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2011年6月

2011.06.30

「東電管内の電力需要が震災後最大値、29日ピーク時は93%超」←「ピーク時供給量」って変動するんですよ。

◆記事:東電管内の電力需要が震災後最大値、29日ピーク時は93%超(ロイター 6月29日(水)19時4分配信)

東京電力によると、東電管内の電力需要は29日の午後2時台に4570万キロワット(速報値)まで増加し、

東日本大震災後で最大値を記録した。

最大供給力に対する電力需要の割合(使用率)は93%超に達し、

東電が「電気の供給が厳しい」目安とする「90%超─95%以下」のゾーンに入った。

気温の上昇などが要因。これまでの最大値は24日午後2時台の4380万キロワット(確報値)だった。

東電によると、使用率が90%以下は「供給に比較的余裕がある」、90%超─95%以下は「供給が厳しい」、

95%超─97%以下は「供給が大変厳しい」、97%超は「不足する可能性がある」という目安とされる。

97%超が想定される場合は、政府が電力の「需給ひっ迫警報」を発動する予定。


◆コメント:記事を鵜呑みにしないこと。

ロイターの記事は、ウソとは言わないが正確では無い。

最大供給力に対する電力需要の割合(使用率)は93%超に達し

とかいてあるが、違う。東電のサイトをよく読むと分かる。

それは、東京電力の、電力の使用状況グラフ(当社サービスエリア内)

である。明日になるとまた、グラフが変わるから、画像として保存しておく。

このグラフを見ると分かる。

20110630tepco01

93%とは、「本日のピーク時供給量=4,900万Kw」を分母に置いている。

ところがこのグラフの下を見ると、

20110630tepco02

明日の「ピーク時供給量」は4,980万Kwではないか。今日よりも多い。

そして、明日の「予想最大電力:4,500万kW」だから、使用率は4,500÷4,980=0.9036=90.3%ではないか。

どういうことか、東電の説明がある。

ピーク時供給力とは、電力需要のピーク(最大電力)にあわせた供給力のことであり、火力、原子力等の固定的な供給力に加え、需給が逼迫した場合、素早く対応可能な揚水式発電(水力)が一定量含まれております。

ということだそうだ。

こういうことは正確に伝えて貰わないと困る。

ロイターの記事の「最大供給量」という単語は、

「東京電力がどう頑張っても、これ以上供給出来ない電力量」

を想起させるが、そうではないのである。更に、ピーク時供給力に関して東電は、
「本日のピーク時供給力」は、電力需給状況により変動する場合があります。

「変動する」と書いてあるだけで、「減少する」に限っていないのだから、

「増加する」こともあるのだろう、と考えるのが妥当である。


ここから先は、私個人の憶測だが、本当は東電は「需給が逼迫した場合」に

備えて、現在運転休止中の火力発電所も稼働可能にする準備をしているか、

或いは、既にいつでも動かせるようにしているのではないか。

しかし、最初から「まだまだ余裕がありますよ」というと、

節電意識が急激に薄れて、本当に電力需給が逼迫してしまうので、

さらなる追加的電力に関しては言及しないのであろう。


東電のこのサイトは7月1日から「でんき予報」になるが、

毎日18時頃に翌日の電力需要とピーク時供給電力予想を載せるそうだから、

特に、このピーク時供給電力が毎日どのように変化するか、を監視するべきだ。

本当は、今、最大限の発電量はどれぐらいになり得るのか、

東電は公表するべきだと思うが、震災から今までのデータ公表→訂正の

繰り返しを見る限り、「出来るだけ、本当のことは発表しない」体質のようだ。

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2011.06.29

謝罪でスタート「深くおわび」=「最悪の人災」怒る株主―東電←究極的な責任は国民にあります。

◆記事:謝罪でスタート「深くおわび」=「最悪の人災」怒る株主―東電(時事通信 6月28日(火)10時46分配信)

福島第1原発事故に揺れる東京電力の株主総会は午前10時、都内のホテルで始まった。

会場には開始時点で過去最多の3917人の株主が詰め掛け、3カ月以上たっても事故を収束できない東電の対応に、怒りの質問が相次いだ。

総会の冒頭、勝俣恒久会長は「福島第1原発事故や電力供給力不足による計画停電で、皆さまにご迷惑、心配を掛け

、役員一同深くおわびします」とあいさつ。壇上に並んだ17人の役員らと、深く頭を下げた。

続いて清水正孝社長が決算状況や事故の収束に向けた取り組みなどを説明。

静まり返った会場では時折、株主からやじが上がった。

開始から約30分。総会の議長を務める勝俣会長が予定に従い、

株主からの事前質問に答えようとすると、会場の女性から議長解任を求める緊急動議が出された。

女性が「今回の惨禍は賠償やおわびでは済まない。本当に責任を感じていれば、議長は務められないはずだ」

と涙声で訴えると、大きな拍手と怒号が飛び交った。

勝俣会長は「私としては、このまま続けたいと考えている」と出席者に挙手を求め、

反対多数で動議を否決。ざわめきが収まらない中、「運営は議長に一任していただきたい」

と淡々とした口調で述べ、議事を進めた。

質問時間に入ると、会場では多数の手が上がった。「戦争を除けば史上最悪の人災だ」

「役員は全資産を売却して償え」。責任追及の声が上がるたびに、

会場からは拍手が。従来通りのおわびと説明を繰り返す役員らに「何も答えていない」

とやじが飛び、総会開始から3時間以上が過ぎても、発言を求める声はやまなかった。


◆コメント:東電や国に責任が無いとは言わないが、エネルギー政策に無関心だった国民の責任だ。

何度も同じ事を書く。

大新聞ではないから、一度書いても読む人の数は知れている。

だから、一般人のブログで、強く訴えたいことがあったら、何度も書く必要があるのだ。


過去何度か書いたが、原子力発電所は日本に54基ある。


言うまでも無く、ある日突然、54基が完成したわけではない。

事故を起こした福島原発一号機は1971年から運転を開始している。


確かに国や東電は「原発は安全だ」と言い続けて来たが、一方、

小出裕章京都大学原子炉実験所助教は、1970年から、

原子力はあまりにも危険であり、原発中心のエネルギー政策は止めるべきだ。

と、主張し続けている。


要するに、約半世紀にわたって、原発をどんどん作るぞ、と

田中角栄の頃から、国は何も隠していなかったし、

小出裕章京都大学原子炉実験所助教の反対の声が封印されていたわけでもない。

日本は、議会制民主主義。代議制民主主義であるから、原発を推進するぞ、

というエネルギー政策を掲げた自民党にずっと政権を担当させていた国民は、

原発推進に関して、よく考えないで、ただ、なんとなく大丈夫だろう、

という程度だったが、不勉強だったのは有権者の怠慢である。

代議制民主主義の原理に鑑み、原発推進を支持したのは、日本国の主権者たる国民である。

原発が地震に襲われたときに、強度に問題が無いか、など、今度の震災まで誰も本気で

考えた事が無い。その「考えた事が無い、」という「不作為」が、福島原発事故の

究極的な原因になっている。


村上春樹氏が、カタルーニャ国際賞受賞のスピーチで、
・・・原爆投下から66年が経過した今、福島第一発電所は、三カ月にわたって放射能をまき散らし、周辺の土壌や海や空気を汚染し続けています。それをいつどのようにして止められるのか、まだ誰にもわかっていません。これは我々日本人が歴史上体験する、二度目の大きな核の被害ですが、今回は誰かに爆弾を落とされたわけではありません。我々日本人自身がそのお膳立てをし、自らの手で過ちを犯し、我々自身の国土を損ない、我々自身の生活を破壊しているのです。

と言っているが、これは、完全に正しい。

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2011.06.28

「5月の自殺者数、月別で過去最多」←地震後2ヶ月は人身事故がすくなかったのです。

◆記事:5月の自殺者数、月別で過去最多(医療介護CBニュース 6月8日(水)18時35分配信)

今年5月の自殺者数は3281人(速報値)で、月別で過去最多を更新した。

警察庁のまとめによると、月別の自殺者数の公表を始めた2008年1月以降、

これまで最多だった09年3月の3103人を178人上回った。

自殺者数の月別の推移を見ると、09年3月から3か月連続で3000人を超えたものの、

それ以降は23か月連続で3000人を下回っていた。

都道府県別では、東京が325人で最も多く、以下は神奈川(210人)、大阪(206人)と続いた。

また、東京、神奈川を含む13都県で、月別での自殺者数としては過去最多となった。


◆コメント:震災後暫くは首都圏の人身事故(飛び込み自殺)が驚くほど少なかったのです。

引用した記事は、あくまで参考です。

全く個人的な推測ですが、5月に自殺者数が増えたのは、地震後、自殺を控えていた人が

5月に集中したのではないかとおもうのです。


私が、通勤時に使う、JR東日本の中央線快速電車は、以前はそんなことは無かったのですが、

ここ数年、「自殺が多いので有名な場所(鉄道路線)」になってしまいました。

厳密にいうとJR中央線だけではなく、週に何度かは首都圏の何処かのJR在来線や私鉄各線で、

自殺者がいたのです。人身事故に限らず、信号故障などによる運行障害があると、

電車の中の液晶画面、「トレインチャンネル」に表示されるので、自分が乗っている路線

以外のことも分かります。


3月11日、東日本大震災の後、暫く経ってから私はふと、気がついたのです。

地震以降、人身事故が全くと言って良いほど起きなくなったのです。

首都圏の何処でも同様でした(統計的にはエビデンスはありませんが)。


戦争中、自殺者は少なかったといいます。

それと同じ「原理」だったのでしょう。

つまり、

人間は放っておいても命を失うかも知れない状況下では、自ら命を絶とうとしない。

ということです。

被災地はまだがれきが片付かないで、猛烈な悪臭や、ハエに困っている所が多いと聞きます。

それに対して申し訳ないようですが、東京は、ほぼ、震災前の世の中の雰囲気に戻っています。

そうしたら、今月に入ってからは、再び人身事故のニュースを度々見るようになりました。

誠に皮肉です。


しかし、これは被災地でも要注意ということです。

阪神淡路大震災でも、避難所で暮らしているときには、不便でプライバシーもないけれど、

周囲に人がいた。ボランティアの人々も医療従事者もいた。

その後、仮設住宅が急遽建てられて、そこに済む事を言い渡されたお年寄りですが、

とにかく、急いでいたので、行政は「元来のご近さん」同士を仮設住宅街(?)に

於いて再現する、というところまで手が回らなかった。仕方が無かったのかもしれませんが、

1人住まいのお年寄りは隣近所は知らない人ばかりで、以前のように話し相手もいません。

その孤独感や将来への不安感や健康への不安などが渾然一体となり、地震から随分時間が経ってから

仮設住宅でお年寄りが孤独死(必ずしも自殺ではない)する例が多かったと聞きます。

東日本大震災では、この点を考慮して「相談センター」に多くの人員を割くそうですが、

あくまで他人です。

できることなら、震災前の「ご近所同士」を仮設住宅でも実現することが望ましい、

と思われます。

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2011.06.27

【福島原発】考えるのは憂鬱だが、考え続けなければいけないのだ。

◆「慣れる」というか「馴れ」たり「狎れ」てはいけないのである。

最近、福島原発に関するニュースに、人々が鈍感になっている。

度々耳にするので「慣れ」(あるいは「馴れ」「狎れ」)てしまった、ということもあろうが

一番の理由は、考えるのが面倒臭いからであろう。

確かに私も、地震の後、福島原発の事故を知り、初めて分からない乍らも

調べたり本を読んで、ここに記事を書いている人間で、

原子力の仕組みや、放射線、放射性物質の種類、その環境、人体への影響を

専門家のようには理解していないけれども、少なくとも、考えることを止めてはいけない、

と思っている。


考えないで、「とりあえずの日常」を取り戻したように見える東京の生活に埋没してしまえば

クヨクヨと悩まずに済む。世の多くの人々は、私の見る限りそれを選択している。

しかし、それは楽天的でもプラス思考でもなくて、私がかつて書いた

無思考をプラス思考と称する欺瞞

であろう。


◆小出裕章京都大学原子炉実験所助教のコメントを(ほぼ)毎日聴くことが出来る。

大阪の毎日放送では、毎日、Radio News『たね蒔(ま)きジャーナル』小出裕章京都大学原子炉実験所助教にインタビューしている。

福島原発に近い東京のキー局は何もしないのに、大阪の放送局の方が熱心に情報を提供してくれている。

誠に有難い。その他、様々なメディアに於ける小出裕章京都大学原子炉実験所助教のコメントをまとめてくださっているのが、

小出裕章非公式まとめ

と言うブログで、これはTwitterアカウントもある。
小出裕章非公式まとめ更新情報

さらに、ビデオニュース・ドットコムは、本来有料の会員制だが、

小出先生へのインタビューが、随所で聴ける。これは、月に500円払っても十分に聴く価値がある。


一般論としては、自分の思考を構築するための参考として、1人の意見だけを参考にするのは

望ましい形ではないが、

今回に関しては、私は自分の直感で、小出先生だけを信頼すればいい、と考えている。

小出助教の発言が冷静、客観的、合理的、論理的であり、主張に一貫性がある。

そして福島原発の事故の後、小出助教が予想したことは、ほとんど全てその通りになっている。

小出助教が恐れていたが、幸い実際には起こらなかったのは、「水蒸気爆発」


◆6月に放送(ネットやラジオ)された小出助教のコメントから私が選んだもの。

まず、

ビデオニュース・ドットコム、スペシャルリポート (2011年06月09日)IAEA報告書は原発を継続するためのもの








小出先生の調査によると、福島は既に広範囲で放射能物質に汚染されていて、

こんな所に子供を残しておいて良いのか、というレベルだそうです。

また、原子炉圧力容器と格納容器が全て溶融しているとおもわれるため、

今後は、以前恐れていた水蒸気爆発は無くなったけれど、汚染は地下水から海に達するであろうとのこと

、28項目に及ぶ安全強化策などを含む福島原子力発電所の事故に関する報告書を、

7日、国際原子力機関(IAEA)に提出したが、そもそもIAEAは原子力推進のための機関だから、

報告書も実は茶番であり、日本は最初から原発を何とか存続させようとしていること、

等が明らかにされている。


先週はあまりにもひどいので、呆れてものが言えないのであるが、

20110620 【1/4】たね蒔きジャーナル スペシャル拡大版 小出裕章







20110620 【2/4】たね蒔きジャーナル スペシャル拡大版 小出裕章





20110620 【3/4】たね蒔きジャーナル スペシャル拡大版 小出裕章







20110620 【4/4】たね蒔きジャーナル スペシャル拡大版 小出裕章







国会議員達が全く何も考えていない事がよく分かる。こんな連中と話す為に、小出助教の貴重な時間を割いてはもったいない。



最後にもう一つ。汚染水浄化装置について報じられているが、既に6月上旬で11万トンもの汚染水がたまっている。

とてもじゃないが、除染など間に合わない。

小出助教は冷却水がどんどんトレンチにたまっていくときからずっと提案しているが、巨大タンカーを用いて、汚染水を

柏崎に運んだ方が速いらしい。

原子力の専門家ですら、一体この事故をどうやって収束させるべきか途方に暮れているという。

それぐらい深刻な状況が続いていること。しかも、放射性物質、今この瞬間も福島原発から大気や地中に

拡がっていること。

日本という国が建ち行かなくなるかも知れない、というぐらい深刻な状態が続いていることを、

考えたくないが、わすれてはいけないのである。

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2011.06.25

【音楽】お薦め。スヴェトラーノフ=N響、チャイコフスキー 交響曲第5番。

◆このコンビをお薦めするのは2度目です。

一度目は、約半年前、昨年の12月です。

こういう記事を書きました。

【音楽】スヴェトラーノフ=N響「チャイコフスキー・3大バレエ抜萃」(ライブ)

