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2010.11.13

「海上保安官、週内は在宅捜査=逮捕の可否、15日以降に判断―書類送検も視野」←一般論として、「任意」には応じなくて良い。

◆記事:海上保安官、週内は在宅捜査=逮捕の可否、15日以降に判断―書類送検も視野(時事通信 11月13日(土)0時50分配信)

沖縄・尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突のビデオ映像流出事件で、捜査当局は12日、

任意の事情聴取を続けてきた第5管区海上保安本部神戸海上保安部の海上保安官(43)について、週内は在宅のまま捜査を進め、

週明けの15日以降に逮捕の可否を最終協議する方針を決めた。書類送検も視野に捜査を継続する。

海上保安官については帰宅させる方針だったが、本人の希望で15日まで同本部に宿泊することが決まった。

捜査関係者によると、海上保安官は警視庁捜査1課などの聴取に

「9月下旬から10月上旬ごろ、巡視艇内のパソコンから映像を入手した。誰でも入手できる状況だった」と供述していた。

同課が裏付けを進めたが、船内や自宅から押収したパソコンの解析には時間がかかっており、供述が事実かどうか確認作業が進んでいないという。


◆コメント:一般論として、警察官に任意同行を求められた場合、断った方が良い。

本件の海上保安官は、逮捕されていない。任意で事情聴取されている。

記事中に「在宅のまま」捜査を進め、と書いてある。保安官は、海保の施設内で取り調べを受け、宿泊しているが

本当は帰宅していいのである。

別の報道では、本人が自分の意思で、施設内に留まっているのだとのコメントを発表したとのことだが、

真実は分からない。保安官が出頭したのは10日である。任意の事情聴取と称して、本当は警察が

帰宅させないということになると(任意の事情聴取は何日まで、という法律の決まりは無いが常識的、慣例的に)問題なので、

本人の意思であることにして、本当は警察が帰宅させないのかも知れない。


元裁判官で、後に弁護士になった専門家によると、一般論として、突然警察官に「話を聞かせてください」と言われたら、

断った方が無難だそうだ。

警察官職務執行法 第二条

第1項 警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、

若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。

第2項 その場で前項の質問をすることが本人に対して不利であり、又は交通の妨害になると認められる場合においては、質問するため、その者に附近の警察署、派出所又は駐在所に同行することを求めることができる。

第3項 前二項に規定する者は、刑事訴訟に関する法律の規定によらない限り、身柄を拘束され、又はその意に反して警察署、派出所若しくは駐在所に連行され、若しくは答弁を強要されることはない。

第4項 警察官は、刑事訴訟に関する法律により逮捕されている者については、その身体について凶器を所持しているかどうかを調べることができる。

という訳で、警察官が怪しい奴に「ちょっと一緒に来てくれますか?」と行って立ち止まらせる所までは違法ではない。

しかし、水色太字で書いた部分。

「刑事訴訟に関する法律の規定によらない限り」とは、裁判官が発行した逮捕状を提示されたとき、

又は違法行為の現行犯で逮捕されたのではない限り、ということだ。そうでなかったら、警察や交番にノコノコついて行かない方が良い。

言うまでも無いが、貴方が違法行為を実行していないことが前提である。


一旦警察に入ってしまうと、任意で来たんだという形式だが、帰して貰えない。

警察はあくまで「任意だ」と言い張るが、実際は何時間もトイレに行くことを許さず、逮捕と同じ扱いを受け、

やっと許可が出たら、任意なのに、尿検査をしてその結果覚醒剤反応が出て起訴された事案があり、

或る裁判官は極めて法律的に中立な人で、「任意だといって逮捕と同じ扱いをして収集した証拠は、

違法収集証拠である」、との理由で、尿検査結果の鑑定書の証拠申請を却下したそうだ。


しかし、恐らく、そのような「厳正中立公正無私」な裁判官は稀で、殆どは証拠申請を認めてしまう。

無論覚醒剤使用は違法行為だが、その証拠を収集する手続きが違法であれば、証拠として認めない、というのが

本来の刑訴手続きである。法律は、本当はそれぐらい厳密に適用されなければならない。


ところが郵便不正使用事件における大阪地検特捜部の証拠捏造という恐ろしい歴史的事実を見ればわかるように、

現実世界では、無茶がまかり通るようだ。


痴漢の冤罪なども、本来の手続きを踏んでいない。

任意だったのに、いつの間にか逮捕されてしまっていた、ということがあるそうだ。

それは、痴漢の犯人と間違われ、ホームで女性(被害者)に声をかけられ、警察官がやってきて、

「話を聞かせてください」で、任意の筈だったのに、警察署に着くとそのまま勾留されてしまう、

というケースである。勾留するためには、身体の自由(憲法で保障されている)を奪うのであるから

裁判官の発行した逮捕状を提示した上での「逮捕」が必要であるが、例外的に現行犯逮捕は逮捕状が不要で、

かつ一般人でも可能である。
刑事訴訟法 第二百十三条  現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。

これを利用して、警察は勾留を可能にするために、書類上「女性が現行犯逮捕し、警察官に身柄を引き渡した」ことにする。

これでは、逮捕を告げられないまま、いつの間にか逮捕されていたことになる。

こういうことがあるので、任意同行にうっかり応じない方がいいのである。

そういえば、以前、テレビで弁護士が話していたが、痴漢の冤罪を避けるための最も正しい方法は、
「警察官が来る前に、その場から逃げること」

だという。その場からいなくなれば、最早現行犯逮捕は不可能で、実際に痴漢行為をしていなければ、証拠がないから、

逮捕状による逮捕もできない。

これは「やましい事があるから逃げる」のではなくて、「『冤罪』という我が身に降りかかりそうな災難から逃げる」のであり

何も後ろめたいことではない、という(くどいが、本当に悪いことをしていないことが前提である)。

なるほど、餅は餅屋だ。専門家の話は参考になる、と、感心したのを思い出した。

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