« 【加筆】日本のメディアが一日中、「チリ鉱山落盤事故、○人目救出」を伝える必要はない。 | トップページ | 「中国3都市で大規模反日デモ 1万人超、日系店襲撃」←現象だけを見ても本質は分からないのです。 »

2010.10.15

【音楽】シューベルト「4つの即興曲」(ピアノ:ラドゥ・ルプー)。お薦めです。

◆シューベルトのおっそろしく美しいピアノ曲。

混同なさるといけませんから。最初に結論を書いておきます。

今日、お薦めするCDはルーマニア出身のピアニストでちょうど今、来日中の、

ラドゥ・ルプーが28年前、1982年に録音した、

シューベルト:4つの即興曲です。



シューベルトは歌曲王として有名ですが、声楽のみならず、器楽でも名曲を遺しているのは、

「未完成交響曲」や、ピアノの「おさらい会」の連弾にしばしば登場する「軍隊行進曲」を考えても明らかです。

シューベルトはその他、室内楽(ピアノ五重奏曲「ます」とかね)やピアノ曲の傑作を書いています。

ピアノ曲の大作はソナタですけど、これは少々取っつき難い。

一番、親しまれているシューベルトのピアノ曲はこれでしょうね。


楽興の時 D780(作品94) 第3番 ヘ短調


Moments musicaux, Op. 94, D. 780: No. 3 in F Minor (Allegro moderato)