エフゲニー・スヴェトラーノフは旧「ソ連」の時代に全盛期だった指揮者です。

彼が、長く音楽監督を務めたソヴィエト国立交響楽団と1970年代に来日し、初めて彼を見たとき、

私は、はっきり言って、あまり良い印象を受けなかったのです。

ステージにツカツカと現れる瞬間から、自信とエネルギーに満ちあふれてまして、

ステージの真ん中まで来たら、客席に向かって胸を張って、両手をサッと左右に拡げるのです。

あたかも
どうだ。これが俺のオーケストラだ。これからお前ら日本人に「本当の」ロシア音楽を聴かせてやるぞ。

と言いたげです。「何だか、妙に威張ってるな」と思いました。

しかし、演奏はすごかったですね。ロシア(旧ソ連)のオーケストラがチャイコフスキーや

ショスタコーヴィッチを演奏すると、とにかく最初に「馬力!」という感じで、バリバリ鳴らす、

というイメージが強いのですが、スヴェトラはクマみたいな容貌とは裏腹に、大変繊細なのです。

しかし同時に、「悲愴」の第三楽章では、一番盛り上がり、全オーケストラがフォルテでマーチを

演奏する部分になったら、スヴェトラは突然、指揮棒を下ろしまして、

全てオーケストラに委ねるのです。自分は少々わざとらしく、カフスボタンを付け直したりして

目の前でオーケストラはガンガン弾いてるんですよ。オーケストラの合奏能力を誇示したかったのでしょうか。

ソヴィエト国立響はスヴェトラが鍛えて「我が子」と呼んでいたそうですから。

でも、そんな指揮者を当時高校生の私は初めて観て、何だかハッタリっぽく感じました。

だから悪いけど、私のスヴェトラに対する第一印象は良くなかった。


まさか、後年、N響に客演して、名演を繰り広げることになるとは、想像だにしませんでした。

さらにさらに意外だったのは、N響のメンバーにも大変、好かれていたのですね。音楽も人柄も。


◆「バイオリニストは肩が凝る」から「スヴェトラの死んだ日」

N響で30年もヴァイオリン奏者として活躍なさった鶴我裕子さんの

バイオリニストは肩が凝るは、少なくとも私にとってはものすごく面白い、

誤解を恐れずに述べるならば、あたかも、私の為に書かれた本である、というぐらい興味深い本なのですが、

その中に「スヴェトラ来た日」と「スヴェトラが死んだ日」の二つの文章が載っています。

ここまで書いて貰っている指揮者は他にいません。「スヴェトラが死んだ日」から引用します。

「スヴェトラーノフの死んだ日」

今年(2002年)5月7日の、成田空港出発ロビーで。

「スヴェトラ、死んだねぇ」

「ああ、つなんなくなっちゃったなあ」

「どうしても死ぬんなら、9月に来てからにしてくれよ」

「楽しみにしてたのに」

「喪に服したいから、黒、着てきたんだ」

「ただのTシャツじゃねえか」

我々はその日、デュトワの指揮で、韓国の合唱団と「第九」をするために、ソウルへ出発

するところだった。

本来、指揮者はプレイヤーのカタキだ。人につらいことを全部押しつけておいて、手柄は

横取りする、嫌われて当然の存在なのだ。それなのに、オケの「みんな」が、その死を知って

ショックを受け、本気で悲しむなんて、めったにあることじゃない。


「ダイアナ=プリンセス・オブ・ウェールズに捧げます」--あの声を忘れない。名演だったチャイコフスキーの

第5番の2楽章に入る前だった。
客席は水を打ったようになり、こちらも涙が込み上げそうになった。

超ロマンチストだったスヴェトラ。あらゆるメロディを、これでもかというほど遅くして、歌わせたスヴェトラ。

しかし、チャイコフスキーの第4番の2楽章では、ソロを吹くオーボエに「何もするな」と言ったスヴェトラ。

注文は1回きりしか言わないので少しこわかったスヴェトラ。口数の少ない、でも練習の途中で、ポツリポツリと、

ショスタコーヴィッチの棺桶をかついだ話などしてくれたスヴェトラ。大汗をかいて、本番でも楽章ごとに休んで

あおいでいたスヴェトラ。


(中略)

楽員一同、心からご冥福をお祈り致します。(注:色文字は引用者による)

このチャイコフスキーの交響曲第5番がCDになっているのです。

チャイコフスキー:交響曲第5番です。

鶴我裕子さんの本に書いてある「名演」はこれに間違いない。CDの記録を読むと1997年9月5日のライブなんです。

ダイアナ妃が事故で急死し、世界が驚いたのはこの僅か5日前、1997年8月31日のことなのです。

だから、第二楽章に入る前に、スヴェトラーノフは弔いの言葉を述べたのでしょう。

残念ながら、CDではスヴェトラーノフの言葉はカットされています。


◆確かに名演です。

チャイコフスキーの交響曲第5番、第二楽章には、長いホルン・ソロがあるので有名です。

緩徐楽章、Andante Cantabile(アンダンテ・カンタービレ)ですから、細かい速い動きはありませんが、

何しろ、弦楽器の伴奏でホルンがオーケストラの中のソロとしては相当長い時間1人で音を出しているし、

緩徐楽章だからこそ、一つでも、ちょっとでもミスをしたら、特にこの曲なんか、クラシック・ファンは皆

知っているので、誤魔化しようが無い。そういうプレッシャーが有ると思います。


長年、首席ホルン奏者を務めている松崎裕さんのソロは大変見事です。

スヴェトラは演奏終了後、松崎さんをわざわざ、指揮台の所に連れてきて、

その名演を讃えたそうです。そしてその模様は、この演奏の10年後2007年、

N響アワーが「ホルン特集」を企画したときに放送されたそうです。Amazonのレビュアーが書いています。

非常に悔しいことに、私はそれを見逃してしまったのですが、また放送して貰えると嬉しいですね。

それでは、その第二楽章と、フィナーレ(第四楽章)をお聴き頂きましょう。


チャイコフスキー 交響曲第5番 ホ短調 第二楽章 アンダンテ・カンタービレ







ものすごく深いところから音が出ているように聞こえます。正にスヴェトラが表現したかった「祈る」気持が

N響のメンバーに伝わっているのでしょう。

続いてフィナーレです。


チャイコフスキー 交響曲第5番 ホ短調 第四楽章 アンダンテ・マエストーソ、アレグロ・ヴィヴァーチェ





私のような似非(エセ)クラシック・ファンは、チャイコフスキーや、ショスタコーヴィッチの交響曲というと、

まず、昔のソ連時代のムラヴィンスキーとレニングラード・フィルハーモニー交響楽団が定番と決めてかかります。

実際名演の名盤も多いですけど、決めつけるのはつまらないですね。

このチャイコフスキーの交響曲第5番、「馬力」という点で比較したら、それはクマのような大男が大勢いる

ロシアのオーケストラの方がバリバリ大きな音で鳴らすことができて、景気がいいでしょう(特にトランペットは

フィナーレまで行くと相当キツイので、体力の差が出ます)。


しかし、チャイコフスキーの5番はただ、バリバリ大きな音で景気良ければ良いというものではないですね。

指揮者によって、これまで何度も聴いたことがある、チャイコフスキーの交響曲が、全然別の顔を見せます。

これこそ、名指揮者です。

チャイコフスキー:交響曲第5番、お薦めします。

(蛇足ながら、Amazonに私が2番目のレビューを書きました)


◆【おまけ】スヴェトラが「白鳥の湖--情景」を振ると・・・・。

そもそも、私が今更ながら、スヴェトラーノフとN響の演奏に関心を持って経緯は、

【音楽】スヴェトラーノフ=N響「チャイコフスキー・3大バレエ抜萃」(ライブ)

に書きましたが、これこそ何度聴いたか分からない、あの「白鳥の湖」の第二幕「情景」

の演奏を素晴らしいと思ったのがきっかけです。鶴我裕子さんが、
超ロマンチストだったスヴェトラ。あらゆるメロディを、これでもかというほど遅くして、歌わせたスヴェトラ。

と書いておられるとおり、彼の有名な白鳥のテーマがオーボエからホルンに渡されたあと、

これほどテンポを落とした演奏はありません。すぐに削除依頼が出てしまうかもしれませんが、

その映像だけアップします。


SwanLake Scene






スヴェトラーノフは少しも大袈裟な動きをしないけど、N響がスヴェトラの意を汲んで、

熱演してます。こういう風に持っていくのが名指揮者でして、自分が先に興奮して、

オーケストラが、シラーっとしているときは、あまり良い演奏では無い事が多い。

これは、交響曲第5番とは別の日の演奏ですが、最後、くるみ割り人形の

「パ・ド・ドゥ」演奏後、仕切りにブラボーが飛んでいます。

言い方が悪くてごめんなさいですが、割と耳が肥えて、スレたお客がN響には多いですが、

彼らに「くるみ割り人形」で「ブラボー」を叫ばせてしまう。

やはり、スヴェトラーノフというひとは、名マエストロだと思います。

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2011.06.24

「東電社員の父持つ小6の手紙 全国から反響」←誰かが書いたことに対して反応するのではなく、自分でゼロから書きなさいよ。

◆記事:<福島第1原発>東電社員の父持つ小6の手紙 全国から反響(毎日新聞 6月23日(木)11時2分配信)

東京電力社員の父親を持つ、東京都内の小学6年生の男子児童から毎日小学生新聞編集部に届いた手紙に対し、

全国から反響が寄せられている。

福島第1原発事故を受けて「世界中の人が無駄に電気を使ったことが原発を造るきっかけになった」

などとする手紙に、各地の小学生が子供なりに考えて賛否の意見をつづっている。

◆ぼくは、東電がまちがっていると思います。

人々が大量に電気を消費するから原発をつくるしかなかったというのは、いいわけにしか聞こえないと思います。

安全だといい、人々をだまし、古くなった原子炉をうごかしつづけてきたことにより

事故が起こってしまったことも問題です。(男子児童の)手紙には、

原子力にみんながたよっていたから事故が起こってしまったという感じで書いてあったけれど、

それは東電の人たちが、福島の人たちに、道路をよくしたり、

補助金を出したりして、たよらせるようにしむけたのだと、ぼくは思います。(京都府・小6)


◆私は、原発事故にかんして国民全体に責任があるという考え方には反対です。

電気の無駄使いについては責任があるかもしれません。

でも、私たちは(原発の)危険性についてどれだけ知らされていたでしょうか? 

学校で習ってきたでしょうか?

むしろ、学校の掲示板に、原発はクリーンなエネルギーで、

安全で不可欠なものだというポスターがはってありました。

そうしたポスターや作文の募集もありました。それをしたのは、東京電力と国です。

そんな教育をうけた私たちが、原発はあぶない! つくらないほうがいい! 

という意見をもつことができたでしょうか。これからみんなで話し合って、

大人が何を間違えたのか、を考えていく必要があると思います。(神奈川県鎌倉市・小5)
(注:他の「反響の手紙」は省略)。

◇男子児童からの手紙の要旨

突然ですが、僕のお父さんは東電の社員です。(原発事故や計画停電についての東電の責任を指摘した毎小の記事を読んで)無責任だと思いました。原子力発電を造ったのは東京電力ですが、つくるきっかけをつくったのは、日本人、いや世界中の人々です。発電所を増やさなければならなかったのは、日本人が夜遅くまでスーパーを開けたり、ゲームをしたり、無駄に電気を使ったからです。中でも原発を造らなければならなかったのは、地球温暖化を防ぐためです。温暖化を進めたのは世界中の人々です。そう考えると原発を造ったのは、東電も含み、みんなであり、みんなも無責任であるといえます。


◆コメント:子供も大人も「他人の意見」を待って反応するのではなく、自分でゼロから考えろ。

一応、「毎日小学生新聞」に手紙を送った、東電社員の小学生の息子の手紙と

それに対する「全国の小学生の反響」を載せたが、その内容について論評しない。

最初の投稿者も、賛否両論も所詮子供で、前提となる知識が無いままに謂わば思いつきを

書いているだけだ。

毎日新聞は何を言いたいのか。

子供が「活発な議論を交わし」ていることが好ましいことだ、といいたいのか。

辛うじて評価するならば、「最初に」知識が不足してはいるが、東電「だけ」の責任を追及する

世論は無責任である、という趣旨の手紙を「毎日小学生新聞」に投稿した子供だけである。


繰り返すが、私は、一番始めの投書の「内容」を評価するのではない。

最初の投書だけは、「自分の頭でゼロから考えた」その姿勢を、一応評価する、と言いたいのである。


私は、ご覧の通り時事問題をずっと書き続けている。

過去の記事をたまに読むが、あまりにも冗漫で、エスプリもユーモアもなく、

鋭い着眼点から快刀乱麻を断つという趣きでもない。我ながら、いい年をして、

幼稚で、無教養で、月並みで恥ずかしい。

しかし、ただ一つ。原則として私はメディアが提供する、オープン・インフォメーション

つまり、誰でも読める記事を元に、自分でゼロから思考している。

ある事柄に関して、他人が書いた文章に反論する、

という書き方はしない(3,000本以上書いているから例外はあるが)。


ところが世の多くの人々は、自分では何も書かず、他人が書いた文章を読んで、

完結していないセンテンスや破綻している論理に難癖をつけて、良い気持ちになるのである。

私とて、文章を公開しているから、コメントを頂くのは甘受するが、

たまに、露骨な揚げ足取りや、私が知らない知識をひけらかして得意げなメールを頂くことがある。

正直、不愉快である。


そこまでいうなら、自分でブログを開き、ゼロから論理を構築し、

自分の思想を自分の言葉で、文章に綴るべきだ。


それは毎日小学生新聞とて、同じである。

東電社員の息子の、毎日小学生新聞への投稿を読んで、多くの反響があった。

何も考えないよりは良いが、他人の文章やら発言を聞いてから、これに反応するのは、

実は非常に簡単なことなのである。ゼロから書くのとは比べ物にならない。

ましてや、子供の不完全な議論を呼んで大人がその不備をあげつらっても

何も意味を為さない。mixiでは、この記事に関して3,000件を超える日記が書かれているが、

原発報道そのものに関して、自らの意見を日記に文章で残す人はほとんどいない。

結論的に繰り返す。

ある事柄について書くのは、自分でゼロから考える作業である。大変しんどい。

その事柄について書かれた他人の意見に対して何かを書くのは、厳密には

自分の思考ではない。それを認識するべきである。

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2011.06.23

「猛暑で電力需要急増 東電の想定超す4129万キロワット」←まだ余裕があるだろ?

