器を持って、その楽器のプロが指導してくれるのですが、

子供ばかりではなく、大人が大勢、このコーナーに申し込んで、とにかく音が出ると、
年配の男性が目を輝かせていて、その光景を観ると、こちらまで嬉しくなりますが、
同時に「ああ、きっと、もっと若い頃から、ずっと『楽器を習いたい』と思っていたのだろうなあ」と

何とも言えない気持ちになります。

幸い楽器に触れ、習い、上達し、大人になっても続けられている人も大勢いるわけですが、
彼らの多くが、習いたくても習えなかった人もまた、それ以上にいる、という認識に欠けていて、
「音楽は、詰まるところは楽器を弾かなければ、本当のところは分からない」という類の発言を
したり、ブログに書いているのを見ると、随分残酷なことを平気で言うなあ、と思います。

人には色々な事情があることを大人なら、理解するべきですよね。

勿論、大人になってから始めたい方、そして始められる方は、大いにチャレンジなさると
良いと思いますが、楽器に上達の早道は無い、という「覚悟」は必要ですね。

投稿: JIRO | 2010.09.18 21:44

JIROさん 楽譜のUP、ありがとうごさいます。
JIROさんの奥様、きっと素敵でやさしい方でしょうね。
この記事で、私でもできるかもと、
思う方がいらっしゃるかもしれないですね。
習い事って、子どもの時は、
どんないい先生に習っていても、
子どもにその気がなければ、
ある程度は、上達しますが、続きません。
年齢に関係なく、その人にやる気があるかどうかですね。
発表会には、好きな曲を選ぶというのも、大事ですね。
この曲を弾きたいという思いと、弾けたという達成感が、
次のステップに進むために必要ですね。
人によって、タイミングは違っても、
音楽が好きなら大丈夫ですね。
子どもの時は、親が子どもに習わせたかったり、
親の都合で左右されたりしますからね。
今は、大人向けの教室いいと思います。
やりたくてもできなかったという人もかなりいると思います。

投稿: ねお | 2010.09.17 12:23

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