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2011.03.06

NHKは客(視聴者)のニーズを把握せよ。

◆芸術劇場という番組が3月で終わりになるそうなのです。

NHKが毎週金曜日の夜に放送していた「芸術劇場」という番組があり、

クラシックだけでは無く日本の伝統芸能など色々多岐にわたる内容だった。

私はもっぱらクラシックの時に見ていたのであるけれども、かなり「通」ごのみ

(私が「通」とは言わないが)のコンサート、リサイタルの録画などがあり

楽しみにしていて、ネット上で、Twitterの発言を見ていても、若い人にもファンが多かった。

これが終わるそうだ。


色々事情はあるだろうが、NHKは、今更言うまでもなく、スポンサーの広告収入で

経営が成り立っているのではなく、私たち「真面目な」視聴者が1年で25,000円以上もの

受信料を払っている。このため、民放のように、スポンサーの顔色を見ながら

どんなに低俗でも良いから、とにかく数字(視聴率)を取らなければならない、

と血眼になる必要はない。だから、クラシックなどという、一番人気の無い分野でも

質の高い番組を作ることができる。

こういう番組を一方的に終わりにしますから、と言われると腹が立つ。


◆NHKのYouTube監視は非常に厳しいが、視聴者(=顧客のニーズ)を認識するべきだ。

NHKには「YouTube監視担当者」がいるのではないか。

YouTubeに、しばしば、過去の貴重な映像がアップロードされる。

色々な分野に話を広げるとややこしくなるから、私の得意分野、

クラシック音楽に限って見てもそうなのである。


例えば、私の敬愛する桂冠名誉指揮者・ヴォルフガング・サヴァリッシュ氏は、

フル・オーケストラを指揮するばかりではなく、自らピアノの名手だったので、

N響メンバーと室内楽の演奏を行った。

ある時期、そのような演奏のひとつ、シューベルトのピアノ五重奏曲「ます」の

有名な第四楽章(歌曲「ます」を主題とした変奏曲になっている)の動画がアップされていたが

ほどなく、「NHKから、著作権侵害により、削除依頼があった」という趣旨のコメント

が現れ、この演奏は見て、聴くことが出来なくなった。

「クラシック音楽」という最も人気の無い分野ですら、NHKの監視は見落とさない。

他にも、アルゲリッチが別府音楽祭で弾いた、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番とか

ベルリン・フィルがサイモンラトルと来日し、R・シュトラウスの「英雄の生涯」を

演奏した。英雄の生涯では全曲にわたって、コンサート・マスターのソロがあり、

東京公演の際、安永徹さんがソロを弾いた。それも全部無くなっている。


純粋に法的見地からはNHKの主張は正しい。

それは百も承知だが、NHKはこの種の「違法アップロード」が後を絶たない理由を

考えているだろうか。

こと、クラシック音楽の番組は、民放には殆どなく

(もちろん、その理由は「視聴率が取れないから」である)、

NHKだけに極めて興味深い、貴重な番組が集中しているからである。

NHKは著作権を主張する権利がある。それは認めるが「権利」ばかりを

喚くのではなく、「違法アップロード」には視聴者(=顧客)のニーズが

現れていることに気が付くべきだ。


◆NHKの著作権は分かったから、NHKアーカイブズのネット配信などサービスを向上させろ

NHKのデジタル放送のCPRMという、コピーガードを解除し、YouTubeなどにアップロードする行為は

違法である。それは分かった。分かったから、顧客(視聴者)の利便性にNHKは配慮するべきだ。


話を引き続き、クラシック音楽番組に限定するが、

前段に書いた、サヴァリッシュ氏とN響メンバーによる室内楽はほんの一例だ。


1950年代にカラヤンが一ヶ月半日本に滞在しN響を指導・指揮したことがある。

ストラヴィンスキーが、N響で自作「火の鳥」を指揮した映像がある。

これはDVD化されている。

コンサートの映像ばかりだけではない。

ある時、サヴァリッシュ氏が教育テレビの番組で、

ベートーヴェンの全ての交響曲をスコアを自らピアノで弾きながら解説する

という、企画があった。今みたら、一層興味深いであろう。


更に、以前、教育テレビでは、月曜日から木曜日まで、夕方、

ピアノ、ヴァイオリン、フルート、ギターのレッスン番組を長い間放送していた。

どの楽器も、当代きっての大先生ばかりを講師として迎えた。

ヴァイオリンでは、自らが優れたソリストであるばかりではなく、

数多くの優秀な弟子を輩出した、江藤俊哉先生が講師を務めた時期があった。

ピアノで良く覚えているのは井上直幸氏、宮沢明子氏、松浦豊明氏、中村紘子氏。

フルートは吉田雅夫氏、小出信也氏(両氏ともに、元N響首席フルート奏者)

ギターは荘村清志氏、という錚々たる顔ぶれである。


これらの映像は、東京ならば、埼玉県の川口にある「NHKアーカイブ」という

建物に行くと、見ることが出来るが、いちいち面倒で行っていられない。

こちらは(しつこいが、)1年に2万5千円もの受信料を払っている。

NHKが視聴者のリクエストに応じて、アーカイブズから昔の番組を放送するとか

ネットで、別料金を徴収しても構わないから、こちらが自由に検索して

番組を丸ごとダウンロード出来るようにする、

(現在のNHKオンデマンドは、最近の番組が多く、

しかもダウンロードは出来ず、1回315円支払って24時間しか見られない)など、

その為には様々なテクニカルな、或いは制度的、法的課題があるだろうが、

それを何とかクリアして、カスタマーのニーズに応えるのが「商売」である。

YouTubeにアップされた画像に対して「著作権侵害」を申し立てるのなら、

こちらがNHKの著作権を侵害しなくても、過去の貴重な映像を自由に見られる方法を

確立するべきだ。

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