◆記事:猛暑で電力需要急増 東電の想定超す4129万キロワット--昨年との比較では1割以上減(日経電子版)(2011/6/22 21:44)

夏至の22日、日本列島は高気圧に覆われ、群馬県館林市で36.5度を観測するなど、

気温35度以上の「猛暑日」を全国13地点でこの夏初めて観測した。

東京電力管内で同日の電力需要が4129万キロワットと東日本大震災以降で初めて4000万キロワットを超えたほか、

各地で電力需要が急増した。猛暑下で電力消費のバランスをどう取るか、利用者を巻き込んだ「神経戦」が始まった。

供給力は十分確保しているが、想定需要を140万キロワット上回った。

昨年は東京で6月最初の真夏日だった16日(最高気温30.3度)のピーク需要は4665万キロワット。

それに比べれば1割以上需要は少なく、「節電の効果が出ている」(東電)と分析している。

気象庁によると、各地の最高気温は

伊勢崎(群馬)36.2度、熊谷(埼玉)35.5度、静岡35.3度、東京都心31.9度などで軒並み今年最高となった。

被災地でも塩釜(宮城)で6月としては観測史上最高の33.0度を記録、仙台で32.7度、釜石(岩手)で32.3度まで気温が上がった。

東電は22日朝の時点で電力需要ピークを3990万キロワット(午後2~3時)と見込んでいたが、

内陸部は想定以上に気温が上昇。ただ、22日の供給力を4730万キロワットとしていたため、

供給予備率は約15%となり、安定供給に必要な8~10%を上回った。


◆コメント:日本経済新聞記者の神経を疑う、「神経戦が始まった」とは何事だ。こっちは客だぞ。

新聞記者が職場に取材に来たことが何度もあるが、実に態度が悪い。

何も勉強してこないで、どうしてあれほど偉そうなのか、と思うが、

うっかり怒らせると、こちらが言ってもいないことをでっち上げて悪く書くので、

一応、みんな心の中では舌をだしても、表面上は丁寧に応対する。


そういう環境で育つから、余程聡明な新聞記者以外は、アホなクセに威張っている。

テレビの方がまだ、ましである。特に生放送の場合、こちらが本気で頭にきたら、

放送中に「放送禁止用語」をデカい声で連発したら、ディレクターやらプロデューサーは始末書なので、

堅気よりはガラが悪いが、ブンヤ(新聞屋=新聞記者の蔑称)よりはマシだ。


日経とか朝日の記者など小僧のくせに「ジャーナリスト」気取りで、

この記事を書いた奴も名文を書いたつもりかも知れない。しかし、なってない。

猛暑下で電力消費のバランスをどう取るか、利用者を巻き込んだ「神経戦」が始まった。

神経「戦」とは何事か。

そもそも、昨年の猛暑の経験から、今年、仮に東日本大震災が無かったとしても、

東京電力管内の発電所がいくつか故障しても、十分な電力供給を確保すべく、

企画を立てて実行する時間は、あった筈だ。それをしていなかった上に、

本当かどうか(その点に関しては後述する)しらないが、福島原発が稼働していないから、

電力供給力が、落ちているのは、利用者=東京電力の顧客には関係の無いことだ。


お客である我々が、東京電力と「戦う」必要はない。

タダでさえ東京電力の言い分によれば、原発が動いていないから電気が足りない。

これは東電の責任だ。それに加えて、原発分を火力で賄っているが、原油や液化天然ガスの

輸入価格上昇を理由に東京電力は六ヶ月連続で電気料金を引き上げる。
◆記事:東電、8月の電気料金も値上げ…6か月連続(読売新聞 6月21日(火)5時10分配信)

東京電力は、8月分の標準家庭の電気料金を7月分より100円近く高い月額6683円前後に引き上げる。

原油や液化天然ガス(LNG)の輸入価格が上昇しているためで、値上げは6か月連続。

他の電力各社や都市ガス各社も同様に値上げする見通しだ。

東京ガスも、8月分は東京地区で55円弱値上げし、月額5210円前後になる見通しだ。

東京ガスは5か月連続の値上げとなる。

電気・ガス料金の調整制度は、対象月の3~5か月前のLNGや原油などの輸入価格の変動額を、

各電力会社の燃料の構成比に基づいて価格に反映させる仕組み。

福島原発が壊れ、今まで無かったほどの放射性物質が、風に乗って世界中に飛んでいる。

1号機の核燃料は圧力容器も格納容器も壊れ、原子炉建屋の床のコンクリートを

溶かし、地面に沈んで、地下水を汚染しているはずだが、その後、どうなったのか、報告が無い。

また、その他の原子炉の核燃料を冷却するために用いて、放射性物質で汚染された膨大な量の水が、

米・キャリオン社と仏・アレバ社、共同の装置で浄化されるはずだったのが、上手く稼働しない。

「稼働しない」では済まない。少なくとも仏・アレバ社は、水1トンの処理に2億円を要求している。

「動かない」ではない。何としても動かし、予定通り水の放射性物質を濾過させろ。

このままでは、ものすごい量の汚染水を捨てることが出来ない。


◆真夏日ですら電力使用率は80%。余裕があるはずだ。

日経の記事は、言葉でゴチャゴチャ書くから分かりにくい。

要するに、311以降、東京電力管内の電力需要が4,000万キロワットを超えたというのだが、

今年初めて全国各地で真夏日となったのであるから、当たり前だ。東京で約32度。

群馬県館林市で約36度。今日、エアコンを使わなかったら死んでしまうほど暑かった。

311以降最大の電力需要になるのは、当然である。しかし、このグラフを見ると、

これほど暑い日でも供給能力の限界に対して余裕がある。

この分だと、7月、8月と去年並の猛暑になりそうな気がする。

そうなったら、電力会社の事情を考慮して、エアコンの稼働を止めるなどと

とても約束できない。そもそも電力供給力の不足が生じるとすれば、

それは東京電力の所為なのだから、毎月料金を引き上げられても、文句を言わずに

電気料金を支払っている利用者の電力需要を賄えるように、あらゆる手段を使え。

運転休止中の火力発電所で動かせるところがもっとあるはずだ。


日本人は素直過ぎる。

政府が節電の為にエアコンより扇風機と言えば本当に扇風機を買うし、

エアコンの設定温度を上げろと言われれば、また、その通りにする。

被災地では、がれきやら、まだ身許不明のご遺体や、魚の死骸などが腐敗して、

ものすごい悪臭と、ハエに悩まされているというのに、

酪農家が絶望のあまり、自殺したというのに、

政治家達は、地震があったことをわすれているのではないか?と

嫌味を言いたくなるほど、被災地対策・支援とは関係のない政局にかけずり回っている。

今日、枝野官房長官と自民党の石原伸晃が、国会内で何かを話している様子が

テレビに映ったが、クールビズとは言え、全然暑そうな様子では無かった。

エアコンの設定温度を国民に要求するのと同じぐらいにしていたら、暑くて汗をかくはずだ。

国会内は、昨年までと同じく、ギンギンに冷やしているに違い無い。

それでも、日本人は辛抱強く、クーデターなど起こさない。

それを知っているから、政治家連中は安心して、被災地を放っておいて、

国会の会期延長に奔走して1日を終えた。

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2011.06.22

「原発にストレステスト導入で大筋合意…IAEA」←地震のストレステストはできないでしょ?

◆記事:原発にストレステスト導入で大筋合意…IAEA(読売新聞 6月21日(火)23時3分配信)

ウィーンで開催中の国際原子力機関(IAEA)閣僚級会議の作業会合が21日開かれ、

東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けた安全強化策として、

欧州連合が導入した「ストレステスト(安全性検査)」と呼ばれる模擬実験を

原発を持つすべての国に導入することなど3項目の提言を採択する方向で大筋合意した。

ストレステストは、大規模災害や航空機墜落のような最悪の事態を想定し、

耐久性などを詳しく審査する。

提言はこのほか、IAEA加盟国が安全性を相互評価する制度の実施にあたり

事業者団体と協力して精度を高めることと、安全条約の内容の強化。

合意内容は、ほかのセッションの結論と合わせて最終日の24日にまとめられる見通し。


◆コメント:地震や津波の無い国の強度試験など、日本では無意味だ。

ストレステストというのは危機管理(リスクコントロール)用語で、

例えば金融機関の財務の健全性を調べるためのストレステスト

もあるが、ここでは関係ないので、説明を省略させて頂く。


記事によるとIAEAは「欧州連合が導入したストレステスト」を

原発を持つ全ての国に導入するというが、

地震も津波もない、ヨーロッパ諸国なら、ある程度の目安になるかも知れないが

福島原発の惨劇は、地震と津波が直接的な原因である。


ヨーロッパの大半の国は、日本のような大地震が起きる可能性は極めて低く、

仮に、万が一、大地震があったとしても、例えばドイツの原発が津波に襲われることは、

絶対に無い。

IAEAの提言は欧州の原発保有国を考慮しているだけで、日本は念頭に無い。


日本の原発のストレステストは、先日も書いたが不可能である。

強度試験をするからには、3月11日と少なくとも同じ強さ地震が、

原子炉の真下で発生した場合を想定し、そのものすごいエネルギーで原子炉圧力容器、

原子炉格納容器、原子炉建屋、そしてなにより、冷却水循環システムが壊れないことを

確かめなければ意味が無い。


しかし、人工的にそれほど強い物理的な力を発生させることは不可能であり、

可能であったとしても、もしそれで、それぞれの原子炉の強度が足りず、原子炉が

壊れたら、ストレステストではなく、それ自体が「災害」である。

まして、津波を創り出して、各原発を襲わせることなど出来るわけが無いし、

出来たとしても、同様の理由から、そんな強度試験は試験と呼ぶには危険過ぎる。

つまり、原子力発電所は、少なくとも地震や津波の無い場所に建てるべき施設である。

それですら、チェルノブイリのような事故が起きるのであるから、

本当はこの世から無くなれば良い。

日本にある全ての原子炉は今すぐに廃炉作業に着手すべきである。

何も事故が無くても、それには、20年もかかるのである。

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2011.06.20

節電もいい加減にしてくれないかな。

◆春先より今の方が電力使用率が低いとはどういうことか。

Yahoo! Japanのトップページなど、色々な所に、リアルタイムの「電力使用率」が

ひと目で分かるように掲載されている。現在(2011年06月20日(月)22時50分)約70%である。

この表示を始めたのは、確か4月で、暖房(エアコン)の電力消費量が、少なくなる頃だったが、

このグラフの電力使用率は常に90%台。グラフはいつもレッドゾーンだった。


あのころより、今の方が蒸し暑く、

何だかんだで、エアコンを稼働せざるを得ないような環境であるが、

「電力使用量」のグラフは常に70%台か、80%台前半。グリーンゾーンである。

4月の「レッドゾーン」は本当だったのだろうか?と疑ってしまう。

また、日本国民は従順で、国家が「節電」を呼びかけ「エアコンより扇風機を」とアピールしたら、

本当に扇風機の売上げが、昨年の4倍だそうだ。


今日、生まれて初めての、気分の悪さを経験した。

眠気と吐き気と眩暈と集中できない感覚が渾然一体となったような、

今までこんなことはなかったのである。

軽い熱中症であったのではないかと勝手に思っている。

外気に触れたら治った。

いくらクールビズを認めても暑いものは暑い。

通勤電車の蒸し暑さで、朝から体力を消耗し、

会社もクソ真面目に国家に従順だから、エアコンの設定温度を上げている。

常に蒸し暑い環境にある。密閉度の高い今の建物は窓を開けられず、「風通し」を

期待することも出来ない。


本当にここまで節電しなければならないのか。

無駄な電力を使わないのは良いことだが、それなら、何故テレビの24時間放送は制限しないのか。

石油ショックの体験者はご記憶だろうが、あの頃、午後、「ワイドショー」の時間帯、全てのテレビ局は

放送を一旦休止し、午前0時以降の「深夜放送」もしなかった。


エアコンも、無論、人がいないのにつけっぱなしにしたり、寒さを覚えるほどの冷房は過剰だろうが

実際、気分が悪くなるほどの蒸し暑さは却って危険だと思う。

きっとこのまま夏になると、年配の方が、暑いのに「節電」を忠実に履行して、

熱中症で死亡する、という事故が相次いで起きる。

人が死なないと「節電アピール」はおわらないだろうか。

何を言いたいのか分からない人のために、結論。


不要な電力を使わないように心がけるのは構わないが、この蒸し暑い日本で、

エアコンの稼働を極端に抑制し、蒸し暑い環境で労働させられるのはたまらない。

極端から極端に走るべきでは無い。

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汚染水浄化装置の故障。元々の汚染が物凄いから、だそうです。

◆福島第1原発 想定外…危うい生命線 汚染水浄化装置、5時間で停止(産経新聞 6月19日(日)7時55分配信)

東京電力は18日、福島第1原発にたまった高濃度の放射性物質(放射能)を含む汚染水浄化システムを、

同日未明に停止したと発表した。1カ月に1回の交換を予定していた装置だが、

17日夜の本格運転から約5時間で放射線量が交換の基準値に達した。原因は不明で、

処理した水を再利用し原子炉冷却に使う「循環注水冷却」の開始も20日以降に遅れる見通しという。

事故収束に向けた「生命線」の意味を持つ同システムだが、トラブル続きで汚染水流出の危険も迫っている。


◆コメント:実は小出先生は、こういう事態を予想していたのです。

原発情報に関しては、毎日放送がほぼ毎日小出裕章京大原子炉研究所助教に

電話インタビューをして、コメントを得ているので、早く知ることができる。


但し有難いことに、これを毎日録音または、文字に起こして下さるかたがいらっしゃるので、

東京の私もその恩恵に浴している。


核燃料を冷却した汚染水から、放射性物質を濾過する計画は早くから発表されていたが、

こちらのブログが、小出先生のコメントを録音し、かつ文字に起こしておられる。

6月7日MBSラジオ小出裕章氏「浄化装置、メルトスルー等について」

番組司会者とのやりとりにはっきり記録されている。

MC:まず、小出先生がずっと最初から問題にしてらっしゃった汚染水について

  伺いたいと思います。

  この福島第一原子力発電所で、溜まり続けている放射能汚染された水を

  どうするかというのが、大問題な訳ですけれども、

  いよいよもう溢れ出すんだという、危機的なラインが迫っている、

  それに合わせて何とか汚染水を綺麗にする、浄化する装置を、

  急ピッチで作っていて、15日頃に完成する、

  というふうに東電が言っています。

  これはどの位期待して良いものでしょうか。



小出氏:期待したいですけれども、

  これまでも東電がやって来た対策は期待通り動かなかったという事は

  山ほどありますので、なかなか難しいかもしれないと思います。



MC:これは、「設計上は」という言葉が付いての数字なのですが、

  上手く行きますと、上澄みの液の放射能の濃度が、

  現在のものよりも1000分の1、あるいは1万分の1まで薄まるのだ、

  という事なのだそうです。

  1000分の1や1万分の1と聞くと、とてもとても薄まるような感じはするのですが、

  もともとの濃度が高いのでしょうから、

  1000分の1、1万分の1に薄まったとして、

  どれ位危険なものなのでしょう。



小出氏:今水野さんがおっしゃった通り、もともとのは猛烈な濃度ですので、

  仮に1000分の1、万分の1になったとして、

  例えば環境に放出出来るかと言えば、もちろん出来ないと思います。



MC:環境に放出出来ないのですか!



