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2011.12.11

<大阪フィルハーモニー>橋下氏「補助金見直し」に危機感←大フィルは大阪だけのものではない。/ドヴォルザーク「コントラバス協奏曲」

◆記事:<大阪フィルハーモニー>橋下氏「補助金見直し」に危機感(毎日新聞 12月9日(金)17時50分配信)

大阪市の橋下徹・新市長が、文化事業への補助金支出を全面的に見直すと表明していることに対し、

運営補助金を受けている大阪フィルハーモニー交響楽団(事務局・同市西成区)が危機感を強めている。

市の補助金は楽団の年間予算の1割を超える1億1000万円。

楽団は人件費削減や会員企業への会費増額要請に取り組んでいるが、自助努力には限界があり

「何とか補助金を維持してもらいたい」と訴えている。【出水奈美、原田啓之】

大阪府と大阪市による大阪フィルへの補助金は1960年度に始まった。ところが、

橋下氏が知事時代に文化行政を見直し、計1億2300万円あった府の補助金と貸付金が08年度末で廃止された。

府が運営していた大阪センチュリー交響楽団(現日本センチュリー交響楽団)も運営補助金を打ち切られ、

民営化の道を歩んでいる。

橋下氏は市長選当選後も、これまでの文化行政を「補助金を出す先の評価もなく、今まで出していたから出すというだけ」

と批判しており、大阪フィルを含む文化団体などへの運営費補助を全廃して事業ごとの補助に切り替える方針。

新たな会議「アートカウンシル」を設置し、文化行政での公金投入の在り方を検証する予定だ。

大阪フィルの年間予算は約10億円。府の補助金などの廃止を受けて、支出全体の5割を占める人件費の削減に着手しており、

楽団員の平均年収は約500万円(平均年齢45歳)となっている。

一方、法人会員離れは深刻。92年には373社あったが、関西企業の本社機能移転や円高、

東日本大震災の影響を受け現在は207社にとどまる。チケットを値上げしたが、

14年まで続く府の貸付金と利子の返済が経営を圧迫しており、

昨年度末現在で楽団の累積赤字は約6400万円となっている。

鈴木貞治・楽団事務局長は「60年余り大阪で官民一体で育ててもらった。

何とか補助金を維持して、今後も大阪の文化として成長させてほしい」と話している。


◆大阪フィルハーモニー交響楽団は大阪市民、大阪府民だけが聴くのでは無い。

橋下大阪市長は、

「文化は行政が育てるものではない」

と、大阪府知事時代から公言し、これを支持する世論がある。

育てろ、とは言わないが、既に育っている優れたオーケストラの存続を行政が潰していいとは思えない。

これは、大阪の財政だけの問題ではなく、日本全体の文化の問題でもある。

多分、オーケストラ・コンサートなど生まれて一度も聴いたことがない、橋本市長や彼の同調者は全く分かっていないが、

大阪フィルハーモニー交響楽団(以下、「大フィル」)のファンは、私のように日本中にいるからである。

大阪市は、2007年に経費削減のため、大阪市消防団音楽隊を廃止した。

このとき、日本全国からネットで反対署名が集まったし、私もブログで訴えた。
2007.01.08 大阪市消防音楽隊が経費削減の為、廃止されかけている。議員の政務調査費を減らしたらどうですか?/【変更】署名受付延長

結局、この声は、無教養な行政に届かず、大阪市消防音楽隊は38年の歴史を閉じた。

私のJIROの独断的日記ココログ版のトップページ左側には、

そのときに、短い間であったが、知り合った当時の大阪市消防音楽隊の方々のリンクを切れたままのこしてある。

大阪市が音楽隊の廃止を決めた理由は、
年間1億8000万円程度の経費が必要なため、市の危機的な財政状況を踏まえ廃止を決めた。

とのことであった。私は、大阪市議会議員は通常の給料の他に、「政務調査費」を毎月60万円支給されていた。

(詳細はリンク先の当時の記事をご参照いただきたい)。

現在も似たようなものである。大阪市議会のサイトで、
政務調査費(平成22年4月から平成23年3月交付分)収支状況総括表

を見ると、交付額合計は5億5,595万円。大阪市議会の定数は86人だから、単純に平均すると、1人の議員が、

年間、約651万円、12で割ると月額54万円となる。繰り返すが、給料とは別に年間651万円の税金が大阪市市議会議員に支払われている。


それに対して、記事にあるとおり、大フィル団員の平均年収は500万円であるという。


それでも、橋下市長は「音楽など人間に『必要な』ものではない」といって、にべもない。

橋下氏に投票した大阪の有権者も同じようにかんがえているのであろうか?