短いけれども、実に切なく美しいですね。

ピアノと言えばショパンが「ピアノの詩人」と言われています。

勿論ショパンの天才は論を待たないのですが、シューベルトには、ショパンにも、シューマンにも無い

切ない響きがあります。やはり、甲乙付けがたい天才だと思います。

この音源は、シューベルト:楽興の時、ピアノ・ソナタ第19番です。


◆ここからが本論です。シューベルト「4つの即興曲」

ピアノ曲には、別にアドリブじゃないのですが「即興曲」と名が付くものがあります。

比較的、形式が自由だと言うことです。ショパンにも「幻想即興曲」があります。


ちょっと話が脱線します。「知ったかぶり講座」。

ショパンの練習曲集は「エチュード」、前奏曲集は「プレリュード」と言いましょう。

ノクターンは日本語では「夜想曲」ですが、わざわざ「夜想曲」と云う人はいませんね。

交響曲はシンフォニー、協奏曲はコンチェルト。


それでは「即興曲」は? "Impromptu"「アンプロンプチュ」と言います。

さりげなく

「シューベルトのアンプロンプチュ?良いね」

などというと、「通」に見えます。但し、相手が詳しく無いことをよく見極めないと。

もしも、相手が詳しい人で、その先突っ込まれて、身動きが取れなくなって恥をかいても、

例によって当局は一切関知しないので、そのつもりで。

「知ったかぶり講座」はここまでです。


シューベルトの「4つの即興曲」には作品90と作品142があります。

要するに全部でシューベルトの「アンプロンプチュ」は8曲です。

作品90では 2番、3番、4番が、よく演奏されます。

演奏時間が4分台で一番短い2番を、まずお聴き下さい。


シューベルト:即興曲 D.899(作品90) 第2番変ホ長調



Schubert: Impromptu In E Flat, Op. 90/2, D 899/2 - 2. Allegro



右手の三連符が延々と続きますが、ここは右手は頑張って貰わないと。三連符が乱れたら

台無しです。


次は、作品142の4曲の中から第2番、変イ長調アレグレットです。

ゆったりとしたメヌエットなのです。メヌエットですから舞曲ですけれども、穏やかな旋律が

強く印象に残ります。この辺はやはり「歌曲」のシューベルトの「歌心」が出てます。


シューベルト:即興曲 D.935(作品142) 第2番変イ長調


Schubert: Impromptu In A Flat, Op. 142/2, D 935/2 - 2. Allegretto



如何にもシューベルト、な曲だと思います。


最後は、これはプロでもなかなか演奏会では弾かない作品90の第1番です。

技術的には、そんなに難しくはないのですが、特に曲の冒頭を聴いて頂きたいのです。

あまりにも、単純な単旋律から始まります。こういうところで、聴衆の心を捉えるのは至難の業です。

易しいけれども、あまりにも美しい。演奏者の音楽性が一発で分かってしまうような怖さがあります。


シューベルト:即興曲 D.899(作品90) 第1番ハ短調


Schubert: Impromptu In C Minor, Op. 90/1, D 899/1 - 1. Allegro Molto Moderato



これは、美しいですねー。「悲しくない音楽なんて、知らない」と言ったシューベルトの感受性が、

ひじょうに端的に表れています。転調の使い方の上手さがまた、シューベルトだと思います。

あたかも、芝居の場面が変わるというか、風景が変わるような感じがします。

いずれにしても、ピアニストにとっては、速くて技巧的な曲を弾くのとは次元の違う難しさです。


シューベルトの即興曲は他の名演としては、内田光子さんとか、リリー・クラウス女史などがあります。

いずれも、ルプーとは異なる弾き方をしています。もしも、「シューベルトのアンプロンプチュ」がお気に召したら、

聴き比べてみると大変に興味深いと思います。

週末に如何でしょうか。

それでは。

【読者の皆様にお願い】

是非、エンピツの投票ボタンをクリックして下さい。皆さまの投票の多さが、次の執筆の原動力になります。画面右下にボタンがあります。

|

« 【加筆】日本のメディアが一日中、「チリ鉱山落盤事故、○人目救出」を伝える必要はない。 | トップページ | 「中国3都市で大規模反日デモ 1万人超、日系店襲撃」←現象だけを見ても本質は分からないのです。 »

音楽」カテゴリの記事

クラシック音楽」カテゴリの記事

クラシック」カテゴリの記事

ピアノ・ピアニスト」カテゴリの記事

コメント

はじめまして。ネットサーフィンしていてこの記事にたどり着きました。
アンプロンプチュですか(笑)おもしろいですね。

おかげさまで偶然にも長年探していた曲名がわかりました。
ずっとモーツァルトではないかと思っていた曲が実はこちらで紹介されているシューベルト:即興曲 D.935(作品142) 第2番変イ長調でした。素敵な曲ですね。
私は今90-3を少し練習しています。ここには掲載されていませんが、とてもきれいな曲だと思います。
ではでは、ブックマークしたのでたまに寄らせてもらいますね。

投稿: sawataro | 2013.08.30 08:31

signalfallsさん、はじめまして。コメントをありがとうございます。

全くおっしゃるとおりだと思います。

投稿: JIRO | 2010.10.21 21:58

はじめまして。ラドゥ・ルプーのピアノは、こういう表現が成り立つかどうか疑問ですが、胸のあたりがムズムズする、すこしこころ明らむ感じがしました。
さて、フジコ・ヘミングにかぎらず、新聞、テレビ等マスメディアには、時々、海外の事実無根な報道もありますし、おかしいと感じること多々あります。とくに文化にかんしては、各界の権力や経済運営そのほかの暗部は、知っていることからの類推からも見当がつきます。
しかし権力としてのメディアは、政治を含め、とくに事件の場合、常に正義に味方します。正義が決定するまでは、様々な意見を載せます。問題が持ち上がり、結果が確定するまでの方法がこのようであるからこそ、どうしても多数の信頼を勝ち得るシステムとして成立します。
内部の暗部といっても、それぞれの担当者がいて、おかしな言い方ですが、情報の仕入れはおおよそ決まっている。信頼度と売上は相乗効果をもたらします。そこで紹介としては、むしろ話題の提供が経済と繋がる。それこそが読者、視聴者にとって良いもので、あとは分からない。そういうなかに狂信者が現れやすい。何もかも鵜呑みでは、教育どころか、痴呆の群れでしかない。怖ろしいと思います。

投稿: signalfalls | 2010.10.15 11:58

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【音楽】シューベルト「4つの即興曲」(ピアノ:ラドゥ・ルプー)。お薦めです。:

« 【加筆】日本のメディアが一日中、「チリ鉱山落盤事故、○人目救出」を伝える必要はない。 | トップページ | 「中国3都市で大規模反日デモ 1万人超、日系店襲撃」←現象だけを見ても本質は分からないのです。 »