小出氏:はい。



MC:私はもうこれで海に流れても良いものになるのだと、

  勝手に思っておりました。

  そういう濃度にまで薄まる訳ではないのですか。



小出氏:福島の発電所の敷地内の中にある放射性の汚染水というのも

  物凄い汚染水から少しは汚染の低いものまでありますので、

  一番低いものに関しては、万分の1になれば、

  流しても良い濃度まで減るかもしれませんけれども、

  問題は、物凄い濃度の汚染水を何とかしなければいけない

  という事な訳ですから、

  そういうものを1000分の1、万分の1にしたとしても、

  まだまだ環境に出せる濃度にはならないと思います。



MC:では、何分の1にしたら環境に・・・



小出氏:10万分の1とか100万分の1にしなければ、

  高濃度の汚染水に関しては、しないと環境には出せないと思います。



MC:そうしたシステムというのは、

  例えば100万分の1に出来るようなシステムというのは、

  ないのですか。



小出氏:ないです。



MC:よその場所にもないのですか。



小出氏:はい。

  要するに、所謂技術的な処置をしようとしている訳ですけれども、

  技術的な処置というのは、100あったものを100全部捕まえる事は

  出来ないのです、もともと。

  99を捕まえる、99.9を捕まえる、あるいは99.99を捕まえるという事は、

  順番に出来ますけれども、

  全部捕まえるという事はもちろん出来ませんし、

  もともとが猛烈な高濃度である場合には、

  捕まえれば捕まえるだけ装置の方がダメになって来てしまって、

  性能が益々出なくなりますので、大変難しいと思います。



MC:装置も使えば、高濃度に汚染される訳ですよね。



小出氏:もちろん装置は汚染されますし、

  たぶん今度はゼオライトとかバーミクライトとかいう、

  粘土鉱物を使うのだと思いますけれども、

  すぐに性能が劣化して使えなくなります。



MC:ゼオライトという軽石のような物質に放射性セシウムを吸い取らせる

  というシステムなのですよね。

  1回、ゼオライトを使ったら、もうそのゼオライトはずっと使えない訳ですか。



小出氏:そうです。

  ある所までセシウムを捕まえてしまいますと、

  そのゼオライトはセシウムで一杯になってしまって、

  もう使えなくなります。



MC:では、大量にこのシステムを使っては、次のシステム、次の装置と

  大量に作り続けなければいけないのですね。



小出氏:次から次へと取り替えなければいけませんし、

  ゼオライトに物凄く高濃度のセシウムが付きますので、

  それに今度近付く事すら難しくなります。



MC:使い終わったこのシステムを、このゼオライトを替えようとすると、

  これまた人が被曝する恐れがある訳ですね。



小出氏:そうです。



MC:恐れというか、被曝は致し方ない作業ですか。



小出氏:はい。



MC:ひとたびシステムが出来上がれば、どんどん浄化出来るのか、

  なんて思ったのですけれども、

  そんな甘いものではないのですね。



小出氏:残念ながら、そうではありません。

解説は要らないぐらいだが・・・


つまり、水道水を美味しくする浄水装置と同じように考える訳にはいかない。

私は、専門家ではないから、感覚的には分からないが、

核燃料を冷却した水の汚染度は、想像を絶している。

何度も書いている透り、人類は放射性物質を無効化することはできないので、

ゼオライトにセシウムを吸着させるだけなのだが、

元々のセシウム濃度が猛烈なので、いずれにせよ、ゼオライトを度々交換せざるを得ないことは

小出助教には浄化装置を稼働する前から明らかだったようである。

そして、一回浄化装置を通したところで、まだまだ大量の放射性物質を含んでいる。

元の汚染水の放射性物質を1000分の1、1万分の1にしても、まだまだ環境には放出出来ず、

何度か繰り返さなければならないが、その過程で、吸着物質のゼオライトはすぐに

放射性セシウムを目一杯吸着してしまうので、絶えず交換しなければならないが、

交換するためには、猛烈な放射線を発するゼオライトに近づき、被曝しながら作業する

人が必要だ、ということになる。


テレビでは、汚染水浄化装置が稼働すれば、今まで捨てることが出来なかった汚染水が

すぐに捨てられるような印象を受けるが、それほど生やさしいことではないようだ。

いずれにせよ、深刻な状況が続くことは避けられないのだ。

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2011.06.19

「重大事故への対策確認」=自治体に運転再開要請へ―原発事故受け・経産相←バカをいうな。

◆記事:「重大事故への対策確認」=自治体に運転再開要請へ―原発事故受け・経産相(時事通信 6月18日(土)10時34分配信)

東京電力福島第1原発事故を受け、海江田万里経済産業相は18日、全国の原発について、

全電源喪失による水素爆発など、重大事故への対策が確認できたと発表した。

定期検査中や検査終了後も運転再開のめどが立たない原発については、

地元自治体に運転を認めるよう要請する考えを示した。

海江田経産相は「電力供給の制約が産業、経済の大きな課題になっており、夏の電力の需要と供給にはギャップもある。立地地域の皆さんや国民にご理解いただきたい」と述べた。
経産省は今月7日、福島原発事故を踏まえ、各電力会社に対し、

原発施設が全ての電源を喪失しても中央制御室での作業を可能にすることなどを盛り込んだ指示を出した。

14日に回答を得た後、立ち入り検査などをした結果、対策は十分と判断した。

経産省は3月30日、大津波などによる全電源喪失でも原子炉の炉心損傷を防ぐための

緊急安全対策の実施を指示した。

さらに今回は、福島第1原発で起きたような格納容器内への水素充満や、

爆発といったシビアアクシデント(重大事故)の被害拡大防止を想定し、対策を指示した。


◆福島原発が全然片付いていないのに、まだ原発を使おうというのが異常だ。

福島原発の事故以来、世間は現金なもので、

40年前から「原発は止めろ」と言い続けていた小出裕章京都大学原子炉実験所助教の言葉など、

誰も(私も含めて)知らなかったのに、今や、大阪の毎日放送など、毎日、小出先生の状況説明を知りたがっている。

東電や国の発表はあてにならない。原子力安全・保安院は「原子力不安院」と呼ばれているほどだ。

小出裕章京都大学原子炉実験所助教が昔からなにを主張していたかは、
放射能汚染の現実を超えて

隠される原子力・核の真実―原子力の専門家が原発に反対するわけ

を読むと、知ることができる。これらは、地震の前に既に出版されたいた本である。

それに加えて、福島原発後に初めて書き下ろされた、

原発のウソ (扶桑社新書)

は、既に読んだ人が多いだろう。

また、ビデオニュース・ドットコムに於ける数々のインタビューや、

コメント、更に、小出裕章 (京大助教) 非公式まとめブログでは、

小出先生がほぼ毎日、毎日放送のインタビューを受けていて、それらを聞くと、

今現実に起きていることは、全て、小出助教が、以前から指摘していたことが、

次々に、現実となっていることが分かる。

話が逸れるけれども、特に毎日放送で、小出助教にインタビューしている連中は、

これほど毎日、小出助教にインタビューしているが、いつまで経っても基本的なことを

繰り返し質問するので、小出助教の声が少々苛立っていることが分かる。

小出助教は、どのメディアから何十回同じ事を訊かれても、恐るべき強靱な忍耐力で

丁寧な説明をして下さるので頭が下がるが、40年間小出助教の反原発論を無視し、あるいは

全然知らなかったのに突如群がるマス・メディアは質問をするならば、勉強しろ、といいたい。

小出先生に失礼である。


◆福島第一原発の現状。

福島原発1号炉の惨状は全く絶望的に思われる。

原子炉圧力容器に全然水が無い状態が続いたことから、核燃料は溶融した。

核燃料圧力容器は鋼鉄製だから、1,700℃で溶ける。核燃料は冷やさなければ、自ら発する熱が

2,800℃になる。当然圧力容器もその外側の、やはり鋼鉄製の圧力容器も溶けて底が抜けてしまった。

核燃料は原子炉建屋の床に落ちるが、そこは単なるコンクリートだから、核燃料の熱で、やはり、溶ける

核燃料はさらに落下し、地面を溶かして地下に落ちている。こうなると冷却は不可能である。

その結果、遂に核燃料は地下水脈に達し、地下水が汚染されている。kg
猛烈な汚染が何処まで拡がるか、人類史上初めての出来事なので、

小出助教すら、見当が付かない、という。


◆安全点検が済んだというが、各原発の真下を震源とする地震が起きたらどうする。

福島原発の非常用電源喪失は、東電によれば、津波が原因であり、津波の高さが想定外だった、

というが、実際には、津波に襲われる前に福島原発の冷却系統の電源は、

地震そのものによって壊れていたのである。


すると、素人の私でも更に悪い状況を想定することが出来る。

2011年3月11日、14時46分に起きたM9.0の震央と福島第一原子力発電所との直線距離は

約180kmである。震源の深さは24㎞だったという。

ならば、各発電所にとってより一層恐ろしい事態とは、浜岡あたり危ないから

小出助教は以前から早く廃炉にしろと言っていたのだが、正に原発の直下が震源となることだ。

そして、今回と同じM9.0だったとすると、原子炉が物凄い力で真下からの衝撃を受けるのである。

福島は老朽化していたとは言え、震源から180㎞離れていたのに、津波以前の「揺れ」でシステムの

破損が始まったのだから、

今回よりももっと恐ろしい事態が全国54箇所で起こりうるのだ。

原子炉を停止すれば安全と思っている人がいるが、石油ストーブではない。核燃料は

放っておいても熱を発し続ける。だから水にすっぽり浸しておくのだが、

福島のように、容器から全く水がなくなると、毎日騒がれているようにとんでもないことが起きる。

汚染された冷却水の浄化作業が始まった途端に故障したそうだ。あまりにも放射性物質の濃度が高い

のが一因であろう。仮に水を浄化し、水を捨てることができるようになっても、凝縮した放射性物質の

カスは残るのであり、人類は放射線を無効化する技術を有しないのであるから、形を変えて、脅威として

存在し続ける。


◆結論:原発は全て廃炉作業に即座に着手。

東海原発は、何も事故が起きていないが、老朽化のため1998年に廃炉と決定され、

2000年から廃炉に向けての作業が開始されたが、全工程を終えるまでに20年もかかる。

今年が2011年だから、漸く半分過ぎたところである。

福島は、地下に落ちてしまった核燃料をどうすればいいのか、専門家ですら、

困っている。

もう一つ、他の原発で同じようなことが起きたら、もう日本は人間が住めない場所になる。

化石燃料を燃やすと、コストはかさむし、埋蔵量に限界はあるし、CO2を発生するが、

すぐに原発の代替手段となるのは火力、水力だけなので、これで電力を供給し、

全原発を廃炉にすると同時に、風力、地熱、潮力、太陽光、バイオマスなど、

クリーンエネルギーでなんとか、電力の需要を賄えるようにすることだ。

とにかく、日本人は良いことも悪いこともすぐに忘れる。

「多分、二度もこんな惨劇は起こらないだろう」と勝手に決めつけて、

原発の再稼働を許すべきでは無い。

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2011.06.17

【音楽】初めて取り上げます。グリーグ。

◆6月15日がグリーグ(1843~1907)の誕生日でした。

ノルウェーの作曲家、エドヴァルト・グリーグです。

何と言っても、あの、ティンパニのロール(連打)からいきなり、ソロ・ピアノが

フォルテで入ってくる「ピアノ協奏曲」が有名です。

私は、世の中の多くのクラシック・ファンが、「隠れた名曲」を発掘したり、

ブルックナーなど、大曲を論ずるということ(それは、全く自由であることは

言うまでもありません)とは対極に位置しておりまして、

これでもか、というほど、既に十分に知られた「泰西名曲」を

クラシックに馴染みの薄い方にも、知って頂くことに傾注しております。


そのような方針にも関わらず、ときどきとっくにご紹介していておかしくない

作曲家や曲をまだ取りあげていないことに気がつきます。


このグリークなど、典型です。年表をみていて、グリークの誕生日が、

1843年6月15日であることに、やっと気がつきました。


◆学校の「音楽」の授業で「ペールギュント」を聴いたことがありませんか?

