【音楽】世の中知らないことばかり。「白鳥の湖」のコンマス・ソロ。他。
◆プロのヴィオラ奏者の方に教えて頂いたことの受け売りなんですが。
始めにお断りしておきますが、これは私が自分で発見したことではなく、
リンクを貼らせて頂いている、プロのヴィオラ奏者、
ふっこ様に教えて頂いたことです。
チャイコフスキーの三大バレエの一つ、というか、
バレエ音楽の代名詞と言っても過言ではない、「白鳥の湖」ですが
第二幕の「情景」とか、「四羽の白鳥の踊り」はあまりにも有名で、
クラシックをある程度の期間聴いている人なら誰でも知っていますが、
あのバレエ全曲を通して聴いたことはなかったのです。
そうしたら、第三幕に、今まで全く知らなかった、コンサートマスター
(又は、コンサート・ミストレス)がソロを弾く「ロシアの踊り」という
一曲があったのです。
◆あたかもヴァイオリンコンチェルトのような派手なソロ。
オーケストラの中で、コンサートマスターがソロを弾くことは
決して珍しいことではありません。
リムスキー=コルサコフの「シェエラザード」では全曲にわたって
コンマス・ソロが繰り返し出て来ます。ブラームスの1番。
ドヴォルザークの8番。ショスタコーヴィチの5番、R・シュトラウスの交響詩、
「天国と地獄」序曲。マーラーもしばしば。挙げたらキリがありません。
しかし、良く知っているつもりの「白鳥の湖」。考えて見ると、大抵コンサートで
取りあげるときも、CDもごく一部の抜萃です。実は全体の中のほんの少ししか知らない。
バレエ好きの方は、別でしょうが。
兎にも角にもお聴き下さい。
チャイコフスキー 「白鳥の湖」第三幕から「ロシアの踊り」
かなりの方が驚かれたのではないでしょうか。
これほど、技巧的なコンマス(コンミス)・ソロが延々と派手に続く曲を他に知りません。
(あるのかもしれませんが、御存知の方、お教え頂かなくて、結構です)。
◆以下は、「白鳥の湖」で比較的有名なのですが。
「ロシアの踊り」一曲ではなんですので。もう少し。
書き忘れておりましたが、「白鳥の湖」全曲の音源は、
チャイコフスキー:バレエ音楽「白鳥の湖」全曲です。
ナクソスですが、2枚組なので、2千円台になっています。
iTunes Storeからダウンロード購入するならば、以下のアドレスです↓。
http://itunes.apple.com/jp/album/tchaikovsky-swan-lake/id29777915
これなら1,800円です。
「ロシアの踊り」は不思議なほどしられていませんが、その後の
「スペインの踊り」、「ナポリの踊り」は、「白鳥の湖(抜萃)」のCDに
収録されていることが、多いと思います。
「スペインの踊り」
チャイコフスキーの三大バレエの他の二作品、「くるみ割り人形」と「眠りの森の美女」や
「イタリア奇想曲」という管弦楽曲がありますが、チャイコフスキーは、ティンパニ以外の打楽器
の使い方が上手いと思います。特に、タンバリン、カスタネット、トライアングルなど「小物」の
パーカッションです。
次は、トランペット(本当はトランペットよりも柔らかい音がするコルネット)ソロで
私どもトランペット好きの人間で知らない者はいない、「ナポリの踊り」です。
これは、トランペットで吹いていますが、本来、作曲者の指定に従うべきです。
「ナポリの踊り」
ソロの終わりでは、ピッコロとユニゾンとなり、しかも
アッチェレランド(だんだん速く、の意)しますから、
互いによく聴かないと、合いません。
この後は、王子ジークフリートを騙すために、悪魔ロットバルトが送り込んだ、
黒鳥オディール(白鳥はオデッサ姫)が、ジークフリートの気を引くために
踊るシーンですが、32回転のグランフェッテという、ダンサーの腕の見せ所です。
最初に音楽だけどうぞ。
Swan Lake: IV. Coda: Allegro Molto Vivace
実際の踊りはこういう具合です。
白鳥の湖「32回転のグラン・フェッテ」
これは、素人目にも難しそうですが、吉田都さんの有名な話がありまして、
それは、吉田さんが、師と仰ぐバーミガム・ロイヤル・バレエ(旧:サドラーズ・ウェルズ・バレエ団)
名誉監督、ピーター・ライト氏がインタビューに答えて証言しているのです。
英国ロイヤル・バレエを世界に冠たるレベルに引き上げたのは、ニネット・ド・ヴァロア女史(1898-2001)
という方の功績によるものです。
吉田さんがまだ、ロイヤル・バレエ・スクールに在学中、最上級のクラスの
学期末のテスト・レッスンで最後の課題が
この「白鳥の湖」の32回転のグラン・フェッテでした。
ピーターライト氏の言葉を引用します(引用元:スーパー・バレエ・レッスン82ページ)
都(引用者注:吉田都さんのこと)のグラン・フェッテは私の心にずっと残っています。
(テストの)最後の課題が32回転のグラン・フェッテだったのです。
ド・ヴァロワは当時80歳代後半か
90歳代前半だったと思いますが、その様子を見ていました。
全員がフェッテをやりましたが、みんな、かなり苦労していて
できない人もいました。しかし都は、美しく、やすやすと
やってのけたのです。するとデイム・ニネット・ド・ヴァロアが
立ち上がり、クラスを見学していた人全員に、こう言ったんです。
「私は、こんな詩的な優雅さのあるグラン・フェッテを見たのは初めてです」と。
実に美しい出来事でした。このときのことはずっと私の心のなかに残っています。
これを読んで、私は非常に感激しました。日本人として誇らしい。
吉田さんは、英国人よりも英国らしいバレエを踊る、と仲間のプリンシパルまでもが
絶賛する、才能とものすごい努力の方ですが、英国バレエの始祖のようなヴァロア女史に
ここまで言わせるとは・・・。
最後です。
順番が前後しますが、第三幕の始めに演奏される「招待客の登場とワルツ」。
トランペット・ファンファーレで始まります。
第三幕:「招待客の登場とワルツ」
チャイコフスキーが白鳥の湖を書くまで、これほど音楽だけで
芸術として一流のバレエ音楽は無かったのです。今、バレエという芸術が
存続しているのはチャイコフスキーのおかげと言っても過言ではない。
バレエの歴史を変えた音楽です。
一度バレエそのものを見るべきですね。私も見たいと思います。
それでは、みなさま、よい日曜日をお過ごし下さい。
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