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2011.04.03

NHK「ニュースウオッチ9」で報じていた「災害関連死」。←特に高齢の被災者は「頑張っ」てはいけない。

◆「阪神・淡路大震災や新潟中越地震と被災状況が全く違う」

普段は月曜から金曜の21時にNHK総合で放送されるニュースウオッチ9が、震災後は、

土曜日も放送している。

たった今、見たところだが、これは重大だと思ったので、記す。


震災後、宮城・坂総合病院に支援に赴いた、神戸協同病院 上田耕蔵医師は、阪神・淡路大震災を経験し、

その後新潟中越沖地震の被災地も見たドクターが、現場で避難所で活動する姿とそこで分かったことを、

NHKが放送していた。


上田医師によると、阪神淡路や、新潟中越沖の場合と、東北関東大震災では、

被災者の環境が大きく異なる。


◆東北の避難所は「寒い」。

何が異なるか?

東北では、「いつまで経っても物資が届かない。」

特に、燃料。石油が足りないことから、タダでさえ寒い避難所は昼間はストーブを消している。

阪神・淡路の際は、避難所ではストーブがガンガン焚かれて、むしろ暑いぐらいだったが、

今回、東北関東大震災に置いては特に東北はまだまだ気候的に寒いのに、

お年寄りが避難所で寒さを堪えて毛布にくるまっている。

これが、身体に良いわけはない。特に高血圧の患者は、血管が収縮するから血圧上昇要因となる。



或るお年寄りは、たまたま、避難所の様子をNHKが取材したときには、地震の際石油ストーブが倒れ、

脚に火傷を負っていたが、それ自体は致命的な症状ではなく、

NHKのインタビューにも一見普通に答えていたが、

その3時間後、突然倒れた。


上田医師が、避難所にいて、駆けつけたが、「急性大動脈解離」で既に心停止していた。

心臓から全身に血液を送り出す最も太い血管が大動脈で、

簡単に言えば、それに亀裂が入り、裂けてしまった状態と、私は医療従事者ではないが、

そういう理解で良かろう。緊急オペをしても助かるかどうか、という急変だから、

避難所ではどうしようも無い。


上田医師が調べたら、その亡くなった女性は、以前から降圧剤を含む6種類の薬を常用していたが、

津波で流されてしまい、1週間、薬を飲め無かった上、避難所では10畳の部屋に15人が寝ていた。

文字通り「足の踏み場もなく」、15人の中には赤ん坊もいたことが分かった。

上田医師は、「持病があったのに、薬を一週間以上も飲めず、寒く、地震自体から受けたショックに加え、

人が多くてよく眠れない環境によるストレスが、大動脈解離の原因になっていたのであろう」という趣旨の

ことを言っていた。


◆致死性不整脈。

NHKのレポートによると、高齢の被災者の方の災害関連死で最も多いのが「致死性不整脈」による突然死

だという。リンク先に説明が載っているが、それを引用させて頂く。

これは日本メドトロニック株式会社という、心臓ペースメーカーを作る会社のサイト。

致死性不整脈による心停止について

(監修:筑波大学大学院 病態制御医学循環器内科学 教授 青沼和隆先生)

致死性不整脈による心停止(以下、突然心停止)は、速すぎる脈拍のために、心臓が痙攣したような状態になり、血液を循環させる機能を十分に果たせなくなって起こります。その状態のまま治療を行わなければ、心臓から血液が送り出せない状態にあるため(心停止発作)、数分で死に至ります(突然死)。このような危険な状況にある場合、植込み型除細動器(ICD)を使用することによって、異常に速い脈拍を正常に戻すことで、突然死を回避することができます。

