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2010.12.19

【音楽】イヴリー・ギトリスというヴァイオリニストの小品集です。

◆88歳でまだ現役の巨匠なのですが。

イヴリー・ギトリスというイスラエルのヴァイオリニストがいます。1922(大正11)年生まれですから

今年88歳ですが、まだまだ元気です。ちょうど来日中です。来週22日には上野の東京文化会館で

チャイコフスキーの協奏曲を弾くらしい。すごいパワーです。


このヴァイオリニストは度々来日してくれるのでご存知の方が多いかもしれません。

そして、ギトリス氏の演奏は一度聴いたら忘れられない、強烈な個性を持っています。

若くて上手いヴァイオリニストは次々に現れますが、これほど特徴のある弾き方をする人はいない。

若いうちはできないかもしれませんね。これで例えば「コンクール」を受けたら、一時予選で落ちるでしょう。

ゴタクはこれぐらいにして、早速聴いて頂きます。ギトリス氏は本来巨匠、大先生なのです。

協奏曲や大曲を勿論弾きますが、小品集を聴くと「強烈な個性」がすぐにわかります。


◆「プレミアム・ツイン・ベスト チゴイネルワイゼン~ギトリス~ヴァイオリン名曲の至芸」から。

引用元は、プレミアム・ツイン・ベスト チゴイネルワイゼン~ギトリス~ヴァイオリン名曲の至芸です。

ギトリス氏の演奏はものすごく「癖がある」演奏です。

元・N響の鶴我裕子さんが、やはりギトリスが大好きで、ご自身の「バイオリニストは肩が凝る」でお薦めCDとして

紹介しておられます。そこだけ引用させて頂きます。(「バイオリニストは肩が凝る」196ページ)

ギトリス大好きです。リサイタルには必ずいく。彼がステージに現れると「ああ、また会えたなあ」と、うれしさが込み上げる。自分と同じ時代に、これほどの巨匠が生きていてくれて、ほんとうにありがたいと思う。(中略)

さて、演奏はというと、これが万人向きではない。ぞっこん惚れこむか、嫌悪を催すかの、どちらかだろう。「別にィ」という反応は、あり得ないのだ。それぐらい、ダイレクトにハートを握られる。「くせ」なんてものじゃない。バイオリンの先生に「ダメ」と言われそうなことばかりやる。どの音符にもつく激しいアタック、テンポのくずしは、やり放題。弾く前に音を確かめる音が、実際に弾く音よりも大きい。それに、あのエンビのゾローっとしたスタイルはなんだ等々、眉をひそめる材料なら、いくらでもある。だが、それがどうした、とファンは鼻息を荒くするのだ。(後略)

ご自身がN響のファースト・ヴァイオリンで30年も弾いていらして、多くのソリストの伴奏をした人です。

普通のソリストには、大して感動することもないだろうに、

そのベテランのプロである鶴我さんをしてここまで熱っぽく語らせるヴァイオリニストが、ギトリスです。


どのように個性的か。分かりやすいように易しい、しかし、大変綺麗な「金婚式」という曲から。

作曲者のガブリエル・マリーは19世紀半ばの指揮者です。


金婚式(マリー)



Gabriel-Marie La cinquantaine



お分かり頂けたでしょうか。テンポの変化。もう、ルバートなんてもんじゃないですね。

一拍ごとにテンポが伸縮し、それが最初から最後まで続くのですから。伴奏者は大変です。

大変、何てものじゃないでしょう。こういうのは気心に知れた人か、余程熟練した伴奏者でなければ務まらない。

ピアノ伴奏の練木繁夫氏も、ソリストと同じぐらい賞賛されるべきです。

でも、良い演奏だと「私は」思います。

次はアイルランド民謡、「ロンドンデリーの歌」です。



ロンドンデリーの歌



Londonderry Air



段々、分かってきたでしょう?目一杯歌うのですね。はじめに「歌」ありき。

テンポなど、二の次。しかし、デタラメではないのです。奇を衒ってこういう弾き方をしていたら、

今の名声は無い。歌心が、聴き手の心を打つのですね。まだまだいきます。

ドヴォルザークの「ユーモレスク」。

ユーモレスク(ドヴォルザーク)


Humoresque No. 7



確かにクセはありますけど、綺麗でしょ?今時、こういう曲をこれほど念入りに歌い上げるヴァイオリニストは

余りいません。作曲家の故・武満徹氏が言っていました。
ドヴォルザークは、旋律が素晴らしいですよ。専門家が照れちゃって、こういうのを演らないのが良くない。不健康だ。

さて、あまり沢山載せても何ですからあと少し。迷うのですが、クライスラー:ベートーヴェンの主題によるロンディーノ。

これは、昔、NHK教育テレビで月曜から木曜まで夕方、楽器のレッスン番組を放送していた頃、「ヴァイオリンのおけいこ」

で江藤俊哉先生が講師の頃、毎回オープニングで弾いておられたのを懐かしく思い出します。


ベートーヴェンの主題によるロンディーノ(クライスラー)



Kreisler Rondino on a Theme by Beethoven



ここまでは、技術的にはそんなに難しく無い(プロのヴァイオリニストなら特に)曲でしたが、

最後にギトリス氏の技巧が見事に発揮されている曲で締めくくります。

バッジーニ(1818-1897)というイタリアの作曲家・ヴァイオリニストが書いた「妖精の踊り」

ヴァイオリンの超絶技巧のカタマリみたいな曲ですわ。


妖精の踊り 作品25(アントニオ・バッジーニ)



Bazzini La Ronde Des Lutins



これは、パールマンなんかもしばしばリサイタルの最後、アンコールの最後で弾いたりしますね。

余りにも難しそうなので、強烈な印象として残ります。

さて、ギトリス氏のこのアルバムには、この他にも「タイスの瞑想曲」とか「愛の挨拶」とか

ヴァイオリン・リサイタルのアンコール・ピースのような泰西名曲がズラリと並んでいますが、

その全てをこのヴァイオリンの大家の演奏で聴けるのは、鶴我さんじゃないけど、ありがたいことです。

好き嫌いがわかれますが、気に入ったらもっていた方がいいですなー。


しかし、ヴァイオリンってのはすごいね。何か人間の心を惑わす、妖艶な、不思議な力を持っているね。

ものすごい表現力を持つ楽器だ、ということを思い知らされます。


それでは、皆様良い日曜日をお過ごし下さい。

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