私の頃には多分、東京公立中学、「音楽」の学習指導要領だかなんだか、

そういうもので規定されているのか、「音楽鑑賞」の曲として、グリーグの

「ペールギュント」が指定されていたのかも知れません。

御存知の方が多いです。


カラヤン=ベルリン・フィルのCDでグリーグと、同じ北欧(フィンランド)の作曲家、

シベリウスを1枚に収めたのがあります。

カラヤン=ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 グリーグ::ペール・ギュント

です。ペールギュントには第一組曲と第二組曲があります。

敢えて、良く知られている第一組曲から3曲を載せます。


グリーグ:ペールギュント 第1組曲「朝」







はじめに、フルートとオーボエで提示される旋律を繰り返しているだけなのですが、

オーケストレーションの妙、でしょうか。飽きません。


「オーゼの死」は美しいけど、今日はとばします。

続いて、神秘的な雰囲気の漂う「アニトラの踊り」。


「アニトラの踊り」







旋律は主に弓で弾いているのですが、伴奏はピチカート(指で弦をはじく)にしたり、

或いは、旋律自体をピチカートにして、その組み合わせが上手です。


第一組曲の最後「山の魔王の宮殿にて」



「山の魔王の宮殿にて」






これも同じ事の繰り返しなのですが、人間は同じメロディやリズムの反復を聴くと

だんだん、興奮してきます(「ボレロ」が極致ですね)。それを利用して、なおかつ

曲の冒頭から終わりに向かって、長いアッチェレランド(「段々テンポをあげて」の意)とクレッシェンド

になっているので、聴衆は、

「な、何が起きるのだ?」

という気分になります。

どんどん煽る様にテンポを上げ、楽器を増やし、最後は打楽器を加えて、一発決めます。

上手いと思います。


◆グリークはピアノ曲も多いのです。

お馴染みのオーケストラ曲を先におきかせしましたが、

グリークはピアノ曲も多いです。

一つ一つは短くて、何曲かで一つの作品になるのを「組曲」と言いますけれども、

グリーグは「叙情小曲集」(Lyric Pieces)という組曲を10巻も書いています。

デカいソナタをドカーンと書いて「どうだ!」という性格ではなかったのでしょう。

大変きれいです。グリーグのピアノと言えば、やはり、舘野泉(たてのいずみ)さんです。

グリーグ:抒情小曲集

から。キリがないので、各巻から少しだけ。


グリーグ:叙情小曲集 第1巻 作品12 アリエッタ






グリーグ:叙情小曲集 第1巻 作品12 妖精の踊り







グリーグ:叙情小曲集 第3巻 作品43 小鳥







グリーグ:叙情小曲集 第5巻 作品54 小人の行進







今日の最後ですが、叙情小曲集で最も有名な1曲かもしれません。


グリーグ:叙情小曲集 第8巻 作品65 トロルドハウゲンの婚礼の日







という訳で、グリーグでした。

有名なピアノ協奏曲はまた、いずれ。

因みに、今年生誕200年の、フランツ・リストは、グリーグのピアノ協奏曲をいきなり初見で

すさまじいテクニックで弾き、グリーグを唖然とさせたそうです。

それでは。

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2011.06.16

「日本の復興:指導者なんて要るのか?」(The Economist)←日本政府はダメだが国民はすごいと褒めてるのです。

◆日本の復興:指導者なんて要るのか?(英エコノミスト誌 2011年6月11日号)

 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/11433


3月11日の災害の後遺症は、日本の強さが東京ではなく地方にあることを示している。


3カ月前に日本を襲った地震と津波と原子力事故は、この国に関する重要なことを明らかにした。

当の日本人さえもが驚いた、社会の根底に脈々と流れる強さと冷静さである。

東京で国政に携わる政治家が自分のことばかり考えて何も決められずにいるのをよそに、

こうしたたくましい回復力は、家族や住居、そして生計の術を失った何十万人の人が苦しみに耐えるのを助けただけではない。

英雄的な共同体精神

特に中央政府の浅はかさと比べると際立つ地域社会の隠れた奥深さを日本に思い出させることで、

この国が今回の危機から強くなって立ち上がり、長年の経済漂流を終わらせられるという予感を与えてくれた。

共同体精神を示す最も英雄的な見本の1人が、24歳の遠藤未希さんだ。

彼女はマグニチュード9.0を記録した地震の震源に程近い漁港、南三陸町の防災放送で、

押し寄せる津波から逃げるよう住民に呼びかけた。遠藤さんは職場で津波に飲まれ死亡した。

テレビの映像を見ると、盛り上がった海面が押し寄せてくる中で、彼女の声が波の上を響き渡っている。

南三陸町では、1万8000人の町民のうち1000人以上が死亡した。


もっと静かな無私の精神も多々示されている。

ある漁師は、長男の消息が全くつかめないまま、4日間にわたって自分の村の瓦礫を撤去していたという。

両親の元にたどりつくため山野の長い道のりを歩いた息子がついに姿を見せた時、

2人は涙を拭ったが、お互い声を掛けることはなかった。長男は父親の懸命な作業を邪魔したくなかったのだという。

地方の首長の高い資質と献身には、驚くべきものがあった。

国会で言い争っている政治家と比べると実に清々しい。

首長たちが見せた本物の気概

被災地の町長や市長と話をすれば、西部開拓時代のような本物の気概を感じる

。南三陸町の佐藤仁町長がその1人。佐藤町長は津波が来た時、

建物の屋上のフェンスにしがみつき、3分間にわたって波にもぐりながら生き延びた。

その時から、町長は執務室の折り畳みベッドで寝起きし、昼夜なく働いている。

もう1人が南相馬市の桜井勝延市長だ。桜井市長は危機の真っ只中にNHKの番組に出て、

近隣の福島第一原子力発電所から放出される放射線レベルの上昇に見舞われた南相馬市を

助けに来ない中央政府を激しく非難した。(以下略)


◆コメント:海外メディアの方がアテになります。

JBpress(日本ビジネスプレス)というサイトには、

毎日、前日か前々日のフィナンシャル・タイムズ紙の記事、特に日本に関連する大きい記事、

そして、経済雑誌のThe Economist誌最新号の記事がこのように一つずつ翻訳されて掲載されてます。

大本営発表の伝達機関になっている、日本のメディアよりもアテになります。


放射能については、日本政府はいつも「健康に影響はない」の一点張りで如何にも怪しいけど、

駐日英国大使館駐日米国大使館は、自国民宛に、毎日状況説明をメールで知らせてきます。

日本人が登録しても何ら問題ありません。

私は駐日英国大使館のメールサービスに登録しています。


それから。

英語の勉強を兼ねて(英語がお好きな方は、ですけど。)、という場合は、ネイティブの子供用サイトがちょうど良い。

VOA Special Enlishというのは、子供向けという意識ではないようですが、

英語のネイティブでは無い人々のために、Voice of Americaが文字通り「特別に」設けているサービスです。

非常にゆっくり原稿を音読してくれるので、大体何を言っているのか分かります。

また、BBCはWorld News for Schoolsというサイトを持っていて

これは対象はネイティブの11歳から14歳が対象です。ボキャブラリーは大人用より易しくしていますが

内容は同じです。これのPodcastのページが、BBC - Podcasts - World News For Schoolsです。

先ほどのVOAも同様ですがダウンロードして何度でも聴けます。


他にもBBCにはLearning Englishというページがあり、非常にコンパクトにニュースをまとめてくれてます。

Words in the newsですが、

これらを読んだり聴いたりすると、日本のニュースなのに日本のメディアが伝えないことを

報道しています。

例えば、Japanese garbage island moves towards USは、

東日本大震災の津波で海に流れ出した、物凄い量のがれきが、海流に乗って、

ゆっくりと東に向かっており、2年でハワイに、さらにその1年後にはアメリカの西海岸に

到達するであろうこと。今すでに、該当する航路を航行する船には、ぶつかると船体が損傷するかもしれないので

アメリカの第7艦隊は注意を呼びかけている、という話が載っています。

蛇足ながら、情報を得るだけならともかく、これから勉強しようという方は、

単に聞き流すだけではなくて、どれか一つのニュースを500回ぐらい音読なさることを薦めます。

詳しくは、今、時間がないので、私が随分前に書いた、読み難くて恐縮ですが、

音読を続けることでTOEIC780点は取れる。お薦めの本がある。

をご覧下さい。

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2011.06.15

6月13日は岩城宏之さん(1932-2006)の命日でした。

◆これほど文章を書いた音楽家は少ないと思います。

私の日記で、音楽関連の記事には、非常に頻繁に

岩城宏之さんが、書いていたが

と言う言葉を使いますが、これは、中学生から大学生まで、私が音楽、とりわけ

オーケストラの音楽に興味を持っていた頃、岩城さんの本を沢山読んだからです。

といっても、岩城宏之さんの本の多くは「エッセイ集」で大真面目に音楽を取りあげた本は

むしろ少ないのですが、所々にオーケストラ、或いは指揮者のウラ話、が書かれていて、

私にとっては、つくづく面白い文章だったのです。


そして、多分、世界中見回しても、現役バリバリの音楽家で、音楽活動をしながら、

岩城さんほど、大量の文章を残した人はいないのでは無いかと思います。


私は出版業界についてもド素人ですが、多分、今の週刊誌の編集長が聴いたら気絶するのでは

ないかと思うことがあります。

岩城さんは世界中を指揮して飛び回り乍ら、「週刊朝日」に毎週エッセイを書き続けたのです。

今でも文庫本になったのが、入手できます。

棒ふり旅がらす (朝日文庫)です。

「落ちた」(休載した)ことは無いはずですが、何が「今の編集者なら気絶」かというと、

これは1982年から1983年にかけて連載したのですが、タイトル通り、岩城宏之さんが、

世界中を指揮して飛び回り乍ら、原稿を編集部に文字通り「送った」のです。

当時、勿論、インターネットなどありません。FAXも無いところがあったそうです。

そういう場合は、とにかく岩城さんは、年中世界を飛び回って顔が広いので、知り合いの商社員などで

海外出張中の人に生原稿を手渡し、週刊朝日編集部に届けてくれと、頼むのです。


その他に、
ハニホヘト音楽説法

岩城音楽教室

フィルハーモニーの風景(岩波新書)

楽譜の風景(岩波新書)

森のうた―山本直純との芸大青春記

九段坂から―棒ふりはかなりキケンな商売

棒ふりのカフェテラス

棒ふりの休日

棒ふりの控室

全て、私は面白かったので、お薦めしますが、皆さんにとっても面白いか否かは

無論、保証致しかねます。悪しからず。


◆岩城宏之さんは、失礼ながら、今だったら、プロの音楽家になることができなかったでしょう。

今、例えばプロのヴァイオリニスト(オーケストラ・プレイヤーだろうが、ソリストだろうが)は、多分

3歳。遅くとも6歳か7歳で楽器を習い始めた筈です。同時にソルフェージュや聴音、楽典も

教わったことでしょう。

ところが、岩城宏之さんのお父さんは旧大蔵省の(多分)所謂ノン・キャリアで、

転勤が多かった。ご両親共に、全く音楽的素養はありません。聴くことすらなかった。

岩城宏之さんは、子供の頃は病弱で、小学生高学年(今でいうところの5年生から6年生)の頃、

脚の痛みを覚えて、医者に診せたら「骨髄炎」と診断されました。脚を切断しなければならないかもしれない

と言われたそうです(結果的には切らずに済みました)。

10か月も入院するハメとなり、ラジオから聞こえる当時「木琴独奏者」として有名だった平岡養一氏の演奏を聴いて、

何故か非常に興味を持ち、お父さんに「木琴を買って欲しい」旨を伝えます。

お父さんは何処で探したのか、オモチャの木琴を買ってくれました。ベッドで腹ばいのまま木琴を叩いて、

岩城さんは、「何かおかしい」と思いました。

この木琴では、平岡養一さんのマネをしたくても、出ない音がある。

お父さんが買ってきたのは、ピアノで言えば白鍵だけのものでした。

岩城さんは、「ドとレの間、レとミの間、ファとソの間、等にも音があるはずだ。」と

考え、再びお父さんに「間の音が出る木琴が欲しい」とせがんだそうです。

岩城宏之さんのお父さんは、全然音楽とは無縁の人ですが、脚を切断しなければならないかも知れない

息子の頼みなので、音楽に詳しい人に訊いたのか、今度は半音(ピアノで言えば黒鍵)が付いた

オモチャの木琴を買ってきてくれました。

小学校高学年で、このような状態ですから、今だったら、プロの音楽家になるのは

既に手遅れ。

しかし、とにかく岩城さんは木琴に夢中になりました。


◆学習院で「小出先生」に出会う。

やがて、お父さんが東京に転勤となり、岩城宏之さんはどういういきさつか、

学習院に途中編入したのです。

ただ、岐阜県の田舎からやってきた、と、学習院の「お坊ちゃま」達からは相当陰湿な

イジメを受けたそうです。

それは、それで、岩城さんは完全に「独学」で木琴を練習しました。

学習院の音楽の先生は「小出先生」という男の先生で、この先生が実に良い方で、

しかもユニークな教え方をする方でした。ウルサイことは何も言わない。

あるとき、学習院高等科全員が芸大(東京芸術大学)へ行き、

当時の日本を代表する大家の演奏を聴く機会に恵まれました。

今の天皇陛下が岩城宏之さんの一年上におられたそうで、そのおかげだろうとのこと。


小出先生は、前の日に小難しい「楽曲解説」など全くしませんでした。

「安川加寿子という人がピアノを弾くけど、あの人は日本でいちばんうまい人だが、あの人の見どころはお辞儀なんだ。

とても変っているから、出てきたら、気をつけて見ていなさい。」

「ヴァイオリンの巌本真理は、ものすごく鼻息が荒いけど、あれは鼻をすすっているのではない。

『ブレス』といって、バイオリンは口を開けて息を吸い込む訳にはいかないから、鼻で吸っているんだ。

呼吸は音楽では一番大切なことだ。その音が大きいのは、いかに本人が一生懸命やっているかという証拠だよ。」

その「解説」があまりにも面白いので、岩城さんは、演奏会当日最後まで飽きずに音楽を聴くことができたそうです。

岩城さんは、
これが、もし、面倒な解説を押しつけられ、後で感想文など書かされたら、音楽嫌いになっていただろう

と書いていますが、その通りですね。


さて、ある時、小出先生が音楽の授業の終わりに、
何でもいいから楽器が出来るものは次の時間に持ってきなさい

と言いました。

次の音楽の時間、学習院のお坊ちゃん、お嬢様のピアノ、ヴァイオリンに混じって、

岩城さんは例のオモチャの木琴で、おそるおそる、モーツァルトの「トルコ行進曲」を弾きました。

勿論、一番上の旋律を叩く訳ですけれども、楽譜も読めず、全くの独学で、そこまで弾けるようになっていた

ということは、やはり才能でしょうね。

演奏がおわったら、小出先生が言いました。
もうじき君たちの学年の送別会がある。その時に君は今のを弾けよ

送別会当日、ピアノやヴァイオリンを器用に弾く友だちの後から、岩城宏之さんはオモチャの木琴を持って

ステージに上がりました。皆がどっと笑います。伴奏のピアノは小出先生でした。

先生は黙って微笑んで頷いて下さいました。岩城さんは、「トルコ行進曲」の演奏を始めました。

弾き始めた途端、ざわついていた会場がピタリと静まりました。

必死の思いで最後まで弾きました。そうしたら、今まで自分をイジメていた連中、

とりわけ、一番しつこく、陰湿なイジメをしていた級友が、一生懸命、本気で手を叩いていました。

万雷の拍手です。岩城さんは、あっけにとられました。それだけでも信じられないような出来事でした。

ところが、まだ、ありました。拍手が鳴りやんだとき、小出先生の言葉が続きます。
君はこの調子であと一年もやれば、商売になれるよ。

岩城さんは驚嘆しました。自分が「音楽」を「商売」に? 信じられないような言葉でした。

勿論、実際には「あと1年」では商売にはなりませんが、岩城宏之さんは、その後

歴としたプロの音楽家になりました。小出先生の目(耳)は正しかったのです。

小出先生がいらっしゃらなければ、岩城宏之さんは、音楽家を目指そうとはしなかったでしょう。

兎にも角にも、この日の演奏が「音楽家・岩城宏之」が誕生するきっかけでした。

良い話ですね。今だったら音楽家になれなかったかもしれないけど、当時の

カリカリしない世の中の大らかさと、小出先生という恩師に出会ったのは、

岩城宏之さんにとって、とても好運なことでした。

私はこのエピソードが大好きなので、2回目ですが、ご紹介しました。

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2011.06.14

「全原発停止なら…電気料金月1千円アップと試算」←全原発を停止しても火力で賄えるということですね?