大阪市は昼間人口が日本で3番目に多い大都市。当然政令指定都市である。

日本で初めてのアリーナ・シアター形式(ステージを客席が取り囲む)の本格的な音楽ホールは、

1982年、朝日放送創立30周年記念事業のひとつとして建てられた、ザ・シンフォニーホールだ。

東京のサントリーホールのオープンは1986年である。

ザ・シンフォニーホールの方が4年も早い。


その大阪市という街、大阪市民がこれほど、芸術に理解をしめさない人間を市長に選ぶとは皮肉な話である。


橋下市長は苦学の末、国家試験の最難関、司法試験に合格し、プロの法律家になったほど知性の持ち主だが

はっきり言って、苦労人の中には「クラシック」という言葉を聞いただけで、異常なほどの敵愾心を示す人がいるが、

その典型に見える。

音楽も美術も映画も、演劇も文学も全てが無くても人間は死なないが、だからといって、

「必要がない」と断じるのは短絡である。

夏目漱石が「草枕」の冒頭で語っている。
あらゆる芸術の士は人の世を長閑にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。

住みにくき世から、住みにくき煩いを引き抜いて、ありがたい世界をまのあたりに写すのが詩である、画である。あるは音楽と彫刻である。

芸術の集団はもうからないように出来ている。欧米では行政が支援するのが当たり前で、そのために税金が使われる事に

文句をいう納税者はいない。ウォール・ストリートでアメリカ人の失業者が、「反格差デモ」を行ったが、

「ニューヨーク・フィルハーモニック(管弦楽団)がなくても困らないから、潰せ」といったものはいない。

これが民度の違いである。


大阪府知事や大阪市長は、大フィルが大阪にとってかけがいの無い、無形文化財であることを

認識するべきである。

本来、大阪が世界に対して誇りに思うべきものを「税金の無駄」としか見なせないのは、恥ずかしい事だ。


◆【音楽】ドヴォルザーク「コントラバス協奏曲」/ゲリー・カー、朝比奈隆=大フィル。

大フィルの話だから、交響曲などの方が良いかもしれないが、

この録音は大変に珍しい。


ドヴォルザークの「コントラバス協奏曲」は存在しない。

ドヴォルザークの書いた協奏曲で最も有名で傑作な「チェロ協奏曲」ロ短調を

ゲリーカーというコントラベス奏者が、なんとコントラバスで弾いた。

1893年6月20日、ザ・シンフォニー・ホールに於いて。

ライブ録音が今でも売られている。こんなことをやったのは

ゲリーカー、朝比奈=大フィルが世界で初めてである(その後誰かが演ったかどうか、私は知らない)。

音源は、

ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 作品104: ゲリー・カー(コントラバス、1611年製アマティ), 大阪フィルハーモニー交響楽団, 朝比奈隆指揮

である。第三楽章だけ。


ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 作品104(コントラバス版) 第三楽章







ソロも上手いが、伴奏の大フィルの壮大で厚い響きが、我々の心を動かす。

この素晴らしさ。橋下氏も是非自分で聴いてから判断するべきだ。

子供の頃から毎日厳しい練習を続けて、プロの音楽家になるのは容易なことでは無い。

音楽大学に行けたのは「金持ちのウチのこどもだったからだろう」と僻むべきではない。

それ以上の苦労があったのだ。

そのようにしてもプロの音楽家になれるかどうかは、分からないし

プロの音楽家をただ100人集めれば、大フィルの替わりが直ぐに出来るのではない。

オーケストラが成熟するには時間がかかる。

どのようなものでも潰すことは一瞬で出来るが、創り上げる方が余程大変なのだ。

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