素人でも昨今の医療ドラマ(救命救急関連)で良く見聞きする。
ナース:「VFです!」

ドクター:「除細動!」

のVFは、ventricular fibrillation(心室細動)で、その他、心室頻拍、心房粗動などの

文字通り命に関わる不整脈の総称らしい(これは「頻脈系」、つまり異常に心臓がドキドキする方だが、

異常に拍動が遅くなる「徐脈系」の致死性不整脈もあるそうだ)。

92歳で亡くなった女性は、それまで何の持病もなく、地震で怪我をすることも無かったが、

マグニチュード7クラスの余震が起きるたびにお嫁さんと、勝手口から外に飛び出す、

という、恐い思いを何十回も繰り返すうちに、「胸が痛い」「頭が痛い」と訴えるようになり

致死性不整脈による心停止で突然亡くなったという。


日頃から我々は冗談で、驚いた時に「心臓に悪い」というが、極度のストレスの反復は

本当に心臓に過酷な負荷を課し、生命に関わるのである。


上田医師の経験では、阪神・淡路大震災でも新潟中越沖地震でも、地震の後2週間を過ぎると

病院に来る救急車の回数は、減るのだが、東北関東大震災では、3週間経っても減らない。

前述のとおり、物資の不足による寒さなどがもたらす、様々なストレスが災害関連死を

増加させている。


◆国が旅館を借り切ったらどうですか。

NHK「ニュースウオッチ9」では生で、上田医師の話を聞いていた。

上田医師によると、災害関連死を防ぐポイントは5つ。

1.十分な睡眠。(眠れないことはとにかくストレスになる。)

2.情報。(支援や医療、仮設住宅の情報などがないと、途方に暮れ、ストレスになる。)

3.医療チームがいること。(避難所でも、いつでも医者がいる、と言うだけで安心できる。)

4.入浴。(難しいだろうが、入浴は心身のストレスを和らげる、大きな効果がある。)

5.ボランティア。(話を聞いてあげる人間が必要だ。)

という。阪神・淡路、新潟・中越の両震災で活躍したドクターの意見は貴重だ。


私は震災後何度か書いたが、特に高齢の被災者は(透析が必要な場合などは都会の病院でも

仕方ないかも知れないが)、東北地方日本海側の被災していない街の旅館やホテルを国が借り切って

そちらに移しなさいと。

旅館業とて、今回の震災で日本中から予約が無くなるだろうし、キャンセルが相次いでいる。

それほど収容能力があるか、分からないが、前回試算したときには避難民が32万人だというから

その半分、16万人が一泊15,000円の宿に半年泊まる、と仮定すると、
160,000(人)×15,000円×180日=4,320億円

である。3月29日に平成23年度の予算案が成立した。

財務省のサイトで、平成23年度予算が成立しました。を見ると、

一般会計予算歳出の部は前年度(平成22年度)とほぼ同じ、92兆円である。

4,320億円は一般会計予算歳出総額の0.4パーセントにしかならない。

さらに。

あくまでも仮定だが、より高価な宿泊施設、一泊25,000円の宿に16万人が1年間泊まると、

総額、1兆4,600億円であるが、それでも一般会計歳出総額の1.5パーセントである。

実際には、16万人を収容出来る、一泊2万5千円の部屋は確保出来ないだろうが、

思い切り、贅沢に考えてもその程度だ、と言いたいのである。

勿論、医療スタッフもついて行く。家族と離ればなれになるのがいやだ

というお年寄りがいたら、家族の宿泊費も負担する。


それぐらい良いだろう。

70歳、80歳まで生きて、寒い体育館で、我慢していろ、というのはひどすぎる。

もう住むところが無い人も大勢いる。仮設住宅で独りで暮らせというのか。


◆結論:高齢の被災者は「頑張っ」てはいけない。

テレビを見ていると、国内外の一般人、有名人が、被災者に

頑張れ!

と、簡単に言う。悪気が無いのは分かるが、自分は安全地帯にいて、「頑張れ」という言葉を

発するのは簡単だが、はっきり言って無神経である。


あれほど、壊滅的な被害を受け、この先どうしたら良いか分からず、

不安な気持ちのまま、寒い体育館で毛布にくるまり我慢しているお年寄りとって、
頑張れ

は、むしろ、残酷な激励である。好意から出た発言なので、文句が言えないのが余計辛いだろう。

「頑張れ」が時として逆効果なのは、今回の被災者ばかりではなく、例えば病人に
早く良くなってね?

と言う言葉は、却って心理的に負担になる。「ゆっくり休んで下さい」というのだ。

病人どころか、かつてメキシコオリンピックのマラソンで銀メダルを獲得した

君原健二選手が現役引退後、テレビで、

オリンピックに限らず、レースのたびに沿道の一般人から「頑張れ」と言われると、
こんなに頑張っているのに、もっとがんばらなくてはいけないのか・・・。

と思い、はっきり言って、逆にプレッシャーになった、と話すのを見たことがある。

尤も、君原選手は、ものすごく真面目な人なので、文字通りに解釈してしまうのだろうが、

兎にも角にも、年齢や性別、健康か病人かに関わらず、安易に「頑張れ」と言わない方が良い。


そして被災者の方々。

特に東北の人々は昔から寒さに耐えて生きて来て、我慢強いのが当たり前になっているが、

この際、敢えて私は、
頑張ったり、我慢してはいけません。具合が悪いときには早く周囲に言っていいんです。

と申しあげたい。

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