◆記事:全原発停止なら…電気料金月1千円アップと試算(読売新聞 6月13日(月)22時6分配信)

経済産業省所管の日本エネルギー経済研究所は13日、すべての原子力発電所が運転停止し、火力発電所が発電を代行した場合、

液化天然ガス(LNG)や石炭など燃料調達費が増えるため、2012年度の毎月の標準家庭の電気料金が平均で1049円上昇し、

6812円になるとの試算を発表した。

試算は、燃料の単価や為替の変動に応じて電気料金を上下する燃料費調整制度や、

電力会社が料金の抜本改定を実施しないことを前提としている。

世界的に燃料の需給が逼迫(ひっぱく)したりすれば、電気料金が更に上昇する可能性もある。

今年4月のLNGの輸入価格などを基にすると、12年度の火力発電の燃料調達費は10年度より3兆4730億円増加するという。

電気料金に転嫁すると、1キロ・ワット時あたり3・7円の値上げになる。


◆コメント:全原発を停めても、その電力は火力発電所で賄えるということですね?

奇しくも、この原稿を書き始めようとした瞬間(2011年06月13日(月)23時40分)、ニュース速報が飛び込んだ。

◆イタリア、国民投票で93%が原発再開反対 投票率57% (日経電子版)(2011/6/13 23:57)

イタリアで12~13日に実施された原子力発電の再開の是非を問う国民投票が成立し、原発再開を断念することが決まった。

内務省の暫定発表によると、投票率は約57%に達し、成立の条件である50%を上回った。

暫定発表では投票者のうち93%が再開に反対票を投じた。

福島第1原発の事故後、主要国で原発政策に関する国民投票が行われたのは初めて。

欧州ではドイツが6日、17基の原発を2020年までにすべて停止する「脱原発」の関連法案を閣議決定。

スイスも34年までに既存の全5基を停止することを決めた。

ベルルスコーニ政権は90年までに稼働を停止した原発を数年後に復活させることを検討していた。

本当は、世界で唯一の被爆国、日本が最初にこういう決議をすべきだったが、

54基もの原子炉を建設してしまった後で言っても仕方が無い。

しかしながら、冒頭の記事。

試算したのが、中立的な民間研究機関ならまだしも、「経済産業省所管の日本エネルギー経済研究所」

なのだから、果たして本当に信頼出来る計算か、眉唾である。

しかし、電気料金云々は実は、この記事の本質ではない。


国は、
原発の稼働を再開しないと、電気料金が上がりますよ?

という計算結果を元に、世論を「原発稼働再開支持」に持ち込みたいのであろうが、

思わず本当のことをバラしてしまった。記事のこの部分。
すべての原子力発電所が運転停止し、火力発電所が発電を代行した場合

を前提にしている。

全ての原発を停めるとあたかも全国で年中、「計画停電」を行わなければならないように

政府は情報を「操作し」てきたが、小出裕章京都大学原子炉実験所助教は、

隠される原子力・核の真実―原子力の専門家が原発に反対するわけにこう書いている。

105ページから引用させて頂く。
原子力は即刻やめても困らない。

 日本では現在、電力の約30パーセントが原子力で供給されています。そのため、ほとんどの日本人は、原子力を廃止すれば電力不足になると思っています。また、ほとんどの人は今後も必要悪として受け入れざるを得ないと思っています。そして、原子力利用に反対すると「それなら電気を使うな」と言われたりします。

しかし、発電所の設備の能力で見ると、原子力は全体の18パーセントしかありません。その原子力が発電量では28パーセントになっているのは、原子力発電所の設備利用率だけを上げ、火力発電所のほとんどを停止させているからです。

 原子力発電が生み出したという電力をすべて火力発電でまかなったとしても、なお火力発電所の設備利用率は7割にしかなりません。それほど日本では発電所は余ってしまっていて、年間の平均設備利用率は5割にもなりません。つまり、発電所の半分以上を停止させねばならないほど余ってしまっています。

国が福島原発事故の後、首都圏で計画停電を実施したのは、記憶に新しい。

あれは、「福島原発が事故で運転出来ないので、電気が足りないのだ」という言い分でした。

本当は、原発の稼働を停止しても火力で賄える、という小出裕章京都大学原子炉実験所助教の主張を、

皮肉にも記事は認めているも同然です。もう一度記事の一部を引用します。
すべての原子力発電所が運転停止し、火力発電所が発電を代行した場合、

原発が供給していた電力を全ての火力発電所を稼働しても賄い切れないならば、そう書くはずです。

ヤブヘビでしたね。原発の運転を止めたら、電気料金が高く付くぞ-、と言いつつ、

本当は原発が無くても電気は足りることを国家が認めた、と言っていい。


化石燃料を燃やせばCO2を排出する。

日本は京都議定書によって定められたCO2削減目標を達成出来ないかも知れない、と新聞も、

政府に調子を合わせてゴマを擂っているが、京都議定書発効当時と全く状況がことなる。

全ては相対的である。

大気の成分の僅か0.04パーセントを占めるCO2が多少増えるのと、日本中の大気に放射性物質が

これ以上撒き散らされるのと、どちらがマシか?ということだ。

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2011.06.13

【音楽】アルビノーニ(1671-1751)の音楽です。

◆と言っても全然詳しく無いのですが。

私は、いつも知ったかぶりをしていますが、特定の作曲家に関して文献を調べるとか、

そういう面倒臭いのは苦手でして、ここに書いてある事は、西洋音楽史の本や、

有料の音楽辞典とかWikipediaなど、アンチョコの丸写しなんです。


今回もそうです。


ただ、アルビノーニや、マルチェルロ、ヴィヴァルディ、あんまり有名じゃないですけど、かつて
チェンバロソナタをご紹介したガルッピとか、まだ取りあげたことがありませんがモンテヴェルディ

(取りあげた事がないのは、良く知らないからです)、などの作品は、キザな物言いをすると、

妙に私の心の琴線に触れます。


◆今日は、アルビノーニにします。

私が知っているヴェネツィアの作曲家は、前段で書いたぐらいなのですが、

それでも全員の作品を一度に取りあげると、かなりの数になります。


今日は、以前取りあげた作品と重複するのも多いので、長年、弊ブログにお付き合い頂いている

読者の方には恐縮です。が、これも何度も書きますが、毎日、弊ブログを初めてご覧になる方もおられるので、

良い(と私が感じる)音楽を繰り返しご紹介することは、あながち無意味では無い、と思います。


ゴタクを並べるのはここまで。音楽にいきましょう。

因みに、6月14日がアルビノーニの誕生日です。生誕340年!


◆オーボエ協奏曲。

アルビノーニのオーボエ協奏曲は何度聴いても美しいと思います。

作品9シリーズ(「シリーズ」とは言わないのですが、作品9-2とか、9-8ということです)に、

特に名曲が多いように思います(他にもきっといいのがあるでしょうけど)。


忘れないうちに引用元をご紹介します。

ミラノの午后 宮本文昭イタリア協奏曲集

なんだか、ついこの間のアルバムであるかの如き錯覚に陥っていましたが、1991年の録音。

宮本文昭さんがケルン放送響の首席だった頃の録音ですね。


以前はオーボエと言えば、ハインツ・ホリガーが「天才」ということになっていました。

ホリガーも宮本さんも私は生で聴いたことがあります。本当は何度か聴いてからでないと

比較するべきでは無いかも知れませんが、「私は」宮本さんのオーボエの方が音が美しいと思うし、

演奏が繊細だと思います。


アルビノーニ:オーボエ協奏曲ニ短調作品9-2 第一楽章 アレグロ






アルビノーニ:オーボエ協奏曲ニ短調作品9-2 第二楽章 アダージョ





最初にオーボエが音を長くのばします。あの部分だけでも見事だと思います。


次はホリガーです。宮本さんのアルバムには収録されていない曲があるのです。

ホリガーは、イ・ムジチ室内合奏団と「アルビノーニ:オーボエ協奏曲集」を出してます。

その中の作品9-8、ト短調 というのが、非常に好きなのです。


アルビノーニ:オーボエ協奏曲 ト短調作品9-8 第一楽章 アレグロ







アルビノーニ:オーボエ協奏曲 ト短調作品9-8 第二楽章 アダージョ







同じオーボエという楽器ですが、演奏者によって、明らかに音色が違うことがおわかり頂けると思います。

音色だけでは無いのですが、能書きは止めておきます。


◆トランペット協奏曲

元の楽譜を確認していないので、わかりませんが、多分、元来はこれもオーボエ協奏曲ではないか

と想像します。2009年1月に、

【音楽】新しい才能の発見。女性トランペット奏者、Tine Thing Helseth(ティーネ・シング・ヘルセス)。

でご紹介しました。1987年生まれですから、まだ24歳のノルウェーのトランペット奏者ですが、大変才能がある人だと思います。

引用元は、TINE THING HELSETH: Trumpet NORWEGIAN CHAMBER ORCHESTRA /Haydn, Albinoni, Neruda & Hummelです。


その中から。


アルビノーニ:トランペット協奏曲 変ロ長調 作品10-7 第一楽章 アレグロ







高い音域でも音に緊張がないのですね。一つ一つの音の発音がとてもクリアで、

伴奏をよく聴いていて、バランスが絶妙です。正確に吹きつつ、歌心というか表現力を感じます。

第二楽章です。


アルビノーニ:トランペット協奏曲 変ロ長調 作品10-7 第二楽章 アダージョ







明らかにトランペットを吹く才能に恵まれた人です。


◆「アダージョ・カラヤン」からかの有名な「アルビノーニのアダージョ」

のっけから興ざめなことを書きますが、アルビノーニの楽譜が丸々発見されたのではなく、

作曲途中の断片、メモ書きを元に、アルビノーニの研究家が20世紀に完成させたものです。

しかし、そういうことは、問題ではなく、要するに大変美しい。

引用元は、アダージョ・カラヤン・プレミアムです。


アルビノーニ:弦楽とオルガンのためのアダージョ






カラヤン=ベルリンフィルのこの曲の演奏で、毎回思うのですが、

ここまでテンポを落として、一定のテンポを保つというのは、

指揮者も、演奏者も非常に集中力を必要とすると思います。

こういう「泰西名曲」でも一切いい加減なことはしないのがカラヤンで、

やはり、名マエストロだと思います。

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2011.06.10

つい、昨夜は寝てしまいました。一言だけ。

◆木曜日が疲れるのですよね。

以前も書きましたが、昔、モーレツに働く厳しい上司がいて、仕事が趣味、のような人ですが、

この上司が、ある木曜日の夜に、私に溜息をついてこう言いました。

疲れるなあ・・・。木曜になるとヘトヘトや。金曜になったら「あと1日だけやったるかー」とヤケクソで働けるけどな。

厳しい上司でしたが、人間味がありました。今はこういう人少ないです。

この一言を聞いて、何だか非常にホッとしたのを覚えています。

「ああ、この人ですら、実は仕事は面倒臭いんだ。」と。面倒臭いとは言いませんでしたけど、

明らかだったのです。

それ以来気が楽になりました。


◆AKB総選挙の票のため、500枚CDを買うのは個人の自由ですが。

それは、完全に個人の自由ですが、一方今朝のニュースで、東北の被災地で、

まだ、義援金が一円も届いていないところがあるそうです。

岩手県大槌町は町役場が町長と町役場職員33人が津波で亡くなったので、

がれきの撤去も全くといっていいほど進んでおらず、義援金を市か県か国か知りませんが

申請手続きする、行政担当者がいない。


そういう所で困っている人もいる。

CDを500枚買って、AKB総選挙に投票するおカネの一部が義援金に回ったら、かなりですよね。

企業が集まった義援金を寄付するのかもしれませんけど、そうじゃなくて、各個人の意識の問題を

私は指摘したい。

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2011.06.09

【音楽】お薦め。アルゲリッチのバッハ。

◆アルゲリッチのバッハはこの一枚ぐらいではないですかね。

マルタ・アルゲリッチといえば、当代超一流のピアニストの一人です。

1965年にショパン・コンクールで優勝し、優勝したからといって、必ずしも

その後、順風満帆、とはならないことも多いのですが、アルゲリッチは天才です。

大の日本好きで、毎年大分県別府市で、別府アルゲリッチ音楽祭が開かれます。

今年は東日本大震災のあと、全然躊躇うことなく来日してくれました。

5月に13回目のアルゲリッチ音楽祭は無事におわったようです。



アルゲリッチは何を弾いても素晴らしいのですが、あまり体系だった録音とか

興味が無いようです。多くのピアニストは、ベートーベンピアノソナタ全集、などの

録音とか連続演奏会をやりますが、アルゲリッチは色々な人(作曲家)を弾きたいらしい。


何故、このようなことを書くのかというと、これからお聴き頂くバッハの演奏が

とても良いのです。出来ればアルゲリッチに「平均律クラヴィーア曲集」は大変ですけど

「フランス組曲全曲」とか「ゴールドベルク変奏曲」とかですね。せめてもう2,3枚、

バッハを録音して欲しかったですね。


◆お薦めCDは「バッハ:ピアノ作品集」です。

この「バッハ:ピアノ作品集」は、1979年の録音です。32年前。

アルゲリッチ30代ですね。非常に高い評価を得た名盤なのです。

私如きが「解説」しても仕方ないのであって、お聴き頂くのが一番です。

バッハの時代には、今のピアノは有りませんから、クラヴィーアという

楽器に書かれたものでしょうが、「パルティータ」が6曲あり、これは2番です。

6つの曲から構成されてますが、まず、「シンフォニア」。

フォルテの和音からはじまりますが、序奏がおわった後の旋律が実に実にきれいです。


パルティータ第2番 BWV 826「シンフォニア」







いいでしょ?

