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2011.06.06

NHKスペシャル原発危機 第1回「事故はなぜ深刻化したのか」視聴後雑感。

◆NHKスペシャル シリーズ「原発危機」第1回「事故はなぜ深刻化したのか」

これなのですが。↓

NHKスペシャル シリーズ 原発危機 第1回 事故はなぜ深刻化したのか

いまだに危機的な状況が続き予断を許さない原発事故。当初の想定を超え、水素爆発やメルトダウンなどが進行し、後手後手の対応の中で、汚染は拡大していった。

なぜ、ここまで事故は深刻化したのか。事故対応にあたった官邸、保安院、原子力安全委員会、そして東京電力はどう動いたのか。

当事者たちの証言と内部資料をもとに徹底検証する。

この番組は再放送予定があります。

2011年6月13日(月)  午前1時30分~2時28分 総合 (12日深夜) ※近畿ブロックは午前1時43分~2時41分の放送になります。

シリーズ 原発危機 第1回 事故はなぜ深刻化したのか

NHKが独自に入手した事故直後の現場や首相官邸のメモや、危機管理本部にいた現職の内閣官房副長官など

正に、当事者にインタビューして構成したものです。

番組最後にナレーションの形で述べられたNHKの評価は厳しく、
東電、役所、政府の危機対応責任者達が、責任をきちんと果たさなかったからだ。

というのですが、ちょっと酷な気がしました。


◆原子炉冷却停止を認識した後の指示。電源の確保。

福島原発事故が深刻化したのは、地震と津波により、発電所自体が停電し、

原子炉で核燃料を冷却するシステムが作動しなったからです。

核燃料が冷却されなくなり燃料棒を覆う被覆管、ジルコニウムという金属が1400℃以上になると、

酸化作用を起こし始めたのです。

すると圧力容器内の水蒸気から酸素を奪うので、水素が残る。

水素が増えて圧力が増して格納容器に漏れただけでは、格納容器は窒素が充填されてるからまだ、

爆発しない。ところが、地震と津波による、圧力容器、格納容器の損傷は想像以上に激しく、

水素は原子炉格納容器の外の原子炉建屋に漏れた。ここには普通の空気があり、酸素を含んでいたため、

水素と酸素が反応して、水素爆発を起こしたと。


それは予想出来たので、とにかく首相官邸は、高圧発電車を50台も福島に急行させた。

ところが、ケーブルの長さが足りなかったり、ケーブルのプラグが原子炉システムと仕様がことなり

接続出来なかったりもたつきました。しかし、結果的にはそれも関係無かった。


やっと高圧発電車から原子炉冷却システムが接続できたけど、冷却装置のポンプが壊れていた。

電源を確保し何とか原子炉の冷却システムを一刻も早く復活させようとした、官邸の判断は、

それ自体、間違っていたとは言えません。


◆ベントの遅れ。

原子炉の冷却システムが壊れていたので、当然、核燃料が発する熱により、

前述のとおりジルコニウムが溶けて、水素が発生する。圧力容器内の気圧が高まり、

容器を破損することになる。それを防ぐには放射性物質を大量に含む、圧力容器内の気体を

圧力容器の弁を開いて放出させるしかない。これが遅れたがために、水素爆発を起こしてしまった。

これは、東電と政府がモタモタしていたからだ、とNHKは言うのですが。

何せ、これは原子力関係者に言わせると「最後の手段」なのですね。

ガスを放出したら、周辺住民が被曝することは確実。

そのため、まず半径2キロの住民を避難させてから、ということになったのですが、

この判断自体も誤りとは認めにくい。ただ、全員が避難したかどうか確認するのに

時間がかかってしまった。これはねー。普段からそのような避難訓練、出来ませんよね。

安全だ、と言って建設してしまったのは、自民党政権ですしね。

国民も安全だといわれて、「ああ、安全なのか」と思っていたのですから。


そして、避難を確認したのですが、なかなか圧力弁を開く「ベント」が始まらない。

首相官邸はイライラして、法律に基づいて、東電に「早くベントを実行しろ」と命令してます。

ただし、このベント。圧力弁を開くという事態は、世界でも初めてでそれだけ、危険な状態ですから

非常時マニュアルには圧力弁は電気で動くスイッチで開くことになっていたのですね。


しかし、電源がないのですから。非常用電源は落ちているし、システムが壊れている。

で、急遽福島第一では設計図を開いて、手動で弁を開くことにしたのですが、物凄い被曝を覚悟しなければ

ならないわけです。作業員が。

しかし、ベントをしないと、容器が破裂するし、外から冷却用の水を放水することも出来ないのです。

で、いよいよ、実行、と決めた時には時間が経ち過ぎていたのです。格納容器も壊れていたので、

水素を含んだガスが原子炉建屋の空気に含まれる酸素と反応して、水素爆発を起こし、

最初は1号機が。そして続いて2,3,4号機でも(この順番ではないけれど)、水素爆発が起きて、

原子炉建屋も圧力容器も格納容器も破損してますから、核燃料棒が剥き出しになり、大気中に放射性物質が

撒き散らされる状態になり、それが今でも続いている。


◆結論:初期対応が遅かったというのは、結果論です。

NHKは、今回、これほど事態が悪化したのは、東電や国の初期対応の遅れが原因である、

という結論なのです。

確かに後から見ると段取りでもたついているのですが、

地震直後、責任から逃げた人はいなかったと思います。


菅直人首相でなくても、誰が首相でも東電社長でも、今回のような事態に至ったであろう、

と私は思います。その後、原発の状況がどうなっているか、東電の情報公開が遅いというのは、

これは確かに問題ですが、それは別の問題で、

初期対応にかんしては、人類史上初めての、考え得る最悪の事故への対処としては、

こんなものであろう、と思います。特に、ベントの決断は恐らく、素人の想像を絶するでしょう。

放射性物質を大量に含んだガスと分かっているものを、故意に放出するのですから、

もっと迅速にやるべきだったといったら、それは周辺の住民に何も言わずにいきなり弁を開けたら

あのような爆発は防げたかもしれないけど、そうしたら、それはそれで、

そのような危険なことをするのに、どうして住民を避難させなかったのだ?

と、糾弾されることは間違いないでしょう。

けっして、東電や首相官邸がやったことが完璧とはおもわないけど、要するに

原発はとてつもなく危険なものなのだ、と40年間主張し続けている小出裕章京都大学原子炉実験所助教のような

専門家の意見を全然聞こうとしなかった、全部の政権と、それを問題視しなかった主権者たる国民の

不勉強が問題の本質的な根源なのです。

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