本当は全部お聴かせしたいのですが、そういう訳にはいかないので、

6曲目の「カプリチオ」。


パルティータ第2番 BWV 826「カプリチオ」






バッハの楽譜には強弱とかテンポとかの指定が何にも書いてないのですね。

この音はスタッカート気味でとか、テヌートでとか。全ては演奏者の解釈、裁量に

委ねられています。だから、わざと強弱をつけないで平坦に弾く人もいますけれども、

アルゲリッチは、独自の解釈で、変化をつけています。バッハでは普通、ペダルを使わない

というのが、教科書的常識ですが、アルゲリッチは使っています。

しかし全然違和感が無いです。


次は「イギリス組曲第2番」です。

バッハの鍵盤曲で「フランス組曲」と「イギリス組曲」がそれぞれ6曲ずつあります。

どれも良いのですが、アルゲリッチはここでは「イギリス組曲第2番」を選んでいます。

少しゆったりとしたのもひとつ入れましょう。「アルマンド」というのですが。


イギリス組曲第2番BWV 807「アルマンド」







2番の最後、6曲目の「ジーグ」です。


イギリス組曲第2番BWV 807「ジーグ」







バッハ、モーツァルトは、聴いて「損した」と感じることが、まず、ないですね。

少なくとも私はそうなのですが、これを聴いている間だけは、下らない、世間の俗事から

無縁の世界にいられるような、気がするのです。

如何でしたでしょうか。

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2011.06.08

「核燃料、圧力容器貫通の可能性…政府が報告へ」←何を今更・・・。

◆記事:核燃料、圧力容器貫通の可能性…政府が報告へ(読売新聞 6月7日(火)14時30分配信)

東京電力福島第一原子力発電所の事故について、政府が国際原子力機関(IAEA)に

提出する報告書の全容が7日明らかになった。

報告書は、破損した1~3号機の原子炉圧力容器の底部から溶融した核燃料が漏れ出し、

格納容器内に堆積している可能性を指摘した。

格納容器まで溶けた核燃料が落下する現象は「メルトスルー」(原子炉貫通)と呼ばれ、

「メルトダウン」(炉心溶融)を上回る最悪の事象。

これまで圧力容器底部で、制御棒の貫通部などが破損し、

高濃度の放射性物質を含む汚染水が漏出したことは明らかになっていたが

、政府が公式にメルトスルーの可能性を認めたのは初めて。

また報告書は、原子力安全規制の行政組織が縦割りで、

国民の安全を確保する責任が不明確だったと認め、

原子力安全・保安院を経済産業省から独立させ、原子力安全委員会なども含めて、

体制を抜本的に見直す方針なども打ち出した。


◆コメント:こんなことは、小出助教が5月12日に「間違いない」とコメントしている。

東日本大震災の後、私は何度も、大手メディア、特に民放は東電や、

原子炉を作る、東芝、日立、三菱重工などが大のお得意さん(スポンサー)だから、

本当のことを伝えられない。最も信頼出来る情報は私の知る限り、

ビデオニュース・ドットコムであり、月額525円と

新聞やNHKの受信料よりも遙かに安いのだから、是非ご覧なさい、とお薦めしたが、

やはり、今一度、お薦めしたい。


冒頭の読売新聞が「最悪の事象」と称する「メルトスルー」だが、

圧力容器の底に穴が空き、核燃料はとっくに圧力容器の外側の格納容器に

落ちていることは、ビデオニュース・ドットコムを見ている方なら御存知のとおり、

小出裕章京都大学原子炉実験所助教が5月12日にコメントしている。


何故なら、東電は地震から2ヶ月間、福島第一原発1号炉の圧力容器には水が

残っていると言い続けていたのに、5月12日の記者会見では、圧力容器内の水位はゼロ。

注水を続けているのに水位はゼロである、ということは、圧力容器の底に穴が開いていること、

そして全く核燃料は冷却されていなかったのだから、既にメルトダウンしていること、

いずれも明らか。

また、小出助教がしきりに強調していた最悪のシナリオは、まだ形を留め、水から露出している燃料棒が、

ある程度溶融したところで、かたまりのまま、圧力容器の下に残っている水に落下した場合、非常な高温により

水蒸気爆発を起こすことだった。しかし、圧力容器の底に穴が開いて、水もなく、燃料棒も溶け落ちていることが

明らかなのに、現実に水蒸気爆発は起きなかった(起きたら物凄い放射線が出るから、誰も原発施設内に

留まっていられない)。これは単なる好運な偶然である。

というようなことは、ビデオニュース・ドットコムで小出助教の説明を聞いていたら、

当然知っているのである。読売新聞記者は、ロクに勉強しないで「メルトスルー」が「メルトダウン」を凌ぐ

最悪の事態と書いていて、圧力容器が壊れるなどということは、確かに最悪だが、本当に危険な

ことは、辛うじて免れていることが分かっていない。


以下、5月12日、東電が「1号機に水は無かった」と発表した日とその1週間後の

ビデオニュース・ドットコム「緊急番組」。

小出裕章氏:空焚き1号機は溶融した核燃料が圧力容器の外に







一週間後。

小出裕章氏:核燃料露出の1号機は既に人類未体験ゾーンへ







という訳で、特に今回の原発事故に関しては既存の大手メディア(新聞・テレビ)は、殆ど後追いで

ビデオニュース・ドットコムが放送したことを伝えており、

迅速性・正確性・信頼性に欠けているのである。

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2011.06.07

経団連会長、大連立「一日も早く」「復興のめどつくまで」←それほど簡単な問題ではありません。

◆記事:経団連会長、大連立「一日も早く」「復興のめどつくまで」(フジサンケイ ビジネスアイ 6月7日(火)8時15分配信)

日本経団連の米倉弘昌会長は6日の定例会見で、急浮上している大連立政権構想について

「一日も早く実現し、挙国一致で震災復興にあたるべきだ」と強い期待感を示した。

米倉会長は「いまなお10万人を超す被災者が大変な苦労を強いられている。

予算はあるのに特例公債法案が通っていないのでブルドーザーも動かせない」と指摘。

「震災復興基本法を制定し、復興庁を立ち上げ、特区を指定し一日も早く復興を着実にやってほしい」と要望した。

連立の形態については「自民党でも民主党トップのままでも形式はどうでもいい」とし、

「復興のめどがつくまで、少なくとも年内は大連立を続けるべきだ」と語った。


◆コメント:与野党が協力すべきなのは確かにそのとおりなのですが・・・。

経団連というのは、大企業の経営者の集まりで、その会社はいずれも政党に

多額の政治献金をしているので、経団連会長というのは、昔から偉そうなんですが、

とくに、近年でいうとトヨタの奥田氏が会長になったころから、経済政策のみならず、

外交などにまで、言及するので、「ちょっと調子に乗り過ぎなんじゃない?」と、

私は思っているのです。

それはさておき。

米倉経団連会長が言っていることは、正しい事もあるのです。

今の国会はひどいもので被災者が米倉さんの言うとおり、まだ10万人も避難所で生活をしている

というのに、国会は「政治」よりも「政局」が関心の中心で、だから先週のような「内閣不信任決議案」など

の動議が出るわけですが、今はそれどころじゃないだろう、と国民は皆思っています。

その意味では、与野党が協力するべきなのですが、

「大連立」という言葉が気になります。


民主党が政権を獲る前は、小泉時代からずっと自民党と公明党が一緒に政権を握る、

「自公連立与党」でした。2007年の参院選で当時の野党民主党他が過半数の議席を

占めることになるまで、衆議院と参議院どちらも「自公連立与党」が絶対安定多数を

保持していました。参院選で野党が過半数を占め、メディアは「ねじれ国会」と

あたかも悪いことであるかのような表現を用いましたが、本来、それでいいのです。


自公連立与党が両院で絶対安定多数を確保していたころは、どのような法案でも可決出来てしまうのです。

実際、本当はもっと議論すべきだ、という野党の反対を押し切って「憲法の付随法」とまで言われる、

極めて重要な「教育基本法改正法案」、憲法改正の手続きを定めた「国民投票法」を自公連立は

「強行採決」したのです。


こうなると、形式的には議会制民主主義なのに、実際は連立している政党のトップが密室で

決めたことが何でも、可決されてしまいます。

被災地の復興そっちのけで、互いの揚げ足取りに夢中になっている「税金泥棒」状態は

確かに困ったものです。

しかし、米倉経団連会長のいうような、

「復興のめどがつくまで、少なくとも年内は大連立を続けるべきだ」

ということで終わるかどうか。

一旦、「大連立」で、何でも法案がスイスイと可決できてしまう「快感」を

政治家が覚えると、危険です。どさくさ紛れになんでも「強行採決」されかねない。

だから「協力」するのは良いですが「民主・自公連立」与党(極端ですが)が実現したら、

実質的には全体主義になってしまう危険が存在します。

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2011.06.06

NHKスペシャル原発危機 第1回「事故はなぜ深刻化したのか」視聴後雑感。

◆NHKスペシャル シリーズ「原発危機」第1回「事故はなぜ深刻化したのか」

これなのですが。↓

NHKスペシャル シリーズ 原発危機 第1回 事故はなぜ深刻化したのか

いまだに危機的な状況が続き予断を許さない原発事故。当初の想定を超え、水素爆発やメルトダウンなどが進行し、後手後手の対応の中で、汚染は拡大していった。

なぜ、ここまで事故は深刻化したのか。事故対応にあたった官邸、保安院、原子力安全委員会、そして東京電力はどう動いたのか。

当事者たちの証言と内部資料をもとに徹底検証する。

この番組は再放送予定があります。

2011年6月13日(月)  午前1時30分~2時28分 総合 (12日深夜) ※近畿ブロックは午前1時43分~2時41分の放送になります。

シリーズ 原発危機 第1回 事故はなぜ深刻化したのか

NHKが独自に入手した事故直後の現場や首相官邸のメモや、危機管理本部にいた現職の内閣官房副長官など

正に、当事者にインタビューして構成したものです。

番組最後にナレーションの形で述べられたNHKの評価は厳しく、
東電、役所、政府の危機対応責任者達が、責任をきちんと果たさなかったからだ。

というのですが、ちょっと酷な気がしました。


◆原子炉冷却停止を認識した後の指示。電源の確保。

福島原発事故が深刻化したのは、地震と津波により、発電所自体が停電し、

原子炉で核燃料を冷却するシステムが作動しなったからです。

核燃料が冷却されなくなり燃料棒を覆う被覆管、ジルコニウムという金属が1400℃以上になると、

酸化作用を起こし始めたのです。

すると圧力容器内の水蒸気から酸素を奪うので、水素が残る。

水素が増えて圧力が増して格納容器に漏れただけでは、格納容器は窒素が充填されてるからまだ、

爆発しない。ところが、地震と津波による、圧力容器、格納容器の損傷は想像以上に激しく、

水素は原子炉格納容器の外の原子炉建屋に漏れた。ここには普通の空気があり、酸素を含んでいたため、

水素と酸素が反応して、水素爆発を起こしたと。


それは予想出来たので、とにかく首相官邸は、高圧発電車を50台も福島に急行させた。

ところが、ケーブルの長さが足りなかったり、ケーブルのプラグが原子炉システムと仕様がことなり

接続出来なかったりもたつきました。しかし、結果的にはそれも関係無かった。


やっと高圧発電車から原子炉冷却システムが接続できたけど、冷却装置のポンプが壊れていた。

電源を確保し何とか原子炉の冷却システムを一刻も早く復活させようとした、官邸の判断は、

それ自体、間違っていたとは言えません。


◆ベントの遅れ。

原子炉の冷却システムが壊れていたので、当然、核燃料が発する熱により、

前述のとおりジルコニウムが溶けて、水素が発生する。圧力容器内の気圧が高まり、

容器を破損することになる。それを防ぐには放射性物質を大量に含む、圧力容器内の気体を

圧力容器の弁を開いて放出させるしかない。これが遅れたがために、水素爆発を起こしてしまった。

これは、東電と政府がモタモタしていたからだ、とNHKは言うのですが。

何せ、これは原子力関係者に言わせると「最後の手段」なのですね。

ガスを放出したら、周辺住民が被曝することは確実。

そのため、まず半径2キロの住民を避難させてから、ということになったのですが、

この判断自体も誤りとは認めにくい。ただ、全員が避難したかどうか確認するのに

時間がかかってしまった。これはねー。普段からそのような避難訓練、出来ませんよね。

安全だ、と言って建設してしまったのは、自民党政権ですしね。

国民も安全だといわれて、「ああ、安全なのか」と思っていたのですから。


そして、避難を確認したのですが、なかなか圧力弁を開く「ベント」が始まらない。

首相官邸はイライラして、法律に基づいて、東電に「早くベントを実行しろ」と命令してます。

ただし、このベント。圧力弁を開くという事態は、世界でも初めてでそれだけ、危険な状態ですから

非常時マニュアルには圧力弁は電気で動くスイッチで開くことになっていたのですね。


しかし、電源がないのですから。非常用電源は落ちているし、システムが壊れている。

で、急遽福島第一では設計図を開いて、手動で弁を開くことにしたのですが、物凄い被曝を覚悟しなければ

ならないわけです。作業員が。

しかし、ベントをしないと、容器が破裂するし、外から冷却用の水を放水することも出来ないのです。

で、いよいよ、実行、と決めた時には時間が経ち過ぎていたのです。格納容器も壊れていたので、

水素を含んだガスが原子炉建屋の空気に含まれる酸素と反応して、水素爆発を起こし、

最初は1号機が。そして続いて2,3,4号機でも(この順番ではないけれど)、水素爆発が起きて、

原子炉建屋も圧力容器も格納容器も破損してますから、核燃料棒が剥き出しになり、大気中に放射性物質が

撒き散らされる状態になり、それが今でも続いている。


◆結論:初期対応が遅かったというのは、結果論です。

NHKは、今回、これほど事態が悪化したのは、東電や国の初期対応の遅れが原因である、

という結論なのです。

確かに後から見ると段取りでもたついているのですが、

地震直後、責任から逃げた人はいなかったと思います。


菅直人首相でなくても、誰が首相でも東電社長でも、今回のような事態に至ったであろう、

と私は思います。その後、原発の状況がどうなっているか、東電の情報公開が遅いというのは、

これは確かに問題ですが、それは別の問題で、

初期対応にかんしては、人類史上初めての、考え得る最悪の事故への対処としては、

こんなものであろう、と思います。特に、ベントの決断は恐らく、素人の想像を絶するでしょう。

放射性物質を大量に含んだガスと分かっているものを、故意に放出するのですから、

もっと迅速にやるべきだったといったら、それは周辺の住民に何も言わずにいきなり弁を開けたら

あのような爆発は防げたかもしれないけど、そうしたら、それはそれで、

そのような危険なことをするのに、どうして住民を避難させなかったのだ?

と、糾弾されることは間違いないでしょう。

けっして、東電や首相官邸がやったことが完璧とはおもわないけど、要するに

原発はとてつもなく危険なものなのだ、と40年間主張し続けている小出裕章京都大学原子炉実験所助教のような

専門家の意見を全然聞こうとしなかった、全部の政権と、それを問題視しなかった主権者たる国民の

不勉強が問題の本質的な根源なのです。

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2011.06.05

「原子力は六つの重要戦略の一つ 国家戦略室が原案」←まだ懲りませんか。

◆記事:原子力は六つの重要戦略の一つ 国家戦略室が原案(共同通信)(2011/06/04 16:45)

東京電力福島第1原発事故を受け、政府が新たに設けた国家戦略室がまとめた

「革新的エネルギー・環境戦略」素案が4日、判明した。

六つの「重要戦略」の一つとして原子力を挙げ、「世界最高水準の原子力安全を目指す」など、

原発推進路線を堅持する姿勢を鮮明にしたのが特徴。

国家戦略相が議長となる「エネルギー・環境会議」を新たに設置し、

7月中に戦略の「中間整理」をまとめ、来年中の決定を目指す。

原子力政策の大幅修整には踏み込まないため、抜本的なエネルギー、

環境政策の見直しにつながらないことを危惧する声が政府内からも出ている。


◆コメント:福島原発事故を見ても懲りないバカ。

この記事には流石に唖然とした。

最近、原発に関して大きなニュースが報じられないが、だからといって

問題が片付いた訳でも何でもなく、1号機から4号機まで、破損した燃料棒から

放射性物質が大気に拡散し、或いは、燃料棒を冷却し、放射能に汚染した水の処理に

難渋している。

◆記事:汚染水10万トン余に 浄化急ぐ(NHK 6月3日 13:15更新)

東京電力福島第一原子力発電所の事故で、原子炉を冷やすための注水などによって各施設にたまっている高濃度の放射性物質に汚染された水の量は、10万トン余りに上ることが分かりました。

今月15日に予定されている浄化装置が稼働しなかった場合、今月20日にも汚染水があふれるおそれがあるとして、東京電力は浄化装置の確実な稼働に向け作業を急いでいます。

福島第一原発では、メルトダウンが起きた原子炉に冷却のための注水を行っていて、1号機から4号機の施設では、高濃度の放射性物質に汚染された水が、原子炉建屋やタービン建屋の地下などに大量にたまり、作業を妨げています。

その量を調べたところ、1号機が1万6200トン、2号機が2万4600トン、3号機が2万8100トン、4号機が2万2900トン、それに汚染水の移送先の集中廃棄物処理施設に1万3300トンなど、合わせて10万5100トンに上ることが分かりました。

これらの汚染水に含まれる放射性物質の量は、72京ベクレルと推定されるということです。

東京電力はこれらの汚染水の処理計画を発表し、今月15日に1日1200トンの高濃度の汚染水の浄化装置を稼働させることに加え、ことし8月中旬をめどに敷地内の地下に1万トンの高濃度の汚染水をためることができるタンクを設置するとしています。

東京電力は、浄化装置が稼働しなかった場合、今月20日にもトレンチと呼ばれるトンネルの縦穴などから汚染水があふれるおそれがあるとして、浄化装置の確実な稼働に向け作業を急いでいます。

また、梅雨の大雨などで、量が増えるおそれがあるとして、汚染水の新たな保管場所の確保を進めるとしています。

核燃料にはとにかく水をかけて冷却し続けなければならないが、放射性物質を無効化する技術を人間は持っていないので、

これらの汚染水を浄化しても、浄化装置には放射性物質が残る。それは、どこにも捨てられないので、

どこにも捨てられないゴミが増えていく一方である。

それを止めるには、燃料棒を冷却した水が閉じたシステムの中で循環するようなシステムを

再構築するしか無いが、1号機では、燃料棒は既に圧力容器も格納容器も壊れ、原子炉建屋の床の

「水たまり」に「あんパン状」になっているのではないか、

と、小出裕章京都大学原子炉実験所助教は推察しているが、

そうだとすると、その燃料棒が溶融したものをどのように処理するべきか。

専門家の小出助教ですら、どうすべきか、途方に暮れている、

というのである。どう考えても、「菅首相はいつ辞めるべきか」とか

「次の首相はだれが良いか」よりも重大かつ緊急の対応を要する問題だが、

国会が、原発のことなど全く議論せず、政局ばかりにエネルギーを注ぎ、

メディアは、それを指弾せずに、「次の首相にふさわしい人物」の世論調査を行い、

国民もそれを問題と考えない。どうかしている。


また、この国はまだ原発に懲りず、推進しようとしていることを

共同通信が伝えても反応しない。

「絶対安全な原発」が存在しないことは、小出助教が以前から主張している。

311の後に小出裕章京都大学原子炉実験所助教が書き下ろし、6月1日に発売された

原発のウソ (扶桑社新書)が、非常に売れているそうだが、

その本の中で小出助教は、地震の多い日本には原発を建設してはならない、と

繰り返し強調している。

小出助教は5月23日、参議院行政監視委員会に参考人として招致され、

1970年から訴え続けてきたことを、国会で明らかにした。

そのとき、NHKは衆議院予算委員会を中継した。参議院会議録には

5月23日の会議録がまだ掲載されていない。それはともかく、

この期に及んで、「絶対安全な原発は存在しない」ことが理解できず、

原発推進路線を維持しようとする「国家戦略室」の面々は、

一体頭の中がどうなっているのだろうか。

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2011.06.04

「被災地にバイオリンの調べ=ユネスコ大使、88歳奏者-宮城・石巻」←ギトリス氏です。

◆記事:被災地にバイオリンの調べ=ユネスコ大使、88歳奏者-宮城・石巻(時事通信 011/06/01-16:40)

東日本大震災で被害を受けた宮城県石巻市で、ユネスコ(国連教育科学文化機関)親善大使で

バイオリン奏者のイヴリー・ギトリスさん(88)が1日、避難所の石巻市立女子高校を慰問し、

約200人の被災者や生徒を前に演奏した。

イスラエル人のギトリスさんは、これまで二十数回来日している親日家。

海外の演奏家が大震災を受け訪日を見合わせる中、被災者を見舞った。

同校の体育館で、エルガー作曲の「愛の挨拶」と日本の唱歌「浜辺の歌」を披露。

テンポを変えたり、即興を交えたりしながら、演奏の合間には

「私の心は皆さんと一緒にいます」と語り掛けた。

被災者は、ギトリスさんが奏でた30分間の柔らかな調べに聞き入っていた。


◆コメント:政争に明け暮れる日本の政治家よりも、被災者を思っているイスラエルのヴァイオリニスト。

ギトリス氏の来日の件は、先週書いた。

【いい話】震災2日後に「ノーギャラでも良いから、被災地で演奏したい」と言ってくれたヴァイオリニスト、イヴリー・ギトリス氏

国会では、今日もあまりにもバカバカしくて、とても見出しから後は読む気がしない

子供のケンカレベルの揚げ足取りに終始していたようだ。

被災地の人々のことなど忘れているのは明らかである。


一方、震災の2日後、
「ノーギャラでもいいから、出来れば被災地に行って音楽を届けたい」

と申し出てくれた、イスラエルのヴァイオリンの巨匠は本当に日本にやってきて、

記事のとおり、避難所となっている石巻市立女子高で6月1日、ヴィオリンを弾いた。


誠にありがたいことだが、日本としては恥ずかしいことだ。

日本の政治家よりも外国の音楽家のほうが、被災者のことを本気で心配して下さっている。

そして、日本の政治家はもとより、メディアが、このことを大きく取りあげない。


先週の週刊新潮、引用した時事通信、時事通信の記事を買って紙面に載せた朝日、

そして、東京新聞である。
◆記事:【交差点】2011年6月3日

◆「イヴリー・ギトリス チャリティーコンサート」 浜離宮朝日ホール(中央区築地5)で、10日午後7時開演。

ギトリス氏は、現役最高齢の88歳の国際的バイオリニストとして、世界を舞台に活躍。

福島第一原発事故後、海外演奏家の多くが来日を見合わす中

「自分の来日で、日本でコンサートを行うのに全く支障がないことを証明したい」と、来日を決めた。

愛弟子で日本フィルのソロ・コンサートマスター、木野雅之、大鼓奏者大倉正之助氏らも参加。

曲目は「愛の喜び」など。全席指定5500円。

必要経費を除き被災地に義援金として贈る。実行委員会(テンポプリモ)=(電)03・5810・7772。

日本の政治家や役人は無教養である。

本来、これほどの音楽家がわざわざ、被災地で演奏するために駆けつけてくれたら、

内閣総理大臣が直に会って例を言うべきである。


話が逸れるが、2009年3月末に、ベルリン・フィルハーモニーの第一コンサートマスターを

辞して、退団した安永徹氏にはドイツ政府から、勲章が贈られたことを私は記事にした。
2009.02.28 「ベルリン・フィルの安永徹さん、独政府が勲章授与」←安永さんは勲章が欲しくて音楽家になったのではない。しかし、私は嬉しい。

この年の5月、ドイツのメルケル首相が来日したが、当時の首相麻生太郎氏は、

このことについて何も言わなかった。また、そのことを、報じたメディアも無かった。

こういうことが恥ずかしいのだ。


◆ギトリス氏を映像で見て頂きましょう。

YouTubeで、“Ivry Gitlis”をで検索すれば、沢山の映像が見つかります。。

その中から、何曲か。

ギトリス氏は石巻市立女子高で、先日の私の記事にも載せた、エルガーの「愛の挨拶」を

弾いたそうですが、同じエルガーの La capricieuse, Op.17という技巧的な曲。

“La capricieuse”は「気まぐれな女」の意。ギトリス氏の49年前(1962年)の映像。


Ivry Gitlis: Elgar - La capricieuse, Op.17





昔は普通の服装で弾いていたのですね(笑)。49年前というとギトリス氏39歳。

次は、もう少し年月を経ている。サンサーンスの「序奏とロンド・カプリチオーソ」


Ivry Gitlis Saint Saens Rondo` Capriccioso







次は比較的最近。いつからこのような服装で弾き始めたのか分かりません。

かの有名な、ツィゴイネルワイゼン(サラサーテ)。


Ivry Gitlis - Sarasate Gypsy Airs (Zigeurneweisen)







これぐらい年配になると、あんまり指が回らなくなったりするものですけどね。

ギトリス氏は衰えを知りません。

しかし、これは、伴奏の人は本当に大変です。ルバートなんてものではないですね。

元々この曲は誰が弾いても、一定のテンポということはありませんけど、これほど極端に

揺れ動くヴァイオリニストは他に知りません。


さて、最後ですが、石巻市立女子高で「浜辺の歌」を弾いた、とありますが、

ギトリス氏は、この歌が好きなようで、N響と協演したときに、アンコールで弾いている

映像を発見しました。N響のヴァイオリン・セクションの人達の反応をご覧下さい。


Ivry Gitlis plays The Song of the Seashore (浜辺の歌)







YouTubeの決して上等とは言えない音質からですら、想像出来ますが、

ギトリス先生のヴァイオリン、物凄く鳴っていますね。

かつて、東京駅の丸の内口のドーム下広場で毎週火曜日、夕方6時からだったか、

「駅コン」(駅のコンサート)という催しが、暫く続きました。何しろ、回りは全く遮蔽していませんから、

人が歩いたり、雑音は防げない。それでも皆喜んで聞いたものです。

それで、なんと、そのような雑然とした「駅コン」でギトリス先生が弾いてくれたことがあります。

私はそれを生で聴いたのですが、非常に良く通る音がビンビン伝わってくるのです。


浜離宮朝日ホールのリサイタルは、都合の付く方はお聴きになると良いですな。

チャリティー、ということもありますが、ギトリス氏の音は生で聴くととにかくすごいですから。

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2011.06.03

内閣不信任案で遊んでいる場合ではない。

◆この時期に「政局」が重大ニュースになること自体が間違っている。


自公が提出し、大差で否決された、内閣不信任案であるが、

賛成・反対がそれぞれ何票だったか。あるいは、民主党の造反議員の処分を

どうするか、など、大手メディアはそのようなことばかりを取りあげている。

それらは、今のこの国の状況に鑑み、完全に「どうでもよいこと」である。この国では、「政局」つまり政治家・政党どうしの勢力争いを「政治」と勘違いしている。

メディアがそれに乗っかるから、世論も何か重大なことのように思うらしい。



前回の日記で書いた通り、今はそんなことを話している場合ではない。

「福島原発一号機に地震直後から海水を注入すべきだったが、首相の判断が

あまりにも遅かったなどと、野党、自民党が仕切りに管内閣を批判しているが、

そのように高度の専門的かつ技術的なことに関して、理科系出身とは言え、

原子力の専門家ではない、内閣総理大臣の判断・指示が誤っていたというのは、

無茶である。

「菅総理、辞めろ」という連中のうち、311の際に自分が仮に内閣総理大臣だったとして

的確な判断が下せたのか。また、これから菅直人が辞めたとして、自信を持って国家の運営を

実行出来る人間がいるのか。



菅首相が辞めた後、自分が首相になったら、被災地の復興はとんとん拍子に進み。

福島原発の処理も完璧に行い、汚染された土壌から放射能物質を瞬間的に無効かできる

国会議員、いや、人間がこの世にいるのか。



メディアもメディアで、菅首相が「一定のメドがついたら」辞めることを考える、と言ったら、

「一定のメドとか何か」などとバカなことを聞いていたが、そんなことは分かる訳は無い。

むしろ今日、政治家が記者会見を開くならば、内閣不信任案などという露骨なパフォーマンスで

時間を浪費した、自公の総裁・代表が質問に答えるべきだった。

「菅直人が首相である間は、国益を損ない続ける」

と自民党の谷垣は野党の気楽さで発言していたが、仮定上の話として、



谷垣が首相になったら、復興財源を消費税で賄うのか。



震災前から低迷している日本経済を立て直しながら、復興財源をどのように



確保するのか。



何よりも、菅直人以外の誰かが首相になったら、福島第一原発から拡散し続ける



放射性物質を無くすことができるのか。



汚染された原発周囲の土壌を浄化できるのか?



そのようなことは考えず、ただ、自民党が次の選挙で勝つために



菅首相の無能さ(何度も書くけれども、誰が首相でも同じだっただろう)



を強調する為だけに「不信任決議案」を採決に持ち込んだとすれば



(そうに決まっているが)、その為に、時間を無駄にした席には重大である。



自分達は安全地帯で、派閥や縄張り争いを続け、被災地復興や、



人類が未だかつて経験したことが無い、長期間に及ぶ原発からの放射性物質の拡散、



それによって懸念される日本国民の外部被曝、内部被曝等々、



問題は山積をしているが、国会議員は毎月129万円の歳費と100万円の文書・通信費、



月65万円の政務調査費、年間718万円のボーナス、を今までと同じように(1割減らしても、



痛くもかゆくもない)平然と受け取りながら何の役にも立っていない。



ここから先は現在の日本の法律では絶対に無理な私の空想だが、



国会議員は全員、福島第一原発で被曝限度ギリギリまでの作業に従事する、



という法律を国民投票で決めることができたらなあ、と思う。



議員どもも、流石に少しは真剣になるだろう。

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